(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094080
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】立体映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/54 20200101AFI20230628BHJP
H04N 13/322 20180101ALI20230628BHJP
H04N 13/398 20180101ALI20230628BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20230628BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230628BHJP
G02B 26/08 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
G02B30/54
H04N13/322
H04N13/398
G03B35/18
G02B7/04 Z
G02B26/08 H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209320
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 一貴
【テーマコード(参考)】
2H044
2H059
2H141
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H044BF00
2H059AA33
2H059AB12
2H141MA12
2H141MB37
2H141MB43
2H141MC10
2H141MG04
2H199BA24
2H199BA28
2H199BA69
2H199BB06
2H199BB22
2H199BB45
2H199BB52
2H199BB53
2H199BB62
2H199BB65
5C061AA06
5C061AB12
5C061AB16
(57)【要約】
【課題】表示画像の2次元解像度への影響を低減しつつ、輻輳調節矛盾を解消又は低減した多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像表示装置を実現すること。
【解決手段】複数の画素がマトリクス状に配置された1つの空間光変調器(2)と、焦点距離が変化する1つのレンズ部(3)と、前記レンズ部の焦点距離の変化と同期するようにマトリクス状に配置された複数の領域の点灯又は非点灯の切り替えを行うことで、前記複数の領域の各々を順に点灯させて機能する1つのブロック光源部(4)と、を備え、1フレーム内で、互いに焦点距離の異なる複数の立体表示用画像が連続して表示されることで立体視を実現する、立体映像表示装置(1)とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された1つの空間光変調器と、
焦点距離が変化する1つのレンズ部と、
前記レンズ部の焦点距離の変化と同期するようにマトリクス状に配置された複数の領域の点灯又は非点灯の切り替えを行うことで、前記複数の領域の各々を順に点灯させて機能する1つのブロック光源部と、を備え、
1フレーム内で、互いに焦点距離の異なる複数の立体表示用画像が連続して表示されることで立体視を実現する、立体映像表示装置。
【請求項2】
前記レンズ部は、
互いに対向する一対の透光性カバー部と、
一対の透光性カバー部により挟まれた空間を囲う側壁部と、
前記一対の透光性カバー部と前記側壁部とにより形成された前記空間内の浸液と、
前記側壁部を振動させるアクチュエータ部と、を備える、請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記浸液が、水、シリコーン流体又はフッ素化有機物流体である、請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部は、複数のアクチュエータが変位方向に積層された積層アクチュエータを含む、請求項2又は請求項3に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ部は、所定の間隔で前記側壁部に接続された複数のアクチュエータを備える、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前記レンズ部がフレネルレンズ又は回折レンズである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
可変焦点音響光学レンズと、
複数のLEDを含むバックライトと、
前記可変焦点音響光学レンズと前記バックライトとの間に配置され、マトリクス状に配置された複数の画素を含むディスプレイパネルと、を備える立体映像表示装置。
【請求項8】
前記可変焦点音響光学レンズは、浸液を備え、
複数のアクチュエータが浸液を囲んでいる、請求項7に記載の立体映像表示装置。
【請求項9】
タイミングコントローラを更に備え、
前記バックライト、前記ディスプレイパネル及び前記可変焦点音響光学レンズは、前記タイミングコントローラを介して互いに同期されている、請求項7又は請求項8に記載の立体映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然な立体動画を実現する立体映像表示装置の開発が進められている。
立体映像表示装置において自然な立体視を実現するためには、観察者の左右の眼球の視線の交差である輻輳と該眼球の焦点調節との間に生じる矛盾(輻輳調節矛盾)の低減が必要である。
この輻輳調節矛盾の低減を目的とした技術として、ライトフィールドディスプレイ(Light Field Display)技術及びホログラフィー(Holography)技術を例示することができる。
しかしながら、ライトフィールドディスプレイ技術では、表現できる光線点数はパネルにおける画素の微細化技術に依存し、ホログラフィー技術では、空間光変調器の画素ピッチの微細化が必要であり、ホログラフィー技術は実用可能な水準に達していない。
【0003】
従来技術の一例である特許文献1には、ライトフィールドディスプレイ技術及びホログラフィー技術の課題を解決可能な、TAG(Tunable Acoustic Gradient index)Lens(登録商標)と呼ばれる共振型液体レンズを用いた表示装置が提案されている。
この共振型液体レンズによれば、焦点距離を連続的に繰り返し変調することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、非常に高速なDMD(Digital Micromirror Device)を要する。
また、多視点の裸眼両眼視が可能な大型の立体表示装置は実現されていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、表示画像の2次元解像度への影響を低減しつつ、輻輳調節矛盾を解消又は低減した多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一態様は、複数の画素がマトリクス状に配置された1つの空間光変調器と、焦点距離が変化する1つのレンズ部と、前記レンズ部の焦点距離の変化と同期するようにマトリクス状に配置された複数の領域の点灯又は非点灯の切り替えを行うことで、前記複数の領域の各々を順に点灯させて機能する1つのブロック光源部と、を備え、1フレーム内で、互いに焦点距離の異なる複数の立体表示用画像が連続して表示されることで立体視を実現する、立体映像表示装置である。
【0008】
本発明の一態様では、上記構成において、前記レンズ部は、互いに対向する一対の透光性カバー部と、一対の透光性カバー部により挟まれた空間を囲う側壁部と、前記一対の透光性カバー部と前記側壁部とにより形成された前記空間内の浸液と、前記側壁部を振動させるアクチュエータ部と、を備える構成とする。
【0009】
本発明の一態様では、上記構成において、前記浸液が、水、シリコーン流体又はフッ素化有機物流体である構成とする。
【0010】
本発明の一態様では、上記構成において、前記アクチュエータ部は、複数のアクチュエータが変位方向に積層された積層アクチュエータを含む構成とする。
【0011】
本発明の一態様では、上記構成において、前記アクチュエータ部は、所定の間隔で前記側壁部に接続された複数のアクチュエータを備える構成とする。
【0012】
本発明の一態様では、上記構成において、前記レンズ部がフレネルレンズ又は回折レンズである構成とする。
【0013】
又は、本発明の一態様は、可変焦点音響光学レンズと、複数のLEDを含むバックライトと、前記TAGLensと前記バックライトとの間に配置され、マトリクス状に配置された複数の画素を含むディスプレイパネルと、を備える立体映像表示装置である。
【0014】
本発明の一態様では、上記構成において、前記可変焦点音響光学レンズは、浸液を備え、複数のアクチュエータが浸液を囲んでいる構成とする。
【0015】
本発明の一態様では、上記構成において、タイミングコントローラを更に備え、前記バックライトユニット、前記ディスプレイパネル及び前記可変焦点音響光学レンズは、前記タイミングコントローラを介して互いに同期されている構成とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示画像の2次元解像度への影響を低減しつつ、輻輳調節矛盾を解消又は低減した多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る立体映像表示装置の構成を示す概念図である。
【
図2】
図2(A)は、レンズ部における位置(横軸)とレンズ部の密度(縦軸)との関係を示す図であり、
図2(B)は、レンズ部の構成を示す上面図であり、
図2(C)は、レンズ部の構成を示す断面図であり、
図2(D)は、レンズ部の焦点距離が時間的な変化を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る立体映像表示装置の光学系を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る立体映像表示装置の制御部と、各構成と、を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すT-CONを示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6(A)は、実施形態に係る立体映像表示装置の展開図であり、
図6(B)は、レンズ部を示す斜視図であり、
図6(C)は、レンズ部の中心部であるレンズ中心部についての展開図である。
【
図7】
図7(A)は、レンズ部を示す上面図であり、
図7(B)は、レンズ部を示す側面図であり、
図7(C)は、レンズ部の断面を示すための斜視図であり、
図7(D)は、
図7(C)のA-A’における断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る立体映像表示装置の機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る立体映像表示装置の空間光変調器とブロック光源部との平面構成を示す図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す空間光変調器及びブロック光源部を備える立体映像表示装置の第1のタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、
図9に示す空間光変調器及びブロック光源部を備える立体映像表示装置の第2のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0019】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の構成を示す概念図である。
図1に示す立体映像表示装置1は、1つの空間光変調器2と、1つのレンズ部3と、1つのブロック光源部4と、を備え、1フレーム内で、互いに焦点距離の異なる複数の立体表示用画像が連続して表示されることで多視点における立体視を実現する。
観察者側にはレンズ部3が配置され、ブロック光源部4は観察者から最も遠い位置に配置され、空間光変調器2は、レンズ部3とブロック光源部4との間に配置される。
また、実現される立体視は多視点における立体視であり、すなわち、第1の観察位置からも第2の観察位置からも立体視可能である。
【0020】
ここで、1フレーム周期は、空間光変調器2の書き換え周期に対応する。
1フレーム周期内においては複数の平面フィールドが表示される。
ある瞬間における体積画素は、1つの平面フィールドを構成する。
1フレームは、体積画素の集団による体積表示の1周期分によって構成される。
1つの立体表示用画像は、1つの平面フィールドに対応し、1枚の平面画像により構成される。
互いに焦点距離の異なる複数の立体表示用画像が連続して表示されることで、立体表示(立体像又は立体表示画像)が実現される。
そのため、高速なDMDを用いることなく、多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像を表示することが可能になる。
【0021】
空間光変調器2は、複数の画素がマトリクス状に配置された構成である。
レンズ部3は、焦点距離が変化することで、第1の焦点面から第nの焦点面までの複数の焦点面を作り出す。
ブロック光源部4は、レンズ部3の焦点距離の変化と同期するようにマトリクス状に配置された複数の領域の点灯又は非点灯の切り替えを行うことで、複数の領域の各々を順に点灯させる。
【0022】
空間光変調器2は、複数の画素がマトリクス状に配置された構成であり、ブロック光源部4からの光の透過又は非透過を切り替える。
空間光変調器2には、LCD(Liquid Crystal Display)及びDMDを含む。
【0023】
図2(A)は、レンズ部3における位置(横軸Distance)とレンズ部3の密度(縦軸Density)との関係を示す図である。
なお、レンズ部3の屈折率(Refractive index)は、レンズ部3の密度の増加に伴って増加する。
【0024】
図2(B)は、レンズ部3の構成を示す上面図であり、
図2(C)は、レンズ部3の構成を示す断面図である。
レンズ部3は、一対の透光性カバー部31,32と、側壁部33と、浸液34と、アクチュエータ部35と、を備える。
透光性カバー部31と透光性カバー部32とは、互いに対向している。
側壁部33は、透光性カバー部31と透光性カバー部32とにより挟まれた空間を囲っている。
浸液34は、透光性カバー部31、透光性カバー部32及び側壁部33により形成された空間内に充填されている。
アクチュエータ部35は、側壁部33を振動させる。
アクチュエータ部35の振動によって側壁部33が振動し、この振動が浸液34に伝達されることで、レンズ部3の焦点距離が時間的に変化する。
図2(D)は、横軸を時間(Time)とし、縦軸をレンズ部3の焦点距離(Focal length)として、レンズ部3の焦点距離の時間的な変化を示す図である。
【0025】
なお、浸液34としては、シリコーン流体を例示することができ、シリコーン流体としてはシリコーンオイルを例示することができる。
浸液34は、可視光を透過することが可能であれば特定の液体に限定されるものではないが、絶縁性を有することが好ましい。
浸液34としては、水、オルガノポリシロキサン等のシリコーン流体、フッ素化エーテル等のフッ素化有機物流体を例示することができるが、このうち、光線透過率、蒸気圧及び難燃性等の観点から、シリコーン流体であるシリコーンオイルが特に好ましい。
【0026】
アクチュエータ部35は、複数のアクチュエータが変位方向に積層された積層アクチュエータを含むことが好ましい。
アクチュエータ部35に、複数のアクチュエータが変位方向に積層された積層アクチュエータを用いることで、アクチュエータ部35の変位量を大きくすることができるため、レンズ部3の焦点距離変調量を長くすることができる。
そのため、各アクチュエータの変位量が小さくても必要な焦点距離を確保することができる。
【0027】
また、アクチュエータ部35は、
図2(B),(C)に示すように、所定の間隔で側壁部33に接続された複数のアクチュエータを備えることが好ましい。
複数のアクチュエータが側壁部33に所定の間隔で間欠的に配置されることで、アクチュエータ部35の変位量を大きくすることができるため、レンズ部3の焦点距離変調量を長くすることができる。
そのため、各アクチュエータの変位量が小さくても必要な焦点距離変調量を確保することができる。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、アクチュエータ部35は、側壁部33の外周を覆うように連続的に形成されていてもよい。
【0028】
又は、レンズ部3がフレネルレンズであってもよいし、又はレンズ部3がバイナリーレンズ等の回折レンズであってもよい。
レンズ部3がフレネルレンズ又はバイナリーレンズ等の回折レンズである場合には、アクチュエータ部35の変位量が小さくても必要な焦点距離変調量を確保することができる。
【0029】
ブロック光源部4は、レンズ部3の焦点距離の変化と同期するようにマトリクス状に配置された複数の領域の点灯又は非点灯の切り替えを行うことで、複数の領域の各々を順に点灯させる。
ブロック光源部4には、LD(Laser Diode)又はOLED(Organic Light Emitting Diode)を含む。
【0030】
図3は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の光学系を示す図である。
ブロック光源部4は、固定されたパネル位置に配置されている。
ブロック光源部4には、光源として第1のLED41及び第2のLED42が示されている。
ブロック光源部4では、第2のLED42及び第1のLED41が、この順に点灯する。
第2のLED42からの光は、レンズ部3で屈折されて第2の実像位置(第2の焦点面)に実像を形成し、第2の実像位置に形成された実像は、瞳孔から観察者の目に入り、網膜に結像される。
その後、第1のLED41からの光は、レンズ部3で屈折されて第1の実像位置(第1の焦点面)に実像を形成し、第1の実像位置に形成された実像は、瞳孔から観察者の目に入り、網膜に結像される。
ここで、レンズ部3の焦点距離は連続的に変調するため、第1の焦点面と第2の焦点面とは異なる面であり、第1の実像位置と第2の実像位置とは異なる。
なお、ブロック光源部4に代えて、レーザ光源を用いたディスプレイが用いられてもよい。
レーザ光源を用いたディスプレイとしては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラープロジェクターを例示することができる。
【0031】
図4は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の制御部10と、各構成と、を示す図である。
図4に示す制御部10は、T-CON11と、アクチュエータ駆動部12と、LCD駆動部13と、LED制御部14と、LED駆動部15と、を備える。
T-CON11は、タイミングコントローラであり、空間光変調器2、レンズ部3及びブロック光源部4は、T-CON11を介して互いに同期される。
アクチュエータ駆動部12、LCD駆動部13、LED制御部14及びLED駆動部15は、T-CON11からの指令に従って動作する。
アクチュエータ駆動部12は、Actuator端子[0]~[p]を介してアクチュエータ部35に信号を出力する。
LCD駆動部13のゲート駆動部130は、Gate端子[0]~[m]を介して空間光変調器2にゲート信号を出力する。
LCD駆動部13のソース駆動部131は、Source端子[0]~[n]を介して空間光変調器2にソース信号を出力する。
LED制御部14は、Row端子[0]~[j]を介してブロック光源部4に列方向の信号を出力する。
LED駆動部15は、Column端子[0]~[i]を介してブロック光源部4に行方向の信号を出力する。
【0032】
図5は、
図4に示すT-CON11を示す機能ブロック図である。
図5に示すT-CON11は、ブロック深さ計算部111と、タイミング計算部112と、を備える。
ブロック深さ計算部111は、3次元イメージデータ(x,y,z)に基づいて立体表示用画像のブロック深さを計算し、2次元イメージデータ(n,m)及び深さマップ(i,j,z)を出力する。
2次元イメージデータ(n,m)は、LCD駆動部13に入力される。
タイミング計算部112は、深さマップ(i,j,z)に基づいてタイミングを計算し、LCDの駆動タイミングと、LEDタイミングマップ(i,j,t)と、振動タイミング(l,t)と、を出力する。
LCDの駆動タイミングは、LCD駆動部13に入力され、LCD駆動部13は、2次元イメージデータ(n,m)及びLCDの駆動タイミングに従って動作する。
LEDタイミングマップ(i,j,t)は、LED駆動部15に入力され、LED駆動部15は、LEDタイミングマップ(i,j,t)に従って動作する。
振動タイミング(l,t)は、アクチュエータ駆動部12に入力され、アクチュエータ駆動部12は、振動タイミング(l,t)に従って動作する。
【0033】
図6(A)は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の展開図であり、
図6(B)は、レンズ部3を示す斜視図であり、
図6(C)は、レンズ部3の中心部であるレンズ中心部30についての展開図である。
また、
図7(A)は、レンズ部3を示す上面図であり、
図7(B)は、レンズ部3を示す側面図であり、
図7(C)は、レンズ部3の断面を示すための斜視図であり、
図7(D)は、
図7(C)のA-A’における断面図である。
【0034】
空間光変調器2は、LCD20と、拡散板21と、を備える。
レンズ部3は、透光性カバー部31,32と、レンズ中心部30と、透光性カバー部31とレンズ中心部30との間に配置されるシール部310と、透光性カバー部32とレンズ中心部30との間に配置されるシール部320と、を備える。
レンズ中心部30は、側壁部33により囲まれた空間に配置される浸液34と、所定の間隔で側壁部33に接続されて変位させる複数のアクチュエータ350と、複数のアクチュエータ350を外側から支持する外側壁部36と、を備える。
なお、浸液34が配置される空間は、互いに対向する透光性カバー部31と透光性カバー部32とによって挟まれている。
ブロック光源部4は、LED40と、反射板43と、を備える。
【0035】
図8は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の機能ブロック図である。
アクチュエータ駆動部12は、T-CON11からの指令に従って、レンズ部3の複数のアクチュエータ350の各々に駆動信号を出力する。
【0036】
LCD駆動部13は、ゲート駆動部130と、ソース駆動部131と、を備える。
ゲート駆動部130は、T-CON11からの指令に従って、空間光変調器2のLCD20の複数のゲート(Gate)線の各々にゲート信号を出力する。
ソース駆動部131は、T-CON11からの指令に従って、空間光変調器2のLCD20の複数のソース(Source)線の各々にソース信号を出力する。
空間光変調器2のLCD20は、ゲート信号及びソース信号によって制御されて、ブロック光源部4からの光の透過又は非透過を切り替える。
【0037】
LED制御部14は、T-CON11からの指令に従って、ブロック光源部4の複数の列(row)方向の配線の各々に信号を出力する。
LED駆動部15は、T-CON11からの指令に従って、ブロック光源部4の複数の行(Column)方向の配線の各々に信号を出力する。
ブロック光源部4のLED40は、列方向の配線及び行方向の配線の信号によって制御されて、白色光の点灯又は非点灯を切り替える。
【0038】
図9は、本実施形態に係る立体映像表示装置1の空間光変調器2とブロック光源部4との平面構成を示す図である。
空間光変調器2とブロック光源部4とは重畳して配置されている。
ブロック光源部4の1ブロック光源に対応して、空間光変調器2の画素が3行×3列でマトリクス状に設けられている。
空間光変調器2の各画素は、赤(R),緑(G),青(B)の副画素を含む。
空間光変調器2の画素は、(n+1)行×(m+1)列でマトリクス状に設けられている。
ブロック光源部4のブロック光源は、白色光を発し、(i+1)行×(j+1)列でマトリクス状に設けられている。
【0039】
図10は、
図9に示す空間光変調器2及びブロック光源部4を備える立体映像表示装置1の第1のタイミングチャートである。
水平同期信号(HSYNC)の1パルス期間には、1水平サイクル期間(H_Cycle)に水平方向画素データ(H_DISP)が書き込まれる。
水平方向画素データ(H_DISP)には、画素データ(pixel data)D1~Dnが含まれる。
なお、水平方向画素データ(H_DISP)の各々の間には、ダミー(Dummy)の画素データが配されている。
垂直同期信号(VSYNC)の1パルス期間には、1垂直サイクル期間(V_Cycle)に垂直方向画素データ(V_DISP)が書き込まれる。
垂直方向画素データ(V_DISP)には、線データ(Line data)のパルスL0~Lmが供給される。
【0040】
図11は、
図9に示す空間光変調器2及びブロック光源部4を備える立体映像表示装置1の第2のタイミングチャートである。
図11には、レンズ部3の焦点距離(Focal length)の変化も示されている。
レンズ部3の焦点距離は、レンズ部3の1サイクル期間τにおいて、レンズ部3に近い(near)側からレンズ部3に遠い(far)側まで変化する。
空間光変調器2の1フレーム期間Tと、レンズ部3の1サイクル期間τとの間には、T=2τの関係がある。
各ブロック光源であるLEDは、第0列のLED(0,0)~LED(i,0)から第j列のLED(0,j)~LED(i,j)まで、空間光変調器2において書き込み(writing)期間の列を避けてブロック光源部4からの光が照射されるように発光可能期間(usable period)が設定されることで、列毎に発光が制御される。
各LEDはV_DISPの期間に1つのパルスを受信し、そのパルスは画像の深さに対応する。
【0041】
図10,11に示すように、レンズ部3の焦点距離の変調サイクルを空間光変調器2の書き換えサイクルよりも早くすることで、空間光変調器2の書き換え中のラインを避けてブロック光源部4を点灯させることができる。
【0042】
また、
図9~11に示すように、ブロック光源部4の各LEDを高速に制御することで、空間光変調器2のフレームレートを維持しつつ多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像を表示することができる。
そのため、空間光変調器2として高速なDMDを用いることなく、LCDを用いても多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像を表示することが可能になる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示画像の2次元解像度への影響を低減しつつ、輻輳調節矛盾を解消又は低減した多視点の裸眼両眼視が可能な立体映像表示装置を実現することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、一対の透光性カバー部31,32を円形としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
一対の透光性カバー部31,32を方形としてもよい。
【0045】
なお、本実施形態におけるレンズ部3は、可変焦点音響光学レンズとも呼ぶことができる。
可変焦点音響光学レンズとは、音波による屈折率変調で焦点が可変とされるレンズをいう。
また、空間光変調器2は、ディスプレイパネルと呼ぶことができ、ブロック光源部4はバックライトと呼ぶことができる。
すなわち、本発明の一態様は、可変焦点音響光学レンズと、複数のLEDを含むバックライトと、可変焦点音響光学レンズとバックライトとの間に配置され、マトリクス状に配置された複数の画素を含むディスプレイパネルと、を備える立体映像表示装置である。
また、可変焦点音響光学レンズは、浸液を備え、複数のアクチュエータが浸液を囲んでいる構成とすることができる。
【0046】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0047】
1 立体映像表示装置
10 制御部
11 T-CON
111 ブロック深さ計算部
112 タイミング計算部
12 アクチュエータ駆動部
13 LCD駆動部
130 ゲート駆動部
131 ソース駆動部
14 LED制御部
15 LED駆動部
2 空間光変調器
20 LCD
21 拡散板
3 レンズ部
30 レンズ中心部
31,32 透光性カバー部
310,320 シール部
33 側壁部
34 浸液
35 アクチュエータ部
350 アクチュエータ
36 外側壁部
4 ブロック光源部
40 LED
41 第1のLED
42 第2のLED
43 反射板