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特開2023-94106切替制御装置、電流制御装置、蓄電装置、電力授受システム、電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094106
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】切替制御装置、電流制御装置、蓄電装置、電力授受システム、電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230628BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230628BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209376
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】510078160
【氏名又は名称】NExT-e Solutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 文昭
(72)【発明者】
【氏名】八木 毅
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA03
5G503CA08
5G503CA12
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA02
5G503EA05
5G503FA06
5G503GA01
5G503GA12
5G503GA13
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切替制御装置、電流制御装置、蓄電装置、電力授受システム及び電力システムを提供する。
【解決手段】蓄電システムにおいて、蓄電装置(蓄電モジュール110)の蓄電部210と、蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える切替部230の動作を制御するモジュール制御部240は、蓄電部の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する充電状態判定部と、蓄電部の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合に、蓄電部及び電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力し、第1信号出力部が第1信号を出力した後、蓄電部及び電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立している場合に、蓄電部及び電力端子を電気的に切断するための第2信号を、切替装置に出力する信号生成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の蓄電部と、前記蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える切替装置の動作を制御する切替制御装置であって、
前記蓄電部の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する第1判定部と、
前記蓄電部の電圧が前記第1閾値に到達したと判定された場合に、前記蓄電部及び前記電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力する第1信号出力部と、
前記第1信号出力部が前記第1信号を出力した後、前記蓄電部及び前記電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立している場合に、前記蓄電部及び前記電力端子を電気的に切断するための第2信号を、前記切替装置に出力する第2信号出力部と、
を備える、切替制御装置。
【請求項2】
前記蓄電部は、直列に接続された複数の蓄電セルを有し、
前記第1判定部は、前記複数の蓄電セルの少なくとも1つの電圧が前記第1閾値に到達した場合に、前記蓄電部の電圧が前記第1閾値に到達したと判定し、
前記第1閾値は、(i)前記少なくとも1つの蓄電セルの満充電電圧から予め定められた値を引いた値、又は、(ii)前記少なくとも1つの蓄電セルの放電終止電圧に予め定められた値を加えた値である、
請求項1に記載の切替制御装置。
【請求項3】
前記切断許可条件は、
(i)前記第1信号出力部が前記第1信号を出力した後、予め定められた時間が経過したという条件、
(ii)前記第1信号出力部が前記第1信号を出力した後、前記切替装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための処理が実行されたという条件、
(iii)前記第1信号出力部が前記第1信号を出力し、且つ、前記切替装置を流れる電流の大きさが前記第2閾値よりも小さいという条件、及び、
(iv)前記第1信号出力部が前記第1信号を出力し、且つ、前記蓄電部及び前記電力端子を電気的に切断することが禁止されていない、又は、前記蓄電部及び前記電力端子を電気的に切断することが許可されているという条件、
の少なくとも1つを含む、
請求項1又は請求項2に記載の切替制御装置。
【請求項4】
前記第1信号出力部が前記第1信号を出力した場合に、前記切替装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、前記切替装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置に出力する第3信号出力部、
をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の切替制御装置。
【請求項5】
前記調整装置は、(i)片方向若しくは双方向のDC/DCコンバータ、(ii)片方向若しくは双方向のDC/ACインバータ、又は、(iii)オン/オフスイッチであり、
前記調整装置の電力端子は、前記蓄電装置の前記電力端子と電気的に接続される、
請求項4に記載の切替制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の切替制御装置と、
前記蓄電部と、
前記電力端子と、
を備える、蓄電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電装置と、
前記蓄電装置とは異なる他の電力授受装置と、
前記蓄電装置と、前記他の電力授受装置とを並列に接続するための配線と、
を備える、電力授受システムであって、
前記蓄電装置は、前記配線に対して着脱自在に構成される、
電力授受システム。
【請求項8】
蓄電装置と、前記蓄電装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置とが電気的に切断されることを予告するための第1信号を受信した場合に、前記蓄電装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、前記調整装置に出力する第3信号出力部、
を備える、電流制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電流制御装置と、
前記蓄電装置と、
前記蓄電装置とは異なる他の電力授受装置と、
前記蓄電装置と、前記他の電力授受装置とを並列に接続するための配線と、
前記調整装置と、
を備える、電力授受システムであって、
前記蓄電装置は、
前記配線に対して着脱自在に構成され、
前記調整装置を介して、前記電力授受システムの外部に配される外部機器との間で電力を授受する、
電力授受システム。
【請求項10】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の切替制御装置をさらに備える、
請求項9に記載の電力授受システム。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の電力授受システムを複数備える電力システムであって、
前記第1信号は、複数の前記電力授受システムに含まれる第1電力授受システムの前記蓄電装置及び前記調整装置が電気的に切断されることを予告するための信号であり、
前記第1電力授受システムの前記電流制御装置は、
複数の前記電力授受システムに含まれる少なくとも1つの第2電力授受システムの状態に基づいて、前記第1電力授受システムの出力電流の大きさを前記第2閾値よりも小さくしてよいか否かを判定する第2判定部、
をさらに有し、
前記第1電力授受システムの前記第3信号出力部は、前記第2判定部が前記第1電力授受システムの出力電流の大きさを前記第2閾値よりも小さくしてよいと判定した場合に、前記第3信号を出力し、
前記少なくとも1つの第2電力授受システムのそれぞれは、前記第1電力授受システムとは異なる電力授受システムである、
電力システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2電力授受システムの前記電流制御装置は、
前記第2判定部が前記第1電力授受システムの出力電流の大きさを前記第2閾値よりも小さくしてよいと判定した場合に、前記少なくとも1つの第2電力授受システムの出力電流の大きさを増加させるための第4信号を、前記少なくとも1つの第2電力授受システムの前記調整装置に出力する第4信号出力部、
をさらに備える、
請求項11に記載の電力システム。
【請求項13】
蓄電装置の蓄電機器と、前記蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える切替装置の制御方法であって、
前記蓄電機器の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する第1判定段階と、
前記蓄電機器の電圧が前記第1閾値に到達したと判定された場合に、前記蓄電機器及び前記電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力する第1信号出力段階と、
前記第1信号出力段階において前記第1信号が出力された後、前記蓄電機器及び前記電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立した場合に、前記蓄電機器及び前記電力端子を電気的に切断するための第2信号を、前記切替装置に出力する第2信号出力段階と、
を有する、制御方法。
【請求項14】
蓄電装置と、前記蓄電装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置とが電気的に切断されることを予告するための第1信号を受信した場合に、前記蓄電装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、前記調整装置に出力する第3信号出力段階、
を有する、制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項13又は請求項14に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替制御装置、電流制御装置、蓄電装置、電力授受システム、電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電モジュールを備えた蓄電システムにおいて、当該蓄電モジュールが並列に接続される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献2には、蓄電モジュールを活性挿抜することのできる蓄電システムが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開平11-98708号公報
[特許文献2]国際公開第2017/086349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、蓄電システムの大規模化に伴い、蓄電モジュールの高電圧化が進んでいる。蓄電モジュールの蓄電電圧が大きくなると、蓄電モジュールに電流が流れている状態でコンタクタ又はリレーを操作して、当該蓄電モジュールと、蓄電システムとを電気的に切断するときに、当該コンタクタ又はリレーの内部でアーク放電が発生する。アーク放電は、コンタクタ又はリレーの故障の原因となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、切替制御装置が提供される。上記の切替制御装置は、例えば、切替装置の動作を制御する。上記の切替制御装置において、切替装置は、例えば、蓄電装置の蓄電部と、前記蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える。上記の切替制御装置は、例えば、蓄電部の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する第1判定部を備える。上記の切替制御装置は、例えば、蓄電部の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合に、蓄電部及び電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力する第1信号出力部を備える。上記の切替制御装置は、例えば、第1信号出力部が第1信号を出力した後、蓄電部及び電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立している場合に、蓄電部及び電力端子を電気的に切断するための第2信号を、切替装置に出力する第2信号出力部を備える。
【0005】
上記の切替制御装置において、蓄電部は、直列に接続された複数の蓄電セルを有してよい。上記の切替制御装置において、第1判定部は、複数の蓄電セルの少なくとも1つの電圧が第1閾値に到達した場合に、蓄電部の電圧が第1閾値に到達したと判定してよい。上記の切替制御装置において、第1閾値は、(i)少なくとも1つの蓄電セルの満充電電圧から予め定められた値を引いた値、又は、(ii)少なくとも1つの蓄電セルの放電終止電圧に予め定められた値を加えた値であってよい。
【0006】
上記の切替制御装置において、切断許可条件は、(i)第1信号出力部が第1信号を出力した後、予め定められた時間が経過したという条件、(ii)第1信号出力部が第1信号を出力した後、切替装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための処理が実行されたという条件、(iii)第1信号出力部が第1信号を出力し、且つ、切替装置を流れる電流の大きさが第2閾値よりも小さいという条件、及び、(iv)第1信号出力部が第1信号を出力し、且つ、蓄電部及び電力端子を電気的に切断することが禁止されていない、又は、蓄電部及び電力端子を電気的に切断することが許可されているという条件の少なくとも1つを含んでよい。
【0007】
上記の切替制御装置は、第1信号出力部が第1信号を出力した場合に、切替装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、切替装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置に出力する第3信号出力部を備えてよい。上記の切替制御装置において、調整装置は、(i)片方向若しくは双方向のDC/DCコンバータ、(ii)片方向若しくは双方向のDC/ACインバータ、又は、(iii)オン/オフスイッチであってよい。上記の切替制御装置において、調整装置の電力端子は、蓄電装置の電力端子と電気的に接続されてよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、蓄電装置が提供される。上記の蓄電装置は、例えば、上記の第1の態様に係る切替制御装置を備える。上記の蓄電装置は、例えば、蓄電部を備える。上記の蓄電装置は、例えば、電力端子を備える。
【0009】
本発明の第3の態様においては、電力授受システムが提供される。上記の電力授受システムは、例えば、上記の第2の態様に係る蓄電装置を備える。上記の電力授受システムは、例えば、蓄電装置とは異なる他の電力授受装置を備える。上記の電力授受システムは、例えば、蓄電装置と、他の電力授受装置とを並列に接続するための配線を備える上記の電力授受システムにおいて、蓄電装置は、例えば、配線に対して着脱自在に構成される。
【0010】
本発明の第4の態様においては、電流制御装置が提供される。上記の電流制御装置は、例えば、蓄電装置と、蓄電装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置とが電気的に切断されることを予告するための第1信号を受信した場合に、蓄電装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、調整装置に出力する第3信号出力部を備える。
【0011】
本発明の第5の態様においては、電力授受システムが提供される。上記の電力授受システムは、例えば、上記の第4の態様に係る電流制御装置を備える。上記の電力授受システムは、例えば、蓄電装置を備える。上記の電力授受システムは、例えば、蓄電装置とは異なる他の電力授受装置を備える。上記の電力授受システムは、例えば、蓄電装置と、他の電力授受装置とを並列に接続するための配線を備える。上記の電力授受システムは、例えば、調整装置を備える。
【0012】
上記の電力授受システムにおいて、蓄電装置は、例えば、配線に対して着脱自在に構成される。蓄電装置は、例えば、調整装置を介して、電力授受システムの外部に配される外部機器との間で電力を授受する。上記の電力授受システムは、上記の第1の態様に係る切替制御装置を備えてよい。
【0013】
本発明の第6の態様においては、電力システムが提供される。上記の電力システムは、例えば、上記の第5の態様に係る電力授受システムを複数備える。上記の電力システムにおいて、第1信号は、例えば、複数の電力授受システムに含まれる第1電力授受システムの蓄電装置及び調整装置が電気的に切断されることを予告するための信号である。上記の電力システムにおいて、第1電力授受システムの電流制御装置は、例えば、複数の電力授受システムに含まれる少なくとも1つの第2電力授受システムの状態に基づいて、第1電力授受システムの出力電流の大きさを第2閾値よりも小さくしてよいか否かを判定する第2判定部を有する。上記の電力システムにおいて、第1電力授受システムの第3信号出力部は、例えば、第2判定部が第1電力授受システムの出力電流の大きさを第2閾値よりも小さくしてよいと判定した場合に、第3信号を出力する。上記の電力システムにおいて、少なくとも1つの第2電力授受システムのそれぞれは、例えば、第1電力授受システムとは異なる電力授受システムである。
【0014】
上記の電力システムにおいて、少なくとも1つの第2電力授受システムの電流制御装置は、第2判定部が第1電力授受システムの出力電流の大きさを第2閾値よりも小さくしてよいと判定した場合に、少なくとも1つの第2電力授受システムの出力電流の大きさを増加させるための第4信号を、少なくとも1つの第2電力授受システムの調整装置に出力する第4信号出力部を備えてよい。
【0015】
本発明の第7の態様においては、切替装置の制御方法が提供される。上記の切替装置は、例えば、蓄電装置の蓄電機器と、蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える。上記の制御方法は、例えば、蓄電機器の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する第1判定段階を有する。上記の制御方法は、例えば、蓄電機器の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合に、蓄電機器及び電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力する第1信号出力段階を有する。上記の制御方法は、例えば、第1信号出力段階において第1信号が出力された後、蓄電機器及び電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立した場合に、蓄電機器及び電力端子を電気的に切断するための第2信号を、切替装置に出力する第2信号出力段階を有する。
【0016】
本発明の第8の態様においては、制御方法が提供される。上記の制御方法は、例えば、蓄電装置と、蓄電装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置とが電気的に切断されることを予告するための第1信号を受信した場合に、蓄電装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、調整装置に出力する第3信号出力段階を有する。
【0017】
本発明の第9の態様においては、プログラムが提供される。上記のプログラムは、コンピュータを、上記の第1の態様に係る切替制御装置として機能させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムは、コンピュータを、上記の第4の態様に係る電流制御装置として機能させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムは、コンピュータに、上記の第7の態様又は第8の態様に係る制御方法を実行させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供されてもよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】蓄電システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。
図2】蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。
図3】モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。
図4】システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。
図5】蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。
図6】モジュール制御部240の回路構成の一例を概略的に示す。
図7】放電防止回路720の回路構成の一例を概略的に示す。
図8】蓄電システム100の動作の一例を概略的に示す。
図9】蓄電モジュール110の動作及び情報処理の一例を概略的に示す。
図10】蓄電モジュール110の動作及び情報処理の一例を概略的に示す。
図11】蓄電モジュール110の動作及び情報処理の他の例を概略的に示す。
図12】大規模電力システム1200のシステム構成の一例を概略的に示す。
図13】大規模電力システム1200の動作の一例を概略的に示す。
図14】コンピュータ3000のシステム構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0021】
また、「電気的に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。特定の要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、特定の要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、特定の要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正部とが電気的に接続されたときに、特定の要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直列に電気的に接続されることを示し、「並列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが並列に電気的に接続されることを示す。
【0022】
(蓄電システム100の概要)
図1は、蓄電システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。一実施形態において、蓄電システム100は、負荷装置12に電気的に接続され、負荷装置12に電力を供給する(蓄電システム100の放電と称される場合がある)。他の実施形態において、蓄電システム100は、充電装置14に電気的に接続され、電気エネルギーを蓄積する(蓄電システム100の充電と称される場合がある)。蓄電システム100は、例えば、蓄電装置、電気機器、輸送装置などに利用される。輸送装置としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどが例示される。
【0023】
本実施形態において、蓄電システム100は、例えば、接続端子102と、接続端子104と、配線106と、複数の蓄電モジュール110と、充放電制御装置120と、システム制御部140とを備える。複数の蓄電モジュール110のそれぞれは、正極端子112及び負極端子114を有する。本実施形態において、蓄電システム100は、例えば、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を備える。
【0024】
本実施形態において、接続端子102及び接続端子104は、蓄電システム100と、負荷装置12又は充電装置14とを電気的に接続する。本実施形態において、配線106は、接続端子102及び接続端子104を電気的に接続する。本実施形態において、配線106の一方の端部は、充放電制御装置120を介して、接続端子102と電気的に接続される。配線106の一方の端部は、充放電制御装置120を介して、接続端子104と電気的に接続される。本実施形態において、配線106は、接続端子102及び接続端子104に対して、複数の蓄電モジュール110を並列に接続する。
【0025】
本実施形態において、複数の蓄電モジュール110のそれぞれは、例えば、配線106に対して着脱自在に構成される。これにより、複数の蓄電モジュール110のそれぞれが、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持され得る。本実施形態において、蓄電システム100のユーザは、複数の蓄電モジュール110のそれぞれを個別に交換することができる。
【0026】
本実施形態において、蓄電モジュール110は、充放電制御装置120を介して、蓄電システム100の外部に配される負荷装置12又は充電装置14との間で、電力を授受する。蓄電システム100が負荷装置12に電力を供給する場合、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの出力電力の合計が、蓄電システム100の出力電力となる。蓄電システム100が充電装置14から電力を受領する場合、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの入力電力の合計が、蓄電システム100の入力電力となる。
【0027】
本実施形態において、複数の蓄電モジュール110のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールに配された蓄電部(図示されていない。)と、配線106との電気的な接続状態(単に、接続関係と称される場合がある。)を切り替えることができる。例えば、複数の蓄電モジュール110のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号、又は、ユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させたり、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106から電気的に切断したりすることができる。
【0028】
これにより、蓄電システム100に新たに実装される蓄電モジュール110の電圧と、蓄電システム100に既に実装されている蓄電モジュール110の電圧とが異なる場合であっても、蓄電システム100のユーザは、蓄電モジュール110の破損又は劣化を心配することなく、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のそれぞれを、個別に交換することができる。蓄電システム100のユーザは、例えば、以下の手順により、蓄電モジュール110を交換することができる。
【0029】
まず、ユーザは、古い蓄電モジュール110を、蓄電システム100から取り外す。次に、ユーザは、新しい蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する。例えば、ユーザは、蓄電モジュール110の正極端子112と蓄電部との間に配されたスイッチング素子(図示されていない。)を手動で操作して、正極端子112と蓄電部とを電気的に切断する。
【0030】
スイッチング素子の種類は特に限定されない。スイッチング素子は、半導体スイッチであってもよく、コンタクタであってもよく、リレーであってもよい。
【0031】
その後、ユーザは、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断された状態の蓄電モジュール110を、蓄電システム100に実装する。このとき、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断されている。そのため、蓄電システム100に新たに実装された蓄電モジュール110と、蓄電システム100に既に実装されていた蓄電システム100との間の電圧差が比較的大きくても、新たに実装された蓄電モジュール110と、既に実装されていた蓄電システム100との間で大きな電流が流れることが防止される。
【0032】
その後、新たに実装された蓄電モジュール110と、既に実装されていた蓄電システム100との電圧差が適切な値になると、システム制御部140が、新たに実装された蓄電モジュール110と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。なお、システム制御部140の詳細については後述される。
【0033】
以上のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電システム100のユーザが蓄電モジュール110を交換又は実装する場合に、新たに蓄電システム100に実装される蓄電モジュール110の電圧と、既に蓄電システム100に実装されている蓄電モジュール110の電圧とを厳密に調整する必要がない。そのため、蓄電システム100のユーザは、蓄電モジュール110を容易かつ迅速に交換したり、実装したりすることができる。
【0034】
(放電防止制御)
本実施形態において、蓄電モジュール110は、上述されたスイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り替わる(オフ動作と称される場合がある。)ことが予想される場合に、スイッチング素子がオフ動作することを予告するための信号(予告信号と称される場合がある。)を、システム制御部140に出力する。また、蓄電モジュール110は、予告信号を出力した後、スイッチング素子のオフ動作が許可されるための条件(切断許可条件と称される場合がある。)が成立しているか否かを判定する。切断許可条件が成立している場合、蓄電モジュール110は、スイッチング素子をオフ動作させる。
【0035】
切断許可条件は、アーク放電に伴うスイッチング素子の損傷を抑制するための条件であってもよく、アーク放電の発生を防止するための条件であってもよい。切断許可条件の詳細は後述される。
【0036】
本実施形態において、充放電制御装置120は、蓄電システム100の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を制御する。充放電制御装置120は、例えば、システム制御部140からの制御信号に従って、蓄電システム100の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を制御する。
【0037】
これにより、充放電制御装置120は、複数の蓄電モジュール110の少なくとも1つの充放電を制御することができる。また、蓄電モジュール110を流れる電流の大きさが調整され得る。上述されたとおり、蓄電モジュール110は、例えば、蓄電部及びスイッチング素子を備える。そのため、充放電制御装置120が蓄電システム100の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を制御することにより、例えば、蓄電モジュール110に配された蓄電部及び/又はスイッチング素子を流れる電流の大きさが調整され得る。
【0038】
一実施形態において、充放電制御装置120は、蓄電システム100の入力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを調整する。充放電制御装置120は、蓄電システム100への電力の入力を停止してもよい。他の実施形態において、充放電制御装置120は、蓄電システム100の出力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを調整する。充放電制御装置120は、蓄電システム100からの電力の出力を停止してもよい。
【0039】
さらに他の実施形態において、充放電制御装置120は、蓄電システム100に入力された交流電力を直流電力に変換してよい。これにより、直流電力が蓄電モジュール110に供給される。また、充放電制御装置120は、蓄電モジュール110が出力した直流電力を交流電力に変換してもよい。これにより、交流電力が負荷装置12に供給される。
【0040】
充放電制御装置120は、接続端子102と電気的に接続される電力端子(図示されていない。)と、接続端子104と電気的に接続される電力端子(図示されていない。)と、配線106の一端と電気的に接続され電力端子(図示されていない。)と、配線106の他端と電気的に接続される電力端子(図示されていない。)とを備えてよい。
【0041】
充放電制御装置120は、充放電制御装置120を構成する阻止を損壊するほどのアーク放電を発生させることなく、蓄電システム100の入力電力及び/又は出力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを調整することのできる機器であることが好ましい。充放電制御装置120としては、DC/DCコンバータ、DC/ACインバータ、オン/オフスイッチなどが例示される。上記のDC/DCコンバータは、片方向のDC/DCコンバータであってもよく、双方向のDC/DCコンバータであってもよい。上記のDC/ACインバータは、片方向のDC/ACインバータであってもよく、双方向のDC/ACインバータであってもよい。
【0042】
充放電制御装置120は、DC/DCコンバータ、又は、DC/ACインバータであることが好ましい。充放電制御装置120がDC/DCコンバータ、又は、DC/ACインバータである場合、充放電制御装置120が蓄電システム100の入力電力及び/又は出力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを調整するときに、充放電制御装置120を構成する阻止を損壊するほどのアーク放電の発生が防止される。
【0043】
本実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の各部を制御する。例えば、システム制御部140は、蓄電モジュール110の動作を制御する。例えば、システム制御部140は、充放電制御装置120の動作を制御する。上記の制御の詳細は後述される。
【0044】
本実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の各部の状態を管理してよい。一実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の状態を決定する。蓄電システム100の状態としては、充電状態、放電状態、スタンバイ状態又は停止状態などが例示される。他の実施形態において、システム制御部140は、充放電制御装置120の状態を監視する。例えば、システム制御部140は、負荷装置12又は充電装置14から充放電制御装置120に入力される入力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを監視する。例えば、システム制御部140は、充放電制御装置120から負荷装置12に出力される出力電力の電圧及び電流の少なくとも一方の大きさを監視する。
【0045】
さらに他の実施形態において、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの状態を監視する。例えば、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集する。
【0046】
蓄電部の電池特性に関する情報としては、蓄電部の電圧値、蓄電部を流れる電流値、蓄電部の電池容量、蓄電部の温度、蓄電部の劣化状態、及び、蓄電部のSOC(State Of Charge)から選択される少なくとも1つが例示される。蓄電部の電池特性(蓄電モジュール110の電池特性と称される場合がある。蓄電部の電池特性は、蓄電モジュール110を構成する複数の単電池のうちの単一の単電池の電池特性であってもよく、当該複数の単電池の組み合わせの電池特性であってもよい。)に関する情報は、蓄電部の仕様に関する情報、蓄電部の劣化状態に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。
【0047】
蓄電部の仕様に関する情報としては、蓄電部の種類又は型式、蓄電部の接続状態、蓄電部を充電することができる充電方式の種類、蓄電部を充電することができない充電方式の種類、定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)、定格電圧、定格電流、エネルギー密度、最大充放電電流、充電特性、充電温度特性、放電特性、放電温度特性、自己放電特性、充放電サイクル特性、初期状態における等価直列抵抗、初期状態における電池容量、初期状態におけるSOC[%]、蓄電電圧[V]などに関する情報が例示される。充電方式としては、CCCV方式、CC方式、トリクル充電方式などが例示される。
【0048】
蓄電部の接続状態としては、蓄電部を構成する単位セルの種類、当該単位セルの数、当該単位セルの接続形式などが例示される。単位セルの接続形式としては、直列に接続された単位セルの数、並列に接続された単位セルの数などが例示される。エネルギー密度は、体積エネルギー密度[Wh/m]であってもよく、重量エネルギー密度[Wh/kg]であってもよい。
【0049】
蓄電部の劣化状態に関する情報としては、任意の時点における蓄電部の情報であって、(i)満充電状態における電池容量、(ii)予め定められた温度条件におけるSOC[%]、(iii)SOH(State Of Health)、(iv)等価直列抵抗(DCR、内部抵抗と称される場合もある。)、(v)初期状態又は予め定められたタイミングから積算された使用時間、充電回数、充電量、放電量、充放電サイクル数、温度ストレス要素及び過電流ストレス要素の少なくとも1つなどに関する情報が例示される。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の劣化状態に関する情報と、当該情報が取得された時刻に関する情報とが対応付けられた情報であってもよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、複数の時刻における、蓄電部の劣化状態に関する情報を格納してよい。
【0050】
システム制御部140は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を、外部の機器に送信してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などが例示される。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。出力装置としては、ディスプレイなどの表示装置、又は、マイクなどの音声出力装置が例示される。
【0051】
(接続制御)
本実施形態において、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの蓄電部の電圧に基づいて、複数の蓄電モジュール110のそれぞれを配線106に電気的に接続させる順番を決定する。システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの端子間電圧に基づいて、複数の蓄電モジュール110のそれぞれを配線106に電気的に接続させる順番を決定してもよい。
【0052】
例えば、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が充電状態から始まる場合、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のうち、電圧の小さな蓄電モジュール110の蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。一方、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が放電状態から始まる場合、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110のうち、電圧の大きな蓄電モジュール110の蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。
【0053】
一実施形態において、システム制御部140は、蓄電部を配線106に接続させるための信号を、上記のとおり決定された順番に従って、複数の蓄電モジュール110のそれぞれに送信してよい。他の実施形態において、システム制御部140は、電圧若しくはSOCが最も小さな蓄電モジュール110、又は、電圧若しくはSOCが最も大きな蓄電モジュール110を選択して、選択された蓄電モジュールに対してのみ、蓄電部を配線106に接続させるための信号を送信してもよい。
【0054】
(放電防止制御)
本実施形態において、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110の少なくとも1つに配されたスイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り替わる(オフ動作と称される場合がある。)ことが予想される場合に、当該スイッチング素子がオフ動作する前に、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを減少させる。例えば、システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110の少なくとも1つ、又は、複数の蓄電モジュール110の何れか1つが満充電状態又は放電終止状態になることが予想される場合に、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを予め減少させる。システム制御部140は、複数の蓄電モジュール110の少なくとも1つ、又は、複数の蓄電モジュール110の何れか1つから予告信号を受信した場合に、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを予め減少させてよい。
【0055】
システム制御部140は、充放電制御装置120の動作を制御して、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを減少させてよい。一実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを、スイッチング素子の定格電流の1/2以下若しくは1/2未満まで減少させる。システム制御部140は、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを、スイッチング素子の定格電流の1/4以下若しくは1/4未満まで減少させてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを実質的に0にしてもよい。
【0056】
上述されたとおり、スイッチング素子に電流が流れている状態で、スイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り替わる場合、スイッチング素子の内部でアーク放電が発生する可能性がある。例えば、蓄電モジュール110の端子間電圧が100V以上になると、アーク放電が発生しやすくなる。蓄電モジュール110の端子間電圧が750V以上の高圧になると、アーク放電が特に発生しやすくなる。
【0057】
例えば、スイッチング素子を流れる電流の大きさが半分になると、アーク放電により放出されるエネルギーの大きさは1/4になる。そのため、スイッチング素子がオフ動作する前に、当該スイッチング素子を流れる電流の大きさを小さくしておくことで、アーク放電に伴うスイッチング素子の損傷が抑制され得る。また、スイッチング素子を流れる電流の大きさが十分に小さい場合には、アーク放電の発生自体が防止され得る。
【0058】
上述されたとおり、蓄電モジュール110の端子間電圧が100V以上になるとアーク放電が発生しやすくなる。そのため、蓄電モジュール110の端子間電圧が100Vを超える場合、上記の制御は特に効果を奏する。加えて、蓄電モジュール110の端子間電圧が750V以上である場合、蓄電モジュール110の端子間電圧が750Vを超える場合、蓄電モジュール110の端子間電圧が1000V以上である場合、蓄電モジュール110の端子間電圧が1000Vを超える場合、蓄電モジュール110の端子間電圧が1500V以上である場合、又は、蓄電モジュール110の端子間電圧が1500Vを超える場合、上記の制御は極めて大きな効果を奏する。なお、蓄電モジュール110の端子間電圧が100V未満の場合であっても、上記の制御は十分な効果を奏し得る。
【0059】
ところで、アーク放電に伴うスイッチング素子の破損を抑制することを目的として、例えば、スイッチング素子の素材としてSiCが用いられ得る。しかしながら、上記のような高圧の用途においては、スイッチング素子の素材としてSiCが用いられたとしても、当該スイッチング素子の破損を抑制することが難しい。また、スイッチング素子の価格が非常に高額になる。これに対して、本実施形態によれば、アーク放電の発生が抑制されたり、アーク放電により放出されるエネルギーが大きく減少したりする。これにより、スイッチング素子に対して要求される仕様の高度化が抑制される。その結果、上記のスイッチング素子として、例えば、比較的安価な汎用品が採用され得る。また、高価なスイッチング素子が採用された場合であっても、当該素子の損壊が防止され得る。
【0060】
(システム制御部140の具体的な構成の一例)
システム制御部140は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、システム制御部140は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、システム制御部140の各部を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0061】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るシステム制御部140の一部として機能させるプログラムは、システム制御部140の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、システム制御部140の各部としてそれぞれ機能させる。
【0062】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0063】
上記の情報処理としては、電流の大きさを調整する調整装置の制御方法が例示される。上記の制御方法は、例えば、蓄電装置と、蓄電装置を流れる電流の大きさを調整する調整装置とが電気的に切断されることを予告するための第1信号を受信した場合に、蓄電装置を流れる電流の大きさを予め定められた第2閾値よりも小さくするための第3信号を、調整装置に出力する第3信号出力段階を有する。上記の情報処理の各段階の主体は、コンピュータであってよい。
【0064】
負荷装置12は、外部機器の一例であってよい。充電装置14は、外部機器の一例であってよい。蓄電システム100は、電力授受システムの一例であってよい。蓄電モジュール110は、蓄電装置の一例であってよい。蓄電装置は、電力授受装置の一例であってよい。複数の蓄電モジュール110の一部は、蓄電装置の一例であってよい。複数の蓄電モジュール110の他の一部は、他の電力授受装置の一例であってよい。正極端子112は、蓄電装置の電力端子の一例であってよい。負極端子114は、蓄電装置の電力端子の一例であってよい。充放電制御装置120は、調整装置の一例であってよい。システム制御部140は、電流制御装置又は第3信号出力部の一例であってよい。
【0065】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、新たな蓄電モジュール110が蓄電システム100に実装される前に、ユーザが、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する場合を例として、蓄電システム100の一例が説明された。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ユーザは、例えば、蓄電システム100の入力部(図示していない。)を操作して、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を入力する。入力部としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイク、音声認識システム、ジェスチャ入力システムなどが例示される。
【0066】
本実施形態においては、電力を授受可能に構成された電力授受装置の一例として、蓄電モジュール110が用いられる場合を例として、蓄電システム100の一例が説明された。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、電力授受装置は、電力を供給可能に構成された電力供給装置であってもよい。電力供給装置としては、一次電池、燃料電池、発電装置などが例示される。
【0067】
本実施形態においては、システム制御部140が予告信号を受信した場合に、システム制御部140が充放電制御装置120の動作を制御して、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを予め減少させる場合を例として、蓄電システム100の一例が説明された。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、システム制御部140が予告信号を受信した場合、システム制御部140は、充電装置14の動作を制御して、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさを予め減少させてよい。
【0068】
図2は、蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール110は、正極端子212及び負極端子214を有する蓄電部210と、切替部230と、モジュール制御部240と、保護部250と、バランス補正部260とを備える。また、本実施形態において、蓄電部210は、蓄電セル222と、蓄電セル224とを備える。
【0069】
図1に関連して説明されたスイッチング素子は、切替部230の一例であってよい。図1に関連して説明された蓄電部は、蓄電部210の一例であってよい。
【0070】
本実施形態において、蓄電部210は、充放電可能に構成される。蓄電部210のインピーダンスは、1Ω以下であってもよく、100mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、10mΩ以下であってもよく、1mΩ以下であってもよく、0.8mΩ以下であってもよく、0.5mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上であってよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上1Ω以下であってもよく、0.1mΩ以上100mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上10mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上1mΩ以下であってもよい。
【0071】
本実施形態に係る蓄電システム100によれば、例えば、並列に接続された複数の蓄電モジュール110のうちの1つを交換する場合に、蓄電システム100に新たに追加される蓄電モジュール110の電圧と、残りの他の蓄電モジュール110の電圧とを高い精度で一致させなくてもよい。そのため、蓄電部210のインピーダンスが小さい場合であっても、蓄電モジュール110が容易かつ迅速に交換され得る。
【0072】
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は直列に接続される。蓄電セル222及び蓄電セル224は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、リチウムイオン電池であってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、当該蓄電セルの内部に、さらに直列、並列又はマトリクス状に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
【0073】
本実施形態において、切替部230は、正極端子112及び蓄電部210の間に配される。これにより、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間に配される。本実施形態において、切替部230は、正極端子112及び蓄電部210の電気的な接続状態を切り替える。切替部230は、モジュール制御部240が生成した信号(切替制御信号と称される場合がある。)に基づいて、正極端子112及び蓄電部210の電気的な接続状態を切り替えてよい。
【0074】
具体的には、切替部230は、正極端子112及び蓄電部210が電気的に接続された状態(オン状態と称される場合がある。)と、正極端子112及び蓄電部210が電気的に切断された状態(オフ状態と称される場合がある。)とを切り替える。これにより、配線106及び蓄電部210の電気的な接続状態も切り替えられる。
【0075】
上述されたとおり、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着される場合、蓄電モジュール110は、切替部230により蓄電部210と配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100に装着されてよい。これにより、蓄電モジュール110の破損又は劣化が抑制され得る。
【0076】
切替部230は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、1以上の素子を有してよい。切替部230は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、正極端子112及び正極端子212の間、又は、負極端子114及び負極端子214の間に配されてよい。
【0077】
スイッチング素子としては、コンタクタ、リレー、サイリスタ、トランジスタなどが例示される。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。蓄電モジュール110の端子間電圧が750V以上である場合、スイッチング素子は、コンタクタ、リレー、SiCパワー半導体素子であることが好ましい。
【0078】
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電モジュール110の蓄電部210と、配線106との間に流れる電流を制御する。モジュール制御部240は、切替部230の動作を制御してよい。
【0079】
本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230の端子間電圧(本実施形態においては、正極端子112及び正極端子212の間の電圧である。)が予め定められた条件(接続許可条件と称される場合がある。)を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に接続することで、蓄電部210及び配線106を電気的に接続してよい。
【0080】
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合、モジュール制御部240は、切替部230が蓄電部210及び配線106又は正極端子112を電気的に切断するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に切断することで、蓄電部210及び配線106を電気的に切断してよい。
【0081】
接続許可条件は、(i)切替部230の端子間電圧が、蓄電部210及び配線106の電気的な接続が許可される条件に合致するという条件であってもよく、(ii)切替部230の端子間電圧が、蓄電部210及び配線106の電気的な接続が禁止される条件に合致しないという条件であってもよい。接続許可条件は、切替部230の端子間電圧の絶対値が、予め定められた数値範囲(接続許可範囲と称される場合がある。)の範囲内であるという条件であってよい。
【0082】
接続許可範囲は、3V以下であってもよく、1V以下であってもよく、0.1V以下であってもよく、10mV以下であってもよく、1mV以下であってもよい。また、接続許可範囲は、0.5mV以上であってもよく、1mV以上であってもよい。接続許可範囲は、0.5mV以上3V以下であってもよい。接続許可範囲は、1mV以上3V以下であってもよく、1mV以上1V以下であってもよく、1mV以上0.1V以下であってもよく、1mV以上10mV以下であってもよく、10mV以上1V以下であってもよく、10mV以上0.1V以下であってもよく、0.1V以上1V以下であってもよい。なお、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の間の電圧であってもよく、配線106及び蓄電部210の間の電圧であってもよい。
【0083】
接続許可範囲は、蓄電部210のインピーダンスに基づいて設定されてもよい。接続許可範囲は、蓄電部210の定格電流又は許容電流に基づいて設定されてよい。接続許可範囲は、蓄電部210のインピーダンスと、蓄電部210の定格電流又は許容電流とに基づいて設定されてよい。接続許可範囲は、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて設定されてよい。接続許可範囲は、蓄電モジュール110のインピーダンスと、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて設定されてよい。
【0084】
これにより、蓄電モジュールを交換する場合に、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になるまで、配線106と、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部210とが電気的に切断された状態が維持され得る。そして、既に実装されていた蓄電モジュールの充電又は放電により、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になると、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部が配線106に電気的に接続される。このように、本実施形態によれば、新たに実装された蓄電モジュールと、他の蓄電モジュールとが、自動的に電気的に接続され得る。
【0085】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも小さいことを示す信号(最小通知信号と称される場合がある。)を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく充電することができる。
【0086】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも大きいことを示す信号(最大通知信号と称される場合がある。)を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく放電することができる。
【0087】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、切替部230のオフ動作の可否を示す信号(切断制御信号と称される場合がある。)を受信する。切断制御信号としては、切替部230のオフ動作が禁止されていることを示す信号、切替部230のオフ動作が禁止されていないことを示す信号、切替部230のオフ動作が許可されていることを示す信号などが例示される。
【0088】
本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230がオフ動作することが予想される場合に、上述された予告信号を、システム制御部140に出力する。また、モジュール制御部240は、予告信号を出力した後、上述された切断許可条件が成立しているか否かを判定する。切断許可条件が成立している場合、蓄電モジュール110は、切替部230をオフ動作させる。
【0089】
切断許可条件としては、(i)モジュール制御部240が予告信号を出力した後、予め定められた時間が経過したという条件、(ii)モジュール制御部240が予告信号を出力した後、切替部230を流れる電流の大きさを予め定められた値(第2閾値と称される場合がある。)よりも小さくするための処理が実行されたという条件、(iii)モジュール制御部240が予告信号を出力し、且つ、切替部230を流れる電流の大きさが第2閾値よりも小さいという条件、及び、(iv)モジュール制御部240が予告信号を出力し、且つ、切替部230のオフ動作が禁止されていない又は切替部230のオフ動作が許可されているという条件の少なくとも1つが例示される。切替部230のオフ動作が禁止されているか否かは、例えば、上述された切断制御信号に基づいて決定される。
【0090】
モジュール制御部240が、切替部230のオフ動作が禁止されていることを示す切断制御信号を受信した場合、モジュール制御部240は、切替部230のオフ動作が禁止されていると判定してよい。モジュール制御部240が、切替部230のオフ動作が禁止されていないことを示す切断制御信号、若しくは、切替部230のオフ動作が許可されていることを示す切断制御信号を受信した場合、又は、モジュール制御部240が、切替部230のオフ動作が禁止されていることを示す切断制御信号を受信していない場合、モジュール制御部240は、切替部230のオフ動作が禁止されていない又は切替部230のオフ動作が許可されていると判定してよい。
【0091】
本実施形態において、モジュール制御部240は、保護部250から、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを示す信号を受信する。一実施形態において、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が過電圧に関する基準値を超えている場合、モジュール制御部240は、保護部250から、過電圧を示す信号(OVP信号と称される場合がある。)を受信する。他の実施形態において、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が過放電に関する基準値を超えている場合、モジュール制御部240は、保護部250から、過放電を示す信号(UVP信号と称される場合がある。)を受信する。
【0092】
モジュール制御部240は、これらの信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に切断するように、切替部230を制御する。これにより、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は損傷を抑制することができる。
【0093】
本実施形態において、モジュール制御部240は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザから、切替部230をオン動作又はオフ動作させる旨の指示を受け取る。モジュール制御部240は、ユーザの指示を受け取ると、当該指示に従って、切替部230を制御する。
【0094】
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してよい。モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に出力してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などが例示される。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。
【0095】
(モジュール制御部240の具体的な構成の一例)
モジュール制御部240は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、モジュール制御部240は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、モジュール制御部240は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、モジュール制御部240を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0096】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るモジュール制御部240の一部として機能させるプログラムは、モジュール制御部240の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、モジュール制御部240の各部としてそれぞれ機能させる。
【0097】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、非一時なコンピュータ可読媒体であってよい。
【0098】
上記の情報処理としては、切替装置の制御方法であってよい。上記の切替装置は、例えば、蓄電装置の蓄電機器と、前記蓄電装置の電力端子との電気的な接続状態を切り替える。上記の制御方法は、例えば、蓄電機器の電圧が予め定められた第1閾値に到達したか否かを判定する第1判定段階を有する。上記の制御方法は、例えば、蓄電機器の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合に、蓄電機器及び電力端子が電気的に切断されることを予告するための第1信号を出力する第1信号出力段階を有する。上記の制御方法は、例えば、第1信号出力段階において第1信号が出力された後、蓄電機器及び電力端子を電気的に切断することが許可されるための条件である切断許可条件が成立した場合に、蓄電機器及び電力端子を電気的に切断するための第2信号を、切替装置に出力する第2信号出力段階を有する。上記の情報処理の各段階の主体は、コンピュータであってよい。
【0099】
保護部250は、蓄電部210を保護する。本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を過充電及び過放電から保護する。保護部250は、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを検出すると、その旨を示す信号をモジュール制御部240に送信する。保護部250は、蓄電部210の端子間電圧に関する情報(電圧情報と称される場合がある。)をシステム制御部140に送信してよい。
【0100】
保護部250は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。保護部250は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0101】
バランス補正部260は、複数の蓄電セルの電圧を均等化する。バランス補正部260の動作原理は特に限定されるものではなく、任意のバランス補正装置を利用することができる。蓄電部210が3以上の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を有してよい。例えば、蓄電部210がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n-1個のアクティブ方式のバランス補正部260又はn個のパッシブ方式のバランス補正部260を有する。
【0102】
バランス補正部260は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。バランス補正部260は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、バランス補正部260は、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006-067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012-210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。他の実施形態において、バランス補正部260は、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
【0103】
本実施形態において、蓄電部210が直列に接続された2つの蓄電セルを有する場合について説明した。しかしながら、蓄電部210は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された3以上の蓄電セルを有してもよい。また、蓄電部210は、並列に接続された複数の蓄電セルを有してもよく、マトリクス状に接続された複数のセルを有してもよい。
【0104】
蓄電部210は、蓄電部又は蓄電機器の一例であってよい。切替部230は、切替装置の一例であってよい。モジュール制御部240は、切替制御装置の一例であってよい。切替部230のオフ動作は、蓄電部及び電力端子を電気的に切断することの一例であってよい。予告信号は、第1信号の一例であってよい。
【0105】
(別実施形態の一例)
本実施形態において、蓄電モジュール110の蓄電部210の正極端子212は、蓄電モジュール110の切替部230及び正極端子112を介して、蓄電システム100の配線106と電気的に接続される。また、蓄電モジュール110の蓄電部210の負極端子214は、蓄電モジュール110の負極端子114を介して、蓄電システム100の配線106と電気的に接続される。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の切替部230及び負極端子114を介して、蓄電システム100の配線106と電気的に接続される。また、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子112を介して、蓄電システム100の配線106と電気的に接続される。
【0106】
本実施形態においては、蓄電部210の正極端子212は、保護部250が、OVP信号及びUVP信号をモジュール制御部240に送信する場合を例として、蓄電モジュール110の一例が説明された。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、保護部250は、OVP信号及びUVP信号の少なくとも一方を、切替部230に出力してよい。保護部250は、OVP信号及びUVP信号の少なくとも一方を、システム制御部140に出力してもよい。
【0107】
本実施形態においては、システム制御部140が、蓄電システム100に新たに実装された蓄電モジュール110の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とを電気的に接続するための操作を実行する場合を例として、蓄電システム100の一例が説明された。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。
【0108】
他の実施形態において、蓄電システム100を構成する蓄電モジュール110、又は、蓄電システム100に新たに実装される蓄電モジュール110のモジュール制御部240が、システム制御部140の機能の一部を有してよい。例えば、蓄電システム100に新たに実装された蓄電モジュール110のモジュール制御部240が、蓄電モジュール110の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。同様に、システム制御部140が、本実施形態に関連して説明されるモジュール制御部240の機能の一部を有してもよい。
【0109】
図3は、モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部240は、接続判定部310と、受信部320と、信号生成部330とを備える。モジュール制御部240は、モジュール情報取得部340と、モジュール情報格納部350と、モジュール情報送信部360とを備えてもよい。
【0110】
本実施形態において、接続判定部310は、切替部230の端子間電圧が接続許可範囲の範囲内であるか否かを判定する。接続判定部310は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。接続判定部310は、任意の比較器又は比較回路であってもよい。接続判定部310は、ウインドコンパレータであってもよい。
【0111】
本実施形態において、充電状態判定部312は、蓄電部210の電圧が予め定められた値(第1閾値と称される場合がある。)に到達したか否かを判定する。第1閾値は、(i)蓄電部210の満充電電圧から予め定められた値を引いた値、又は、(ii)蓄電部210の放電終止電圧に予め定められた値を加えた値であってよい。
【0112】
第1閾値が、蓄電部210の満充電電圧から予め定められた値を引いた値である場合、例えば、蓄電部210の電圧の現在値が第1閾値よりも小さな値から第1閾値に等しくなったとき、又は、蓄電部210の電圧の現在値が第1閾値よりも小さな値から第1閾値より大きな値になったとき、充電状態判定部312は、蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定する。第1閾値が、蓄電部210の放電終止電圧に予め定められた値を加えた値である場合、例えば、蓄電部210の電圧の現在値が第1閾値よりも大きな値から第1閾値に等しくなったとき、又は、蓄電部210の電圧の現在値が第1閾値よりも大きな値から第1閾値より小さな値になったとき充電状態判定部312は、蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定する。
【0113】
上述されたとおり、本実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された複数の蓄電セルを有する。充電状態判定部312は、複数の蓄電セルの少なくとも1つの電圧が上記の第1閾値に到達した場合に、蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定してよい。この場合、上記の第1閾値は、(i)上記の蓄電セルの満充電電圧から予め定められた値を引いた値、又は、(ii)上記の蓄電セルの放電終止電圧に予め定められた値を加えた値であってよい。蓄電部210に含まれる蓄電セルの電圧が第1閾値に到達したか否は、上述された蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したか否かの判定手順と同様の手順により判定されてよい。
【0114】
充電状態判定部312は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。充電状態判定部312は、任意の比較器又は比較回路であってもよい。充電状態判定部312は、ウインドコンパレータであってもよい。充電状態判定部312は、複数のウインドコンパレータを有してよい。例えば、充電状態判定部312は、満充電を判定するためのウインドコンパレータと、充電状態判定部312は、放電終止を判定するためのウインドコンパレータとを有する。
【0115】
本実施形態において、切断判定部314は、上述された切断許可条件が成立しているか否かを判定する。充電状態判定部312は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。
【0116】
例えば、切断判定部314は、充電状態判定部312から、判定結果を示す情報を取得する。切断判定部314は、充電状態判定部312の判定結果に基づいて、予告信号が出力されるか否かを判定してよい。切断判定部314は、信号生成部330から、予告信号が出力されたことを示す情報、又は、予告信号が出力された時刻を示す情報を取得してもよい。切断判定部314は、保護部250から、蓄電部210及び切替部230を流れる電流の電流値を示す情報を取得してよい。切断判定部314は、システム制御部140からの切断制御信号を取得してよい。切断判定部314は、例えば、これらの情報の少なくとも1つに基づいて、上述された切断許可条件が成立しているか否かを判定する。
【0117】
本実施形態において、受信部320は、システム制御部140からの信号、保護部250からの信号、及び、ユーザからの指示の少なくとも1つを受け取る。受信部320は、受け取った情報に対応する信号を、切断判定部314及び信号生成部330の少なくとも一方に出力する。
【0118】
本実施形態において、信号生成部330は、接続判定部310、受信部320、充電状態判定部312及び切断判定部314の少なくとも1つから各種の情報を取得する。一実施形態において、信号生成部330は、これらの情報に基づいて切替部230を制御するための切替制御信号を生成する。信号生成部330は、生成された切替制御信号を切替部230に出力する。他の実施形態において、信号生成部330は、これらの情報に基づいて予告信号を生成する。信号生成部330は、生成された予告信号をシステム制御部140に出力する。
【0119】
(活性挿抜制御)
一実施形態において、接続判定部310が、切替部230の端子間電圧が接続許可範囲の範囲内であると判定した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。他の実施形態において、接続判定部310が、切替部230の端子間電圧が接続許可範囲の範囲内でないと判定した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。
【0120】
信号生成部330は、接続判定部310が、切替部230の端子間電圧が接続許可範囲の範囲内であるか否かを判定してから予め定められた時間が経過した後、信号を生成又は送信してよい。これにより、ノイズなどによる誤作動を防止することができる。また、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着された直後に、蓄電部210及び配線106が電気的に接続されることを防止することができる。
【0121】
(切替制御)
本実施形態において、信号生成部330は、受信部320が受信した信号に基づいて、切替部230のスイッチング素子を制御するための信号を生成する。一実施形態において、受信部320が、システム制御部140から、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。
【0122】
他の実施形態において、受信部320が、保護部250から、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。さらに他の実施形態において、受信部320が、ユーザの指示を受け付けた場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をユーザの指示どおりに動作させるための信号を生成する。
【0123】
(放電防止制御)
本実施形態において、信号生成部330は、充電状態判定部312の判定結果に基づいて、予告信号を生成する。例えば、蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合、信号生成部330は、予告信号を生成する。信号生成部330は、生成された予告信号をシステム制御部140に出力してよい。
【0124】
本実施形態において、信号生成部330は、切断判定部314の判定結果に基づいて、切替部230をオフ動作させるための切替制御信号を生成する。例えば、信号生成部330は、信号生成部330が予告信号を出力した後、切断許可条件が成立している場合に、切替部230をオフ動作させるための切替制御信号を生成する。信号生成部330は、生成された切替制御信号を切替部230に出力してよい。
【0125】
本実施形態において、モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得する。モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性を測定することにより、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。モジュール情報取得部340は、出荷時、検査時又は販売時に、製造者、販売者などにより入力された、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。
【0126】
モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、モジュール情報格納部350に格納してよい。モジュール情報取得部340の具体的な構成は特に限定されるものではないが、モジュール情報取得部340は、モジュール情報格納部350におけるデータの読み込み及び書き込みを制御するコントローラであってもよい。本実施形態において、モジュール情報格納部350は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を格納する。
【0127】
本実施形態において、モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140に送信する。モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に送信してもよい。モジュール情報送信部360は、外部の機器からの要求に応じて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよく、予め定められたタイミングにおいて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよい。モジュール情報送信部360は、モジュール情報格納部350を参照して、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140又は外部の機器に送信してもよい。
【0128】
充電状態判定部312は、第1判定部の一例であってよい。信号生成部330は、第1信号出力部又は第2信号出力部の一例であってよい。切替部230をオフ動作させるための切替制御信号は、第2信号の一例であってよい。
【0129】
図4は、システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、システム制御部140は、状態管理部410と、モジュール選択部420と、出力変動判定部422と、信号生成部430とを備える。
【0130】
本実施形態において、状態管理部410は、蓄電システム100の状態を管理する。状態管理部410は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの状態を管理してよい。状態管理部410は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの状態を監視してよい。状態管理部410は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれを監視して、複数の蓄電モジュール110のそれぞれの電池特性に関する情報を取得してもよい。状態管理部410は、複数の蓄電モジュール110のそれぞれを監視して得られた情報を、外部の機器に送信してもよい。
【0131】
状態管理部410は、蓄電システム100を運用しながら、各蓄電モジュールの電池特性を測定してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた条件を満足しない場合、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を、ユーザに情報を出力する出力装置に出力してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの識別情報と、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。
【0132】
これにより、ユーザは、性能が不十分である蓄電モジュールを容易に判別し、当該蓄電モジュールを交換することができる。本実施形態によれば、例えば、蓄電モジュールの再利用品を利用して蓄電システム100を構築する場合において、再利用される蓄電モジュールの検査の少なくとも一部を省略することができる。
【0133】
一実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュール110を選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュール110を示す信号を信号生成部430に送信する。
【0134】
他の実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、端子間電圧が最も大きい蓄電モジュール110を選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュール110を示す信号を信号生成部430に送信する。
【0135】
本実施形態において、出力変動判定部422は、蓄電システム100の出力を変動させて良いか否かを判定する。信号生成部430は、予告信号を受信した場合に上記の判定処理を実行してもよく、予告信号とは無関係に上記の判定処理を実行してもよい。出力変動判定部422は、例えば、蓄電システム100の外部に配された他の機器の状態に基づいて、蓄電システム100の出力を変動させて良いか否かを判定する。出力変動判定部422は、判定結果を示す情報を430に出力してよい。
【0136】
本実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュール110に対して、蓄電モジュール110の切替部230をオン動作させるための信号を生成する。信号生成部430は、生成された信号をモジュール制御部240に送信する。他の実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュール110に対して、蓄電モジュール110の切替部230をオフ動作させるための信号を生成してもよい。
【0137】
(放電防止制御)
本実施形態において、信号生成部430は、信号生成部330が予告信号を出力した場合に、蓄電モジュール110又は蓄電モジュール110の切替部230を流れる電流の大きさを、図2のモジュール制御部240に関連して説明された第2閾値よりも小さくするための信号(入出力制御信号と称される場合がある。)を生成する。例えば、信号生成部430は、予告信号を受信した場合に入出力制御信号を生成する。信号生成部430は、生成された入出力制御信号を充放電制御装置120に出力してよい。
【0138】
第2閾値は、切替部230の定格電流の1/2以下又は1/2未満であってもよく、切替部230の定格電流の1/4以下又は1/4未満であってもよい。第2閾値は、0又は実質的に0であってよい。
【0139】
本実施形態において、信号生成部430は、上述された切断制御信号を生成する。信号生成部430は、例えば、出力変動判定部422の判定結果に基づいて、切断制御信号を生成する。信号生成部430は、生成された切断制御信号をモジュール制御部240に出力してよい。
【0140】
一実施形態において、蓄電システム100の出力の変動又は減少が許されると判定された場合、信号生成部430は、切替部230のオフ動作が禁止されていないことを示す切断制御信号、又は、切替部230のオフ動作が許可されていることを示す切断制御信号を生成する。蓄電システム100の出力の変動又は減少が許されないと判定された場合、信号生成部430は、切替部230のオフ動作が禁止されていることを示す切断制御信号を生成する。
【0141】
入出力制御信号は、第3信号の一例であってよい。信号生成部430は、第3信号出力部の一例であってよい。
【0142】
図5は、蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。なお、説明を簡単にする目的で、図5において、保護部250及び保護部250に関連する配線については図示していない。また、説明を簡単にする目的で、図5においては、充電状態判定部312及び切断判定部314に関する説明、並びに、OVP信号及びUVP信号に関する説明が省略される。
【0143】
本実施形態において、切替部230は、トランジスタ510と、抵抗512と、抵抗514と、ダイオード516と、トランジスタ520と、抵抗522と、抵抗524と、ダイオード526とを備える。トランジスタ510及びトランジスタ520は、スイッチング素子の一例であってよい。本実施形態においては、切替部230のスイッチング素子として、トランジスタ510及びトランジスタ520を用いる場合について説明する。しかしながら、切替部230のスイッチング素子は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、切替部230のスイッチング素子として、単一のスイッチング素子が用いられてもよい。
【0144】
本実施形態において、モジュール制御部240は、接続判定部310と、信号生成部330と、スイッチ592及びスイッチ594とを備える。本実施形態において、接続判定部310は、トランジスタ530と、抵抗532と、トランジスタ540と、抵抗542と、抵抗552と、抵抗554とを備える。信号生成部330は、トランジスタ560と、キャパシタ570と、抵抗572と、トランジスタ580とを備える。スイッチ592及びスイッチ594は、受信部320の一例であってよい。
【0145】
次に、切替部230及びモジュール制御部240の各部の詳細について説明する。本実施形態の切替部230において、トランジスタ510はMOSFETであり、トランジスタ510がオフの場合であっても、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子212から正極端子112に向かって電流が流れ得る。同様に、トランジスタ520はMOSFETであり、トランジスタ520がオフの場合であっても、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子112から正極端子212に向かって電流が流れ得る。
【0146】
本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、初期設定ではオフに設定される。蓄電システム100の充電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗512、抵抗514及びトランジスタ580を介して、正極端子112から負極端子114に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ510のゲートに電圧が印加され、トランジスタ510がオン動作する。これにより、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子112から正極端子212に向かって電流を流すことができる。
【0147】
一方、蓄電システム100の放電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗522、抵抗524及びトランジスタ580を介して、正極端子212から負極端子214に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ520のゲートに電圧が印加され、トランジスタ520がオン動作する。これにより、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子212から正極端子112に向かって電流を流すことができる。
【0148】
トランジスタ580がオン動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号の一例であってよい。同様に、トランジスタ580がオフ動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号の一例であってよい。
【0149】
本実施形態において、抵抗512及び抵抗514の値は、トランジスタ510を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。また、抵抗522及び抵抗524の値は、トランジスタ520を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。
【0150】
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード516が配される。ダイオード516は、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード516を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗522、抵抗524、抵抗514及び抵抗512のルートを通って、正極端子212から正極端子112に電流が漏れることを防止することができる。
【0151】
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード526が配される。ダイオード526は、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード526を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗512、抵抗514、抵抗524及び抵抗522のルートを通って、正極端子112から正極端子212に電流が漏れることを防止することができる。
【0152】
本実施形態のモジュール制御部240において、接続判定部310のトランジスタ530及びトランジスタ540は、初期設定ではオフに設定される。また、信号生成部330のトランジスタ560及びトランジスタ580は、初期設定ではオフに設定される。
【0153】
本実施形態によれば、抵抗532の値は、切替部230の端子間電圧が、正極端子112側をプラスとした予め定められた第1の値よりも小さい場合に、トランジスタ530がオン動作するように設定される。抵抗532の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。また、抵抗542の値は、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合に、トランジスタ540がオン動作するように設定される。抵抗542の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。なお、本実施形態によれば、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の電圧差に等しい。
【0154】
切替部230の端子間電圧が予め定められた第1の値よりも小さい場合、トランジスタ530がオン動作して、蓄電部210から、正極端子212、トランジスタ530及び抵抗552を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。トランジスタ580のベースには正極端子112からの電圧が印加されるものの、トランジスタ560がオン動作をしている間、トランジスタ580のオン動作が妨げられる。その結果、トランジスタ580はオフになる。
【0155】
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合、トランジスタ540がオン動作して、正極端子112から、トランジスタ540及び抵抗554を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。その結果、トランジスタ580がオフになる。
【0156】
本実施形態において、抵抗552の値は、トランジスタ530がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。抵抗554の値は、トランジスタ540がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。
【0157】
キャパシタ570の容量は、トランジスタ580のベースに正極端子112からの電圧が印加されて、トランジスタ580がオン動作する前に、トランジスタ560がオン動作するように設定される。これにより、信号生成部330は、接続判定部310が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成することができる。
【0158】
これに対して、切替部230の端子間電圧が、第1の値及び第2の値により定められる範囲内である場合、トランジスタ530及びトランジスタ540はオフのままであり、トランジスタ560もオフのままである。そのため、正極端子112から、抵抗572を介して、トランジスタ580のベースに電圧が印加され、トランジスタ580がオン動作する。
【0159】
スイッチ592及びスイッチ594は、手動スイッチであってもよく、リレー、サイリスタ、トランジスタなどのスイッチング素子であってもよい。スイッチ592には、切替部230をオン動作させることを示す信号52が入力されてよい。スイッチ594には、切替部230をオフ動作させることを示す信号54が入力されてよい。
【0160】
スイッチ592がオン動作すると、トランジスタ580のオン/オフに関わらず、切替部230をオン動作させることができる。スイッチ594がオン動作すると、トランジスタ560のオン/オフに関わらず、トランジスタ580をオフ動作させることができる。その結果、切替部230をオフ動作させることができる。
【0161】
図6は、モジュール制御部240の回路構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部240は、ウインドコンパレータ642と、論理積回路644とを備える。
【0162】
本実施形態において、ウインドコンパレータ642の非反転入力端子には、例えば、正極端子112の電圧が入力されるウインドコンパレータ642の反転入力端子には、例えば、正極端子212の電圧が入力される。これにより、正極端子112及び正極端子212の差が接続許可範囲の範囲内に含まれる場合、ウインドコンパレータ642は論理「H」を出力する。一方、正極端子112及び正極端子212の差が接続許可範囲の範囲内に含まれない場合、ウインドコンパレータ642は論理「L」を出力する。
【0163】
本実施形態において、正極端子112及び正極端子212の差が接続許可範囲の範囲内に含まれ、且つ、モジュール制御部240がOVP信号及びUVP信号を受信していない場合、論理積回路644は、論理「H」を出力する。正極端子112及び正極端子212の差が接続許可範囲の範囲内に含まれない場合、又は、モジュール制御部240がOVP信号及びUVP信号の少なくとも一方を受信している場合いない場合、論理積回路644は論理「L」を出力する。
【0164】
図7は、放電防止回路720の回路構成の一例を概略的に示す。本実施形態によれば、切替部230と並列に放電防止回路720が配される。放電防止回路720は、切替部230におけるアーク放電の発生を防止するための素子又は回路であり、その回路構成は特に限定されない。本実施形態において、放電防止回路720は、RCスナバ回路であり、抵抗722と、コンデンサ724とを備える。スナバ回路は、スイッチの遮蔽に伴って発生する過渡的な高電圧を吸収することができる。これにより、切替部230におけるアーク放電が抑制される。なお、スナバ回路は、図7に示されるRCスナバ回路に限定されるものではなく、公知の任意のスナバ回路が用いられ得る。
【0165】
他の実施形態において、抵抗722と、切替部230の正極端子112の側の端子との間に、スイッチング素子が配されてもよい。コンデンサ724と、切替部230の正極端子212の側の端子との間に、スイッチング素子が配されてもよい。これらのスイッチング素子は、予告信号が出力された場合にオン動作してよい。これらのスイッチング素子は、予告信号が解除された場合又は切断許可条件が成立した場合に、オフ動作してよい。
【0166】
図8図9図10及び図11を用いて、蓄電システム100の動作の一例が説明される。図8は、蓄電システム100の動作の一例を概略的に示す。図9及び図10は、蓄電モジュール110の動作及び情報処理の一例を概略的に示す。図11は、蓄電モジュール110の動作及び情報処理の他の例を概略的に示す。
【0167】
図8に関連して説明される各ステップの詳細は、図9及び図10に関連して説明される。図9及び図11においては、図8に関連して説明された実施形態における各ステップの符号を用いて、蓄電モジュール110の動作及び情報処理が説明される場合がある。
【0168】
図8に示される実施形態においては、満充電時期又は放電終止時期が到達した蓄電モジュール110(対象モジュールと称される場合がある。)が、蓄電システム100から取り外される場合を例として、蓄電システム100の動作の一例が説明される。より具体的には、対象モジュールの取り外しに備えて、対象モジュールの蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とを電気的に切り離すための処理の一例が説明される。
【0169】
本実施形態によれば、まず、ステップ810(ステップがSと省略される場合がある。)において、蓄電システム100は、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、何れか1つの蓄電モジュール110(すなわち、対象モジュールである。)の満充電時期又は放電終止時期が近付いてきたことを検出する。蓄電モジュール110の満充電時期又は放電終止時期が近付いてきたことが検出されると、S812において、蓄電システム100が、予告信号を出力する。
【0170】
予告信号が出力されると、S814において、蓄電システム100が、充放電制御装置120の入出力を停止させる、又は、充放電制御装置120の入出力電流を低下させる。その結果、対象モジュールを流れる電流の大きさも小さくなる。対象モジュールを流れる電流の大きさが十分に小さくなると、S816において、蓄電システム100が、対象モジュールの蓄電部210を蓄電システム100から電気的に切り離す。
【0171】
その後、S818において、蓄電システム100は、充放電制御装置120の入出力を再開させる、又は、充放電制御装置120の入出力電流を元に戻す。これにより、蓄電システム100が対象モジュールを蓄電システム100から切り離すときに、対象モジュールの切替部230におけるアーク放電の発生が抑制される。
【0172】
図9に示されるとおり、S810において、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のそれぞれのモジュール制御部240は、各蓄電モジュールの蓄電部210の電圧を監視する。モジュール制御部240は、蓄電部210に含まれる複数の蓄電セルのそれぞれの電圧を監視してもよい。
【0173】
一実施形態において、対象モジュールのモジュール制御部240は、対象モジュールの蓄電部210の電圧の現在値と、満充電電圧又は放電終止電圧との差の絶対値が、予め定められた値以下になったことを検出する。上記の差の絶対値が、予め定められた値以下になった場合、上記の蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定される。
【0174】
他の実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の複数の蓄電セルの少なくとも1つの電圧の現在値と、満充電電圧又は放電終止電圧との差の絶対値が、予め定められた値以下になったことを検出する。上記の差の絶対値が、予め定められた値以下になった場合、上記の蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定される。
【0175】
上記の蓄電部210の電圧が第1閾値に到達したと判定された場合、S812において対象モジュールのモジュール制御部240が、予告信号をシステム制御部140に出力する。システム制御部140が予告信号を受信すると、S814において、システム制御部140は、充放電制御装置120の入出力を停止させる、又は、充放電制御装置120の入出力電流を低下させるための入出力制御信号(低下信号と称される場合がある。)を生成する。システム制御部140は、生成された入出力制御信号を充放電制御装置120に出力する。
【0176】
これにより、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさが小さくなる。その結果、例えば、対象モジュール又は対象モジュールの切替部230を流れる電流の大きさが第2閾値よりも小さくなる。
【0177】
その後、対象モジュールのモジュール制御部240が予告信号を出力した後、予め定められた時間が経過すると、切断許可条件が成立する。切断許可条件が成立すると、S816において、対象モジュールのモジュール制御部240が、対象モジュールの切替部230をオフ動作させるための切替制御信号を生成する。モジュール制御部240は、生成された切替制御信号を切替部230に出力する。
【0178】
これにより、対象モジュールの蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切り離される。その結果、蓄電システム100のユーザは、満充電時期又は放電終止時期が到来した対象モジュールを、蓄電システム100から取り外すことができるようになる。
【0179】
対象モジュールの蓄電部210が蓄電システム100から電気的に切り離されると、S818において、システム制御部140は、充放電制御装置120の入出力を再開させる、又は、充放電制御装置120の入出力電流を元に戻させるための入出力制御信号(復帰信号と称される場合がある。)を生成する。システム制御部140は、生成された入出力制御信号を充放電制御装置120に出力する。これにより、蓄電システム100に配された複数の蓄電モジュール110のうち、対象モジュール以外の蓄電モジュール110の充放電が再開される。
【0180】
図10は、蓄電システム100の動作の一例を概略的に示す。本実施形態においては、説明を簡単にすることを目的として、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュール110のうちの1つ(対象モジュールと称される場合がある。)の満充電時期が到来する場合を例として、時刻t0から時刻t5までの期間における蓄電システム100の充電動作の一例が説明される。
【0181】
本実施形態においては、説明を簡単にすることを目的として、蓄電システム100の充電方式が定電流方式である場合を例として、蓄電システム100の充電動作の一例が説明される。しかしながら、蓄電システム100の充電方式は定電流方式に限定されない。他の実施形態において、任意の充電方式が採用され得る。
【0182】
本実施形態においては、時刻t0において、全ての蓄電モジュール110の切替部230がオン状態であり、対象モジュールの接続許可範囲の上限が、他の蓄電モジュール110の接続許可範囲の上限よりも小さい場合を例として、蓄電システム100の動作の一例が説明される。この場合、対象モジュールが実質的に満充電状態になると、対象モジュールの蓄電部210が蓄電システム100から電気的に分離される。一方、対象モジュールが実質的に満充電となった後も、上記の他の蓄電モジュール110の充電が継続される。つまり、時刻t0から時刻t5までの期間中、他の蓄電モジュール110の切替部230は、常にオン状態である。
【0183】
図10において、グラフ1020は、(i)対象モジュールの蓄電部210の端子間電圧VBの変動と、(ii)対象モジュールの正極端子112と、充放電制御装置120とを電気的に接続する配線106の電圧(又は電位)VLの変動とを示す。グラフ1030は、対象モジュールが出力する予告信号PFの状態(オン状態又はオフ状態)の変動を示す。グラフ1040は、蓄電システム100の入力電流又は出力電流の大きさILの変動を示す。グラフ1050は、対象モジュールの切替部230の状態(オン状態又はオフ状態)の変動を示す。
【0184】
グラフ1020に示されるとおり、時刻t0から時刻t1までの期間においては、対象モジュールの蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とが電気的に接続されている。そのため、電圧VB及び電圧VLは同一であり、対象モジュールの充電が進むにつれて、電圧VB及び電圧VLも増加する。また、本実施形態において、充電電流の大きさはILOである。
【0185】
グラフ1020に示されるとおり、時刻t1において、VB及びVLが第1閾値VBPに到達する。時刻t1においてVB及びVLが第1閾値VBPに到達すると、グラフ1030に示されるとおり、時刻t1において、予告信号PFが出力される(オン状態になる)。時刻t1において予告信号PFが出力されると、グラフ1040に示されるとおり、時刻t2において、充放電制御装置120の入力電力が0になる。充放電制御装置120の入力電力が0になると、グラフ1050に示されるとおり、時刻t3において、対象モジュールの切替部230がオフ動作する。このとき、切替部230に流れる電流の大きさが0なので、切替部230におけるアーク放電の発生が防止される。
【0186】
対象モジュールの切替部230がオフ動作した後、蓄電システム100の充電を再開させるための処理が実行される。具体的には、グラフ1040に示されるとおり、時刻t4において、充放電制御装置120の動作が再開され、充放電制御装置120の入力電流の大きさがILOに戻る。
【0187】
なお、本実施形態においては、グラフ1030に示されるとおり、時刻t5において、予告信号PFが解除される(オフ状態になる)。しかしながら、予告信号PFが解除されるタイミングは、特に限定されない。予告信号PFが解除されるタイミングは、任意に定められてよい。
【0188】
図11は、蓄電システム100における情報処理の一例を概略的に示す。図11において、図9に関連して説明された手順と同様の手順には、図9において各手順に付された符号と同一の符号が付される。
【0189】
図11に関連して説明される実施形態においては、(a)S812においてモジュール制御部240が予告信号を出力した後、S1116において、モジュール制御部240が、システム制御部140からの切断許可信号を受信するまで、切替部230のオフ動作を待機する点と、(b)S812においてモジュール制御部240が予告信号を出力した後、S1112において、システム制御部140が、入出力電流の停止又は低下が禁止されているか否かを判定する点と、(c)S1112において入出力電流の停止又は低下が禁止されていると判定された場合、S1114において、システム制御部140が、モジュール制御部240に切断禁止信号を出力する点と、(d)S1112において入出力電流の停止又は低下が禁止されていないと判定された場合、S1118において、システム制御部140が、モジュール制御部240に切断許可信号を出力する点とで、図9に関連して説明される実施形態と相違する。その他の特徴について、図11に関連して説明される実施形態は、図9に関連して説明される実施形態と同様の構成を有してよい。
【0190】
図12は、大規模電力システム1200のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、大規模電力システム1200は、正極端子1202と、負極端子1204と、複数の蓄電システム100と、電力ケーブル1212と、電力ケーブル1214と、通信ケーブル1216とを備える。大規模電力システム1200は、正極端子1202及び負極端子1204を介して、外部の機器(例えば、負荷装置12又は充電装置14である。)との間で電力を授受する。
【0191】
本実施形態において、電力ケーブル1212は、複数の蓄電システム100のそれぞれの接続端子102と、大規模電力システム1200の正極端子1202とを電気的に接続する。本実施形態において、電力ケーブル1214は、複数の蓄電システム100のそれぞれの接続端子104と、大規模電力システム1200の負極端子1204とを電気的に接続する。本実施形態において、通信ケーブル1216は、複数の蓄電システム100のそれぞれのシステム制御部140の間で情報を伝達する。
【0192】
上述されたとおり、本実施形態によれば、蓄電システム100に含まれる蓄電モジュール110のうちの少なくとも1つの蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切り離される前に、蓄電システム100の入力電力又は出力電力の大きさが減少する。大規模電力システム1200が使用される環境によっては、大規模電力システム1200の出力変動が制限される場合がある。例えば、大規模電力システム1200の出力変動の大きさを、予め定められた数値範囲の範囲内に抑制することが要求される。
【0193】
本実施形態によれば、複数の蓄電システム100のうちの何れか1つ(対象システムと称される場合がある。)のシステム制御部140が、当該対象システムの充放電制御装置120の出力電流の大きさを第2閾値よりも小さくしてよいと判定した場合、当該対象システムの信号生成部430は、他の蓄電システム100の出力電流の大きさを増加させるための信号(第4信号と称される場合がある。)を、他の蓄電システム100のシステム制御部140又は充放電制御装置120に出力する。上記の第4信号を受信した蓄電システム100のシステム制御部140は、充放電制御装置120を制御して、出力電流の大きさを増加させる。対象システムにおける出力電力又は出力電流の減少量は、他の蓄電システム100における出力電力又は出力電流の増加量の合計値と略一致してよい。これにより、大規模電力システム1200の出力変動が抑制される。
【0194】
システム制御部140の信号生成部430は、第4信号出力部の一例であってよい。大規模電力システム1200は、電力システムの一例であってよい。
【0195】
図13は、大規模電力システム1200の動作の一例を概略的に示す。グラフ1320は、出力電流を減少させる蓄電システム100の出力電流の電流変動1322を示す。グラフ1330は、他の蓄電システム100の出力電流の電流変動1332を示す。グラフ1340は、大規模電力システム1200の出力電流の電流変動1342を示す。図13に示されるとおり、本実施形態によれば、大規模電力システム1200の出力変動が抑制される。
【0196】
図14は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ3000の一例を示す。蓄電システム100の少なくとも一部は、コンピュータ3000により実現されてよい。例えば、蓄電モジュール110の一部が、コンピュータ3000により実現される。例えば、モジュール制御部240の一部が、コンピュータ3000により実現される。例えば、システム制御部140の少なくとも一部が、コンピュータ3000により実現される。
【0197】
コンピュータ3000にインストールされたプログラムは、コンピュータ3000に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ3000に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ3000に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU3012によって実行されてよい。
【0198】
本実施形態によるコンピュータ3000は、CPU3012、RAM3014、GPU3016、及びディスプレイデバイス3018を含み、それらはホストコントローラ3010によって相互に接続されている。コンピュータ3000はまた、通信インタフェース3022、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ3020を介してホストコントローラ3010に接続されている。コンピュータはまた、ROM3030及びキーボード3042のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ3040を介して入出力コントローラ3020に接続されている。
【0199】
CPU3012は、ROM3030及びRAM3014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。GPU3016は、RAM3014内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU3012によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス3018上に表示されるようにする。
【0200】
通信インタフェース3022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ3024は、コンピュータ3000内のCPU3012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ3026は、プログラム又はデータをDVD-ROM3001から読み取り、ハードディスクドライブ3024にRAM3014を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0201】
ROM3030はその中に、アクティブ化時にコンピュータ3000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ3000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ3040はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ3020に接続してよい。
【0202】
プログラムが、DVD-ROM3001又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ3024、RAM3014、又はROM3030にインストールされ、CPU3012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ3000に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ3000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0203】
例えば、通信がコンピュータ3000及び外部デバイス間で実行される場合、CPU3012は、RAM3014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース3022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース3022は、CPU3012の制御の下、RAM3014、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROM3001、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0204】
また、CPU3012は、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026(DVD-ROM3001)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM3014に読み取られるようにし、RAM3014上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU3012は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0205】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU3012は、RAM3014から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM3014に対しライトバックする。また、CPU3012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU3012は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0206】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ3000上又はコンピュータ3000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それにより、上記のプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ3000に提供する。
【0207】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載などから明らかである。
【0208】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0209】
12 負荷装置、14 充電装置、52 信号、54 信号、100 蓄電システム、102 接続端子、104 接続端子、106 配線、110 蓄電モジュール、112 正極端子、114 負極端子、120 充放電制御装置、140 システム制御部、210 蓄電部、212 正極端子、214 負極端子、222 蓄電セル、224 蓄電セル、230 切替部、240 モジュール制御部、250 保護部、260 バランス補正部、310 接続判定部、312 充電状態判定部、314 切断判定部、320 受信部、330 信号生成部、340 モジュール情報取得部、350 モジュール情報格納部、360 モジュール情報送信部、410 状態管理部、420 モジュール選択部、422 出力変動判定部、430 信号生成部、510 トランジスタ、512 抵抗、514 抵抗、516 ダイオード、520 トランジスタ、522 抵抗、524 抵抗、526 ダイオード、530 トランジスタ、532 抵抗、540 トランジスタ、542 抵抗、552 抵抗、554 抵抗、560 トランジスタ、570 キャパシタ、572 抵抗、580 トランジスタ、592 スイッチ、594 スイッチ、642 ウインドコンパレータ、644 論理積回路、720 放電防止回路、722 抵抗、724 コンデンサ、1020 グラフ、1030 グラフ、1040 グラフ、1050 グラフ、1200 大規模電力システム、1202 正極端子、1204 負極端子、1212 電力ケーブル、1214 電力ケーブル、1216 通信ケーブル、1320 グラフ、1322 電流変動、1330 グラフ、1332 電流変動、1340 グラフ、1342 電流変動、3000 コンピュータ、3001 DVD-ROM、3010 ホストコントローラ、3012 CPU、3014 RAM、3016 GPU、3018 ディスプレイデバイス、3020 入出力コントローラ、3022 通信インタフェース、3024 ハードディスクドライブ、3026 DVD-ROMドライブ、3030 ROM、3040 入出力チップ、3042 キーボード
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