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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094115
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】手持ち式装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/02 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
B25J13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209392
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 芳秀
(72)【発明者】
【氏名】大石 桃未
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707JU01
3C707JU14
3C707MS29
3C707MT01
(57)【要約】
【課題】 操作性をさらに向上でき、操作者の負担をさらに軽減できる
【解決手段】 タブレットTを着脱可能に保持するためのタブレットホルダー1において、タブレットTが載置されるベース面20を表側に有するホルダー本体2と、ホルダー本体2の裏側に配置され、操作者が手で把持するための可動式の把持部3とを設ける。把持部3がロック部33および操作スイッチ39、39を有している。
【選択図】 図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を着脱可能に保持するための手持ち式装置であって、
携帯端末が載置されるベース面を表側に有する装置本体と、
前記装置本体の裏側に配置され、操作者が手で把持するための可動式の把持部とを備え、
前記把持部が、携帯端末、携帯端末の操作対象または前記装置本体に対する操作者による操作を受け付けるための操作部を有している、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記把持部がさらにイネーブルスイッチを有しており、前記操作部が前記イネーブルスイッチの近傍に配置されている、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記操作部は、操作者が前記把持部を把持した状態で操作可能な位置に配置されている、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記操作部が、携帯端末または携帯端末の操作対象に対して入力操作を行うための操作入力部である、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記操作部が、前記把持部の前記装置本体に対する可動状態をロック解除可能にロックするロック部である、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記把持部が前記装置本体の裏面に沿って回動可能に設けられており、前記ロック部が、前記装置本体の前記裏面上で回動方向の複数の位置において、前記把持部を前記装置本体に対してロック可能になっている、
ことを特徴とする手持ち式装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を着脱可能に保持するための手持ち式装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-79539号公報には、産業用ロボットのコントローラや制御機器に対して制御信号を出力するための手持ち式装置(1)が記載されている。手持ち式装置(1)は、タブレット(2)やスマートフォン等を保持するためのホルダー部(4)と、ホルダー部(4)の底部に回転可能に設けられ、操作者(H)が把持するための把持部(3)とを備えている(同公報の段落[0021]~[0022]および図2図7参照)。把持部(3)には、イネーブルスイッチ(33)が設けられている(同公報の段落[0035]および図2図4図5図7参照)。また、タブレット(2)には、各種操作スイッチ(47~47)が着脱可能に設けられている(同公報の段落[0074]~[0075]および図52参照)。
【0003】
上記手持ち式装置(1)の使用の際には、ホルダー部(4)にタブレット(2)を保持させ(上記公報の図4参照)、操作者(H)が把持部(3)を一方の手で把持した状態で他方の手でタブレット(2)を操作するとともに、上記一方の手でイネーブルスイッチ(33)の操作を行う(同公報の段落[0040]、[0042]参照)。また、上記他方の手で各種操作スイッチ(47~47)の操作を行う(同公報の段落[0074]~[0075]参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の装置では、使用の際には、操作者が把持部(3)を適宜回転させることにより、ホルダー部(4)に保持されたタブレット(2)を所望の向きに配置でき、タブレット(2)の操作性を向上できるとともに、把持部(3)の回転により、個々の操作者がイネーブルスイッチ(33)を操作しやすい位置に移動でき、操作者の負担を軽減できる(同公報の段落[0045]~[0046]および図16図17参照)。
【0005】
その一方、各種操作スイッチ(47~47)の操作に関しては、把持部(3)を把持した手とは別の手で操作しなければならず、操作がやや面倒であった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、操作性をさらに向上でき、操作者の負担をさらに軽減できる手持ち式装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、携帯端末を着脱可能に保持するための手持ち式装置において、携帯端末が載置されるベース面を表側に有する装置本体と、装置本体の裏側に配置され、操作者が手で把持するための可動式の把持部とを備え、把持部が、携帯端末、携帯端末の操作対象または装置本体に対する操作者による操作を受け付けるための操作部を有している。
【0008】
本発明においては、携帯端末、携帯端末の操作対象または装置本体に対する操作者による操作を受け付けるための操作部が把持部に設けられているので、把持部を把持した手とは別の手で操作部を操作することなく、把持部を把持した手で操作部を操作することができるようになるので、操作性をさらに向上でき、操作者の負担をさらに軽減できる。
【0009】
本発明では、把持部がさらにイネーブルスイッチを有しており、操作部がイネーブルスイッチの近傍に配置されている。
【0010】
本発明では、操作部は、操作者が把持部を把持した状態で操作可能な位置に配置されている。
【0011】
本発明では、操作部が、携帯端末または携帯端末の操作対象に対して入力操作を行うための操作入力部である。
【0012】
本発明では、操作部が、把持部の装置本体に対する可動状態をロック解除可能にロックするロック部である。
【0013】
本発明では、把持部が装置本体の裏面に沿って回動可能に設けられており、ロック部が、装置本体の裏面上で回動方向の複数の位置において、把持部を装置本体に対してロック可能になっている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る手持ち式装置によれば、把持部を把持した手で操作部を操作することができるようになるので、操作性をさらに向上でき、操作者の負担をさらに軽減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例による手持ち式装置の表面側の全体斜視図である。
図2】前記手持ち式装置(図1)の裏面側の全体斜視図である。
図3】前記手持ち式装置(図1)の正面図(表面図)である。
図4】前記手持ち式装置(図3)の背面図(裏面図)である。
図5】前記手持ち式装置(図3)の左側面図である。
図6】前記手持ち式装置(図3)の右側面図である。
図7】前記手持ち式装置(図3)の平面図である。
図8】前記手持ち式装置(図3)の底面図である。
図9】前記手持ち式装置(図1)において携帯端末が保持された状態の表面側の全体斜視図である。
図10】前記手持ち式装置(図1)において携帯端末が保持された状態の背面図(裏面図)である。
図11】前記手持ち式装置(図10)において把持部を図示反時計回りに回転させた状態を示す図である。
図12】前記手持ち式装置(図10)において把持部を図示時計回りに回転させた状態を示す図である。
図13】前記手持ち式装置(図3)の平面側斜視部分図であって、カバー部に収容されたロック部を示している。
図14図13においてカバー部を取り外した状態を示す図であって、ロック部を示している。
図15】前記ロック部(図14)の全体斜視図である。
図16】前記ロック部(図14)の正面図である。
図17】前記ロック部(図14)の側面図である。
図18】前記ロック部(図14)の作動を説明するための図であって、把持部のロック状態を示しており、図4のXVIII-XVIII線断面に相当している。
図19】前記ロック部(図14)の作動を説明するための図であって、把持部のアンロック状態(ロック解除状態)を示している。
図20】前記手持ち式装置(図13)において、前記ロック部(図14)のボタン部を模式的に示す図である。
図21】前記手持ち式装置(図13)において、前記ボタン部(図20)の代わりに操作スイッチが設けられた状態を模式的に示す図である。
図22】前記手持ち式装置(図13)において、前記ボタン部(図20)および前記操作スイッチ(図21)が設けられた状態を模式的に示す図である。
図23】前記手持ち式装置(図22)において、さらに他の操作スイッチが設けられた状態を模式的に示す図である。
図24】前記手持ち式装置(図1)に携帯端末が保持された状態において、操作者が前記手持ち式装置(図1)の把持部を左手で把持した状態を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
ここでは、本発明の携帯端末(つまりモバイル操作可能な端末)として、タブレットを例にとり、手持ち式装置をタブレットホルダーと呼称するが、本発明の携帯端末は、タブレットのみならず、タブレットPC(パソコン)、タブレット端末、スマートフォン、スマートデバイス、モバイル端末、モバイル機器、小型ノートパソコン等を含む。
【0017】
図1ないし図24は、本発明の一実施例によるタブレットホルダー(手持ち式装置)を説明するための図である。これらの図において、図1ないし図8図13および図14はタブレットホルダー単体の外観図、図9ないし図12はタブレットホルダーにタブレットが保持された状態の外観図、図15ないし図17はタブレットホルダーの把持部のロック部単体の外観図、図18および図19はロック部の作動を説明するための図、図20ないし図23はロック部の操作ボタンまたは(および)操作スイッチを模式的に示す図、図24はタブレットホルダーの使用状態を説明するための図である。
【0018】
説明の便宜上、以下の説明文において、「表面側」とは、図1図3に示すように、タブレットホルダーにおいてタブレットが配置される側を指し、「裏面側」とは、図2図4に示すように、タブレットホルダーにおいて把持部が設けられた側を指すものとする。また、「上側」、「上方」とは、タブレットホルダーを正面または背面方向から見たときの「上側」、「上方」を指し、「下側」、「下方」とは、同様にタブレットホルダーを正面または背面方向から見たときの「下側」、「下方」を指すものとする。
【0019】
図1ないし図12に示すように、タブレットホルダー1は、タブレットTを着脱可能に保持するためのものであって、タブレットTは、たとえば、ロボットのコントローラやその他の機械の制御機器等の外部機器(タブレットTの操作対象)に対して信号(操作信号や制御信号等)を出力するのに用いられる。また、タブレットTとしては、このような外部機器のための専用タブレットに限られるものではなく、アプリ(つまりアプリケーションソフトウエア)がインストールされた市販のタブレットでもよい。
【0020】
タブレットホルダー1は、タブレットTが載置されるベース面20を表側に有するホルダー本体(装置本体)2と、ホルダー本体2の裏側に配置され、操作者が手で把持するための可動式の把持部3とを備えている。また、タブレットホルダー1は、ホルダー本体2のベース面20に載置されたタブレットTの対角線上の各角部を保持するためのホルダー部4A、4Bを有している。ホルダー本体2の上部には、ベース面20から立ち上がる上部ベース部25が設けられており、上部ベース部25には、非常停止スイッチ22、ジョイスティック23およびキースイッチ24が設けられている。上部ベース部25はベース面20との間に段差部を有しており、当該段差部は、ベース面20に載置されたタブレットTの上側側面Tが当接し得る当接部21になっている。
【0021】
図1図3および図9に示すように、ホルダー部4Aは、ホルダー本体2において上部ベース部25寄りの一方の角部に設けられ、タブレットTの対角線上の一方の角部をベース面20との間で上方から保持するアーム状保持部4aを有しており、ホルダー部4Bは、ホルダー本体2において前記一方の角部の対角線上の他方の角部寄りの位置に配置され、タブレットTの対角線上の他方の角部を上下から保持する上下一対のアーム状保持部4bを有している。ホルダー本体2の内部には、前記対角線に沿ってスライド可能に支持されたスライドベース40(図1図3図9では一部のみ図示)が収容されており、ホルダー部4Bはスライドベース40の一端40Bに回動可能に取り付けられている。タブレットTの装着時には、スライドベース40を適宜スライドさせることで、大型のタブレットにも対応できる。
【0022】
図11に示すように、ホルダー本体2の裏面26には、スライドベース40のスライド移動を許容しまたはロックし、あるいはスライド移動の際に内蔵のラチェット機構を作動させることによりスライド移動を小刻みに行わせるための切替スイッチ27が設けられており、さらに、スライドベース40のスライド移動をキー操作によりロックするためのキースイッチ28が設けられている。
【0023】
図2図4ないし図8および図24に示すように、把持部3は、ホルダー本体2の裏側の上部に配置され、操作者の手PHで把持される把持本体部30と、把持本体部30と一体に設けられかつホルダー本体2の裏側の下方に向かって延設されるとともに、操作者が把持部3を手PHで把持した際に操作者の前腕PAの少なくとも一部により下方から支持される支持部31とを有している。
【0024】
タブレットTが装着されたタブレットホルダー1全体の重量は、把持部3を介して操作者の手PHで支持されるだけでなく、支持部31を介して操作者の前腕PAの少なくとも一部で支持されるので、荷重を分散でき、操作時における操作者の体の負担を軽減できる。とくに、タブレットTが大型化した場合や長時間の使用の際には、操作者Pの腕の負担を軽減できる。
【0025】
把持本体部30は、把持時の操作者の手PHの平(掌)に沿うように側面視球面状に形成されており、支持部31は、操作者の手首から前腕PAにかけての形状に沿うように、底面31aが側面視凸状湾曲面状に形成されるとともに、把持本体部30との連設部分が側面視凹状湾曲面状に形成されている。把持本体部30の左右端部には、操作者の手指の第1指(親指)PFが配置される凹部30aがそれぞれ形成されている。凹部30aを把持本体部30の左右端部にそれぞれ形成したのは、操作者が把持部3を左右いずれの手で把持した場合にも対応できるようにするためである。
【0026】
図2図4ないし図9図13図14および図24に示すように、把持本体部30の上部には、イネーブルスイッチ32が設けられている。イネーブルスイッチ32は、把持本体部30の上部に形成された長手方向の凹部30b内に配置されている。イネーブルスイッチ32は、操作者の手の平または手指により押込み操作される押しボタンから構成されている。この例では、イネーブルスイッチ32は長手方向に延びていて、操作者の手指の第2指から第5指のいずれの指にも接触しているので、イネーブルスイッチ32の操作性が向上している。
【0027】
イネーブルスイッチ32は、押しボタンが押込み操作されていない状態では、接点がオフであって外部機器に信号を出力していない状態にあり、この状態から押しボタンが軽く押込み操作されると、接点がオンになり外部機器に信号を出力してティーチング作業等が可能な状態になり、また、押しボタンから手指が離れると外部機器への信号出力を停止するようになっている。さらに、イネーブルスイッチ32は、押しボタンが軽く押された状態から強く押し込まれると、接点がオフになり外部機器への信号出力を停止するようになっている。
【0028】
図10ないし図12に示すように、把持部3は、ホルダー本体2の裏面26上において裏面26に沿って回動可能に設けられている。図11は、図10に示す中立位置から図示反時計回りに回動した状態を示し、図12は、図10に示す中立位置から図示時計回りに回動した状態を示している。
【0029】
図14および図24に示すように、把持本体部30の上部においてホルダー本体2の裏面26寄りの位置には、ロック部33が設けられている。ロック部33は、ホルダー本体2の裏面26上で回動可能な把持部3をホルダー本体2に対してロックするための部材であって、イネーブルスイッチ32の近傍に配置されている。
【0030】
ホルダー本体2の裏面26には、把持部3の回動方向に沿う周方向において所定間隔で配置された複数のロック穴26aが形成されている。ロック部33は、ロック穴26aに対して係脱可能(つまり抜き差し可能)なロックピン部34と、その左右両側に配置され、ロックピン部34と一体に設けられた押込み操作可能なボタン部35、35とを有している。ロックピン部34の先端がロック穴26aに挿入された状態がロック状態であり、ロックピン部34の先端がロック穴26aから離反した状態がアンロック(ロック解除)状態である。
【0031】
これにより、把持部3は、ホルダー本体2の裏面26上において、周方向の複数の位置でロック可能になっている。すなわち、ロック部33は、把持部3のホルダー本体2に対する可動状態を複数の位置でロック解除可能にロックしている。ロック部33は、ホルダー本体2に対する操作者による操作を受け付けるための操作部として機能している。なお、図13に示すように、ロックピン部34の全周および各ボタン部35、35の一部は、平面視逆T字状のカバー部34’に収容されている。ロックピン部34および各ボタン部35、35は、各ボタン部35、35の押込み操作時にカバー部34’の内部をスライド可能に設けられている。
【0032】
操作者が把持部3を左手で把持したとき、図24に示すように、たとえば、ロック部33のボタン部35の上には、操作者の手指の第2指PFおよび第3指PFが配置され、ロック部33のボタン部35の上には、操作者の手指の第4指および第5指が配置される。これにより、ロック部33のボタン部35は、第2指PFおよび第3指PFにより押込み操作可能であり、ロック部33のボタン部35は、第4指および第5指により押込み操作可能である。すなわち、ロック部33は、操作者が把持部3を把持した状態で操作可能な位置に配置されている。
【0033】
ロック部33は、図15ないし図17に示すように、底壁部36およびこれと略直交する立壁部36からなる略L字状のベース部36を有している。ロックピン部34は、ベース部36の底壁部36において長手方向の略中央部に立設された中空円筒形状を有しており、その先端に小径の中空円筒状の先端部34aが設けられている。先端部34aはホルダー本体2の裏面26のロック穴26aに係脱可能になっている。底壁部36上においてロックピン部34の左右両側に立設された各ボタン部35、35は、中空直方体形状を有している。ロックピン部34の内部には、軸方向に沿って延びる圧縮ばね38が縮設されている。
【0034】
図4のXVIII-XVIII線断面である図18に示すように、圧縮ばね38の一端は、ロックピン部34の先端部34aの基端に圧接し、他端は、ロック部33を収容するカバー部34’に圧接している。圧縮ばね38の弾性反発力の作用により、ロックピン部34および各ボタン部35、35は、カバー部34’から突出する方向に常時付勢されている。図19に示すように、各ボタン部35、35にそれぞれ押付力wが作用して押込み操作されると、各ボタン部35、35とともにロックピン部34がカバー部34’内に縮退し、その結果、ロックピン部34の先端部34aが、ホルダー本体2の裏面26のロック穴26aから離反して、ロックピン部34によるロック状態が解除されるようになっている。
【0035】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述したタブレットホルダー1の使用の際には、図1および図9に示すように、まず、ホルダー本体2のベース面20にタブレットTを載置して、当接部21および各ホルダー部4A、4BによりタブレットTをホルダー本体2で保持する。
【0036】
この状態から、操作者がたとえば左手で(右手の場合も同様)ホルダー本体2の裏側の把持部3を把持した際には、図24に示すように、把持本体部30が操作者の左手PHで把持されるとともに、把持本体部30と一体に連設された支持部31の底面31aが操作者の前腕PAに当接して下方から支持される。このとき、操作者の手指の第1指(親指)PFは、把持本体部30の一方の端部の凹部30aに配置されており、操作者の手PHの平または手指の第2指PFから第5指の根元部分は、イネーブルスイッチ32に当接している。
【0037】
また、ロック部33のボタン部35の上には、図13図14および図24に示すように、操作者の手指の第2指PFおよび第3指PFの先端部分が配置され、ロック部33のボタン部35の上には、操作者の手指の第4指および第5指の先端部分が配置されている。
【0038】
操作者が手指により各ボタン部35、35を圧縮ばね38の弾性反発力に抗して押込み操作すると、図18図19に示すように、各ボタン部35、35とともにロックピン部34が押込み方向に移動し、ロックピン部34の先端部34aがホルダー本体2の裏面26のロック穴26aから離反して、把持部3のロック状態が解除される。これにより、把持部3がホルダー本体2に対して回動可能な状態になる。
【0039】
この状態から(すなわち、操作者が把持部3を把持しかつ各ボタン部35、35を押し込んだ状態のまま)、操作者が把持部3またはホルダー本体2を所望の方向に回転させ、タブレットTを横向きまたは縦向きにして操作者が操作しやすい所望の位置に配置させる。その後、操作者が各ボタン部35、35から手指を離すと、圧縮ばね38の弾性反発力の作用により、ロックピン部34が伸長して先端部34aがホルダー本体2の裏面26のロック穴26aに係合する。これにより、把持部3がホルダー本体2に対して回動不能のロック状態になる。
【0040】
なお、把持部3またはホルダー本体2の回転後、操作者が各ボタン部35、35から手指を離した際に、ロックピン部34の先端部34aがロック穴26aと整列した位置に配置されていないことによりロックピン部34の先端部34aがロック穴26aにすぐに係合しない場合には、把持部3またはホルダー本体2を時計回りまたは反時計回りに若干量回転させることでロックピン部34の先端部34aがその直近近傍のロック穴26aに係合することになる。
【0041】
このように本実施例によれば、操作者が把持部3を適宜回転させることでホルダー部4A、4Bに保持されたタブレットTを所望の向きに配置できるので、タブレットTの操作性を向上でき、操作者の負担を軽減できるばかりでなく、ロック部33が把持部3に設けられ、しかも操作者が把持部3を把持した状態で操作可能な位置にロック部33が配置されていることにより、操作者が把持部3を把持した手とは別の手でロック部33を操作することなく、把持部3を把持した手でロック部33を操作することができるようになるので、操作性をさらに向上でき、操作者の負担をさらに軽減できる。
【0042】
また、ロック部33により把持部3を所望の回転位置でロックできるので、把持部3の回転後にたとえばタブレットTの重量によりタブレットTが回転して向きが変化するのを防止でき、これにより、操作性を一層向上できる。
【0043】
さらに、ロック部33がイネーブルスイッチ32の近傍に配置されているので、ロック部33による操作後、ロック部33を操作した手でイネーブルスイッチ32を操作でき、これにより、操作性をより一層向上できる。
【0044】
次に、図20は、把持部3の把持本体部30に設けられたロック部33の各ボタン部35、35の位置を模式的に表した図である。また、図21ないし図23は、図20の変形例を示す図である。これらの図において、同一符号は同一または相当部分を示している。
【0045】
図21に示す例では、図20の各ボタン部35、35の代わりに操作スイッチ39が設けられており、図22に示す例では、図20の各ボタン部35、35に加えて操作スイッチ39が設けられており、図23に示す例では、図22の各ボタン部35、35および操作スイッチ39に加えて、操作スイッチ39が設けられている。操作スイッチ39は、各ボタン部35、35と同様に把持部3の把持本体部30の上部に配置されているが、操作スイッチ39は、把持部3の把持本体部30の一方の側部に配置されている。
【0046】
操作スイッチ39、39は、タブレットTまたはタブレットTの操作対象である外部機器(たとえロボットハンドやAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)等)に対して、操作信号や制御信号等を出力するための入力操作を行うためのものであって、操作者による操作を受け付けるための操作部(操作入力部)として機能している。操作スイッチ39、39は、タブレットTや外部機器に対する入力キーとして、たとえばエンターキーやコピー・ペーストキー、画面切替えキー、ショートカットキー、ファンクションキー等を有しており、たとえば押しボタンやタクトスイッチ、スライドスイッチ、ジョイスティック等から構成される。
【0047】
各ボタン部35、35および各操作スイッチ39、39の配置は、図20ないし図23に示すものには限定されず、これら以外に種々の配置が考えられる。たとえば、各ボタン部35、35とともに操作スイッチ39を配置したり、各ボタン部35、35を省略して各操作スイッチ39、39を配置したり、操作スイッチ39のみを配置したり、操作スイッチ39を把持部3の把持本体部30の他方の側部または双方の側部に配置したり、操作スイッチ39の個数を異ならせたりする等。
【0048】
また、各操作スイッチ39、39の操作方向(押込み方向)は、各ボタン部35、35の押込み方向と必ずしも同じでなくてもよく、各ボタン部35、35の押込み方向に対して斜めに交差する方向または直交する方向であってもよい。これにより、操作時にイネーブルスイッチ32との干渉を防止できる。
【0049】
さらに、ロック部33の各ボタン部35、35は、ホルダー本体2側に設けるようにしてもよく、この場合、把持部3には、操作スイッチ39または39のみを設けるようにしてもよい。
【0050】
なお、図1図3図4図10ないし図12に示すように、ホルダー本体2において上部ベース部25寄りの一方の角部の位置には、ホルダー本体2を厚み方向に貫通する開口部20aが形成されている。開口部20aは、カメラが搭載されたタブレットTがホルダー本体2に装着された際にカメラのレンズの位置に対応する位置に配置されており、撮影用に使用可能である。また、図1ないし図6図8および図24中、符号50は、ケーブル接続用のコネクタである。
【0051】
〔その他の変形例〕
上述した各実施例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やさらなるその他の実施例を構築し得る。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、携帯端末を着脱可能に保持するための手持ち式装置に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1: タブレットホルダー(手持ち式装置)

2: ホルダー本体(装置本体)
20: ベース面
26: 裏面

3: 把持部
32: イネーブルスイッチ
33: ロック部(操作部)
39、39: 操作スイッチ(操作部/操作入力部)

T: タブレット(携帯端末)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2021-79539号公報(段落[0021]~[0022]、[0035]、[0040]、[0042]、[0045]~[0046]、[0074]~[0075]および図2図4図5図7図16図17図52参照)
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