(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094148
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】画質情報提供システム、画質情報提供装置及び画質情報提供方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209446
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】516044875
【氏名又は名称】株式会社A-Line
(71)【出願人】
【識別番号】518134231
【氏名又は名称】PSP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】北中 康友
(72)【発明者】
【氏名】勝見 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大藤 倫昭
(72)【発明者】
【氏名】笹井 雅子
(72)【発明者】
【氏名】進藤 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 大貴
(72)【発明者】
【氏名】石原 正規
(72)【発明者】
【氏名】田村 登規子
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA34
4C093FA06
4C093FD03
4C093FH06
4C093FH07
(57)【要約】
【課題】医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合に、医用画像の画質に応じた適正な撮像条件情報を医用画像撮像装置に設定するための画質情報を提供することを課題とする。
【解決手段】画質情報提供装置10に画質評価情報を記憶し、病院A内の端末装置30からX線CT装置50の撮像条件情報を画質情報提供装置10に送信すると、画質情報提供装置10は、受信した撮像条件情報と一致する画質評価情報を特定し、撮像できる画質スコアを算出し、端末装置30に算出した画質スコアを撮像条件情報と対応付けて通知するよう構成している。この画質情報提供装置10が、端末装置30に画質スコアと撮像条件情報を通知することにより、病院Aの医師あるいは診療放射線技師がX線CT画像を撮像する場合に、X線CT画像の画質に応じた適切な撮像条件情報をX線CT装置に設定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置とを有する画質情報提供システムであって、
前記画質情報提供装置は、
複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得手段と、
前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記取得手段により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする画質情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、
複数の医用画像に対して評価された画質スコア及び前記医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の画質情報提供システム。
【請求項3】
前記医用画像撮像装置は、
放射線照射装置から人体に放射線を照射して撮像を行うX線撮像装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画質情報提供システム。
【請求項4】
前記医用画像撮像装置は、
陽電子放出断層撮影装置又は単一光子放射断層撮影装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画質情報提供システム。
【請求項5】
前記医用画像撮像装置は、
磁場と電波を用いて撮像を行う磁気共鳴画像診断装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画質情報提供システム。
【請求項6】
前記撮像条件情報は、
前記医用画像撮像装置の型格、前記医用画像撮像装置に印加する電圧、線量を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の画質情報提供システム。
【請求項7】
医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置であって、
複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得手段と、
前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記取得手段により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする画質情報提供装置。
【請求項8】
医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置とを有する画質情報提供システムにおける画質情報提供方法であって、
前記画質情報提供装置が、複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶部に格納する格納工程と、
前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得工程と、
前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記取得工程により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定工程と、
前記特定工程により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知工程と
を含むことを特徴とする画質情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合に、医用画像の画質に応じた適正な撮像条件を医用画像撮像装置に設定するための情報を提供することができる画質情報提供システム、画質情報提供装置及び画質情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の診断を行うために、X線CT(Computed Tomography)装置を用いてX線CT画像を撮像することが多い。X線CT画像を撮像する場合には、医師又は診療放射線技師がX線CT装置に撮像条件情報を設定して撮像を行うことになる。患者を放射線被ばくから守るために、X線CT装置による放射線被ばく量を管理する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1のものは、あくまでも複数のX線CT装置による放射線被ばく量を管理するためのものであり、医用画像の画質を考慮したものではない。このため、単にX線CT装置に対して放射線量を抑制した撮像条件情報を入力したならば、診断に必要となる画質のX線CT画像を得ることができないという問題がある。
【0005】
このため、X線CT装置を用いてX線CT画像を撮像する場合に、いかに効率良くX線CT画像の画質に応じた適正な撮像条件をX線CT装置に設定するかが重要な課題となっている。かかる課題は、X線CT装置を用いてX線CT画像を撮像する場合だけではなく、各種の医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合にも同様に生ずる課題である。
【0006】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合に、医用画像の画質に応じた適正な撮像条件情報を医用画像撮像装置に設定するための画質情報を提供することができる画質情報提供システム、画質情報提供装置及び画質情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置とを有する画質情報提供システムであって、前記画質情報提供装置は、複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得手段と、前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記取得手段により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段は、複数の医用画像に対して評価された画質スコア及び前記医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記医用画像撮像装置は、放射線照射装置から人体に放射線を照射して撮像を行うX線撮像装置であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記医用画像撮像装置は、陽電子放出断層撮影装置又は単一光子放射断層撮影装置であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記医用画像撮像装置は、磁場と電波を用いて撮像を行う磁気共鳴画像診断装置であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記撮像条件情報は、前記医用画像撮像装置の型格、前記医用画像撮像装置に印加する電圧、線量を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置であって、複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得手段と、前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記取得手段により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、医用画像を撮像する医用画像撮像装置が配設された施設に配設された端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続された画質情報提供装置とを有する画質情報提供システムにおける画質情報提供方法であって、前記画質情報提供装置が、複数の医用画像に対応する画質情報及び該医用画像の撮像条件情報を対応付けて記憶部に格納する格納工程と、前記端末装置から撮像条件情報を取得する取得工程と、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記取得工程により取得された撮像条件情報に対応する画質情報を特定する特定工程と、前記特定工程により特定された画質情報を前記端末装置に対して通知する通知工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合に、医用画像の画質に応じた適正な撮像条件情報を医用画像撮像装置に設定するための画質情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る画質情報提供システムの概要の説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した画質情報提供装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した画質情報提供装置の撮像条件情報及び画質評価情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した画質情報提供装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示したサーバ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、
図5に示したサーバ装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変型例の概要を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る画質情報提供システム、画質情報提供装置及び画質情報提供方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。医用画像撮像装置には、陽電子放出断層撮影装置(PETCT装置)、単一光子放射断層撮影装置(SPECT装置)、磁場と電波を用いて撮像を行う磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)、X線CT装置及びX線診断装置などが知られているが、以下に示す実施形態では、X線CT装置を用いて医用画像であるX線CT画像を撮像する場合を示すこととする。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合にも適用することができる。
【0018】
<画質情報提供システムの概要>
まず、本実施形態に係る画質情報提供システムの概要について説明する。
図1は、実施形態に係る画質情報提供システムの概要を説明するための説明図である。
【0019】
現在、患者の診断を行うために、X線CT装置を用いてX線CT画像を撮像することが多いが、患者のX線CT画像の検査による放射線被ばくの増加が問題視されつつある。このため、医療放射線に係る安全管理が必須となってきており、この医療放射線に係る安全管理を行うために、放射線を使用した検査毎に線量を測定し、例えば1日の基準線量を越えたならば、次の検査を行うか否かを検査する場合には、撮像条件情報の再入力等を促す技術が知られている。
【0020】
しかしながら、上記の従来技術は、あくまでも複数のX線CT装置による放射線被ばく量を管理するためのものであり、患者の診断を行うためのX線CT画像の画質を確保しながら、もっとも低い線量で撮像するものではない。
【0021】
そこで、本実施形態では、画質情報提供装置10に画質評価情報14bを記憶し、病院A内の端末装置30からX線CT装置50の撮像条件情報14aを画質情報提供装置10に送信すると、画質情報提供装置10は、受信した撮像条件情報14aと一致する画質評価情報14bの特定を行い、撮像できる画質スコアを算出し、端末装置30に算出した画質スコアを通知するよう構成している。この画質情報提供装置10が、端末装置30に画質スコアを通知することにより、病院Aの医師あるいは診療放射線技師がX線CT画像を撮像する場合に、X線CT画像の画質に応じた適切な撮像条件情報をX線CT装置に設定することができる。
【0022】
この「画質スコア」とは、撮像したX線CT画像の画質(解像度やノイズを含めた総合的な見やすさの評価)を点数化したものであり、例えば0~10点のいずれかとなる。10点に近いほど画質がよいことを示している。なお、画質情報提供装置10に記憶されている画質評価情報14bは、サーバ装置20において、X線CT装置50及びCT画像管理装置40を用いてあらかじめ取得した医用画像情報24aに対して、医師あるいは診療放射線技師が画像スコアを評価し、サーバ装置20に入力した画質スコアと医用画像情報24aの撮像条件情報と対応付けることによって生成している。
【0023】
CT画像管理装置40は、X線CT装置50で撮像したCT画像を管理する装置である。X線CT装置50は、放射線を照射し、X線CT画像を撮像する装置である。画質情報提供装置10は、画質スコアとX線CT装置50の撮像条件情報とを対応付けた画質評価情報14bを記憶し、病院Aの端末装置30から撮像条件情報14aを受信したならば、撮像条件情報14aに一致した画質評価情報14bを抽出し、要求された撮像条件情報14aで撮像できる画質スコアを、端末装置30に送信する装置である。
【0024】
具体的には、
図1に示すように、X線CT装置50及びCT画像管理装置40を用いて画質評価情報24bを作成するための医用画像情報24aを取得する(S1)。その後、CT画像管理装置40は、取得した医用画像情報24aをサーバ装置20に送信する(S2)。サーバ装置20は、受信した医用画像情報24aに対して、医師又は診療放射線技師が評価を行った画質スコアを受け付け(S3)、受け付けた画質スコアと医用画像情報24aの撮像条件情報(電圧、電流、線量等)とを対応付けて画質評価情報24bを生成する。
【0025】
サーバ装置20は、生成した画質評価情報24bを画質情報提供装置10に送信する(S4)。端末装置30は、X線CT画像撮像のための撮像条件情報14aを画質情報提供装置10に送信する(S5)。画質情報提供装置10は、端末装置30から撮像条件情報14aを受信したならば、画質評価情報14bを検索し、受信した撮像条件情報14aで得られる画質スコアを特定し、特定した画質スコア及び撮像条件情報14aを端末装置30に通知する(S6)。これにより、医師あるいは診療放射線技師は、送信した撮像条件情報14aで所望の画質が得られるか否かを検討することができる。
【0026】
<画質情報提供装置の構成>
次に、
図1に示した画質情報提供装置10の構成について説明する。
図2は、
図1に示した画質情報提供装置10の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、画質情報提供装置10は、表示部11、操作部12、通信I/F部13、記憶部14及び制御部15を有する。
【0027】
表示部11は、液晶パネル又はディスプレイ装置などの表示デバイスであり、操作部12は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。通信I/F部13は、端末装置30などの他の装置と通信を行うためのインターフェース部である。
【0028】
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、撮像条件情報14a及び画質評価情報14bを記憶する。撮像条件情報14aは、端末装置30から送信されたX線CT画像を撮像するときの撮像条件情報(電圧、電流等)のデータである。画質評価情報14bは、サーバ装置20で生成された、撮像条件情報と画質スコアを対応付けた情報である。
【0029】
制御部15は、画質情報提供装置10の全体を制御する制御部であり、撮像条件情報受付処理部15a、画質評価情報特定部15b及び画質評価情報通知部15cを有する。実際には、これらプログラムをCPUにロードして実行することにより、撮像条件情報受付処理部15a、画質評価情報特定部15b及び画質評価情報通知部15cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0030】
撮像条件情報受付処理部15aは、端末装置30から送信されるX線CT画像の撮像条件情報を受信し、撮像条件情報14aとして記憶部14に記憶する。画質評価情報特定部15bは、撮像条件情報14aに対応する画質評価情報14bを特定し、特定された画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を算出する。画質評価情報通知部15cは、算出された画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差に撮像条件情報14aを対応付けて端末装置30に通知する。
【0031】
次に、撮像条件情報14a及び画質評価情報14bの一例について説明する。
図3は、
図2に示した撮像条件情報14a及び画質評価情報14bの一例を示す図である。
図3(a)に示すように、撮像条件情報14aは、装置メーカ、型格、電圧、電流及び線量等が対応付けられている。ここでは、装置メーカ「Aメディカル」に対して、型格「ACT-200M01」、電圧(kV)「120」、電流(mA)「100」及び線量(mGy)「5.1」が対応付けられている状態を示している。
【0032】
また、
図3(b)に示すように、画質評価情報14bは、製造メーカ、型格、電圧、電流、線量及び画質スコア等が対応付けられている。ここでは、装置メーカ「Aメディカル」に対して、型格「ACT-200M01」、電圧(kV)「120」、電流(mA)「100」、線量(mGy)「5.1」及び画質スコア「7」が対応付けられている状況を示している。また、装置メーカ「Aメディカル」に対して、型格「ACT-200M01」、電圧(kV)「120」、電流(mA)「80」、線量(mGy)「4.2」及び画質スコア「6」が対応付けられている状況を示している。また、装置メーカ「B精機」に対して、型格「B03-CT1009」、電圧(kV)「120」、電流(mA)「30」、線量(mGy)「3.1」及び画質スコア「3」が対応付けられている状況を示している。
【0033】
<画質情報提供装置10の処理手順>
次に、画質情報提供装置10の処理手順について説明する。
図4は、
図2に示した画質情報提供装置10の処理手順を示すフローチャート図である。
図4に示すように画質情報提供装置10は、端末装置30からの撮像条件情報の受信を待機する(ステップS101:No)。画質情報提供装置10は、端末装置30から撮像条件情報を受信したならば(ステップS101:Yes)、端末装置30から受信した撮像条件情報に含まれる使用装置(製造メーカ、型格)、電圧、電流等の情報を撮像条件情報14aとして記憶部14に記憶する(ステップS102)。
【0034】
次に、画質情報提供装置10は、記憶した撮像条件情報14aと一致する画質評価情報14bの画質スコアを特定し(ステップS103)、特定した画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を算出する(ステップS104)。その後、画質情報提供装置10は、撮像条件情報14a及び算出した画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を端末装置30に通知し(ステップS105)、処理を終了する。
【0035】
<サーバ装置20の構成>
次に、
図1に示したサーバ装置20の構成について説明する。
図5は、
図1に示したサーバ装置20の構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、サーバ装置20は、表示部21、操作部22、通信I/F部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0036】
表示部21は、液晶パネル又はディスプレイ装置などの表示デバイスであり、操作部22は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。通信I/F部23は、画質情報提供装置10及びCT画像管理装置40などの他の装置と通信を行うためのインターフェース部である。
【0037】
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、医用画像情報24a及び画質評価情報24bを記憶する。
【0038】
ここで、医用画像情報24aは、CT画像管理装置40から送信された様々な撮像条件情報で撮像したCT画像情報である。画質評価情報24bは、医用画像情報24aに対して医師又は診療放射線技師が評価した画像スコアを受け付け、受け付けた画質スコアと医用画像情報24aの撮像条件情報を対応付けた情報である。
【0039】
制御部25は、サーバ装置20の全体を制御する制御部であり、医用画像情報取得部25a、画質スコア受付処理部25b及び画質評価情報送信部25cを有する。実際には、これらプログラムをCPUにロードして実行することにより、医用画像情報取得部25a、画質スコア受付処理部25b及び画質評価情報送信部25cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0040】
医用画像情報取得部25aは、X線CT装置50で撮像された医用画像情報を記録、管理しているCT画像管理装置40から、画質評価情報24bを生成するために必要な医用画像を取得する処理を行う。取得した医用画像情報は記憶部24に記憶する。
【0041】
画質スコア受付処理部25bは、医用画像情報24aを記憶部24から読出し、表示部21に表示するとともに、表示された医用画像情報24aの画質を医師又は診療放射線技師が評価した画質スコアを受け付けたならば、受け付けた画質スコアと医用画像情報24aの撮像条件情報を対応付けて画質評価情報24bとして記憶する処理を行う。
【0042】
画質評価情報送信部25cは、画質スコア受付処理部25bで生成した画質評価情報24bを画質情報提供装置10に送信する処理を行う。
【0043】
<サーバ装置20の処理手順>
次に、サーバ装置20の処理手順について説明する。
図6は、
図5に示したサーバ装置20の処理手順を示すフローチャートである。なお、サーバ装置20は、CT画像管理装置40から医用画像情報をあらかじめ取得し、医用画像情報24aとして記憶部24に記憶しているものとする。
【0044】
サーバ装置20は、記憶した医用画像情報24aから1つの医用画像情報を読み出し、表示部21に医用画像を表示する(ステップS201)。次に、サーバ装置20は、表示された医用画像の品質を示す画像スコアの受け付けを待機する(ステップS202;No)。サーバ装置20は、画像スコアを受け付けたならば(ステップS202;Yes)、受け付けた画像スコアと医用画像情報の撮像条件情報(電圧、電流、線量等)を対応付けて、画質評価情報24bとして記憶部24に記憶する(ステップS203)。
【0045】
そして、サーバ装置20は、医用画像情報24aが最後の情報で無い場合は(ステップS204:No)、ステップS201に移行する。医用画像情報24aが最後の情報である場合は(ステップS204:Yes)、記憶した画質評価情報24bを画質情報提供装置10に送信し(ステップS205)、処理を終了する。
【0046】
上述してきたように、本実施形態では、画質情報提供装置10に画質評価情報14bを記憶し、病院A内の端末装置30からX線CT装置50の撮像条件情報14aを画質情報提供装置10に送信すると、画質情報提供装置10は、受信した撮像条件情報14aと一致する画質評価情報14bを特定し、撮像できる画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を算出し、端末装置30に算出した画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を撮像条件情報14aと対応付けて送信するよう構成している。この画質情報提供装置10が、端末装置30に画質スコアの平均値、最小値、最大値及び標準偏差を送信することにより、X線CT装置を用いてX線CT画像を撮像する場合に、X線CT画像の画質に応じた適正な撮像条件情報をX線CT装置に設定するための画質情報を提供することができる。
【0047】
<変形例>
図7は、変形例の概要を説明する説明図である。この変形例では、サーバ装置20において新しく受け付けた画像スコアと、同じ撮像条件情報の過去の画像スコアを比較し、画像スコアが過去に比較して低い場合には、撮像装置が劣化している可能性があるため、その劣化情報を病院A内の端末装置30に送信する。
【0048】
具体的には、
図7に示すように、X線CT装置50及びCT画像管理装置40を用いて医用画像情報24aを取得する(S10)。その後、CT画像管理装置40は、取得した医用画像情報24aをサーバ装置20に送信する(S11)。サーバ装置20は、受信した医用画像情報24aに対して、画質スコアの評価を受け付け(S12)、受け付けた画質スコアと医用画像情報24aの撮像条件情報(電圧、電流、線量等)とを対応付けて画質評価情報24bを生成する。
【0049】
サーバ装置20は、受け付けた画像スコアの撮像条件情報と同等の撮像条件情報に対応付けられた過去の画像スコアと、受け付けた画像スコアを比較し、受け付けた画像スコアが過去の画像スコアよりも低い場合に、画質劣化が発生していると判定し(S13)、画質劣化情報を端末装置30に送信する(S14)。なお、画質劣化情報は、撮像装置を製造したメーカに送信してもよい。
【0050】
なお、上記実施形態では、X線CT装置を用いて医用画像であるX線CT画像を撮像する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合にも適用することができる。具体的には、陽電子放出断層撮影装置(PETCT装置)、単一光子放射断層撮影装置(SPECT装置)、磁場と電波を用いて撮像を行う磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)を用いて医用画像を撮像する場合にも適用することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、画質スコアの提供を画質情報提供装置10において行い、画質評価情報24bの作成をサーバ装置20において行う場合を示したが、画質情報提供装置10とサーバ装置20が一体に構成されていてもよい。
【0052】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る画質情報提供システム、画質情報提供装置及び画質情報提供方法は、医用画像撮像装置を用いて医用画像を撮像する場合に、医用画像の画質に応じた適正な撮像条件情報を医用画像撮像装置に設定するための画質情報を提供する場合に適している。
【符号の説明】
【0054】
10 画質情報提供装置
11 表示部
12 操作部
13 通信I/F部
14 記憶部
14a 撮像条件情報
14b 画質評価情報
15 制御部
15a 撮像条件情報受付処理部
15b 画質評価情報特定部
15c 画質評価情報通知部
20 サーバ装置
21 表示部
22 操作部
23 通信I/F部
24 記憶部
24a 医用画像情報
24b 画質評価情報
25 制御部
25a 医用画像情報取得部
25b 画質スコア受付処理部
26c 画質評価情報送信部
30 端末装置
40 CT画像管理装置
50 X線CT装置