(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094160
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】小口径場所打ち杭の構築方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/34 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
E02D5/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209467
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】517419445
【氏名又は名称】ヒロセ補強土株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221638
【氏名又は名称】東尾メック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591126987
【氏名又は名称】第一熱処理工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】疋田 信晴
(72)【発明者】
【氏名】門脇 和也
(72)【発明者】
【氏名】阿形 淳
(72)【発明者】
【氏名】保田 秋生
(72)【発明者】
【氏名】三村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 富男
(72)【発明者】
【氏名】下田 健
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA31
2D041CB06
2D041DA03
2D041EA02
(57)【要約】
【課題】芯材の軽量化を図りつつ、施工性を改善できる、小口径場所打ち杭の構築方法を提供すること。
【解決手段】管本体31の外周面に管軸方向および管周方向に沿って複数の窪み部32を形成した補強芯材30を使用し、杭孔20内に補強芯材30を挿入した後に補強芯材30を通じて杭孔20内および補強芯材30の内部に固結材25を注入して小口径場所打ち杭10を構築する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小口径場所打ち杭の構築方法であって、
杭孔を削孔する工程と、
中空構造の管本体の外周面に管軸方向および管周方向に沿って複数の窪み部を有する補強芯材を前記杭孔内に挿入する工程と、
前記補強芯材を通じて杭孔内および補強芯材の内部に固結材を注入する工程と、を少なくとも具備することを特徴とする、
小口径場所打ち杭の構築方法。
【請求項2】
前記杭孔を削孔する工程において、インナーロッドとケーシングを具備した削孔具を使用し、杭孔を削孔した後にインナーロッドのみを抜き取ってケーシングを杭孔に残置することを特徴とする、請求項1に記載の小口径場所打ち杭の構築方法。
【請求項3】
固結材を注入する工程の後に、ケーシングを抜き取りながら杭孔内を加圧するケーシングの抜き取り工程をさらに具備することを特徴とする、請求項2に記載の小口径場所打ち杭の構築方法。
【請求項4】
前記固結材が硬化した後に、地表に突出した補強芯材の頭部が隠れるまでコンクリートを場所打ちし補強芯材の頭部と一体にコンクリート構造物を構築する杭頭処理工程をさらに具備することを特徴とする、請求項1または3に記載の小口径場所打ち杭の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強用芯材を用いた小口径場所打ち杭の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の小口径場所打ち杭を地山や法面の引張補強材または圧縮補強材として用いる地山補強土工法(例えばルートパイル工法、EPルートパイル工法)は、特許文献1,2等により公知である。
図8を参照して小口径場所打ち杭に用いる芯材40について説明する。
従来の芯材40は、杭孔に内挿する棒材41と、棒材41に適宜の間隔を隔てて螺着した鍔材42等を具備する。
棒材41には市販のネジ節異形棒鋼を使用し、異形棒鋼に螺着した鍔材42の取付け位置を調整できるようになっている。
【0003】
芯材40の設置方法はつぎのとおりである。
(1)削孔工程
ボーリングマシンを使用して所定の深さ(4~20m)の杭孔を削孔する。
(2)固結材の注入工程
孔底に達するように注入ホースをセットして杭孔内にモルタル製の固結材25を注入する。
(3)芯材の挿入工程
芯材40を杭孔20内に挿入する。
(4)ケーシングの引抜き工程
削孔時に残置したケーシングを抜き取りながら杭孔内を加圧する。
(5)杭頭処理工程
地表に露出する杭頭の調整および防護を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-6531号公報
【特許文献2】特開昭58-17931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の小口径場所打ち杭の構築技術はつぎの解決すべき問題点を内包している。
<1>軸圧縮抵抗と曲げ抵抗を考慮して、芯材用の棒材41にはD29~51(呼び名)の異形鉄筋を用いている。
例えば棒材41がD29であれば重量が約5kg/mであり、D51であれば、重量が16kg/mであるため、芯材40の全長が長尺化するほど芯材40が重たくなって人力による取り扱いがし難くなる。
<2>大径(D29~51)の異形鉄筋の価格は比較的高く、芯材40のコストが嵩む要因になっている。
<3>モルタル注入工程において、注入ホースの先端を孔底に設置することが難しいため、孔底から固結材の注入をすることが難しい。
<4>異形鉄筋製の棒材41と固結材との付着強度を高めるために、棒材41に複数の鍔材42を螺着しており、鍔材42の設置に手数を要するだけでなく、鍔材42が芯材のコストアップの一因になっている。
【0006】
本発明は、芯材の軽量化を図りつつ、施工性を改善できる、小口径場所打ち杭の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、小口径場所打ち杭の構築方法であって、杭孔を削孔する工程と、中空構造の管本体の外周面に管軸方向および管周方向に沿って複数の窪み部を有する補強芯材を前記杭孔内に挿入する工程と、前記補強芯材を通じて杭孔内および補強芯材の内部に固結材を注入する工程と、を少なくとも具備する。
本発明の他の形態において、前記杭孔を削孔する工程において、インナーロッドとケーシングを具備した削孔具を使用し、杭孔を削孔した後にインナーロッドのみを抜き取ってケーシングを杭孔に残置する。
本発明の他の形態において、固結材を注入する工程の後に、ケーシングを抜き取りながら杭孔内を加圧するケーシングの抜き取り工程をさらに具備する。
本発明の他の形態において、前記固結材が硬化した後に、地表に突出した補強芯材の頭部が隠れるまでコンクリートを場所打ちし補強芯材の頭部と一体にコンクリート構造物を構築する杭頭処理工程をさらに具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>ネジ節異形棒鋼に変えて筒状の補強芯材を使用することで、ネジ節異形棒鋼の数倍以上の断面性能を発揮しつつ、芯材の大幅な軽量化も可能となる。
<2>芯材の軽量化が可能となるため、芯材の人力施工がし易くなる。
<3>補強芯材を従来の注入ホースの代替として使用できる。
そのため、在来工法で行っていた注入ホースの挿入工程と注入ホースの撤去工程を削減できて、工期の短縮が可能となる。
<4>補強芯材の外周面や内周面が凹凸状を呈するため、補強芯材と固結材との間で高い付着力が得られる。
<5>補強芯材の杭頭部を地表のコンクリート構造物に埋め込む杭頭処理工程を行うことで、杭間隔の調整、杭頭の変形抑制および防錆効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係る小口径場所打ち杭の縦断面図
【
図2】補強芯材の説明図で、(A)は複数の窪み部を管本体の同一円周上に形成した形態の説明図、同図(B)は、周方向に隣接する複数窪み部の列同士が互いに管軸方向に位相差を有して形成した形態の説明図
【
図3】補強芯材の断面図で、(A)は
図1におけるIII-IIIの断面図、(B)は管本体の周方向に向けて三つの窪み部を形成した補強芯材の断面図
【
図5】小口径場所打ち杭の構築方法の説明図で、(A)は削孔工程の説明図、(B)はインナーロッドの抜き取り時の説明図、(C)は補強芯材の挿入工程と固結材の注入工程の説明図、(D)はケーシングの引抜き工程の説明図
【
図6】管本体の先端部に先端キャップを装着した実施例2の説明図で、(A)は補強芯材の先端部の説明図、(B)は先端キャップの全体斜視図
【
図7】管本体の頭部に頭部キャップを装着した実施例3の説明図で、(A)は補強芯材の頭部の説明図、(B)は頭部キャップの全体斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。
【0011】
[実施例1]
<1>小口径場所打ち杭
図1を参照して説明すると、小口径場所打ち杭10は、杭孔20に注入した固結材25と、杭孔20に内挿し固結材25と一体化した補強芯材30とを少なくとも具備する。
【0012】
<2>補強芯材
本発明では小口径場所打ち杭10の芯材として異形棒鋼を使用せずに、管状の補強芯材30を使用する。
補強芯材30は、両端を開放した中空の管体であり、例えば鋼管が使用可能である。
補強芯材30の径dや躯体厚tは適宜選択が可能である。
実用上は人力施工が可能なように、補強芯材30にはその径dが40A(径48.6mm)、躯体厚tが6mmの鋼管が好適である。
【0013】
なお、補強芯材30の単体の全長は人力での取り扱いが容易な適宜の短い寸法とし、カプラー等のねじ式継手を介在して複数本の補強芯材30を連結することで任意の長さに調整する。
【0014】
<2.1>窪み部
補強芯材30はその管本体31の外周面がフラットな形状ではなく、固結材25との付着性を高めるために凹凸形状を呈する。
本例の補強芯材30は、管本体31の管軸方向および円周方向に沿って複数の窪み部32を有している。
【0015】
複数の補強芯材30を連結する場合、窪み部32の存在により補強芯材30の断面形状が真円ではないことから、従来の溶接継手は適さない。そのため、既述したようにねじ式継手等の機械式継手で連結することが望ましい。
【0016】
<2.2>窪み部の配置例
図2に窪み部の配置例を示す。同図(A)は、複数の窪み部32を管本体31の管軸方向に沿って列をなすように一定間隔で形成すると共に、管本体31の同一円周上に一定間隔に形成した形態を示し、同図(B)は、周方向に隣接する複数窪み部32の列同士が互いに管軸方向に位相差を有して形成した形態を示している。
【0017】
<2.3>窪み部の周方向の形成数
管本体31の円周方向に向けて複数の窪み部32を等間隔に形成する。
図3に例示した形態について説明すると、同図(A)は管本体31の円周方向に沿って窪み部32を4箇所に形成した形態を示し、同図(B)は管本体31の円周方向に沿って窪み部32を3箇所に形成した形態を示している。
【0018】
<2.4>窪み部の構造例
図4に例示した窪み部32について説明すると、管本体31の外周面に管軸方向に平行な長軸を有する楕円形状の扁平部32aを形成すると共に、扁平部32aの中央に扁平部より深い柱状溝32bを形成している。
扁平部32aの大きさと柱状溝32bの深さは適宜選択が可能である。
【0019】
本例では窪み部32が扁平部32aと柱状溝32bを併有する形態について説明するが、扁平部32aまたは柱状溝32bの何れか一方のみで窪み部32を構成してもよい。
【0020】
窪み部32が柱状溝32bを具備する場合、柱状溝32bに固化材25が入り込むことにより、柱状溝32bに入り込んだ固化材25と周囲の固化材25との間の界面での摩擦力あるいはせん断力が発揮され、柱状溝32bがずれ止めとして機能するため、窪み部32における付着力に加えて、さらに付着力を向上させることができる。
【0021】
<2.5>窪み部の形成方法
これらの窪み部32は、例えば表面に突起部を有する鋼管造形用ロールを用いた熱間ロール成形によって形成することが可能である。
補強芯材30は周面に複数の窪み部32を形成しているにもかかわらず、直管とほぼ同等の圧縮性能および曲げ性能を有している。
【0022】
<3>補強用芯材とネジ節異形棒鋼の性能比較
外径がほぼ同一の補強芯材30と従来のネジ節異形棒鋼製芯材の性能を比較するとつぎのようになる。
【0023】
なお、従来のネジ節異形棒鋼製芯材にJISG3112に記載のSD345を用いた場合の降伏点強度は345MPa以上となり、補強芯材30にJISG3444に記載のSTK400に相当する品を用いた場合の降伏点強度は235MPa以上となる。
【0024】
補強芯材30は従来のネジ節異形棒鋼製芯材と比べて、断面係数(Z)で3.3倍、断面二次モーメントで5.7倍の性能を有している。
本発明で使用する補強芯材30は、従来のネジ節異形棒鋼製の芯材と比べて、3倍以上の断面性能を有するので、小口径場所打ち杭の芯材としての適用が可能となる。
【0025】
[小口径場所打ち杭の構築方法]
つぎに小口径場所打ち杭10の構築方法について説明する。
【0026】
<1>削孔工程
ボーリングマシンを使用し、インナーロッド21とケーシング22を二重にした削孔具に回転と打撃を与えて所定の深さの杭孔20を削孔する(
図5(A))。
削孔を終えたらインナーロッド21を抜き取り、ケーシング22を孔内に残置する(
図5(B))。
【0027】
<2>補強芯材の挿入工程
本発明では削孔直後の杭孔20内に補強芯材30を挿入する(
図5(C))。
【0028】
<3>固結材の注入工程
補強芯材30を通じて杭孔20内に固結材25を注入する(
図5(C))。
固結材25としては、モルタル、セメントミルク等である。必要に応じて固結材25に膨張材を混入させてもよい。
杭孔20の孔底から固結材25を吐出させて杭孔25内に充填する。
【0029】
本発明では補強芯材30を注入ホースとして代用できるので、従来の注入ホースの挿入作業を省略できるだけでなく、注入ホースを挿入せずに固結材25の注入を行う固結材25の注入ミスを確実に根絶できる。
【0030】
<4>ケーシングの引抜き工程
削孔時に残置したケーシング22を抜き取る。
この際、ケーシング22を抜き取りながら杭孔内にエアを送気して加圧して小口径場所打ち杭10の施工を終了する(
図5(D))。
【0031】
<5>杭頭処理工程
地表に露出する補強芯材30の調整および防護を行う。
具体的には、固結材25が硬化した後に、地表に突出した補強芯材30の頭部が隠れるまでコンクリートを場所打ちして擁壁等のコンクリート構造物を構築し、補強芯材30の頭部とコンクリート構造物を一体化する。
すなわち、地表に露出する隣り合う補強芯材30の杭頭間隔の調整、補強芯材30の変形やさびの防止対策を行う。
【0032】
<6>在来工法と比較した省略可能な作業工程
本発明では補強芯材30を注入ホースとして代用できるので、従来の注入ホースを使用しない。
そのため、小口径場所打ち杭10の施工において、従来行っていた注入ホースの挿入工程と、注入ホースの撤去工程を削減することができる。
在来工法における全工程に占める注入ホースの挿入工程と注入ホースの撤去工程が占める割合は10%程度であり、10%程度の工期短縮が可能となる。
実際の現場では、一現場で小口径場所打ち杭10を数十本から数百本を構築するので、小口径場所打ち杭10の構築本数に比例して、工期の短縮期間が大きくなる。
【0033】
<7>補強芯材と固結材の付着力
補強芯材30は凹凸状に形成した管本体31の外周面が固結材25と付着する。
特に、管本体31の外周面に形成した窪み部32と、管本体31の内周面に形成した窪み部32が固結材25と密着するので、管本体31と固結材間で高い付着力 (摩擦抵抗)を得ることができる。
【0034】
さらに固結材25は管本体31の内周面にも付着する。
管本体31の内周面は外周面を反転させた凹凸形状を呈するので、管本体31の内周面と固結材25とが密着するので、補強芯材30の内部でも管本体31と固結材25との間で高い付着力を得ることができる。
【0035】
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0036】
<1>先端キャップ(
図6)
既述した実施例1において、補強芯材30を構成する管本体31の先端部に先端キャップ33を装着してもよい。
先端キャップ33は管本体31の先端部に装着し、泥土の侵入を抑制する機能と、固結材25の吐出機能を有し、全体が金属素材で形成されている。
先端キャップ33は有底構造の筒部34と、筒部34の側面に開設した単数または複数の吐出口35とを具備する。
【0037】
筒部34は管本体31の先端開口部に外装可能な寸法を有していて、接着手段、融着手段、ねじ接合手段、リベット接合手段等により管本体31に固着可能である。
【0038】
<2>先端キャップの機能
杭孔20を削孔する際に孔内に泥土23が在留するが、先端キャップ33の筒部34の底面34aが補強芯材30の開口部の蓋材として機能するため、補強芯材30を杭孔20に挿入する際に、先端キャップ33を通じて管本体31内に泥土23が侵入し難くなる。
【0039】
さらに固結材25の注入工程においては、補強芯材30の管本体31内に供給した固結材25が、先端キャップ33の筒部34の側面に開設した吐出口35を通じて拡径方向へ向けて吐出することができる。
【0040】
<3>本例の効果
本実施例にあっては、既述した実施例1の効果に加えて、管本体31の先端部にキャップ式の先端キャップ33を固着することで、補強芯材30を杭孔20に挿入する工程において、管本体31内への泥土23の逆流を効果的に抑制できると共に、固結材25の注入工程において、先端キャップ33の吐出口35を通じて固結材25を拡径方向へ向けて吐出できる。
【0041】
[実施例3]
<1>頭部キャップ(
図7)
既述した実施例1,2において、補強芯材30を構成する管本体31の頭部に頭部キャップ36を装着してもよい。
【0042】
頭部キャップ36は管本体31の基端に装着し、管本体31の頭部を保護する機能と、補強芯材30の頭部を地表に形成するコンクリート構造物26に定着する機能を有し、全体が金属素材で形成されている。
【0043】
頭部キャップ36は無底構造または有底構造の筒部37と、筒部37の外側面に拡径方向に向けて突設した環状の定着板38とを具備し、これらの筒部37と定着板38は一体に形成してある。
筒部37の径より大きい定着板38の外径は適宜選択する。
本例では筒部37と定着板38の間に補強リブ39を設けた形態を示すが、補強リブ39は必須ではない。
【0044】
筒部37は管本体31の頭部に外装可能な寸法を有していて、接着手段、融着手段、ねじ接合手段、リベット接合手段等により管本体31の頭部に固着可能である。
【0045】
<2>頭部キャップの機能
頭部キャップ36は補強芯材30の取り扱い時に管本体31の頭部が損傷しないように保護機能を発揮する。
さらに頭部キャップ36は、地表にコンクリート構造物26を構築する杭頭処理工程において、頭部キャップ36の定着板38が補強芯材30の頭部とコンクリート構造物50との間の連結強度を高めるために機能する。
【0046】
<3>本例の効果
本実施例にあっては、既述した実施例1または2に記載した効果に加えて、管本体31の頭部にキャップ式の頭部キャップ36を固着することで、管本体31を物理的に保護できると共に、頭部キャップ36の定着板38が補強芯材30との連結強度を高めるので、小口径場所打ち杭10の頭部と地表に形成したコンクリート構造物26との間の連結強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
10・・・・・小口径場所打ち杭
20・・・・・杭孔
21・・・・・インナーロッド
22・・・・・ケーシング
23・・・・・泥土
25・・・・・固結材
30・・・・・補強芯材
31・・・・・管本体
32・・・・・窪み部
32a・・・・窪み部の扁平部
32b・・・・窪み部の柱状溝
33・・・・・先端キャップ
34・・・・・先端キャップの筒部
35・・・・・先端キャップの吐出口
36・・・・・頭部キャップ
37・・・・・頭部キャップの筒部
38・・・・・頭部キャップの定着板