IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日阪製作所の特許一覧

<>
  • 特開-プレート式混合器 図1
  • 特開-プレート式混合器 図2
  • 特開-プレート式混合器 図3
  • 特開-プレート式混合器 図4
  • 特開-プレート式混合器 図5
  • 特開-プレート式混合器 図6
  • 特開-プレート式混合器 図7
  • 特開-プレート式混合器 図8
  • 特開-プレート式混合器 図9
  • 特開-プレート式混合器 図10
  • 特開-プレート式混合器 図11
  • 特開-プレート式混合器 図12
  • 特開-プレート式混合器 図13
  • 特開-プレート式混合器 図14
  • 特開-プレート式混合器 図15
  • 特開-プレート式混合器 図16
  • 特開-プレート式混合器 図17
  • 特開-プレート式混合器 図18
  • 特開-プレート式混合器 図19
  • 特開-プレート式混合器 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094180
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】プレート式混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20230628BHJP
【FI】
B01F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209502
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 功
(72)【発明者】
【氏名】岡本 民雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 賢一
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB30
4G035AB37
4G035AB49
4G035AC03
(57)【要約】
【課題】十分な混合性能が得られるプレート式混合器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、第一方向に重ね合わされ且つ互いの間に混合対象物が第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路空間を形成する二つのプレートによって構成されるプレート対を複数備え、複数のプレート対は、隣り合うプレート対同士の間に混合対象物が第二方向に流通可能な第二流路空間を形成するように第一方向に重ね合わされ、複数のプレート対のうちの少なくとも一つのプレート対は、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向に延びて第一流路空間を仕切る第一壁部を有し、第一壁部を有するプレート対を構成する各プレートは、第一壁部の第二方向における一方側に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置に第一方向に貫通する第一貫通孔をそれぞれ有する、ことを特徴とする。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に重ね合わされ且つ互いの間に混合対象物が前記第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路空間を形成する二つのプレートによって構成されるプレート対を複数備え、
前記複数のプレート対は、隣り合う前記プレート対同士の間に混合対象物が前記第二方向に流通可能な第二流路空間を形成するように前記第一方向に重ね合わされ、
前記複数のプレート対のうちの少なくとも一つのプレート対は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に延びて前記第一流路空間を仕切る第一壁部を有し、
前記第一壁部を有するプレート対を構成する各プレートは、前記第一壁部の前記第二方向における一方側に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置に前記第一方向に貫通する第一貫通孔をそれぞれ有する、プレート式混合器。
【請求項2】
前記第一方向に隣り合う前記プレート対のそれぞれにおいて、該プレート対を構成する各プレートは、前記第一貫通孔をそれぞれ有し、
前記隣り合う二つのプレート対において、該二つのプレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートの前記第一貫通孔は、互いに対向している、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項3】
前記第一方向に隣り合う前記プレート対のそれぞれにおいて、該プレート対を構成する各プレートは、前記第一貫通孔をそれぞれ有し、
前記隣り合う二つのプレート対において、該二つのプレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートの前記第一貫通孔は、前記第二方向においてずれた位置にある、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項4】
前記隣り合う二つのプレート対において、該プレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートは、該プレートにおける前記第一貫通孔より前記第二方向の他方側で且つ互いに対向する位置に前記第一方向に貫通する第二貫通孔をそれぞれ有し、
該隣り合う二つのプレート対は、前記対向する第二貫通孔の前記第二方向における他方側に隣り合う領域で前記第三方向に延びて前記第二流路空間を仕切る第二壁部を有する、請求項2又は3に記載のプレート式混合器。
【請求項5】
前記プレート対は、前記第三方向の一部において前記第一流路空間を仕切る少なくとも一つの壁部、及び、前記第一流路空間を形成する前記二つのプレートの少なくとも一方から前記第三方向の一部において前記第一方向の第一流路空間側に突出する少なくとも一つの第一凸部の少なくとも一方を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレート式混合器。
【請求項6】
前記第一方向に隣り合う二つのプレート対は、前記第三方向の一部において前記第二流路空間を仕切る少なくとも一つの壁部を有し、又は、前記第二流路空間を形成する二つのプレートの少なくとも一方から前記第三方向の一部において前記第一方向の第二流路空間側に突出する少なくとも一つの第二凸部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレート式混合器。
【請求項7】
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔の少なくとも一方は、前記第二方向の同じ位置において前記第三方向に複数配置されている、請求項4に記載のプレート式混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する複数の混合対象物がプレート間を通過することで混合されるプレート式混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のプレートが積層され、プレート間に流動性を有する混合対象物(2種類又はそれ以上の原料液)を通過させることで、これら混合対象物の混合を行うプレート式混合器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このプレート式混合器を構成する各プレートは、上下両端に原料液が通る液通路孔を有し、その中間部に原料液の混合を目的とする乱流発生用のヘリンボーン模様に形成された波形部を有する。
【0004】
これら複数のプレートが、上端の液通路孔の上部から下端の液通路孔の下部に至るプレート周囲を囲繞するシールガスケットを介して交互にひっくり返されて複数枚積層され、この積層された複数のプレートが積層方向に締付けられることにより、各プレート間に混合通路が形成されると共に、この混合通路を形成する二つのプレートの波形部同士が互いに交差衝合する当り点が複数形成される。
【0005】
このプレート式混合器では、隣り合うプレート間に形成された混合通路を混合対象物が通過するときに複数の当り点に衝突することで流れの分割と合流が繰り返され、混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-299772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、以上のプレート式混合器では、プレート間(混合通路)内でしか混合対象物が混合されないため、複数のプレート間で混合対象物の混合を行ったときに、プレート間毎の混合対象物の混合状態のバラつきが生じることがあり、十分な混合性能が得られない場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、十分な混合性能が得られるプレート式混合器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプレート式混合器は、
第一方向に重ね合わされ且つ互いの間に混合対象物が前記第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路空間を形成する二つのプレートによって構成されるプレート対を複数備え、
前記複数のプレート対は、隣り合う前記プレート対同士の間に混合対象物が前記第二方向に流通可能な第二流路空間を形成するように前記第一方向に重ね合わされ、
前記複数のプレート対のうちの少なくとも一つのプレート対は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に延びて前記第一流路空間を仕切る第一壁部を有し、
前記第一壁部を有するプレート対を構成する各プレートは、前記第一壁部の前記第二方向における一方側に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置に前記第一方向に貫通する第一貫通孔をそれぞれ有する。
【0010】
かかる構成によれば、第一流路空間と第二流路空間とに第二方向の他方側に向けて混合対象物を流通させたときに、第一流路空間を流通する混合対象物が第一壁部に衝突して該第一壁部の直上流側の各第一貫通孔を通じて第一方向の両側の第二流路空間にそれぞれ流入する(即ち、第一壁部に衝突した混合対象物が第一方向の一方側と他方側とに分割されて各第二流路空間に流入する)ことで、第一流路空間と第二流路空間とを流れる混合対象物の混合が好適に行われ、これにより、流路空間毎の混合対象物の混合状態のバラつきが抑えられ、その結果、十分な混合性能が得られる。
【0011】
前記プレート式混合器では、
前記第一方向に隣り合う前記プレート対のそれぞれにおいて、該プレート対を構成する各プレートは、前記第一貫通孔をそれぞれ有し、
前記隣り合う二つのプレート対において、該二つのプレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートの前記第一貫通孔は、互いに対向していてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、第一流路空間と第二流路空間とに第二方向の他方側に向けて混合対象物を流通させたときに、一方のプレート対の第一流路空間から該プレート対の第一貫通孔を通じて第二流路空間(隣り合うプレート対間に形成される第二流路空間)に流入する混合対象物と、他方のプレート対の第一流路空間から該プレート対の第一貫通孔を通じて第二流路空間に流入する混合対象物と、第二流路空間を流れる混合対象物と、が前記互いに対向する第一貫通孔間の領域(合流領域)で合流する(ぶつかる)ことで、この合流領域において混合対象物の混合が効果的に行われる。
【0013】
また、前記プレート式混合器では、
前記第一方向に隣り合う前記プレート対のそれぞれにおいて、該プレート対を構成する各プレートは、前記第一貫通孔をそれぞれ有し、
前記隣り合う二つのプレート対において、該二つのプレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートの前記第一貫通孔は、前記第二方向においてずれた位置にあってもよい。
【0014】
かかる構成によれば、第一流路空間と第二流路空間とに第二方向の他方側に向けて混合対象物を流通させたときに、一方のプレート対のプレート間(第一流路空間)を流れる混合対象物とプレート対間(第二流路空間)を流れる混合対象物との合流位置と、他方のプレート対のプレート間(第一流路空間)を流れる混合対象物とプレート対間(第二流路空間)を流れる混合対象物との合流位置と、が第二方向にずれていることで、異なる流路空間を流れる混合対象物同士の合流位置が多くなり、これにより、混合対象物の混合が好適に行われる。
【0015】
また、前記プレート式混合器では、
前記隣り合う二つのプレート対において、該プレート対間の前記第二流路空間を形成する二つのプレートは、該プレートにおける前記第一貫通孔より前記第二方向の他方側で且つ互いに対向する位置に前記第一方向に貫通する第二貫通孔をそれぞれ有し、
該隣り合う二つのプレート対は、前記対向する第二貫通孔の前記第二方向における他方側に隣り合う領域で前記第三方向に延びて前記第二流路空間を仕切る第二壁部を有してもよい。
【0016】
かかる構成によれば、第二流路空間を流れる混合対象物に第一貫通孔を通じて第一流路空間を流れる混合対象物が混合されたものが、第二壁部に衝突して該第二壁部の直上流側の各第二貫通孔を通じて第一方向の両側の第一流路空間にそれぞれ流入する(即ち、第二壁部に衝突した混合対象物が第一方向の一方側と他方側とに分割されて各第一流路空間に流入する)ことで、第一流路空間と第二流路空間とを流れる混合対象物の混合がより効果的に行われ、これにより、流路空間毎の混合対象物の混合状態のバラつきがより抑えられる。
【0017】
また、前記プレート式混合器では、
前記プレート対は、前記第三方向の一部において前記第一流路空間を仕切る少なくとも一つの壁部、及び、前記第一流路空間を形成する前記二つのプレートの少なくとも一方から前記第三方向の一部において前記第一方向の第一流路空間側に突出する少なくとも一つの第一凸部の少なくとも一方を有してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、第一流路空間を第二方向の他方側に向けて流れる混合対象物が壁部及び第一凸部の少なくとも一方と衝突して該混合対象物の流れが第三方向に分割等されることで、第一流路空間内での混合対象物の混合が好適に行われる。
【0019】
また、前記プレート式混合器では、
前記第一方向に隣り合う二つのプレート対は、前記第三方向の一部において前記第二流路空間を仕切る少なくとも一つの壁部を有し、又は、前記第二流路空間を形成する二つのプレートの少なくとも一方から前記第三方向の一部において前記第一方向の第二流路空間側に突出する少なくとも一つの第二凸部を有してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、第二流路空間を第二方向の他方側に向けて流れる混合対象物が壁部及び第二凸部の少なくとも一方と衝突して該混合対象物の流れが第三方向に分割等されることで、第二流路空間内での混合対象物の混合が好適に行われる。
【0021】
また、前記プレート式混合器では、
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔の少なくとも一方は、前記第二方向の同じ位置において前記第三方向に複数配置されていてもよい。
【0022】
混合対象物が、第一流路空間から第二流路空間に流入するとき、又は、第二流路空間から第一流路空間に流入するときに、一つの貫通孔を通じて流入するより、複数の貫通孔を通じて流入する方が流れは複雑になり(例えば、乱流が促進され)、これにより、第一流路空間と第二流路空間とを流れる混合対象物が好適に混合される。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、十分な混合性能が得られるプレート式混合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係るプレート式混合器の斜視図である。
図2図2は、前記プレート式混合器の分解斜視図である。
図3図3は、前記プレート式混合器が備える一対のフレーム及び混合器本体の一部を省略した分解斜視図である。
図4図4は、前記プレート式混合器における混合対象物及び温度調整用の流体の流れを示す模式図である。
図5図5は、前記混合器本体が有する第一のプレートを第一面側から見た図である。
図6図6は、前記第一のプレートを第二面側から見た図である。
図7図7は、前記混合器本体が有する第二のプレートを第一面側から見た図である。
図8図8は、前記第二のプレートを第二面側から見た図である。
図9図9は、前記混合器本体が有する第一のガスケットの正面図である。
図10図10は、前記第一のガスケットが第一面に配置された状態の前記第一のプレートを第一面側から見た図である。
図11図11は、前記混合器本体が有する第二のガスケットの正面図である。
図12図12は、前記第二のガスケットが第一面に配置された状態の前記第二のプレートを第一面側から見た図である。
図13図13は、前記混合器本体の中央縦断面位置での構成を説明するための図である。
図14図14は、図13のXIV位置における拡大図である。
図15図15は、図13のXV位置における拡大図である。
図16図16は、図13のXVI位置における拡大図である。
図17図17は、図13のXVII位置における拡大図である。
図18図18は、他実施形態に係る混合器本体の第一部位の中央縦断面図である。
図19図19は、他実施形態に係るプレートの凸部の配置の一例を示す図である。
図20図20は、他実施形態に係るプレートの第一貫通孔の配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図1図17を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態に係るプレート式混合器(以下、単に「混合器」とも称する。)は、図1図4に示すように、所定方向に重ね合わされる複数のプレート3を備え、流動性を有する複数種の混合対象物A、Bを各プレート3間に流入させることでこれら複数種の混合対象物A、Bを混合する。この混合器1が混合可能な混合対象物A、Bとは、液体や気体等の流体、粉体(粉、粒等の集まったもの)、エマルジョン流体やスラリー流体等の液体同士が混ざったものや流体と粉体とが混ざったもの、液体に気体が混ざったもの(例えば、炭酸水、発泡石鹸水)等であり、流動性を有する。また、以下では、複数種の混合対象物A、Bが混合されたもの(即ち、混合された状態の複数種の混合対象物)を「混合物C」とも称することもある。
【0027】
具体的に、混合器1は、重ね合わされた複数のプレート3を有する混合器本体2を備える。また、混合器1は、混合対象物A、Bを混合器本体2内にそれぞれ供給する複数(本実施形態の例では、二つ)の供給流路Ch1、Ch2と、混合物Cを混合器本体2の外部に排出する少なくとも一つの排出流路Ch3と、を備える。本実施形態の混合器1では、混合器本体2の一部によって複数の供給流路Ch1、Ch2と、少なくとも一つの排出流路Ch3と、が形成されている。また、本実施形態の混合器1は、プレート3の重ね合わせ方向において混合器本体2を挟み込む一対のフレーム5a、5bと、混合器本体2と一対のフレーム5a、5bとを配置位置にガイドするガイド部6と、一対のフレーム5a、5bを互いの間隔が小さくなる方向に締め付け可能な複数の締付部材7等、も備える。
【0028】
混合器本体2は、プレート3の重ね合わせ方向が水平方向と一致するように配置され、混合器本体2の上部において水平方向に延びる複数の供給流路Ch1、Ch2のそれぞれから供給された混合対象物A、Bが、混合器本体2の上部から混合器本体2内を下方に向けて流れることで混合される。そして、混合された後の混合対象物A、B(即ち、混合物C)は、混合器本体2の下部において水平方向に延びる排出流路Ch3から外部に排出される。以下では、プレート3の重ね合わせ方向をX軸方向(第一方向)とし、プレート3の重ね合わせ方向と直交し且つ該プレート3に沿った方向をY軸方向(第三方向)とし、上下方向をZ軸方向(第二方向)とする。
【0029】
この混合器本体2は、X軸方向に重ね合わされ且つ互いの間に混合対象物A、BがZ軸方向に(本実施形態では、下方に向けて)流通可能な第二流路(第一流路空間)R2を形成(画定)する二つのプレート3A、3Bによって構成される複数のプレート対3Tを備える(図4参照)。混合器本体2において、これら複数のプレート対3Tは、隣り合うプレート対3T同士の間に混合対象物A、BがZ軸方向に(本実施形態では、下方に向けて)流通可能な第一流路(第二流路空間)R1を形成するようにX軸方向に重ね合わされている(図4参照)。
【0030】
具体的に、混合器本体2は、X軸方向に重ね合わされる複数のプレート3と、X軸方向に隣り合う二つのプレート3の間(以下、単に「プレート3間」と称する。)に挟み込まれる複数のガスケット4と、を有する。混合器本体2では、これら複数のプレート3と複数のガスケット4とによって、各プレート3間に混合対象物A、B等が流通可能な流路R1~R4が形成されている(図4参照)。
【0031】
複数のプレート3のそれぞれは、上下方向に長尺な板状であり、伝熱性を有する。詳しくは、各プレート3は、ステンレス鋼、チタン等の金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。尚、プレート3は、樹脂、セラミック等によって構成されていてもよい。この場合、例えば押し出し成型法等によってプレート3が成形される。
【0032】
これら複数のプレート3は、図5図8にも示されるような二種類のプレート(第一のプレート3A、第二のプレート3B)を含み、各プレート3は、伝熱性を有する。これら二種類のプレート3A、3Bは、混合器本体2においてX軸方向に交互に配置されている(図3及び図4参照)。尚、本実施形態において「伝熱性を有する」とは、熱伝導率が0.2W/m・K以上のことを言う。この値は、混合対象物A、Bを温度調整しつつ混合する本実施形態の混合器1において、使用が予定されているプレート3の材質のうちで最も熱伝導率の低い材質(例えば、耐薬液用途で使用可能なフッ素樹脂等)に基づいて設定されたものである。換言すると、本実施形態の混合器1では、混合対象物A、Bを他の流体と熱交換しつつ混合できるように、熱伝導率が所定の値(0.2W/m・K)以上の材質によってプレート3が形成されている。
【0033】
具体的に、各プレート3A、3Bは、X軸方向と直交する方向に広がり且つZ軸方向に長尺な矩形板状であり、X軸方向における一方の面(第一面)S1、S3と、第一面S1、S3と反対側(即ち、X軸方向の他方)の面(第二面)S2、S4と、をそれぞれ有する。本実施形態の各プレート3A、3Bの輪郭は、同じである。
【0034】
本実施形態の混合器本体2では、第一のプレート3Aと第二のプレート3Bとが第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3と対向させた状態で重ね合わされることで、プレート対3Tを構成している。また、混合器本体2では、隣り合う二つのプレート対3Tが、一方のプレート対3Tの第二のプレート3Bの第二面S4と、他方のプレート対3Tの第一のプレート3Aの第一面S1とを対向させた状態で重ね合わされている。
【0035】
換言すると、混合器本体2では、第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3とが対向し、第二のプレート3Bの第二面S4と第一のプレート3Aの第一面S1とが対向するように、第一のプレート3Aと第二のプレート3BとがX軸方向に交互に配置されている(図3及び図4参照)。
【0036】
各プレート3A、3Bは、Z軸方向の一方の端部(本実施形態の例では上端部)から他方の端部(本実施形態の例では下端部)に向けて、即ち、下流側に向けて第一領域Ar1と第二領域Ar2とを順に有する。また、各プレート3A、3Bは、第二領域Ar2の下方位置(下流側)に第三領域Ar3を有する。本実施形態の各プレート3A、3Bにおいて、第一のプレート3Aの第一領域Ar1と、第二のプレート3Bの第一領域Ar1とは、Z軸方向の同じ領域(範囲)であり、第一のプレート3Aの第二領域Ar2と、第二のプレート3Bの第二領域Ar2とは、Z軸方向の同じ領域(範囲)であり、第一のプレート3Aの第三領域Ar3と、第二のプレート3Bの第三領域Ar3とは、Z軸方向の同じ領域(範囲)である。また、本実施形態の各プレート3A、3Bは、ガスケット4が配置されるガスケット配置部30Aと、Z軸方向の両端に形成される一対のガイド用係合部30Bと、を有する。
【0037】
このガスケット配置部30Aは、各プレート3A、3Bにおいてガスケット4A、4Bが配置される部位であり、例えば、ガスケット4A、4Bをプレート3間に挟み込むときに該ガスケット4A、4Bのプレート3A、3Bに対する位置ずれを防ぐ。このガスケット配置部30Aは、各プレート3A、3Bに形成された溝や、ガスケット4A、4Bの各部位の幅方向の両側に形成される凸部等によって構成されている。
【0038】
尚、各プレート3A、3Bの各面S1、S2、S3、S4を示す図5図8等においては、ガスケット配置部30Aを、配置されるガスケット4A、4Bの形状に即した形状としているため、同じプレート3A、3Bにおける第一面S1、S3と第二面S2、S4とで異なった形状となっているが、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって各プレート3A、3Bが形成されているため、実際のガスケット配置部30Aを構成する溝や凸部等は、同じプレート3A、3Bにおける第一面S1、S3と第二面S2、S4とにおいて表裏の関係(即ち、X軸方向から見て同じ形で且つ突出方向(又は凹み方向)が逆の関係)である。
【0039】
また、ガイド用係合部30Bは、各プレート3A、3Bがガイド部6に配置されるときに該ガイド部6と係合する部位である。本実施形態のガイド用係合部30Bは、各プレート3A、3Bの上端と下端とに形成された切欠きである。各ガイド用係合部30Bは、各プレート3A、3Bの上辺及び下辺におけるY軸方向の中央位置に配置されている。
【0040】
以下、プレート3A、3B毎の構成について詳細に説明する。
【0041】
第一のプレート3Aは、第一領域Ar1に、複数の連通孔31Aと、少なくとも一つの貫通孔32Aと、を有する。本実施形態の第一のプレート3Aは、第一領域Ar1に、複数の貫通孔32Aを有する。また、第一のプレート3Aは、第一領域Ar1の第一面S1に、X軸方向の第一面S1側に突出する少なくとも一つの凸部34a及びX軸方向の第二面S2側に凹む少なくとも一つの凹部33aのうちの少なくとも一方を有する(図5参照)。本実施形態の第一のプレート3Aは、第一領域Ar1の第一面S1に、複数の凸部34aと複数の凹部33aとを有する。
【0042】
尚、本実施形態の第一のプレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S1においてX軸方向の第一面S1側に突出する凸部34aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第一面S1側に凹む凹部34bが形成され、第一面S1においてX軸方向の第二面S2側に凹む凹部33aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第二面S2側に突出する凸部33bが形成されている(図5及び図6参照)。
【0043】
複数の連通孔31Aの数は、混合器1において混合が予定されている混合対象物の数(種類)に応じて設定されている。本実施形態の混合器1は、二種類の混合対象物(第一の混合対象物Aと第二の混合対象物B)を混合するため、第一のプレート3Aは、第一領域Ar1に、二つの連通孔(第一連通孔311Aと第二連通孔312A)を有する。
【0044】
第一連通孔311Aは、第一領域Ar1の上端部におけるY軸方向の中央位置に配置され、第二連通孔312Aは、第一領域Ar1における第一連通孔311Aより下方位置で且つ第一連通孔311Aに対してY軸方向にずれた位置に配置されている。本実施形態の各連通孔311A、312Aは、X軸方向に貫通する円形の貫通孔であり、第一連通孔311Aの内径は、第二連通孔312Aの内径より大きい。この第一連通孔311Aの内径と第二連通孔312Aの内径との大小関係は、限定されない。
【0045】
複数の貫通孔32Aは、それぞれX軸方向に貫通し、Z軸方向に間隔をあけて並んでいる。これら複数の貫通孔32Aは、第一連通孔311A及び第二連通孔312Aより下方位置に配置されている。各貫通孔32Aは、Y軸方向に延びる長孔であり、第一領域Ar1におけるY軸方向の中央位置に配置されている。本実施形態の第一のプレート3Aでは、複数の貫通孔32Aは、第二流路R2から第一流路R1へ混合対象物A、Bが流入する複数の第一貫通孔321Aと、第一流路R1から第二流路R2へ混合対象物A、Bが流入する複数の第二貫通孔322Aと、を含む。これら第一貫通孔321Aと第二貫通孔322Aとは、Z軸方向において交互に配置されている。
【0046】
第一面S1の各凸部34aは、Y軸方向に延びており、第一面S1における各第二貫通孔322Aの下方側、即ち、Z軸方向の他方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凸部34aは、Z軸方向における該凸部34aと対応する位置のガスケット配置部30AのY軸方向の間隔より短い。即ち、Y軸方向において、凸部34aの各端部と、対応する位置のガスケット配置部30Aとの間に隙間が形成されている。尚、凸部34aのY軸方向の長さは限定されず、凸部34aは、ガスケット配置部30Aと当接する位置まで延びていてもよい。
【0047】
第一面S1の各凹部33aは、Y軸方向に延びており、第一面S1における各第一貫通孔321Aの下方側、即ち、Z軸方向の他方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凹部33aは、Z軸方向における該凹部33aと対応する位置のガスケット配置部30AのY軸方向の間隔より短い。即ち、Y軸方向において、凹部33aの各端部と、対応する位置のガスケット配置部30Aとの間に隙間が形成されている。本実施形態の凹部33aのY軸方向の寸法は、凸部34aのY軸方向の寸法と同じである。尚、凹部33aのY軸方向の長さは限定されず、凹部33aは、ガスケット配置部30Aと当接する位置まで延びていてもよい。また、凹部33aのY軸方向の寸法は、凸部34aのY軸方向の寸法と異なっていてもよい。
【0048】
第二面S2の各凹部34bは、第一面S1の凸部34aと表裏の関係である。具体的に、第二面S2の各凹部34bは、Y軸方向に延びており、第二面S2における各第二貫通孔322Aの下方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。
【0049】
第二面S2の各凸部33bは、第一面S1の凹部33aと表裏の関係である。具体的に、第二面S2の各凸部33bは、Y軸方向に延びており、第二面S2における各第一貫通孔321Aの下方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。
【0050】
また、第一のプレート3Aは、第二領域Ar2に、少なくとも一対の第三連通孔313Aを有する。また、第一のプレート3Aは、第二領域Ar2の第一面S1に、X軸方向の第一面S1側に突出する少なくとも一つの混合用凸部35a及びX軸方向の第二面S2側に凹む少なくとも一つの混合用凹部36aのうちの少なくとも一方を有する。本実施形態の第一のプレート3Aは、一対の第三連通孔313Aを有し、第二領域Ar2の第一面S1に複数の混合用凸部35aと複数の混合用凹部36aとを有する。
【0051】
尚、本実施形態の第一のプレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S1においてX軸方向の第一面S1側に突出する混合用凸部35aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第一面S1側に凹む混合用凹部35bが形成され、第一面S1においてX軸方向の第二面S2側に凹む混合用凹部36aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第二面S2側に突出する混合用凸部36bが形成されている。
【0052】
一対の第三連通孔313Aは、第二領域Ar2において、Y軸方向の両端部に配置されている。具体的に、一対の第三連通孔313Aは、X軸方向から見て、第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4との間(プレート3間)において第一連通孔311A、311Bから第四連通孔314A、314Bに向けて形成される流路(第一流路R1:図4参照)のY軸方向の両側に配置されている。より具体的に、一対の第三連通孔313Aのうちの一方の第三連通孔313A1は、第二領域Ar2におけるY軸方向の一方の端部で且つZ軸方向の所定位置(本実施形態の例では、第二領域Ar2の下端部)に配置され、他方の第三連通孔313A2は、第二領域Ar2におけるY軸方向の他方の端部で且つ一方の第三連通孔313A1より上方位置(本実施形態の例では、第二領域Ar2の上端部)に配置されている。
【0053】
第一面S1の複数の混合用凸部35aと複数の混合用凹部36aとは、Z軸方向に交互に並んでいる。本実施形態の第二領域Ar2の第一面S1における混合用凸部35aと混合用凹部36aとは、V字状の凸部と凹部とがZ軸方向に交互に形成された(図15参照)、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。
【0054】
また、第二面S2の各混合用凸部36bは、第一面S1の混合用凹部36aと表裏の関係であり、第二面S2の各混合用凹部35bは、第一面S1の混合用凸部35aと表裏の関係である。このため、本実施形態の第二領域Ar2の第二面S2における混合用凸部36bと混合用凹部35bとは、V字状の凸部と凹部とがZ軸方向に交互に形成された(図15参照)、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。
【0055】
これら複数の混合用凸部35a、36bと複数の混合用凹部36a、35bは、第一のプレート3Aと第二のプレート3Bとの間、即ち、プレート3間を混合対象物A、Bや温度調整用の流体D等が流れることで該混合対象物A、B等の流れに乱流等を生じさせ、これにより、流路R1、R3を流れる混合対象物A、B等の混合効率や熱交換効率を向上させる。本実施形態の混合器本体2では、プレート3間の一部に流路(第一流路R1、第三流路R3:図4参照)が形成され、複数の混合用凸部35a、36bと複数の混合用凹部36a、35bとは、該流路R1、R3を流れる混合対象物A、B等の流れに乱流等を生じさせる。尚、図2図3図5図8図10、及び図12等においては、混合用凸部35a、36b及び混合用凹部36a、35bの数、形状、及び配置を模式的に示している。
【0056】
また、第一のプレート3Aは、第三領域Ar3に、少なくとも一つの第四連通孔314Aと、複数の貫通孔37Aと、を有する。本実施形態の第一のプレート3Aは、第三領域Ar3に、一つの第四連通孔314Aを有する。また、第一のプレート3Aは、第三領域Ar3の第一面S1に、X軸方向の第一面S1側に突出する少なくとも一つの凸部38a及びX軸方向の第二面S2側に凹む少なくとも一つの凹部39aのうちの少なくとも一方を有する。本実施形態の第一のプレート3Aは、第三領域Ar3の第一面S1に、一つの凸部38aと一つの凹部39aとを有する。
【0057】
尚、本実施形態の第一のプレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S1においてX軸方向の第一面S1側に突出する凸部38aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第一面S1側に凹む凹部38bが形成され、第一面S1においてX軸方向の第二面S2側に凹む凹部39aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、X軸方向の第二面S2側に突出する凸部39bが形成されている。
【0058】
第四連通孔314Aは、第三領域Ar3の下端部に配置されている。本実施形態の第四連通孔314Aは、第三領域Ar3の下端部におけるY軸方向の中央位置に配置されている円形の貫通孔である。この第四連通孔314Aの内径は、第一連通孔311Aと同じである。
【0059】
複数の貫通孔37Aは、Z軸方向に間隔をあけて並んでいる。これら複数の貫通孔37Aは、第四連通孔314Aより上方位置に配置されている。各貫通孔37Aは、Y軸方向に延びる長孔であり、第三領域Ar3におけるY軸方向の中央位置に配置されている。本実施形態の各貫通孔37Aは、第一領域Ar1の第一貫通孔321A及び第二貫通孔322Aと同じ形状である。
【0060】
第一面S1の凸部38aは、Y軸方向に延びており、第一面S1における所定の貫通孔37A間に配置されている。また、第一面S1の凹部39aは、Y軸方向に延びており、第一面S1における他の(凸部38aの配置位置と異なる)貫通孔37A間に配置されている。
【0061】
第二面S2の凹部38bは、第一面S1の凸部38aと表裏の関係であり、第二面S2の凸部39bは、第一面S1の凹部39aと表裏の関係である。即ち、第二面S2の凹部38bは、第二面S2における所定の貫通孔37A間においてY軸方向に延び、第二面の凸部39bは、第二面S2における他の貫通孔37A間においてY軸方向に延びている。
【0062】
第二のプレート3Bは、第一領域Ar1に、複数の連通孔31Bと、少なくとも一つの貫通孔32Bと、を有する。本実施形態の第二のプレート3Bは、第一領域Ar1に、複数の貫通孔32Bを有する。また、第二のプレート3Bは、第一領域Ar1の第一面S3に、X軸方向の第一面S3側に突出する少なくとも一つの凸部33c及びX軸方向の第二面S4側に凹む少なくとも一つの凹部34cのうちの少なくとも一方を有する(図7参照)。本実施形態の第二のプレート3Bは、第一領域Ar1の第一面S3に、複数の凸部33cと複数の凹部34cとを有する。
【0063】
尚、本実施形態の第二のプレート3Bも、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S3においてX軸方向の第一面S3側に突出する凸部33cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第一面S3側に凹む凹部33dが形成され、第一面S3においてX軸方向の第二面S4側に凹む凹部34cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第二面S4側に突出する凸部34dが形成されている(図7及び図8参照)。
【0064】
複数の連通孔31Bは、第一のプレート3Aの連通孔31Aと同じ数であり、各連通孔31Bは、第一のプレート3Aの連通孔31AとX軸方向から見て重なる位置(以下、単に「重なる位置」とも称する。)にそれぞれ配置されている。本実施形態の第二のプレート3Bは、第一領域Ar1に、二つの連通孔(第一連通孔311Bと第二連通孔312B)を有し、第一連通孔311Bは、第一のプレート3Aの第一連通孔311Aと重なる位置、即ち、第一領域Ar1の上端部におけるY軸方向の中央位置に配置され、第二連通孔312Bは、第一のプレート3Aの第一連通孔311Aと重なる位置、即ち、第一領域Ar1における第一連通孔311Bより下方位置で且つ第一連通孔311Bに対してY軸方向にずれた位置に配置されている。本実施形態の各連通孔311B、312Bは、第一のプレート3Aの各連通孔311A、312Aと同様に、X軸方向に貫通する円形の貫通孔であり、第一連通孔311Bの内径は、第二連通孔312Bの内径より大きい。この第一連通孔311Bの内径と第二連通孔312Bの内径との大小関係は、限定されない。
【0065】
複数の貫通孔32Bは、それぞれX軸方向に貫通し、Z軸方向に間隔をあけて並んでいる。本実施形態の各貫通孔32Bは、第一のプレート3Aの対応する貫通孔32Aと重なる位置にそれぞれ配置されている。具体的に、各貫通孔32Bは、第一のプレート3Aの対応する貫通孔32Aと同じ形状(Y軸方向に延びる長孔)であり、第一領域Ar1におけるY軸方向の中央位置にそれぞれ配置されている。
【0066】
また、本実施形態の第二のプレート3Bでは、第一のプレート3Aの複数の貫通孔32Aと同様に、複数の貫通孔32Bは、第二流路R2から第一流路R1へ混合対象物A、Bが流入する複数の第一貫通孔321Bと、第一流路R1から第二流路R2へ混合対象物A、Bが流入する複数の第二貫通孔322Bと、を含む。これら第一貫通孔321Bと第二貫通孔322Bとは、Z軸方向において交互に配置されている。
【0067】
第一面S3の各凸部33cは、Y軸方向に延びており、第一面S3における各第二貫通孔322Bの下方側、即ち、Z軸方向の他方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凸部33cは、第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凸部33bと重なる位置で且つ同じ形状である。また、互いに対向する第二のプレート3Bの第一面S3の各凸部33cと第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凸部33bとは、互いの頂部(X軸方向に最も突出している部位)同士をそれぞれ当接させている。これにより、第一のプレート3Aの凸部33bと第二のプレート3Bの凸部33cとが、Y軸方向に延びて第二流路R2を仕切る第一壁部W1を構成する(図13及び図14参照)。即ち、各プレート対3Tは、凸部33b及び凸部33cの頂部同士が当接することによって構成される第一壁部W1を有し、この第一壁部W1は、対向する第一貫通孔321A、321Bの下方側に隣り合う領域に配置されている。
【0068】
第一面S3の各凹部34cは、Y軸方向に延びており、第一面S3における各第一貫通孔321Bの下方側、即ち、Z軸方向の他方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凹部34cは、第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凹部34bと重なる位置で且つ同じ形状である。
【0069】
第二面S4の各凹部33dは、第一面S3の凸部33cと表裏の関係である。具体的に、第二面S4の各凹部33dは、Y軸方向に延びており、第二面S4における各第二貫通孔322Bの下方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凹部33dは、第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凹部33aと重なる位置で且つ同じ形状である。
【0070】
第二面S4の各凸部34dは、第一面S3の凹部34cと表裏の関係である。具体的に、第二面S4の各凸部34dは、Y軸方向に延びており、第二面S4における各第一貫通孔321Bの下方側に隣り合う領域(位置)にそれぞれ配置されている。本実施形態の各凸部34dは、第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凸部34aと重なる位置で且つ同じ形状である。また、互いに対向する第二のプレート3Bの第二面S4の各凸部34dと第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凸部34aとは、互いの頂部(X軸方向に最も突出している部位)同士をそれぞれ当接させている。これにより、第一のプレート3Aの凸部34aと第二のプレート3Bの凸部34dとが、Y軸方向に延びて第一流路R1を仕切る第二壁部W2を構成する(図13及び図14参照)。即ち、隣り合う二つのプレート対3Tは、凸部34a及び凸部34dの頂部同士が当接することによって構成される第二壁部W2を有し、この第二壁部W2は、対向する第二貫通孔322A、322Bの下方側に隣り合う領域に配置されている。
【0071】
また、第二のプレート3Bは、第二領域Ar2に、少なくとも一対の第三連通孔313Bを有する。また、第二のプレート3Bは、第二領域Ar2の第一面S3に、X軸方向の第一面S3側に突出する少なくとも一つの混合用凸部36c及びX軸方向の第二面S4側に凹む少なくとも一つの混合用凹部35cのうちの少なくとも一方を有する。本実施形態の第二のプレート3Bは、一対の第三連通孔313Bを有し、第二領域Ar2の第一面S3に複数の混合用凸部36cと複数の混合用凹部35cとを有する。
【0072】
尚、本実施形態の第二のプレート3Bも、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S3においてX軸方向の第一面S3側に突出する混合用凸部36cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第一面S3側に凹む混合用凹部36dが形成され、第一面S1においてX軸方向の第二面S2側に凹む混合用凹部35cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第二面S4側に突出する混合用凸部35dが形成されている。
【0073】
一対の第三連通孔313Bは、第二領域Ar2において、Y軸方向の両端部に配置されている。具体的に、各第三連通孔313Bは、第一のプレート3Aの対応する第三連通孔313Aと重なる位置、即ち、一対の第三連通孔313Bのうちの一方の第三連通孔313B1は、第二領域Ar2におけるY軸方向の一方の端部で且つZ軸方向の所定位置(第一のプレート3Aの一方の第三連通孔313A1と重なる位置)に配置され、他方の第三連通孔313B2は、第二領域Ar2におけるY軸方向の他方の端部で且つ一方の第三連通孔313B1より上方位置(第一のプレート3Aの他方の第三連通孔313A2と重なる位置)に配置されている。
【0074】
第一面S3の複数の混合用凸部36cと複数の混合用凹部35cとは、Z軸方向に交互に並んでいる。本実施形態の第二領域Ar2の第一面S3における混合用凸部36cと混合用凹部35cとは、第一のプレート3Aの第一面S1における混合用凸部35a及び混合用凹部36aの屈曲方向とは逆方向に屈曲したV字状の凸部と凹部とがZ軸方向に交互に形成された(図15参照)、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。
【0075】
また、第二面S4の各混合用凹部36dは、第一面S3の混合用凸部36cと表裏の関係であり、第二面S4の各混合用凸部35dは、第一面S3の混合用凹部35cと表裏の関係である。このため、本実施形態の第二領域Ar2の第二面S4における混合用凹部36dと混合用凸部35dとは、第一のプレート3Aの第二面S2における混合用凸部36b及び混合用凹部35bの屈曲方向とは逆方向に屈曲したV字状の凹部と凸部とがZ軸方向に交互に形成された(図15参照)、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。
【0076】
これら第二のプレート3Bの第一面S3の各混合用凸部36cは、第一のプレート3Aの第二面S2において対応する混合用凸部36bとそれぞれ交差衝合(X軸方向から見て一部が交差した状態で当接)している。また、第二のプレート3Bの第二面S4の各混合用凸部35dは、第一のプレート3Aの第一面S1において対応する混合用凸部35aとそれぞれ交差衝合している。これにより、第一のプレート3Aと第二のプレート3Bとの間、即ち、プレート間を混合対象物A、Bや温度調整用の流体D等が流れることで該混合対象物A、B等の流れに乱流等を十分に生じさせ、これにより、流路R1、R3を流れる混合対象物A、B等の混合効率や熱交換効率を効果的に向上させる。
【0077】
また、第二のプレート3Bは、第三領域Ar3に、少なくとも一つの第四連通孔314Bと、複数の貫通孔37Bと、を有する。本実施形態の第二のプレート3Bは、第三領域Ar3に、一つの第四連通孔314Bを有する。また、第二のプレート3Bは、第三領域Ar3の第一面S3に、X軸方向の第一面S3側に突出する少なくとも一つの凸部39c及びX軸方向の第二面S4側に凹む少なくとも一つの凹部38cのうちの少なくとも一方を有する。本実施形態の第二のプレート3Bは、第三領域Ar3の第一面S3に、一つの凸部39cと一つの凹部38cとを有する。
【0078】
尚、本実施形態の第二のプレート3Bも、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されているため、第一面S3においてX軸方向の第一面S3側に突出する凸部39cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第一面S3側に凹む凹部39dが形成され、第一面S3においてX軸方向の第二面S4側に凹む凹部38cの裏面(第二面S4の対応する部位)には、X軸方向の第二面S4側に突出する凸部38dが形成されている。
【0079】
第四連通孔314Bは、第三領域Ar3の下端部に配置されている。本実施形態の第四連通孔314Bは、第一のプレート3Aの第四連通孔314Aと重なる位置、即ち、第三領域Ar3の下端部におけるY軸方向の中央位置に配置されている。本実施形態の第四連通孔314Bは、第一のプレート3Aの第四連通孔314Aと同じ円形の貫通孔であり、この第四連通孔314Bの内径は、第一のプレート3Aの第四連通孔314Aと同じ(即ち、第一連通孔311A、311Bと同じ)である。
【0080】
複数の貫通孔37Bは、Z軸方向に間隔をあけて並んでいる。本実施形態の各貫通孔37Bは、第一のプレート3Aの対応する貫通孔37Aと重なる位置にそれぞれ配置されている。具体的に、これら各貫通孔37Bは、第一のプレート3Aの対応する貫通孔37Aと同じ形状(Y軸方向に延びる長孔)であり、第三領域Ar3におけるY軸方向の中央位置にそれぞれ配置されている。
【0081】
第一面S3の凸部39cは、Y軸方向に延びており、第一面S3における所定の貫通孔37B間に配置されている。本実施形態の凸部39cは、第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凸部39bと重なる位置で且つ同じ形状である。また、互いに対向する第二のプレート3Bの第一面S3の凸部39cと第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凸部39bとは、互いの頂部(X軸方向に最も突出している部位)同士を当接させている。これにより、第一のプレート3Aの凸部39bと第二のプレート3Bの凸部39cとが、Y軸方向に延びて第三流路R3を仕切る第三壁部W3を構成する(図13及び図16参照)。即ち、プレート対3Tは、凸部39b及び凸部39cの頂部同士が当接することによって構成される第三壁部W3を有し、この第三壁部W3は、所定位置で対向する貫通孔37A、37Bの下方側に隣り合う領域に配置されている。
【0082】
また、第一面S3の凹部38cは、Y軸方向に延びており、第一面S3における他の(凸部39cの配置位置と異なる)貫通孔37B間に配置されている。本実施形態の凹部38cは、第一のプレート3Aの第二面S2の対応する凹部38bと重なる位置で且つ同じ形状である。
【0083】
第二面S4の凹部39dは、第一面S1の凸部38aと表裏の関係であり、第二面S4における所定の貫通孔37B間に配置され、Y軸方向に延びている。本実施形態の凹部39dは、第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凹部39aと重なる位置で且つ同じ形状である。
【0084】
また、第二面S4の凸部38dは、第一面S1の凹部38cと表裏の関係であり、第一面S3における他の貫通孔37B間に配置され、Y軸方向に延びている。本実施形態の凸部38dは、第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凸部38aと重なる位置で且つ同じ形状である。また、互いに対向する第二のプレート3Bの第二面S4の凸部38dと第一のプレート3Aの第一面S1の対応する凸部38aとは、互いの頂部(X軸方向に最も突出している部位)同士をそれぞれ当接させている。これにより、第一のプレート3Aの凸部38aと第二のプレート3Bの凸部38dとが、Y軸方向に延びて第一流路R1を仕切る第四壁部W4を構成する(図13及び図16参照)。即ち、隣り合う二つのプレート対3Tは、凸部38a及び凸部38dの頂部同士が当接することによって構成される第四壁部W4を有し、この第四壁部W4は、他の位置(第三壁部W3の上方側に隣り合う領域の貫通孔37A、37Bとは異なる位置)で対向する貫通孔37A、37Bの下方側に隣り合う領域に配置されている。
【0085】
複数のガスケット4は、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴム、フッ素樹脂等のシール部材であり、プレート3間に挟み込まれることにより該プレート3間に流路(流路空間)R1~R4等を形成する。これら複数のガスケット4は、図3図4図9図12に示すような二種類のガスケット(第一のガスケット4A、第二のガスケット4B)を含み、混合器本体2においてX軸方向に交互に配置されている。本実施形態の第一のガスケット4Aと第二のガスケット4BとにおけるX軸方向から見た輪郭形状は、同じである。
【0086】
第一のガスケット4Aは、第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4との間に挟み込まれている。これにより、第一のガスケット4Aは、第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S2との間に少なくとも一つの流路(本実施形態の例では、第一流路R1:図10において符号R1で示すスモークを付した範囲を参照)を形成する。
【0087】
具体的に、第一のガスケット4Aは、第一のプレート3Aの第一面S1に配置された状態において(図10参照)、混合対象物A、Bが流れる領域(第一流路R1)の周囲を囲う第一流路形成部41Aと、所定の連通孔312A、313A1、313A2の周囲を囲う複数の第一封止部42Aと、を有する。また、第一のガスケット4Aは、第一流路形成部41Aと各第一封止部42Aとを接続する複数の接続部43Aも有する。
【0088】
第一流路形成部41Aは、X軸方向から見て、第一のプレート3Aの第一面S1における第一連通孔311Aと第四連通孔314Aとを囲むと共に、第二のプレート3Bの第二面S4における第一連通孔311Bと第四連通孔314Bとを囲む部位である。この第一流路形成部41Aは、混合対象物A、Bが第一連通孔311A、311Bから第四連通孔314A、314Bまで流通可能な流路(第一流路R1)を第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4との間に形成する。
【0089】
より具体的に、第一流路形成部41Aは、第一のプレート3Aの第一面S1において、第一連通孔311Aと、複数の第一貫通孔321A及び複数の第二貫通孔322Aと、複数の凸部34a及び複数の凹部33aと、複数の混合用凸部35a及び複数の混合用凹部36aと、複数の貫通孔37Aと、凸部38a及び凹部39aと、第四連通孔314Aと、を囲む(図10参照)。また、第一流路形成部41Aは、第二のプレート3Bの第二面S4において、第一連通孔311Bと、複数の第一貫通孔321B及び複数の第二貫通孔322Bと、複数の凸部34d及び複数の凹部33dと、複数の混合用凸部35d及び複数の混合用凹部36dと、複数の貫通孔37Bと、凸部38d及び凹部39dと、第四連通孔314Bと、を囲む。
【0090】
本実施形態の第一流路形成部41Aは、Z軸方向に延び且つ該Z軸方向(混合対象物A、Bの流れ方向:図10の矢印α参照)の各位置における幅(Y軸方向の寸法)が略一定の環状であり、該第一流路形成部41Aに囲まれた領域(第一流路R1)のZ軸方向の両端部に第一連通孔311A、311Bと第四連通孔314A、314Bとが位置している。
【0091】
複数の第一封止部42Aのそれぞれは、X軸方向から見て、第一のプレート3Aの第一面S1における第二連通孔312Aと一対の第三連通孔313A1、313A2のそれぞれとを囲むと共に、第二のプレート3Bの第二面S4における第二連通孔312Bと一対の第三連通孔313B1、313B2のそれぞれとを囲む部位である。
【0092】
複数の接続部43Aのそれぞれは、X軸方向から見て第二のガスケット4Bの対応する部位と重なる位置において、第一流路形成部41Aと各第一封止部42Aとを接続する。これにより、各プレート3間にガスケット4A、4Bが挟み込まれた状態で複数のプレート3A、3B(混合器本体2)にX軸方向の外側から挟み込む方向に力が加わったときの各プレート3A、3Bの変形等を防ぐ又は抑えることができる。
【0093】
第二のガスケット4Bは、第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に挟み込まれている。これにより、第二のガスケット4Bは、第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に少なくとも一つの流路(本実施形態の例では、第二流路R2、第三流路R3、第四流路R4:図12において符号R2~R4で示すスモークを付した範囲を参照)を形成する。
【0094】
具体的に、第二のガスケット4Bは、第二のプレート3Bの第一面S3に配置された状態において(図12参照)、混合対象物A、Bが流れる領域(第二流路R2)の周囲を囲む第二流路形成部41Bと、温度調整用の流体Dが流通可能な領域(第三流路R3)の周囲を囲む第三流路形成部42Bと、混合対象物A、Bが流れる領域(第四流路R4)の周囲を囲む第四流路形成部43Bと、第一連通孔311Bの周囲を囲む第二封止部44Bと、を有する。また、第二のガスケット4Bは、流路形成部41B、42B、43B同士又は第二流路形成部41Bと第二封止部44Bとを接続する複数の接続部45Bも有する。
【0095】
第二流路形成部41Bは、X軸方向から見て、第二のプレート3Bの第一面S3における第二連通孔312Bと、複数の第一貫通孔321B及び複数の第二貫通孔322Bと、複数の凸部33c及び複数の凹部34cと、を囲む(図12参照)と共に、第一のプレート3Aの第二面S2における第二連通孔312Aと、複数の第一貫通孔321A及び複数の第二貫通孔322Aと、複数の凸部33b及び複数の凹部34bと、を囲む部位である。この第二流路形成部41Bは、混合対象物A、Bが第二連通孔312A、312Bから最も下方側の貫通孔32A、32B(本実施形態の例では、第一貫通孔321A、321B)まで流通可能な流路(第二流路R2)を第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第二流路R2では、混合対象物A、Bは、図12の矢印βで示す方向に流れる。
【0096】
本実施形態の第二流路形成部41Bは、混合対象物A、Bの流れ方向(図12の矢印α参照)における各位置の幅が略一定の環状であり、該第二流路形成部41Bに囲まれた領域の流れ方向αの両端部に第二連通孔312A、312Bと最も下方側の第一貫通孔321A、321Bとが位置している。
【0097】
第三流路形成部42Bは、X軸方向から見て、第二のプレート3Bの第一面S3における一方の第三連通孔313B1と、複数の混合用凸部36c及び複数の混合用凹部35cと、他方の第三連通孔313B2と、を囲む(図12参照)と共に、第一のプレート3Aの第二面S2における一方の第三連通孔313A1と、複数の混合用凸部36b及び複数の混合用凹部35bと、他方の第三連通孔313A2と、を囲む部位である。この第三流路形成部42Bは、流体Dが一方の第三連通孔313A1、313B1から他方の第三連通孔313A2、313B2まで、又は他方の第三連通孔313A2、313B2から一方の第三連通孔313A1、313B1まで流通可能な流路(第三流路R3)を第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第三流路R3では、混合対象物A、Bは、図12の矢印γで示す方向に流れる。
【0098】
第四流路形成部43Bは、X軸方向から見て、第二のプレート3Bの第一面S3における複数の貫通孔37Bと、凸部39c及び凹部38cと、第四連通孔314Bと、を囲む(図12参照)と共に、第一のプレート3Aの第二面S2における複数の貫通孔37Aと、凸部39b及び凹部38bと、第四連通孔314Aと、を囲む部位である。この第四流路形成部43Bは、混合対象物A、Bが最も上方側の貫通孔37A、37Bから第四連通孔314A、314Bまで流通可能な流路(第四流路R4)を第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第四流路R4では、混合対象物A、Bは、図12の矢印δで示す方向に流れる。
【0099】
第二封止部44Bは、X軸方向から見て、第二のプレート3Bの第一面S3における第一連通孔311Bを囲む(図12参照)と共に、第一のプレート3Aの第二面S2における第一連通孔311Aを囲む部位である。
【0100】
複数の接続部45Bのそれぞれは、X軸方向から見て第一のガスケット4Aの対応する部位と重なる位置において、流路形成部41B、42B、43B同士、又は第二流路形成部41Bと第二封止部44Bとを接続する。これにより、各プレート3間にガスケット4A、4Bが挟み込まれた状態で複数のプレート3A、3B(混合器本体2)にX軸方向の外側から挟み込む方向に力が加わったときの各プレート3A、3Bの変形等を防ぐ又は抑えることができる。
【0101】
以上のように構成されるプレート3及びガスケット4において、第一のプレート3Aと第二のプレート3BとがX軸方向において交互に配置されると共に、第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4との間に第一のガスケット4Aがそれぞれ挟み込まれ且つ第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間に第二のガスケット4Bがそれぞれ挟み込まれることによって、混合器本体2が構成される(図3図13参照)。尚、図13においては、構成を理解しやすくするために、各プレート3A、3Bの第二領域Ar2の形状を簡素化して示している。
【0102】
このとき、混合器本体2において、第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4との間のそれぞれに、X軸方向から見て第一のガスケット4Aの第一流路形成部41Aの内側(第一流路形成部41Aに囲まれた範囲)に第一流路R1が形成されている(図10及び図13参照)。
【0103】
また、混合器本体2において、第一のプレート3Aの第二面S2と第二のプレート3Bの第一面S3との間のそれぞれに、X軸方向から見て第二のガスケット4Bの第二流路形成部41Bの内側(第二流路形成部41Bに囲まれた範囲)に第二流路R2が形成され、第三流路形成部42Bの内側(第三流路形成部42Bに囲まれた範囲)に第三流路R3が形成され、第四流路形成部43Bの内側(第四流路形成部43Bに囲まれた範囲)に第四流路R4が形成されている(図12及び図13参照)。
【0104】
また、混合器本体2において、図4に示すように、各プレート3A、3Bの第一連通孔311A、311BがX軸方向に連なることで第一供給流路Ch1が形成され、各プレート3A、3Bの第二連通孔312A、312BがX軸方向に連なることで第二供給流路Ch2が形成され、各プレート3A、3Bの一方の第三連通孔313A1、313B1がX軸方向に連なることで流入路Ch4が形成され、各プレート3A、3Bの他方の第三連通孔313A2、313B2がX軸方向に連なることで流出路Ch5が形成され、各プレート3A、3Bの第四連通孔314A、314BがX軸方向に連なることで排出流路Ch3が形成されている。
【0105】
この第一供給流路Ch1は、X軸方向に延びると共に各第一流路R1にのみ連通し、外部から供給される第一の混合対象物Aを各第一流路R1に流入させる(供給する)。また、第二供給流路Ch2は、X軸方向に延びると共に各第二流路R2にのみ連通し、外部から供給される第二の混合対象物Bを各第二流路R2に流入させる(供給する)。また、流入路Ch4は、X軸方向に延びると共に各第三流路R3にのみ連通し、外部から供給される温度調整用の流体Dを各第三流路R3に流入させる(供給する)。また、流出路Ch5は、X軸方向に延びると共に各第三流路R3にのみ連通し、各第三流路R3を流れた温度調整用の流体Dを外部に流出させる(排出する)。また、排出流路Ch3は、X軸方向に延びると共に各第一流路R1と各第四流路R4とにのみ連通し、各第一流路R1と各第四流路R4とを流れた混合対象物A、B(混合物C)を外部に流出させる(排出する)。
【0106】
図1図4に戻り、一対のフレーム5a、5bのそれぞれは、X軸方向から見てプレート3A、3Bと対応した形状の厚板状の部材である。
【0107】
一対のフレーム5a、5bのうちの一方のフレーム5aは、Z軸方向に長尺な矩形厚板状であり、プレート3A、3Bの各連通孔311A、311B、312A、312B、313A1、313B1、313A2、313B2、314A、314B(換言すると、各供給流路Ch1、Ch2、流入路Ch4、流出路Ch5、排出流路Ch3)とX軸方向から見て重なる位置においてX軸方向に貫通する複数(本実施形態の例では、五つ)の貫通孔51を有する。また、一方のフレーム5aは、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の切欠部52を有する。
【0108】
また、一対のフレーム5a、5bのうちの他方のフレーム5bは、Z軸方向に長尺な矩形厚板状であり、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の切欠部53を有する。これら複数の切欠部53のそれぞれは、一方のフレーム5aの各切欠部52とX軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0109】
ガイド部6は、それぞれがX軸方向に延びる一対のガイドバー61を有する。また、本実施形態のガイド部6は、一対のガイドバー61の端部同士の間隔を維持するサポート部材62も有する。
【0110】
一対のガイドバー61は、一方のフレーム5aのZ軸方向の両端部から互いに平行に延びている。これら一対のガイドバー61は、他方のフレーム5bを一方のフレーム5aに対して平行な状態(姿勢)でX軸方向に接離可能にガイドする。また、一対のガイドバー61のそれぞれは、プレート3A、3BのZ軸方向の両端のガイド用係合部30Bとそれぞれ係合することで、各プレート3A、3Bを配置位置にガイドする。本実施形態のガイド用係合部30Bは、上述のように切欠きであり、一対のガイドバー61のそれぞれが各プレート3A、3BのZ軸方向の両端部に形成された切欠き(ガイド用係合部)36に嵌まり込むことで、各プレート3A、3Bを配置位置にガイドする。
【0111】
サポート部材62は、Z軸方向に延び、一対のガイドバー61の端部(一方のフレーム5aに接続されている端部と反対側の端部)同士を接続することによって、該端部同士のZ軸方向の間隔を維持する。
【0112】
複数の締付部材7のそれぞれは、X軸方向に延びるボルト71と、該ボルト71と螺合するナット72と、を有する。各締付部材7は、一対のフレーム5a、5bの対応する(X軸方向から見て重なる)切欠部52、53に嵌まり込んだ状態でX軸方向の間隔が小さくなる方向に一対のフレーム5a、5bを締め付ける。この複数の締付部材7による一対のフレーム5a、5bの締め付けによって、各プレート3間に配置されたガスケット4A、4Bが十分な力で挟み込まれ、これにより、各プレート3間に形成された各流路R1~R4が液密な状態となる。
【0113】
以上のように構成される混合器1において、第一の混合対象物Aと第二の混合対象物Bとを温度調整しつつ混合する場合、第一の混合対象物Aが第一供給流路Ch1から混合器本体2内に供給されると共に第二の混合対象物Bが第二供給流路Ch2から混合器本体2内に供給され、且つ、温度調整用の流体(所定温度の流体)Dが流入路Ch4から供給される(図1図2、及び図4参照)。そして、各混合対象物A、Bが混合器本体2内を下方に向けて流れることで混合対象物A、Bが混合される。詳しくは、以下の通りである。
【0114】
先ず、図4図13、及び図14に示すように、混合器本体2における各プレート3の第一領域Ar1と対応する部位(第一部位Ar10)において、第一供給流路Ch1から供給された第一の混合対象物Aと第二供給流路Ch2から供給された第二の混合対象物Bとが混合される。詳しくは、以下の通りである。
【0115】
先ず、混合器本体2の第一部位Ar10において、第一供給流路Ch1から各第一流路R1に流入した第一の混合対象物Aが該第一流路R1を流れている状態で、第二供給流路Ch2から各第二流路R2に流入した第二の混合対象物Bの一部が第一貫通孔321A、321Bを通じて該第二流路R2と隣り合う第一流路R1にそれぞれ流入(移動)する。
【0116】
詳しくは、各第二流路R2を流れる混合対象物Bが、第二流路R2の第一壁部W1に衝突し、該第一壁部W1の直上流に配置される(即ち、第一壁部W1とZ軸方向の一方側で隣接する領域に配置された)第一貫通孔321A、321Bを通じて該第二流路R2と隣り合う各第一流路R1にそれぞれ流入する。即ち、第二流路R2を下方に向けて流れる混合対象物Bが第一壁部W1に衝突することによって、該混合対象物Bの流れがX軸方向の一方側と他方側とに分割され、この分割された混合対象物Bの流れが該第一壁部W1の直上流の第一貫通孔321A、321Bを通じて該第二流路R2と隣り合う第一流路R1にそれぞれ流入する。
【0117】
また、第二流路R2において第一壁部W1に衝突した混合対象物Bの一部は、Y軸方向における第一壁部W1の端部と第二のガスケット4Bとの間を通って該第二流路R2を下流側(下方)に向けて流れる。
【0118】
このとき、隣り合う二つのプレート対3T間に形成される第一流路R1において、混合対象物Bが第二流路R2から第一流路R1に流入してくる第一貫通孔321A、321Bが互いに対向しているため、この第一流路R1において互いに対向する第一貫通孔321A、321B間の領域(合流領域)Ar5(図14参照)では、第一流路R1を流れる混合対象物Aの流れと、一方の第一貫通孔321Aから流入してくる混合対象物Aの流れと、他方の第一貫通孔321Bから流入してくる混合対象物Bの流れと、が衝突(合流)する。
【0119】
続いて、第一流路R1の合流領域Ar5で合流した(混合された)混合対象物A、Bは、合流領域Ar5の下方側(下流位置)に形成されている第二壁部W2に衝突し、該第二壁部W2の直上流に配置される(即ち、第二壁部W2とZ軸方向の一方側で隣接する領域に配置された)第二貫通孔322A、322Bを通じて該第一流路R1と隣り合う各第二流路R2にそれぞれ流入する。即ち、第一流路R1を下方に向けて流れる混合対象物A、Bが第二壁部W2に衝突することによって、該混合対象物A、Bの流れがX軸方向の一方側と他方側とに分割され、この分割された混合対象物A、Bの流れが第二貫通孔322A、322Bを通じて該第一流路R1と隣り合う第二流路R2にそれぞれ流入する。
【0120】
また、第一流路R1において第二壁部W2に衝突した混合対象物A、Bの一部は、Y軸方向における第二壁部W2の端部と第一のガスケット4Aとの間を通って該第一流路R1を下流側(下方)に向けて流れる。
【0121】
このとき、プレート対3Tを構成するプレート3間に形成される第二流路R2において、混合対象物A、Bが第一流路R1から第二流路R2に流入してくる第二貫通孔322A、322Bが互いに対向しているため、この第二流路R2において互いに対向する第二貫通孔322A、322B間の領域(合流領域)Ar6(図14参照)では、第二流路R2を流れる混合対象物A、Bの流れと、一方の第二貫通孔322Aから流入してくる混合対象物A、Bの流れと、他方の第二貫通孔322Bから流入してくる混合対象物A、Bの流れと、が衝突(合流)する。
【0122】
混合器本体2の第一部位Ar10では、各流路R1、R2において、上述のような混合対象物A、Bの各壁部W1、W2との衝突による流れの分割と、対向する貫通孔321A、321B、322A、322B間の合流領域Ar5、Ar6への混合対象物A、Bの流入による流れの合流と、が繰り返されることで、第一流路R1を流れる混合対象物A、Bと第二流路R2を流れる混合対象物A、Bとが混合(流路間混合)される、即ち、異なるプレート3間を流れる混合対象物A、B同士が効果的に混合される。
【0123】
このように混合器本体2の第一部位Ar10において流路間混合された混合対象物A、B(混合物C)は、続いて、図4図13、及び図15に示すように、混合器本体2における各プレート3A、3Bの第二領域Ar2と対応する部位(第二部位Ar20)に流入し、この第二部位Ar20において更に混合される。尚、図15においては、構成を理解しやすくするために、各プレート3A、3Bの第二領域Ar2の形状を簡素化して示している。
【0124】
このとき、第二流路R2が最も下方位置の第一貫通孔321A、321Bの下方位置で閉じているため(図14における符号41B参照)、混合対象物A、Bは、第一部位Ar10から第二部位Ar20に流入する際には、第一流路R1のみ(第一流路R1が形成されているプレート3間のみ)を流れており、第二流路R2が形成されているプレート3間には流れていない。この第二部位Ar20において、混合対象物A、B(混合物C)は、各第一流路R1内においてそれぞれ混合(流路内混合)される。
【0125】
詳しくは、第一流路R1を規定する第一のプレート3Aの第一面S1と第二のプレート3Bの第二面S4とには、それぞれ複数の混合用凸部35a、35dと複数の混合用凹部36a、36dとが形成されているため、各第一流路R1を混合対象物A、Bが流れる際に混合対象物A、Bの流れに乱流等の乱れ(多数の流れの分割及び合流)がそれぞれ生じ、これにより、各第一流路R1内において混合対象物A、B同士が混合(流路内混合)される、即ち、共通のプレート3間での混合対象物A、Bの混合が行われる。
【0126】
このとき、流入路Ch4から供給された温度調整用の流体(所定温度の流体)Dが第三流路R3(第一部位Ar10において第二流路R2が形成されているプレート3間)内を流れ、第一流路R1と第三流路R3とを仕切っている各プレート3A、3Bが伝熱性を有しているため、第二部位Ar20において第一流路R1を流れる混合対象物A、Bは、第三流路R3を流れる流体Dと熱交換しつつ(即ち、流体Dによって加熱又は冷却されつつ)混合される。このため、混合器1において流入路Ch4に供給する流体Dの温度を調整することによって、混合対象物A、Bを所定の温度に保ちつつ混合できる。即ち、混合器1は、第二部位Ar20において、混合対象物A、Bを温度調整しつつ混合できる。また、温度調整用の流体Dの温度、流量を調整(制御)することで、第二部位Ar20において混合される混合対象物A、Bの温度や粘度を変更できる。
【0127】
このように混合器本体2の第二部位Ar20において流路内混合された混合対象物A、B(混合物C)は、続いて、図4図13、及び図16に示すように、各プレート3A、3Bの第三領域Ar3と対応する部位(第三部位Ar30)に流入し、この第三部位Ar30において各貫通孔37A、37Bを通じて隣り合う流路R1、R4間を移動することによって混合(流路間混合)される。
【0128】
詳しくは、第三部位Ar30の各第一流路R1において最も上方位置の貫通孔37A、37Bの位置まで流れた混合対象物A、Bの一部が該貫通孔37A、37Bを通じて該第一流路R1と隣り合う第四流路R4に移動する(流入する)。
【0129】
そして、第三部位Ar30の各第一流路R1を流れる混合対象物A、Bが第四壁部W4に衝突し、該第四壁部W4の直上流に配置される(即ち、第四壁部W4とZ軸方向の一方側で隣接する領域に配置された)貫通孔37A、37Bを通じて該第一流路R1と隣り合う各第四流路R4にそれぞれ流入する。
【0130】
また、第三部位Ar30の各第四流路R4を流れる混合対象物A、Bが第三壁部W3に衝突し、該第三壁部W3の直上流に配置される(即ち、第三壁部W3とZ軸方向の一方側で隣接する領域に配置された)貫通孔37A、37Bを通じて該第四流路R4と隣り合う各第一流路R1にそれぞれ流入する。
【0131】
このようにして、混合器本体2における第三部位Ar30では、各第一流路R1の混合対象物A、Bの少なくとも一部が該第一流路R1と隣り合う各第四流路R4にそれぞれ流入し、各第四流路R4の混合対象物A、Bの少なくとも一部が該第四流路R4と隣り合う各第一流路R1に流入することが少なくとも一回ずつ行われることで、第一流路R1を流れる混合対象物A、Bと第四流路R4を流れる混合対象物A、Bとが混合(流路間混合)される、即ち、異なるプレート3間を流れる混合対象物A、B同士が混合される。
【0132】
このとき、第二部位Ar20の第一流路R1を流れる混合対象物A、B毎に温度、混合度の差(バラつき)が生じていた場合には、第三部位Ar30での流路間混合によって各流路R1、R4を流れる混合対象物A、B間の温度、混合度の差(バラつき)が抑えられる。
【0133】
以上のようにして混合器本体2内で混合(流路間混合および流路内混合)された混合対象物A、B(混合物C)は、図4図13、及び図17に示すように、各第一流路R1及び各第四流路R4から排出流路Ch3に流入し、該排出流路Ch3を通じて外部に排出される。
【0134】
以上の混合器1では、複数のプレート対3Tのうちの少なくとも一つのプレート対3Tは、Y軸方向に延びて第二流路(第一流路空間)R2を仕切る第一壁部W1を有する。そして、第一壁部W1を有するプレート対3Tを構成する各プレート3A、3Bは、第一壁部W1の直上流側に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置にX軸方向に貫通する第一貫通孔321A、321Bをそれぞれ有する。このため、第二流路(第一流路空間)R2と第一流路(第二流路空間)R1とにおいて下方(Z軸方向の他方側)に向けて混合対象物A、Bを流通させたときに、第二流路(第一流路空間)R2を流通する混合対象物A、Bが第一壁部W1に衝突して該第一壁部W1の直上流側の各第一貫通孔321A、321Bを通じてX軸方向の両側の第一流路(第二流路空間)R1にそれぞれ流入する(即ち、第一壁部W1に衝突した混合対象物A、BがX軸方向の一方側と他方側とに分割されて各第一流路(第二流路空間)R1に流入する)ことで、第二流路(第一流路空間)R2と第一流路(第二流路空間)R1とを流れる混合対象物A、Bの混合(流路間混合)が好適に行われる。これにより、流路(流路空間)R1、R2毎の混合対象物A、Bの混合状態のバラつきが抑えられ、その結果、混合器1において十分な混合性能が得られる。
【0135】
また、本実施形態の混合器1では、X軸方向に隣り合うプレート対3Tのそれぞれにおいて、該プレート対3Tを構成する各プレート3A、3Bは、第一貫通孔321A、321Bをそれぞれ有する。そして、隣り合う二つのプレート対3Tにおいて、該二つのプレート対3T間の第一流路(第二流路空間)R1を形成する二つのプレート3A、3Bの第一貫通孔321A、321Bは、互いに対向している。このため、第二流路R2と第一流路R1とに下方(Z軸方向の他方側)に向けて混合対象物A、Bを流通させたときに、一方のプレート対3Tの第二流路R2から該プレート対3Tの第一貫通孔(例えば、321A)を通じて第一流路R1(隣り合うプレート対3T間に形成される第一流路R1)に流入する混合対象物A、Bと、他方のプレート対3Tの第二流路R2から該プレート対3Tの第一貫通孔(例えば、321B)を通じて第一流路R1に流入する混合対象物A、Bと、第一流路(隣り合う二つのプレート対3T間に形成される第一流路)R1を流れる混合対象物A、Bとが、該第一流路R1における互いに対向する第一貫通孔321A、321B間の領域(合流領域)Ar5(図14参照)で合流する(ぶつかる)。これにより、この合流領域Ar5において混合対象物A、Bの混合が効果的に行われる。
【0136】
また、本実施形態の混合器1では、隣り合う二つのプレート対3Tにおいて、該プレート対3T間の第一流路(第二流路空間)R1を形成する二つのプレート3A、3Bは、該プレート3A、3Bにおける第一貫通孔321A、321Bより下方側(Z軸方向の他方側)で且つ互いに対向する位置にX軸方向に貫通する第二貫通孔322A、322Bをそれぞれ有する。そして、該隣り合う二つのプレート対3Tは、対向する第二貫通孔322A、322Bの下方側(Z軸方向における他方側)に隣り合う領域でY軸方向に延びて第一流路(第二流路空間)R1を仕切る第二壁部W2を有している。このため、第一流路(第二流路空間)R1を流れる混合対象物A、Bに第一貫通孔321A、321Bを通じて第二流路(第一流路空間)R2を流れる混合対象物A、Bが混合されたもの(混合物C)が、第二壁部W2に衝突して該第二壁部W2の直上流側の各第二貫通孔322A、322Bを通じてX軸方向の両側の第二流路(第一流路空間)R2にそれぞれ流入する。即ち、第二壁部W2に衝突した混合対象物A、BがX軸方向の一方側と他方側とに分割されて各第二流路(第一流路空間)R2に流入する。これにより、第二流路(第一流路空間)R2と第一流路(第二流路空間)R1とを流れる混合対象物A、Bの混合がより効果的に行われ、その結果、流路(流路空間)R1、R2毎の混合対象物A、Bの混合状態のバラつきがより抑えられる。
【0137】
尚、本発明のプレート式混合器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0138】
上記実施形態の混合器本体2では、第一壁部W1、及び該第一壁部W1の直上流側に隣り合う領域に配置される二つの対向する第一貫通孔321A、321B、並びに、第二壁部W2、及び該第二壁部W2の直上流側に隣り合う領域に配置される二つの対向する第二貫通孔322A、322Bは、混合器本体2の第一部位Ar10(即ち、混合器本体2の上部)に配置されているが、この構成に限定されない。第一壁部W1及び二つの対向する第一貫通孔321A、321B、並びに、第二壁部W2及び二つの対向する第二貫通孔322A、322Bの少なくとも一方は、第二部位Ar20や第三部位Ar30等のZ軸方向における混合器本体2のいずれの位置に配置されていてもよい。
【0139】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、該第一部位Ar10を構成する複数のプレート対3Tのそれぞれが第一壁部W1を有しているが、この構成に限定されない。混合器本体2の第一部位Ar10を構成する複数のプレート対3Tのうちの少なくとも一つのプレート対3Tが第一壁部W1を有し、この第一壁部W1を有するプレート対3Tを構成する各プレート3A、3Bが、第一壁部W1の上方側(Z軸方向における一方側)に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置においてX軸方向に貫通する第一貫通孔321A、321Bをそれぞれ有する構成でもよい。
【0140】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、プレート対3Tは、複数の第一壁部W1を有しているが、この構成に限定されない。プレート対3Tは、一つの第一壁部W1を有する構成でもよい。
【0141】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10において、第一壁部W1は、プレート対3Tを構成する二つのプレート3A、3Bの対向する位置から互いに接近する方向に突出する二つの凸部33b、33cによって構成されているが、この構成に限定されない。第一壁部W1は、プレート対3Tを構成する二つのプレート3A、3Bのうちの一方のプレート3Aから突出する凸部33bが他方のプレート3Bの平坦な部位(面)に当接することによって構成されていてもよく、二つのプレート3A、3B間に挟み込まれる部材によって構成されていてもよい。
【0142】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、隣り合う二つのプレート対3Tにおいて、該二つのプレート対3T間の第一流路(第二流路空間)R1を形成する二つのプレート3A、3Bの第一貫通孔321A、321Bは、互いに対向している(図14参照)が、この構成に限定されない。図18に示すように、隣り合う二つのプレート対3Tにおいて、該二つのプレート対3T間の第一流路R1を形成する二つのプレート3A、3Bの各第一貫通孔321A、321Bが、Z軸方向においてずれた位置にある構成でもよい。このように、一方のプレート対3Tのプレート3間(第二流路R2)を流れる混合対象物A、Bとプレート対3T間(第一流路R1)を流れる混合対象物A、Bとの合流位置と、他方のプレート対3Tのプレート3間(第二流路R2)を流れる混合対象物A、Bとプレート対3T間(第一流路R1)を流れる混合対象物A、Bとの合流位置と、がZ軸方向にずれていることで、第一流路R1と第二流路R2とに下方側(Z軸方向の他方側)に向けて混合対象物A、Bを流通させたときに、異なる流路R1、R2を流れる混合対象物A、B同士の合流位置が多くなることで、混合対象物A、Bの粘度等によっては該混合対象物A、Bの混合が好適に行われる。
【0143】
また、上記実施形態の混合器本体2では、第一部位Ar10において隣り合う二つのプレート対3Tのそれぞれが第二壁部W2を有しているが、この構成に限定されない。混合器本体2の第一部位Ar10におけるプレート対3Tの組(隣り合う二つのプレート対3T)のうちの少なくとも一つのプレート対3Tの組が第二壁部W2を有し、この第二壁部W2を有するプレート対3Tの組においてプレート対3T間の第一流路R1を画定する二つのプレート3A、3Bが、第二壁部W2の上方側(Z軸方向における一方側)に隣り合う領域で且つ互いに対向する位置においてX軸方向に貫通する第二貫通孔322A、322Bをそれぞれ有する構成でもよい。
【0144】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、プレート対3Tの組は、複数の第二壁部W2を有しているが、この構成に限定されない。プレート対3Tの組は、一つの第二壁部W2を有する構成でもよい。
【0145】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10において、第二壁部W2は、隣り合う二つのプレート対3Tにおいて第一流路R1を画定する二つのプレート3A、3Bの対向する位置から互いに接近する方向に突出する二つの凸部34a、34dによって構成されているが、この構成に限定されない。第二壁部W2は、第一流路Rを画定する二つのプレート3A、3Bのうちの一方のプレート3Aから突出する凸部34aが他方のプレート3Bの平坦な部位(面)に当接することによって構成されていてもよく、二つのプレート3A、3B間に挟み込まれる部材によって構成されていてもよい。
【0146】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、第一流路R1及び第二流路R2において、各壁部W1、W2又は各凸部33b、33c、34a、34dの直上流に貫通孔321A、321B、322A、322Bが配置されているが、この構成に限定されない。各壁部W1、W2又は各凸部33b、33c、34a、34dの直上流(Z軸方向の一方側に隣り合う領域)に貫通孔のない構成でもよい(図19参照)。この場合、Z軸方向の同じ位置に複数の壁部W1、W2又は凸部33b、33c、34a、34dが配置されていてもよい。これらの構成によれば、第一流路R1や第二流路R2を下方側(第二方向の他方側)に向けて流れる混合対象物A、Bが壁部W1、W2や凸部33b、33c、34a、34dに衝突等して流れのY軸方向への分割や合流等が繰り返されて混合対象物A、Bの流路内混合が好適に行われる。
【0147】
また、上記実施形態の混合器本体2の第一部位Ar10では、第一貫通孔321A、321B及び第二貫通孔322A、322Bは、各プレート3A、3BにおけるZ軸方向の同じ位置に一つ配置されているが、この構成に限定されない。各プレート3A、3Bにおいて、第一貫通孔321A、321B及び第二貫通孔322A、322Bの少なくとも一方が、Z軸方向の同じ位置においてY軸方向に複数配置される構成であってもよい(図20参照)。
【0148】
混合対象物A、Bが、第一流路R1から第二流路R2に流入するとき、又は、第二流路R2から第一流路R1に流入するときに、Z軸方向の同じ位置において一つの貫通孔を通じて流入するより、複数の貫通孔を通じて流入する方が混合対象物A、Bの流れが複雑になり(例えば、乱流が促進され)、これにより、第一流路R1と第二流路R2とを流れる混合対象物A、Bが好適に混合される。
【0149】
また、上記実施形態の混合器本体2では、二種類の混合対象物を混合するが、この構成に限定されない。混合器本体2は、三種類以上の混合対象物を混合する構成であってもよい。
【0150】
また、上記実施形態の混合器1では、混合対象物A、Bが各プレート3間を下方に向けて流れ落ちることで混合されるが、この構成に限定されない。混合器1は、混合対象物A、Bが各プレート3間を上方に向けて流れる構成等であってもよい。
【0151】
また、上記実施形態の混合器1では、混合対象物A、Bが全てのプレート3間を同じ方向に(上記実施形態の例では、下方に向けて)流れているが、この構成に限定されない。例えば、混合器1は、混合対象物A、Bが下方に向けて流れるプレート3間と、上方に向けて流れるプレート3間とが交互に配置される構成であってもよく、混合器本体2においてプレート3の重ね合わせ方向に複数の領域が設定され、各領域内では混合対象物A、Bが各プレート3間を同じ方向に流れるが、領域毎に混合対象物A、Bの流れる方向が異なる構成等でもよい。
【0152】
また、上記実施形態の混合器1は、プレート3の重ね合わせ方向が水平方向となるように配置されているが、この構成に限定されない。混合器1は、プレート3の重ね合わせ方向が上下方向等の水平方向以外の方向となるように配置される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…プレート式混合器、2…混合器本体、3…プレート、3A…第一のプレート(プレート)、3B…第二のプレート(プレート)、3T…プレート対、30A…ガスケット配置部、30B…ガイド用係合部、31A、31B…連通孔、311A、311B…第一連通孔、312A、312B…第二連通孔、313A、313B…第三連通孔、313A1、313B1…一方の第三連通孔、313A2、313B2…他方の第三連通孔、314A、314B…第四連通孔、32A、32B…貫通孔、321A、321B…第一貫通孔、322A、322B…第二貫通孔、33a、33d、34b、34c…第一領域の凹部、33b、33c、34a、34d…第一領域の凸部、35a、35d、36b、36c…混合用凸部、35b、35c、36a、36d…混合用凹部、37A、37B…貫通孔、38a、38d、39b、39c…第三領域の凸部、38b、38c、39a、39d…第三領域の凹部、4…ガスケット、4A…第一のガスケット(ガスケット)、41A…第一流路形成部、42A…第一封止部、43A…接続部、4B…第二のガスケット(ガスケット)、41B…第二流路形成部、42B…第三流路形成部、43B…第四流路形成部、44B…第二封止部、45B…接続部、5a、5b…フレーム、51…貫通孔、52、53…切欠部、6…ガイド部、61…ガイドバー、62…サポート部材、7…締付部材、71…ボルト、72…ナット、A…第一の混合対象物(混合対象物)、B…第二の混合対象物(混合対象物)、C…混合物、Ar1…第一領域、Ar2…第二領域、Ar3…第三領域、Ar5、Ar6…合流領域、Ar10…第一部位、Ar20…第二部位、Ar30…第三部位、Ch1…第一供給流路、Ch2…第二供給流路、Ch3…排出流路、Ch4…流入路、Ch5…流出路、D…流体、R1…第一流路(第二流路空間)、R2…第二流路(第一流路空間)、R3…第三流路、R4…第四流路、S1、S3…第一面、S2、S4…第二面、W1…第一壁部、W2…第二壁部、W3…第三壁部、W4…第四壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20