(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009422
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】日除け装置および日除け付き仮設ユニット
(51)【国際特許分類】
E04F 10/00 20060101AFI20230113BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20230113BHJP
E04H 15/58 20060101ALI20230113BHJP
B60P 3/00 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
E04F10/00
E04H1/12 A
E04H1/12 301
E04H15/58 Z
B60P3/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112681
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】513049480
【氏名又は名称】株式会社ハマネツ
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】金澤 大策
【テーマコード(参考)】
2E025
2E105
2E141
【Fターム(参考)】
2E025BA05
2E105AA01
2E105BB01
2E105CC01
2E105DD02
2E105EE41
2E105FF02
2E105FF22
2E105GG21
2E141AA05
2E141DD12
2E141EE03
(57)【要約】
【課題】仮設ユニットの室内温度の上昇を効果的に抑制できる、日除け装置およびそれを備える日除け付き仮設ユニットを提供する。
【解決手段】日除け付き仮設ユニット10は、屋根24を構成する天井壁32を有する仮設ユニット16と、日除け装置18とを備える。日除け装置18は、シート状または板状の日除け部46と、日除け部46を支持する枠体48と、枠体48を回動させる回動部52と、回動部52を仮設ユニット16に対して取り付ける取付け部54とを備える。回動部52は、日除け部46が仮設ユニット16の屋根24を覆う位置に配置される使用状態と、日除け部46が仮設ユニット16の後側壁26bと対向する位置に配置される収納状態とを切り替えることができるように、枠体48を回動させる。収納状態における枠体48の回動中心から枠体48の最上部までの高さは、使用状態における枠体48の回動中心から枠体48の最上部までの高さよりも低くなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の透過を遮断または抑制するシート状または板状の日除け部と、
前記日除け部を支持する枠体と、
前記枠体に設けられ、前記日除け部が仮設ユニットの屋根を覆う位置に配置される使用状態と、前記日除け部が前記仮設ユニットの側壁と対向する位置に配置される収納状態とを切り替えることができるように、前記枠体を回動させる回動部と、
前記回動部を前記仮設ユニットに対して取り付ける取付け部とを備え、
前記収納状態における前記枠体の回動中心から前記枠体の最上部までの高さは、前記使用状態における前記枠体の回動中心から前記枠体の最上部までの高さよりも低くなる、日除け装置。
【請求項2】
前記取付け部は、前記回動部を前記仮設ユニットに対して着脱自在に取り付けるように構成される、請求項1に記載の日除け装置。
【請求項3】
前記回動部は、前記使用状態における前記枠体から下方へ延びるアーム部と、前記アーム部の下端部に設けられ、前記アーム部を回動可能に支持する回動支持部とを有し、
前記回動支持部は、前記取付け部を介して前記仮設ユニットの側壁に取り付けられる、請求項1または2に記載の日除け装置。
【請求項4】
前記仮設ユニットの側壁に設けられ、前記使用状態における前記アーム部を離脱可能に固定することによって、前記枠体の回動を阻止する第1回動阻止部を備える、請求項3に記載の日除け装置。
【請求項5】
前記枠体に設けられ、前記収納状態において前記仮設ユニットの側壁またはその近傍部分に当たる当たり部を備える、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の日除け装置。
【請求項6】
前記仮設ユニットの側壁に設けられ、前記収納状態における前記当たり部を離脱可能に固定することによって、前記枠体の回動を阻止する第2回動阻止部を備える、請求項5に記載の日除け装置。
【請求項7】
屋根を構成する天井壁を有する仮設ユニットと、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の日除け装置とを備える、日除け付き仮設ユニット。
【請求項8】
前記天井壁は、室内空間へ光を取り入れる採光部を有し、
前記使用状態における前記日除け部は、前記採光部を覆うように前記採光部から上方へ離間して配置される、請求項7に記載の日除け付き仮設ユニット。
【請求項9】
前記天井壁を昇降させる昇降機構を備え、
使用時には、前記天井壁が前記昇降機構によって上昇されるとともに、前記日除け部が、前記屋根を覆うように配置される、請求項7または8に記載の日除け付き仮設ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレおよび仮設事務所などの可搬型の仮設ユニットに用いられる日除け装置およびそれを備える日除け付き仮設ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
イベント会場、工事現場および建設現場などで使用される仮設トイレは、車両に載せられて現場に搬入され、所定の場所に据え付けられて使用される。或いは、車両の荷台に載せられたまま使用される。しかし、一般的な仮設トイレでは、屋根の断熱性が低いため、特に、夏季の炎天下では、室内温度が高温になり、快適に使用することができないという問題があった。この問題を解決する手段として、仮設トイレに日除けを設けることが考えられるが、単に日除けを取り付けただけでは、仮設トイレの全体サイズが大きくなるため、車両で搬送することが困難になるおそれがあった。
【0003】
下記特許文献1に開示された従来の仮設トイレは、一側面に出入口が設けられた個室ボックスと、出入口を見え難くするパネル状の目隠し材と、目隠し材を出入口から離間した位置と出入口に近接した位置との間で移動可能に支持する支持フレームとを備えている。この仮設トイレによれば、目隠し材によって太陽光を遮断できるので、室内温度の上昇をある程度は抑制できる。また、目隠し材を出入口に近接した位置で支持できるので、搬送時の全体サイズを小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された仮設トイレでは、目隠し材が個室ボックスの側面に対向するように設けられるので、屋根に照射される太陽光を遮断または緩和することができず、室内温度の上昇を効果的に抑制することが困難であるという問題があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、仮設ユニットの室内温度の上昇を効果的に抑制できる、日除け装置およびそれを備える日除け付き仮設ユニットを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る日除け装置の特徴は、太陽光の透過を遮断または抑制するシート状または板状の日除け部と、前記日除け部を支持する枠体と、前記枠体に設けられ、前記日除け部が仮設ユニットの屋根を覆う位置に配置される使用状態と、前記日除け部が前記仮設ユニットの側壁と対向する位置に配置される収納状態とを切り替えることができるように、前記枠体を回動させる回動部と、前記回動部を前記仮設ユニットに対して取り付ける取付け部とを備え、前記収納状態における前記枠体の回動中心から前記枠体の最上部までの高さは、前記使用状態における前記枠体の回動中心から前記枠体の最上部までの高さよりも低くなることにある。
【0008】
この構成によれば、枠体を回動させることによって、使用状態と収納状態とを簡単に切り替えることができる。使用状態では、日除け部で仮設ユニットの屋根を覆うことができるので、仮設ユニットの室内温度の上昇を効果的に抑制できる。収納状態における枠体の回動中心から枠体の最上部までの高さは、使用状態における枠体の回動中心から枠体の最上部までの高さよりも低くなるので、日除け装置を含む仮設ユニットの全体の高さを、収納状態において低くすることができる。これにより、仮設ユニットを載せた車両の高さを、道路交通法による高さ制限を越えないように低くすることができる。
【0009】
本発明に係る日除け装置の他の特徴は、前記取付け部は、前記回動部を前記仮設ユニットに対して着脱自在に取り付けるように構成されることにある。
【0010】
この構成では、回動部を仮設ユニットから離脱させることによって、日除け装置を仮設ユニットから取り外すことができる。また、回動部を既存の仮設ユニットに取り付けることによって、日除け装置を既存の仮設ユニットに後付けすることができる。
【0011】
本発明に係る日除け装置の他の特徴は、前記回動部は、前記使用状態における前記枠体から下方へ延びるアーム部と、前記アーム部の下端部に設けられ、前記アーム部を回動可能に支持する回動支持部とを有し、前記回動支持部は、前記取付け部を介して前記仮設ユニットの側壁に取り付けられることにある。
【0012】
この構成では、アーム部を仮設ユニットの側壁に沿うように配置できるので、使用状態と収納状態とを切り替える際には、アーム部を手で掴んで回動させ易く、枠体を簡単に回動させることができる。
【0013】
本発明に係る日除け装置の他の特徴は、前記仮設ユニットの側壁に設けられ、前記使用状態における前記アーム部を離脱可能に固定することによって、前記枠体の回動を阻止する第1回動阻止部を備えることにある。
【0014】
この構成では、第1回動阻止部で枠体の回動を阻止することによって、使用状態を保持できる。
【0015】
本発明に係る日除け装置の他の特徴は、前記枠体に設けられ、前記収納状態において前記仮設ユニットの側壁またはその近傍部分に当たる当たり部を備えることにある。
【0016】
この構成では、当たり部が仮設ユニットの側壁またはその近傍部分に当たることによって、収納状態における枠体を安定して位置決めできる。
【0017】
本発明に係る日除け装置の他の特徴は、前記仮設ユニットの側壁に設けられ、前記収納状態における前記当たり部を離脱可能に固定することによって、前記枠体の回動を阻止する第2回動阻止部を備えることにある。
【0018】
この構成では、第2回動阻止部で枠体の回動を阻止することによって、収納状態を保持できる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る日除け付き仮設ユニットの特徴は、屋根を構成する天井壁を有する仮設ユニットと、上記のいずれかの日除け装置とを備えることにある。
【0020】
この構成では、上記のいずれかの日除け装置が奏する効果をそのまま奏することができる。
【0021】
本発明に係る日除け付き仮設ユニットの他の特徴は、前記天井壁は、室内空間へ光を取り入れる採光部を有し、前記使用状態における前記日除け部は、前記採光部を覆うように前記採光部から上方へ離間して配置されることにある。
【0022】
この構成では、使用状態における日除け部は、採光部を覆うように採光部から上方へ離間して配置されるので、採光部から仮設ユニットの室内に太陽光を取り入れることができる。
【0023】
本発明に係る日除け付き仮設ユニットの他の特徴は、前記天井壁を昇降させる昇降機構を備え、使用時には、前記天井壁が前記昇降機構によって上昇されるとともに、前記日除け部が、前記屋根を覆うように配置されることにある。
【0024】
この構成では、天井壁を降下させることによって、仮設ユニットの高さを低くすることができるので、仮設ユニットを載せた車両の高さを、道路交通法による高さ制限を越えないように低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る日除け付き仮設ユニットの搬送時の状態を示す斜視図である。
【
図2】搬送時における日除け付き仮設ユニットの構成を示す右側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る日除け付き仮設ユニットの使用時の状態を示す斜視図である。
【
図4】使用時における日除け付き仮設ユニットの構成を示す右側面図である。
【
図5】(A)は、使用状態における日除け装置の構成を示す斜視図、(B)は、収納状態における日除け装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】(A)は、枠体の構成を示す平面図、(B)は、日除け部の構成を示す平面図である。
【
図8】回動部、取付け部および第1回動阻止部の構成を示す斜視図である。
【
図9】当たり部を第2回動阻止部で固定した状態を示す右側面図である。
【
図10】使用時における第2実施形態に係る日除け付き仮設ユニットの構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る日除け装置および日除け付き仮設ユニットの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる「上・下・左・右・前・後」の各方向は、図面において矢印で示す各方向と一致する。
【0027】
(日除け付き仮設ユニットの構成)
図1は、第1実施形態に係る日除け付き仮設ユニット10の搬送時の状態を示す斜視図であり、
図2は、搬送時における日除け付き仮設ユニット10の構成を示す右側面図である。
図3は、第1実施形態に係る日除け付き仮設ユニット10の使用時の状態を示す斜視図であり、
図4は、使用時における日除け付き仮設ユニット10の構成を示す右側面図である。
【0028】
図1~
図4に示す日除け付き仮設ユニット10は、イベント会場、工事現場および建設現場などで使用される可搬型の仮設トイレであり、
図1および
図2に示すように、車両12の荷台12aに載せられて現場に搬入される。そのため、日除け付き仮設ユニット10を載せた車両12(
図1、
図3)は、道路交通法による高さ制限を受けることになる。
【0029】
図3および
図4に示すように、日除け付き仮設ユニット10が現場に搬入された後、車両12の横には、荷台12aにのぼるための階段14が設置される。つまり、本実施形態の日除け付き仮設ユニット10は、荷台12aに載せられたまま使用される。なお、日除け付き仮設ユニット10は、フォークリフトなどで所定の場所に据え付けられてもよい。また、日除け付き仮設ユニット10は、仮設トイレに限定されるものではなく、例えば、仮設更衣室、仮設事務所および仮設ハウスなどであってもよい。
【0030】
図1および
図2に示すように、日除け付き仮設ユニット10は、仮設ユニット16と、日除け装置18とを備えている。仮設ユニット16の室内空間Sには、その用途に応じた設備(本実施形態では便器など)が設けられている。日除け付き仮設ユニット10の搬送時には、道路交通法による高さ制限を越えることのないように、日除け装置18が倒される。この状態が、日除け装置18の収納状態である。
【0031】
図1および
図2に示すように、仮設ユニット16は、上方へ向けて開かれた開口部20を有する平面視で四角形の箱状の本体部22と、開口部20を塞ぐように本体部22の上端部に被せられる屋根24とを有している。本体部22の前方に向けられた前壁部26aには、使用者が出入りするための開口部28が設けられており、開口部28には、ドア30が取り付けられている。
【0032】
屋根24は、平面視で四角形の天井壁32と、天井壁32に対して垂直となるように、天井壁32の周縁部から下方へ延びて形成された前板部34a、後板部34b、左板部34cおよび右板部34dとを有している。本実施形態では、屋根24の全体が光透過性を有する合成樹脂で形成されており、天井壁32の全体が採光部となっている。屋根24が本体部22の上端部に被せられた状態において、屋根24の後端部は、左右方向へ延びる回動中心を有する回動軸(図示省略)を介して、本体部22に対して回動可能に取り付けられている。
【0033】
図1および
図2に示すように、搬送時における日除け付き仮設ユニット10では、天井壁32は水平に配置されており、前板部34a、後板部34b、左板部34cおよび右板部34dのそれぞれは、本体部22の前側壁26a、後側壁26b、左側壁26cおよび右側壁26dに対して外側から対向するように配置されている。前板部34aの上下方向長さは、後板部34bの上下方向長さよりも十分に長くなるように定められており、左板部34cおよび右板部34dのそれぞれの下端縁は、前板部34aの下端縁と後板部34bの下端縁とを直線的につなぐように傾斜している。
【0034】
図2に示すように、本体部22と屋根24とは、ガスダンパー38を介して接続されている。ガスダンパー38は、シリンダー38aおよびピストン38bを有しており、シリンダー38aの前端部が屋根24に取り付けられるとともに、ピストン38bの後端部が本体部22に取り付けられている。
図2に示す搬送時の日除け付き仮設ユニット10では、ガスダンパー38が圧縮されており、屋根24は、ガスダンパー38によって上方へ向けて付勢されている。
【0035】
図1に示すように、屋根24を構成する前板部34aの左右方向中央部には、作業者(図示省略)によって握られる取っ手40が取り付けられている。本体部22を構成する前側壁26aの上部には、2つのパッチン錠42が左右方向に間隔を隔てて取り付けられている。また、屋根24を構成する前板部34aの下部には、パッチン錠42の引掛け部(図示省略)が引っ掛けられる2つのフック部材44が左右方向に間隔を隔てて取り付けられている。
【0036】
図2に示すように、搬送時における日除け付き仮設ユニット10では、屋根24の前板部34aが、パッチン錠42およびフック部材44を介して本体部22の前側壁26aにつなげられており、これによって、ガスダンパー38の付勢力による屋根24の上方への回動が阻止されている。
【0037】
図3および
図4に示すように、使用時における日除け付き仮設ユニット10では、室内空間Sを広く確保するために、屋根24が上昇される。屋根24を上昇させるとき、作業者は、パッチン錠42を解除するだけでよい。パッチン錠42を解除するとき、作業者は、パッチン錠42の引掛け部(図示省略)をフック部材44から離脱させる。すると、ガスダンパー38が伸長することによって、屋根24が持ち上げられる。
【0038】
本実施形態では、屋根24の後端部は、回動軸(図示省略)を介して、本体部22に対して回動可能に取り付けられており、ガスダンパー38の付勢力によって、屋根24が持ち上げられる。屋根24を降下させる際には、使用者が取っ手40を手で握って、屋根24を引き下げる。つまり、回動軸(図示省略)、ガスダンパー38および取っ手40によって、天井壁32を昇降させる昇降機構が構成されている。
【0039】
(日除け装置の構成)
図5(A)は、使用状態における日除け装置18の構成を示す斜視図、
図5(B)は、収納状態における日除け装置18の構成を示す斜視図である。
図6(A)は、枠体48の構成を示す平面図、
図6(B)は、日除け部46の構成を示す平面図である。
図7は、回動部52の構成を示す分解斜視図である。
図8は、回動部52、取付け部54および第1回動阻止部56の構成を示す斜視図である。
【0040】
図3に示すように、日除け装置18は、太陽光による室内空間Sの温度上昇を抑制するために、仮設ユニット16に装着されるものであり、日除け部46と、枠体48と、当たり部50と、回動部52と、取付け部54と、第1回動阻止部56とを備えている。
【0041】
図6(B)に示すように、日除け部46は、太陽光の透過を遮断または抑制するものであり、半透明の合成樹脂によって、平面視で左右方向に長い四角形(長方形)のシート状に形成されている。日除け部46の外周部には、紐58(
図3)を通すための複数の貫通孔60が形成されており、複数の貫通孔60のそれぞれには、はとめ62が取り付けられている。
【0042】
本実施形態では、日除け部46の長辺を構成する前端部46aに4個の貫通孔60が形成されており、日除け部46の長辺を構成する後端部46bに6個の貫通孔60が形成されている。また、日除け部46の短辺を構成する左端部46cに3個の貫通孔60が形成されており、日除け部46の短辺を構成する右端部46dに3個の貫通孔60が形成されている。なお、貫通孔60の数および位置は、本実施形態に限定されるものではなく、枠体48の形状などに応じて適宜変更されてもよい。
【0043】
図3に示すように、枠体48は、日除け部46を支持する部材である。
図2に示すように、当たり部50は、収納状態において仮設ユニット16の後側の側壁すなわち後側壁26bに当たる部分である。枠体48と当たり部50とは、互いに一体的に形成されている。
【0044】
図6(A)に示すように、枠体48は、日除け部46の前端部46aに沿って並べて配置される2本のパイプ64aと、日除け部46の後端部46bに沿って並べて配置される2本のパイプ64bとを有している。また、枠体48は、日除け部46の左端部46cに沿って並べて配置される2本のパイプ64cと、日除け部46の右端部46dに沿って並べて配置される2本のパイプ64dとを有している。さらに、枠体48は、日除け部46の左右方向中央部において左端部46cおよび右端部46dに対して平行に延びて配置される1本のパイプ64eを有している。
【0045】
枠体48を構成するパイプ64a~64eは、2つの第1チーズ型継手66aと、2つの第2チーズ型継手66bと、2つのエルボ型継手66cと、2つの三方エルボ型継手66dとを用いて互いに接合されている。そして、
図3に示すように、枠体48の内側に日除け部46が配置されており、日除け部46の貫通孔60に挿通された紐58を用いて、日除け部46が枠体48に固定されている。
【0046】
図5(A)に示すように、当たり部50は、枠体48の2本のパイプ64bに対して平行に配置されるパイプ68aと、パイプ68aの両端部を枠体48に接続する2本のパイプ68bとを有している。パイプ68aとパイプ68bとは、エルボ型継手70を用いて互いに接合されている。当たり部50の左側のパイプ68bと枠体48のパイプ64b,64cとは、左側の三方エルボ型継手66dを用いて互いに接合されている。当たり部50の右側のパイプ68bと枠体48のパイプ64b,64dとは、右側の三方エルボ型継手66dを用いて互いに接合されている。
【0047】
したがって、当たり部50の左側のパイプ68bは、当たり部50のパイプ68aとの間で直角を成し、かつ、枠体48のパイプ64b,64cとの間で直角を成すように配置されている。また、当たり部50の右側のパイプ68bは、当たり部50のパイプ68aとの間で直角を成し、かつ、枠体48のパイプ64b,64dとの間で直角を成すように配置されている。
【0048】
図5(A),(B)に示す回動部52は、枠体48に設けられて、枠体48を回動させる部分である。
図3に示すように、取付け部54は、回動部52を仮設ユニット16に対して着脱自在に取り付ける部分である。回動部52と取付け部54とは、互いに一体的に形成されている。
【0049】
図3および
図4に示すように、日除け部46が仮設ユニット16の屋根24を覆う位置に配置される状態を日除け装置18の使用状態とし、
図1および
図2に示すように、日除け部46が仮設ユニット16の後側壁26bと対向する位置に配置される状態を日除け装置18の収納状態としたとき、回動部52は、使用状態と収納状態とを切り替えるように枠体48を回動させる。
【0050】
図5(A)に示すように、回動部52は、使用状態における枠体48の左右方向両端部から下方へ延びる2本のアーム部72と、2本のアーム部72のそれぞれの下端部に設けられる2つの回動支持部74とを有している。各アーム部72は、パイプ状に形成されており、各アーム部72の上端部が、第2チーズ型継手66bを介して枠体48に接続されている。
【0051】
図7に示すように、2つの回動支持部74のそれぞれは、底部76aを有する筒状の篏合部76と、底部76aに溶接などによって接合された板状の接合板78と、ボルト80とを有している。接合板78には、ボルト80が挿通される貫通孔78aが形成されており、篏合部76には、アーム部72の下端部が篏合されている。
【0052】
また、2つの回動支持部74のそれぞれは、ボルト80の基端部80aが埋め込まれた円柱状のボルト支持部82と、ボルト支持部82の基端部82aから拡径して形成された円柱状の基礎部84と、環状の座金86と、ナット88とを有している。そして、ボルト80が、接合板78の貫通孔78aおよび座金86に挿通されて、ナット88に螺合されている。ボルト80に対するナット88の締め付け強度は、ボルト80に対するアーム部72の回動を許容する程度に定められている。つまり、本実施形態では、ボルト80がアーム部72を回動させる回動軸となっており、ボルト80の中心が、枠体48の回動中心Qとなっている。
【0053】
図7に示すように、取付け部54は、回動支持部74を構成する基礎部84の基端部84aに設けられた鍔状の固定部90と、固定部90を仮設ユニット16(
図3)に着脱自在に取り付けるボルト92およびナット94とを有している。固定部90には、ボルト92が挿通される3つの貫通孔90aが形成されている。
【0054】
仮設ユニット16の左側壁26cおよび右側壁26dにおける固定部90が固定される部分には、固定部90の貫通孔90aに対応する貫通孔(図示省略)が形成されている。左側の回動部52の回動支持部74を、左側の取付け部54で左側壁26cに取り付ける際には、固定部90の貫通孔90aおよび左側壁26cの貫通孔(図示省略)にボルト92が挿通され、このボルト92にナット94が螺合される。右側の回動部52の回動支持部74を、右側の取付け部54で右側壁26dに取り付ける際には、固定部90の貫通孔90aおよび右側壁26dの貫通孔(図示省略)にボルト92が挿通され、このボルト92にナット94が螺合される。
【0055】
図3に示すように、第1回動阻止部56は、使用状態におけるアーム部72を離脱可能に固定することによって、枠体48の回動を阻止するものであり、仮設ユニット16の左側壁26cおよび右側壁26dに設けられている。
【0056】
図8に示すように、第1回動阻止部56は、左右方向へ延びる円柱状の基礎部96と、基礎部96の先端部96aに設けられた平面視でC字状の締め付け板98と、締め付け板98における周方向の一方端部に近接して基礎部96に設けられたパッチン錠100と、締め付け板98における周方向の他方端部に設けられたフック部102とを有している。
【0057】
パッチン錠100は、フック部102に引掛けられる引掛け部104と、引掛け部104を引っ張るためのレバー106とを有している。引掛け部104をフック部102に引掛けてレバー106を引くと、締め付け板98が縮径される。レバー106を操作して引掛け部104をフック部102から離脱させると、締め付け板98の開口部98aが開かれる。アーム部72は、開口部98aから締め付け板98の内側へ収容される。
【0058】
また、第1回動阻止部56は、基礎部96の基端部96bに設けられた鍔状の固定部108と、固定部108を仮設ユニット16(
図3)に取り付けるボルトおよびナット(図示省略)とを有している。固定部108には、ボルトが挿通される3つの貫通孔108aが形成されている。
【0059】
仮設ユニット16の左側壁26cおよび右側壁26dにおける固定部108が固定される部分には、固定部108の貫通孔108aに対応する貫通孔(図示省略)が形成されている。左側の第1回動阻止部56を左側壁26cに取り付ける際には、固定部108の貫通孔108aおよび左側壁26cの貫通孔にボルトが挿通され、このボルトにナットが螺合される。右側の第1回動阻止部56を右側壁26dに取り付ける際には、固定部108の貫通孔108aおよび右側壁26dの貫通孔にボルトが挿通され、このボルトにナットが螺合される。
【0060】
(日除け付き仮設ユニットの作動)
図1および
図2に示すように、日除け付き仮設ユニット10を車両12の荷台12aに載せて現場に搬入したとき、日除け装置18は、収納状態にある。
図2に示すように、収納状態では、当たり部50が後側壁26bに当たることによって、枠体48が位置決めされる。このとき、回動部52のアーム部72は、水平に配置され、枠体48および日除け部46は、後側壁26bに対して平行に配置される。したがって、収納状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH1は、
図5(A)に示すパイプ64c,64d,64eの長さで決定される。この高さH1は、日除け付き仮設ユニット10の全体の高さが、道路交通法による高さ制限を越えないように定められている。
【0061】
図3および
図4に示すように、日除け付き仮設ユニット10を使用するとき、作業者は、まず、パッチン錠42を解除して、屋根24を上昇させる。また、日除け装置18のアーム部72を手で回動させて、アーム部72を鉛直方向へ延びるように配置し、その状態で、アーム部72を第1回動阻止部56(
図8)によって固定する。
【0062】
この使用状態では、枠体48および日除け部46は、天井壁32の採光部を覆うように採光部から上方へ離間して配置される。
図4に示すように、使用状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH2は、アーム部72の長さで決定される。この高さH2は、枠体48および日除け部46が、上昇された天井壁32の採光部から上方へ離間するように定められている。その結果、収納状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH1(
図2)は、使用状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH2(
図4)よりも低くなる。
【0063】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、
図5(A),(B)に示す枠体48を回動させることによって、日除け装置18の使用状態と収納状態とを簡単に切り替えることができる。
【0064】
図3および
図4に示す使用状態では、日除け部46で仮設ユニット16の屋根24を覆うことができるので、仮設ユニット16の室内温度の上昇を効果的に抑制できる。また、使用状態における日除け部46は、採光部(天井壁32)を覆うように採光部(天井壁32)から上方へ離間して配置されるので、採光部(天井壁32)から仮設ユニット16の室内空間Sに太陽光を取り入れることができる。
【0065】
仮設ユニット16の天井壁32を昇降させる機構と、日除け装置18の枠体48を回動させる機構とは、互いに独立して構成されているので、これらの機構の一方の動作が他方の動作を妨げることがない。また、日除け装置18の構造が簡単であることから、破損時の部品交換を容易に行うことができる。
【0066】
収納状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH1(
図2)は、使用状態における枠体48の回動中心Qから枠体48の最上部までの高さH2(
図4)よりも低くなるので、日除け付き仮設ユニット10の高さを、収納状態において低くすることができる。また、天井壁32を降下させることによっても、日除け付き仮設ユニット10の高さを、収納状態において低くすることができる。これにより、日除け付き仮設ユニット10を載せた車両12の高さを、道路交通法による高さ制限を越えないように低くすることができる。
【0067】
図7に示す回動部52を仮設ユニット16(
図3)から離脱させることによって、日除け装置18を仮設ユニット16から取り外すことができる。また、回動部52を既存の仮設ユニット(図示省略)に取り付けることによって、日除け装置18を既存の仮設ユニットに後付けすることができる。
【0068】
図2および
図4に示すように、アーム部72を仮設ユニット16の側壁(左側壁26c,右側壁26d)に沿うように配置できるので、使用状態と収納状態とを切り替える際には、アーム部72を手で掴んで回動させ易く、枠体48を簡単に回動させることができる。
【0069】
図8に示すように、第1回動阻止部56でアーム部72を離脱可能に固定することによって、枠体48(
図3)の回動を阻止できるので、日除け装置18の使用状態を保持できる。
【0070】
図2に示すように、日除け装置18の収納状態では、当たり部50を仮設ユニット16の側壁(後側壁26b)に当てることができるので、枠体48を安定して位置決めできる。
【0071】
(変形例)
本発明の実施にあたっては、上記の第1実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、日除け部46が半透明の合成樹脂によってシート状に形成されているが、日除け部46の材料は、これに限定されるものではなく、透明または不透明の合成樹脂や金属が用いられてもよい。また、日除け部46は、織布や不織布を用いて形成されてもよいし、合成樹脂、金属または木材を用いて板状または網状に形成されてもよい。
【0072】
図1および
図2に示すように、上記実施形態では、収納状態における日除け部46が、仮設ユニット16の後側壁26bと対向する位置に配置されているが、収納状態における日除け部46は、前側壁26a、左側壁26cおよび右側壁26dのいずれかと対向する位置に配置されてもよい。日除け部46が前側壁26aと対向する位置に配置された場合には、開口部28から室内空間Sへ出入りすることが難しくなるが、常時使用状態にしておくことによって、その問題を解消できる。
【0073】
上記実施形態では、天井壁32の全体が採光部となっているが、天井壁32の一部だけに透明または半透明の採光部が設けられてもよいし、採光部が全く設けられなくてもよい。
【0074】
上記実施形態では、日除け装置18が仮設ユニット16に対して着脱自在に取り付けられているが、日除け装置18は、仮設ユニット16に対して着脱できないように一体的に構成されてもよい。
【0075】
図9は、当たり部50を第2回動阻止部110で固定した状態を示す右側面図である。上記実施形態では、当たり部50が仮設ユニット16の側壁(後側壁26b)に当たるように構成されているが、当たり部50は、仮設ユニット16の側壁の近傍部分に当たるように構成されてもよい。例えば、
図9に示すように、仮設ユニット16の後側壁26bに、当たり部50のパイプ68aを離脱可能に固定する第2回動阻止部110が設けられ、この第2回動阻止部110に当たり部50が当たるように構成されてもよい。
【0076】
図9に示す第2回動阻止部110は、合成樹脂によってC字状に形成されており、当たり部50が当たったときに、弾性変形されて、その内側にパイプ68aが収容される。これによって、枠体48の回動が阻止され、収納状態が保持される。
【0077】
上記実施形態では、回動部52がアーム部72を有しており、回動支持部74が仮設ユニット16の左側壁26cおよび右側壁26dに取り付けられているが、アーム部72は省略されてもよいし、回動支持部74の取付位置は、適宜変更されてもよい。また、仮設ユニット16の昇降可能な屋根24は省略されてもよい。
【0078】
図10は、使用時における第2実施形態に係る日除け付き仮設ユニット112の構成を示す右側面図である。
図10に示す日除け付き仮設ユニット112では、仮設ユニット114が昇降可能な屋根を有しておらず、日除け装置116がアーム部を有していない。そして、日除け部(図示省略)を支持する枠体118の端部に回動支持部120が設けられており、回動支持部120が、取付け部122を介して仮設ユニット114の上壁(屋根)124の後端部に取り付けられている。この構成においても、枠体118を回動させることによって、使用状態と収納状態(二点鎖線で示す状態)とを切り替えることができる。
【符号の説明】
【0079】
S…室内空間、10…日除け付き仮設ユニット、12…車両、16…仮設ユニット、18…日除け装置、24…屋根、32…天井壁、38…ガスダンパー、42…パッチン錠、44…フック部材、46…日除け部、48…枠体、50…当たり部、52…回動部、54…取付け部、56…第1回動阻止部、72…アーム部、74…回動支持部、100…パッチン錠、102…フック部、110…第2回動阻止部。