(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094301
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】アンモニア燃焼バーナ、ボイラ及びボイラの運転方法
(51)【国際特許分類】
F23D 1/00 20060101AFI20230628BHJP
F23C 1/10 20060101ALN20230628BHJP
F23J 7/00 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
F23D1/00 C
F23C1/10
F23C99/00 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209694
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】冨永 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 明正
(72)【発明者】
【氏名】富澤 直季
(72)【発明者】
【氏名】嶺 聡彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】甘利 猛
(72)【発明者】
【氏名】大浦 康二
【テーマコード(参考)】
3K065
3K091
【Fターム(参考)】
3K065QA01
3K065QB07
3K065QC03
3K065TA01
3K065TC01
3K065TD01
3K065TD04
3K065TD07
3K065TJ07
3K091AA01
3K091BB02
3K091BB35
3K091CC02
3K091CC13
3K091CC23
(57)【要約】
【課題】アンモニア燃焼バーナにおいてNOxの発生量を抑制する。
【解決手段】本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナは、ボイラでアンモニア燃料を燃焼させるためのアンモニア燃焼バーナであって、燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズルと、燃焼用空気ノズルの内部に配置されていて、燃焼用空気ノズルの内部でアンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズルと、第1アンモニア噴射ノズルよりも下流側に配置された保炎器と、を備える。燃焼用空気ノズルは、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズルから噴射されたアンモニア燃料との部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラでアンモニア燃料を燃焼させるためのアンモニア燃焼バーナであって、
燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズルと、
前記燃焼用空気ノズルの内部に配置されていて、前記燃焼用空気ノズルの内部で前記アンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズルと、
前記第1アンモニア噴射ノズルよりも下流側に配置された保炎器と、
を備え、
前記燃焼用空気ノズルは、前記燃焼用空気の一部と前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射された前記アンモニア燃料との部分予混合燃料と、前記燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている
アンモニア燃焼バーナ。
【請求項2】
前記燃焼用空気ノズルは、燃焼用空気を噴出する開口部を有し、
前記開口部は、前記保炎器の外縁との間で隙間を形成し、
前記隙間は、前記部分予混合燃料の少なくとも一部と、前記燃焼用空気の残部とを前記隙間から噴出するための通路である
請求項1に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項3】
前記部分予混合燃料の流路と、前記燃焼用空気の残部の流路とを隔てる隔壁、
を備える
請求項1又は2に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項4】
前記保炎器は、ディフューザ型又はスワラ型の保炎器である、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項5】
前記保炎器の少なくとも一部は、前記第1アンモニア噴射ノズルが噴射する前記アンモニア燃料の噴射範囲に位置する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項6】
前記第1アンモニア噴射ノズルに供給される前記アンモニア燃料は、液体アンモニアである、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項7】
前記保炎器よりも下流側で前記アンモニア燃料を噴射するための第2アンモニア噴射ノズル、
を備える
請求項1乃至6の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項8】
前記保炎器と接続されていて、前記保炎器の上流側に向かって突出する突出部、
を備える
請求項1乃至7の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項9】
前記燃焼用空気ノズルのメタル温度を検出する温度検出センサ
を備える
請求項1乃至8の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項10】
前記燃焼用空気ノズルの内部での着火を検出する着火検出センサ
を備える
請求項1乃至9の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナ。
【請求項11】
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至10の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
を備える
ボイラ。
【請求項12】
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至10の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
前記火炉壁の前記アンモニア燃焼バーナとは異なる位置に設けられ、前記アンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる他燃料バーナと、
を備える
ボイラ。
【請求項13】
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至9の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
前記燃焼用空気ノズルの内部での着火を検出する着火検出センサと、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて、前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部と、
前記噴射量算出部で算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節する調節部と、
を有する
ボイラ。
【請求項14】
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至9の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1アンモニア噴射ノズルに供給される前記アンモニア燃料は、液体アンモニアであり、
前記アンモニア燃焼バーナは、メタル温度を検出する温度センサを備え、
前記制御装置は、
前記温度センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部と、
前記噴射量算出部で算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節する調節部と、
を有する
ボイラ。
【請求項15】
アンモニア燃料が供給されるボイラの運転方法であって、
前記ボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至9の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
前記燃焼用空気ノズルの内部での着火を検出する着火検出センサと、
を含み、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出するステップと、
前記算出するステップで算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節するステップと、
を備える
ボイラの運転方法。
【請求項16】
アンモニア燃料が供給されるボイラの運転方法であって、
前記ボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、請求項1乃至9の何れか一項に記載のアンモニア燃焼バーナと、
を含み、
前記第1アンモニア噴射ノズルに供給される前記アンモニア燃料は、液体アンモニアであり、
前記アンモニア燃焼バーナは、メタル温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出するステップと、
前記算出するステップで算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節するステップと、
を備える
ボイラの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニア燃焼バーナ、ボイラ及びボイラの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアが燃料として火炉内に供給されるボイラが公知である。例えば、特許文献1で開示されるボイラでは、アンモニアが石炭と共に火炉内で燃焼するアンモニア混焼が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニアをバーナで燃焼させる場合、NOxの発生量は、他の燃料を燃焼させる場合よりも燃焼場における燃料と燃焼用空気との接触面の局所的な空気比の影響を受け易い。そのため、NOxの発生量を抑制するためには、燃焼場におけるアンモニアと燃焼用空気との接触面の局所的な空気比の制御が重要となる。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、アンモニア燃焼バーナにおいてNOxの発生量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナは、
ボイラでアンモニア燃料を燃焼させるためのアンモニア燃焼バーナであって、
燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズルと、
前記燃焼用空気ノズルの内部に配置されていて、前記燃焼用空気ノズルの内部で前記アンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズルと、
前記第1アンモニア噴射ノズルよりも下流側に配置された保炎器と、
を備え、
前記燃焼用空気ノズルは、前記燃焼用空気の一部と前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射された前記アンモニア燃料との部分予混合燃料と、前記燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている。
【0007】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
を備える。
【0008】
(3)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
前記火炉壁の前記アンモニア燃焼バーナとは異なる位置に設けられ、前記アンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる他燃料バーナと、
を備える。
【0009】
(4)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
前記燃焼用空気ノズルの内部での着火を検出する着火検出センサと、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて、前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部と、
前記噴射量算出部で算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節する調節部と、
を有する。
【0010】
(5)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1アンモニア噴射ノズルに供給される前記アンモニア燃料は、液体アンモニアであり、
前記アンモニア燃焼バーナは、メタル温度を検出する温度センサを備え、
前記制御装置は、
前記温度センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部と、
前記噴射量算出部で算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節する調節部と、
を有する。
【0011】
(6)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラの運転方法は、
アンモニア燃料が供給されるボイラの運転方法であって、
前記ボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
前記燃焼用空気ノズルの内部での着火を検出する着火検出センサと、
を含み、
前記着火検出センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出するステップと、
前記算出するステップで算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節するステップと、
を備える。
【0012】
(7)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラの運転方法は、
アンモニア燃料が供給されるボイラの運転方法であって、
前記ボイラは、
火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁に設けられた、上記(1)の構成のアンモニア燃焼バーナと、
を含み、
前記第1アンモニア噴射ノズルに供給される前記アンモニア燃料は、液体アンモニアであり、
前記アンモニア燃焼バーナは、メタル温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサの検出結果に基づいて前記第1アンモニア噴射ノズルから噴射する前記アンモニア燃料の噴射量を算出するステップと、
前記算出するステップで算出した前記噴射量となるように前記噴射量を調節するステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、アンモニア燃焼バーナにおいてNOxの発生量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のアンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を主燃料とするボイラを備えるボイラシステムを表す概略構成図である。
【
図2】第1アンモニアバーナについての構造を表す模式的な図である。
【
図3】アンモニア燃料と燃焼用空気との接触状態について説明するための模式な図である。
【
図4】アンモニア燃料と燃焼用空気との接触面における空気比について説明するためのグラフである。
【
図5】第2アンモニアバーナについての構造を表す模式的な図である。
【
図6】突出部を設けた第1アンモニアバーナについての構造を表す模式的な図である。
【
図7A】圧力噴霧ノズルの構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに示した圧力噴霧ノズルの内部に配置されたバックプレートの模式図である。
【
図8】2流体噴霧ノズルの構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】第1アンモニア噴射ノズルからのアンモニア噴射量の調節について説明するための図である。
【
図10】着火検出センサの検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズルから噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】温度センサの検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズルから噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0016】
<1.ボイラシステム1の全体的な構成>
図1は、本実施形態のアンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を主燃料とするボイラを備えるボイラシステム1を表す概略構成図である。
【0017】
本実施形態のボイラシステム1が備えるボイラ10は、アンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料とをバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。他燃料として、例えばバイオマス燃料や石炭などの固体燃料が使用される。固体燃料は、例えば石炭を微粉砕した微粉炭燃料である。また、アンモニア燃料は、アンモニアを含む液体または気体である。
【0018】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20、50と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0019】
燃焼装置20、50は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、微粉炭燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。また、燃焼装置50は、アンモニア燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。
【0020】
燃焼装置20は、火炉壁101に装着された複数のバーナ21を有し、燃焼装置50は、複数のアンモニアバーナ(アンモニア燃焼バーナ)51を有している。各々のバーナ21の先端部には、微粉炭燃料を火炉11内に噴射するように構成された噴射ノズル(図示外)が設けられる。また、各々のアンモニアバーナ51には、アンモニア噴射ノズル(例えば
図3に示す第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522)が設けられる。火炉11に液体のアンモニア燃料が噴射される液体アンモニア噴射方式が採用される場合、アンモニア噴射ノズルは、例えば蒸気などのアトマイズ流体により液体アンモニアを微粒化して噴射するように構成された2流体噴射ノズルであってもよいし、液体のアンモニア燃料のみを噴射するように構成された1流体噴射ノズルであってもよい。また、火炉11に気体のアンモニア燃料が噴射されるアンモニアガス噴射方式が採用される場合、アンモニア噴射ノズルはガス噴射ノズルであってもよい。
【0021】
バーナ21とアンモニアバーナ51は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。
図1の例では、1セットのバーナ21が2段、1セットのアンモニアバーナ51が4段配置される。なお、
図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21、51を付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態の火炉11における燃焼方式は、コーナ部にバーナが設置され、火炉11内部でらせん状に旋回する火炎を形成する旋回燃焼方式であるが、他の燃焼方式であってもよい。採用される燃焼方式に応じて、火炉11の形状と、複数のバーナ21及び複数のアンモニアバーナ51の配置はいずれも適宜変更されてよい。他の燃焼方式としては、例えば、火炉11の対向する1対の炉壁の双方にバーナが設置される対向燃焼方式である。
【0022】
燃焼装置20のバーナ21は、それぞれ、複数の微粉炭燃料供給管22A、22B(以下、一括して「微粉炭燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数のミル(粉砕機)31A、31B(以下、一括して「ミル31」と記載する場合がある。)に連結されている。ミル31は、例えば、内部に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、ミル31に供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、ミル31が備える分級機(図示省略)に搬送される。分級機では、バーナ21での燃焼に適した粒径以下の微粉炭燃料と、該粒径より大きな粗粉炭燃料とに分級される。微粉炭燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。分級機を通過しなかった粗粉炭燃料は、ミル31の内部で、自重により粉砕テーブル上に落下し、再粉砕される。
【0023】
ミル31に供給される上述の一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)は、外気を取り込む1次空気通風機33(PAF:Primary Air Fan)から空気管30を介してミル31に送出される。空気管30は、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ(空気予熱器)42で加熱された熱空気が流れる熱空気誘導管30Aと、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ42を経由しない常温に近い冷空気が流れる冷空気誘導管30Bと、熱空気と冷空気が合流して流れるための搬送用ガス流路30Cとを備える。
【0024】
燃焼装置50のアンモニアバーナ51は、アンモニア燃料供給ユニット90に連結されている。本実施形態のアンモニア燃料供給ユニット90は、アンモニアタンク91と、アンモニアタンク91に貯留されるアンモニア燃料(例えば液体アンモニア)をボイラ10の燃焼装置50に供給するためのアンモニア燃料供給管92とを備える。アンモニアガス噴射方式が採用される場合、液体アンモニアに気化処理を施すための気化器(図示外)がアンモニア燃料供給ユニット90に設けられてもよい。また、液体アンモニア噴射方式が採用される場合、アンモニア燃料供給ユニット90は、燃焼装置50に液体アンモニアを微粒化するためのアトマイズ流体を供給するアトマイズ流体供給管(図示外)をさらに備えてもよい。
【0025】
バーナ21とアンモニアバーナ51の装着位置における火炉11の炉外側には、エアレジスタ(風箱)23が設けられており、このエアレジスタ23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され、エアレジスタ23を介してバーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、及びアンモニアバーナ51に燃焼用空気(酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0026】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A、102B、102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A、103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載した形態に限定されない。
【0027】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、ミル31に供給する一次空気やバーナ21とアンモニアバーナ51に供給する燃焼用空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0028】
また、煙道13には、空気予熱器42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが、排ガスとして系外に排出される。
【0029】
ボイラ10において、複数のミル31が駆動すると、粉砕、分級された微粉炭燃料が、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。また、アンモニア燃料供給ユニット90からアンモニア燃料がアンモニアバーナ51に供給される。さらに、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24からエアレジスタ23を介してバーナ21とアンモニアバーナ51とに供給される。
バーナ21は、微粉炭燃料と一次空気とが混合した微粉炭燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれた微粉炭燃料混合気が着火し、二次空気と反応することで火炎を形成する。アンモニアバーナ51は、アンモニア燃料と共に燃焼用空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれたアンモニア燃料は、燃焼用空気と反応して燃焼する。
微粉炭燃料とアンモニア燃料の燃焼により生じる高温の燃焼ガスは、火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。
なお、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれるタイミングは、微粉炭燃料の燃焼によって火炉11内の温度が一定温度まで上昇した後であってもよい。例えば、ボイラ10の起動時に微粉炭燃料の専焼が行われたのち、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれ、アンモニア燃料と微粉炭燃料とのアンモニア混焼が行われてもよい。さらにその後、微粉炭燃料の吹き込みを停止し、アンモニア専焼が行われてもよい。
また、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気、燃焼用空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0030】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気、二次空気及び燃焼用空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガスの流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0031】
なお、本開示のボイラは上述した実施形態に限定されない。ボイラに使用される固体燃料としては、石炭である代わりにまたは石炭と共に、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などが使用されてもよい。
また、アンモニア燃料と組み合わせるボイラの燃料としては、固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができる。また、天然ガスや各種石油ガス、製鉄プロセスなどで発生する副生ガスなどの気体燃料も使用することができる。
さらに、これらの各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。以下の説明では、アンモニア燃料のことを単にアンモニアとも称する。
【0032】
上述したように、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた後で詳述するアンモニアバーナ51と、火炉壁101のアンモニアバーナ51とは異なる位置に設けられ、微粉炭を燃焼させる微粉炭バーナとしてのバーナ21とを備える。
これにより、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10からのNOxの排出量を抑制できる。
なお、バーナ21は、アンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる他燃料バーナであってもよい。
また、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、アンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる混焼ボイラであってもよく、アンモニア燃料だけを燃焼させるアンモニア専焼ボイラであってもよい。
【0033】
(アンモニアをバーナで燃焼させる際のNOxの発生量について)
アンモニアをバーナで燃焼させる場合、NOxの発生量は、他の燃料を燃焼させる場合よりも燃焼場における燃料と燃焼用空気との接触面の局所的な空気比の影響を受け易い。そのため、NOxの発生量を抑制するためには、燃焼場におけるアンモニアと燃焼用空気との接触面における局所的な空気比の制御が重要となる。
そこで、本実施の形態に係るボイラ10では、アンモニアバーナ51を以下のように構成することで、NOxの発生量を抑制するようにしている。
【0034】
(第1アンモニアバーナ51Aについて)
図2は、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51の内の一実施形態の第1アンモニアバーナ51Aについての構造を表す模式的な側面断面図と、この第1アンモニアバーナ51Aを中心軸Axに沿って燃焼用空気の流れ方向の下流側から見た模式的な正面図である。
図6は、突出部57を設けた第1アンモニアバーナ51Aについての構造を表す模式的な側面断面図と、この第1アンモニアバーナ51Aを中心軸Axに沿って燃焼用空気の流れ方向の下流側から見た模式的な正面図である。
【0035】
図6に示した第1アンモニアバーナ51Aは、突出部57を設けたことを除き
図2に示した第1アンモニアバーナ51Aと同様の構成を有する。なお、突出部57については後で詳述する。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズル54を備える。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、燃焼用空気ノズル54の内部に配置されていて、燃焼用空気ノズル54の内部でアンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズル521を備える。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、第1アンモニア噴射ノズル521よりも下流側に配置された保炎器56を備える。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、保炎器56は、例えば、中空円錐台形状のディフューザ型の保炎器56Aである。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、保炎器56よりも下流側でアンモニア燃料を噴射するための第2アンモニア噴射ノズル522を備えてもよい。なお、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aにおいて、第2アンモニア噴射ノズル522は必須ではない。
【0036】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、燃焼用空気ノズル54は、中心軸Axに沿って見たときに矩形形状を呈する、矩形形状の断面を有するダクトであり、下流側の端部近傍において、矩形形状の断面形状を保持しつつ下流側に向かうにつれて流路断面積が小さくなるように形成されている。なお、燃焼用空気ノズル54の断面形状は、矩形形状に限定されない。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気を噴出する開口部54aを有している。
【0037】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との予混合を燃焼用空気ノズル54内で行うように構成されている。
よって、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第1アンモニア噴射ノズル521は、以下に述べるように、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との予混合を燃焼用空気ノズル54内で行うための領域を確保するため、燃焼用空気ノズル54の出口の開口部54aよりも上流側に配置されている。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第1アンモニア噴射ノズル521は、中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて複数配置されている。
図2及び
図6に示す例では、第1アンモニア噴射ノズル521は、中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて4つ配置されている。
【0038】
このように、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている。
【0039】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、燃焼用空気ノズル54の開口部54aは、保炎器56の外縁との間で隙間を形成している。上記隙間は、上記部分予混合燃料の少なくとも一部と、燃焼用空気の残部とを上記隙間から噴出するための通路である。
なお、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、ディフューザ型の保炎器56Aを備えるので、上記隙間からは上記部分予混合燃料の全量が噴出される。
【0040】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第1アンモニアバーナ51Aに供給されるアンモニアは、例えば気体のアンモニア燃料(アンモニアガス)である。なお、第1アンモニアバーナ51Aに供給されるアンモニア燃料は、後述するように液体のアンモニア燃料であってもよい。
【0041】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第2アンモニア噴射ノズル522は、燃焼用空気ノズル54と同軸に配置されていて、複数の噴射孔52hからアンモニアを火炉11内に噴射するように構成されている。
【0042】
このように構成される、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、
図2及び
図6の矢印aで示すように第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニアと、
図2及び
図6の破線の矢印bで示すように燃焼用空気の一部とが燃焼用空気ノズル54内で予混合されて部分予混合燃料が生成される。この部分予混合燃料は、矢印cで示すように燃焼用空気ノズル54の開口部54aと保炎器56の外縁との間の隙間から火炉11内に噴射される。また、アンモニアとの予混合に用いられなかった燃焼用空気の残部は、
図2及び
図6の破線の矢印dで示すように上記隙間から火炉11内に噴射される。
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第2アンモニア噴射ノズル522に供給されたアンモニアは、
図2及び
図6の矢印eで示すように複数の噴射孔52hから火炉11内に噴射される。
【0043】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aは、部分予混合燃料の流路541と、燃焼用空気の残部の流路542とを隔てる隔壁625を備えている。
隔壁625は、例えば第1アンモニアバーナ51Aを中心軸Axと同軸の筒状の部材である。隔壁625の内周面625aは、部分予混合燃料の流路541を画定し、隔壁625の外周面625bは、燃焼用空気ノズル54の内周面54iとの間で燃焼用空気の残部の流路542を形成する。
【0044】
アンモニアと部分予混合される燃焼用空気は、
図2及び
図6の破線の矢印bで示すように、隔壁625の上流側の開口端から隔壁625の内側、すなわち部分予混合燃料の流路541に流入する。
部分予混合燃料は、
図2及び
図6の破線の矢印cで示すように、隔壁625の下流側の開口端から火炉11内に向かって流出する。
【0045】
アンモニアとの予混合に用いられなかった燃焼用空気の残部は、
図2及び
図6の破線の矢印f、及び破線の矢印dで示すように隔壁625の外側を流れて火炉11内に向かって流出する。
これにより、燃焼用空気ノズル54の内部で必要以上の燃焼用空気がアンモニア燃料と予混合されることを抑制できるので、部分予混合燃料における空気比を安定化させ易い。
【0046】
以下、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51においてNOxの発生量が抑制される理由について説明する。
図3は、アンモニア燃料と燃焼用空気との接触状態について説明するための模式な図である。
図4は、アンモニア燃料と燃焼用空気との接触面における空気比について説明するためのグラフである。
図4のグラフでは、噴射されたアンモニア燃料又は部分予混合燃料と、噴射された燃焼用空気とが接触する領域を燃料側から燃焼用空気側に向かって空気比がどのように変化するかを示している。
図4のグラフでは、アンモニア燃料を拡散燃焼させる場合についてのグラフ線を破線で示し、燃焼用空気ノズル54内で予混合された部分予混合燃料と燃焼用空気とを燃焼させる場合についてのグラフ線を実線で示す。
【0047】
図3では、燃焼用空気の流れに沿ったアンモニアバーナ51Xの中心軸Axを境に図示上側には、上述した第1アンモニアバーナ51Aと同様に、燃焼用空気ノズル54内で予混合された部分予混合燃料と燃焼用空気とが噴射されて燃焼(部分予混合燃焼)する場合について表している。また、中心軸Axを境に図示下側には、アンモニア燃料を拡散燃焼させる場合について示している。
【0048】
図3の下側に示すように、アンモニア燃料を拡散燃焼させる場合には、燃焼用空気の全量とアンモニア燃料とが拡散混合する。よって、噴射されたアンモニア燃料F1と噴射された燃焼用空気A1との接触面S1は比較的広くなる。また、この接触面S1における局所な空気比は1を超過しているものと考えられ、NOxが発生し易い雰囲気になる(
図4参照)。
【0049】
図3の上側に示すように、燃焼用空気ノズル54内で予混合された部分予混合燃料と燃焼用空気とを燃焼させる場合には、燃焼用空気の一部が燃焼用空気ノズル54内でアンモニア燃料と予混合されて燃焼場に噴出する。そして燃焼用空気の残部と火炉11内で拡散混合する。この場合、拡散混合する燃焼用空気の流量が予混合で用いられた分だけ少ないので、噴射された部分予混合燃料F2と噴射された燃焼用空気A2との接触面S2は、拡散燃焼の場合と比べて狭くなる。また、この接触面S2における局所な空気比は、アンモニア燃料を拡散燃焼させる場合に比べて低くなる(
図4参照)。
そのため、燃焼用空気ノズル54内で予混合された部分予混合燃料と燃焼用空気とを燃焼させる場合には、アンモニア燃料を拡散燃焼させる場合に比べてNOxの発生量を抑制できる。
【0050】
よって、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、NOxの発生量を抑制できる。
【0051】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、燃焼用空気ノズル54の開口部54aと保炎器56の外縁との間の隙間から上記部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出させることで、これらが拡散混合する際の部分予混合燃料と燃焼用空気との接触面を狭くすることができる。これにより、第1アンモニアバーナ51AにおいてNOxの発生量を抑制できる。
【0052】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、ディフューザ型の保炎器56Aを備えるので、第1アンモニアバーナ51Aの近傍で保炎でき、拡散混合する際の部分予混合燃料と燃焼用空気との接触面が広がることを抑制できる。これにより、第1アンモニアバーナ51AにおいてNOxの発生量を抑制できる。
【0053】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、保炎器56の少なくとも一部は、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料の噴射範囲に位置するとよい。
これにより、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料による保炎器56の冷却が期待でき、保炎器56の温度上昇の抑制に資する。
【0054】
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、第2アンモニア噴射ノズル522を備えることで、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射されるアンモニア燃料を拡散燃焼させることができる。
【0055】
なお、
図2及び
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、例えばボイラ10の負荷を変化する場合など、ボイラ10の運転状況による第1アンモニアバーナ51Aの要求燃焼量に応じて、第1アンモニア噴射ノズル521だけからアンモニアを噴射するようにしてもよく、第2アンモニア噴射ノズル522だけからアンモニアを噴射するようにしてもよく、第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522の双方からアンモニアを噴射するようにしてもよい。
【0056】
(第2アンモニアバーナ51Bについて)
図5は、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51の内の一実施形態の第2アンモニアバーナ51Bについての構造を表す模式的な側面断面図と、この第2アンモニアバーナ51Bを中心軸Axに沿って燃焼用空気の流れ方向の下流側から見た模式的な正面図である。
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bは、
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aとは保炎器56の構造が異なる他は、
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aと同様の構成を有する。
すなわち、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bは、燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズル54を備える。
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bは、燃焼用空気ノズル54の内部に配置されていて、燃焼用空気ノズル54の内部でアンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズル521を備える。
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bは、第1アンモニア噴射ノズル521よりも下流側に配置された保炎器56を備える。
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、保炎器56は、例えば、複数の旋回羽根を備えたスワラ型の保炎器56Bである。
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aは、保炎器56よりも下流側でアンモニア燃料を噴射するための第2アンモニア噴射ノズル522を備えてもよい。なお、
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aにおいて、第2アンモニア噴射ノズル522は必須ではない。
【0057】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bは、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との予混合を燃焼用空気ノズル54内で行うように構成されている。
よって、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、第1アンモニア噴射ノズル521は、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との予混合を燃焼用空気ノズル54内で行うための領域を確保するため、燃焼用空気ノズル54の出口の開口部54aよりも上流側に配置されている。
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、第1アンモニア噴射ノズル521は、中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて複数配置されている。
図5に示す例では、第1アンモニア噴射ノズル521は、中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて4つ配置されている。
【0058】
このように、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている。
【0059】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、燃焼用空気ノズル54の開口部54aは、保炎器56の外縁との間で隙間を形成している。上記隙間は、上記部分予混合燃料の少なくとも一部と、燃焼用空気の残部とを上記隙間から噴出するための通路である。
なお、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、スワラ型の保炎器56Bを備えるので、上記部分予混合燃料の大部分は、スワラ型の保炎器56Aの複数の旋回羽根の間の開口部から噴出され、上記隙間からは上記部分予混合燃料の一部が噴出される。
【0060】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、第2アンモニアバーナ51Bに供給されるアンモニア燃料は、例えば気体のアンモニア燃料(アンモニアガス)である。なお、第2アンモニアバーナ51Bに供給されるアンモニアは、後述するように液体アンモニア燃料であってもよい。
【0061】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、第2アンモニア噴射ノズル522は、燃焼用空気ノズル54と同軸に配置されていて、複数の噴射孔52hからアンモニア燃料を火炉11内に噴射するように構成されている。
【0062】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aと同様に、燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されているので、NOxの発生量を抑制できる。
【0063】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、燃焼用空気ノズル54の開口部54aと保炎器56の外縁との間の隙間から上記部分予混合燃料の一部と、燃焼用空気の残部とを噴出させることで、これらが拡散混合する際の部分予混合燃料と燃焼用空気との接触面を狭くすることができる。これにより、第2アンモニアバーナ51BにおいてNOxの発生量を抑制できる。
【0064】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、スワラ型の保炎器56Bを備えるので、第1アンモニアバーナ51Aの近傍で保炎でき、拡散混合する際の部分予混合燃料と燃焼用空気との接触面が広がることを抑制できる。これにより、第2アンモニアバーナ51BにおいてNOxの発生量を抑制できる。
【0065】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、保炎器56がスワラ型の保炎器56Bであるので、ディフューザ型の保炎器56Aと比べて保炎器56のメタル温度を抑制できる。これは、スワラ型の保炎器56Bは、ディフューザ型の保炎器56Aと比べて、火炉11内の燃焼ガスや自らが形成する火炎からの輻射熱の受熱面積が小さいこと、及び、燃焼用空気ノズル54内を流通する流体(部分予混合燃料、燃焼用空気)との接触面積が大きいためである。
【0066】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、保炎器56の少なくとも一部は、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料の噴射範囲に位置するとよい。
これにより、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料による保炎器の冷却が期待でき、保炎器の温度上昇の抑制に資する。
【0067】
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、第2アンモニア噴射ノズル522を備えることで、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射されるアンモニア燃料を拡散燃焼させることができる。
【0068】
なお、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bでは、例えばボイラ10の負荷を変化する場合など、ボイラ10の運転状況による第2アンモニアバーナ51Bの要求燃焼量に応じて、第1アンモニア噴射ノズル521だけからアンモニアを噴射するようにしてもよく、第2アンモニア噴射ノズル522だけからアンモニアを噴射するようにしてもよく、第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522の双方からアンモニアを噴射するようにしてもよい。
【0069】
(保炎器56の温度抑制について)
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、保炎器56がディフューザ型の保炎器56Aであるので、スワラ型の保炎器56Bと比べると保炎器56のメタル温度が高くなる傾向にある。これは、ディフューザ型の保炎器56Aは、スワラ型の保炎器56Bと比べて、火炉11内の燃焼ガスや自らが形成する火炎からの輻射熱の受熱面積が大きいこと、及び、燃焼用空気ノズル54内を流通する流体(燃料、部分予混合燃料、燃焼用空気)との接触面積が小さいためである。
そこで、第1アンモニアバーナ51Aでは、
図6に示すように、保炎器56と接続されていて、保炎器56の上流側に向かって突出する突出部(フィン)57を設けるようにしてもよい。
【0070】
図6に示すように、例えば突出部57は、上流側の端部がディフューザ型の保炎器56Aの上流側を向いた面に接続されていて、保炎器56の上流側に向かって突出するように形成された板状の部材である。突出部57は、例えば中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて複数配置されている。
図6に示す例では、突出部57は、中心軸Axの周囲に周方向に間隔を開けて4つ配置されている。
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aでは、突出部57が燃焼用空気ノズル54内で予混合された部分予混合燃料や燃焼用空気と接触し冷却されることで保炎器56の温度上昇を抑制できる。
【0071】
(液体アンモニアを噴射する場合について)
上述したように、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51は、液体アンモニア燃料を噴射するように構成されていてもよい。この場合、第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522の先端には、液体アンモニア燃料を噴霧可能なノズルチップ(アトマイザ)が取り付けられているとよい。
図7Aは、圧力噴霧ノズル525の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図7Bは、
図7Aに示した圧力噴霧ノズル525の内部に配置されたバックプレート525aの模式図である。
図8は、2流体噴霧ノズル526の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0072】
第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522の先端に取り付けられるノズルチップは、例えば
図7Aに示すような圧力噴霧ノズル525であってもよく、
図8に示すような2流体噴霧ノズル526であってもよい。
【0073】
例えば
図7Aに示す圧力噴霧ノズル525では、内部に配置されたバックプレートを液体アンモニアが通過する際に径方向の速度成分を有するように流れの向きが変えられて、圧力噴霧ノズル525から噴出される液体アンモニア燃料に旋回力を与える。これにより、圧力噴霧ノズル525から液体アンモニア燃料が、例えばコーン状に噴霧される。
【0074】
例えば
図8に示すような2流体噴霧ノズル526では、液体アンモニア燃料は、燃料とは別に供給されるアトマイズ流体によって微粒化され、2流体噴霧ノズル526から噴霧される。
第1アンモニア噴射ノズル521及び第2アンモニア噴射ノズル522において
図8に示すような2流体噴霧ノズル526用いる場合、アトマイズ流体には、過熱蒸気や空気、窒素等が用いられる。
【0075】
上述したように、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51から液体アンモニア燃料を噴霧することで、例えば第1アンモニア噴射ノズル521から噴射される液体アンモニア燃料の蒸発潜熱によって、保炎器56等を冷却できる。これにより、保炎器56等の温度上昇を抑制できる。
【0076】
(第1アンモニア噴射ノズル521からのアンモニア噴射量の調節について)
上述した幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を備えるボイラ10では、例えば以下に述べるように第1アンモニア噴射ノズル521からのアンモニア噴射量を調節するようにしてもよい。
図9は、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51における第1アンモニア噴射ノズル521からのアンモニア噴射量の調節について説明するための図である。
なお、
図9に示すアンモニアバーナ51は、
図2に示す第1アンモニアバーナ51Aであるが、
図5に示す第2アンモニアバーナ51Bであってもよく、
図6に示す第1アンモニアバーナ51Aであってもよい。
【0077】
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10は、第1アンモニア噴射ノズル521からのアンモニア噴射量を制御するための制御装置900を備えている。
幾つかの実施形態に係る制御装置900は、コントローラ901と、調節部95とを含む。
【0078】
コントローラ901は、各種演算処理を実行するプロセッサ901aと、プロセッサによって処理される各種データを非一時的または一時的に記憶するメモリ901bとを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせなどによって実現される。メモリは、ROM、RAM、フラシュメモリ、またはこれらの組み合わせなどによって実現される。なお、コントローラ901はボイラ10を制御するように構成されてもよい。コントローラ901はボイラシステム1を制御するように構成されてもよい。
【0079】
コントローラ901は、機能ブロックとしての噴射量算出部902を備えている。コントローラ901のプロセッサ901aは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより噴射量算出部902として機能する。
【0080】
調節部95は、例えば第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を調節するための第1流量調節バルブ95Aである。なお、調節部95は、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射するアンモニア燃料の噴射量を調節するための第2流量調節バルブ95B、及び燃焼用空気ノズル54に供給する燃焼用空気の供給量を調節するための第3流量調節バルブ95Cを含んでいてもよい。
【0081】
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51は、アンモニアバーナ51のメタル温度を検出するための温度センサ96を備えていてもよい。温度センサ96は、例えば熱電対であり、燃焼用空気ノズル54内で開口部54aに比較的近い位置の金属部分に取り付けられているとよい。温度センサ96は、例えば
図9に示すように隔壁625の温度を検出するように取り付けられていてもよく、第1アンモニア噴射ノズル521の下流端近傍の温度を検出するように取り付けられていてもよい。また、温度センサ96は、保炎器56の温度を検出するように取り付けられていてもよい。
なお、温度センサ96は、上述した幾つかの検出箇所以外の温度を検出するように設置されていてもよい。温度センサ96は、これらの検出箇所の少なくとも1か所の温度を検出するように設置されていればよい。
温度センサ96は、後述するように燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出するために用いられる場合には、着火検出センサ98として機能する。
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51では、燃焼用空気ノズル54のメタル温度を検出する温度センサ96を備えているので、後述するように、燃焼用空気ノズル54のメタル温度の管理が可能となる。
【0082】
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51は、燃焼用空気ノズル54内の圧力を検出するための圧力センサ97を備えていてもよい。なお、圧力センサ97は、後述するように燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出するために用いられる場合には、着火検出センサ98として機能する。
後述するように圧力センサ97を着火検出センサ98として用いるのであれば、燃焼用空気ノズル54の内部での燃焼用空気の圧力変動を検出できればよいため、圧力センサ97は、必ずしも燃焼用空気ノズル54の内部に配置する必要はない。
【0083】
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10では、温度センサ96や圧力センサ97からの検出信号は、コントローラ901に入力されるように構成されている。
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10では、第1流量調節バルブ95A、第2流量調節バルブ95B、及び第3流量調節バルブ95Cには、流量を調節するために不図示のアクチュエータがそれぞれ設けられている。幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10では、これらのアクチュエータを駆動するための制御信号は、コントローラ901から出力されるように構成されている。
【0084】
(燃焼用空気ノズル54の内部での着火を抑制するために第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する場合)
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10では、着火検出センサ98の検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御するようにしてもよい。
【0085】
図10は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
図10のフローチャートに示す処理を実行するためのプログラムは、プロセッサ901aがメモリ901bから読み込んで実行する。
【0086】
一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、噴射量を算出するステップS10と、噴射量を調節するステップS20と、を備える。
【0087】
噴射量を算出するステップS10は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズルから噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出するステップである。
噴射量を算出するステップS10では、コントローラ901の噴射量算出部902は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて、燃焼用空気ノズル54の内部で着火したか否かを判断する。例えば、噴射量を算出するステップS10では、噴射量算出部902は、温度センサ96で検出した温度や、その温度の変化等から燃焼用空気ノズル54の内部で着火したか否かを判断してもよい。また、例えば、噴射量を算出するステップS10では、噴射量算出部902は、圧力センサ97で検出した燃焼用空気ノズル54に供給される燃焼用空気の圧力や、その圧力の変化等から燃焼用空気ノズル54の内部で着火したか否かを判断してもよい。
そして、噴射量算出部902は、燃焼用空気ノズル54の内部で着火したと判断した場合に、例えば第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも少ない噴射量に設定する。なお、噴射量算出部902は、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも少ない噴射量に設定した場合、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の減少量に相当する分だけ、第2アンモニア噴射ノズル522からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも多い噴射量に設定するようにしてもよい。
【0088】
噴射量を調節するステップS20は、噴射量を算出するステップS10で算出した噴射量となるように第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量を調節するステップである。
噴射量を調節するステップS20では、プロセッサ901aは、噴射量を算出するステップS10で算出(設定)した噴射量となるように、第1流量調節バルブ95Aの不図示のアクチュエータを駆動するための制御信号を出力する。
第1流量調節バルブ95Aでは、当該制御信号を受信することで不図示のアクチュエータが第1流量調節バルブ95Aにおけるアンモニアの流量を調節する。これにより、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量が噴射量を算出するステップS10で算出(設定)した噴射量に調節される。
これにより、アンモニア燃焼バーナ51の内部への逆火のリスクを低減できる。
なお、噴射量を調節するステップS20では、プロセッサ901aは、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量が噴射量を算出するステップS10で算出(設定)した噴射量となるように、第2流量調節バルブ95Bの不図示のアクチュエータを駆動するための制御信号を出力するようにしてもよい。
第2流量調節バルブ95Bでは、当該制御信号を受信することで不図示のアクチュエータが第2流量調節バルブ95Bにおけるアンモニアの流量を調節する。これにより、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射するアンモニア燃料の噴射量が噴射量を算出するステップS10で算出(設定)した噴射量に調節される。
【0089】
すなわち、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10は、燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出する着火検出センサ98と、着火検出センサ98の検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置900と、を備える。制御装置900は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部902と、噴射量算出部902で算出した噴射量となるように噴射量を調節する調節部95と、を有する。
【0090】
(アンモニア燃焼バーナ51のメタル温度を抑制するために第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する場合)
幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10では、温度センサ96の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御するようにしてもよい。
【0091】
図11は、温度センサ96の検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
図11のフローチャートに示す処理を実行するためのプログラムは、プロセッサ901aがメモリ901bから読み込んで実行する。
【0092】
一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、噴射量を算出するステップS50と、噴射量を調節するステップS60と、を備える。
【0093】
噴射量を算出するステップS10は、温度センサ96の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出するステップである。
噴射量を算出するステップS10では、コントローラ901の噴射量算出部902は、温度センサ96の検出結果、すなわち温度センサ96で検出したメタル温度を監視する。そして、例えば噴射量算出部902は、温度センサ96で検出したメタル温度が予め設定した閾値を超えたと判断した場合、例えば第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも多い噴射量に設定する。なお、噴射量算出部902は、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも多い噴射量に設定した場合、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量の増加量に相当する分だけ、第2アンモニア噴射ノズル522からの噴射量の設定値を現在のアンモニア噴射量よりも少ない噴射量に設定するようにしてもよい。
【0094】
例えばアンモニア燃焼バーナ51の構造が異なると、アンモニア燃焼バーナ51を構成する燃焼用空気ノズル54の先端部や保炎器56等が、火炉11内の燃焼ガスやアンモニア燃焼バーナ51が形成する自火炎から受ける熱により損傷(以下、焼損と言う)する条件や、その程度が異なる。そこで、噴射量を算出するステップS10では、噴射量算出部902は、メタル温度を抑制するための第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量を、アンモニア燃焼バーナ51の構造によって変更するようにしてもよい。
また、噴射量を算出するステップS10では、噴射量算出部902は、温度センサ96で検出したメタル温度からメタル温度の変化を予想し、予想した温度変化に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量を設定するようにしてもよい。なお、メタル温度の変化の予想に際し、噴射量算出部902は、アンモニア燃焼バーナ51における燃焼空気比、アンモニア燃焼バーナ51の構造、ボイラ10の負荷等を考慮するようにしてもよい。
【0095】
噴射量を調節するステップS60は、噴射量を算出するステップS50で算出した噴射量となるように第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量を調節するステップである。
噴射量を調節するステップS60では、プロセッサ901aは、噴射量を算出するステップS50で算出(設定)した噴射量となるように、第1流量調節バルブ95Aの不図示のアクチュエータを駆動するための制御信号を出力する。
第1流量調節バルブ95Aでは、当該制御信号を受信することで不図示のアクチュエータが第1流量調節バルブ95Aにおけるアンモニアの流量を調節する。これにより、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量が噴射量を算出するステップS50で算出(設定)した噴射量に調節される。
これにより、アンモニア燃焼バーナ51のメタル温度の上昇を抑制し、焼損の発生を抑制できる。
なお、このように第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量を増やすことでアンモニア燃焼バーナ51のメタル温度の抑制を図る場合、第1アンモニア噴射ノズル521に供給されるアンモニア燃料は、液体アンモニア燃料の方が、その効果が大きい。第1アンモニア噴射ノズル521から噴射される液体アンモニアの蒸発潜熱によって、保炎器56等を冷却できる。これにより、保炎器56等の温度上昇をより効果的に抑制できる。
噴射量を調節するステップS60では、プロセッサ901aは、第1アンモニア噴射ノズル521からの噴射量が噴射量を算出するステップS50で算出(設定)した噴射量となるように、第2流量調節バルブ95Bの不図示のアクチュエータを駆動するための制御信号を出力するようにしてもよい。
第2流量調節バルブ95Bでは、当該制御信号を受信することで不図示のアクチュエータが第2流量調節バルブ95Bにおけるアンモニアの流量を調節する。これにより、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射するアンモニア燃料の噴射量が噴射量を算出するステップS50で算出(設定)した噴射量に調節される。
【0096】
このように、幾つかの実施形態に係るアンモニアバーナ51を含むボイラ10は、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置900を備える。第1アンモニア噴射ノズル521に供給されるアンモニア燃料は、液体アンモニア燃料であるとよい。アンモニア燃焼バーナ51は、メタル温度を検出する温度センサ96を備える。制御装置900は、温度センサ96の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部902と、噴射量算出部902で算出した噴射量となるように噴射量を調節する調節部95と、を有する。
【0097】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0098】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナ51は、ボイラ10でアンモニア燃料を燃焼させるためのアンモニア燃焼バーナ51である。本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナ51は、燃焼用空気を噴出するための燃焼用空気ノズル54を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナ51は、燃焼用空気ノズル54の内部に配置されていて、燃焼用空気ノズル54の内部でアンモニア燃料を噴射するための第1アンモニア噴射ノズル521を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るアンモニア燃焼バーナ51は、第1アンモニア噴射ノズル521よりも下流側に配置された保炎器56を備える。燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気の一部と第1アンモニア噴射ノズル521から噴射されたアンモニア燃料との部分予混合燃料と、燃焼用空気の残部とを噴出するように構成されている。
【0099】
上記(1)の構成によれば、予混合をしなかった場合の燃焼場におけるアンモニア燃料と燃焼用空気との接触面の局所的な空気比よりも、燃焼場における部分予混合燃料と燃焼用空気の残部との接触面の局所的な空気比を低くし易い。また、上記(1)の構成によれば、予混合をしなかった場合と比べて、拡散混合する燃焼用空気の流量が予め部分予混合に用いられた分だけ少なくなるので、拡散混合する際の燃焼用空気と部分予混合燃料との接触面を狭くすることができる。これにより、アンモニア燃焼バーナ51においてNOxの発生量を抑制できる。
【0100】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、燃焼用空気ノズル54は、燃焼用空気を噴出する開口部54aを有しているとよい。開口部54aは、保炎器56の外縁との間で隙間を形成しているとよい。上記隙間は、上記部分予混合燃料の少なくとも一部と、燃焼用空気の残部とを上記隙間から噴出するための通路であるとよい。
【0101】
上記(2)の構成によれば、上記隙間から上記部分予混合燃料の少なくとも一部と、燃焼用空気の残部とを噴出させることで、拡散混合する際の燃焼用空気と部分予混合燃料との接触面を狭くすることができる。これにより、アンモニア燃焼バーナ51においてNOxの発生量を抑制できる。
【0102】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、部分予混合燃料の流路541と、燃焼用空気の残部の流路542とを隔てる隔壁625を備えているとよい。
【0103】
上記(3)の構成によれば、燃焼用空気ノズル54の内部で必要以上の燃焼用空気がアンモニア燃料と予混合されることを抑制できるので、部分予混合燃料における空気比を安定化させ易い。
【0104】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、保炎器56は、ディフューザ型又はスワラ型の保炎器であるとよい。
【0105】
上記(4)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51の近傍で保炎できるので、拡散混合する際の燃焼用空気と部分予混合燃料との接触面が広がることを抑制できる。これにより、アンモニア燃焼バーナ51においてNOxの発生量を抑制できる。
【0106】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、保炎器56の少なくとも一部は、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料の噴射範囲に位置するとよい。
【0107】
上記(5)の構成によれば、第1アンモニア噴射ノズル521が噴射するアンモニア燃料による保炎器56の冷却が期待でき、保炎器56の温度上昇の抑制に資する。
【0108】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、第1アンモニア噴射ノズル521に供給されるアンモニア燃料は、液体アンモニア燃料であってもよい。
【0109】
上記(6)の構成によれば、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射される液体アンモニア燃料の蒸発潜熱によって、保炎器56等を冷却できる。これにより、保炎器56等の温度上昇を抑制できる。
【0110】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、保炎器56よりも下流側でアンモニア燃料を噴射するための第2アンモニア噴射ノズル522を備えていてもよい。
【0111】
上記(7)の構成によれば、第2アンモニア噴射ノズル522から噴射されるアンモニア燃料を拡散燃焼させることができる。
【0112】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、保炎器56と接続されていて、保炎器56の上流側に向かって突出する突出部57を備えていてもよい。
【0113】
上記(8)の構成によれば、上記突出部57が対流冷却されることで保炎器56の温度上昇を抑制できる。
【0114】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、燃焼用空気ノズル54のメタル温度を検出する温度検出センサ(温度センサ96)を備えていてもよい。
【0115】
上記(9)の構成によれば、燃焼用空気ノズル54のメタル温度の管理が可能となる。
【0116】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出する着火検出センサ98を備えていてもよい。
【0117】
上記(10)の構成によれば、万が一、部分予混合燃料が燃焼用空気ノズル54の内部で着火したとしても、この着火を検出できるので、アンモニア燃焼バーナ51の内部への逆火のリスクを低減できる。
【0118】
(11)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた、上記(1)乃至(10)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、を備える。
【0119】
上記(11)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51を備えるボイラ10からのNOxの排出量を抑制できる。
【0120】
(12)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた、上記(1)乃至(10)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、火炉壁101のアンモニア燃焼バーナ51とは異なる位置に設けられ、アンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる他燃料バーナ(バーナ21)と、を備える。
【0121】
上記(12)の構成によれば、上記ボイラ10からのNOxの排出量を抑制できる。
【0122】
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた、上記(1)乃至(9)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出する着火検出センサ98と、着火検出センサ98の検出結果に基づいて、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置900と、を備える。制御装置900は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部902と、噴射量算出部902で算出した噴射量となるように噴射量を調節する調節部95と、を有する。
【0123】
上記(13)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51の内部への逆火のリスクを低減できる。
【0124】
(14)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた、上記(1)乃至(9)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を制御する制御装置900と、を備える。第1アンモニア噴射ノズル521に供給されるアンモニア燃料は、液体アンモニアである。アンモニア燃焼バーナ51は、メタル温度を検出する温度センサ96を備える。制御装置900は、温度センサ96の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出する噴射量算出部902と、噴射量算出部902で算出した噴射量となるように噴射量を調節する調節部95と、を有する。
【0125】
上記(14)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51のメタル温度を抑制し、焼損の発生を抑制できる。
【0126】
(15)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、アンモニア燃料が供給されるボイラ10の運転方法である。ボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた上記(1)乃至(8)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、燃焼用空気ノズル54の内部での着火を検出する着火検出センサ98と、を含む。本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、着火検出センサ98の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル821から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出するステップS10と、算出するステップS10で算出した噴射量となるように噴射量を調節するステップS20と、を備える。
【0127】
上記(15)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51の内部への逆火のリスクを低減できる。
【0128】
(16)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、アンモニア燃料が供給されるボイラ10の運転方法である。ボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられた上記(1)乃至(9)の何れかの構成のアンモニア燃焼バーナ51と、を含む。第1アンモニア噴射ノズル521に供給されるアンモニア燃料は、液体アンモニアである。アンモニア燃焼バーナ51は、メタル温度を検出する温度センサ96を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10の運転方法は、温度センサ96の検出結果に基づいて第1アンモニア噴射ノズル521から噴射するアンモニア燃料の噴射量を算出するステップS50と、算出するステップS50で算出した噴射量となるように噴射量を調節するステップS60と、を備える。
【0129】
上記(16)の構成によれば、アンモニア燃焼バーナ51のメタル温度を抑制し、焼損の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0130】
1 ボイラシステム
10 ボイラ
11 火炉
20、50 燃焼装置
21 バーナ
51 アンモニアバーナ(アンモニア燃焼バーナ)
51A 第1アンモニアバーナ
51B 第2アンモニアバーナ
54 燃焼用空気ノズル
54a 開口部
56、56A、56B 保炎器
57 突出部
101 火炉壁
521 第1アンモニア噴射ノズル
522 第2アンモニア噴射ノズル
541 流路
542 流路
625 隔壁