特開 2023-94321 柱状物用の転がり防止具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023094321

(43)【公開日】2023-07-05

(54)【発明の名称】柱状物用の転がり防止具

(51)【国際特許分類】

   B65G 1/14 20060101AFI20230628BHJP

   B65G 57/00 20060101ALI20230628BHJP

   E04H 12/00 20060101ALI20230628BHJP

【ＦＩ】

B65G1/14 N

B65G57/00 A

E04H12/00 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021209729

(22)【出願日】2021-12-23

(71)【出願人】

【識別番号】000211307

【氏名又は名称】中国電力株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002734

【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ

(72)【発明者】

【氏名】藤原 貴英

【テーマコード（参考）】

3F022

【Ｆターム（参考）】

3F022CC05

3F022MM52

(57)【要約】

【課題】柱状物の転がりを適切に防止できる柱状物用の転がり防止具の提供。
【解決手段】柱状物の外周面に当接可能な３つの当部２を備え、前記３つの当部２は、横並びに配置される２つの当部２に対して、残りの１つの当部２が前記２つの当部２の間からずれた場所に位置するように配置され、前記３つの当部２のうちの少なくとも１つの当部２は、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２との間隔Ｗと、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２との間隔Ｗとが異なるように配置される。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

柱状物の外周面に当接可能な３つの当部を備え、
前記３つの当部は、横並びに配置される２つの当部に対して、残りの１つの当部が前記２つの当部の間からずれた場所に位置するように配置され、
前記３つの当部のうちの少なくとも１つの当部は、隣り合う２つの当部のうちの一方の当部との間隔と、隣り合う２つの当部のうちの他方の当部との間隔とが異なるように配置される、
柱状物用の転がり防止具。

【請求項2】

前記３つの当部は、隣り合う２つの当部同士の間隔がそれぞれ異なるように配置される、
請求項１に記載の柱状物用の転がり防止具。

【請求項3】

前記３つの当部は、直角三角形若しくは鋭角三角形の頂点の位置に合わせて配置される、
請求項１又は請求項２に記載の柱状物用の転がり防止具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電柱等の柱状物の転がりを防止するための柱状物用の転がり防止具に関する。

【背景技術】

【0002】

上記柱状物用の転がり防止具として、楔型の電柱転動防止具が知られている（例えば特許文献１参照）。

【0003】

かかる電柱転動防止具は、円弧状の湾曲面によって構成される差込部を有しており、柱状物としての電柱の下部に挿し込まれると、差込部によって電柱の外周面を受け止めることができ、これにより、電柱の転がりを防止できるとされている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】実開昭５６－１１２１３０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、柱状物には様々なサイズ（直径）のものがある一方で、前記電柱転動防止具の形状は一定であるため、柱状物のサイズによっては差込部で柱状物を適切に受け止めることができないことがある。この場合、差込部に対する柱状物の動きが規制されず、柱状物の転がりを適切に防止できないことがあった。

【0006】

そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、柱状物の転がりを適切に防止できる柱状物用の転がり防止具の提供を課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の柱状物用の転がり防止具は、
柱状物の外周面に当接可能な３つの当部を備え、
前記３つの当部は、横並びに配置される２つの当部に対して、残りの１つの当部が前記２つの当部の間からずれた場所に位置するように配置され、
前記３つの当部のうちの少なくとも１つの当部は、隣り合う２つの当部のうちの一方の当部との間隔と、隣り合う２つの当部のうちの他方の当部との間隔とが異なるように配置される。

【0008】

上記構成の柱状物用の転がり防止具によれば、３つの当部のうちの２つの当部を柱状物の外周面に当接させると柱状物の外周面を２点で受けることができ、さらに、残りの１つの当部を支えとすることによって柱状物の転がりを防止できる。

【0009】

また、前記柱状物用の転がり防止具では、３つの当部のうちの少なくとも１つの当部と、前記一方の当部との間隔と、前記他方の当部との間隔とが異なっているため、柱状物の外周面に当接させる当部の組み合わせを変えると柱状物の受幅も変わるようになっている。

【0010】

従って、前記柱状物用の転がり防止具では、柱状物のサイズ（直径）に合わせて受幅を変えて柱状物を２つの当部で受けることができるため、当部に対する柱状物の動きが規制されやすくなり、これにより、柱状物の転がりが適切に防止される。

【0011】

本発明の柱状物用の転がり防止具において、
前記３つの当部は、隣り合う２つの当部同士の間隔がそれぞれ異なるように配置される構成であってもよい。

【0012】

このようにすれば、柱状物の受幅を３種類に切替可能とすることによって、柱状物を当部で適切に受けやすくなる。

【0013】

本発明の柱状物用の転がり防止具において、
前記３つの当部は、直角三角形若しくは鋭角三角形の頂点の位置に合わせて配置されるものであってもよい。

【0014】

このようにすれば、柱状物用の転がり防止具自体を外側（柱状物から離れる方向）に傾きにくくすることによって、柱状物の転がりを防止し易くすることができる。

【発明の効果】

【0015】

以上のように、本発明の柱状物用の転がり防止具は、柱状物の転がりを適切に防止できるという優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】図１は、本発明の一実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の構成の斜視図である。

【図2】図２は、同実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の一方側の側面図である。

【図3】図３は、同実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の当部固定構造の拡大図である。

【図4】図４は、同実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の使用状態の説明図であって、当部が１つだけ柱状物の外周面に接触している状態の説明図である。

【図5】図５は、同実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の使用状態の説明図であって、２つの当部が柱状物の外周面に接触している状態の説明図である。

【図6】図６は、同実施形態に係る柱状物用の転がり防止具の使用状態の説明図であって、転がり防止具を柱状物に固定している状態の説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、本発明の一実施形態にかかる柱状物用の転がり防止具（以下、転がり防止具と称する）について、添付図面を参照しつつ説明する。柱状物とは、例えば、電柱のことであるが、他の物品に対して用いることもできる。

【0018】

本実施形態に係る転がり防止具１は、図１に示すように、柱状物の外周面に当接させる３つの当部２と、３つの当部２が取り付けられるベース３と、を備えている。

【0019】

なお、本実施形態に係る転がり防止具１は、帯状の拘束具４を用いて柱状物Ｏに固定できるように構成されている（図６参照）。

【0020】

３つの当部２は、柱状（本実施形態では円柱状）に形成されている。また、３つの当部２は、互いに平行又は略平行に並んでいる。なお、３つの当部２は、転がり防止具が柱状物に固定されている状態において、柱状物に対しても平行又は略平行に並ぶように構成されていることが好ましい。

【0021】

図２に示すように、３つの当部２は、側面視において、横並びに配置される２つの当部２に対して、残りの１つの当部２が前記２つの当部２の間からずれた場所に位置するように配置されている状態でベース３に取り付けられている。そのため、３つの当部２のそれぞれは、仮想の三角形Ｔ（本実施形態では直角三角形）の別々の頂点の場所に合わせて配置されている。

【0022】

当部２は、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２との間隔Ｗと、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２との間隔Ｗとが異なる間隔Ｗとなるように配置されている。本実施形態では、３つの当部２のそれぞれが、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２との間隔Ｗと、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２との間隔Ｗとが異なる間隔Ｗとなるように配置されている。なお、隣り合う２つの当部２同士の間隔Ｗとは、例えば、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２と、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２の最短距離で表すことができる。

【0023】

２つの当部２で柱状物Ｏを受ける受幅は、隣り合う２つの当部２の間の間隔Ｗに応じて変わる。そのため、本実施形態の転がり防止具１では、３つの受幅がそれぞれ異なっている。

【0024】

本実施形態の当部２は、柱状物Ｏの外周面を支持するための支持面２００を有している。支持面２００は、当部２の外周面全体によって構成されている。

【0025】

また、当部２には、当部２自身の軸線方向に沿って軸部２０１が挿通されており、この軸部２０１はベース３にも挿通されている。

【0026】

本実施形態のベース３は、図１に示すように、一対のベースプレート３０と、ベースプレート３０に当部２を固定するための当部固定構造３１（図３参照）と、を有する。一方のベースプレート３０には、各当部２の一端面（軸線方向における一方側の端面）が取り付けられており、他方のベースプレート３０には、各当部２の他端面（軸線方向における他方側の端面）が取り付けられている。

【0027】

ベースプレート３０は、図３に示すように、長板状に形成される３つの長板部３００を有する。３つの長板部３００は、長手方向における端部同士が連結されており、これにより、ベースプレート３０が三角形状（本実施形態では直角三角形状）に形成されている。

【0028】

また、ベースプレート３０の角部（長板部３００の両端部）は、当部２が取り付けられる当部取付部（採番しない）を構成している。そして、３つの当部取付部は、それぞれ別々の当部２が１つずつ取り付けられている。

【0029】

当部固定構造３１は、例えば、軸部２０１の両端部に形成された一対の雄ねじ部３１０と、それぞれがベースプレート３０の外側から別々の雄ねじ部３１０に螺合される一対の雌ねじ部３１１とを有するように構成されていればよい。

【0030】

ベース３に保持されている３つの当部２の間にはスペースが形成されており、本実施形態では、かかるスペースが拘束具４を通すための挿通スペースになっている（図６参照）。

【0031】

本実施形態に係る転がり防止具１の構成は、以上の通りである。続いて、転がり防止具１の使用方法を説明する。

【0032】

転がり防止具１を設置するにあたり、柱状物Ｏの外周面に当接させる２つの当部２を決める。図４に示すように、選択した２つの当部２を柱状物Ｏに当接させることができない場合は、２つの当部２を選びなおし、図５に示すように、２つの当部２を柱状物Ｏに当接させる。

【0033】

続いて、図６に示すように、拘束具４を挿通スペースに通し、この拘束具４によって転がり防止具１を柱状物Ｏに縛って固定する。このとき、柱状物Ｏの外周面に当接させていない１つの当部２は、柱状物Ｏの置き場に接地させていればよい。

【0034】

なお、転がり防止具１は、柱状物Ｏの両側に設置してもよいし、柱状物Ｏの一方向への転がりを防止すればよい場合は、柱状物Ｏの一方側のみに転がり防止具１を設置してもよい。また、複数の転がり防止具１を柱状物Ｏの長手方向に沿って並べて設置することも可能である。

【0035】

転がり防止具１が設置されると、柱状物Ｏが転がろうとしても柱状物Ｏの外周面に当接させていない１つの当部２（より具体的には、柱状物Ｏの外周面に当接させていない１つの当部２と該当部２から上方に延びる長板部３００）が支えとなって柱状物Ｏの転がりが防止される。

【0036】

以上のように、本実施形態に係る転がり防止具１によれば、３つの当部２のうちの２つの当部２を柱状物Ｏの外周面に当接させると柱状物Ｏの外周面を２点で受けることができるため、柱状物Ｏを適切に受け止めた状態にしやすく、さらに、柱状物Ｏが転がろうとした場合は、残りの１つの当部２（柱状物Ｏに当接させていない当部２）が支えとなって柱状物Ｏの転がりが防止される。

【0037】

また、当部２は、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２との間隔Ｗと、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２との間隔Ｗとがそれぞれ異なるように配置されているため、柱状物Ｏの外周面に当接させる当部２の組み合わせを変えると柱状物Ｏの受幅も変わるようになっている。

【0038】

そのため、転がり防止具１は、柱状物Ｏのサイズ（直径）に合わせて受幅を変えて柱状物Ｏを２つの当部２で受けることができるため、当部２に対する柱状物Ｏの動きを規制しやすくなる。従って、本実施形態の転がり防止具１は、柱状物Ｏの転がりを適切に防止できるという優れた効果を奏し得る。

【0039】

また、本実施形態の転がり防止具１では、前記３つの当部２のそれぞれが、隣り合う２つの当部２のうちの一方の当部２との間隔Ｗと、隣り合う２つの当部２のうちの他方の当部２との間隔Ｗとがそれぞれ異なるように配置されているため、３つの受幅がそれぞれ異なる幅になっている。そのため、柱状物の受幅を３種類に切替可能とすることによって、柱状物を当部２で適切に受けやすくなる。

【0040】

さらに、３つの当部２は、直角三角形の頂点の位置に合わせて配置されているため、設置した状態の転がり防止具自体を外側（柱状物から離れる方向）に傾きにくくすることによって、柱状物の転がりを防止し易くすることができる。

【0041】

なお、本発明に係る柱状物用の転がり防止具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。

【0042】

上記実施形態において特に言及しなかったが、３つの当部２の直径は、同じであってもよいし異なっていてもよい。

【0043】

上記実施形態において、３つの当部２のそれぞれは、直角三角形の別々の頂点の位置に合わせて配置されていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、３つの当部２のそれぞれは、鋭角三角形の別々の頂点の位置に合わせて配置されていてもよい。

【0044】

３つの当部２が直角三角形又は鋭角三角形の別々の頂点の場所に合わせて配置されていれば、２つの当部２を柱状物の置き場に接地させた状態で、残りの１つの当部２が外側に配置されにくくなるため、転がり防止具自体の傾倒に伴う柱状物の転がりも防止し易くなる。

【0045】

また、３つの当部２は、二等辺三角形の頂点の位置に合わせて配置されていてもよい。この場合、３つの当部２のうち２つの当部２が、隣り合う２つの当部２同士の間隔Ｗがそれぞれ異なるように配置されることになる。このようにしても、柱状物の外周面に当接させる当部２の組み合わせを変えて柱状物の受幅を変えることができる。

【0046】

上記実施形態において特に言及しなかったが、置き場とは、例えば、柱状物Ｏ等の資材を保管する土地や建物であってもよいし、柱状物Ｏを運搬する車両の荷台等であってもよい。

【0047】

上記実施形態では、拘束具４により転がり防止具１を柱状物Ｏに固定していたが、拘束具４で転がり防止具１を柱状物Ｏに固定せずに使用してもよい。ただし、拘束具４で転がり防止具１を柱状物Ｏに固定している方が確実に柱状物Ｏの転がりを防止できる。

【符号の説明】

【0048】

１…防止具、２…当部、３…ベース、４…拘束具、３０…ベースプレート、３１…当部固定構造、２００…支持面、２０１…軸部、３００…長板部、Ｏ…柱状物、Ｔ…三角形、Ｗ…間隔

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】