(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094336
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
F16K5/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209757
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】榊原 晃来
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
【テーマコード(参考)】
3H054
【Fターム(参考)】
3H054AA02
3H054BB17
3H054BB22
3H054CA07
3H054CB23
3H054DD01
3H054GG02
(57)【要約】
【課題】弁体の組み付け性の向上を図る。
【解決手段】ハウジング15には流体FLの流入口27が形成され、ハウジング15の環状壁部22の周方向における複数箇所には流体FLの第1流出口31及び第2流出口35が形成される。環状壁部22内には円柱状の弁本体部42が回転可能に配置される。環状壁部22における流出口31,35毎の周縁部と、弁本体部42の外周面46との間には、パッキン55,56が配置される。外周面46は、環状壁部22の径方向におけるパッキン55,56の内側部58を弾性変形させることで、流出口31,35の周りで、環状壁部22及び弁本体部42の間をシールする大径部51と、大径部51に対し、弁本体部42の周方向に異なる箇所に位置し、かつ大径部51よりも外径の小さな小径部52とを備える。弁体41の回転位相は、小径部52が全てのパッキン55,56の内側部58に対向する回転位相を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状壁部を有し、かつ流体の流入口が形成されるとともに、前記環状壁部の周方向における1箇所又は複数箇所に前記流体の流出口が形成されたハウジングと、
前記環状壁部内に配置され、かつ前記流入口及び前記流出口を連通させる可動流路が形成された円柱状の弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回転可能に支持された弁体と、
前記環状壁部における前記流出口毎の周縁部、及び前記弁本体部における外周面の間に配置されたパッキンと
を備え、前記弁体の回転に伴い回転位相が変化することにより前記流出口の開度を調整するロータリバルブであって、
前記弁本体部の外周面は、前記環状壁部の径方向における前記パッキンの内側部を弾性変形させることで、前記流出口の周りで、前記環状壁部及び前記弁本体部の間をシールする大径部と、前記大径部に対し、前記弁本体部の周方向に異なる箇所に位置し、かつ前記大径部よりも外径の小さな小径部とを備え、
前記回転位相は、前記小径部が全ての前記パッキンの前記内側部に対向する回転位相を含んでいるロータリバルブ。
【請求項2】
前記小径部の外径は、前記小径部が全ての前記パッキンの前記内側部に対向したときに、全ての前記内側部から離間する大きさに設定されている請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記流出口は、前記環状壁部の周方向における複数箇所に形成され、
前記回転位相は、前記大径部が少なくとも1つの前記パッキンの前記内側部に対向する回転位相を含んでいる請求項1又は2に記載のロータリバルブ。
【請求項4】
前記流出口は、前記環状壁部の周方向における2箇所に形成され、
前記回転位相は、前記大径部が一方の前記パッキンの前記内側部のみに対向する回転位相を含んでいる請求項3に記載のロータリバルブ。
【請求項5】
2つの前記流出口は、前記環状壁部の周方向における一部の領域で、同周方向に隣り合っており、
前記ハウジングには、前記軸部が挿通される軸受孔が形成され、
前記軸部の周囲であって、同軸部と前記軸受孔の内壁面との間には、環状の軸シール部材が配置されている請求項4に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を回転させて流出口の開度を調整するロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、環状壁部72を有するハウジング71、弁体76及びパッキン81を備えるロータリバルブ70が知られている(例えば、特許文献1参照)。ハウジング71には、流体FLの流入口73が形成されている。また、環状壁部72の複数箇所(
図11では2箇所)には、流体FLの流出口74,75が形成されている。弁体76は、環状壁部72内に配置された円柱状の弁本体部77を備え、軸部79によりハウジング71に回転可能に支持されている。弁本体部77には、流入口73と流出口74,75とを連通させる可動流路78が形成されている。パッキン81は、環状壁部72における流出口74,75毎の周縁部と、弁本体部77の外周面との間に配置されている。
【0003】
そして、弁体76の回転に伴い回転位相が変化することにより、各流出口74,75の開度(開き具合)が調整される。
また、例えば、同
図11に示すように、弁本体部77の外周面によって、環状壁部72の径方向におけるパッキン81の内側部82が弾性変形されることで、流出口74の周りで、環状壁部72及び弁本体部77の間がシールされる。流出口74がパッキン81を介して弁本体部77によって閉塞された状態となり、環状壁部72内の流体FLが流出口74からロータリバルブ70の外部へ流出することを規制される。
【0004】
ところで、上記従来のロータリバルブ70では、弁体76の組み付けに際し、最初に環状壁部72内にパッキン81が装着される。そして、この状態で、弁本体部77が環状壁部72内に収容される。
【0005】
ここで、パッキン81の内側部82を弾性変形させてシールを行なうことから、環状壁部72内において、弁本体部77が収容されるスペースの内径は、弁体76の組み付け前には、弁本体部77の外径よりも小さい。
【0006】
上記のように小さなスペースに弁本体部77を挿入するために、従来は次のいずれかの方法を採っている。
・治具を用いてパッキン81の内側部82を弾性変形させて、弁本体部77が収容されるスペースを一時的に拡大する。拡大したスペースに弁本体部77を挿入し、その後に治具を抜き出す。
【0007】
・治具を用いることなく、小さな上記スペースに弁本体部77を強く挿入する。すなわち、弁本体部77によってパッキン81の内側部82を弾性変形させることで上記スペースを拡大しながら、同弁本体部77を上記スペースに挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記前者の方法では、治具によってパッキン81の内側部82を弾性変形させる工程と、弁本体部77を挿入する工程とが別々に行なわれる。治具による弾性変形の分、組み付け工数が増える。
【0010】
後者の方法では、環状壁部72内に弁本体部77を挿入する際に、パッキン81から大きな反力を受ける。そのため、弁本体部77を環状壁部72へ挿入しづらい。
従って、上記いずれの方法も、弁体76の組み付け性の点で改良の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するロータリバルブは、環状壁部を有し、かつ流体の流入口が形成されるとともに、前記環状壁部の周方向における1箇所又は複数箇所に前記流体の流出口が形成されたハウジングと、前記環状壁部内に配置され、かつ前記流入口及び前記流出口を連通させる可動流路が形成された円柱状の弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回転可能に支持された弁体と、前記環状壁部における前記流出口毎の周縁部、及び前記弁本体部における外周面の間に配置されたパッキンとを備え、前記弁体の回転に伴い回転位相が変化することにより前記流出口の開度を調整するロータリバルブであって、前記弁本体部の外周面は、前記環状壁部の径方向における前記パッキンの内側部を弾性変形させることで、前記流出口の周りで、前記環状壁部及び前記弁本体部の間をシールする大径部と、前記大径部に対し、前記弁本体部の周方向に異なる箇所に位置し、かつ前記大径部よりも外径の小さな小径部とを備え、前記回転位相は、前記小径部が全ての前記パッキンの前記内側部に対向する回転位相を含んでいる。
【0012】
上記の構成によれば、弁体の組み付けに際しては、最初にパッキンが環状壁部内に装着される。次に、弁体の弁本体部が環状壁部内に挿入される。この挿入は、小径部が全てのパッキンの内側部に対向する回転位相にされた状態で行なわれる。
【0013】
ここで、小径部の外径は、大径部の外径よりも小さい。大径部の外径は、パッキンの内側部を弾性変形させて、同パッキンとの間でシールを行なうことのできる大きさに設定されている。そのため、弁本体部の外径が全周にわたって大径部の外径と同一である場合に比べ、弁本体部とパッキンの内側部との間で生ずる干渉が少なく、弁本体部を環状壁部内に挿入しやすい。
【0014】
ロータリバルブの作動時には、軸部を中心として弁体が回転される。大径部が少なくとも1つの流出口に対向すると、その流出口に対応するパッキンの内側部が大径部によって弾性変形させられ、同流出口の周りで、環状壁部と弁本体部との間がシールされる。少なくとも1つの流出口がパッキンを介して大径部によって塞がれた状態となり、環状壁部内の流体が上記流出口からロータリバルブの外部へ流出することを規制される。
【0015】
上記ロータリバルブにおいて、前記小径部の外径は、前記小径部が全ての前記パッキンの前記内側部に対向したときに、全ての前記内側部から離間する大きさに設定されていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、弁体の組み付けに際し、パッキンの装着された環状壁部に対し弁本体部が挿入される。この際、弁本体部は、小径部が全てのパッキンの内側部に対向する回転位相で環状壁部内に挿入される。小径部の外径は、パッキンの内側部から離間する大きさに設定されている。そのため、弁本体部とパッキンの内側部との間で干渉が起こらない、又は起こったとしても僅かである。従って、弁本体部を環状壁部に対し、さらに挿入しやすくなり、弁体の組み付け性が一層向上する。
【0017】
上記ロータリバルブにおいて、前記流出口は、前記環状壁部の周方向における複数箇所に形成され、前記回転位相は、前記大径部が少なくとも1つの前記パッキンの前記内側部に対向する回転位相を含んでいることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、ロータリバルブの作動時には、軸部を中心として弁体が回転される。大径部が少なくとも1つの流出口に対向する回転位相まで弁体が回転されると、その流出口に対応するパッキンの内側部が大径部によって弾性変形させられ、同流出口の周りで環状壁部及び弁本体部の間がシールされる。少なくとも1つの流出口がパッキンを介して大径部によって塞がれた状態となり、ハウジング内の流体が、上記のように塞がれた流出口からロータリバルブの外部へ流出することを規制される。
【0019】
上記ロータリバルブにおいて、前記流出口は、前記環状壁部の周方向における2箇所に形成され、前記回転位相は、前記大径部が一方の前記パッキンの前記内側部のみに対向する回転位相を含んでいることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、ロータリバルブの作動時に、大径部が一方の流出口にのみ対向する回転位相まで弁体が回転されると、その流出口に対応するパッキンの内側部が大径部によって弾性変形させられる。上記一方の流出口の周りで環状壁部及び弁本体部の間がシールされる。上記一方の流出口のみがパッキンを介して大径部によって閉塞された状態となる。小径部は、他方の流出口に対向する。他方の流出口は、その全部が開放された状態となる。
【0021】
そのため、流入口を通って環状壁部内に流入した流体は、可動流路を流れた後に上記他方の流出口を通り、ロータリバルブの外部へ流出される。流体は、上記一方の流出口を通ってロータリバルブの外部へ流出されることを規制される。
【0022】
また、このときには、両方のパッキンの内側部が弾性変形される場合に比べ、全てのパッキンにおける弾性変形量の総量が少なくなる。そのため、弁体を回転させるために必要なトルクが小さくてすむ。
【0023】
上記ロータリバルブにおいて、2つの前記流出口は、前記環状壁部の周方向における一部の領域で、同周方向に隣り合っており、前記ハウジングには、前記軸部が挿通される軸受孔が形成され、前記軸部の周囲であって、同軸部と前記軸受孔の内壁面との間には、環状の軸シール部材が配置されていることが好ましい。
【0024】
ここで、大径部がパッキンの内側部を弾性変形させると、その弾性変形に伴い反力が発生する。この反力は大径部に作用する。
仮に、大径部が両方のパッキンに同時に対向すると、両方のパッキンから反力が大径部に作用する。より詳しくは、両パッキンの反力を合成した荷重が大径部に作用する。この荷重は、軸部の軸線を挟んで両パッキンの配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、弁本体部及び軸部を介して軸シール部材に対し、弁体の径方向における一方向から伝わる。
【0025】
この点、上記の構成によれば、大径部が一方のパッキンにのみ対向する、又は一方のパッキンの一部と他方のパッキンの一部とに跨がって対向するのみである。そのため、大径部が同時に両方のパッキンに対向する場合に比べ、軸シール部材に作用する偏荷重が小さくなる。
【発明の効果】
【0026】
上記ロータリバルブによれば、弁体の組み付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施形態におけるロータリバルブの斜視図である。
【
図2】同実施形態におけるロータリバルブの構成部品をボディ側から見た分解斜視図である。
【
図3】同実施形態におけるロータリバルブの構成部品をカバー側から見た分解斜視図である。
【
図4】同実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられる前の状態を示す斜視図である。
【
図5】同実施形態におけるロータリバルブの縦断面図である。
【
図6】同実施形態において、弁本体部が第1流出口及び第2流出口のそれぞれの一部を塞ぐ回転位相となったロータリバルブの部分底断面図である。
【
図7】同実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられ、かつカバーが装着される前のロータリバルブの部分底面図である。
【
図8】同実施形態において、パッキンが装着された環状壁部に対し、弁体が組み付けられたロータリバルブの部分底断面図である。
【
図9】
図7の弁体が回転されて、大径部が第1流出口に対向したロータリバルブの部分底面図である。
【
図10】
図8の弁体が回転されて、大径部が第1流出口に対向したロータリバルブの部分底断面図である。
【
図11】従来のロータリバルブを示す図であり、
図10に対応する部分底断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、ロータリバルブの一実施形態について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1に示すように、ロータリバルブ10は、図示しないポンプ等の流体供給源から供給される水等の流体FLの流路11の途中に設けられている。より詳しくは、流路11は、流体供給源に接続された共通流路12と、共通流路12から分岐した第1分岐流路13及び第2分岐流路14とを備えている。ロータリバルブ10は、第1分岐流路13及び第2分岐流路14が共通流路12から分岐する部分に配置されており、第1分岐流路13及び第2分岐流路14に流れる流体FLの流量を調整する役割を担っている。この流量の調整により、
図6に示すように、流体FLを第1分岐流路13及び第2分岐流路14の両方に流したり、
図10に示すように、一方(第2分岐流路14)にのみ流したりすることが可能である。
【0029】
図1~
図3に示すように、ロータリバルブ10は、ハウジング15、弁体41、一対のパッキン55,56及び軸シール部材61を備えている。ここで、弁体41は、後述するように、軸線ALを有する軸部48,49を中心として回転可能である。そのため、この軸線ALを基準として、各部材について説明する。
【0030】
<ハウジング15>
ハウジング15は、カバー16及びボディ21を備えている。
カバー16は板状をなしており、軸線ALに沿う方向へ延びる軸受穴17を中心部分に有している(
図5参照)。軸受穴17は、カバー16においてボディ21側(
図2の上側)の面において開口している。
【0031】
図5に示すように、ボディ21は、軸線ALに沿う方向へ延びる筒状の環状壁部22を備えている。軸線ALに沿う方向における環状壁部22のカバー16とは反対側(
図5の上側)の端部には、同端部を塞いだ状態で閉塞部23が形成されている。軸線ALに沿う方向における環状壁部22のカバー16側の端部は、開放された開放端24となっている。開放端24は、ボディ21に取り付けられた上記カバー16によって塞がれている。ボディ21における環状壁部22及び閉塞部23と、カバー16とによって囲まれた箇所は、収容部25を構成している。
【0032】
閉塞部23の中心部には、同閉塞部23を上記軸線ALに沿う方向へ貫通する軸受孔26が形成されている。
図6に示すように、環状壁部22には、収容部25への流体FLの流入口27が形成されている。また、環状壁部22の複数箇所には、収容部25からの流体FLの流出口が形成されている。本実施形態では、環状壁部22において、流入口27から周方向へ離れた箇所に第1流出口31が形成されている。さらに、環状壁部22において、流入口27及び第1流出口31の両者から周方向に離れた箇所には、第2流出口35が形成されている。第1流出口31及び第2流出口35は、環状壁部22の周方向における一部、本実施形態では、略半分の領域において、同周方向に隣り合っている。環状壁部22の周方向における残りの領域には、上記流入口27が形成されているだけで、流出口は形成されていない。流入口27、第1流出口31及び第2流出口35は、略円形をなしている。
【0033】
図1及び
図6に示すように、環状壁部22における流入口27の周縁部には、同環状壁部22の径方向外方へ突出する接続管部28が設けられている。接続管部28と流体供給源とは、流体FLの上記共通流路12によって接続されている。
【0034】
環状壁部22における第1流出口31の周縁部には、上記径方向外方であって、接続管部28の突出方向とは異なる方向へ突出する接続管部32が設けられている。接続管部32には、流体FLの上記第1分岐流路13が接続され、第1流出口31から流出された流体FLが、第1分岐流路13を通って、流体FLの使用先に送られる。環状壁部22内であって、第1流出口31の周縁部に対し、同環状壁部22の径方向内方に隣接する箇所には、パッキン装着部33が形成されている。
【0035】
環状壁部22における第2流出口35の周縁部には、上記径方向外方であって、接続管部28,32の突出方向とは異なる方向へ突出する接続管部36が設けられている。接続管部36には、流体FLの上記第2分岐流路14が接続され、第2流出口35から流出された流体FLが、第2分岐流路14を通って、流体FLの使用先に送られる。環状壁部22内であって、第2流出口35の周縁部に対し、同環状壁部22の径方向内方に隣接する箇所には、パッキン装着部37が形成されている。パッキン装着部37は、上記パッキン装着部33に対し、環状壁部22の周方向に隣接している。
【0036】
<弁体41>
図2、
図3及び
図6に示すように、弁体41は、その骨格部分を構成する弁本体部42と、軸部とを備えている。弁本体部42は、軸線ALに沿う方向に延びる円柱状をなしており、上記収容部25に配置(収容)されている。弁本体部42は、軸線ALに沿う方向に互いに離間した状態で配置された円板状の一対の端壁部43,44を備えている。両端壁部43,44は、それらの外周部間に設けられた連結部45によって連結されている。この連結部45は、弁本体部42における円筒状の外周面46の一部を、自身の外周面46aとして有している。
【0037】
弁本体部42において、両端壁部43,44間であって、連結部45とは異なる箇所は、上記流入口27と、第1流出口31及び第2流出口35とを連通させる可動流路47を構成している。可動流路47は、弁本体部42の外周面46であって、外周面46aとは異なる箇所において開口されている。
【0038】
軸部は、上記軸線AL上に配置された軸部48,49を備えている。軸部48は、端壁部43の中心部から軸線ALに沿う方向における一方(
図3の下方)へ突出している。軸部49は、端壁部44の中心部から軸線ALに沿う方向における他方(
図2及び
図3の上方)へ突出している。
【0039】
図5に示すように、弁体41は、軸部48においてカバー16の軸受穴17に対し回転可能に支持されている。軸部49は、閉塞部23の軸受孔26に挿通されている。弁体41は、軸部49において軸受孔26の内壁面に対し回転可能に支持されている。このようにして、弁体41は、両軸部48,49により、ハウジング15に回転可能に支持されている。
【0040】
上記構成の弁体41は、図示しないモータ、手動操作等によって回転される。この回転により、
図6に示すように、弁本体部42(連結部45)が第1流出口31の一部と、第2流出口35の一部とを閉塞して、共通流路12と、第1分岐流路13及び第2分岐流路14とを連通させることが可能である。また、
図10に示すように、第1流出口31を閉塞し、かつ第2流出口35の全部を開放することで、共通流路12と第2分岐流路14とを連通させることが可能である。図示はしないが、上記とは逆に、第2流出口35を閉塞し、かつ第1流出口31の全部を開放することで、共通流路12と第1分岐流路13とを連通させることが可能である。また、弁体41の回転位相を変化させることによって、第1流出口31及び第2流出口35のそれぞれの開度(開き具合)を調整することが可能である。
【0041】
<一対のパッキン55,56及び軸シール部材61>
図3及び
図6に示すように、両パッキン55,56は、互いに同一の構成を有している。各パッキン55,56は、ゴム等の弾性材料によって形成されている。一方のパッキン55は、上記パッキン装着部33に装着されており、環状壁部22における第1流出口31の周縁部と弁本体部42の外周面46との間に位置している。他方のパッキン56は、上記パッキン装着部37に装着されており、環状壁部22における第2流出口35の周縁部と弁本体部42の外周面46との間に位置している。両パッキン55,56は、第1流出口31及び第2流出口35と同様、環状壁部22の周方向における一部(略半分)の領域において、同方向に隣り合っている。
【0042】
各パッキン55,56は、板状をなすパッキン本体部57と、図示しないシール部とを備えている。パッキン本体部57は、パッキン55,56の骨格部分を構成する部分であり、矩形の外形形状を有している(
図2及び
図3参照)。
【0043】
環状壁部22の径方向におけるパッキン55,56毎のパッキン本体部57の内側部58は、弁本体部42の外周面46に沿って凹状に湾曲している。
各パッキン本体部57には、弁体41の径方向に延びる円形の孔59が形成されている。各孔59は、第1流出口31及び第2流出口35のそれぞれと同程度の内径を有している。パッキン55,56毎の孔59の内径は、弁本体部42の周方向における連結部45の寸法よりも小さい。各孔59は、これを連結部45によって塞ぐことのできる大きさに形成されている。パッキン55の孔59は第1流出口31に対向し、パッキン56の孔59は第2流出口35に対向している。
【0044】
シール部は、上記内側部58の一部を構成している。シール部は、孔59の周縁部から環状壁部22の径方向内方へ突出しており、環状をなしている。シール部は、内側部58と同様に、上記外周面46に沿って凹状に湾曲しており、同外周面46に密着可能である。
【0045】
図2、
図3及び
図5に示すように、軸シール部材61は、ゴム等の弾性材料によって円環状に形成されている。軸シール部材61としては、Oリング、Xリング等を用いることができる。軸シール部材61は、軸部49の周囲であって、同軸部49と、閉塞部23における軸受孔26の内壁面との間に配置されている。軸シール部材61は、収容部25内の流体FLが軸部49と軸受孔26の内壁面との間を通って、ロータリバルブ10の外部へ漏れ出るのを規制する。
【0046】
<弁本体部42の外周面46の形状について>
図7及び
図8に示すように、本実施形態のロータリバルブ10は、弁本体部42の外周面46の形状に特徴を有している。従来のロータリバルブは、上記外周面が単一の外径を有する円筒面によって構成されている。これに対し、本実施形態では、外周面46が大径部51及び小径部52を備えている。
【0047】
大径部51の外径は、パッキン55,56の内側部58を弾性変形させることで、第1流出口31及び第2流出口35の周りで、環状壁部22及び弁本体部42の間をシールすることのできる大きさに設定されている。
【0048】
大径部51は、上記外周面46の一部を構成し、かつパッキン55,56における内側部58の一方を弾性変形、又は両方を同時に弾性変形させることのできる領域に形成されている。本実施形態では、大径部51は、外周面46のうち、パッキン55,56の一方における内側部58のみを弾性変形させることのできる領域に形成されている。大径部51は、連結部45の外周面46aによって構成されている。
【0049】
これに対し、小径部52は、大径部51に対し、弁本体部42の周方向に異なる箇所に位置している。小径部52の外径は、大径部51の外径よりも小さく設定されている。本実施形態では、小径部52の外径は、同小径部52が両方のパッキン55,56の内側部58に対向したときに、全ての内側部58から離間する大きさに設定されている。
【0050】
弁本体部42の外周面46において、小径部52と大径部51との境界部分では、弁本体部42の外径が、大径部51に近づくに従い徐々に大きくなるように設定されている。この設定により、小径部52と大径部51とは滑らかに繋がっている。
【0051】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
<(1)弁体41の組み付けについて>
弁体41の組み付けに際しては、
図3及び
図4に示すように、パッキン55がパッキン装着部33に装着され、パッキン56がパッキン装着部37に装着される。これとは別に、弁体41の軸部49に軸シール部材61が被せられる。次に、弁本体部42が環状壁部22内、より正確には、収容部25のうち、パッキン55,56とは異なる箇所に挿入される。この挿入の過程で、軸部49が軸受孔26(
図5参照)に挿通される。
【0052】
(1-1)上記の挿入は、
図7及び
図8に示すように、小径部52が両パッキン55,56の内側部58に対向する回転位相にされた状態で行なわれる。
ここで、小径部52の外径は、大径部51の外径よりも小さい。大径部51の外径は、パッキン55,56の内側部58を弾性変形させて、弁本体部42がパッキン55,56毎の内側部58との間でシールを行なうことのできる大きさに設定されている。
【0053】
そのため、弁本体部42の外径が全周にわたって大径部51の外径と同一である場合に比べ、また、大径部51が少なくとも1つのパッキン55,56に対向する場合に比べ、弁本体部42と内側部58との間で生ずる干渉が少ない。弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすい。
【0054】
従って、弁体41の組み付けに際し、従来とは異なり、内側部58を弾性変形させるための治具を用いなくてもすむ。治具を用いることによる生産設備の上昇を抑制することができる。また、治具を用いることによる組み付け工数の増加を抑制することができる。
【0055】
また、治具を用いずに弁本体部42を環状壁部22内に強く挿入することで、弁本体部77が収容されるスペースを拡大しなくてすむ。弁本体部42を強く挿入することが原因でパッキン55,56の内側部58に傷が付いたり、ボディ21と弁本体部42との間等に内側部58(シール部)が噛み込んだりするのを抑制することができる。
【0056】
このように、本実施形態によると、弁体41の組み付け性の向上を図ることができる。
(1-2)特に、本実施形態では、小径部52の外径は、同小径部52が両パッキン55,56の内側部58に対向したとき、両内側部58から離間する大きさに設定されている。そのため、弁本体部42と内側部58との間で干渉が起こりにくく、弁本体部42を環状壁部22内に対し、さらに挿入しやすくなり、弁体41の組み付け性が一層向上する。
【0057】
なお、弁本体部42が環状壁部22内に挿入された後には、
図5に示すように、カバー16がボディ21に装着される。この装着の過程で、軸部48が軸受穴17に挿入される。弁体41が、軸部48,49により、ハウジング15に回転可能に支持される。
【0058】
<(2)ロータリバルブ10の作動について>
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49を中心として弁体41が回転される。
【0059】
図9及び
図10は、上記回転により、大径部51(連結部45)が第1流出口31に対してのみ対向しているときのロータリバルブ10の状態を示している。
(2-1)このとき、パッキン55の内側部58が大径部51(連結部45)によって弾性変形させられる。第1流出口31の周りで環状壁部22及び弁本体部42(連結部45)の間がシールされる。第1流出口31は、パッキン55を介して大径部51(連結部45)によって塞がれた状態となる。
【0060】
上記回転位相では、小径部52が第2流出口35に対向する。第2流出口35は、その全部が開放された状態となる。
そのため、共通流路12から流入口27を通って収容部25内に流入した流体FLは、可動流路47を流れた後に第2流出口35を通り、第2分岐流路14へ流出される。流体FLは、第1流出口31を通過せず、第1分岐流路13へ流出されない。
【0061】
なお、図示はしないが、弁体41の上記回転により、大径部51(連結部45)が第2流出口35に対してのみ対向した場合には、流体FLは上記とは逆に第1流出口31を通り、第1分岐流路13へ流出される。流体FLは、第2流出口35を通過せず、第2分岐流路14へ流出されない。
【0062】
(2-2)また、このときには、両方のパッキン55,56の内側部58が同時に弾性変形される場合に比べ、全ての内側部58における弾性変形量の総量が少なくなる。そのため、弁体41を回転させるために必要なトルクが小さくてすむ。
【0063】
(2-3)大径部51がパッキン55(又はパッキン56)の内側部58を弾性変形させると、その弾性変形に伴い発生する反力が大径部51に作用する。
仮に、大径部51が第1流出口31及び第2流出口35の両者に同時に対向すると、両方のパッキン55,56から反力が大径部51に作用する。より詳しくは、両パッキン55,56の反力を合成した荷重が大径部51に作用する。この荷重は、軸線ALを挟んで両パッキン55,56の配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、弁本体部42及び軸部49を介して軸シール部材61に対し、弁体41の径方向における一方向から伝わる。
【0064】
この点、本実施形態では、大径部51が第1流出口31(又は第2流出口35)にのみ対向する。大径部51が対向しない流出口に対応するパッキンからは、同大径部51に対し反力が作用しない。そのため、軸シール部材61に作用する偏荷重が小さくなる。
【0065】
ところで、
図6は、弁本体部42における大径部51(連結部45)が、第1流出口31の一部と第2流出口35の一部とに対し跨がって対向しているときのロータリバルブ10の状態を示している。第1流出口31では、第2流出口35に近い側の略半分が閉塞され、遠い側の略半分が開放された状態となる。パッキン55の孔59についても同様である。第2流出口35では、第1流出口31に近い側の略半分が閉塞され、遠い側の略半分が開放された状態となる。パッキン56の孔59についても同様である。
【0066】
この状態では、共通流路12を流れてきた流体FLは、流入口27を通って収容部25内に流入する。この流体FLの一部は、可動流路47を流れた後に、パッキン55及び第1流出口31の各開放部分を通り、第1分岐流路13へ流出される。また、流体FLの残部は、可動流路47を流れた後に、パッキン56及び第2流出口35の各開放部分を通り、第2分岐流路14へ流出される。
【0067】
ただし、第1流出口31の開口面積は、同第1流出口31の全部が開放された場合よりも小さくなる。パッキン55の孔59の開口面積についても同様である。そのため、パッキン55の孔59及び第1流出口31を通って第1分岐流路13へ流れる流体FLの流量は、パッキン55の孔59の全部が開放され、かつ第1流出口31の全部が開放されたときよりも少なくなる。パッキン56の孔59及び第2流出口35を通って第2分岐流路14へ流れる流体FLの流量についても同様である。
【0068】
このときには、大径部51(連結部45)が、第1流出口31の一部と、第2流出口35の一部とに跨がって対向する。そのため、上記(2-3)と同様に、大径部51が第1流出口31及び第2流出口35の両者に同時に対向する場合に比べ、軸シール部材61に作用する偏荷重を小さくすることができる。
【0069】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
<ハウジング15に関する事項>
・軸線ALに沿う方向における閉塞部23及びカバー16の位置が、上記実施形態とは逆の関係となるように変更されてもよい。例えば、
図5では、カバー16が環状壁部22の上側に配置され、閉塞部23が同環状壁部22の下部に形成されてもよい。
【0071】
・流入口27は、ハウジング15において環状壁部22とは異なる箇所、例えば、閉塞部23に形成されてもよい。この場合、流体FLは、収容部25に対し、軸線ALに沿う方向に流入する。
【0072】
・流出口が、環状壁部22の1箇所のみに設けられてもよい。この場合、パッキンは1つのみ用いられる。このパッキンが、流出口の周縁部と、弁本体部42の外周面46との間に配置される。
【0073】
弁体41の組み付けに際しては、小径部52がパッキンに対向する回転位相にされた状態で、弁本体部42が環状壁部22内に挿入される。小径部52の外径は、大径部51の外径よりも小さい。そのため、弁本体部42の外径が全周にわたって大径部51の外径と同一である場合に比べ、弁本体部42とパッキンの内側部との間で干渉が起こりにくく、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすい。
【0074】
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49を中心として弁体41が回転される。この回転により、大径部51が流出口に対向すると、パッキンの内側部が大径部51によって弾性変形させられ、流出口の周りで、環状壁部22と弁本体部42との間がシールされる。流出口がパッキンを介して大径部51によって塞がれた状態となり、収容部25内の流体FLが流出口を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流出口が1つであるため、流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断されることとなる。
【0075】
・流出口が、環状壁部22の周方向に互いに離間した3箇所以上に設けられてもよい。この場合、流出口と同数のパッキンが用いられる。これらのパッキンが、各流出口の周縁部と、弁本体部42の外周面46との間に配置される。
【0076】
弁体41の組み付けに際しては、小径部52が全てのパッキンに対向する回転位相にされた状態で、弁本体部42が環状壁部22内に挿入される。小径部52の外径は、大径部51の外径よりも小さい。そのため、弁本体部42の外径が全周にわたって大径部51の外径と同一である場合に比べ、同弁本体部42とパッキンの内側部との間で干渉が起こりにくく、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすい。
【0077】
ロータリバルブ10の作動時には、軸部48,49を中心として弁体41が回転される。弁体41の回転位相が、大径部51が少なくとも1つの流出口に対向する回転位相になると、その流出口に対応するパッキンの内側部が大径部51によって弾性変形させられ、同流出口の周りで環状壁部22及び弁本体部42の間がシールされる。大径部51が対向した流出口は、パッキンを介して大径部51によって塞がれた状態となり、収容部25内の流体FLが同流出口からロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。
【0078】
上記回転位相で、複数の流出口のうち、小径部52が対向するものがあれば、流体FLは、その流出口からロータリバルブ10の外部へ流出される。
これに対し、上記回転位相で、全ての流出口に対し大径部51が対向すると、全ての流出口が塞がれた状態となる。収容部25内の流体FLは、全ての流出口を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断される。
【0079】
・流出口が、上記のように、環状壁部22の周方向に互いに離間した3箇所以上に設けられた場合、各流出口の位置によっては、次の懸念がある。例えば、全ての流出口が上記周方向における一部の領域で、同周方向に隣り合うように配置された場合である。
【0080】
大径部51が全ての流出口に同時に対向すると、全てのパッキンから反力が大径部51に作用する。各パッキンの反力を合成した荷重が大径部51に作用する。この荷重は、軸線ALを挟んでパッキンの配置されていない側へ向かう。上記荷重は偏荷重として、弁本体部42及び軸部49を介して軸シール部材61に対し、弁体41の径方向における一方向から伝わる。
【0081】
そこで、大径部51が1つ以上の流出口に対向する場合、同大径部51が、全ての流出口に同時に対向しないようにする。このようにすると、大径部51が対向しない流出口に対応するパッキンからは、同大径部51に対し反力が作用しない。そのため、上記(2-3)と同様に、軸シール部材61に作用する偏荷重を小さくする効果が得られる。
【0082】
・環状壁部22の2箇所に流出口(第1流出口31、第2流出口35)が設けられている上記実施形態では、弁体41の回転に伴い、大径部51が、第1流出口31及び第2流出口35の両者に対し、同時に対向してもよい。この場合には、第1流出口31及び第2流出口35の両者が、パッキン55,56を介して大径部51によって塞がれた状態となり、収容部25内の流体FLが、第1流出口31及び第2流出口35を通ってロータリバルブ10の外部へ流出することを規制される。流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断される。
【0083】
<弁体41に関する事項>
・弁本体部42における可動流路47の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
【0084】
・弁本体部42の外周面46における可動流路47の開口形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
・小径部52の外径は、大径部51の外径よりも小さいことを条件に、パッキン55,56の内側部58(シール部)に接触する、又は軽く圧入する大きさに設定されてもよい。この場合にも、弁本体部42の外径が全周にわたって大径部51の外径と同一である場合に比べ、弁本体部42とパッキン55,56の内側部58との間で生ずる干渉が少ない。従って、弁本体部42を環状壁部22内に挿入しやすくする効果が得られる。
【0085】
・弁体41における軸部が、軸部48,49の一方によって構成されてもよい。
<パッキン55,56に関する事項>
・パッキン55,56におけるパッキン本体部57の外形形状が、矩形とは異なる形状に変更されてもよい。
【0086】
・パッキン55,56におけるパッキン本体部57は、板状とは異なる形状に形成されてもよい。
・パッキン55,56における孔59の形状が円形とは異なる形状に変更されてもよい。
【0087】
<その他>
・上記ロータリバルブ10は、流体FLとして、水とは異なる種類の液体が流される流路に設けられるロータリバルブや、流体FLとして液体に代えて気体が流される流路に設けられるロータリバルブにも適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
10…ロータリバルブ
15…ハウジング
22…環状壁部
26…軸受孔
27…流入口
31…第1流出口(流出口)
35…第2流出口(流出口)
41…弁体
42…弁本体部
46…外周面
47…可動流路
48,49…軸部
51…大径部
52…小径部
55,56…パッキン
58…内側部
61…軸シール部材
FL…流体
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
環状壁部を有し、かつ流体の流入口が形成されるとともに、前記環状壁部の周方向における1箇所又は複数箇所に前記流体の流出口が形成されたハウジングと、
前記環状壁部内に配置され、かつ前記流入口及び前記流出口を連通させる可動流路が形成された円柱状の弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回転可能に支持された弁体と、
前記環状壁部における前記流出口毎の周縁部、及び前記弁本体部における外周面の間に配置され、かつ前記環状壁部の径方向における内側面が、前記弁本体部の前記外周面に沿って凹状に湾曲したパッキンとを備え、前記弁体の回転に伴い回転位相が変化することにより前記流出口の開度を調整するロータリバルブであって、
前記弁本体部の前記外周面は、前記径方向における前記パッキンの内側部を弾性変形させることで、前記流出口の周りで、前記環状壁部及び前記弁本体部の間をシールする大径部と、前記大径部に対し、前記弁本体部の周方向に異なる箇所に位置し、かつ前記大径部よりも外径の小さな小径部とを備え、
前記回転位相は、前記小径部が全ての前記パッキンの前記内側部に対向する回転位相を含んでおり、
前記径方向における前記パッキンの厚みの最小値を最小厚みとした場合、前記小径部の前記外径は、前記パッキンの前記内側面の内径から前記最小厚みを差し引いた径よりも大きく設定されているロータリバルブ。