(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094340
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】検出センサ
(51)【国際特許分類】
G01V 8/12 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G01V8/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209762
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅博
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB17
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH04
2G105KK06
(57)【要約】
【課題】操作部の操作に応じて行う処理を正確に実行可能とすること。
【解決手段】検出センサは、対象物60の検出結果を出力する検出部25と、検出部25が対象物60を検出するように制御し、検出部25の検出結果に基づいた値を設定値に設定するティーチング処理を行う制御部23とを有している。また、検出センサは、作業者が操作可能に構成された操作部13と、待機時間を記憶する記憶部24とを有している。制御部23は、操作部13の操作を検知した第1時刻から待機時間経過した第2時刻において所定の処理を開始する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を検出する検出センサであって、
設定値に基づいて前記対象物の検出結果を出力する検出部と、
作業者が操作可能に構成された第1操作部と、
前記第1操作部の操作に応じて前記検出部の検出結果に基づき所定の処理を行う制御部と、
待機時間を記憶する記憶部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1操作部の操作を検知した第1時刻から前記待機時間経過した第2時刻において前記所定の処理を開始する、
検出センサ。
【請求項2】
作業者が操作可能に構成された第2操作部を有し、
前記制御部は、表示部に設定時間を表示し、前記第2操作部の操作に応じて前記表示部に表示した設定時間を変更し、前記表示部に表示している設定時間を前記待機時間に設定する、
請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
作業者が操作可能に構成された第2操作部を有し、
前記記憶部は、複数の候補時間を記憶し、
前記制御部は、前記複数の候補時間のうちの1つを表示部に表示し、前記第2操作部の操作に応じて前記表示部に表示した前記候補時間を前記複数の候補時間のうちの他の候補時間に切替えて前記表示部に表示し、前記第2操作部の操作により前記表示部に表示している前記候補時間を前記待機時間に設定する、
請求項1に記載の検出センサ。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1操作部が操作されてからの経過時間を計測し、前記検出結果が安定するまでの前記経過時間に基づく時間を前記待機時間に設定する、
請求項1に記載の検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の有無等を検出する検出センサは知られている。検出センサの一例として例えば、特許文献1に開示された測定装置がある。この測定装置は、投光素子および受光素子を備えるセンサヘッド部と、信号ケーブルによりセンサヘッド部に接続されたコントローラ部とを備えている。センサヘッド部は、取付金具に取り付けられ、対象物に向けて投光素子から対象物にレーザ光等を投光する位置に配置される。センサヘッド部は、受光素子により電圧信号をコントローラ部に供給する。コントローラ部は、電圧信号を受け取り、対象物の高さを測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の測定装置のような検出センサにおいて、操作キーの操作により各種情報の設定等の処理を行うことがある。処理の一例としてティーチング処理がある。検出センサは、ティーチング処理において、所定の操作キーの操作に応答して基準とする対象物の高さを測定し、その高さを基準高さとして設定する。これにより、基準とする対象物と異なる高さの対象物を検出する。
【0005】
ところで、検出センサは、扱いの容易性などの観点から、センサヘッド部とコントローラ部とを一体のユニットとすることが考えられる。ユニット化された検出センサは、上記のセンサヘッド部と同様に取付金具に取り付けられる。しかしながら、このようにユニット化された検出センサでは、操作キーに対する操作によって取付金具がたわむおそれがある。このような取付金具のたわみは、投光素子から投光されるレーザ光等の光軸のずれを招き、測定結果に誤差が生じる。また、操作力によって取付金具の撓み変化するため、測定結果にばらつきが生じる。この結果、ティーチング処理等における設定値に誤差が生じてしまうことが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の検出センサは、対象物を検出する検出センサであって、設定値に基づいて前記対象物の検出結果を出力する検出部と、作業者が操作可能に構成された第1操作部と、前記第1操作部の操作に応じて前記検出部の検出結果に基づき所定の処理を行う制御部と、待機時間を記憶する記憶部と、を有し、前記制御部は、前記第1操作部の操作を検知した第1時刻から前記待機時間経過した第2時刻において前記所定の処理を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の検出センサによれば、操作部の操作に応じて行う処理を正確に実行可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の検出センサを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1とは反対側から視た検出センサを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の検出センサの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の検出センサの取り付け状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の検出センサの取り付け状態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図1の検出センサの動作を示すフローチャートである。
【
図7B】
図7Bは、比較例の検出センサの動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、光電センサの一実施形態を添付図面に従って説明する。
以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであり、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
[検出センサの外観]
図1、
図2は、本実施形態の検出センサ10を示す。
検出センサ10は、対象物60を検出するセンサである。本実施形態の検出センサ10は、検出光LKを対象物60に向けた投光し、対象物60による反射光KRの受光状態に応じて対象物を検出する、いわゆる非接触式のセンサである。このような検出センサ10における検出は、例えば、対象物60の有無、対象物60までの距離、等を検出する。
【0011】
本実施形態の検出センサ10は、検出光を出射し、その検出光が検出対象物にて反射した反射光を受光して検出対象物を検出する反射型の検出センサである。
ここで、検出光を出射する方向を「前方」、前方とは反対側を「後方」とする。また、本実施形態の検出センサ10は、ケーブル14を有している。ケーブル14が設けられている側を「下方」、下方とは反対側を「上方」とする。図中では、前方を矢印Xにて図示するとともに、上方を矢印Zにて図示している。また、後方から前方に見た場合における右方向を矢印Yにて図示している。なお、検出センサ10を配置する際には、検出センサ10における当該「下方」を必ずしも鉛直下向きとしなくてもよい。検出センサ10は、検出センサ10における「前方」、「後方」、「下方」、「上方」を任意の方向に向けて配置することができる。
【0012】
図1,
図2に示すように、本実施形態の検出センサ10は、上下方向に長い直方体状である。
検出センサ10は、前面10a、後面10b、側面10c,10d、上面10e、下面10f、傾斜面10gを有している。前面10aと後面10bは、検出センサ10の前後方向(X方向)において互いに反対側を向く。側面10c,10dは、検出センサ10の左右方向(Y方向)において互いに反対側を向く。上面10e、下面10fは、検出センサ10の上下方向(Z方向)において互いに反対側を向く。傾斜面10gは、下面10fと後面10bに対して傾斜している。検出センサ10は、傾斜面10gから導出されたケーブル14を有している。検出センサ10は、ケーブル14により供給される駆動電源により動作する。
【0013】
前面10aには、前面カバー11が設けられている。前面カバー11は、検出センサ10の前面10aの一部を構成する。検出光および反射光は、前面カバー11を透過する。後面10bには、表示部12および操作部13が設けられている。表示部12は、作業者によって視認可能に構成されている。操作部13は、作業者により操作可能に構成されている。表示部12は、例えば複数のLED(発光ダイオード)により構成される。表示部12は、検出センサ10の動作状態、検出センサ10における検出結果、検出センサ10の設定情報、等をLEDの発光形態(色、点滅、等)により表示する。操作部13は、各種情報の設定、変更等のために操作される。操作部13は、第1操作部、第2操作部の一例である。操作部13は、例えばティーチングボタン(TEACH)13a、アップボタン(UP)13b、ダウンボタン(DOWN)13cを含む。なお、操作部13は、第1操作部、第2操作部として、上記のボタン13a~13c以外のボタン、スイッチ、等の作業者により操作可能に構成された部材を含んでいてもよい。
【0014】
検出センサ10は、2つの取付孔15を有している。取付孔15は、検出センサ10の側面10c、10dに開口している。取付孔15は、側面10cから側面10dまで、検出センサ10を貫通している。
【0015】
図4、
図5に示すように、検出センサ10は、2つの取付孔15を利用して取付金具41に取り付けられる。
図4、
図5は、検出センサ10の取付状態の一例を示す。取付金具41は、固定部41aと支持部41bとを有している。固定部41aと支持部41bは、それぞれ板状に形成されている。支持部41bは、固定部41aに対して直交するように立設されている。検出センサ10は、固定ねじ42により支持部41bに固定される。固定部41aは、検出センサ10から対象物60に向けて検出光LKを投光するようにベース板等に固定される。
【0016】
図3に示すように、検出センサ10は、投光部21、受光部22、操作部13、表示部12、制御部23、記憶部24、検出部25を有している。
投光部21は、所定の波長を有する検出光LKを投光する。検出センサ10は、投光部21から投光される。受光部22は、対象物60にて反射した検出光LK(反射光KR)を受光する。検出センサ10は、例えば対象物60までの距離を三角測距法により測定するセンサである。このような検出センサ10は、受光部22として、受光面における反射光の受光位置を検出する受光素子を含む。受光素子は、例えば、二次元または三次元のイメージセンサ等により構成される。受光部22は、受光状態として、受光位置、受光量、を含む受光情報を含む受光信号を出力する。
【0017】
記憶部24は、検出センサ10の検出処理にかかる各種の設定値を記憶する。検出用の設定値は、例えば、閾値、上限値および下限値、基準値、オフセット値、等を含む。また、記憶部24は、検出センサ10の動作にかかる各種の設定値を記憶する。動作用の設定値は、待機時間を含む。
【0018】
制御部23は、検出センサ10の全体を制御する。制御部23は、検出部25が対象物60を検出するように制御する。例えば、制御部23は、検出部25に対して制御信号SCを出力する。検出部25は、制御信号SCに応答して、対象物60を検出するための動作を行い、検出結果を出力する。
【0019】
制御部23は、検出部25から出力される検出結果に基づいて、各種の設定値を設定する。例えば、制御部23は、検出部25にて検出した対象物60までの距離を、閾値として設定する。また、例えば、制御部23は、検出部25にて検出した対象物60までの距離を含む範囲の値、例えば上限値を閾値として設定する。これらの設定は、モードの選択によって行われる。
【0020】
(作用)
次に、検出センサ10の作用を説明する。
[検出処理]
制御部23は、例えば動作電源の供給に基づいて検出処理を行う。この検出処理において、制御部23は、対象物60を検出するように投光部21、検出部25を制御する。
【0021】
制御部23は、所定の光量の検出光LKを投光するように投光部21を制御する。また、制御部23は、記憶部24の閾値を検出部25に対して設定する。検出部25は、設定された閾値と、受光部22から出力される受光信号(受光位置)に基づいて、検出結果(距離)を示す検出信号を出力する。この検出信号により、例えば、対象物60の検出面における凹凸等の状態を検出することができる。
【0022】
また、検出部25は、受光信号(受光位置)と閾値とを比較し、比較結果に応じた検出結果を示す検出信号を出力する。例えば、閾値よりも検出結果(距離)が短い場合、第1レベル(例えばHレベル)の信号を含む検出信号を出力する。一方、閾値よりも検出結果(距離)が長い場合、第2レベル(例えばLレベル)の信号を含む検出信号を出力する。このような検出信号により、対象物60の有無を検出することができる。
【0023】
[設定処理]
制御部23は、操作部13の操作に応じて設定処理を行う。制御部23は、操作部13の操作に基づいて、設定値を表示部12に表示する。制御部23は、表示部12に表示する設定値を、例えばアップボタン13bとダウンボタン13cの操作に応じて変更する。そして、制御部23は、例えばティーチングボタン13aの操作により、表示部12に表示した設定値を変更可能とする。
【0024】
制御部23は、操作部13の操作、例えばアップボタン13bおよびダウンボタン13cの操作に基づいて、表示部12に表示した値を変更する。例えば、制御部23は、アップボタン13bの操作により値を増加させて表示部12に表示する。また、例えば制御部23は、ダウンボタン13cの操作により値を減少させて表示部12に表示する。そして、制御部23は、例えばティーチングボタン13aの操作に基づいて、表示部12に表示している値を設定値として記憶部24に記憶させる。
【0025】
[ティーチング処理]
制御部23は、操作部13のティーチングボタン13aの操作により、ティーチング処理を行う。このティーチング処理において、制御部23は、ティーチングボタン13aの操作から所定の待機時間経過した後に、ティーチング処理を開始する。ティーチング処理は、検出部25が対象物60を検出するように制御することと、検出部25の検出結果に基づいた値を検出用設定値として記憶部に設定することを含む。検出用の設定値は、例えば、閾値、上限値および下限値、基準点、等を含む。
【0026】
制御部23は、ティーチングボタン13aが操作されてから所定の待機時間経過した後にティーチング処理を開始するように構成されている。これについて以下に詳しく説明する。
【0027】
制御部23は、操作部13の操作を監視する。操作部13は、作業者により操作されたボタン13a~13cに対応する信号を出力する。制御部23は、信号レベル(例えばHレベル)により、対応するボタン13a~13cが操作されたことを検知する。
【0028】
制御部23は、ティーチングボタン13aが操作されたことを検知すると、所定の待機時間経過するまで待機する。つまり、制御部23は、ティーチングボタン13aの操作を検知すると、記憶部24に記憶された待機時間だけ待機する。その後、制御部23は、ティーチング処理を開始する。
【0029】
先ず、制御部23は、所定の光量の検出光LKを投光するように投光部21を制御する。例えば、制御部23は、また、制御部23は、検出部25から出力される検出信号に基づいて、検出用の設定値、例えば閾値を設定する。
【0030】
図6は、ティーチング処理の流れを示している。ここで示す処理は、ティーチングボタン13aの操作を検出する部分を含む。また、ここでは、閾値を設定する場合について説明する。
【0031】
先ず、ステップ31において、操作部13のティーチングボタン13aが操作(PUSH)される。
ステップ32において、制御部23は、ティーチングボタン13aの操作に応じた信号入力が有るか否かを判定する。ティーチングボタン13aが操作されると、操作部13から所定レベル(例えばHレベル)の操作信号が出力される。制御部23は、このHレベルの操作信号の入力が有るか否かを判定する。制御部23は、信号入力が有る場合(判定:YES)、次のステップ33に移行する。一方、信号入力がない場合(判定:NO)、制御部23は、ステップ32に留まる。
【0032】
ステップ33において、制御部23は、所定時間待機する。この所定時間は、記憶部24が記憶した待機時間である。制御部23は、計時機能を有し、記憶部24の待機時間だけ待機する。制御部23は、ステップ32の信号入力の第1時刻から待機時間経過した第2時刻において、ティーチング処理を開始する。つまり制御部23は、検出部25に対して制御信号を出力する。
【0033】
ステップ34において、制御信号を入力した検出部25は、受光部22から出力される受光信号を取得する。そして、検出部25は、受光信号に基づいて、対象物60を検出する。例えば、検出部25は、対象物60までの距離を検出する。そして、検出部25は、検出結果を出力する。
【0034】
ステップ35において、制御部23は、検出部25の検出結果に基づいて、閾値を設定する。
図7Aは、本実施形態の検出センサ10の動作タイミングを示す。
【0035】
時刻T0において操作部13のティーチングボタン13aが操作されると、操作信号SKが第1レベル(Hレベル)となる。制御部23は、第1時刻T1のタイミングで、Hレベルの操作信号SKにより、ティーチングボタン13aが操作されたことを検知する。そして、制御部23は、第1時刻T1から待機時間Tw経過した第2時刻T2において、所定レベル(図ではHレベル)の制御信号SCを出力する。検出部25は、この制御信号SCに応答して、動作する。つまり、検出部25は、第2時刻T2において、対象物60の検出を開始する。検出部25が対象物60の検出を開始する第2時刻T2では、ティーチングボタン13aに対する操作は完了している。
【0036】
図7Bは、本実施形態の検出センサ10に対する比較例の検出センサの動作タイミングを示す。この比較例の検出センサは、本実施形態の検出センサ10に対して、待機時間の設定がないものである。このため、本実施形態の検出センサ10の部材名称および符号を用いて、比較例の検出センサについて説明する。
【0037】
時刻T0において操作部13のティーチングボタン13aが操作されると、操作信号SKが第1レベル(Hレベル)となる。制御部23は、第1時刻T1のタイミングで、Hレベルの操作信号SKにより、ティーチングボタン13aが操作されたことを検知する。そして、制御部23は、第1時刻T1において、所定レベル(図ではHレベル)の制御信号SCを出力する。検出部25は、この制御信号SCに応答して、動作する。つまり、検出部25は、第1時刻T1において、対象物60の検出を開始する。
【0038】
図5に示すように、検出センサ10が取り付けられた取付金具41は、ティーチングボタン13a(操作部13)の操作によって、
図5に示す矢印の方向に撓む。すると、検出センサ10から投光される検出光LKが対象物60に当る位置が変化する。つまり、検出センサ10と対象物60との間の距離が変化する。そして、ティーチングボタン13aに対する操作が終了すると、取付金具41は元の形状に戻る。これにより、検出センサ10から投光される検出光LKが対象物60に当る位置が変化する。
【0039】
図7Bに示すように、比較例の検出センサでは、検出部25が対象物60の検出を開始する第1時刻T1では、ティーチングボタン13aに対する操作が行われている。したがって、検出部25が対象物60の検出を開始するとき、検出センサと対象物60との間の距離は、ティーチングしようとする距離と異なっている。また、検出部25が対象物60の検出を行っているときに、ティーチングボタン13aの操作が終了することがある。この場合、検出中に、検出センサと対象物60との間の距離が変化する。このように距離が変化する場合、ティーチング処理において得られる値は、ティーチングしようとする距離と異なる場合がある。また、ティーチング処理において得られる値にばらつきが生じる。これらの結果、ティーチング処理による設定値に誤差が生じることとなる。つまり、ティーチング処理を正確に行うことができない。
【0040】
これに対し、本実施形態の検出センサ10は、
図7Aに示すように、検出部25が対象物60の検出を開始する第2時刻T2では、ティーチングボタン13aに対する操作は既に終了している。したがって、検出部25が対象物60の検出を開始するとき、検出センサと対象物60との間の距離は、ティーチングしようとする距離となっている。そして、検出部25が対象物60を検出している間、検出センサと対象物60との間の距離は変化しない。したがって、本実施形態の検出センサ10では、ティーチング処理において値は、ティーチングしようとする距離と一致する。これにより、ティーチング処理による設定値の設定を正確に行うことができる。つまり、ティーチング処理を正確に行うことができる。
【0041】
(効果)
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)検出センサ10は、対象物60の検出結果を出力する検出部25と、検出部25が対象物60を検出するように制御し、検出部25の検出結果に基づいた値を設定値に設定するティーチング処理を行う制御部23とを有している。また、検出センサ10は、作業者が操作可能に構成された操作部13と、待機時間Twを記憶する記憶部24とを有している。制御部23は、操作部の操作を検知した第1時刻T1から待機時間Tw経過した第2時刻T2において所定の処理を開始する。
【0042】
所定の処理としてティーチング処理を行うとき、検出センサ10から対象物60に向けて投光される検出光LKの光軸は、ティーチングボタン13aの操作に応じて変化する。待機時間Twの間待機することにより、検出部25が対象物60の検出を開始するとき、検出センサと対象物60との間の距離は、ティーチングしようとする距離となっている。したがって、本実施形態の検出センサ10では、ティーチング処理において得られる値は、ティーチングしようとする距離と一致する。これにより、ティーチング処理による設定値に正確に行うことができる。つまり、所定の処理を正確に実行することができる。
【0043】
(2)検出センサ10は、表示部12と操作部13とを有している。したがって、表示部12と操作部とがセンサヘッドと異なるコントロール部に備えられた検出センサと比べ、小型化することができる。
【0044】
(3)検出センサ10は、操作部13を有している。したがって、対象物60によるティーチングを行うとき、表示部12と操作部とがセンサヘッドと異なるコントロール部に備えられた検出センサと比べ、検出センサ10が有する操作部13を操作すればよいため、作業性を向上できる。
【0045】
(変更例)
上記実施形態に関する説明は、本開示に関する光電センサが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示は実施形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0046】
・上記実施形態では、制御部23が行う処理としてティーチング処理について説明したが、他の処理についても同様である。制御部23は、処理として例えばゼロセット処理を行う。ゼロセット処理は、検出部25による検出結果を「ゼロ」とするものである。これにより、検出処理において検出結果を「ゼロ」に対する相対値として表示部12に表示させる。なお、ゼロセット処理として、受光部22による受光量を「ゼロ」とするようにしてもよい。このような処理においても、待機時間Twの経過後に処理を開始することで、処理を正確に実行することができる。
【0047】
・上記実施形態における待機時間は、適宜設定することができる。
第1の例では、制御部23は、記憶部24に記憶した設定時間を表示部12に表示させる。制御部23は、アップボタン13bとダウンボタン13cの操作に応じて表示部12に表示した設定時間を変更する。そして、制御部23は、例えばティーチングボタン13aの操作により、表示部12に表示した設定時間を待機時間Twとして記憶部24に記憶させる。このようにすることにより、任意の待機時間Twを設定することができる。また、検出センサ10の操作部13により容易に待機時間Twを設定することができる。
【0048】
第2の例では、待機時間Twとして設定可能な複数の候補時間を記憶部24に記憶する。制御部23は、複数の待機時間のうちの1つを表示部12に表示させる。制御部23は、アップボタン13bとダウンボタン13cの操作に応じて表示部12に表示した候補時間を、複数の候補時間のうちの他の候補時間に切替えて表示部12に表示する。そして、制御部23は、例えばティーチングボタン13aの操作により、表示部12に表示した候補時間を待機時間Twとして記憶部24に記憶させる。このようにすることにより、待機時間Twを容易に設定することができる。また、待機時間Twが短かったり長かったりすることを防止することができる。
【0049】
第3の例では、基準時間を記憶部24に記憶する。制御部23は、レベル値を表示部12に表示させる。制御部23は、アップボタン13bとダウンボタン13cの操作に応じて表示部12に表示したレベル値を変更する。そして、制御部23は、例えばティーチングボタン13aの操作により、レベル値と基準時間とに基づく値を待機時間Twとして記憶部24に記憶させる。例えば、基準時間にレベル値を乗算した結果の値を待機時間Twとする。このようにすることにより、待機時間Twを容易に設定することができる。
【0050】
第4の例では、制御部23はティーチングボタン13aが操作されてからの経過時間を計測する。制御部23は、受光部22の受光量を監視する。そして、制御部23は、受光量が安定するまでの経過時間を取得し、その経過時間に基づく時間を待機時間Twに設定する。例えば、制御部23は、一例として、経過時間を待機時間Twとして記憶部24に記憶させる。また、制御部23は、別の例として、経過時間に所定時間を加算した結果の値を待機時間Twとして記憶部24に記憶させる。このようにすることにより、配置された状態に対応する待機時間Twを設定することができる。
【0051】
なお、上記の各例では、ティーチングボタン13aの操作により値を記憶部24に記憶させることとして説明した。操作部13の他の1つ又は複数のボタンに対する操作により値を記憶部24に記憶させるようにしてもよい。例えば、アップボタン13b又はダウンボタン13cを長押しする、アップボタン13bとダウンボタン13cを同時に操作する、などの操作により値を記憶部24に記憶させるようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態でに対して、制御部23にて検出部25における動作を実行するようにしてもよい。この場合、制御部は、検出部としても機能する。
・上記実施形態は、検出光LKにより対象物60を検出する非接触式の検出センサ10に具体化したが、例えば接触子におり対象物60を検出する接触式の検出センサに具体化してもよい。
【0053】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識することができる。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0054】
10 検出センサ
10a 前面
10b 後面
10c 側面
10d 側面
10e 上面
10f 下面
10g 傾斜面
11 前面カバー
12 表示部
13 操作部
13a ティーチングボタン
13b アップボタン
13c ダウンボタン
14 ケーブル
15 取付孔
21 投光部
22 受光部
23 制御部
24 記憶部
25 検出部
31~35 ステップ
41 取付金具
41a 固定部
41b 支持部
42 固定ねじ
60 対象物
KR 反射光
LK 検出光
SC 制御信号
SK 操作信号
T0 時刻
T1 第1時刻
T2 第2時刻
Tw 待機時間