(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094350
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20230628BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230628BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230628BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230628BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q5/00
A61Q5/06
A61K8/92
A61K8/81
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209774
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】306018365
【氏名又は名称】クラシエホームプロダクツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川口大地
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC182
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC532
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB11
4C083BB12
4C083BB35
4C083CC32
4C083EE06
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】
ヘアスタイリング時のアレンジ力の強さ、ヘアスタイルのキープ力の強さ、毛髪洗浄後のべたつきのまさのいずれもが良好な毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記(A)、(B)および(C)を含有することを特徴とする毛髪化粧料により上記課題を解決する。好ましくは、(A)と(B)の配合比率((A)/(B))が1.0~2.6の毛髪化粧料である。
(A) マイクロワックス、キャンデリラワックス、ミツロウから選ばれる一種以上の成分
(B)白色ワセリン
(C)両性ポリマー
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)および(C)成分を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A) マイクロワックス、キャンデリラワックス、ミツロウから選ばれる一種以上のワックス
(B)白色ワセリン
(C)両性のポリマー
【請求項2】
前記(A)と前記(B)の配合比率((A)/(B))が1.0~2.6の範囲にある請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記(C)成分がアミンオキシドを有する両性のポリマーである請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関するものであり、より詳しくは、ヘアスタイリング時のアレンジ力、スタイルのキープ力に優れ、洗い上がりのべたつきの少ない毛髪化粧料である。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪のスタイルを整えるために毛髪化粧料として、ヘアージェル、ヘアークリーム、ヘアーフォーム、セットローション等が使用されており、これらの毛髪化粧料は一般的に毛髪をセットするために高分子化合物、シリコーン油、高分子シリコーン、エステル油、炭化水素油などの油分を可溶化、溶解又は乳化して配合されている。これらの毛髪化粧料は、様々なスタイルに合わせて、セット力や使用感( 艶やまとまり) などの多様な機能を付与している。
【0003】
また、毛髪化粧料にはアレンジ力、再整髪性を付与するために常温で固形の油分を配合することがあるが、配合量によってはべたつき、キープ力の低下などの問題が発生する。そこで、べたつかず、キープ力、再整髪性、アレンジ力の高い毛髪化粧料(特許文献1、2)の開示がある。
【0004】
特許文献1ではアミンオキシド含有樹脂と常温で固形の油分を組み合わせることにより、べたつき感が少なく、毛髪になめらかさや艶を与え、セット性に優れた毛髪化粧料の開発を達成している。しかしながら、この方法では毛髪洗浄後のべたつきが生じ、アレンジ力も低いといった改善がある。
【0005】
特許文献2では融点の高い油分と低い油分、被膜形成性のポリマーを組み合わせることによって、キープ力が高く、再整髪性も備え、べたつきの少ない毛髪化粧料の開発を達成している。しかしながら、この方法では毛髪洗浄後のべたつきが生じ、アレンジ力も低いといった改善がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136966号
【特許文献2】特許第5507056号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術は、「ヘアスタイリング時のアレンジ力の高さ」「ヘアスタイルのヘアキープ力の高さ」「毛髪洗浄後のべたつきのなさ」について、いずれか一つまたは二つを満たすことはできたが、三つすべて満たすことはできなかった。
【0008】
そこで、本発明は。「ヘアスタイリング時のアレンジ力の高さ」「ヘアスタイルのヘアキープ力の高さ」「毛髪洗浄後のべたつきのなさ」のいずれもが良好な毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、特定のワックスと白色ワセリンを最適の比率で組み合わせるとともに、特定の被膜形成性のポリマーを併用することにより上記問題を解決できることを見出した。
【0010】
本願第一の発明は、下記(A)、(B)および(C)成分を含有する毛髪化粧料である
。
(A) マイクロワックス、キャンデリラワックス、ミツロウから選ばれる一種以上のワックス
(B)白色ワセリン
(C)両性のポリマー
【0011】
好ましくは、前記(A)と(B)の配合比率((A)/(B))が1.0~2.6の範囲にある毛髪化粧料である。
【0012】
更に好ましくは、前記(C)成分がアミンオキシドを有する両性のポリマーである毛髪化粧料である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヘアスタイリング時のアレンジ力の高さ、ヘアスタイルのキープ力の高さ、毛髪洗浄後のべたつきのなさを両立した毛髪化粧料である
以下、本発明の構成について詳述する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の毛髪化粧料について詳細に説明する。
【0015】
本発明において、「アレンジ力」とは毛髪化粧料の粘着性と塗り広げやすさにより自由に毛髪を動かす力を意味し、「キープ力」とはヘアスタイルを維持する力を意味する。また「毛髪洗浄後のべたつき」とは、毛髪化粧料を塗布した後に洗髪し、乾燥時の状態でのべたつきを意味する。
【0016】
<(A)ワックス>
本発明の毛髪化粧料に用いる(A)成分はワックスであり、具体的にはマイクロワックス、キャンデリラワックス、ミツロウである。当該成分は、粘着性高さや製剤の硬度を高めることにより毛髪化粧料のアレンジ力の向上という目的で使用される。当該成分は、それぞれ単独での使用、または組み合わせて使用しても良い。
【0017】
本発明の毛髪化粧料において、(A)成分の含有量は、毛髪化粧料の全量に対して10~21質量%( 以下% と略す)が好ましく、更に好ましくは13~15%である。10%以上であれば、毛髪のアレンジ力が良好となり、21%以下であれば、べたつき感がなく良好である。
【0018】
<(B)白色ワセリン>
本発明の毛髪化粧料に用いる(B)成分は、白色ワセリンである。白色ワセリンは、柔らかく、毛髪化粧料を塗り広げやすいためアレンジ力を向上させ、また、洗い落しが良いため毛髪洗浄後のべたつきがない。
【0019】
本発明の毛髪化粧料において、(B)成分の含有量は、毛髪化粧料の全量に対して3~15%が好ましく、更に好ましくは10~15%である。3%以上であれば、十分なアレンジ力を得ることができ、14.5%以下であれば、白色ワセリンの重さによりキープ力が低下することがない。
【0020】
本発明の毛髪化粧料において、(A)と(B)の配合重量比(A/B)は、1.0~2.6が好ましい。1.0以上であれば製剤の硬度が良好でアレンジ力も良好となり、2.6以下であれば、べたつきが生じない。
【0021】
<(C)両性のポリマー>
本発明の毛髪化粧料に用いる(C)成分は、被膜を形成する両性のポリマーである。当該成分は、粘着性の高さおよび被膜形成の作用によりアレンジ力およびキープ力の向上という目的で使用される。当該成分において好ましくは、長鎖脂肪酸アクリルエステルとメタクリル酸エチルアミンオキシドとアクリル酸及び/ またはメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であり、構造単位としてアミンオキシド基を含有したものである。例えば、大阪有機化学工業株式会社 から販売されているダイヤフォーマーZ 7 1 1 、ダイヤフォーマーZ712、ダイヤフォーマーZ732等が挙げられる。当該成分は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用する事ができる。
【0022】
本発明の毛髪化粧料において、(C)成分の含有量は、毛髪化粧料の全量に対して0 .1~2.0%が好ましく、更に好ましくは0.8~1.2%である。0.1%以上であれば、セット性およびその保持力が良好で、2.0%以下であれば、製剤にべたつきが生じない。
【0023】
<その他成分>
本発明の毛髪化粧料は、上述した成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、水酸化カリウム、フェノキシエタノール、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子、粉体(顔料、色素、樹脂等)、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、パール化剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。
【0024】
また、上記粉体としては、例えば赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)に特に制限はない。
【0025】
上記粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0026】
上記溶媒としては、例えば精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0027】
上記生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。上記生理活性成分は、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分や、化合物等が挙げられるが、これらの中でも、特に天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が安全性の点で好ましい。
【0028】
また、上記天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分以外の成分としては、例えばデオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミン類(A、B2、B6、C、D、E)、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤、l-メントール、ハッカ油等の冷感剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤等が挙げられる。
【実施例0029】
次に本発明について実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0030】
(1)洗髪後のべたつき
20名の専門パネルにより、本願発明の毛髪化粧料を使用した後に洗髪し、そのときのべたつきを評価した。具体的には、まず洗髪を行い、その後実施例及び比較例に記載の毛髪化粧料3~4gを手にとり、毛髪全体に行き渡るように塗り込み、10分経過後に再度洗髪を行い、タオルドライ後のべたつきを5段階で官能評価した。尚、官能評価の平均値をスコアとする。
5:全くべたつかない
4:わずかにべたつきを感じる
3:少しべたつく
2:べたつく
1:非常にべたつく
【0031】
(2)ヘアスタイルのアレンジ力
20名の専門パネルにより、まず十分な洗髪を行い、ドライヤーで十分に毛髪乾燥した後に、本願発明の毛髪化粧料3~4gを手にとり、毛髪全体に行き渡るように塗布した。その後、日常と同じようにヘアスタイリングを行い、アレンジ力を5段階で官能評価した。
5:アレンジ力が非常に高い
4:アレンジ力が高い
3:アレンジ力が少し高い
2:アレンジ力が低い
1:アレンジ力が非常に低い
【0032】
(3)ヘアスタイルのキープ力
20名の専門パネルにより、まず十分な洗髪を行い、ドライヤーで十分に毛髪乾燥した後に、本願発明の毛髪化粧料3~4gを手にとり、毛髪全体に行き渡るように塗布した。その後、日常と同じようにヘアスタイリングを行い、3時間後のヘアスタイルのキープ力を5段階で官能評価した。
5:キープ力が非常に高い
4:キープ力が高い
3:キープ力が少し高い
2:キープ力が低い
1:キープ力が非常に低い
【0033】
実施例1~26,比較例1~5をそれぞれ表1。2に示す。
【0034】
【0035】
【0036】
表1、2の結果から、本発明の成分の組み合わせの一定の濃度での組み合わせについていずれも良好な結果であった。
【0037】
以下、本発明に係る毛髪化粧料の処方例を示す。いずれもアレンジ力、セット力、毛髪洗浄後のべたつきのなさについて良好であった。
【0038】