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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094351
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20230628BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230628BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230628BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/39
A61K8/86
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209775
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】306018365
【氏名又は名称】クラシエホームプロダクツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内田 浩行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB332
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC372
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC532
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD212
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD492
4C083BB04
4C083BB05
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
(57)【要約】
【課題】
脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤を使用せずに、30℃における粘度、低温安定性に優れる透明な洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記成分(A)、(B1)及び(B2)を含有し、
5℃における外観が透明であり、30℃における粘度が700~4000mPa・sである洗浄剤組成物により上記課題を解決する。
(A)アニオン性界面活性剤
(B1)脂肪酸エステル型ノニオン性活性剤
(B2)ポリグリセリン型ノニオン性界面活性剤下記成分
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B1)及び(B2)を含有し、
5℃における外観が透明であり、30℃における粘度が700~4000mPa・sであることを特徴とする洗浄剤組成物。
(A)アニオン性界面活性剤
(B1)脂肪酸エステル型ノニオン性活性剤
(B2)ポリグリセリン型ノニオン性界面活性剤
【請求項2】
前記(A)成分が、洗浄剤組成物全体質量中5~20質量%である請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(B1)成分と(B2)成分の質量比((B1)/(B2))が1~3である請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに下記(B3)成分を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
(B3)エーテル型ノニオン性界面活性剤
【請求項5】
さらに下記(C)成分を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5℃における外観が透明であり、30℃における粘度が700~4000mPa・sとなる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ファッションとしてヘアスタイルや髪の色を楽しむようになり、ヘアカラーやパーマを行うことは日常的になっている。ヘアカラーやパーマなどによって毛髪はダメージを受け、シャンプー時に髪が絡まったり、すすぎ時に指通りが悪くギシギシとした感触となったり、洗髪後のタオルドライの時にも髪が絡まるなどシャンプー使用感の向上が求められている。このことに対してシャンプーの使用感を向上させることから、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を主剤とするシャンプー製剤のみならず、アシルアミノ酸系アニオン活性剤を主剤とするシャンプー製剤が主流になりつつある。
【0003】
しかしながら、アシルアミノ酸系アニオン活性剤を配合すると、シャンプー製剤自体の粘度が低下してしまうという問題がある。シャンプー製剤の粘度が低下することで、シャンプー製剤自体の保存安定性が悪化することや、シャンプー製剤は使用性の観点から手に取った際に指の間からこぼれてしまうことがないように適度な粘性を持たせる必要がある。そこで、シャンプー製剤に適度な粘度を持たせるために、脂肪酸ジエタノールアミドのような増粘剤を配合することが一般的となっている(特許文献1)。
【0004】
またシャンプー製剤においては、使用感などの性能面に加え、さらなる高付加価値化が求められている。例えば、高級感を演出する目的で、シリコーンやパール化剤を配合しない透明系シャンプーが求められる場合がある。透明シャンプーにおいては、室温において変化が起きないことはもちろん、低温での経時安定性(以下、「低温安定性」とも言う。)が優れることが求められる。
【0005】
シャンプー中に配合される、界面活性剤や塩類、香料等の油性成分が入ることで低温時にシャンプーにくすみを生じる場合がある。これは、シャンプー製剤自体の温度が下がることで、シャンプー中に含まれる界面活性剤の可溶化力が下がり、溶かし込めていた活性剤・塩類・香料等の油性成分が溶けきれなくなり析出することで発生する。
【0006】
この低温安定性を向上させるために、前記のジエタノールアミドと近い構造である脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤を配合することで、低温安定性に優れるシャンプーを作ることが可能であることが報告されている(特許文献2)。
【0007】
しかしながら、脂肪酸ジエタノールアミドは、発がん性物質であるニトロソアミンを生成する可能性が懸念されている。そのため近年では脂肪酸ジエタノールアミドを使用することなく、シャンプー製剤に適度な粘性を持たせることが求められている。
【0008】
特許文献2に開示のシャンプー製剤では、脂肪酸ジエタノールアミドに近い構造となる脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤を配合している。しかしながら特許文献2にて使用している脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤は、ジエタノールアミドと同じアミドの骨格を有する。そのため、完全にニトロソアミンの発生を抑制したとは言い切れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014-218470号公報
【特許文献2】WO2016/067853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、ニトロソアミン発生の懸念がない透明な洗浄剤組成物を作るために、アミドの構造を有さない増粘剤を使用する透明な洗浄剤組成物が求められていた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤を使用せずに、30℃における粘度、低温安定性に優れる透明な洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者は上記課題に対して鋭意検討した結果、(A)アニオン性界面活性剤、(B)特定のノニオン性界面活性剤、及び(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを組み合わせることにより、低温安定性と、手に取った際に液だれを起こし難くい適度な粘性を有する洗浄剤組成物を見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、下記成分(A)、(B1)及び(B2)を含有し、5℃における外観が透明であり、30℃における粘度が700~4000mPa・sである洗浄剤組成物である。
(A)アニオン性界面活性剤
(B1)脂肪酸エステル型ノニオン性活性剤
(B2)ポリグリセリン型ノニオン性界面活性剤
【0014】
好ましくは、前記(A)成分が、洗浄剤組成物全体質量中5~20質量%である洗浄剤組成物であり、さらに好ましくは、前記(B1)成分と(B2)成分の質量比((B1)/(B2))が1~3である洗浄剤組成物である。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、(B3)エーテル型ノニオン性界面活性剤を含有してもよく、また(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを含有する洗浄剤組成物であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、30℃における粘度、低温安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することができる。さらには、洗髪時のきしみ軽減感、すすぎ後の指通り性にも優れた洗浄剤組成物を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本願発明において「低温下で安定であること」とは、2週間の間、低温下(5℃)において保管した場合でも析出物がなく透明な外観であることをいい、「低温安定性」とは、低温化(5℃程度)で長期保管(1か月程度)した場合でも、外観が透明で、油分による白濁化や析出物による白濁化がないことをいう。
【0019】
<(A) アニオン性界面活性剤>
本発明の洗浄剤組成物に用いる(A)成分は、アニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤は、洗髪時のきしみ軽減感を付与するために加えられる。アニオン性界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸
Na、ラウレス-4カルボン酸Na、ラウロイルサルコシンTEA、ラウロイルサルコシンNa、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸2Na、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウロイルヒドロキシエチルβアラニンNa、ココイルトレオニンNa、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルアスパラギン酸TEA等が挙げられる。
【0020】
これらの中でも、特に洗髪時のきしみ軽減感を与えられるという観点から、アシルアミノ酸アニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。特に好ましくは、ラウロイルサルコシンTEA、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルメチルタウリンNaを用いることが好ましい。本発明の洗浄剤組成物において、成分(A)はこれらのうちの1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明において、アニオン活性剤成分は、油分を洗い流す洗浄性能を有し、洗浄剤組成物中においては、香料のような油性成分を溶かし込む能力となる。そのためアニオン活性剤が配合されない場合は、洗浄剤組成物中の油分を溶かし込見切れず、低温時に白濁する。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物において、(A)成分の配合量は本発明の効果を発揮できる限りにおいて特に限定されるものではないが、洗浄剤組成物全体質量中5~20質量%であることが好ましい。配合量が5質量%以上であれば、低温時に白濁が生じることなく、20質量%以下であれば低温時に析出を生じることがない。
【0023】
<(B) ノニオン性界面活性剤>
本発明の洗浄剤組成物に用いる(B)成分は、ノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤は、洗浄剤組成物への増粘性、低温安定性を向上させるために加えられる。
【0024】
本発明において、ノニオン性界面活性剤は、次の(B1)及び(B2)の2成分を組み合わせて使用することが必要である。増粘メカニズムの異なる2成分を組み合わせることで、安定な粘度を保つことが可能となる。
(B1)脂肪酸エステル型ノニオン活性剤
(B2)ポリグリセリン型ノニオン活性剤
【0025】
<(B1)脂肪酸エステル型ノニオン活性剤>
(B1)成分は、脂肪酸エステル型ノニオン活性剤である。脂肪酸エステル型ノニオン活性剤は特に限定されるものではないが、例えば、ラウレス―1、ラウレス―2、セテス―2等が挙げられる。
【0026】
これらの中でも、洗浄剤組成物への増粘性、低温安定性が優れるという観点から、アルキル鎖長がラウリン酸であり、エチレンオキサイドの付加モル数が1~4である脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましくはラウレス―2、ラウレス―3を用いることが好ましい。本発明の洗浄剤組成物において、成分(B1)はこれらのうちの1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
脂肪酸エステル型ノニオン活性剤が、洗浄剤組成物を増粘させる理由としては、洗浄剤組成物中で構造体を伸長させるためである。アニオン活性剤や両性活性剤だけを配合した状態では、水溶液中において活性剤が球状ミセルの構造に配列する。ミセルに配列した活性剤の親水部同士が電荷反発するため、球状の構造が安定となるためである。球状ミセルの構造では、水溶液中においてミセル同士の接触が少ないため増粘しない。ここに脂肪酸エステル型ノニオン活性剤を添加することで球状ミセルが伸長し、棒状もしくはひも状ミセルの構造に変化する。電荷をもたない脂肪酸エステル型ノニオン活性剤が、ミセルに配
列した活性剤同士の電荷反発を抑制することでミセルが伸長する。棒状・ひも状ミセルの構造では、水溶液中においてミセル同士の接触が多いため、水溶液が増粘する作用を示す。
【0028】
<(B2)ポリグリセリン型ノニオン活性剤>
(B2)成分は、ポリグリセリン型ノニオン活性剤である。30℃における粘度と低温安定性の観点からポリグリセリン型ノニオン活性剤の中でも、好ましくはエチレンオキサイドが100~200重合されていることを特徴とするポリグリセリン型ノニオン活性剤である。特に好ましくは、トリステアリン酸PEG-150ポリグリセリル-2である。
【0029】
成分(B1)と成分(B2)の質量比((B1)/(B2))は、1~3が好ましい。質量比が1以上であれば、30℃における粘度が700mPa・sを上回り、低温安定性が良好となり、5℃における外観安定性が優れる。一方、3以下であれば、30℃における粘度が4000mPa・sを下回り且つ、洗髪時のきしみ感軽減とすすぎ後の指通り性が良好となる。
【0030】
<(B3)エーテル型ノニオン性界面活性剤>
本発明において、第3のノニオン性界面活性剤として、エーテル型ノニオン性界面活性剤を使用してもよい。エーテル型ノニオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、POEセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、30℃における粘度と低温安定性という観点から、セテアレス-60ミリスチルグリコールが好ましい。
【0031】
本発明において、さらに(B3)成分を加えることで、さらに増粘効果を得られる。これは、洗浄剤組成物中の構造体同士を絡めて流動性を減少させるためである。ポリグリセリン型ノニオン性活性剤やエーテル型ノニオン活性剤は、複数のアルキル鎖長や高重合のエチレンオキサイド鎖を有すること多い。そのため分子量が大きく、成分(B1)脂肪酸エステル型ノニオン活性剤が伸長させた構造体と絡まり、流動性を低下させることで増粘する作用を示す。
【0032】
(B3)の配合量は、本発明の効果を発揮できる限りにおいて特に限定されるものではないが、洗浄剤組成物全体質量中0.1~0.7質量%であることが好ましい。配合量が0.1質量%以上であれば洗髪時のきしみ軽減感が良好となり、0.7質量%以下であれば低温安定性が良好となる。
【0033】
(B)成分であるノニオン性界面活性剤は、本発明の洗浄剤組成物全体に対して2~4質量%であることが好ましい。ここでいう(B)成分のとは、(B1)+(B2)+(B3)の合計量である。洗浄剤組成物全体に対して2質量%以上であれば、30℃における粘度700mPa・s以上保つことが容易になり、4質量%以下であればすすぎ後の指通り性が良好となる。
【0034】
<(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル>
本発明の洗浄剤組成物では、(C)成分としてヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを用いてもよい。ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルは、30℃で液状のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリンである。(C)成分は、可溶化力を有する加脂剤であるため、毛髪表面を油分のようにコートすることが可能である。(C)成分を添加することで、すすぎ後の指通り性と低温安定性さらなる向上が望める。
【0035】
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルの配合量は、特に限定されるものではないが、洗浄剤組成物全体に対して0.1~2.0質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば、す
すぎ後の指通り性向上と低温安定性が良好となり、2.0質量%以下であれば、脂ぎしむ使用感にならず、すすぎ後の指通り性が良好で、析出がなく低温安定性も良好となる。
【0036】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物は、前記の必須成分に加えて必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に使用されている任意の成分を使用することが可能である。これらの成分としては、アニオン界面活性剤、両性活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、油分、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、ポリマー類、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、水、アルコール、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤等が挙げられる。
【0037】
<洗浄剤組成物>
本発明の洗浄剤組成物の剤型は任意であり、粘稠液、ゲル状とすることが可能である。使用性の観点から、好ましいものとしては、30℃にて粘度が700~4000mPa・sの粘稠液である。本実施形態に係る洗浄剤組成物の用途としては、例えば、洗顔料、シャンプー、ボディーシャンプー、ハンドソープ、シェービング料等が挙げられる。
【0038】
ここで使用性とは、洗浄剤組成物を使用する際に充填容器から出しやすく、手に吐出した際に指の間からこぼれ落ちることなく容易に使用することが可能であることをいう。30℃における粘度が700mPa・sを下回っている場合、洗浄剤組成物を手に吐出した際に指の間からこぼれ落ちてしまい、使用性が悪い。30℃における粘度が4000mPa・sを上回っている場合、洗浄剤組成物自体の粘度が高すぎることで、水との混ざりが悪化する影響で、泡立ちが遅く使用性が悪い。
【実施例0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例及び比較例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0040】
<30℃における粘度の評価>
下記の表1~3に記載の配合組成よりなる洗浄剤組成物を調製し、その粘度を下記の方法により評価した。
(粘度の測定)30℃における粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製)を用い、ローターNo.2又はNo.3、回転数12rpmで30秒後の粘度を測定した。
【0041】
<低温安定性評価>
下記の表1~3に記載の配合組成よりなる洗浄剤組成物を調製し、透明なガラス容器に充填し密閉する。そして2週間の間5℃の温度下にて保管し、2週間後に低温安定性(ガラス越しに見て析出物が存在するか)を確認した。この時低温安定性の評価を男女被験者10名にて実施し、評点は下記のように分類し、評価を実施した。
【0042】
<低温安定性の評価>
油分や析出物が確認できず透明な外観である ・・・ 5点
油分や析出物は確認できないが、曇りがかった外観である・・・ 4点
油分や析出物が所々に確認でき、曇りがかった外観である・・・ 3点
油分や析出物が多く確認でき、曇りがかった外観である ・・・ 2点
白濁した外観である ・・・ 1点
また、評価の基準を次のように設定した。
◎ ・・・ 平均値が3.5点以上
○ ・・・ 平均値が2.5点以上3.5点未満
△ ・・・ 平均値が1.5点以上2.5点未満
× ・・・ 平均値が1.5点未満
【0043】
(1)洗浄剤組成物の使用感評価
男女被験者10名を用いて、本洗浄剤組成物を用いて、シャンプーを行い、洗髪時のきしみ軽減感、すすぎ後の指通り性を判定した。評点は下記のように分類し、平均値を算出した。
【0044】
<洗髪時のきしみ軽減感評価>
きしみ軽減感が非常に高い ・・・ 5点
きしみ軽減感がやや高い ・・・ 4点
どちらでもない ・・・ 3点
きしみ軽減感がやや低い ・・・ 2点
きしみ軽減感が低い ・・・ 1点
【0045】
<すすぎ後の指通り性評価>
指通りが非常によい ・・・ 5点
指通りが良い ・・・ 4点
どちらでもない ・・・ 3点
指通りが良くない ・・・ 2点
指通りが非常に良くない ・・・ 1点

◎ ・・・ 平均値が3.5点以上
○ ・・・ 平均値が2.5点以上3.5点未満
△ ・・・ 平均値が1.5点以上2.5点未満
× ・・・ 平均値が1.5点未満
【0046】
実施例1~25、比較例1~4
表1~3に示す処方の洗浄剤組成物を常法に従って作成し、前記の諸試験を実施して評価を行った。その結果を併せて表1~3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
表1及び2より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1~19の洗浄剤組成物は比較例1~4の組成物に比べていずれも優れた性能を見出した。
【0051】
以下、本発明の洗浄剤組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の洗浄剤組成物についても、上記の低温安定性、30℃における粘度、洗髪時のきしみ感軽減、すすぎ後の指通り性などの各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0052】
実施例20 透明シャンプー (質量%)(1)ラウロイルサルコシンTEA 9.0
(2)ココイルグルタミン酸TEA 4.0
(3)ココイルメチルタウリンNa 2.0
(4)パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
(5)コカミドプロピルベタイン 3.0
(6)ラウレス-3 2.0
(7)トリステアリン酸PEG-150ポリグリセリル-2 1.0
(8)セテアレス-60ミリスチルグリコール 0.7
(9)ポリクオタニウム-10 0.1
(10)ポリクオタニウム-107 0.1
(11)ポリクオタニウム-49 0.1
(12)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.1
(13)ポリクオタニウム-7 0.1
(14)DPG 0.1
(15)BG 0.1
(16)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル 1.8
(17)ヒマワリ種子油 0.1
(18)サッカロミセス/ヒマワリ芽発酵エキス 0.1
(19)ヒマワリ種子エキス 0.1
(20)ヒマワリ花エキス 0.1
(21)ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル 0.1
(22)カラメル 0.01
(23)クエン酸 0.4
(24)香料 1.0
(25)EDTA-2Na 0.2
(26)安息香酸Na 0.5
(27)水 残余
【0053】
実施例21 透明シャンプー (質量%)(1)ラウロイルメチルアラニンNa 6.0
(2)ココイルグルタミン酸Na 0.5
(3)ラウラミドプロピルベタイン 9.0
(4)ラウレス-3 1.2
(5)トリステアリン酸PEG-150ポリグリセリル-2 0.7
(6)セテアレス-60ミリスチルグリコール 0.2
(7)ポリクオタニウム-10 0.2
(8)ポリクオタニウム-107 0.1
(9)DPG 0.1
(10)BG 0.1
(11)コメヌカエキス 0.1
(12)ムクロジエキス 0.1
(13)コメ胚芽油 0.1
(14)ヒオウギエキス 0.1
(15)ツバキ種子エキス 0.1
(16)グリコシルトレハロース 0.1
(17)酒粕エキス 0.1
(18)コムラサキ果実エキス 0.1
(19)ダイズ種子エキス 0.1
(20)(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク
0.1
(21)チャ種子油 0.1
(22)カラメル 0.01
(23)クエン酸 0.2
(24)香料 1.0
(25)EDTA-2Na 0.2
(26)安息香酸Na 0.5
(27)水 残余
【0054】
実施例22 透明シャンプー (質量%)
(1)ラウレス硫酸Na 9.0
(2)ラウロイルメチルアラニンNa 1.0
(3)ココアンホ酢酸Na 1.0
(4)ラウレス-3 1.2
(5)トリステアリン酸PEG-150ポリグリセリル-2 0.8
(6)ポリクオタニウム-10 0.2
(7)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.1
(8)ポリクオタニウム-7 0.1
(9)DPG 0.1
(10)BG 0.1
(11)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル 0.5
(12)塩化ナトリウム 1.0
(13)PEG-40水添ヒマシ油 0.1
(14)クエン酸 0.5
(15)香料 1.0
(16)EDTA-2Na 0.2
(17)安息香酸Na 0.5
(18)水 残余
【0055】
実施例23 透明シャンプー (質量%)(1)ラウレス-4カルボン酸Na 9.0
(2)ラウロイルメチルアラニンNa 1.0
(3)ラウラミドプロピルベタイン 1.0
(4)コカミドプロピルベタイン 1.0
(5)ラウレス-3 2.5
(6)トリステアリン酸PEG-150ポリグリセリル-2 1.0
(7)セテアレス-60ミリスチルグリコール 0.2
(8)ポリクオタニウム-10 0.2
(9)ポリクオタニウム-107 0.1
(10)DPG 0.1
(11)BG 0.1
(12)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル 0.2
(13)加水分解コンキオリン 0.5
(14)加水分解シルク 0.5
(15)セバシン酸ジエチル 0.1
(16)アサイヤシ果実油 0.1
(17)ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル 0.1
(18)クエン酸 0.2
(19)香料 1.0
(20)EDTA-2Na 0.2
(21)安息香酸Na 0.5
(22)水 残余
【0056】
常法により上記組成のシャンプーを調製し、30℃における粘度、低温安定性、洗髪時のきしみ軽減感、すすぎ後の指通り性を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物は、30℃における粘度、低温安定性、洗髪時のきしみ軽減感、すすぎ後の指通り性に優れた特性を有し、洗浄剤組成物としてきわめて有用である。