(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094380
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】マッチングシステム、マッチング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230628BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230628BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209825
(22)【出願日】2021-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 日本金融通信社のニッキン2021年9月24日13面及び金融国際情報技術展(FIT2021)にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】512050461
【氏名又は名称】リンカーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100221291
【弁理士】
【氏名又は名称】青井 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】前田 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 吉雄
(72)【発明者】
【氏名】関本 温子
(72)【発明者】
【氏名】畠山 毅
(72)【発明者】
【氏名】松田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】川口 隆司
(72)【発明者】
【氏名】石田 聡史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大局的な課題からの段階的な絞り込み行為を通じて潜在的な課題を顕在化し、その課題を解決可能な企業とのビジネスマッチングを好適に支援する。
【解決手段】マッチングシステム1において、管理サーバは、上位概念を表す課題の親ノードとその下位概念を表す課題の子ノードがリンクして、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題の夫々について課題を解決する解決策とを対応付けて記憶し、課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に外部端末の操作で選択させ、最下位概念を表す課題が選択された場合に、課題に対応付けられている解決策を外部端末に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられるマッチングシステムであって、
上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手段と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手段と
を備えることを特徴とするマッチングシステム。
【請求項2】
前記課題選択手段は、最下位概念を表す課題を除くいずれかの課題が選択された場合に、該課題が属する前記階層データにおける該課題の下位階層に属する課題がすべて選択された状態を構成し、前記外部端末による課題の選択状態を解除する操作を通じて最下位概念の課題の絞り込みを行うことを特徴とする請求項1に記載のマッチングシステム。
【請求項3】
前記課題の階層データ群に含まれない新しい課題を外部から取得する課題取得手段と、
前記新しい課題を解決する解決策が存在する場合は、該解決策に対応付けられる前記階層データ群の所定の位置に前記新しい課題を追加して前記課題の階層データ群を更新する課題更新手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッチングシステム。
【請求項4】
前記最下位概念を表す課題についての新しい解決策を外部から取得する解決策取得手段と、
前記最下位概念を表す課題に対応付けて前記新しい解決策を追加する解決策更新手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッチングシステム。
【請求項5】
前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手段をさらに備え、
前記解決策選択手段は、前記課題選択手段によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手段によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しない
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマッチングシステム。
【請求項6】
前記選択手段は、一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを、ビジネスマッチングの事象毎に選択可能であることを特徴とする請求項5に記載のマッチングシステム。
【請求項7】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムにおけるマッチング方法であって、
前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択工程と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該端部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択工程と
を有することを特徴とするマッチング方法。
【請求項8】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムに、
前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手順と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該端部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手順と
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業間のビジネスマッチングを支援するマッチングシステム、マッチング方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地方銀行をはじめとする金融機関では、取引先企業への事業資金の貸し付けを促進するために、取引先企業への事業の活性化支援を通じて金融支援の機会を増やす努力がなされている。このため、課題を抱えている企業とその課題を解決する解決策を持っている企業間のビジネスマッチングを行っている。この動きは同一銀行の取引先企業間のマッチングだけでなく、異なる銀行の取引先企業とのマッチングまで広がってきている。
【0003】
一般に、金融機関では、社内のITシステムに登録されている取引先企業の情報を共有している。しかし、担当者が自身の担当する取引先企業とマッチングする可能性がある別の企業を探し出し、その企業の担当者を介して面談を設定する等、人的作業が占める部分が大きい。そこで、金融機関に導入されるマッチングシステムに関し、企業の業種や規模等から類似する企業の課題群を特定してその中からユーザに課題を選択させ、その課題を解決する過去事例を列挙し、その中から選択された企業に対するマッチング依頼を電子メールで行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、企業の業種や規模等の組み合わせに基づいて類似する企業の課題群を自動的に特定するシステムでは、類似する企業がこれまで経験してこなかったような潜在的な課題はシステムの課題群の中に含まれず、選択そのものができない可能性がある。また、その企業が気づいていない潜在的な課題を大局的な課題から徐々に顕在化していくような課題の絞り込み効果も期待できない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、大局的な課題からの段階的な絞り込み行為を通じて潜在的な課題を顕在化できるとともに、その課題を解決可能な企業とのビジネスマッチングを好適に支援できるマッチングシステム、マッチング方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられるマッチングシステムであって、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手段と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る上記マッチングシステムにおいて、前記課題選択手段は、最下位概念を表す課題を除くいずれかの課題が選択された場合に、該課題が属する前記階層データにおける該課題の下位階層に属する課題がすべて選択された状態を構成し、前記外部端末による課題の選択状態を解除する操作を通じて最下位概念の課題の絞り込みを行うことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る上記マッチングシステムは、前記課題の階層データ群に含まれない新しい課題を外部から取得する課題取得手段と、前記新しい課題を解決する解決策が存在する場合は、該解決策に対応付けられる前記階層データ群の所定の位置に前記新しい課題を追加して前記課題の階層データ群を更新する課題更新手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明に係る上記マッチングシステムは、前記最下位概念を表す課題についての新しい解決策を外部から取得する解決策取得手段と、前記最下位概念を表す課題に対応付けて前記新しい解決策を追加する解決策更新手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
さらにまた、本発明に係る上記マッチングシステムは、前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手段をさらに備え、前記解決策選択手段は、前記課題選択手段によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手段によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明に係る上記マッチングシステムにおいて、前記選択手段は、一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを、ビジネスマッチングの事象毎に選択可能であることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、上記課題を解決するために、本発明は、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムにおけるマッチング方法であって、前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択工程と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該端部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択工程とを有することを特徴とする。
【0014】
さらにまた、上記課題を解決するために、本発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラムは、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムに、前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手順と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該端部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手順とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、大局的な課題からの段階的な絞り込み行為を通じて潜在的な課題を顕在化できるとともに、その課題を解決可能な企業とのビジネスマッチングを好適に支援できる。例えば、他の業界では課題として認識されているが、自らが属している業界ではこれまで課題としては認識されていなかったような潜在的な課題であっても、上位概念である大局的な課題から下位概念である具体的な課題へ課題内容を選択的に段階的に特定していく行為によって、潜在的な課題を徐々に顕在化させていくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマッチングシステムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマッチングシステムにおける管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における課題及びソリューション(解決策)の階層構造を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態における管理サーバの課題データベース及びソリューションデータベースに記憶される課題及び案件等のデータ構造を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態におけるマッチングシステムにおける課題の絞り込み及び案件の提示を含むビジネスマッチング処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る組織システムのユーザ端末の画面に表示される画面例である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る組織システムのユーザ端末の画面に表示される画面例である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかるユーザ端末上に表示される案件一覧のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るマッチングシステムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマッチングシステム1の構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るマッチングシステム1は、企業間のマッチングサービスプラットフォームを提供する企業( 以下、「管理企業」という) によって管理され、SaaS(Software as a Service)型のクラウドサービスによって、例えば地方銀行や信用金庫をはじめとする金融機関や複数の会員企業・取引先企業を有する各種企業等の組織のITシステム等に導入される。各組織はマッチングシステム1を利用して、自組織の取引先企業が抱える課題を特定し、特定された課題の解決策を提示し、自組織内又は組織を越えた取引先企業間のビジネスマッチングを行う。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るマッチングシステム1は、マッチングシステム1のプラットフォームを提供・管理する管理企業によって運用・管理される管理サーバ10と、複数の金融機関等の組織にそれぞれ導入される組織システム20,30とで構成される。管理サーバ10と組織システム20,30はインターネット等の有線又は無線のネットワーク40で通信可能に接続されている。これにより、金融機関等の組織では、自組織の取引先企業間だけでビジネスマッチングを行ったり、他の組織の取引先企業とも含めてビジネスマッチングを行ったりする。なお、本実施形態では、説明を容易にするために2つの組織システム20,30のみ表示しているが、3つ以上の金融機関等の組織に同様のシステムを導入し、同様に運用することも可能である。
【0019】
管理サーバ10は、記憶部11と処理部12とを備え、組織システム20,30に対して、企業が抱える課題とその解決策の提示・選択やビジネスマッチング等の処理に関するソフトウェア(例えば、クラウドアプリケーションソフトウェア)等を提供する。管理サーバ10の記憶部11にはプログラムや各種データ等の情報が記憶され、そのプログラムに基づいて処理部12の各種処理機能が実現され、その各種データが処理・出力等される。例えば、管理サーバ10は、1つ又は複数の計算機とデータベース等で実現される単一又は複数のサーバで実現するように構成することができる。
【0020】
組織システム20,30には、各組織の担当者や特定の取引先企業の担当者等(以下、それらをまとめて「ユーザ」という)が使用するユーザ端末21~23,31~33が備わっている。これらの端末は本マッチングシステム1用に専用で備えるようにしてもよいが、通常は金融機関等の組織に既に導入されているITシステム等において用いられているノートパソコン、パネルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等と兼用される。すなわち、ユーザ端末21~23,31~33のそれぞれには、ユーザがキーワードやコマンド等を入力するキーボードやタッチパネル等の入力部、入力されたキーワードや管理サーバ10から出力される課題や解決策等を表示するモニタ等の表示部、各種処理を行う処理部、及び管理サーバ10やその他の不図示の装置等とネットワーク40を介して通信処理を行う通信部を備えている。なお、ユーザ端末21~23,31~33の処理部にはCPUやプログラムを格納したROM、RAM等が備わっており、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理が行われる。
【0021】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末21~23,31~33に関し、ユーザ端末21,31は、金融機関等の組織の担当者が操作する端末、ユーザ端末22,32は、取引先企業にリンクされた端末であって取引先企業の担当者等が直接操作する端末、及び、ユーザ端末23,33は、金融機関等の組織のシステム管理者等が操作する端末として用いられるものとする。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るマッチングシステム1における管理サーバ10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。記憶部11は、SRAМ、DRAМ、又はフラッシュメモリ等で構成される主記憶部111と、ハードディスクやSSD等で構成される補助記憶部112を備える。主記憶部111は、後述する処理部12の制御部124等による制御で演算処理をするために必要なデータを一時的に記憶する。補助記憶部112は、金融機関等の組織の取引先企業が抱える課題に関する情報(課題データ)を記憶する課題データベース112A、それらの課題を解決可能な過去事例(案件)に関する情報及びその案件の内容(解決策)を提供する企業を取引先とする組織に関する情報(ソリューションデータ)を記憶するソリューションデータベース112B、前述の具体的な過去事例に関する情報(案件データ)を記憶する案件データベース112C等を備え、それ以外にも制御部124による制御で処理部12が演算処理等を実行するために必要な制御プログラム等を記憶するデータベース(不図示)を備える。なお、データベースの構成は本実施形態だけに限られず、上述した情報を格納し各処理においてそれらを提供等できる機能があればそれ以外の構成であってもよい。
【0023】
課題データベース112Aに記憶されている課題データは、企業の課題について、上位概念を表す比較的広義の課題から下位概念を表すより具体的な課題まで課題を複数の階層に分けられている。本実施形態では、金融機関等の組織の取引先企業が抱える様々な課題を3つの段階に分類し、最上位概念を表す課題(大分類の課題)、当該課題を具体化した一つ下の下位概念(中間概念)である中分類の課題、及び、中分類の課題よりもさらに課題を具体化した最下位概念を表す課題(小分類の課題)に分けられているものとする。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態における課題及びソリューション(解決策)の階層構造を説明するための図である。本実施形態では、上述の3つの各段階の課題がそれぞれノードとして、一つの大分類の課題(例えば、大分類課題A)に対して一つ又は複数の中分類の課題(例えば、中分類課題a,b)がリンクし、一つの中分類の課題(例えば、中分類課題a)に対して一つ又は複数の小分類の課題(例えば、小分類課題1,2)がリンクしており、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成された複数階層の木構造をなす「課題の階層データ」(例えば、課題の階層データA)が形成されている。また、この階層データが最上位概念を表す大分類の課題の数だけ含まれる「課題の階層データ群」が形成されている。そして、それぞれの小分類の課題を解決する一又は複数の過去事例(案件)がソリューション(解決策)として対応付けてられている。
【0025】
上記の課題及びソリューションの関係・構造を踏まえ、本実施形態において補助記憶部112は、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、親ノードと子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、その階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて課題を解決する一又は複数の解決策に相当する過去事例(案件)とを対応付けて記憶する。
【0026】
なお、課題は具体的になっているものの企業が提供できる状態にない、すなわち過去事例が存在しない場合は、小分類課題まではあるが、それに対応付けられる解決テーマ及び案件が存在しないことになる(例えば、小分類課題7)。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態における管理サーバ10の課題データベース112A及びソリューションデータベース112Bに記憶される課題及び案件等のデータ構造を説明するための図である。本実施形態では、一例として、課題データ及びソリューションデータは、
図4に示すようなテーブル形式でそれぞれのデータベースに記憶されている。
図4に示す大分類課題テーブル4a、中分類課題テーブル4b及び小分類課題テーブル4cに関する情報は、課題データとして課題データベース112Aに記憶されている。また、
図4に示すソリューションテーブル4d、案件テーブル4e及び組織テーブル4fに関する情報は、ソリューションデータとしてソリューションデータベース112Bに記憶されている。
【0028】
ここで、
図4に示すように、個々の大分類課題、中分類課題及び小分類課題には、それぞれ大分類課題id、中分類課題id及び小分類課題idで示される各段階の課題の固有情報が付与されている。そして、中分類課題テーブル4bに示すように、それぞれの中分類課題にそれぞれの親ノードとなる大分類課題が大分類課題idで示されている。同様に、小分類課題テーブル4cに示すように、それぞれの小分類課題にそれぞれの親ノードとなる中分類課題が中分類課題idで示されており、課題の階層データ及び課題の階層データ群を実現している。
【0029】
また、ソリューションテーブル4dには、解決策でもあるソリューション(案件)の固有情報である案件idと課題の階層データの最下位概念に位置する小分類課題に関する情報である小分類課題idとが対応付けられて示されている。さらに、案件テーブル4eには、それぞれの案件(過去事例)に関する固有情報に相当する案件idとその案件を提供する企業(取引先企業)を取引先としている金融機関等の組織に関する情報(組織id)が対応付けられており、案件に関するその他の情報(案件名、案件概要等)とともに示されている。組織idは、マッチングシステム1を導入する組織に割り当てられる固有情報であり、ビジネスマッチングをどの組織の取引先企業と行うかを選択する際に用いられる。例えば、課題の絞り込みを行って解決策を探索するビジネスマッチングを行う際に対象の組織を選択し、選択された組織に割り当てられて組織idに基づいて、解決策を提供する企業を自組織内の取引先企業に限定したり、他の特定の組織の取引先企業に限定したりする等の処理が行われる。さらにまた、組織テーブル4fには、前述の組織に関する情報(組織id)ごとに各組織の組織名、組織概要等の組織情報が示されている。
【0030】
なお、案件データベース112Cには、案件テーブル4Cに示される案件idごとに各案件に関する詳細な情報が案件データ(不図示)として格納されている。案件データは、過去に同様の小分類課題を解決してきたそれぞれの企業(取引先企業)の事例の内容に関するデータであり、その内容やデータ形式等については特に制限はなく、組織システム20,30のユーザ端末21~23,31~33等に出力・表示できるものであればよい。
【0031】
一方、
図2に示す管理サーバ10の処理部12は、通信部121、操作部122、表示部123、制御部124を備え、組織システム20,30内のユーザ端末21~23,31~33のいずれかの端末からの操作によって、その端末の画面に課題を出力し、画面表示された課題を当該端末の操作による段階的な選択処理を通じて具体的な課題を特定し、特定された課題と同一又は類似する課題を解決した過去の案件(過去事例)をソリューションとして提供することにより組織の取引先企業間のビジネスマッチングを支援する。
【0032】
通信部121は、組織システム20,30内の各ユーザ端末21~23,31~33やその他の不図示の外部装置等とネットワーク40を介して通信処理を行い、処理部12内の各処理ブロックで行われる処理における管理サーバ10のデータの入出力機能を実現する。また、操作部122は、本マッチングシステム1を管理・運用する管理企業の担当者等によって操作される機能を提供可能な、キーワードやコマンド等を入力するキーボードやタッチパネル等である。さらに、表示部123は、システムの維持・管理やデータベースのデータ更新等のために管理者等が操作部122による操作を行う時等に処理画面を表示等するモニタ等である。さらにまた、制御部124は、操作部122やユーザ端末21~23,31~33等からの操作に基づいて各種処理を行うよう各部を制御して処理部12に演算処理等を実行させる。
【0033】
具体的には、制御部124による制御により、管理サーバ10の処理部12は、記憶部11の補助記憶部112に記憶された課題の階層データ群をユーザ端末21~23,31~33等の外部端末に選択可能に出力し、課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順にそれらの外部端末の操作で選択させる課題選択機能を備える。また、処理部12は、最下位概念を表す課題が選択された場合に、その課題に対応付けられている一又は複数の解決策(ソリューション)に相当する過去事例(案件)をそれらの外部端末に出力してそれらの外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択機能を備える。これにより、本マッチングシステム1によって、大局的な課題から具体的な課題へと課題を選択的に絞り込んで潜在的な課題を顕在化し、課題の顕在化プロセスを通じてその課題の解決策を提供可能な企業とのビジネスマッチングができる。
【0034】
また、本実施形態において各組織は、本マッチングシステム1の導入時又はその後の任意のタイミングで自組織の取引先企業が提供する解決策だけとビジネスマッチングを行うか、他組織の取引先企業が提供する解決策も含めてビジネスマッチングを行うか、特定の他組織の取引先企業が提供する解決策だけとビジネスマッチングを行うか等のデータ連携の内容を設定する。具体的には、組織システム20(例えば、組織id「1」の組織)のユーザ端末23で本サービスを開始する際に、当該組織のシステム管理者によって、自組織内でのビジネスマッチングにするか、自組織以外の他の組織(例えば、組織id「2」が付与された組織システム30の組織)を指定するかを選択する。そして、小分類課題が選択された時点で表示させるソリューション(解決策)に相当する案件を、データベースに記憶されているすべての案件ではなく、当該組織(例えば、組織id「2」)を有する案件idが割り当てられている案件のみ表示するようにし、他の案件は表示しないようにする。
【0035】
すなわち、制御部124による制御により、管理サーバ10の処理部12は、課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかユーザ端末21~23,31~33の操作で選択させる選択機能をさらに備える。これにより処理部12による上述の解決策選択機能は、課題選択機能によって選択された最下位概念を表す課題が、選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、その解決策はそのユーザ端末に出力しないようにする。また、企業間マッチングを自組織の内部で完結させる場合には、他組織の取引先企業が提供する解決策を表示しないようにすることにより、自組織の顧客企業間のビジネスを活性化させることができる。
【0036】
また、当該処理部12の上記選択機能は、課題の解決策を提供する企業について、一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを、ビジネスマッチングの事象毎に選択可能にするすることもできる。これにより、企業間マッチング対象をビジネスマッチングの事象ごとにマッチング先の組織を選択できるようにすることで、例えば特定の業種に関しては自組織内でのビジネスマッチングを支援し、別の業種に関しては他組織とのビジネスマッチングを促進する等、組織の連携戦略に合わせた異なる組織とのビジネス連携を活性化させることができる。
【0037】
ここで、管理サーバ10は、上述の各ブロックの処理機能を単一のサーバで実現するようにしてもよいし、この機能を複数のサーバやその他の装置で実現するようにしてもよい。また、各サーバを単一の計算機で構成するようにしてもよいし、物理的に異なる複数の計算機等で構成されるようにしてもよい。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態におけるマッチングシステム1における課題の絞り込み及び案件の提示を含むビジネスマッチング処理手順を説明するためのフローチャートである。また、
図6及び
図7は、本発明の一実施形態に係る組織システム10のユーザ端末21の画面に表示される画面例である。
【0039】
本実施形態では、組織システム20が導入されている組織である金融機関A1の取引先企業A2が何らかの課題があることを金融機関A1の担当者a1が知り、組織システム20のユーザ端末21を操作して本マッチングシステム1が提供するサービスを受けるものとする。そして、金融機関A1の担当者a1は取引先企業A2の担当者a2との面談においてユーザ端末21を用いて、取引先企業A2の担当者a2にユーザ端末21の画面を見せながら、対話的に課題の絞り込み行為を通じて自社の課題を顕在化して真の課題を特定し、その解決策である案件及びそれを提供する別の企業(以下の実施形態では、組織システム30が導入された組織である金融機関B1の取引先企業B2)を見つけ出すものとする。
【0040】
一般的には、組織システム20は金融機関A1がすでに導入している金融機関システム等のITシステムに実装されており、金融機関A1の担当者a1は、本ビジネスマッチングによるサービスを開始するための操作と、ビジネスマッチングを行う相手方であるマッチング対象組織の選択をユーザ端末21で行う(ステップS11)。本実施形態では、例えば、普段用いている兼用のユーザ端末21から担当者a1が本サービスを開始させる「開始ボタン」をタッチする。続いて担当者a1は、ビジネスマッチングを行う相手方の組織をユーザ端末21のタッチパネル等で指定し(例えば、組織システム30を導入している「金融機関B1」を選択)、課題選択後のソリューション(解決策)に相当する案件一覧の提示の際に、その指定された組織の取引先企業が提供する案件のみが表示されるようにする。
【0041】
なお、マッチング相手方の組織の選択は、特定の他組織だけでなく、自組織内だけでビジネスマッチングができるようにしてもよいし(例えば、自組織である「金融機関A1」又は「他組織との連携なし」を選択)、マッチングシステム1を導入している全組織や、特定の一又は複数の組織を指定できるようにしてもよい。また、この指定は個別のマッチング案件ごとに変えてもよいし、システムで固定しておき、例えばあらかじめマッチング対象組織を指定する操作がされなければ、デフォルトで自組織内でのビジネスマッチングを行うようにしてもよい。また、この操作権限は各組織の担当者全員ではなく、組織システムのシステム管理者のみが持つようにしてもよい。
【0042】
ステップS11の処理によって担当者a1が組織システム20の本サービスにログインすると、
図6の画面Aに示されるように、最上位概念の課題である大分類の課題選択画面に遷移し、大分類課題のリストがチェックボックス付きで列挙表示され、任意の一又は複数の大分類課題が選択可能な状態となる。そこで、金融機関A1の担当者a1は、取引先企業A2の担当者a2に確認しつつ、任意の課題(大分類課題)にチェックを入れることで、当該課題を選択する(ステップS12)。
【0043】
本実施形態において、例えば、
図6に示されるユーザ端末21の画面Aには、大分類課題として「SDGs」「不動産・建築」「財務・経理・法務」「人事・総務・情報システム」…の項目がチェックボックスとともに表示されている。表示画面はスクロールバー等を用いて上下にスクロールできるようになっており、一画面で表示しきれない部分はスクロールバー等を移動させることにより画面を上下に移動して隠れている部分を視認することができる。また、
図6の画面Aに示される状態において、任意の大分類課題のチェックボックス横にある三角マークをクリックすると、その大分類課題に属する中分類課題とそのチェックボックスが未選択の状態で表示される。なお、大分類課題に属する中分類課題以下の課題の全部又は特定の階層の課題だけをデフォルトで非選択の状態で最初から表示されるようにしてもよい。
【0044】
ここで、ステップS12の処理で担当者a1が任意の大分類課題を選択すると、その指定された大分類課題に相当する階層データの下位階層(すなわち、中分類課題及び小分類課題)の課題がすべて選択された状態となる。そこで、担当者a1は、中分類課題として表示されている課題のうち対象外の課題についての選択を解除する、すなわちチェックボックスのチェックを外す操作を通じて中分類課題の絞り込みを行う(ステップS13)。
【0045】
例えば、本実施形態において、ステップS12の処理で担当者a1は、表示されている大分類の課題のうち「人事・総務・情報システム」を選択したとする。このとき、指定された当該「人事・総務・情報システム」の階層データの下位階層(すなわち、中分類課題及び小分類課題)の課題がすべて選択された状態が構成される。具体的には、
図6の画面Bに示されるように、選択された大分類課題「人事・総務・情報システム」のチェックボックスは選択されたことを示す表示に遷移するとともに、画面右側のスペースには選択された大分類課題「人事・総務・情報システム」の階層データの最下位概念である小分類課題のすべての課題が表示されるようにする。例えば、
図6の画面Bのように、選択された大分類課題「人事・総務・情報システム」の階層データの最下位概念である小分類課題のすべての課題b1,b2,b3,b4,b5…が表示され、ユーザフレンドリーな仕様での提供が可能となる。また、この場合に、大分類課題のチェックボックス横にある三角マークをクリックすると、
図7の画面Cに示される表示画面にように、当該大分類課題に属する中分類課題とそのチェックボックスが全選択された状態で表示されるので、担当者a1は、この状態から不要な中分類課題のチェックボックスの選択を外す操作を行うことで、中分類課題の絞り込みを行う。
【0046】
具体的には、制御部124による処理部12の上述の課題選択機能は、最下位概念を表す課題を除くいずれかの課題が選択された場合に、その課題が属する階層データにおける当該課題の下位階層に属する課題がすべて選択された状態を構成し、ユーザ端末による課題の選択状態を解除する操作を通じて最下位概念の課題の絞り込みを行う。これにより、注目した課題の一つ下の概念の課題を全選択の状態から不要な課題を外す操作をさせることで、その下位概念の課題すべてにユーザが目を通させ、それまでにユーザが気づいていなかった潜在的な課題の顕在化につなげることができる。
【0047】
なお、表示されているそれぞれの小分類課題のエリアには「閉じる」ボタン(例えば、ボタン7a)があり、このボタンをクリック等することで当該小分類課題の選択状態を解除することもできる。このように、本実施形態では、ユーザの利便性を考慮して、選択状態にある課題の最下位概念である小分類課題を別画面等に補助的に表示している。これは、最終的には一つの小分類課題に対する解決策をサーチすることになるため、この補助的な画面を参照しつつ視覚的に絞り込みも行え、特にある程度絞り込めた状態からは有効に課題の絞り込みができる。
【0048】
ステップS13の処理で担当者a1が任意の中分類課題を選択すると、その指定された中分類課題に相当する階層データの下位階層(すなわち、小分類課題)の課題がすべて選択された状態となって画面表示されるので、小分類課題として表示されている課題うち対象外の課題についての選択を解除する、すなわちチェックボックスのチェックを外す操作等を通じて小分類課題の絞り込みを行う(ステップS14)。例えば、
図7の画面Cに示される表示画面の状態から、選択中の中分類課題のうち、「採用・教育」を除く他の中分類課題の選択をすべて解除し、さらに唯一選択された中分類課題「採用・教育」の下位階層の複数の小分類課題のうち小分類課題「人材アセスメントをしたい」だけを残して他の小分類課題の選択を解除する。この操作により、その下位概念である最下位概念の小分類課題であった課題b1,b2,b4…が右側の画面から消えて、
図7の画面Dに示されるように、現在選択されている小分類課題である課題b5(人材アセスメントをしたい)のみが表示される。
【0049】
なお、下位概念の課題の選択がすべて外された場合は、その一つ上位概念の課題のチェックも外れるようにする。また、画面下部の「選択をリセット」ボタン7bを押下すると、すべての課題の選択状態が解除され、
図6の画面Aに示されるような何も選択されていない状態に戻る。また、下位概念の課題のチェックを外すことにより当該課題のチェック状態の表示を、下位概念の課題が全選択されている状態と一部の下位概念の課題が選択されている状態とで異なるようにして、ユーザが一目しただけでどのような選択状態にあるかをわかるようにしてもよい。
【0050】
そして、上記の処理によって小分類課題が絞り込まれて表示されており(例えば、
図7の画面Dにおけるb5)、この最下位概念である小分類課題には前述のように一又は複数の解決策が対応付けられているので、解決策表示の指示を行って、選択状態となっている最下位概念の課題に対応付けられた解決策に相当するソリューション(案件)の概要一覧を表示する(ステップS15)。本実施形態では、例えば
図7の画面Dにおける「絞り込み検索」ボタン7cを押下することで本処理を実行する。なお、このボタンの押下は小分類課題が選択されている状態にのみ押下可能になっており、
図6の画面Aに示されるような大分類課題が選択前の状態は小分類課題が選択されていない状態では、当該ボタンは押下できないようになっている(例えば、「選択をリセット」ボタン6a)。
【0051】
図8は、本発明の一実施形態にかかるユーザ端末21上に表示される案件一覧のイメージ図である。
図8の画面Eに示すように、この段階では、解決策に相当する案件の概要がテキスト又はイメージ等で理解できるように、例えばバナー画像等で一覧表示される。この後、担当者a1は特定された課題の解決策を確認し、ビジネスマッチングの要請を行うことになる。そこで、画面に表示されているそれぞれの案件のバナー画像等をクリック等するとその詳細画面(不図示)に遷移する(ステップS16)。これにより、担当者a1は解決策の詳細な内容を確認でき、ビジネスマッチングを要請するかどうかを決める。なお、特定した小分類課題が一つの場合はその解決策のみが表示されるが、2つ以上の小分類課題が選択されたままであればそれらの課題を解決する解決策に相当する案件がすべて表示されることになる。
【0052】
なお、上記実施形態では、金融機関A1の担当者a1が担当者のユーザ端末21を操作してビジネスマッチングを行うケースについて説明したが、組織が許可した特定の取引先企業A2にユーザ端末22が備わっているような場合は、取引先企業A2の担当者a2が上述した組織の担当者a1と同様の操作を直接できるようにしてもよい。
【0053】
前述した過去事例が存在しない場合は小分類課題まではあるが、それに対応付けられる解決テーマ及び案件が存在しない場合(例えば、小分類課題7)において、各組織の取引先企業に新規の解決策が発生することがある。このような場合はその解決策を追加登録することで、本マッチングシステムに提供できるようにすることができる。通常は、まず、その企業の担当者又は当該企業を取引先にする組織の担当者が管理企業に、どの小分類課題についての解決策が新規に発生したかが連絡される。そこで、管理サーバ10の処理部12の機能として、最下位概念を表す小分類課題についての新しい解決策を外部から取得する解決策取得機能と、その最下位概念を表す小分類課題に対応付けて、外部から取得した新しい解決策を記憶部11に追加する解決策更新機能を備えるようにする。これにより、新しい解決策を逐次システムに追加して充実させていくことによって本システムを導入する組織の取引企業間のビジネスマッチングの機会を増やすことができる。
【0054】
また、本マッチングシステム1に登録されていない、すなわち、課題の階層データ群に含まれていない新しい課題が発生することもある。そこで、管理サーバ10の処理部12の機能として、課題の階層データ群に含まれない新しい課題を外部から取得する課題取得機能と、その新しい課題を解決する解決策が存在する場合は、その解決策に対応付けられる階層データ群の所定の位置(例えば、どの階層データに属するか、どの概念に属するかも踏まえた位置)に新しい課題を追加して課題の階層データ群を更新する課題更新機能をさらに備える。これにより、課題の選択過程で所望の課題が見つからない場合に、その新しい課題を逐次システムに追加することで課題の階層データ群を充実させ、同様の課題を潜在的に持つ他の企業の課題の顕在化に役立てることができる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、取引先企業間のビジネスマッチングを促進する金融機関を例に挙げて説明しているが、本システムの導入対象となる組織は金融機関だけに限られず、会員企業を有する各種企業や各種団体であっても適用することができる。
【0056】
また、本実施形態では、管理サーバ10によって提供される機能の全部又は一部がSaaS型のクラウドサービスによって実現される例について説明したが、それらの機能をPaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、又はAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現するようにしてもよい。
【0057】
なお、本実施形態で説明したマッチングシステム1の構成、管理サーバ10及び組織システム20,30の構成は一例であり、本発明の範囲を超えない範囲において変更してもよい。また、管理サーバ10等の処理の流れも一例であり、本発明の範囲を超えない範囲において不要処理ステップの削除や新規処理ステップの追加や処理ステップの入れ替えは可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 マッチングシステム
10 管理サーバ
11 記憶部
12 処理部
20 組織システム
21~23 ユーザ端末
30 組織システム
31~33 ユーザ端末
40 ネットワーク
111 主記憶部
112 補助記憶部
112A 課題データベース
112B ソリューションデータベース
112C 案件データベース
121 通信部
122 操作部
123 表示部
124 制御部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられるマッチングシステムであって、
上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手段と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手段と、
前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手段とを備え、
前記解決策選択手段は、前記課題選択手段によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手段によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とするマッチングシステム。
【請求項2】
前記課題選択手段は、最下位概念を表す課題を除くいずれかの課題が選択された場合に、該課題が属する前記階層データにおける該課題の下位階層に属する課題がすべて選択された状態を構成し、前記外部端末による課題の選択状態を解除する操作を通じて最下位概念の課題の絞り込みを行うことを特徴とする請求項1に記載のマッチングシステム。
【請求項3】
前記課題の階層データ群に含まれない新しい課題を外部から取得する課題取得手段と、
前記新しい課題を解決する解決策が存在する場合は、該解決策に対応付けられる前記階層データ群の所定の位置に前記新しい課題を追加して前記課題の階層データ群を更新する課題更新手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッチングシステム。
【請求項4】
前記最下位概念を表す課題についての新しい解決策を外部から取得する解決策取得手段と、
前記最下位概念を表す課題に対応付けて前記新しい解決策を追加する解決策更新手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッチングシステム。
【請求項5】
前記選択手段は、一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを、ビジネスマッチングの事象毎に選択可能であることを特徴とする請求項1に記載のマッチングシステム。
【請求項6】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムにおけるマッチング方法であって、
前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択工程と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択工程と、
前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択工程とを有し、
前記解決策選択工程は、前記課題選択工程によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択工程によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とするマッチング方法。
【請求項7】
課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムに、
前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手順と、
前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手順と、
前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手順とを実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、
前記解決策選択手順は、前記課題選択手順によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手順によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられるマッチングシステムであって、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手段と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手段と、前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手段とを備え、前記解決策選択手段は、前記課題選択手段によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手段によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
さらにまた、上記課題を解決するために、本発明は、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムにおけるマッチング方法であって、前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択工程と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択工程と、前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択工程とを有し、前記解決策選択工程は、前記課題選択工程によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択工程によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
さらにまた、上記課題を解決するために、本発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラムは、課題を持つ企業と該課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングを行う一又は複数の組織で用いられ、上位概念を表す課題を親ノードとし、その下位概念を表す一又は複数の課題を子ノードとして、前記親ノードと前記子ノードがリンクすることによって、最上位概念を表す課題が根ノードとして構成される複数階層の木構造をなす課題の階層データが、複数の最上位概念を表す課題の数だけ含まれる課題の階層データ群と、前記階層データ群の葉ノードに位置する最下位概念を表す課題のそれぞれについて該課題を解決する一又は複数の解決策とを対応付けて記憶するデータベースを備えるマッチングシステムに、前記データベースに記憶された前記課題の階層データ群を外部端末に選択可能に出力し、前記課題の階層データ群の最上位概念を表す課題から最下位概念を表す課題へと課題を順に前記外部端末の操作で選択させる課題選択手順と、前記最下位概念を表す課題が選択された場合に、該課題に対応付けられている前記一又は複数の解決策を前記外部端末に出力して該外部端末の操作で一の解決策を選択させる解決策選択手順と、前記課題の解決策を提供する企業とのビジネスマッチングにおいて一又は複数の他組織のうちどの組織の取引先企業を含めるかを前記外部端末の操作で選択させる選択手順とを実行させ、前記解決策選択手順は、前記課題選択手順によって選択された最下位概念を表す課題が、前記選択手順によって選択されていない組織の取引先企業が提供する解決策に対応付けられた課題である場合、前記解決策は前記外部端末に出力しないことを特徴とする。