(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094395
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】処理装置および該処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20230628BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209846
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 友洋
(72)【発明者】
【氏名】蕨 昭兒
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD15
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA21
2G024DA12
2G024DA22
2G024FA01
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】対象物に関する情報の分析処理を分担することができる処理装置を提供する。
【解決手段】対象物である搬送装置1のベルト1aに反射された光を検出する検出装置10により検出される検出情報を処理して、対象物の診断を行う診断装置30に対して無線通信を用いて送信する処理装置20は、検出情報を取得する取得部20aと、検出情報を処理して送信する送信処理を実行する実行部20bと、を含み、送信処理では、取得部20aにより取得された検出情報が分析され、ベルト1aの所定領域毎に検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、該平均値情報に基づく所定情報が診断装置30に送信される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(1)に反射された光または音を検出する検出装置(10)により検出される検出情報を処理して、前記対象物の診断を行う診断装置(30)に対して無線通信を用いて送信する処理装置(20)の制御方法であって、
前記処理装置(20)は、
前記検出情報を取得する取得ステップと、
前記検出情報を処理して送信する送信処理を実行する実行ステップと、
を実行可能であり、
前記送信処理では、
前記取得ステップで取得された前記検出情報が分析されて、前記対象物(1)の所定領域毎に前記検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、該平均値情報に基づく所定情報が前記診断装置(30)に送信される、
処理装置の制御方法。
【請求項2】
前記検出情報は、
前記搬送装置(1)に反射された前記レーザ光の飛行距離に関する距離情報と、
前記搬送装置(1)に反射された前記レーザ光の輝度に関する輝度情報と、
を含む、
請求項1に記載の処理装置の制御方法。
【請求項3】
前記送信処理では、
前記平均値情報が分析され、
前記対象物(1)の所定領域毎に検出情報の階級が設定され、前記階級の分布に関するヒストグラムに関するヒストグラム情報が前記診断装置(30)に送信され、前記診断装置(30)において前記ヒストグラム情報に基づいて前記対象物(1)が診断される、
請求項1または2に記載の処理装置の制御方法。
【請求項4】
対象物(1)に反射された光または音を検出する検出装置(10)により検出される検出情報を処理して、前記対象物の診断を行う診断装置(30)に対して無線通信を用いて送信する処理装置(20)であって、
前記検出情報を取得する取得部(20a)と、
前記検出情報を処理して送信する送信処理を実行する実行部(20b)と、
を備え、
前記送信処理では、
前記取得部により取得された前記検出情報が分析されて、前記対象物(1)の所定領域毎に前記検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、前記平均値情報に基づく所定情報が前記診断装置(30)に送信される、
処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物から反射された光または音に関する情報を処理する処理装置および該処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、対象物としてベルトコンベアのベルトを撮像して取得される画像データを二値化処理して二値化データにして記録し、記録されている当該データに基づいて該ベルトの損傷等を診断する診断装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、対象物として構造体(例えば、建築物、ビル、橋脚等)の外壁の打音のデータを取得し、当該データに基づいて該外壁の劣化状態等を診断する診断装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されるような診断装置では、診断の対象物であるベルトコンベアのベルト、構造体(建築物、ビル、橋脚等)は、建築・土木に関連する装置、構造体であるので、診断される領域が比較的広大となる傾向があるとともに比較的長期間にわたり使用が継続される傾向がある。このような診断装置を含むシステムでは、診断および監視のために取得される対象物に関する情報が非常に大容量となって、該情報が診断装置で処理される際の負荷が過大となる虞がある。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、対象物に関する情報の分析処理を分担することができる処理装置および当該処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る処理装置は、対象物(1)に反射された光または音を検出する検出装置(10)により検出される検出情報を処理して、前記対象物の診断を行う診断装置(30)に対して無線通信を用いて送信する処理装置(20)であって、前記検出情報を取得する取得部(20a)と、前記検出情報を処理して送信する送信処理を実行する実行部(20b)と、を含み、前記送信処理では、前記取得部(20a)で取得された前記検出情報が分析され、前記対象物(1)の所定領域毎に前記検出情報の平均値に関する平均値情報が取得されて、該平均値情報に基づく所定情報が前記診断装置(30)に送信される構成である。
【0008】
このような構成によれば、処理装置では、送信処理を実行することにより、取得部で取得された検出情報が分析され、対象物の所定領域毎に検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、平均値情報に基づく所定情報が診断装置に送信されるので、検出情報を分析して平均値に関する平均値情報を取得する処理を処理装置で分担することができ、診断装置における処理負荷を低減することができる。また、検出情報の平均値に関する平均値情報が診断に用いられることにより、検出情報の検出誤差を低減して診断の精度を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る処理装置の制御方法は、対象物(1)に反射された光または音を検出する検出装置(10)により検出される検出情報を処理して、前記対象物の診断を行う診断装置(30)に対して無線通信を用いて送信する処理装置(20)の制御方法であって、前記処理装置は、前記検出情報を取得する取得ステップと、前記検出情報を処理して送信する送信処理を実行する実行ステップと、を実行可能であり、前記送信処理では、前記取得ステップで取得された前記検出情報が分析され、前記対象物(1)の所定領域毎に前記検出情報の平均値に関する平均値情報が取得されて、該平均値情報に基づく所定情報が前記診断装置(30)に送信される構成である。
【0010】
このような構成によれば、処理装置の制御方法では、送信処理により、取得部で取得された検出情報が分析され、対象物の所定領域毎に検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、平均値情報に基づく所定情報が診断装置に送信されるので、検出情報を分析して平均値に関する平均値情報を取得する処理を処理装置で分担することができ、診断装置における処理負荷を低減することができる。また、検出情報の平均値に関する平均値情報が診断に用いられることにより、検出情報の検出誤差を低減して診断の精度を向上させることができる。
【0011】
なお、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであってよいし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る診断システムについて説明するための図である。
【
図2】診断システムが備える検出装置、処理装置、診断装置について説明するための図である。
【
図3】検出装置が出力するレーザ光および当該レーザ光が照射される照射領域について説明するための図である。
【
図4】1スキャンサイクルによるレーザ光の照射領域について説明するための図である。
【
図5】4スキャンサイクルによるレーザ光の照射領域について説明するための図である。
【
図6】検出装置が実行する制御処理のフローについて説明するための図である。
【
図7】処理装置が実行する平準化処理について説明するための図である。
【
図8】処理装置が実行するヒストグラム処理について説明するための図である。
【
図9】処理装置が実行する中間処理のフローについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る診断システム(100)、該診断システム(100)を構成する検出装置(10)、処理装置(20)、診断装置(30)の実施形態の例について
図1~
図9に基づいて説明する。なお、以下で説明する実施形態の構成、動作等は、一例であり、本発明は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略する。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付することを省略するか、又は同一の符号を付する場合がある。また、実施形態の構造の細部等について、図示を適宜簡略化又は省略する場合がある。
【0014】
[診断システムについて]
本実施形態に係る診断システム100について、
図1に基づいて説明する。診断システム100は、物体(例えば、土砂、砕石等の土木に関連する物等)を搬送する搬送装置1が備えるベルト1aの劣化状態を診断するシステムである。
【0015】
図1に示すように、搬送装置1は、物体(図示略)が載置されるベルト1aと、該ベルト1aを支持するとともに所定方向へ移動させる複数の移動ローラ1bと、ベルト1aを支持する複数の支持ローラ1cと、移動ローラ1bを回転させる駆動部(例えば、モータ等、図示略)と、を含む。
【0016】
ベルト1aは、例えば、黒色ゴム製(例えば、厚み約20mm、幅約1400mm等)であり、物体を搬送する搬送方向A2に延設される無端状の輪形に形成されている。黒色ゴム製のベルト1aは、光を反射しにくく後述の検出装置10が照射するレーザ光の反射率は、例えば、移動ローラ1b、支持ローラ1cの外周面に比較して低い。
【0017】
移動ローラ1bおよび支持ローラ1cは、金属製の円柱状に形成されており、ベルト1aの内周側に設置されて、ベルト1aの内周面に接触して該ベルト1aを支持する。移動ローラ1bが駆動部により所定方向A1に回転されることにより、物体の搬送地点間を循環するようにベルト1aが搬送方向A2に回転されて、ベルト1a上に載置された物体が搬送される。このような搬送装置1では、例えば、物体とローラの接触、経時劣化等により、ベルト1aに汚れ、摩耗、破孔、亀裂、破損、劣化等が生じることがある。
【0018】
ベルト1aの端部に配置される移動ローラ1bは、その幅Lbがベルト1aの幅Laに比較して大きく形成されており、移動ローラ1bがベルト1aの内周側に設置された際に、移動ローラ1bの両端部がベルト1aの幅方向に内周側から突出するようになっている。移動ローラ1bの両端部がベルト1aの内周側から突出することにより、該両端部がベルト1aに覆われずに後述の検出装置10が出力するレーザ光に照射されて、該レーザ光を反射するようになっている。
【0019】
また、移動ローラ1bは、後述の検出装置10から照射されるレーザ光の反射率が、ベルト1aの外周面におけるレーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する材料で形成されており、当該移動ローラ1bにレーザ光が照射された場合に、照射されたレーザ光がベルト1aの外周面に比較して高い反射率で反射されるようになっている。これにより、ベルト1aに破孔、亀裂等が生じて、当該破孔等の開口部分における移動ローラ1bの外周面が検出装置10側に露出する状態となるときには、開口を伴う破孔等が生じていない部分のベルト1aに比較して、開口を伴う破孔等が生じている部分のベルト1aにおけるレーザ光の反射が高まり、該当するベルト1aの部分では他の部分に比較して後述の検出装置10により検出されるレーザ光の輝度が上昇するようになっている。
【0020】
なお、本実施形態では、移動ローラ1bは、ベルト1aのレーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する材料で形成される構成であるが、少なくとも移動ローラ1bの外周面がベルト1aのレーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する構成であればよく、例えば、ベルト1aの赤外線レーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する材料で移動ローラ1bの外周面が被覆される構成等でもよい。
【0021】
図1に示すように、診断システム100は、診断対象となる搬送装置1のベルト1aにレーザ光Li1を照射して反射されたレーザ光Li2を検出する検出装置10と、該検出装置10により検出される検出情報を処理して送信する処理装置20と、該処理装置20から送信された情報に基づいてベルト1aの劣化状態を診断する診断装置30と、を含む。
【0022】
検出装置10は、レーザ光Li1(例えば、赤外線レーザ光等)を診断の対象物に対して照射してから反射されて戻ってくるレーザ光Li2が検出されるまでの時間を計測して、検出装置10から対象物までの距離を測定する、いわゆるLiDAR(ライダー:light detection and ranging)である。検出装置10により検出される検出情報には、レーザ光Li1を対象物に照射し、反射されて戻ってくるレーザ光Li2が検出されるまでの時間に基づいて算出される検出装置10から対象物までの距離に関する情報、反射されて戻ってくるレーザ光Li2の輝度に関する情報が含まれる。
【0023】
検出装置10は、ベルト1aのうち移動ローラ1bにより支持されている部分のベルト1aの外周面にレーザ光Li1を照射するように設置位置が調整されている。検出装置10は、例えば、一つのレーザ照射装置によりベルト1aにその全幅(ベルト1aにおける搬送方向A2と垂直な方向の長さ)にわたってレーザ光を照射する構成でもよいし、複数のレーザ照射装置によりベルト1aの全幅に対して分担してレーザ光を照射する構成でもよい。
【0024】
検出装置10は、後述するように、検出されたレーザ光に関する検出情報として、検出装置10とベルト1aの間の距離に関する情報および検出されたレーザ光Li2の輝度に関する情報を取得して処理装置20へ出力する。
【0025】
処理装置20は、検出装置10により検出された検出情報を処理して診断装置30に送信するまでの各種処理(例えば、後述するように、検出装置10により検出されたレーザ光に関する検出情報として、例えば、ベルト1aの所定領域と検出装置10の間の距離に関する距離情報、ベルト1aの所定領域のレーザ光の輝度に関する輝度情報が取得されて分析され、該検出情報の平均値に関する平均値情報が生成される平準化処理、平均値情報が分析されて検出情報の階級の分布に関するヒストグラム情報が取得されるヒストグラム処理、各種情報が無線通信を用いて通信ネットワーク25に出力されて当該通信ネットワーク25を介して診断装置30に対して送信される送信処理等)を実行する。
【0026】
診断装置30は、処理装置20と通信ネットワーク25を介して接続されており、後述するように、処理装置20により送信されるヒストグラム情報を蓄積し、蓄積された情報および予め学習された学習モデルを用いてベルト1aの劣化状態を診断し、ベルト1aの劣化状態に応じた報知を行う。
【0027】
このように、本実施形態の診断システム100は、対象物として搬送装置1のベルト1aにレーザ光Li1が照射されて反射されたレーザ光Li2が検出装置10により検出されて検出情報として取得され、処理装置20により検出情報が処理されて診断装置30に送信される構成であるので、診断装置30は、検出装置10により検出された検出情報を処理装置20を介して取得し、当該検出情報に基づいてベルト1aの劣化状態を診断することができる。
【0028】
また、本実施形態の診断システム100では、検出装置10は、ベルト1aの外周面におけるレーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する材料で形成される移動ローラ1bにより支持されるベルト1aの外周面にレーザ光を照射する構成であるので、ベルト1aおよび移動ローラ1bにより反射されたレーザ光が検出装置10に検出される場合に、移動ローラ1bにより反射されたレーザ光の輝度を、ベルト1aにより反射されたレーザ光の輝度に比較して高めて検出させることができる。
【0029】
なお、本実施形態の診断システム100では、検出装置10は、搬送装置1において移動ローラ1bにより支持されるベルト1aの外周面にレーザ光を照射する構成であるが、当該移動ローラ1bにより支持されるベルト1aの外周面とは異なる部分、例えば、支持ローラ1cにより支持されるベルト1aの外周面、移動ローラ1bおよび支持ローラ1cに支持されていないベルト1aの部分等に、レーザ光を照射する構成でもよい。移動ローラ1bおよび支持ローラ1cに支持されていないベルト1aの部分にレーザ光が照射される構成では、レーザ光が照射される部分のベルト1aの内周側に、ベルト1aのレーザ光の反射率に比較して高い反射率の特性を有する反射部材が配置されることで、本実施形態の構成と同様の効果を奏する。
【0030】
また、本実施形態の診断システム100は、搬送装置1のベルト1aを診断する構成であるが、診断システム100は、ベルト1a以外を診断する構成であってもよく、例えば、建築・土木に関連する装置、構造体(例えば、建築物、ビル、橋脚等)を診断する構成でもよく、このような構成であっても本実施形態の構成と同様の効果を奏する。
【0031】
[検出装置について]
本実施形態に係る検出装置10について、
図2~
図6に基づいて説明する。検出装置10は、前述のように、いわゆるLiDARであり、対象物(本実施形態では、搬送装置1のベルト1a)に向けてレーザ光Li1を照射してから反射されて戻ってくるレーザ光Li2が検出されるまでの経過時間を測定して、該経過時間の長さに基づいて検出装置10と対象物の間の距離を算出する。また、検出装置10は、反射されて戻ってくるレーザ光Li2の輝度を測定する。
【0032】
図2に示すように、検出装置10は、所定波長のレーザ光Li1(例えば、波長660nm等)を該検出装置10の外部に向けて照射する照射装置11と、該検出装置10の外部で反射されるレーザ光Li2を受信する受信装置12と、これら照射装置11および受信装置12を制御する制御装置13と、を備える。
【0033】
図3に示すように、検出装置10の照射装置11は、レーザ光Li1を所定の出力位置Poから検出装置10の外部に配置された対象物(本実施形態では、搬送装置1のベルト1a、
図1等参照)に向けて出力する照射部(図示略)を備える。
【0034】
照射装置11は、出力位置Poから予め定められた基準照射角度Θ1の方向を基準照射方向D1として、該基準照射方向D1から最大照射角度Θ2(例えば、70°等)となる最大照射方向D840までの照射範囲B1にレーザ光Li1を照射させるように照射部を制御する後述の照射処理を実行する。また、照射装置11は、照射処理において上述の単位領域snに対してレーザ光Li1が照射される毎に、当該レーザ光Li1が照射されるタイミングを示すトリガ信号(照射)を制御装置13に対して送信するトリガ信号処理を実行するようになっている。照射装置11は、検出装置10の制御装置13により制御されるようになっており、該制御装置13からコマンド等による指示を受信することで、当該指示に応じた処理(例えば、照射処理、トリガ信号処理等)を実行する。
【0035】
照射処理では、レーザ光Li1が照射される照射方向が、基準照射角度Θ1から変化角度Δθ(例えば、1/12°等)ずつ所定速度(例えば、600Hz等)で変更され、対象物であるベルト1aの表面の照射領域Sにレーザ光Li1が所定回数照射される(
図3、
図4等参照)。レーザ光Li1が照射領域Sに照射される所定回数n(例えば、840回)は、照射範囲Θ(例えば、70°)と変化角度Δθ(例えば、1/12°)に基づいて予め設定されている。
【0036】
また、照射装置11は、ベルト1aのうち移動ローラ1bにより支持されている部分のベルト1aの外周面にレーザ光Li1を照射するように設置位置が調整されているとともに、レーザ光Li1の照射方向が変化角度θずつ変更される方向がベルト1aの幅方向B1と一致するように、検出装置10および照射装置11の設置位置は、予め調整されている(
図4参照)。
【0037】
以下、照射処理により、レーザ光Li1の照射方向が基準照射方向D1から最大照射方向D840まで変化角度Δθずつ変化されてレーザ光Li1が所定回数照射される工程を1のスキャンサイクルtnと呼ぶ場合がある。また、レーザ光Li1の所定回数照射のうち、各照射によりレーザ光Li1により照らされる領域sを単位領域sn(本実施形態では、s1~s840)と呼ぶ場合がある。上述のように、レーザ光Li1の照射方向が変更される方向は、ベルト1aの幅方向に一致しているので、単位領域snは、ベルト1aの表面において基準照射方向D1から最大照射方向D840へ向かって、すなわちベルト1aの幅方向B1に直線状に並ぶ(
図4等参照)。搬送装置1のベルト1aが搬送方向A2へ移動している状態で照射処理が実行される場合には、異なる二時点のスキャンサイクルtn、tn+1により照射される照射領域の位置は、少なくとも二時点の時間差とベルト1aの移動速度とに基づくベルト1aの移動距離の分だけベルト1aの搬送方向A2にずれることとなる(例えば、
図5等参照)。
【0038】
受信装置12は、検出装置10側へ戻ってくるレーザ光Li2を検出する検出部(図示略)を備える。検出部によりレーザ光Li2が検出される毎に、当該レーザ光Li2の検出されたタイミングを示すトリガ信号(検出)を制御装置13に送信する受信処理を実行する。また、検出部は、レーザ光Li2の輝度を取得できるように構成されており、受信装置12は、受信処理において、検出部により検出されるレーザ光Li2の輝度を取得して、当該輝度に関する輝度情報を制御装置13に送信する。
【0039】
制御装置13は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ等から構成され、ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により、所定処理(例えば、後述の制御処理等)を実現できるようになっている。制御装置13は、専用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよいし、他の制御機器と共用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよい。また、制御装置13は、照射装置11により送信されるトリガ信号(照射)の情報を取得する取得部13aと、時間経過を計測する計時部13bと、実行部13cと、を備える。
【0040】
取得部13aは、少なくとも、所定の開始スイッチ(図示略)の状態に関する状態情報と、照射装置11により送信されるトリガ信号(照射)と、受信装置12により送信されるトリガ信号(検出)と、受信装置12により検出されるレーザ光Li2の輝度に関する輝度情報と、を取得する。
【0041】
計時部13bは、予め設定された基準時間からの時間経過を計測するタイマを備える。
【0042】
実行部13cは、後述するように、取得部13aにより取得される状態情報に基づいて開始スイッチがON状態に操作されたことが特定される場合に、制御処理を実行して照射装置11および受信装置12の制御を開始させる。具体的には、開始スイッチが操作されたことを契機に制御処理を開始させて、照射装置11に照射処理およびトリガ信号処理を繰り返し実行させるとともに、受信装置12にトリガ信号処理を繰り返し実行させるように制御するとともに、後述する処理装置20の要求に応じて各種情報等を送信する送信処理を実行する制御を行う。
【0043】
一方、状態情報に基づいて開始スイッチがOFF状態に操作されたことが特定される場合に、制御処理を終了させて照射装置11における照射処理、トリガ信号処理、受信装置12における受信処理、制御装置13おける送信処理を終了させる。なお、開始スイッチは、検出装置10が備える構成もでよいし、後述の処理装置20、診断装置30のいずれかまたは両方が備える構成もよい。または、これらの検出装置10、処理装置20、診断装置30以外の診断システム100の構成要素が開始スイッチを備える構成でもよい。
【0044】
次に、検出装置10が実行する制御処理のフローについて
図6に基づいて説明する。
【0045】
図6に示すように、検出装置10の制御装置13は、開始スイッチの状態(ON状態またはOFF状態)に関する状態情報を取得して、開始スイッチがOFF状態からON状態に変化したことが特定される場合に、実行部13cに制御処理(Sa)を開始させる。制御処理(Sa)では、まず、照射装置11に対して照射処理およびトリガ信号処理を実行する旨を示す照射処理コマンドが送信され(Sa1)、受信装置12に対して受信装置を実行する旨を示す受信処理コマンドが送信される(Sa2)。
【0046】
そして、Sa1のステップにより送信された照射処理コマンドを受信した照射装置11は、照射処理およびトリガ処理を開始させる(Sa3)。照射処理では、まず、レーザ光Li1の照射方向を基準照射方向D1としてレーザ光Li1が照射されるように照射装置11が制御される。また、該基準照射方向D1へレーザ光Li1の照射が開始されるときにトリガ信号(照射)が受信装置12および制御装置13に送信されるように制御されるとともに、レーザ光Li1の照射方向を示す照射方向コマンドが制御装置13に送信されるように制御される。そして、先の照射方向へレーザ光Li1が照射されてから所定時間(例えば、12.5ミリ秒)が経過した後に、レーザ光Li1の照射方向が変化角度θの分だけ変化されて照射方向D2に更新され、当該照射方向D2へレーザ光Li1の照射が開始される制御、および、当該照射が開始されるときに、受信装置12および制御装置13に対してトリガ信号(照射)が再度送信される制御が、レーザ光Li1の照射方向が最大照射角度Θ2となるまで繰り返し実行される。
【0047】
これに対して、トリガ信号(照射)を受信した制御装置13は、計時部13bの備えるタイマに基づいてトリガ信号(照射)が送信された時間に関する第1時間情報を取得する(S4)。なお、第1時間情報は、実際の時刻の情報でもよいし、基準時点からの経過時間に関する情報でも良い。
【0048】
また、受信処理コマンドを受信した受信装置12は、受信処理を開始させる(S5)。受信処理では、反射により検出装置10側へ戻ってくるレーザ光Li2が検出されたときに、当該レーザ光Li2の検出されたタイミングを示すトリガ信号(検出)が制御装置13に対して送信され、検出されたレーザ光Li2の輝度に関する輝度情報が制御装置13に対して送信されるように受信装置12が制御される(S5)。
【0049】
これに対して、トリガ信号(検出)を受信した制御装置13は、計時部13bの備えるタイマに基づいてトリガ信号(検出)が送信された時間に関する第2時間情報を取得する(S6)。なお、第1時間情報および第2時間情報は、実際の時刻の情報でもよいし、基準時点からの経過時間に関する情報でも良い。
【0050】
その後、制御装置13は、Sa4のステップにより取得された第1時間情報と、Sa6のステップにより取得された第2時間情報との差分を算出し、当該差分に基づいて検出装置10と対象物との間の距離を測定する(Sa7)。
【0051】
そして、制御装置13は、レーザ光Li1の照射方向に関する方向情報と、当該照射方向へのレーザ光Li1の照射に基づいて測定された距離に関する距離情報と、当該照射方向へのレーザ光Li1の照射に基づいて検出されたレーザ光Li2の輝度に関する輝度情報と、を取得して、これらの情報を処理装置20へ送信する(Sa8)。
【0052】
その後、実行部13cは、取得部13aにより開始スイッチの状態情報を再度取得させ、開始スイッチがOFF状態に変化したことが特定される場合には、制御処理を終了させる一方、開始スイッチがON状態で維持されている場合には、上述のSa1~Sa8のステップを繰り返し実行して制御処理の実行を継続させることにより、レーザ光Li1の照射方向を変化角度θずつ変化させて距離情報、輝度情報、方向情報を取得させて、これらの情報を処理装置20へ送信する制御を繰り返し実行するように制御する(Sa8)
【0053】
以上のように、検出装置10は、制御処理を繰り返し実行することにより、レーザ光Li1を搬送装置1のベルト1aの幅方向B1に変化角度θずつ変化させて照射し、反射されて戻ってくるレーザ光Li2を検出して、当該レーザ光Li1、Li2に基づいて検出装置10とベルト1aとの距離を単位領域毎に測定するようになっている。そして、測定された距離に関する距離情報と、レーザ光Li1の照射方向に関する方向情報と、検出されるレーザ光Li2の輝度に関する輝度情報とを、順次処理装置20へ送信するようになっている。
【0054】
なお、検出装置10が実行する上述の制御処理、照射処理、トリガ信号処理、受信処理、送信処理は、検出装置10における処理の一例であり、検出装置10は、これらの処理とは異なる他の方法の処理等を実行することにより、対象物に向けてレーザ光Li1を照射した後、反射されて戻ってくるレーザ光Li2を検出し、レーザ光Li2に関する情報に基づいて検出装置10と対象物の間の距離を測定し、また、反射されて戻ってくるレーザ光Li2の輝度を測定する構成でもよい。
【0055】
[処理装置について]
本実施形態に係る処理装置20について、
図2、
図7~
図9に基づいて説明する。処理装置20は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ等から構成され、ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により、所定処理(例えば、後述の中間処理等)を実現できるようになっている。処理装置20は、専用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよいし、他の制御機器(例えば、検出装置10等)と共用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよい。
【0056】
図2に示すように、処理装置20は、上述の検出装置10から順次送信される距離情報、方向情報、輝度情報を取得する取得部20aと、距離情報、方向情報、輝度情報に基づく中間情報を生成する中間処理を実行する実行部20bと、中間情報を診断装置30へ送信する送信処理を実行する送信部20cと、を備える。
【0057】
上述のように検出装置10は、レーザ光Li1をその照射方向を基準照射方向D1から最大照射方向D840までの範囲内で変化角度θずつ変化させて順次照射し、レーザ光Li1を照射する毎に距離情報、方向情報、輝度情報を処理装置20対して送信する構成である。これに対して、取得部20aは、レーザ光Li1が照射される毎に検出装置10から送信される距離情報、方向情報、輝度情報を順次取得して処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶させる。
【0058】
実行部20bは、取得部20aにより取得される距離情報、方向情報、輝度情報を分析して中間情報を生成して診断装置30へ送信する中間処理を実行する。中間処理では、まず、予め定められた回数(本実施形態では、4回)のスキャンサイクルでそれぞれ測定される距離情報Id、輝度情報Ilについて照射方向D1~D840毎に平均値が取得される平準化処理が行われ、取得された平均値が処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶させる。平準化処理では、例えば、
図6に示すように、レーザ光Li1が照射方向D1に照射されることによりベルト1aの単位領域s1について連続する4回のスキャンサイクルt1~t4により取得される4つの距離情報Id1_t1~Id1_t4の平均値が取得され、当該4回のスキャンサイクルt1~t4が行われる期間中にベルト1aの移動に伴ってレーザ光Li1が照射されるベルト1aの単位領域s1‘についての平準化距離情報Id1_t1―4が取得されて処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶される。また、レーザ光Li1の照射方向D2~D840に対応する単位領域s2~s840についても単位領域s1と同様に連続する4回のスキャンサイクルにより取得される距離情報Idの平均値が取得されて、各単位領域s1‘~s840’について平準化距離情報Id2_t1―4~Id840_t1―4が取得され、処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶される。また、輝度情報Ilについても距離情報と同様にして、例えば、連続する4回のスキャンサイクルにより取得される輝度情報Ilの平均値が取得されて、各単位領域s1‘~s840’について平準化輝度情報Ilが取得され、処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶される。
【0059】
そして、中間処理では、上述の平準化処理が行われた後、処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶させれている平準化距離情報、平準輝度情報が分析されて、ベルト1a一周分についての平準化距離情報、平準輝度情報に関するヒストグラム情報が生成されるヒストグラム処理が実行される。ヒストグラム処理では、まず、上述の平準化処理により処理装置20の記憶手段に記憶させれたベルト1a一周分についての平準化距離情報が分析されて、各平準化距離情報に基づいて階級情報L1~L5が設定される。
【0060】
階級情報L1~L5は、ベルト1aの所定領域が初期状態であることを示す第1階級L1と、ベルト1aの所定領域が異常状態であることを示す第5階級L5と、ベルト1aの所定領域が初期状態および異常状態とは異なる状態であり、異常状態となる1段階前の状態であることを示す第4階級L4と、異常状態となる2段階前の状態であることを示す第3階級L3と、異常状態となる3段階前の状態であることを示す第2階級L2と、を示す情報を含む。
【0061】
第1階級L1は、平準化距離情報が、例えば、ベルト1aが初期状態であるときに測定される距離情報の平均値から±1%以下の範囲内にある場合に設定され、第2階級L2は、平準化距離情報が、例えば、ベルト1aが初期状態であるときに測定される距離情報の平均値から±3%以下の範囲内にある場合に設定され、第3階級L3は、平準化距離情報が、例えば、ベルト1aが初期状態であるときに測定される距離情報の平均値から±5%以下の範囲内にある場合に設定され、第4階級L4は、平準化距離情報が、例えば、ベルト1aが異常状態であるときに測定される距離情報の平均値から±3%以下の範囲内にある場合に設定され、第5階級L5は、例えば、平準化距離情報が、ベルト1aが異常状態であるときに測定される距離情報の平均値から±1%以下の範囲内にある場合に設定される。
【0062】
そして、例えば、
図8に示すように、各階級L1~L5の出現頻度n1~n5が集計されて、階級L1~L5と各階級L1~L5の出現頻度n1~n5の関係を示し、各階級L1~L5の分布を示す情報がヒストグラム情報として生成される。第1階級L1を示すヒストグラム情報が本発明の第1頻度情報に相当し、第5階級L5を示すヒストグラム情報が本発明の第2頻度情報に相当し、第2~第4階級L2~L4を示すヒストグラム情報が本発明の第3頻度情報に相当する。
【0063】
また、輝度情報Ilについても距離情報と同様にして、平準化輝度情報Ilに基づいて階級L1~L5が設定されて、処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶される。そして、各階級L1~L5の出現頻度n1~n5が集計されて、階級L1~L5と各階級L1~L5の出現頻度n1~n5の関係を示し、各階級L1~L5の分布を示す情報がヒストグラム情報として生成される。
【0064】
次に、処理装置20が実行する中間処理Sbのフローについて
図9に基づいて説明する。
【0065】
図9に示すように、中間処理では、上述の検出装置10から送信される距離情報および輝度情報が順次取得され、方向情報と関連図けられて処理装置20の記憶手段に記憶される(Sb01)。そして、所定数(例えば、ベルト1a一周分の数)の距離情報および輝度情報が記憶手段に記憶された後、上述の平準化処理が行われて、取得された平均値が処理装置20の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶される(Sb02)。その後、上述のヒストグラム処理が行われて、距離情報に基づく階級および輝度情報に基づく階級が設定されるとともに、各階級L1~L5の出現頻度n1~n5が集計されて、各階級L1~L5の分布を示すヒストグラム情報が生成される(Sb03)。そして、無線送信処理(Sb04)が実行されることで、Sb03のステップにおけるヒストグラム処理により生成されたヒストグラム情報に基づいて送信情報が生成され、当該送信情報が無線通信用のアンテナ20dから出力されて、無線通信により診断装置30へ送信される。
【0066】
以上のように、処理装置20は、中間処理が繰り返し実行されることにより、所定のデータ数(例えば、ベルト1a1周分のデータ数)毎に、距離情報および輝度情報について平準化処理が行われた後、ヒストグラム処理が行われて距離情報に基づく階級および輝度情報に基づく階級が設定される。そして、各階級の出現頻度の分布を示す情報が診断装置30へ対して送信されるようになっている。
【0067】
なお、本実施形態では、処理装置20が実行する中間処理において設定される階級情報は、第1から第5階級L1~L5までの5段階の情報を含む構成であるが、階級情報は、少なくとも、対象物の所定領域が初期状態であることを示す情報と、対象物の所定領域が異常状態であることを示す情報と、対象物の所定領域が初期状態および異常状態とは異なる状態であることを示す情報と、を含む構成であればよく、3段階の情報を含む構成でもよいし、6段階以上の情報を含む構成でもよい。また、対象物の所定領域が異常状態であることを示す情報として、異なる異常状態の種類毎(例えば、ベルトの破れ、擦り切れ、変形等)に異なる階級情報が設定される構成でもよい。設定される階級情報の段階が多いほど、後述の診断装置30での診断において対象物の異常の予兆を検出する精度を高めることができる。また、設定される階級情報の段階が少ないほど、処理装置20における処理負荷および該情報が診断装置へ送信される際の負荷を軽減することができる。
【0068】
[診断装置について]
本実施形態に係る診断装置30について、
図2に基づいて説明する。診断装置30は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ等から構成され、ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により、所定処理(例えば、後述の診断処理等)を実現できるようになっている。診断装置30は、専用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよいし、他の制御機器と共用のハードウェア資源、ソフトウェア資源により構成されてもよい。
【0069】
図2に示すように、診断装置30は、上述の処理装置20から順次送信される距離情報および輝度情報の階級1L~5Lの分布を示す情報を取得する取得部30aと、距離情報および輝度情報の階級1L~5Lの分布を分析してベルト1aを診断する診断処理を実行する実行部30bと、診断の結果を出力する出力部30cと、を備える。
【0070】
診断装置30は、距離情報および輝度情報として、処理装置20より送信される距離情報および輝度情報の階級1L~5Lの分布を示す情報を取得部30aにより取得する。そして、輝度情報を抽出して、輝度情報に基づいてベルト1aを診断する第1診断処理を実行する。
【0071】
第1診断処理では、輝度情報とベルト1aの状態に関する情報とが関連付された訓練データを用いて学習され、輝度情報の入力に対して診断結果としてベルト1aの状態を出力する第1学習モデルを用いてベルト1aの診断が行われれるようになっている。第1診断処理では、前述の処理装置20が平準化処理を実行したことで取得される単位領域s1~s840毎の平準化輝度情報に基づいて設定された輝度情報の階級の分布に関するヒストグラム情報が第1学習モデルに入力されることで、当該モデルの出力結果としてベルト1aの診断結果が取得される。
【0072】
また、診断装置30は、処理装置20より送信される距離情報および輝度情報の階級1L~5Lの分布を示す情報を取得部30aにより取得した後、距離情報を抽出して、距離情報に基づいてベルト1aを診断する第2診断処理を実行する。
【0073】
第2診断処理では、距離情報とベルト1aの状態に関する情報とが関連付された訓練データを用いて学習され、距離情報の入力に対して診断結果としてベルト1aの状態を出力する第2学習モデルを用いてベルト1aの診断が行われるようになっている。第2診断処理では、前述の処理装置20が平準化処理を実行したことで取得される単位領域s1~s840毎の平準化距離情報に基づいて設定された距離情報の階級の分布に関するヒストグラム情報が第2学習モデルに入力されることで、当該モデルの出力結果としてベルト1aの診断結果が取得される。
【0074】
第1診断処理および第2診断処理により出力される診断結果は、出力部30cから出力される。例えば、診断結果によりベルト1aに亀裂・孔が生じている旨が特定される場合には、表示装置(図示略)に亀裂等の生じている位置、範囲が表示されるとともに、音声出力装置(図示略)にから警告音が出力されることにより、搬送装置1や診断システム100の使用者に対して報知される。また、例えば、診断結果によりベルト1aに亀裂・孔が生じる予兆が表れている旨が特定される場合には、表示装置、音声出力装置を介してその旨が報知される。なお、第1診断処理および第2診断処理により出力される診断結果が出力部30cにより所定の記憶手段に履歴情報として出力される構成等でもよい。
【0075】
[作用効果について1]
従来、比較的長期間にわたって使用され続けるとともに診断の対象領域が比較的広大となる傾向のある建築・土木に関連する装置、構造体等を診断の対象物とする診断システムでは、診断および監視のために取得される対象物に関する情報が非常に大容量となって、該情報が診断装置へ送信される際の負荷および該情報が診断装置で処理される際の負荷が過大となる虞がある。
【0076】
これに対して、本実施形態の処理装置の制御方法は、対象物として搬送装置1のベルト1aに反射されたレーザ光を検出する検出装置10により検出される検出情報(検出装置10とベルト1aとの距離に関する距離情報および検出されたレーザ光の輝度に関する輝度情報)を処理して、対象物の診断を行う診断装置30に対して無線通信を用いて送信する処理装置20の制御方法であって、処理装置20は、中間処理Sbにおいて、検出情報を取得する取得ステップ(中間処理SbにおけるSb01のステップ)と、検出情報を処理して送信する送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)を実行する実行ステップと、を実行可能であり、送信処理では、取得ステップで取得された検出情報が分析されて、対象物の所定領域s1~s840毎に検出情報(距離情報、輝度情報)の階級がそれぞれ設定され、階級の分布に関するヒストグラム(例えば、
図8参照)に関するヒストグラム情報が診断装置30に送信される構成である。
【0077】
このような構成によれば、処理装置20の制御方法では、中間処理Sbにおけるヒストグラム処理Sb03により、取得部10aで取得された検出情報(距離情報および輝度情報)が分析され、対象物の所定領域毎に検出情報の階級L1~L5が設定されて、階級の分布に関するヒストグラムが取得され、中間処理Sbの無線送信処理Sb04により該ヒストグラム情報が診断装置30に無線通信で送信されるので、仮に、例えば検出情報のまま診断装置30に直接的に送信されるような場合に比較して、該診断装置30に対して送信される情報量(送信情報の容量)を低減することができるとともに、検出情報を分析してヒストグラム情報を取得する処理を処理装置20側で中間処理Sbにおけるヒストグラム処理Sb03により分担することができて診断装置30における処理負荷を低減することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、診断システム100は、レーザ光Li1を診断の対象物である搬送装置1のベルト1aに対して照射し、反射されて戻ってくるレーザ光Li2を検出装置10により検出して対象物の診断を行う構成、すなわち、対象物であるベルト1aに反射された光を検出装置10により検出して対象物の診断を行う構成であるが、診断システム100は、所定の音波(例えば、超音波等)を診断の対象物に対して照射し、反射されて戻ってくる音波を検出装置により検出して対象物の診断を行う構成でもよい。このような構成の診断システムにおいても、検出装置による検出情報が分析されて対象物の所定領域毎に検出情報の階級が設定され、該階級に基づいて検出情報のヒストグラム情報が取得されて、該ヒストグラム情報が診断装置30に送信される構成とすることで、検出情報を送信する場合に比較して送信されるデータ量を低減することができるとともに、検出情報を分析してヒストグラム情報を取得する処理を処理装置側で分担することができて診断装置30における処理負荷を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態では、診断システム100は、対象物に反射されたレーザ光が検出装置10により検出されることで取得される情報に基づいて対象物の診断を行う構成であるが、診断システム100は、対象物により反射された光がカメラにより撮像されて取得される画像情報に基づいて対象物の診断を行う構成でもよい。当該カメラは、例えば、可視光領域の画像を撮像するものでもよいし、紫外線領域、赤外線領域の画像を撮像するものでもよいし、これらの組み合わせでもよい。
【0080】
本実施形態の処理装置20の制御方法は、中間処理Sbのヒストグラム処理Sb03において設定される階級L1~L5は、検出情報である距離情報および輝度情報毎に対象物であるベルト1aの所定領域(単位領域s1~s840)が初期状態(物体を搬送する工程の初期段階の状態)であることを示す階級L1と、対象物の所定領域が異常状態(亀裂・孔が生じている状態)であることを示す階級L5と、対象物の所定領域が前記初期状態および異常状態とは異なる状態であり、異常状態となる前の状態(亀裂・孔が生じる前段階)であることを示す階級L2~L4と、を含み、ヒストグラム情報は、各階級L1~L5の出現頻度n1~n5に関する頻度情報(
図8参照)を含む構成である。
【0081】
このような構成によれば、検出情報について初期状態から異常状態となるまでの段階を示す複数の階級L1~L5が設定されて、ヒストグラム情報が各階級L1~L5の出現頻度n1~n5に関する情報を含むので、対象物であるベルト1aが劣化等により亀裂・孔が生じる異常状態となるまでの経過情報を診断装置30へ送信することができる。
【0082】
本実施形態の処理装置20の制御方法では、中間処理Sbの平準化処理Sb02において、対象物であるベルト1aの単位領域s1~s840毎について複数のスキャンサイクルtnにわたる検出情報(距離情報および輝度情報)の平均値が取得され、その後に実行されるヒストグラム処理Sb03において、検出情報(距離情報および輝度情報)の平均値に基づいて階級L1~L5が設定される構成である。
【0083】
このような構成によれば、対象物であるベルト1aの単位領域毎の検出情報の平均値に基づいて階級L1~L5が設定される構成であるので、検出装置10により検出される検出情報に検出誤差が含まれる場合でも、当該検出精度に基づく誤差を低減して階級L1~L5を設定することができる。
【0084】
本実施形態の処理装置20は、対象物である搬送装置1のベルト1a(1)に反射されたレーザ光を検出する検出装置10により検出される検出情報を処理して、ベルト1aの診断を行う診断装置30に対して無線通信を用いて送信する処理装置20であって、検出情報を取得する取得部20aと、検出情報を処理して送信する送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)を実行する実行部20bと、備え、当該送信処理では、取得部20aで取得された検出情報が分析され、対象物であるベルト1aの単位領域s1~s840毎に検出情報の階級L1~L5が設定されて、階級の分布に関するヒストグラムが取得され、このヒストグラムに関するヒストグラム情報が診断装置30に送信される構成である。
【0085】
このような構成によれば、処理装置は、送信処理(中間処理Sb)を実行することにより、取得部20aで取得された検出情報が分析され、対象物であるベルト1aの単位領域s1~s840毎に検出情報の階級L1~L5が設定されて、階級の分布に関するヒストグラムが取得され、該ヒストグラムに関するヒストグラム情報が診断装置30に送信されるので、検出情報が診断装置30に直接的に送信される場合に比較して、該診断装置30に対して送信されるデータ量(情報量)を低減することができるとともに、検出情報を分析してヒストグラム情報を取得する処理を処理装置20側で分担して診断装置30における処理負荷を低減することができる。
【0086】
[作用効果について2]
従来、比較的長期間にわたって使用され続けるとともに診断の対象領域が比較的広大となる傾向のある建築・土木に関連する装置、構造体等を診断の対象物とする診断システムでは、診断および監視のために取得される対象物に関する情報が非常に大容量となって、該情報が診断装置へ送信される際の負荷および該情報が診断装置で処理される際の負荷が過大となる虞がある。
【0087】
これに対して、本実施形態の処理装置の制御方法は、対象物として搬送装置1のベルト1aに反射されたレーザ光を検出する検出装置10により検出される検出情報(検出装置10とベルト1aとの距離に関する距離情報および検出されたレーザ光の輝度に関する輝度情報)を処理して、対象物の診断を行う診断装置30に対して無線通信を用いて送信する処理装置20の制御方法であって、処理装置20は、中間処理Sbにおいて、検出情報を取得する取得ステップ(中間処理SbにおけるSb01のステップ)と、検出情報を処理して送信する送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)を実行する実行ステップと、を実行可能であり、送信処理では、取得ステップで取得された検出情報が分析されて、対象物の所定の単位領域s1~s840毎に、連続する所定回数(例えば、4回)のスキャンサイクルにより取得される検出情報(距離情報、輝度情報)の平均値に関する平均値情報(平準化距離情報、平準化輝度情報)が取得されて、当該平均値に基づいて取得される所定情報(例えば、ヒストグラム情報)が診断装置30に送信される構成である。
【0088】
このような構成によれば、処理装置20は、送信処理を実行することにより、取得部20aで取得された検出情報(距離情報、輝度情報)が分析され、対象物の所定領域毎に検出情報の平均値に関する平均値情報(平準化距離情報、平準化輝度情報)が取得され、平均値情報に基づく所定情報(本実施形態では、ヒストグラム情報)が診断装置30に送信されるので、検出情報が診断装置30に直接的に送信される場合に比較して、該診断装置30に対して送信される情報量を低減することができるとともに、検出情報を分析して平均値に関する平均値情報を取得する処理を処理装置20側で分担して診断装置30における処理負荷を低減することができ、なおかつ、検出情報の平均値に関する平均値情報が診断に用いられることにより、検出情報の検出誤差を低減して診断の精度を向上させることができる。
【0089】
本実施形態の処理装置の制御方法では、検出情報は、搬送装置1のベルト1aに反射されたレーザ光の飛行距離に関する距離情報と、搬送装置1のベルト1aに反射されたレーザ光の輝度に関する輝度情報と、を含む構成である。
【0090】
このような構成によれば、距離情報および輝度情報をベルト1aの診断に用いることができ、当該ベルト1aの診断の精度を向上させることができる。
【0091】
本実施形態の処理装置の制御方法では、送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)において、平均値情報(平準化距離情報、平準化輝度情報)が分析され、対象物であるベルト1aのz単位領域s1~s840毎に階級が設定され、階級の分布に関するヒストグラム情報が診断装置30に送信され診断装置30においてヒストグラム情報に基づいて対象物であるベルト1aが診断される構成である。
【0092】
このような構成によれば、中間処理Sbにおけるヒストグラム処理Sb03では、検出情報(距離情報、輝度情報)が分析されて対象物であるベルト1aの所定領域毎に検出情報の階級L1~L5が設定され、該階級L1~L5に基づいて検出情報のヒストグラム情報が取得されて、該ヒストグラム情報が診断装置30に送信される構成であるので、検出装置10により検出された検出情報をそのまま直接的に送信する場合に比較して送信されるデータ量を低減することができ、なおかつ、領域毎の検出情報の平均値に基づいて階級L1~L5が設定されるので、検出情報の検出精度に基づく誤差を低減して階級L1~L5を設定することができる。
【0093】
本実施形態の処理装置20は、対象物であるベルト1aに反射されたレーザ光を検出する検出装置10により検出される検出情報(距離情報および輝度情報)を処理して、対象物であるベルト1aの診断を行う診断装置30に対して無線通信を用いて送信する処理装置であって、検出装置10から検出情報を取得する取得部20aと、検出情報を処理して送信する送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)を実行する実行部20bと、を備え、当該送信処理では、取得部20aにより取得された検出情報が分析されて、対象物のベルト1aの単位領域s1~s840毎に検出情報の平均値に関する平均値情報が取得され、平均値情報に基づく所定情報としてヒストグラム情報が前記診断装置30に送信される、構成である。
【0094】
このような構成によれば、処理装置20は、送信処理(中間処理Sbにおける平準化処理Sb02、ヒストグラム処理Sb03、無線送信処理Sb04)を実行することにより、取得部20aで取得された検出情報が分析され、対象物であるベルト1aの単位領域s1~s840毎に検出情報の平均値に関する平均値情報(平準化距離情報、平準化輝度情報)が取得され、平均値情報に基づく所定情報としてヒストグラム情報が診断装置30に送信されるので、検出情報が診断装置30に直接的に送信される場合に比較して、該診断装置30に対して送信される情報量(データ量)を低減することができるとともに、検出情報を分析して平均値に関する平均値情報を取得する処理を処理装置20側で分担して診断装置30における処理負荷を低減することができ、なおかつ、検出情報の平均値に関する平均値情報が診断に用いられることにより、検出情報の検出誤差を低減して診断の精度を向上させることができる。
【0095】
[作用効果について3]
従来、土砂などの物体を搬送するベルトを備える搬送装置であるベルトコンベアのベルトにレーザ光を投光するとともにベルトによって反射された反射光を受光して、投光のタイミングと受光のタイミングとの時間差を測定し、測定結果に基づいてベルトの亀裂の有無を監視する監視装置があり、このような監視装置では、ベルトにより反射されるレーザ光の反射光を亀裂の有無の監視に利用するので、例えば、ベルトにおけるレーザ光の反射率が比較的低い場合に、反射光が低下することにより、亀裂の検出精度が低下する虞がある。
【0096】
これに対して、本実施形態の診断システム100の診断方法は、ベルト1aを備える搬送装置1の診断システム100によりベルト1aを診断する診断方法であって、診断システム100は、ベルト1aにレーザ光を照射し、該ベルト1aに反射されるレーザ光を検出する検出装置10と、レーザ光の照射されるベルト1aの第1面と反対の第2面側(ベルト1aの内周側)に配置され、ベルト1aに比較してレーザ光を反射する特性(反射率)が高い反射部材としての移動ローラ1bと、ベルト1aを診断する診断装置30と、を備え、診断システム100は、反射されるレーザ光の輝度に関する輝度情報を取得する第1取得ステップ(検出装置10が輝度情報を取得するステップ)と、輝度情報に基づいてベルト1aを診断する第1診断処理を実行する第1診断ステップと、を実行する構成である。
【0097】
このような構成によれば、診断システム100が備える検出装置10は、ベルト1aのうち反射部材(移動ローラ1b)により支持されている部分にレーザ光Li1を照射して、反射されるレーザ光Li2を検出して検出情報(距離情報、輝度情報)を取得するので、ベルト1aに亀裂・孔が生じている場合に、検出装置10が照射するレーザ光Li1がベルト1aにおける亀裂・孔の開口を通過して反射部材(移動ローラ1b)に達して当該反射部材により反射されるレーザ光Li2を検出することができて、反射部材によりベルト1aに比較して強く反射されるレーザ光Li2に基づいてベルト1aの診断を行わせることにより、診断装置により該亀裂・孔が検出される検出精度を向上させることができる。
【0098】
本実施形態の診断装置30は、輝度情報とベルト1aの状態に関する情報とが関連付された訓練データを用いて学習され、輝度情報の入力に対して診断結果としてベルト1aの状態を出力する第1学習モデルを備え、第1診断処理では、第1学習モデルを用いてベルト1aが診断される構成であり、搬送装置1の単位領域s1~s840毎に取得される輝度情報の平均値に基づいてベルト1aが診断される構成である。
【0099】
このような構成によれば、診断装置30では、輝度情報の平均値に基づいて学習モデルによりベルト1aが診断されるので、診断装置により該亀裂・孔が検出される検出精度を向上させることができる。
【0100】
本実施形態の診断装置30は、第1診断処理において、搬送装置1の単位領域s1~s840毎に設定される輝度情報の階級に基づいてベルト1aが診断される構成である。
【0101】
このような構成によれば、診断装置30では、処理装置20により事前に設定されて送信される輝度情報の階級に基づいて学習モデルによりベルト1aが診断されるので、処理装置20から診断装置30に送信されるデータ量を低減することができる。
【0102】
本実施形態の診断システム100は、検出装置10により検出される検出情報に含まれる反射されたレーザ光Li2の飛行距離に関する距離情報を取得する第2取得ステップ(検出装置10が距離情報を取得するステップ)と、距離情報に基づいてベルト1aを診断する第2診断処理を実行する第2診断ステップと、を実行する構成であり、診断装置30は、距離情報とベルト1aの状態に関する情報とが関連付された訓練データを用いて学習され、距離情報の入力に対して診断結果としてベルト1aの状態を出力する第2学習モデルを備え、第2診断処理では、第2学習モデルを用いてベルト1aが診断される構成である。
【0103】
このような構成によれば、診断システム100では、距離情報および輝度情報に基づいてベルト1aの診断を行うので、診断装置30により該亀裂・孔が検出される検出精度を向上させることができる。
【0104】
本実施形態の診断装置30は、距離情報とベルト1aの状態に関する情報とが関連付された訓練データを用いて学習され、距離情報の入力に対して診断結果としてベルト1aの状態を出力する第2学習モデルを備え、第2診断処理では、第2学習モデルを用いてベルト1aが診断される構成であり、搬送装置1の単位領域s1~s840毎に取得される距離情報の平均値に基づいてベルト1aが診断される構成である。
【0105】
このような構成によれば、診断装置30では、距離情報の平均値に基づいて学習モデルによりベルト1aが診断されるので、診断装置により該亀裂・孔が検出される検出精度を向上させることができる。
【0106】
本実施形態の診断装置30は、第2診断処理において、搬送装置1の単位領域s1~s840毎に設定される距離情報の階級に基づいてベルト1aが診断される構成である。
【0107】
このような構成によれば、診断装置30では、処理装置20により事前に設定されて送信される距離情報の階級に基づいて学習モデルによりベルト1aが診断されるので、処理装置20から診断装置30に送信されるデータ量を低減することができる。
【0108】
本実施形態の診断システム100は、搬送装置1が備えるベルト1aを診断するシステムであって、ベルト1aにレーザ光Li1を照射して該ベルト1aに反射されるレーザ光を検出する検出装置10と、レーザ光Li2の照射されるベルト1aの第1面と反対の第2面側(ベルト1aの内周側)に配置され、ベルト1aに比較してレーザ光Li2を反射する特性が高い反射部材(移動ローラ1b)と、検出装置10により検出される反射されたレーザ光Li2の輝度に関する輝度情報に基づいてベルト1aを診断する診断装置30と、備える構成である。
【0109】
このような構成によれば、ベルトに生じた亀裂・孔の開口部分において、レーザ光が支持部材により他のベルト部分に比較して強く反射されるので、診断装置により該亀裂・孔が検出される検出精度を向上させることができる。
【0110】
本実施形態の診断システム100が備える反射部材は、搬送装置1が備えるベルト1aを支持する支持部材である移動ローラ1bに配置されている構成である。
【0111】
このような構成によれば、ベルト1aを支持して移動させる移動ローラ1bを利用して反射部材を配置して、ベルト1aに生じた亀裂・孔の検出精度を向上させることができる。
【0112】
なお、反射部材は、ベルト1aを支持する支持部材である支持ローラ1cに配置される構成でもよいし、ベルト1aの内周側に配置されて当該ベルト1aを支持するローラとは異なる部材に配置される構成でもよい。これらの構成では、ベルト1aを支持する部材を利用して反射部材を配置することができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態の例を説明してきたが、本発明はこの実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0114】
1 搬送装置
1a ベルト
1b 移動ローラ
1c 支持ローラ
10 検出装置
20 処理装置
20a 取得部
20b 実行部
25 通信ネットワーク
30 診断装置
100 診断システム