(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000944
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】錠の動作記録をサーバに送信するための機器、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20221222BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G06F13/00 353A
E05B49/00 J
G06F13/00 351B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102060
(22)【出願日】2021-06-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】515035685
【氏名又は名称】株式会社Photosynth
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】丹野 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】伊東 悠
【テーマコード(参考)】
2E250
5B089
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250BB08
2E250BB09
2E250BB65
2E250DD02
2E250DD08
2E250FF23
2E250FF28
2E250FF36
5B089GA11
5B089GA23
5B089GA31
5B089GB01
5B089HA10
5B089HA11
5B089JA35
5B089JB15
5B089JB21
5B089KA05
5B089KB04
5B089KC30
5B089KE10
5B089KF05
5B089KG04
(57)【要約】
【課題】扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための方法において、当該動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信する際の遅延を抑制する。
【解決手段】機器100が、第1の装置と無線通信を行うための第1の接続を確立する(S301~S302)。機器100が、無線信号を発信し(S303)、第2の装置との間で無線通信を行うための第2の接続の要求を受信する(S304)。次いで、機器100は、第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させ(S305)、第2の装置から錠の動作要求を受信する(S306)。機器100は、動作要求に応じて錠を動作させるとともに、動作記録を生成し(S312~S313)、その後、当該動作記録の少なくとも一部を第1の装置を介してサーバに向けて送信する(S316)。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による前記錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための方法であって、
前記機器が、前記サーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立するステップと、
前記機器が、前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信するステップと、
前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記機器識別子により識別される前記機器が、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信するステップと、
前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させるステップと、
前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信するステップと、
前記機器が、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成するステップと、
前記機器が、前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記低減は、前記第2の接続の要求を受信した後であって、前記動作要求を受信した後に実行する。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記機器が、前記錠を動作させる前に、前記動作要求に含まれる鍵IDに基づいて、1又は複数の鍵IDとそれぞれに付与された動作権限との対応づけを参照して、前記鍵IDに動作権限が付与されているか否かを判定するステップをさらに含む。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記機器が、前記錠を動作させる前に、
前記動作要求に含まれる鍵IDに動作権限が付与されているか否かを判定する判定要求を前記第1の装置を介してIPネットワーク上の判定サーバに向けて送信するステップと、
前記第1の装置から、前記判定サーバにおける判定結果を受信するステップと
をさらに含む。
【請求項5】
請求項1から4のいずれに記載の方法であって、
前記機器が、前記錠の動作が完了したことの通知を前記第2の装置に送信するステップと、
前記機器が、前記通知を送信した後に、前記第2の接続を切断するステップと
をさらに含む。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、
前記機器が、前記動作要求を受信した後に、前記第2の接続を切断するステップと
をさらに含む。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の方法であって、
前記機器が、前記少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信した後に、データ送信間隔を増大させるステップをさらに含む。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の機器は、ICカードリーダー、生体認証端末及び携帯端末のいずれかである。
【請求項9】
扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による前記錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための方法を前記機器に実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記機器が、前記サーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立するステップと、
前記機器が、前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信するステップと、
前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記機器識別子により識別される前記機器が、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信するステップと、
前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させるステップと、
前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信するステップと、
前記機器が、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成するステップと、
前記機器が、前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信するステップと
を含む。
【請求項10】
扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器であって、
IPネットワーク上のサーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立し、
前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信して、前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信し、
前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させ、
前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信して、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成し、
前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠の動作記録をサーバに送信するための機器、方法及びそのためのプログラムに関し、より詳細には、扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための機器、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子錠と呼ばれるものの利用が増えている。電子的に解錠及び施錠が可能な錠であり、扉にバッテリー駆動の機器を取り付ける方式のものが提供されている。
【0003】
当該機器は、解錠のために、一例として、スマートフォン、ICカードリーダー等と無線通信をして、解錠権限の有無を判定する。スマートフォンの利用者、ICカードの所持者等が解錠権限を有することが判定された場合、当該機器は解錠に必要な動作を錠に対して実行する。また、当該機器は、施錠のために、一例として、ドアセンサ―と無線通信をして、扉の開閉状態を判定する。扉が閉状態であることが判定された場合、オートロック機能が有効であれば、当該機器は施錠に必要な動作を扉に対して実行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該機器には、このように繰り返される解錠及び施錠の記録が履歴として蓄積されていくところ、この履歴をインターネット等のIPネットワーク上のサーバで利用可能とし、さらなる利便性を提供することが考えられる。そのためには、当該機器で蓄積された錠の動作記録を遅延なくIPネットワークでアクセス可能にすることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための機器、方法及びそのためのプログラムにおいて、当該動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信する際の遅延を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による前記錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための方法であって、前記機器が、前記サーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立するステップと、前記機器が、前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信するステップと、前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記機器識別子により識別される前記機器が、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信するステップと、前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させるステップと、前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信するステップと、前記機器が、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成するステップと、前記機器が、前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信するステップとを含む。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記低減は、前記第2の接続の要求を受信した後であって、前記動作要求を受信した後に実行する。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の方法であって、前記機器が、前記錠を動作させる前に、前記動作要求に含まれる鍵IDに基づいて、1又は複数の鍵IDとそれぞれに付与された動作権限との対応づけを参照して、前記鍵IDに動作権限が付与されているか否かを判定するステップをさらに含む。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様の方法であって、前記機器が、前記錠を動作させる前に、前記動作要求に含まれる鍵IDに動作権限が付与されているか否かを判定する判定要求を前記第1の装置を介してIPネットワーク上の判定サーバに向けて送信するステップと、前記第1の装置から、前記判定サーバにおける判定結果を受信するステップとをさらに含む。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様の方法であって、前記機器が、前記錠の動作が完了したことの通知を前記第2の装置に送信するステップと、前記機器が、前記通知を送信した後に、前記第2の接続を切断するステップとをさらに含む。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第1から第4のいずれかの態様の方法であって、前記機器が、前記動作要求を受信した後に、前記第2の接続を切断するステップとをさらに含む。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様の方法であって、前記機器が、前記少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信した後に、データ送信間隔を増大させるステップをさらに含む。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第1から第7のいずれかの態様の方法であって、前記第2の機器は、ICカードリーダー、生体認証端末及び携帯端末のいずれかである。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器による前記錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信するための方法を前記機器に実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記機器が、前記サーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立するステップと、前記機器が、前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信するステップと、前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記機器識別子により識別される前記機器が、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信するステップと、前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させるステップと、前記機器が、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信するステップと、前記機器が、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成するステップと、前記機器が、前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信するステップとを含む。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、扉が有する錠を解錠又は施錠するためのバッテリー駆動の機器であって、IPネットワーク上のサーバと通信可能な第1の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第1の接続を確立し、前記機器の機器識別子を含む無線信号を発信して、前記無線信号を受信した前記第1の装置と異なる第2の装置から、前記第2の装置との間でBluetooth規格に準拠した無線通信を行うための第2の接続の要求を受信し、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第1の接続におけるデータ送信間隔を低減させ、前記第2の接続の要求を受信した後に、前記第2の装置から、前記扉が有する錠の動作要求を受信して、前記動作要求に応じて前記錠を動作させるとともに、前記動作の動作記録を生成し、前記動作記録の少なくとも一部を前記第1の装置を介して前記サーバに向けて送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、機器が第1の装置との接続を確立し、当該第1の装置のみと接続されている状態と比較して、第2の装置との接続が確立し、当該第1の装置に加えて当該第2の装置と同時に接続された状態において、当該第1の装置との間の接続におけるデータ送信間隔を低減させることで、機器による錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに対して速やかに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる機器の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる機器を示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態にかかる方法の流れの前半を示す図である。
【
図3B】本発明の一実施形態にかかる方法の流れの後半を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1には、本発明の一実施形態にかかる機器の概略を示す。機器100は、BLE等のBluetooth規格に準拠した無線通信によって、IPネットワーク上のサーバと接続されたゲートウェイ110と接続可能であり、機器100に対して動作要求を送信するICカードリーダー120と接続可能である。また、機器100は、サムターンを有する扉130の室内側に設けられ、機器100により扉130の解錠がなされる際には、ICカードリーダー120からの解錠要求に基づいて、機器100がサムターンのつまみを回転させる。また、機器100は、BLE等のBluetooth規格に準拠した無線通信によって、扉130の開状態又は閉状態を判定するドアセンサ140と接続可能である。ドアセンサ140は、検出した扉130の開状態又は閉状態を機器100に対して送信する。検出された状態が閉状態である場合、オートロック機能が有効であれば、一定時間経過後に扉130は施錠される。
【0020】
以下では、サムターンを有する扉130に対して後付けで設置し、サムターンのつまみを回転させることで解錠することを例に説明するが、必ずしもサムターンを有する扉に限定するものではない。たとえば、サムターンを取り外し、本願発明にかかる機器が有する部材がサムターンを代替する機構も考えられ、バッテリー駆動の機器によって扉が有する錠の解錠を行うことができれば、かかる扉又は錠に本発明を適用可能である。また、サムターンを有する扉120に対して後付けで設置することを例に説明するが、必ずしも後付けで設置するものに限定せず、扉に予め取り付けられているものであってもよい。本願発明にかかる機器は、バッテリー駆動であることから、消費電力を抑制しつつ、所要の動作を実現することが求められる。
【0021】
図2に示すように、機器100は、扉130に設置される筐体200と、扉130が有する錠を解錠するための駆動機構201と、通信インターフェースなどの通信部202と、プロセッサ、CPU等の処理部203と、メモリ等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部204とを備える。通信部202、処理部203及び記憶部204の少なくとも一部をマイコンにより実装してもよい。処理部203で、以下で説明する各処理を行うための記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって、機器100は他の装置と通信し、また錠の解錠を行う。当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。
【0022】
図3A及び3Bに、本実施形態にかかる機器による錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに送信する方法の流れを示す。まず、機器100は、機器100を識別するための機器識別子を含む無線信号を発信する(S301)。機器識別子は、たとえば、発信元のデバイスアドレスとすることができる。当該無線信号は、BLEにおいて「アドバタイズメント・パケット」という。アドバタイズメント・パケットは、周囲にある不特定の電子機器に対してブロードキャストされる。
【0023】
当該無線信号を受信したゲートウェイ110は、当該無線信号に含まれる機器識別子により識別される機器100に対して接続要求を送信する(S302)。当該接続要求には、BLEにおいて「コネクションインターバル」と呼ばれる接続後のデータ送信間隔の設定値が含まれており、これに従った間隔で機器100とゲートウェイ110との間でデータ送信のための無線通信が行われる。機器100は、ゲートウェイ110からの接続要求を受信すると、機器100とゲートウェイ110との接続(以下「第1の接続」と呼ぶことがある。)を確立する。これにより、機器100は、ゲートウェイ110を介してIPネットワーク上のサーバにデータを送信することが可能となる。
【0024】
ここで、ゲートウェイ110は、機器100の電力消費を抑えるために、当該間隔を大きく設定する。BLE規格において、当該間隔は7.5m秒から4秒の間で設定することができる。当該間隔が大きい程、一定時間内に送受信可能なデータ量が小さくなり、通信速度が遅くなる。
【0025】
機器100は、ゲートウェイ110との接続確立後もアドバタイズメント・パケットをブロードキャストしており(S303)、ICカードを翳されたICカードリーダー120は、アドバタイズメント・パケットを受信し、当該アドバタイズメント・パケットに含まれる機器識別子により識別される機器100に対して接続要求を送信する(S304)。機器100は、ICカードリーダー120からの接続要求を受信すると、ICカードリーダー120との接続(以下「第2の接続」と呼ぶこともある。)を確立する。機器100とICカードリーダー120との接続が確立されると、機器100は、ゲートウェイ110に加えてICカードリーダー120と同時に接続している状態になる。
【0026】
機器100は、ICカードリーダー120との接続が確立された後にゲートウェイ110との間におけるデータ送信間隔を低減させる(S305)。機器100とゲートウェイ110との間におけるデータ送信間隔を低減させることで一定時間内に送受信可能なデータ量が多くなり、機器100の消費電力は大きくなるものの、機器100とゲートウェイ110との間の接続における通信速度が向上する。
【0027】
図3Aの例では、機器100と、ICカードリーダー120との接続が確立された後に当該間隔を低減させることとしたが、ICカードリーダー120からの接続要求を受信した後、又は後述する解錠要求、施錠要求等の動作要求を受信した後に低減させてもよい。
【0028】
次いで、ICカードリーダー120は、機器100に対して解錠要求を送信する(S306)。ICカードリーダー120から送信された解錠要求は、ICカードから読み取られた当該ICカードを識別するためのICカード識別子を含む。
【0029】
解錠要求は、暗号化されていてもよく、一例として、機器100及びICカードリーダー120がそれぞれ保持する共通鍵によって暗号化されていてもよい。当該共通鍵により解錠要求が復号化されて、当該解錠要求に含まれる照合データが、機器100が予め保持する照合データと一致することによって、機器100は、当該解錠要求が正当な送信元から送信されたものであることを認証することができる。
【0030】
機器100は、必要に応じて解錠要求の送信元の認証を行った後に、ICカード識別子を含む判定要求をゲートウェイ110に送信する(S307)。機器100から判定要求を受信したゲートウェイ110は、当該判定要求を、IPネットワーク上のサーバに対して送信する(S308)。
【0031】
判定要求は、ゲートウェイ110を介してIPネットワーク上の判定サーバに向けて送信され、判定要求を受信した判定サーバは、解錠要求に含まれるICカード識別子に動作権限が付与されているか否かを判定する(S309)。機器100からゲートウェイ110に対するデータの送信は、Bluetooth規格に準拠したものであり、ゲートウェイ110から判定サーバに対するデータの送信はIPプロトコルに準拠したものであるから、データ形式は異なるものの、ともにICカード識別子を含むデータを送信するものであり、上記のように区別せずに判定要求と呼ぶことがある。
【0032】
機器100は、解錠要求の送信元の認証に失敗した場合は、消費電力を抑制する観点から、ICカードリーダー120との接続を切断するための切断要求を送信してもよい。また、同様の観点から、ICカードリーダー120との間の通信におけるデータ送信間隔を増大させたりしてもよい。また、同様に、機器100とICカードリーダー120との接続の確立後、一定時間経過してもICカードリーダー120からの解錠要求がない場合にも、ICカードリーダー120との接続を切断するための切断要求を送信してもよい。
【0033】
判定サーバには、1又は複数の鍵IDとそれぞれに付与された動作権限との対応づけが記憶されており、当該サーバは、判定要求に含まれる鍵IDに基づいて当該対応づけを参照し、動作権限が付与されているか否かを判定する。ここで、ICカード識別子は鍵IDの一例であるが、機器100がICカードリーダー120ではなく、異なるデバイスと接続する際には異なる識別子が鍵IDに該当する。
図3においては、判定サーバは、ゲートウェイ110から受信した判定要求に含まれるICカード識別子に基づいて当該対応付けを参照して、当該ICカード識別子に対して付与されている動作権限を取得する。
【0034】
動作権限は、さらに機器識別子及び有効期間を含んでもよい。機器識別子を含む場合、判定サーバには、1又は複数の組の鍵ID及び機器識別子とそれぞれに付与された動作権限との対応づけが記憶されており、また、判定要求には、鍵IDに加え、機器識別子が含まれる。判定サーバは、判定要求に含まれる鍵ID及び機器識別子に基づいて当該対応づけを参照し、動作権限が付与されているか否かを判定することができる。
【0035】
判定サーバは、受信した判定要求に含まれるICカード識別子に対して動作権限があると判定した場合は、動作権限の判定結果をゲートウェイ110に対して送信する(S310)。当該判定結果を受信したゲートウェイ110は、機器100に対して動作権限の判定結果を送信し(S311)、肯定的な判定結果を受信した機器100は、扉130の解錠動作を行う(S312)。なお、上述した判定要求と同様に、サーバからゲートウェイ110に対するデータ送信とゲートウェイ110から機器100に対するデータ送信はデータ形式が異なるが、区別せずに判定結果と呼ぶことがある。
【0036】
扉130の解錠は、この例において、動作権限有の判定結果を機器100の通信部202が受信し、処理部203が機器100の駆動機構201に対し解錠信号を送信することでモーターを回転させ、サムターンのつまみを回転させることにより行われる。機器100は、扉130の解錠が行われると、たとえば、回転角度センサにより扉130の解錠を検知し、動作記録を生成する(S313)。機器100は、動作記録の生成後、ICカードリーダー120に対して動作が完了したことの通知を送信してもよい(S314)。
【0037】
動作記録には、動作の発生時刻及びICカード識別子等の鍵IDが含まれる。ここまで、ICカードリーダー120から機器100に解錠要求がなされることを例に説明してきたが、施錠要求が送信されることも可能である。また、ICカードリーダー120としては解錠又は施錠のいずれの動作を要求するのかを指定せずに、機器100にて動作種類を判定して、それに応じた動作を実行することも考えられる。したがって、動作記録には、動作の種類がさらに含まれてもよい。
【0038】
そして、機器100は、当該通知を送信した後に、ICカードリーダー120との第2の接続を切断するための切断要求をICカードリーダー120に対して送信してもよい(S315)。当該通知をしない場合には、解錠要求を受信した後に当該接続の切断要求を送信してしまってもよい。
【0039】
機器100は、生成した動作記録の少なくとも一部をゲートウェイ110に対して送信する(S316)。そして、ゲートウェイ110は、当該動作記録の少なくとも一部をIPネットワーク上のサーバに対して送信する(S317)。サーバは、受信したデータをデータベースに記憶する(S318)。
図3の例では、動作記録の送信を機器100とICカードリーダー120との接続が切断された後に行っているが、動作記録が生成された後に行ってもよい。また、
図3においては、動作権限の有無を判定するサーバと動作記録を蓄積するサーバとを区別せずに図示しているが、必ずしも同一のサーバである必要はない。
【0040】
機器100は、動作記録の少なくとも一部をゲートウェイ110を介して当該サーバに向けて送信した後に、ゲートウェイ110との間の接続におけるデータ送信間隔を増大させてもよい(S319)。
【0041】
以上のように、機器100は、ゲートウェイ110との接続を確立し、第1の装置のみと接続されている状態と比較して、ICカードリーダー120との接続が確立し、当該第1の装置に加えて第2の装置と同時に接続された状態において、第1の装置との間の接続におけるデータ送信間隔を低減させることで、機器100による解錠の動作記録をIPネットワーク上のサーバに対して速やかに送信することができる。
【0042】
なお、上述の説明では、ICカードリーダー120がユーザーが所持するICカードからICカード識別子を読み取り、これを鍵IDとして機器100に送信するものとして説明したが、顔認証、指紋認証等によってユーザーを認証する生体認証端末を第2の装置として用いてもよい。この場合、ユーザーの顔、指等の認証部位を生体認証端末が撮像し、当該認証部位を表すデータを鍵IDとして機器100に送信することができる。
【0043】
また、第2の装置として、スマートフォン、タブレット等の携帯端末を用いてもよい。携帯端末にインストールされたアプリケーションを動作させ、当該アプリケーションが保持している鍵IDを機器100に送信することができる。当該鍵IDは、たとえば、機器100及びゲートウェイ110を提供する事業者が管理するIPネットワーク上のサーバと通信して取得するようにしてもよい。
【0044】
また、上述の説明においては、動作要求に含まれる鍵IDに動作権限が付与されているか否かの判定を判定サーバにおいて行っているが、機器100の記憶部204に1又は複数の鍵IDとそれぞれに付与された動作権限との対応づけを記憶し、当該判定を機器100において行ってもよい。この場合は、
図3Aにおける機器100からゲートウェイ110に対して行う動作要求の送信(S307)からゲートウェイ110から機器100に対して行う判定結果の送信(S311)が行われない。
【0045】
また、動作要求に含まれる鍵IDに動作権限が付与されているか否かの判定は、ICカードリーダーの記憶部(図示せず)に1又は複数の鍵IDとそれぞれに付与された動作権限との対応づけを記憶し、当該判定をICカードリーダーにおいて行ってもよい。この場合、判定結果の送信は、ゲートウェイ110からではなく、ICカードリーダー120から機器100に対して行われる。
【0046】
また、上述の実施形態において、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0047】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0048】
100 機器
110 ゲートウェイ
120 ICカードリーダー
130 扉
140 ドアセンサ
200 筐体
201 駆動機構
202 通信部
203 処理部
204 記憶部