(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094405
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】車両用浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20230628BHJP
B60N 3/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A61L2/10
B60N3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209867
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】沖 大善
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
【テーマコード(参考)】
3B088
4C058
【Fターム(参考)】
3B088EA03
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK13
4C058KK22
4C058KK28
4C058KK42
(57)【要約】
【課題】殺菌処理を実施しつつも、見映えが良くなる車両用浄化装置を提供すること。
【解決手段】車両用浄化装置10は、紫外線光源30と、紫外線光源30から発生する紫外線が透過可能な透過部材として把持部材20とを備えている。把持部材20は、紫外線光源30を囲む囲繞面20b、及び使用者が把持する把持面20aを有している。囲繞面20bは、把持部材20の内部に設けられている。囲繞面20bは、把持部材20の外から紫外線光源30の視認を抑制する透過抑制部である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線光源と、
前記紫外線光源を囲む囲繞面、及び使用者が把持する把持面を有しており、前記紫外線光源から発生する紫外線が透過可能な透過部材と、
前記透過部材の内部に設けられており、前記透過部材の外からの前記紫外線光源の視認を抑制する透過抑制部と、を備える車両用浄化装置。
【請求項2】
前記囲繞面は、マット面であり、前記紫外線光源が収容される空間を区画しており、
前記透過抑制部は、前記囲繞面である
請求項1に記載の車両用浄化装置。
【請求項3】
前記囲繞面に沿って前記透過部材の内部に設けられる筒状の基材を備え、
前記基材は、前記紫外線光源を収容する空間を区画しており、且つ可視光線を透過しない有色であり、
前記透過抑制部は、前記基材であり、
前記基材は、当該基材を厚さ方向に貫通した孔を有しており、
前記紫外線光源から発生する紫外線を前記把持面に向けて導くために前記透過部材の内部に設けられており、前記孔を少なくとも含む導光経路を備える
請求項1に記載の車両用浄化装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は、前記孔の軸線が延びる方向において前記孔と重なっていない
請求項3に記載の車両用浄化装置。
【請求項5】
前記基材における前記囲繞面に対向する対向面は、鏡面である
請求項3又は請求項4に記載の車両用浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されたつり革が知られている。
上記のつり革は、紫外線を発生させる発光素子であるLEDと、紫外線が照射される持ち手とを備えている。持ち手は、導光体を備えている。導光体は、紫外線を透過可能な透過部材である。導光体は、例えば石英ガラス製である。導光体は、つり革の使用者の手に接触する接触面の一部を有している。導光体は、LEDを収容した凹部を有している。LEDから発生した紫外線は、導光体に入射した後、接触面に向けて導かれる。よって、接触面が紫外線により殺菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者が導光体を見たとき、使用者はLEDを視認できる。使用者からLEDが視認可能であると、つり革の見映えが良くない。この懸念は、つり革に限らず、紫外線殺菌を必要とする接触面を有する透過部材を備える物品全般についても同じである。このため、接触面の殺菌処理を実施しつつも、製品の見映えを良くしたいとの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両用浄化装置は、紫外線光源と、前記紫外線光源を囲む囲繞面、及び使用者が把持する把持面を有しており、前記紫外線光源から発生する紫外線が透過可能な透過部材と、前記透過部材の内部に設けられており、前記透過部材の外からの前記紫外線光源の視認を抑制する透過抑制部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】車両用浄化装置の第1実施形態における一部を断面にした斜視図である。
【
図2】第1実施形態の設置箇所で切断したときの断面図である。
【
図3】車両用浄化装置の第2実施形態における一部を断面にした斜視図である。
【
図4】第2実施形態の設置箇所で切断したときの断面図である。
【
図5】
図3における1つの設置箇所の近傍を拡大した図である。
【
図6】車両用浄化装置の変更例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、車両用浄化装置を具体化した第1実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。なお、本実施形態の車両用浄化装置は、車両の座席に取り付けられたアシストグリップである。
【0008】
<車両用浄化装置の構成>
図1に示すように、車両用浄化装置10は、車両の座席100に固定されている。座席100は、例えば助手席又は運転席である。車両用浄化装置10は、中空筒状の把持部材20と、複数の紫外線光源30とを備えている。紫外線光源30は、紫外線を発生させる深紫外線LEDである。なお、車両用浄化装置10は、座席100に固定される図示しない固定部を有している。当該固定部は、把持部材20を座席100に取り付ける機能を有している。当該固定部の構成は種々考えられるため、あえて図示していない。
【0009】
把持部材20は、座席100の後方に配置されている。把持部材20は、車両の後部座席に搭乗した使用者によって把持される。把持部材20は、略U形である。
複数の紫外線光源30は、把持部材20の内部に収容されている。把持部材20は、第1端部E1と、第2端部E2とを有している。把持部材20の軸線は、把持部材20の形状に沿って第1端部E1と第2端部E2の間を延びる。把持部材20の軸線が延びる方向を、把持部材20の延設方向Aとする。複数の紫外線光源30は、延設方向Aにおいて所定の間隔をおいて配置されている。把持部材20は、紫外線光源30の設置箇所Pを複数有している。1つの設置箇所Pに対して1つの紫外線光源30が配置されている。
【0010】
図2に示すように、把持部材20は、第1部材21と第2部材22とを連結して中空筒状に形成されている。第1部材21及び第2部材22の各々は、半円筒状である。把持部材20は、第1部材21と第2部材22とを連結する連結部23を有している。
図2の二点鎖線で示すように、連結部23は、例えばスナップフィット構造となっている。
【0011】
把持部材20は、3つ以上の部材を連結して中空筒状に形成されていてもよい。この場合、連結部23は、把持部材20を形成する部材を連結することができれば適宜変更してもよい。連結部23は、例えば、接着層が挙げられる。なお、
図2は、設置箇所Pにおいて、延設方向Aに直交する方向に切断したときの断面図である。
【0012】
図1に示すように、把持部材20は、把持面20aと、囲繞面20bと、を有している。把持面20aは、使用者が把持する面である。囲繞面20bは、把持部材20の内部に設けられている。囲繞面20bは、紫外線光源30を囲む面である。把持部材20の材料は、例えばポリカーボネートやアクリル樹脂が挙げられる。把持部材20は、図示できないが透明である。把持部材20は、無色透明である。把持部材20は、透過部材の一例である。把持部材20は、紫外線光源30から発生する紫外線が透過可能である。なお、把持部材20は、有色透明であってもよい。
【0013】
以下、把持面20a及び囲繞面20bの各々の構成について説明する。
<把持面及び囲繞面の各々の構成>
図1に示すように、把持面20aは、把持部材20の外に露出している。把持面20aは、把持部材20の外表面である。把持面20aは、延設方向Aに延びる円筒面である。
【0014】
図1のドット部分に示すように、把持面20aは意匠面である。把持面20aの意匠面は、シボ加工によって形成されている。把持面20aは、微小な凹凸状である。
図1のドット部分によって把持面20aの意匠面を表現している。なお、
図1では、ドット部分を把持面20aの一部分に示しているが、意匠面は、把持面20aの全域に設けられている。
【0015】
把持面20aは、マット面である。マット面とは、光沢が少ない面である。把持面20aは、当該把持面20aに入射する光が乱反射しやすい面である。このため、把持面20aの光沢が抑えられる。光沢の抑えられた把持面20aは、車両用浄化装置10に高級感を付加する。なお、シボ加工は、把持面20aに施されていなくてもよい。この場合、把持面20aの意匠面は、例えば、エンブレム等の意匠を設けた意匠面としてもよい。
【0016】
囲繞面20bは、把持部材20の厚さ方向において把持面20aとは反対側に位置している。囲繞面20bは、延設方向Aに延びる円筒面である。把持部材20の軸線を中心として描いた円が延びる方向を、把持部材20の周方向Bとする。囲繞面20bは、周方向Bにおいて紫外線光源30の全周を覆っている。囲繞面20bは、把持部材20において、全ての紫外線光源30が収容される空間Sを区画している。
【0017】
囲繞面20bには、梨地加工やブラスト加工が施されている。囲繞面20bは、マット面である。囲繞面20bは、当該囲繞面20bに入射する光が乱反射しやすい面である。本実施形態において、囲繞面20bは、把持部材20を外部から見たときに把持部材20の内部に配置された紫外線光源30が視認しにくくなる程度の表面粗さを有している。
【0018】
把持部材20の透明の具合について説明する。把持部材20の透明の具合を示すにあたり、光学特性を示すヘーズ値が用いられる。ヘーズ値は、曇り具合、及び光の拡散度合いを示す数値である。ヘーズ値は、例えば既存のヘーズメータを使用して測定することができる。ヘーズ値は、JISK7136に規定される方法により測定することができる。ヘーズ値は、把持部材20の拡散透過率を、把持部材20の全光線透過率で除した数値に100を乗じた数値である。
【0019】
把持部材20の拡散透過率は、把持面20a及び囲繞面20bの各々の表面粗さにより変更される。把持面20aの算術平均粗さの数値及び囲繞面20bの算術平均粗さの数値が大きいほど、把持面20aに到達する紫外線の強度が低下する。把持面20aに到達する紫外線の強度の低下は、把持面20aの殺菌力の低下を意味する。このため、把持部材20のヘーズ値は、把持面20aの殺菌力を十分に保つことができる把持面20a及び囲繞面20bの各々の算術平均粗さの数値を考慮して設定される。
【0020】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
車両に使用者が搭乗していないとき、全ての紫外線光源30から紫外線が発生している。全ての紫外線光源30から発生した紫外線は、囲繞面20bに入射する。囲繞面20bに入射した紫外線は、囲繞面20bの微小な凹凸により把持面20aに向けて複数の方向に拡散する。そして、囲繞面20bで拡散した紫外線は、把持部材20を透過する。把持部材20を透過した紫外線は、把持面20aに到達する。これにより、把持面20aが紫外線によって殺菌される。
【0021】
また、把持面20a及び囲繞面20bの各々がマット面であるため、把持部材20を外から見たとき、紫外線光源30が視認しにくくなる。これは、把持面20a及び囲繞面20bにより把持部材20がすりガラスのように機能するためである。なお、把持面20aがマット面でない場合においても、囲繞面20bにより把持部材20がすりガラスのように機能する。したがって、囲繞面20bは、把持部材20の外からの紫外線光源30の視認を抑制する透過抑制部である。
【0022】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)把持部材20の外から把持面20aに入射した可視光線は、マット面である把持面20a、及びマット面である囲繞面20bにより把持部材20を透過しにくくなる。すなわち、把持部材20がすりガラスのように機能するため、把持部材20の外から紫外線光源30が視認しにくくなる。よって、把持面20aの殺菌処理を実施しつつも、車両用浄化装置10の見映えが良くなる。
【0023】
(1-2)紫外線光源30が例えば車両の天井部分に配置される従来の構成が知られている。従来の構成を採用した場合、把持面20aは、紫外線光源30から発生する紫外線が到達しない死角を有する。
【0024】
把持部材20は透明である。また、全ての紫外線光源30は、把持部材20の内部に収容されている。このため、紫外線光源30から発生した紫外線は、把持部材20を透過して把持面20aの全周に行きわたる。よって、把持面20aにおいて殺菌できない死角が存在しない。したがって、把持部材20は、従来の構成と比較して衛生状態を改善できる。
【0025】
(1-3)囲繞面20bがマット面であるため、囲繞面20bに入射した紫外線は、複数の方向に拡散する。このため、紫外線は、把持面20aの全周に行きわたりやすくなる。よって、把持面20aにおける殺菌可能な範囲は好適に広がる。
【0026】
[第2実施形態]
以下、車両用浄化装置を具体化した第2実施形態を
図3~
図5にしたがって説明する。なお、以下、第1実施形態との主な相違点について説明し、第1実施形態と同じ構成の詳細な説明は割愛する。
【0027】
<車両用浄化装置の構成>
図3に示すように、車両用浄化装置10は、基材40を備えている。基材40は、囲繞面20bに沿って把持部材20の内部に設けられている。基材40は、周方向Bにおいて囲繞面20bの全周に設けられている。基材40は、延設方向Aにおいて囲繞面20bの全体に設けられている。基材40は、中空筒状である。基材40は、把持部材20と同じ略U形である。基材40は、全ての紫外線光源30を収容する空間Sを区画している。なお、基材40は、図示できないが可視光線を透過しない有色の部材である。基材40の軸線は、基材40の形状に沿って基材40の両端部の間を延びる。基材40の軸線は、把持部材20の軸線と一致する。
【0028】
図4に示すように、基材40は、第1部材41と第2部材42とを連結して中空筒状に形成されている。第1部材41及び第2部材42の各々は、半円筒状である。基材40は、第1部材41と第2部材42とを連結する連結部43を有している。
図4の二点鎖線で示すように、連結部43は、例えばスナップフィット構造となっている。
【0029】
基材40は、3つ以上の部材を連結して中空筒状に形成されていてもよい。この場合、連結部43は、基材40を形成する部材を連結することができれば適宜変更してもよい。連結部43は、例えば、接着層が挙げられる。なお、
図4は、設置箇所Pにおいて、延設方向Aに直交する方向に切断したときの断面図である。
【0030】
基材40は、囲繞面20bに対向する対向面40aと、空間Sを区画する内面40bとを有している。対向面40aは、延設方向Aに延びる円筒面である。対向面40aは鏡面である。対向面40aの鏡面は、鏡面加工によって形成されている。内面40bは、基材40の厚さ方向において対向面40aとは反対側に位置している。内面40bは、延設方向Aに延びる円筒面である。
【0031】
基材40は、当該基材40を貫通した複数の孔44を有している。複数の孔44は、複数の設置箇所Pの各々に設けられている。複数の孔44は、周方向Bにおいて所定の間隔をおいて配置されている。孔44の軸線をLとする。なお、孔44の軸線は、孔44の中心点を通過し、且つ基材40の厚さ方向に延びる仮想線である。ここで、把持部材20の軸線及び基材40の軸線に直交する方向を把持部材20の径方向Cとする。孔44の軸線Lの延びる方向は、径方向Cに一致している。
【0032】
車両用浄化装置10は、複数の導光用部品50を備えている。複数の導光用部品50の各々は、リング状である。導光用部品50は、1つの設置箇所Pに対して1つ配置されている。導光用部品50は、基材40の内面40bの全周に亘って配置されている。導光用部品50は、設置箇所Pの全ての孔44を覆う。
【0033】
紫外線光源30は、1つの設置箇所Pに複数配置されている。複数の紫外線光源30は、導光用部品50に固定されている。複数の紫外線光源30の各々は、孔44に対して周方向Bにずれた位置で隣り合うように配置されている。複数の紫外線光源30の各々は、周方向Bにおいて、2つの孔44の間に配置されている。複数の紫外線光源30の各々は、当該紫外線光源30を周方向Bで挟み込む2つの孔44のうち、周方向Bの一方の方向に隣り合う孔44に近い。なお、紫外線光源30は、当該紫外線光源30を周方向Bで挟み込む2つの孔44の各々の中間に配置されてもよい。
【0034】
複数の紫外線光源30の各々は、径方向Cにおいて孔44と重なっていない。換言すると、紫外線光源30は、孔44の軸線Lが延びる方向において孔44と重なっていない。なお、孔44の大きさは、紫外線光源30よりも小さい。
【0035】
導光用部品50は、紫外線光源30から発生する紫外線の進む方向を変えるプリズムである。導光用部品50は、透明な部材である。導光用部品50の材料は、例えば、ガラスや水晶が挙げられる。導光用部品50は、紫外線光源30から発生する紫外線を隣り合う孔44に導く。孔44及び導光用部品50は、導光経路の一例である。導光経路は、少なくとも孔44を含んでいる。導光経路は、把持部材20の内部に設けられている。導光経路は、紫外線光源30から発生する紫外線を把持面20aに向けて導く経路である。なお、導光用部品50は、複数の設置箇所Pの各々において、基材40の内面40bの全周に設けられていなくてもよい。例えば、導光用部品50は、全ての孔44を覆うように周方向Bに分割されていてもよい。
【0036】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
図5に示すように、紫外線光源30から発生した紫外線は、導光用部品50及び孔44を通じて把持部材20に入射する。
図5の矢印で示すように、把持部材20に入射した紫外線は、把持面20aを透過しつつ、把持面20aで反射する。把持面20aで反射した紫外線は、再び対向面40aで反射することにより把持部材20に入射する。対向面40aと把持面20aとの間において紫外線の反射が繰り返されることにより、把持部材20の把持面20aの全周に紫外線が行きわたる。よって、把持面20aの全周が殺菌される。
【0037】
把持部材20及び基材40の各々における製造誤差により、囲繞面20bと対向面40aとの間に隙間Gが形成されうる。隙間Gが形成されると、囲繞面20bと対向面40aとの距離が径方向Cに広がる。しかし、囲繞面20bが鏡面である。このため、囲繞面20bが鏡面でない場合と比べると、対向面40aで反射した紫外線は、囲繞面20bにおいて反射しやすくなる。よって、囲繞面20bが鏡面でない場合と比べて、対向面40aに入射する紫外線の強さの低下が抑制される。よって、隙間Gが形成されたとしても、把持部材20の全周に紫外線が行きわたりやすくなる。
【0038】
また、基材40は、有色である。このため、把持部材20を外から見たとき、基材40は、紫外線光源30を視認しにくくする。したがって、基材40は、把持部材20の外からの紫外線光源30の視認を抑制する透過抑制部である。なお、
図5に記載の隙間Gは、誇張して記載している。隙間Gは、意図的に設けられた構成ではなく、あくまで把持部材20及び基材40の各々における製造誤差により形成されるものである。このため、
図4には隙間Gの存在をあえて図示していない。
【0039】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(2-1)有色の基材40は、把持部材20の外から紫外線光源30を視認しにくくする。また、紫外線光源30から発生した紫外線は、孔44及び導光用部品50によって把持部材20に入射する。よって、把持面20aの殺菌処理を実施しつつも、車両用浄化装置10の見映えが良くなる。
【0040】
(2-2)紫外線光源30は、孔44の軸線Lが延びる方向において孔44と重なっていない。このため、把持部材20の外から基材40の孔44を見たとしても、使用者は、孔44から紫外線光源30を視認しにくい。よって、車両用浄化装置10は、見映えがより良くなる。
【0041】
(2-3)基材40の対向面40aが鏡面である。このため、把持面20aから対向面40aに向けて反射した紫外線は、対向面40aによって再び把持面20aに向けて反射しやすくなる。よって、基材40の対向面40aは、把持部材20の全周に紫外線を行きわたらせやすくする。したがって、把持面20aの全周を殺菌処理しやすい。
【0042】
(2-4)囲繞面20bが鏡面である。このため、隙間Gが形成されても、対向面40aと囲繞面20bとの間で紫外線の反射を促すことができる。よって、把持部材20の全周に紫外線をより行きわたらせやすくなる。したがって、把持面20aの全周を殺菌処理しやすい。
【0043】
(2-5)基材40は、把持部材20と別体である。そして、基材40は有色である。このため、把持面20aに設ける意匠のデザインに応じて基材40の色を適宜変更することにより、意匠のデザインの自由度を向上させることができる。
【0044】
(2-6)囲繞面20bと対向面40aとが密着している方が、紫外線光源30から把持面20aまでの距離を短くできるため、紫外線は、把持部材20の全周に行きわたりやすくなる。しかし、囲繞面20bと対向面40aとが密着させるためには、把持部材20及び基材40の各々における製造誤差を少なくしたり、囲繞面20bと対向面40aとを密着させる工程を取り入れたりする必要がある。このため、囲繞面20bと対向面40aとが密着させるための手間がかかる。このため、車両用浄化装置10の製造コストを増加させる虞がある。その点、本実施形態では、隙間Gが形成されることを前提として、囲繞面20bは鏡面とされている。よって、囲繞面20bを鏡面にする加工の方が、上述した手間よりも費用対効果が高い。したがって、車両用浄化装置10の製造コストの増加を抑制できる。
【0045】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・第2実施形態において、孔44及び導光用部品50は、導光経路の一例であったが、当該導光経路は、以下のように変更してもよい。
図6に示すように、把持部材20は、基材40の孔44に進入した突出部24を有している。突出部24は、把持部材20の一部である。突出部24の先端は、基材40の内面40bよりも当該基材40の内側に位置している。突出部24は、基材40をその厚さ方向に貫通している。紫外線光源30は、突出部24の先端に固定されている。なお、突出部24の先端は、孔44の内部に位置していてもよい。すなわち、突出部24は、基材40をその厚さ方向に貫通していなくてもよい。突出部24の先端の位置は、紫外線光源30が固定可能であれば適宜変更してもよい。
【0047】
このように変更された場合、紫外線光源30から発生した紫外線は、突出部24を透過する。突出部24を透過した紫外線は、把持面20aを透過しつつ、把持面20aで反射する。把持面20aで反射した紫外線は、再び対向面40aで反射することにより把持部材20に入射する。対向面40aと把持面20aとの間において紫外線の反射が繰り返されることにより、紫外線が、把持部材20の把持面20aの全周に行きわたる。よって、把持面20aの全周が殺菌される。したがって、突出部24及び孔44は、導光経路である。なお、導光経路は、孔44のみで構成されてもよい。
【0048】
・第2実施形態において、囲繞面20bと対向面40aとは、密着していてもよい。このように変更する場合、囲繞面20bは、例えば第1実施形態と同様にマット面であってもよいし、表面加工を施さない面であってもよい。
【0049】
・第2実施形態において、孔44と紫外線光源30は、孔44の軸線Lが延びる方向に重なっていてもよい。例えば、複数の設置箇所Pの各々において、全ての孔44の軸線L上に、1つの紫外線光源30が配置されるように変更してもよい。なお、孔44の数、及び紫外線光源30の数は、一致していなくてもよく、適宜変更してもよい。
【0050】
・第1実施形態において、1つの設置箇所Pに対して1つの紫外線光源30が配置されていたが、1つの設置箇所Pに対して複数の紫外線光源30を配置してもよい。
・上記各実施形態において、車両用浄化装置10は、可視光線を発生させる間接照明用の光源を把持部材20の内部に備えていてもよい。例えば、紫外線光源30から紫外線が発生しているのに合わせて、車両用浄化装置10は、間接照明用の光源から可視光線を発生させる。このように変更することにより、紫外線光源30が紫外線を発生させている旨を車両用浄化装置10の外に報知することができる。よって、紫外線光源30が紫外線を発生させているとき、使用者が車両に近づくことを抑制できる。
【0051】
また、把持部材20の全周が間接照明用の光源により光る。特に夜間において、把持面20aの光り方が強調される。これにより、把持面20aに設けた意匠のデザインの見映えが強調される。さらに、第1実施形態の囲繞面20bや、第2実施形態の基材40は、把持部材20の外からの間接照明用の光源の視認を抑制する。したがって、車両用浄化装置10は、見映えを良くしつつ、間接照明用の光源による上記の効果を奏することができる。
【0052】
・紫外線光源30は、深紫外線LEDであったが、例えば、深紫外線LEDに光ファイバーを取り付けた装置を、紫外線光源30としてもよい。
このような変更を第1実施形態に適用した場合、例えば、紫外線光源30に含まれる光ファイバーは、把持部材20の内部を延設方向Aに延びるように配策される。
【0053】
このような変更を第2実施形態に適用した場合、例えば、紫外線光源30に含まれる光ファイバーは、周方向Bにおいて所定の間隔をおいて配置される。そして、複数の光ファイバーは、導光用部品50に固定される。なお、本変更例を上述した
図6に記載の変更例に適用してもよい。
【0054】
・上記各実施形態において、把持部材20は、複数の設置箇所Pを有していたが、設置箇所Pは、1箇所のみでもよい。ただし、設置箇所Pは、殺菌を必要とする箇所を予め確認して設定されるとよい。
【0055】
・上記各実施形態において、車両用浄化装置10は、例えば、車両の天井に取り付けられたアシストグリップに適用してもよい。この場合、把持部材20は、後部座席に搭乗した使用者によって把持される部分であってもよいし、座席100に搭乗した使用者によって把持される部分であってもよい。なお、第2実施形態の車両用浄化装置10を車両の天井に取り付けられたアシストグリップに適用した場合、基材40の孔44の位置は、車両の天井側を向くように変更するとよい。これにより、基材40の孔44が使用者から視認しにくくなるため、車両用浄化装置10の見映えが良くなる。
【0056】
・上記各実施形態において、車両用浄化装置10は、使用者が把持する把持面20aを殺菌したいとの要望がある装置に対して適用するのであれば、適用先はアシストグリップに限らない。車両用浄化装置10は、例えば、車両に搭載されるパーキングブレーキ用のハンドルレバーに適用してもよい。車両用浄化装置10の適用先に応じて、把持部材20の形状は変更してもよい。例えば、把持部材20は、紫外線光源30を囲む囲繞面を有していれば、中空筒状に限らず、形状を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…車両用浄化装置
20…透過部材としての把持部材
20a…把持面
20b…透過抑制部としての囲繞面
30…紫外線光源
40…透過抑制部としての基材
40a…対向面
44…孔
50…導光用部品
L…孔の軸線
S…空間