(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094415
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】コンクリート打設工法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20230628BHJP
E04G 21/10 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
E04G21/02 104
E04G21/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209882
(22)【出願日】2021-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】595071416
【氏名又は名称】アイエスティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085235
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 兼行
(72)【発明者】
【氏名】近森 精志
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172EA03
2E172FA01
2E172HA00
(57)【要約】
【課題】左官工又は土間専門工の労働時間を大幅に短縮でき、天端の仕上げ寸法精度が高品質で平面均一で、表面が緻密で、耐摩耗性、硬化性、塩分浸透性等のコンクリートの品質が格段に向上したコンクリート構造物を構築する。
【解決手段】型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面を左官工等がすり均しを行い(工程S1)、第1の時間待機した後金鏝押えする(工程S2)。続いて、コンクリート混合物表面に透水シートと遠赤外線放射蓄熱シートとの積層シートを被せ、その積層シートの上から金鏝押えする(工程S3)。透水シートを透水したコンクリート混合物の余剰水(水分)に対し、遠赤外線放射蓄熱シートにより放射する遠赤外線を作用すると共に保湿、保温する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、
前記第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の前記流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、
前記第2の工程を経た前記流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも前記流動状のコンクリート混合物中の余剰水を排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートと、少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートとの積層シートを被せ、前記積層シートの上から鏝押えする第3の工程と、
前記型枠を脱型すると共に前記第3の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から前記積層シートを剥がして、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第4の工程とを
含み、前記積層シートは、前記透水シートが前記第2の工程を経たコンクリート混合物の表面に接するように被せられ、前記遠赤外線放射蓄熱シートが前記透水シートを透過した前記流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて前記水分の界面活性力を向上すると共に、前記蓄熱効果により前記流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とするコンクリート打設工法。
【請求項2】
前記積層シートの表面に所定の重さの平板を載せた後前記流動状のコンクリート混合物が硬化するまで待機する第5の工程を更に含み、
前記第4の工程は、前記型枠を脱型すると共に前記第5の工程を経て硬化したコンクリート混合物の表面から前記平板及び前記積層シートを除去して、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させることを特徴とする請求項1記載のコンクリート打設工法。
【請求項3】
型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、
前記第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の前記流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、
前記第2の工程を経た前記流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも前記流動状のコンクリート混合物中の余剰水を排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートを被せ、前記透水シートの上から鏝押えする第3の工程と、
前記第3の工程に続いて前記透水シートの上に少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートを被せ、前記遠赤外線放射蓄熱シートの上から鏝押えする第4の工程と、
前記型枠を脱型すると共に前記第4の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から前記遠赤外線放射シート及び前記透水シートを剥がして、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第5の工程とを
含み、前記遠赤外線放射蓄熱シートが前記透水シートを透過した前記流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて前記水分の界面活性力を向上すると共に、前記蓄熱効果により前記流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とするコンクリート打設工法。
【請求項4】
前記遠赤外線放射蓄熱シートの表面に所定の重さの平板を載せた後前記流動状のコンクリート混合物が硬化するまで待機する第6の工程を更に含み、
前記第5の工程は、前記型枠を脱型すると共に前記第6の工程を経て硬化したコンクリート混合物の表面から前記遠赤外線放射蓄熱シート及び前記透水シートを除去して、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させることを特徴とする請求項3記載のコンクリート打設工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート打設工法に係り、特に型枠で囲まれた空間内に充填した流動状のコンクリート混合物から硬化したコンクリート構造物を製造するコンクリート打設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物を製造するコンクリート打設時には、例えば離間配置して固定した複数枚の型枠で囲まれた空間内に流動状のコンクリート混合物を流し込み、その状態でコンクリート混合物が硬化するのを待ってから型枠を外し(脱型し)、硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる。このコンクリート打設時において、硬化前の流動状のコンクリート混合物の余剰水が外部に排出されないと、製造されたコンクリート構造物の表面にピンホールやアバタ(気泡)が生じる。
【0003】
そこで、従来よりコンクリート混合物中の余剰水を外部へ排出させるため、型枠のコンクリート側表面に型枠用シートを取り付け、その型枠用シートを通してコンクリート混合物中の余剰水を外部へ排出させるコンクリート打設工法が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1記載のコンクリート打設工法は、使用する型枠用シートが透水層と通気層と排水層とが積層されており、通気層が透水層上に或る間隔を空けてスポット状に隆起させたスペーサである構造で、透水層側をコンクリートに接するように排気層の裏面を型枠に貼付する。これにより、打設されるコンクリート混合物中の余剰水は透水層に取り込まれ、更に通気層を通って型枠用シートの外部へ排出される。
【0005】
また、特許文献2に記載のコンクリート打設工法は、使用する型枠用シートが熱可塑性を有するテープ状フィルムを織って構成した補強シートを内面に埋設して得られる非吸収性の不織布用繊維を主体とした不織布の表面に不織布用繊維を間に介在させて上記補強用シートと相溶した薄膜を形成し、その薄膜全面に小孔を穿設した構造である。この型枠用シートは型枠に貼付されて使用され、打設したコンクリートの水分が毛管現象によって薄膜の小孔から吸い取られ不織布の下方に排出される。このとき、型枠用シートはポリエチレン製であるため吸水しない。この型枠用シートによれば、耐久性が向上する。
【0006】
特許文献1及び2に記載のコンクリート打設工法によれば、コンクリート混合物に接する型枠用シートが取り付けられた型枠の表面が基準面(地表面)に対して垂直である場合、打設されるコンクリート混合物中の余剰水の多くは型枠用シートの垂直下方向に自重で流れて透水層、通気層及び排水層を通って型枠用シートの下方から外部へ排出されるか、あるいは薄膜の小孔から吸い取られて不織布の下方から外部へ排出される。これにより、コンクリート打設時において、硬化前の流動状のコンクリート混合物の余剰水が外部に排出されることで、製造されたコンクリート構造物の表面にピンホールやアバタが発生しないようにできる。
【0007】
しかしながら、打設後のコンクリートの上水平面(すなわち、天端)となる流動状のコンクリート混合物中の最上部には、排出しきれない余剰水が湧き出てくる。このため、そのままでは打設後のコンクリートの天端にアバタやピンホールが発生してしまう。
【0008】
そこで、従来、一般の左官工又は土間専門工がコンクリート直仕上げを行う場合は、床面の型枠組を行い配筋を完了させた後に、型枠で囲まれた空間内に流動状のコンクリート混合物を流し込み、その直後のまだ柔らかい状態のコンクリート混合物表面(天端、床面)を左官工等がトンボあるいはアルミ定木という道具を使用して平滑にするためのすり均しを行ってから、コンクリート混合物表面の浮き水の引き具合を見定める第1の時間(例えば、約1時間~2時間程度)経過後に木鏝等で荒均し押えをする。
【0009】
続いて、第2の時間(この時間は季節により変わるが、約1時間~3時間程度)経過して、コンクリート混合物が余剰水の自然乾燥によりやや硬化した状態となってから、その表面(天端、床面)を左官工等が金鏝又は木鏝により押える。その後、第3の時間(約3時間~4時間程度)経過してコンクリート混合物が更に硬化した状態となってから、コンクリート混合物の表面(天端、床面)を左官工等が金鏝又はプロペラ機械押え器(トロウェル)により押える。
【0010】
続いて、更に第4の時間(約1時間~2時間程度)経過してコンクリート混合物の余剰水の自然乾燥が進みコンクリート混合物がかなり硬化した状態となってから、コンクリート混合物の表面(天端、床面)を左官工等が最後の金鏝仕上げ押えを行う。その後周囲の枠等を脱型することで、床コンクリート直仕上げが完了する(すなわち、コンクリート打設作業が完了する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012-255323号公報
【特許文献2】特開2000-204756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の従来のコンクリート打設工法では、脱型してコンクリート直仕上げを完了するまでには、上記の第1の時間~第4の時間という左官工等が次の作業を開始するまでの待機時間が必要であり、この待機時間は作業していない無駄な待ち時間であり、約6時間~11時間程度必要となる。なお、PC工場(プレキャスト工場)での天端コンクリート仕上げの場合は、上記の床コンクリート直仕上げに比べれば待機時間は少なくて済むが、それでも午前中に1回木鏝等で荒均しを行い、その後2時間~4時間程度待ってから、左官工等がコンクリート表面状態を判断して金鏝等で仕上げ押えを行っている。このため、PC工場での天端コンクリート仕上げの場合にも、仕上げるまでの時間は最短で作業時間を含め約6時間~8時間程度は必要とされる。
【0013】
従来のコンクリート打設工法では、良くも悪くも一発で仕上げの良し悪しが決定し、打設途中のコンクリート表面が、冬場では凍結により、夏場では急激な直射日光又は高温による硬化速度の早まりにより、完了後のコンクリート表面の水平面の品質の確保が極めて困難である。また、降雨の場合は、作業を中断できずやむを得ず作業を続行した結果、完了後のコンクリート表面の硬度不良と不陸調整の手直しの問題が発生する。例えば、約1mm~5mm程度のコンクリート表面の補修(不陸調整)が必要となった場合は、研磨機やサンダー等でコンクリート表面を全面削り落とした後、セメントフィラー材等で全面補修する作業が必要となる。また、補修後その面にクラック等の問題が発生する。
【0014】
このように、従来のコンクリート打設工法では、完成後のコンクリート表面の水平面を所望の品質に確保することが極めて困難である。また、従来のコンクリート打設工法では、作業に要する時間以外に前述した第1の時間~第4の時間という作業しない無駄な待ち時間が必要であり、この結果、例えば徹夜を強いられるような左官工等の極めて長時間の過酷な労働が必要であり、更に手直し作業の手間と人件費がかかるという課題がある。
【0015】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、左官工又は土間専門工の労働時間を大幅に短縮でき、しかも手直し作業の手間を防止して天端の仕上げ寸法精度が高品質で平面均一で、表面が緻密で、耐摩耗性、硬化性、塩分浸透性、表層凍結融解性等のコンクリートの品質が格段に向上したコンクリート構造物を構築し得るコンクリート打設工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、第1の本発明は、型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の流動状のコンクリート混合物に対し荒均しする第2の工程と、第2の工程を経た流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも流動状のコンクリート混合物中の余剰水を排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートと、少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートとの積層シートを被せ、積層シートの上から鏝押えする第3の工程と、型枠を脱型すると共に第3の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から積層シートを剥がして、硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第4の工程とを含み、上記積層シートは、透水シートが第2の工程を経たコンクリート混合物の表面に接するように被せられ、遠赤外線放射蓄熱シートが透水シートを透過した流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて水分の界面活性力を向上すると共に、蓄熱効果により流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、第2の本発明は、型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、第2の工程を経た流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも流動状のコンクリート混合物中の余剰水を排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートを被せ、透水シートの上から鏝押えする第3の工程と、第3の工程に続いて透水シートの上に少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートを被せ、遠赤外線放射蓄熱シートの上から鏝押えする第4の工程と、型枠を脱型すると共に第4の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から遠赤外線放射シート及び透水シートを剥がして、硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第5の工程とを含み、上記遠赤外線放射蓄熱シートが上記透水シートを透過した流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて水分の界面活性力を向上すると共に、蓄熱効果により流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業していない待機時間を従来に比べて大幅に削減し、左官工等の労働時間短縮、及びそれによる経費削減を実現できる。また、本発明によれば、遠赤外線効果によりコンクリート混合物中の水分の界面活性力を高め、仕上げられた硬化コンクリート混合物の表面を非常に滑らかなすべすべした表面にすることができる。また、本発明によれば、コンクリート混合物に対する蓄熱効果により、季節に関係なく硬化したコンクリート表面の水平面の寸法精度を高品質で平面均一に確保できる。更に、本発明によれば、表面が緻密で、耐摩耗性、硬化性、塩分浸透性、表層凍結融解性等のコンクリートの品質を格段に向上でき、長寿命の床コンクリート仕上げを実現できる。更に本発明によれば、降雨による打設後のコンクリート表面品質の劣化を防止できると共、表面の不陸調整などの補修をほぼ不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るコンクリート打設工法の第1の実施形態の各工程説明用フローチャートである。
【
図2】
図1の工程S3で使用する積層シートの一例の概略断面図である。
【
図3】
図2中の透水シートの一例の概略断面図である。
【
図4】
図2中の遠赤外線放射蓄熱シートの一例の概略断面図である。
【
図5】
図1中の工程S4におけるコンクリート断面付近の様子を示す断面図である。
【
図6】本発明に係るコンクリート打設工法の第2の実施形態の各工程説明用フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るコンクリート打設工法の第1の実施形態の各工程説明用フローチャートを示す。本実施形態ではまず、床面の型枠組を行い配筋を完了させた後に、型枠で囲まれた空間内に流動状のコンクリート混合物を流し込み、その直後の浮き水が浮いているまだ柔らかい状態のコンクリート混合物表面(天端、床面)を平滑にするため、左官工又は土間専門工(以下、左官工等という)がトンボあるいはアルミ定木を使用してすり均しを行う(
図1の工程S1)。このとき、コンクリート混合物表面のレベル出しは、レーザー光線又は測定器を使用する。この時点でコンクリート混合物表面の仕上げ水平寸法精度をしっかりと出しておく。なお、PC工場のコンクリート打設の場合は、鋼製型枠の表面の天端がレベルとして目安になるため、レーザー光線や測定器が不要になることもある。
【0022】
続いて、左官工等がコンクリート混合物表面の浮き水の引き具合を見定め生乾きの状態となる、第1の時間(約1時間~2時間)待機した後、コンクリート仕上げ面の水平寸法を確認しながら金鏝等で荒均しを行う(
図1の工程S2)。続いて、直ちにコンクリート混合物表面に積層シートを被せ、その積層シートの上から金鏝押えを行う(
図1の工程S3)。
【0023】
図2は、工程S3で使用する積層シートの一例の概略断面図を示す。
図2において、積層シート10は、例えば厚さ約0.5mm~3mm程度の透水シート11と、厚さ約1mm~5mm程度の遠赤外線放射蓄熱シート12とが接着されて積層された構造である。
【0024】
透水シート11は、少なくともコンクリート混合物中の余剰水の排出性を備える公知のシートであれば使用できるが、好ましくは「プロコンシート」(アイエスティー株式会社の商標登録第5821723号の登録商標)として知られている
図3の概略断面図に示すようなシートが用いられる。
図3の概略断面図に示す透水シート11は、本出願人が先に実用新案登録第3222305号として提案した構造で、排水性及びセメント微粒子を保持する適度な保水性のあるシート状不織布である第1の層111と、第1の層111の表面及び裏面の一方の面に接着層112を介して積層されたシート状不織布である第2の層113とからなる積層構造で、第2の層113がコンクリート混合物の表面に接するようにされる。
【0025】
第1の層111は、硬化前のコンクリート混合物中の余剰水を外部へ排出すると共にコンクリート混合物中のセメント微粒子を適度に保持する保水性を有するシート状不織布で構成されており、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系、またはこれらの共重合品、その他ポリエステルを芯材とし、鞘材としてPPやPEなどの芯鞘構造のシート状不織布が用いられる。例えば、芯がPE等の合成樹脂で鞘が親水性のあるエチレン・ビニルアルコール共重合体である芯鞘構造の繊維が用いられる。
【0026】
第2の層113は、その表面が接するコンクリート混合物が硬化したときにそのコンクリート混合物の表面を毛羽立ちせず平滑面とする平滑化機能と、硬化したコンクリート混合物が型枠から容易に剥離(脱型)できる剥離機能とを併せ持つシート状不織布で構成されている。この第2の層113の素材も第1の層111の素材と同様に、PPやPE等のポリオレフィン系、またはこれらの共重合品、その他ポリエステルを芯材とし、鞘材としてPPやPEなどの芯鞘構造のシート状不織布が用いられる。
【0027】
ただし、第2の層113は、第1の層111と同様の芯鞘構造の繊維である場合は、上記平滑化機能及び剥離機能を満たすために、繊維径がより小さくより低い軟化温度で潰れやすい材質に設定されている。接着層112は通気性・透水性を阻害しないホットメルト接着層である。接着層112と反対側の第1の層111の表面が遠赤外線放射蓄熱シート12の表面と接着される。
【0028】
図2に示す積層シート10を構成する遠赤外線放射蓄熱シート12は、少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える公知のシートであれば使用できるが、好ましくは「アイポン」(アイエスティー株式会社の商標登録第4676552号の登録商標)として知られている
図4の概略断面図に示すようなシートが用いられる。
図4において、遠赤外線放射蓄熱シート12は、本出願人が先に特許第3542975号として開示した積層シート構造で、シート状の金属酸化物粒子層121の下面と表面にそれぞれシート状の発泡保護層(不織布)122とシート状のアルミ箔123とが設けられた構造である。なお、アルミ箔123は、例えばポリエステル(PET)フィルムを用いることもできる。このPETフィルムは、例えばポリエチレン(PE)層と、ポリエステル(PET)層と、それらを蒸着により貼り合せるアルミ蒸着層とから構成されている。
【0029】
金属酸化物粒子層121は、ポリエチレンフォーム又はエチレンビニールアセテートフォームが用いられる。遠赤外線放射蓄熱シート12は、波長領域3μm~25μmの遠赤外線が、常温で約78%放射されている(財団法人ファインセラミックセンター調べ)遠赤外線効果と、グラスウール(断熱材)に比べて約7倍の大きな蓄熱効果とを備えている。蓄熱効果は熱拡散率(=熱伝導率/容積比熱)の値が小さいほど大きく、グラスウールの熱拡散率が0.0043m2W/kJであるのに対し、遠赤外線放射蓄熱シート12の熱拡散率は0.0006m2W/kJであることが実験により確かめられている。
【0030】
再び
図1に戻って説明するに、工程S3の金鏝押えに続いて、左官工等は積層シート10の上に鉄板やベニヤ板など、積層シート10が風で飛ばされず、かつ、コンクリートが沈まない程度の所定の重さのある鉄板やベニヤ板等の平板を載せ、その状態でコンクリートが硬化するまで放置する(
図1の工程S4)。
【0031】
図5は、工程S4におけるコンクリート断面付近の様子を示す断面図を示す。同図中、
図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図5において、型枠31a、31bの間に充填された流動状コンクリート混合物40の表面に積層シート10が接するように(具体的には
図3に示した透水シート11の第2の層113が接するように)載置されており、積層シート10の遠赤外線放射蓄熱シート12の表面に、平板50が載置されている。工程S4で平板を載せた後では、コンクリート混合物中の余剰水は積層シート10の透水シート11により吸水及び排水されて(具体的には余剰水は第2の層113により吸水された後、接着層112を透水して第1の層111により排水され)遠赤外線放射蓄熱シート12に到り、ここで遠赤外線効果及び蓄熱効果が付与された後外部へ排出される。
【0032】
ここで、遠赤外線放射蓄熱シート12は、透水シート11を透過したコンクリート混合物中の余剰水(水分)に対し、放射する遠赤外線を作用させ、水分子骨格において3μm前後の伸縮運動と6μm変角運動とを中心とする振動運動を促進して水素結合切断による激しい構造変化を引き起こし(水の活性化)、水分子の分極を高めて電荷の変動などを起こさせる(クラスター構造から単分子化への構造変化)。そして、透水された水分の単分子化への構造変化により、界面活性力が水道水と比較すると例えば一昼夜で2.15倍向上し、その結果、硬化したコンクリート混合物の表面が非常に滑らかなすべすべした表面となる。
【0033】
また、遠赤外線放射蓄熱シート12は、グラスウール(断熱材)にくらべて大幅に大きな蓄熱効果があるため、硬化したコンクリート混合物の保湿、保冷による温度管理が容易にでき、これにより夏場の急激な直射日光又は高温による硬化速度の早まりや、冬場の凍結のそれぞれに適切に対応して、硬化したコンクリート表面の水平面の品質を高品質に確保できる。
【0034】
そして、最後に左官工等はコンクリート混合物の硬化を確認してから、
図5の型枠31a及び31bを取り外す(脱型)と共に平板50を除去し、更に積層シート10を硬化後のコンクリート混合物40の表面から剥がす(
図1の工程S5)。これにより、表面(天端)にピンホールやアバタがなく、しかも水平面が滑らかで均一で高さが高精度に調整された天端を有するコンクリート構造物を露出させることができ、コンクリート打設作業が終了する。なお、平板50を積層シート10上に載せることは必須ではなく、載せなくてもよい。
【0035】
このように本実施形態では、左官工等が脱型以前の次の作業を行う前に待機する時間は工程S1終了後工程S2の作業を開始するまでの第1の時間のみであり、工程S4が終了した後工程S5の脱型を開始する作業はコンクリート混合物の硬化終了以後の時点以降であれば何時でも自由である。
【0036】
このため、本実施形態によれば、左官工等は工程S4を終了した後は例えば徹夜することなく帰宅した後翌日現場に来て脱型したり、午前中で作業をすべて終了した後午後に脱型するなどのことができ、作業していない無駄な時間は約1時間~2時間程度である。よって、本実施形態によれば、従来の無駄な待機時間(約6時間~11時間程度)に比べて待機時間を約1時間~2時間程度と大幅に削減できるため、左官工等の労働時間短縮、及びそれによる経費削減を実現できる。なお、管理者(監督)も左官工等と同様に居残りの時間を削減できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、遠赤外線放射蓄熱シート12の遠赤外線効果により、透水シート11を通過したコンクリート混合物中の余剰水の水分子が小さくなるよう構造変化させることで界面活性力を高めるようにしたため、仕上げられた硬化コンクリート混合物の表面を非常に滑らかなすべすべした表面にすることができる。また、本実施形態によれば、遠赤外線放射蓄熱シート12の蓄熱効果により、コンクリート混合物の保温、保湿による温度管理が容易にできるため、季節に関係なく硬化したコンクリート表面の水平面の品質を高品質に確保できる。
【0038】
更に、本実施形態によれば、透水シート11により、コンクリート打設後に発生するコンクリート内の水分が表面に湧き上がるブリーディング現象を吸収すると共にコンクリートの水和反応を適切に促すため、打設後のコンクリートの表面が緻密になり、また、耐摩耗性、硬化性、塩分浸透性、表層凍結融解性等のコンクリートの品質が格段に向上し、長寿命の床コンクリート仕上げを実現できる。
【0039】
また更に、本実施形態によれば、初期工程のS3、S4において生乾きの状態のコンクリート混合物40の表面に積層シート10を被せ、更にその上に平板50を載せるようにしたため、その後に多少の降雨があってもコンクリート混合物40の表面には雨が当たらないため、降雨による打設後のコンクリート表面品質の劣化を防止できると共に、表面の不陸調整などの補修をほぼ不要にでき(ただし、大雨の場合は補修は必要である)、その結果補修による手間及び費用の削減ができる。また、本実施形態によれば、積層シート10はその表面が平板50により降雨が直接当たらないため、数回転用することができ、経済的に有利にできる。なお、透水シート11は転用回数が数回でき、遠赤外線放射蓄熱シート12は発泡保護層122の形状が変わらない限り効果は落ちない。
【0040】
(第2の実施形態)
図6は、本発明に係るコンクリート打設工法の第2の実施形態の各工程説明用フローチャートを示す。同図中、
図1と同一工程は同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態は、積層シート10を使用せず、透水シート及び赤外線放射蓄熱シートを別々に使用する点に特徴がある。本実施形態では、型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面(天端、床面)に左官工等がすり均しを行い(
図6の工程S1)、第1の時間(約1時間~2時間)待機した後、コンクリート仕上げ面の水平寸法を確認しながら金鏝等で荒均しを行う(
図6の工程S2)。
【0041】
以上は第1の実施形態の工程と同じであるが、続いて本実施形態では直ちにコンクリート混合物表面に透水シートを被せ、その透水シートの上から金鏝押えを行う(
図6の工程S21)。この時使用する透水シートは、
図2に示した透水シート11と同じであり、例えば
図3に示した断面構造の「プロコンシート」(アイエスティー株式会社の商標登録第5821723号の登録商標)が好ましく用いられる。透水シートは、コンクリート混合物中の余剰水を外部へ排出すると共にコンクリート混合物中のセメント微粒子を適度に保持する。
【0042】
続いて、左官工等は透水シートの上に遠赤外線放射蓄熱シートを被せ、その遠赤外線放射蓄熱シートの上から金鏝押えする(
図6の工程S22)。この時使用する遠赤外線放射蓄熱シートは、
図2に示した遠赤外線放射蓄熱シート12と同じであり、例えば
図4に示した断面構造の「アイポン」(アイエスティー株式会社の商標登録第4676552号の登録商標)が好ましく用いられる。工程S22で用いられる遠赤外線放射蓄熱シートは、前記した遠赤外線効果と蓄熱効果とを備えており、透水シート11を通過したコンクリート混合物中の余剰水(水分)に対し、放射する遠赤外線を作用させて、硬化したコンクリート混合物の表面を非常に滑らかなすべすべした表面とすると共に、蓄熱効果によりコンクリート混合物の保温、保湿を行い、季節の温度変化に適切に対処して硬化したコンクリート表面の水平面の品質を高品質に確保する。
【0043】
続いて、左官工等は工程S22の金鏝押えの後、遠赤外線放射蓄熱シートの上に所定の重さのある平板を載せ、その状態でコンクリートが硬化するまで放置する(
図6の工程S23)。そして、最後に左官工等はコンクリート混合物の硬化を確認してから脱型すると共に平板、透水シート及び赤外線放射蓄熱シートを硬化後のコンクリート混合物の表面から除去する(
図6の工程S24)。これにより、表面(天端)にピンホールやアバタがなく、しかも水平面が滑らかで均一で高さが高精度に調整された天端を有するコンクリート構造物を露出させることができ、コンクリート打設作業が終了する。なお、工程S23は必須ではなく、平板は載せなくてもよい。
【0044】
このようにして、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に従来に比べて作業をしていない待機時間を大幅に短縮することで左官工等の労働時間を大幅に短縮でき、また降雨によるコンクリート表面品質の劣化を防止できると共に、表面の不陸調整などの補修をほぼ不要にでき(ただし、大雨の場合は補修は必要である)、その結果補修による手間及び費用の削減ができる。更に季節に関係なく硬化したコンクリート表面の水平面の寸法精度を高品質で平面均一に確保できると共に、打設後のコンクリートの表面がすべすべしており、また緻密で、耐摩耗性、硬化性、塩分浸透性、表層凍結融解性等のコンクリートの品質が格段に向上し、長寿命の床コンクリート仕上げを実現できる。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るコンクリート打設工法の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、基本的な打設工程は第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるが、第1の実施形態における透水シート11あるいは第2の実施形態における透水シートの表面が平坦面であったのに対し、本実施形態では透水シートの表面がエンボス加工により任意の模様(デザイン)を示す凹凸形状とされている点に特徴がある。
【0046】
本実施形態によれば、第1又は第2の実施形態の効果に加えて、透水シートの表面の凹凸形状がコンクリート混合物に転写されて任意の形状の模様(例えば、タイル調、鏝模様、木目調、石調など)にデザイン化された仕上げ表面をもつコンクリート構造物を容易に打設することができるという効果を奏する。
【0047】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係るコンクリート打設工法の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、基本的な打設工程は第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるが、第1の実施形態における透水シート11あるいは第2の実施形態における透水シートの表面がエンボス加工により任意の模様(デザイン)を示す凹凸形状とされ、更に透水シートの表面に任意の色の着色層が形成されている点に特徴がある。この着色層はエンボス加工による凹凸形状をそのまま生かして着色機能のみを有するものである。
【0048】
本実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加えて、透水シートの表面の凹凸形状がコンクリート混合物に転写されて任意の形状の模様にデザイン化され、かつ、着色層の任意の色の着色材が転写されて着色された仕上げ表面をもつコンクリート構造物を容易に打設することができるという効果を奏する。
【0049】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば透水シートの最上層の着色層は、表面がエンボス加工されていない平坦な表面の透水シートにも適用できる。また、エンボス加工は任意の模様ではなく、単にスリップ防止のための単調な凹凸形状を形成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 積層シート
11 透水シート
12 遠赤外線放射蓄熱シート
31a、31b 型枠
40 コンクリート混合物
50 平板
111 第1の層
112 接着層
123 第2の層
121 金属酸化物粒子層
122 発泡保護層(不織布)
123 アルミ箔
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、
前記第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の前記流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、
前記第2の工程を経た直後の前記流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも前記流動状のコンクリート混合物中の余剰水を吸水し排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートと、少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートとの積層シートを被せ、前記積層シートの上から鏝押えする第3の工程と、
前記型枠を脱型すると共に前記第3の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から前記積層シートを剥がして、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第4の工程とを
含み、前記積層シートは、前記透水シートが前記第2の工程を経た直後のコンクリート混合物の表面に接するように被せられ、前記遠赤外線放射蓄熱シートが前記透水シートを透過した前記流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて前記水分の界面活性力を向上すると共に、前記蓄熱効果により前記流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とするコンクリート打設工法。
【請求項2】
前記積層シートの表面に所定の重さの平板を載せた後前記流動状のコンクリート混合物が硬化するまで待機する第5の工程を更に含み、
前記第4の工程は、前記型枠を脱型すると共に前記第5の工程を経て硬化したコンクリート混合物の表面から前記平板及び前記積層シートを除去して、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させることを特徴とする請求項1記載のコンクリート打設工法。
【請求項3】
型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、
前記第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の前記流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、
前記第2の工程を経た直後の前記流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも前記流動状のコンクリート混合物中の余剰水を吸水し排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートを被せ、前記透水シートの上から鏝押えする第3の工程と、
前記第3の工程に続いて前記透水シートの上に少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートを被せ、前記遠赤外線放射蓄熱シートの上から鏝押えする第4の工程と、
前記型枠を脱型すると共に前記第4の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から前記遠赤外線放射蓄熱シート及び前記透水シートを剥がして、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第5の工程とを
含み、前記遠赤外線放射蓄熱シートが前記透水シートを透過した前記流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて前記水分の界面活性力を向上すると共に、前記蓄熱効果により前記流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とするコンクリート打設工法。
【請求項4】
前記遠赤外線放射蓄熱シートの表面に所定の重さの平板を載せた後前記流動状のコンクリート混合物が硬化するまで待機する第6の工程を更に含み、
前記第5の工程は、前記型枠を脱型すると共に前記第6の工程を経て硬化したコンクリート混合物の表面から前記遠赤外線放射蓄熱シート及び前記透水シートを除去して、前記硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させることを特徴とする請求項3記載のコンクリート打設工法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記の目的を達成するため、第1の本発明は、型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の流動状のコンクリート混合物に対し荒均しする第2の工程と、第2の工程を経た直後の流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも流動状のコンクリート混合物中の余剰水を吸水し排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートと、少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートとの積層シートを被せ、積層シートの上から鏝押えする第3の工程と、型枠を脱型すると共に第3の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から積層シートを剥がして、硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第4の工程とを含み、上記積層シートは、透水シートが第2の工程を経た直後のコンクリート混合物の表面に接するように被せられ、遠赤外線放射蓄熱シートが透水シートを透過した流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて水分の界面活性力を向上すると共に、蓄熱効果により流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、上記の目的を達成するため、第2の本発明は、型枠で囲まれた空間内に充填された流動状のコンクリート混合物の表面をすり均しする第1の工程と、第1の工程後に所望の時間待機して生乾きとなった状態の流動状のコンクリート混合物の表面を荒均しする第2の工程と、第2の工程を経た直後の流動状のコンクリート混合物の表面に、少なくとも流動状のコンクリート混合物中の余剰水を吸水し排出する機能とセメント微粒子を保持する機能とを有する透水シートを被せ、透水シートの上から鏝押えする第3の工程と、第3の工程に続いて透水シートの上に少なくとも遠赤外線効果と蓄熱効果とを備える遠赤外線放射蓄熱シートを被せ、遠赤外線放射蓄熱シートの上から鏝押えする第4の工程と、型枠を脱型すると共に第4の工程を経た後硬化したコンクリート混合物の表面から遠赤外線放射シート及び透水シートを剥がして、硬化したコンクリート混合物をコンクリート構造物として露出させる第5の工程とを含み、上記遠赤外線放射蓄熱シートが上記透水シートを透過した流動状のコンクリート混合物の余剰水の水分に対して放射する遠赤外線を作用させて水分の界面活性力を向上すると共に、蓄熱効果により流動状のコンクリート混合物を保湿、保冷することを特徴とする。