(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094416
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】モータユニット及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20230628BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20230628BHJP
【FI】
B62M6/55
B62J43/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209883
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 将史
(57)【要約】
【課題】ケースの幅を短くしてケースの小型化を図りやすいモータユニット及び電動自転車を提供する。
【解決手段】モータユニット3は、ケース4と、ケース4内に収容され、モータ回転軸51と、モータ回転軸51と一体に回転するロータ52とを有するモータ5と、入力軸6と、出力体8と、減速機構9と、を備える。入力軸6は、軸線600方向にケース4を貫通して軸線600回りに回転可能に配置される。出力体8は、軸線600方向にケース4を貫通して軸線600回りに回転可能に配置される。減速機構9は、ケース4内に収容され、モータ5の回転を減速して出力体8に伝達する。減速機構9は、互いに噛み合う歯車(911、912、921、922)の対(91、92)を複数有する。複数の歯車の対のうち少なくとも一対は、各歯車の回転の中心軸が互いに直交する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に収容され、モータ回転軸と、前記モータ回転軸と一体に回転するロータとを有するモータと、
軸線方向に前記ケースを貫通して前記軸線回りに回転可能に配置される入力軸と、
前記軸線方向に前記ケースを貫通して前記軸線回りに回転可能に配置される出力体と、
前記ケース内に収容され、前記モータの回転を減速して前記出力体に伝達する減速機構と、
を備え、
前記減速機構は、互いに噛み合う歯車の対を複数有し、前記複数の前記歯車の対のうち少なくとも一対は、各前記歯車の回転の中心軸が互いに直交する
モータユニット。
【請求項2】
前記減速機構は、第1歯車対及び第2歯車対からなる二つの前記歯車の対を有し、
前記第1歯車対を構成する各前記歯車の中心軸は、互いに直交し、
前記第2歯車対を構成する各前記歯車の中心軸は、互いに平行となる
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記第1歯車対は、各前記歯車の中心軸が交わる
請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記第1歯車対は、各前記歯車の中心軸が交わらない
請求項2に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記第1歯車対は、ハイポイドギア又はまがりばかさ歯車である
請求項4に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記減速機構は伝達回転軸を有し、
前記第1歯車対を前記モータ回転軸と一体に回転する第1歯車と、前記伝達回転軸に配置される第2歯車とで構成し、
前記第2歯車対を前記伝達回転軸に配置される第3歯車と、前記出力体と一体に回転する第4歯車とで構成した
請求項2~5のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記入力軸の回転数と前記出力体の回転数が一致するように構成されている
請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記減速機構と前記出力体との間にワンウェイクラッチを備え、
前記ワンウェイクラッチの回転の中心軸が前記軸線上に位置する
請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のモータユニットを備える
電動自転車。
【請求項10】
請求項6に記載のモータユニットと、フレームと、前記フレームに装着されるバッテリとを備え、
前記入力軸の前記軸線方向からみたとき、前記モータ回転軸の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線が前記バッテリと重なる
電動自転車。
【請求項11】
請求項6に記載のモータユニットと、フレームと、前記フレームに装着されるバッテリとを備え、
前記入力軸の前記軸線方向からみたとき、前記バッテリの長手方向に伸びる第2仮想線と前記モータ回転軸の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線とが平行である
電動自転車。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のモータユニットと、フレームと、前記フレームに装着されるバッテリとを備え、
前記入力軸の前記軸線方向からみたとき、前記モータ回転軸の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線と、前記バッテリの長手方向に伸びる第2仮想線とが交差する
電動自転車。
【請求項13】
前記第1仮想線と前記第2仮想線とが前記フレーム上で交差する
請求項12に記載の電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータユニット及び電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ駆動ユニットを搭載した電動アシスト自転車が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1が開示するモータ駆動ユニットは、ユニットケースと、モータと、クランク軸と、スプロケットに嵌め込まれる連動体と、減速機構と、を備えている。
【0003】
減速機構としては、モータの回転軸と一体に回転する歯部及びこれと噛み合う大径歯車部からなる対と、大径歯車部と一体に回転する小径歯車部及びこれと噛み合う連動体の大径歯車部からなる対の二つの歯車の対が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、上述したような電動アシスト自転車においては、クランク軸の軸線と、モータの回転軸の軸線とが平行となるようにモータが配置されている。このため、クランク軸の軸線方向に、モータの本体と、モータの回転軸及び歯部が並んでしまい、クランク軸の軸線方向において、ユニットケースの長さ(幅)を短くしにくく、ユニットケースの小型化を図りにくい、という問題があった。
【0006】
本開示は上記従来の問題点に鑑み、ケースの幅を短くしてケースの小型化を図りやすいモータユニット及び電動自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一形態のモータユニットは、ケースと、前記ケース内に収容され、モータ回転軸と、前記モータ回転軸と一体に回転するロータとを有するモータと、入力軸と、出力体と、減速機構と、を備える。前記入力軸は、軸線方向に前記ケースを貫通して前記軸線回りに回転可能に配置される。前記出力体は、前記軸線方向に前記ケースを貫通して前記軸線回りに回転可能に配置される。前記減速機構は、前記ケース内に収容され、前記モータの回転を減速して前記出力体に伝達する。前記減速機構は、互いに噛み合う歯車の対を複数有する。前記複数の前記歯車の対のうち少なくとも一対は、各前記歯車の回転の中心軸が互いに直交する。
【0008】
上記課題を解決するために、一形態の電動自転車は、前記モータユニットを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の上記一形態に係るモータユニット及び電動自転車にあっては、ケースの幅を短くしてケースの小型化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る電動自転車の側面図である。
【
図2】
図2は、同上の電動自転車のフレーム及びモータユニットの断面図である。
【
図3】
図3は、同上のモータユニットの入力軸、モータの回転軸及び減速機構の伝達回転軸の軸線を通る面で切断した断面図である。
【
図4】
図4は、同上のモータユニットの側面図である。
【
図5】
図5は、第二実施形態に係るモータユニットの入力軸、モータの回転軸及び減速機構の伝達回転軸の軸線を通る面で切断した断面図である。
【
図6】
図6は、同上のモータユニットの側面図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【
図8】
図8は、更なる変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【
図9】
図9は、更なる変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【
図10】
図10は、更なる変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【
図11】
図11は、更なる変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【
図12】
図12は、更なる変形例に係る電動自転車の一部透過した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、モータユニット及び二輪車に関し、更に詳しくは、ケースと、モータと、入力軸と、出力体と、減速機構と、を備えるモータユニット及びこのモータユニットを備えた電動アシスト自転車、電動バイク等の電動自転車に関する。
【0012】
以下、本開示のモータユニット及び電動自転車の第一実施形態について、
図1~
図4に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、電動自転車1は、フレーム10と、車輪11と、モータユニット3と、を備える。なお、電動自転車1については、設計上、進行方向が決まっている。以下の説明において、進行方向を前方とするとともにその反対方向を後方とする。また、左方及び右方については、前方を向いた状態での左方及び右方とする。
【0014】
フレーム10は、電動自転車1を運転する者(以下、運転者とする)を支持する。フレーム10及び運転者の荷重は、車輪11を構成する前輪111及び後輪112を介して地面に支持される。
【0015】
フレーム10は、ヘッドパイプ101、上パイプ102、下パイプ103、立パイプ104、シートステー105、チェーンステー106及びブラケット2を有する。フレーム10は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属により形成されるが、非金属を一部に含んでもよい。また、フレーム10全体が非金属により形成されてもよく、フレーム10の材質は特に限定されない。
【0016】
図2に示すように、ヘッドパイプ101は、概ね上下方向に開口する筒状部材である。なお、ここでいう概ね上下方向とは、鉛直方向と30度程度以下の角度をなす方向を意味するものとする。
図1に示すように、ヘッドパイプ101には、ハンドルポスト12が上下に貫通するように挿入される。ハンドルポスト12は、ヘッドパイプ101に対して軸線方向回りに回転可能に挿入される。ハンドルポスト12の下端部には、フロントフォーク121が形成される。フロントフォーク121には、前輪111が回転可能に取り付けられる。ハンドルポスト12の上端部には、ハンドルバー122が固定される。ハンドルバー122には、電動の入切等を行うための手元操作部と、後輪112が有する変速機構による速度変更を行うための変速操作部と、が設けられる。
【0017】
図2に示すように、上パイプ102は、ヘッドパイプ101より概ね後方に延びる筒状部材である。上パイプ102は、必ずしも直線状でなくてもよい。なお、ここでいう概ね後方とは、後方と40度程度以下の角度をなす方向を意味するものとする。上パイプ102の前端部は、ヘッドパイプ101の後方側の側壁に、溶接等により固定される。上パイプ102の後端部は、立パイプ104に固定される。
【0018】
立パイプ104は、概ね上下方向に開口する筒状部材である。立パイプ104の上端部近傍の前方側の側壁に、上パイプ102の後端部が溶接等により固定される。立パイプ104の上端部の開口には、
図1に示すように、サドル13より下方に延びる軸が挿入される。この軸が立パイプ104に固定されることにより、サドル13が立パイプ104に固定される。立パイプ104の下端部には、ブラケット2が固定される。
【0019】
図2に示すように、下パイプ103は、ヘッドパイプ101より概ね後方の斜め下方に延びる筒状部材である。上パイプ102は、必ずしも直線状でなくてもよい。なお、ここでいう概ね後方の斜め下方とは、後方よりも下側であって、かつ、ヘッドパイプ101が延びる方向よりも下側に傾いた方向を意味するものとする。下パイプ103の前端部は、ヘッドパイプ101の後方側の側壁のうち、上パイプ102が固定される部分よりも下側の部分に、溶接等により固定される。下パイプ103の後端部には、ブラケット2が固定される。ブラケット2は、フレーム10の一部であり、モータユニット3を支持する。
【0020】
ブラケット2の下側にモータユニット3が固定され、モータユニット3はブラケット2に支持される。ブラケット2の内面とモータユニット3の外面との間に、配線空間20が形成される。
【0021】
ブラケット2の前端部には、下パイプ103の後端部が、嵌合(焼嵌めを含む)、締結又は溶接等により固定される。第一実施形態では、ブラケット2の前端部に上下に貫通する貫通孔25が形成され、貫通孔25の周囲の部分から筒部251が突出している。この筒部251に、下パイプ103の後端部が被せられて嵌合されている。
【0022】
ブラケット2の前後方向における中間部には、立パイプ104の下端部が、嵌合(焼嵌めを含む)、締結又は溶接等により固定される。第一実施形態では、ブラケット2の中間部に上下に貫通する貫通孔26が形成され、貫通孔26の周囲の部分から筒部261が突出している。この筒部261に、立パイプ104の下端部が被せられて嵌合されている。
【0023】
ブラケット2の後端部には、チェーンステー106の前端部が、嵌合(焼嵌めを含む)、締結又は溶接等により固定される。チェーンステー106は、ブラケット2より概ね後方に延びる二本の中空又は中実の部材である。第一実施形態では、ブラケット2の後端部に筒状をしたチェーンステー106の前端部が溶接により固定されている。また、ブラケット2のチェーンステー106の内部空間に対応する位置に、上下に貫通する貫通孔27が形成されている。
【0024】
図1に示すように、上パイプ102の後端部に、シートステー105の前端部が、嵌合(焼嵌めを含む)、締結又は溶接等により固定される。シートステー105は、立パイプ104の上端部近傍より概ね後方に延びる二本の中空又は中実の部材である。第一実施形態では、筒状をしたシートステー105の前端部が溶接等により固定されている。シートステー105の後端部はチェーンステー106の後端部に固定されており、この部分に後輪112が回転可能に取り付けられる。
【0025】
また、
図2に示すように、ブラケット2及び下パイプ103は、モータユニット3に電力を供給するためのバッテリ15(
図1参照)が装着されるバッテリ装着部16を有する。バッテリ装着部16は、ブラケット2に形成される下支持部161と、下パイプ103に形成される上支持部162と、を有する。下支持部161は、バッテリ15の下端部が脱落しにくいように装着されて、バッテリ15を支持する。また、下支持部161は、バッテリ15の下端部に形成される給電用又は信号用の複数のバッテリ端子と電気的にそれぞれ接続される複数の端子を有する。複数の端子には、それぞれ配線163の一端が電気的に接続される。
【0026】
上支持部162は、バッテリ15の上端部が装着されて、バッテリ15が脱落しないようにバッテリ15をロックするロック装置を有する。
【0027】
また、下パイプ103及び配線空間20内には、変速操作部と変速機構とをつなぐ変速ワイヤ17やブレーキワイヤが通される。
【0028】
以下、モータユニット3について
図3に基づいて説明する。モータユニット3は、ケース4と、モータ5と、入力軸6と、入力体7と、出力体8と、減速機構9と、を備える。
【0029】
ケース4は、モータユニット3の外殻を構成する。ケース4は、内部に形成される収容空間に、減速機構9等の機器を収容する。ケース4は、主にアルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金等の金属により形成されるが、非金属が用いられてもよく、ケース4の材質は特に限定されない。
【0030】
ケース4は、左側に位置する第1分割体41と、右側に位置する第2分割体42と、に分割されている。第1分割体41と第2分割体42とが組み合わされて、ケース4が構成される。第一実施形態では、ケース4は左右方向に分割されているが、ケース4は、前後方向に分割されたり、上下方向に分割されたり、更に別の方向に分割されてもよい。また、ケース4については、後で更に詳しく説明する。
【0031】
第1分割体41では、内部の収容空間が右方に開放される。また、第1分割体41は、モータカップ57を有する。モータカップ57は、後述する軸線600と直交する方に突出して内部にモータ5を収容する。モータカップ57は、第1分割体41の一部に取り付けられる。モータカップ57は、ボルトよりなる締結部材571により第1分割体41と固定される。第一実施形態では、モータカップ57は、第1分割体41に取り付けられているが、モータカップ57は、第2分割体42に取り付けられてもよいし、第1分割体41と第2分割体42の両方に跨って取り付けられてもよい。
【0032】
また、モータカップ57とケース4とは別体に形成されているが、モータカップ57がケース4と一体に形成されてもよい。例えば、モータカップ57の全体が第1分割体41と一体に形成されてもよい。また、図示しないが、モータカップ57の全体が第2分割体42と一体に形成されてもよいし、モータカップ57の一部が第1分割体41に一体に形成されると共に残りの部分が第2分割体42に一体に形成されてもよい。この場合、第1分割体41と第2分割体42とが組み合わされることで、モータカップ57が構成される。第2分割体42は、内部の収容空間が左方に開放される。第1分割体41と第2分割体42とは、それぞれの収容空間が連続するように左右から合わせられて、ボルトよりなる締結部材により互いに固定される。第1分割体41と第2分割体42とが互いに固定されて、ケース4が構成される。なお、ケース4の大きさ、形状及び厚み等は、特に限定されない。また、ケース4の内部に形成される収容空間は、密閉されてもよいし、密閉されなくてもよい。
【0033】
モータ5は、ケース4に取り付けられる。更に詳しくは、モータ5は、主に第1分割体41に取り付けられるモータカップ57内に収容される。モータ5は、ケース4内に収容される。モータ5は、モータ回転軸51と、モータ回転軸51と一体に回転するロータ52と、ステータ53と、を有する。ロータ52、ステータ53とモータ回転軸51の一部が、モータカップ57内に位置する。モータ回転軸51は、その回転の中心軸が軸線600と直交する方を向くように、回転可能に収容される。なお、モータ回転軸51の中心軸が軸線600と直交しており、かつモータ回転軸51と軸線600とがねじれの関係にある構成でもよい。また、モータ回転軸51の中心軸が軸線600と直交しておらず、かつモータ回転軸51と軸線600とがねじれの関係にある構成でもよい。モータ回転軸51は、ステータ53から一方に突出しており、突出した部分の外面に減速機構9と噛み合う歯部54が形成されている。モータ回転軸51の突出した部分及びその外面に形成される歯部54により、モータ回転軸51と一体に回転する第1歯車911が構成される。モータ回転軸51の両端部はそれぞれ、第2分割体42に配置された回転軸支持軸受551と、モータカップ57に配置された回転軸支持軸受552と、に支持される。
【0034】
入力軸6は、軸線600方向(第一実施形態では左右方向)にケース4を貫通して、入力軸6の軸線600回りに回転可能に配置される。入力軸6は、入力軸体60と、入力体7と、を有する。入力軸体60は、第一実施形態では中空部材により構成されているが、中実部材により構成されてもよい。
【0035】
ケース4は、入力軸体60を回転可能に支持する第1軸受45を、軸線600方向の一端側(第一実施形態では左端側)に有する。第1分割体41には、入力軸体60が通る入力軸孔411が形成されており、この入力軸孔411に、第1軸受45が配置されている。第一実施形態では、第1軸受45は、ボールベアリングにより構成される。なお、第1軸受45としては、ころ軸受等の他の様々な軸受も利用可能であり、ボールベアリングに限定されない。
【0036】
また、ケース4は、出力体8を回転可能に支持する第2軸受46を軸線600方向の他端側(第一実施形態では右端側)に有する。第2分割体42には、入力軸体60が通る入力軸孔421が形成されており、この入力軸孔421に、第2軸受46が配置されている。第一実施形態では、入力軸体60は出力体8を介して間接的に第2軸受46に支持される。第一実施形態では、第2軸受46は、ボールベアリングにより構成される。なお、第2軸受46としては、ころ軸受等の他の様々な軸受も利用可能であり、ボールベアリングに限定されない。
【0037】
入力軸体60の端部には、
図1に示すように、クランクアーム18の一端側が固定される。クランクアーム18の他端側には、ペダル181が回転可能に取り付けられる。電動自転車1の運転者は、ペダル181を漕ぐことにより、入力軸体60に人力の回転力を伝えることができる。
【0038】
図3に示すように、入力体7は、入力軸体60の外周面に沿って配置され、入力軸体60と一体に回転する。入力体7は、筒状をした部材で、その軸線600方向が左右方向を向き、入力軸体60と同芯状に配置される。入力体7の左右方向の長さは、入力軸体60の左右方向の長さよりも短い。入力体7と入力軸体60は、軸線600方向の一部に、軸線600回りに相対的に回転不能となるように互いに嵌合する嵌合部711、61を有する。第一実施形態では、入力体7の左端部とこの部分に対応する入力軸体60に、スプライン部又はセレーション部等からなる嵌合部711、61が形成されている。嵌合部711、61は、雄ねじおよび雌ねじによって嵌合する構成であっても良い。
【0039】
更に第一実施形態では、入力体7は、入力軸体60に連結される。入力体7と入力軸体60との間に隙間70が形成されている。これにより、筒状をした入力体7の内部へ入力軸体60を挿入しやすくなっている。
【0040】
出力体8は、入力軸体60の外周面に沿って軸線600回りに回転可能に配置され、軸線600方向にケースを貫通している。出力体8は、入力体7から回転力を受ける。入力体7及び出力体8は、入力体7と出力体8とが一体的に回転するように連結する連結部を有する。なお、入力体7と出力体8との間に、電動自転車1を進行方向に加速させる方向(以下、加速方向とする)の回転力が出力体8にかかる場合にこの回転力を入力体7に伝達しないワンウェイクラッチを配置してもよい。このワンウェイクラッチを配置した場合、モータ5の駆動力のみで電動自転車1を駆動する場合(例えば押し歩きモード)において、入力軸6が供回りすることがなくなる。入力体7の外周面に、周方向に並設される凹凸からなるスプライン部73が形成される。同様に、出力体8の内周面に、周方向に並設され、スプライン部73と噛み合う凹凸からなるスプライン部81が形成される。スプライン部73及びスプライン部81により、連結部が構成される。
【0041】
出力体8は、概ね筒状をした部材で、その軸線600方向が左右方向を向き、入力軸体60と同芯状に配置される。出力体8の左右方向の長さは、入力軸体60の左右方向の長さよりも短い。出力体8の右端部は、第2分割体42に形成された入力軸孔421を通ってケース4外に突出している。出力体8は、第2分割体42に配置された第2軸受46に支持されている。出力体8は、入力軸体60及び入力体7とともに回転軸ユニット30を構成する。回転軸ユニット30は、第1軸受45及び第2軸受46を介して、ケース4に支持される。
【0042】
出力体8のケース4外に突出した部分には、前側のスプロケット191がロックリング195により固定される。前側のスプロケット191は、出力体8と一体に回転する。また、
図1に示すように、後輪112のハブに後側のスプロケット192が固定される。前側のスプロケット191と後側のスプロケット192との間に、チェーン193が掛け回される。
【0043】
スプライン部73及びスプライン部81からなる連結部が入力体7(入力軸6)及び出力体8に形成されることにより、入力軸6と出力体8とが一体的に回転して、入力軸6の回転数と出力体8の回転数が一致する。これにより、入力軸6(入力軸体60及び入力体7)、出力体8及び前側のスプロケット191の軸線600回りの回転における位相が固定される。
【0044】
また、いわゆるコースターブレーキを採用する場合、このような連結部は有効に機能する。なお、連結部としては、スプライン部73及びスプライン部81に限定されず、例えば、入力体7及び出力体8の外表面にキー溝が形成され、キー溝にキーが嵌め込まれるものであってもよいし、セレーションで形成されてもよい。
【0045】
図3に示すように、出力体8には、減速機構9を構成する第4歯車922が取り付けられる。第4歯車922は、外周面に、減速機構9の歯部82を有する。第4歯車922は、出力体8の一部となって出力体8と一体に回転し、モータ5の回転力を受けて、出力体8に回転力を伝達する。第一実施形態では、減速機構9と出力体8との間にワンウェイクラッチ316を備えている。具体的には、第4歯車922は、ワンウェイクラッチ316を介して出力体8に連結される。ワンウェイクラッチ316は、出力体8の外周に配置され、ワンウェイクラッチ316の回転の中心軸が軸線600上に位置する。これにより、ケース4内の入力軸6及び出力体8から離れた部分にワンウェイクラッチ316を配置する必要がなくなり、ケース4内の入力軸6及び出力体8から離れた部分にスペースを形成しやすい。
【0046】
ワンウェイクラッチ316は、第4歯車922に、加速方向の回転力がモータ5からかかる場合にこの回転力を出力体8に伝達し、加速方向と反対方向の回転力がかかる場合にはこの回転力を出力体8に伝達しない。また、出力体8に、加速方向の回転力がかかる場合にこの回転力を第4歯車922に伝達しない。なお、ワンウェイクラッチ316は減速機構9と出力体8との間に配置されているため、出力体8に加速方向の回転力がかかる際、減速機構9のうち伝達回転軸310に設けられた部材や減速機構9と歯部54を介して繋がるロータ52などが連れ回ることがない。これによりモータ5が停止した状態で電動自転車1が走行するとき、運転者は軽い走行感を得ることができる。
【0047】
減速機構9は、ケース4内に収容され、モータ5の回転を減速して出力体8に伝達する。減速機構9は、互いに噛み合う歯車の対を複数有する。複数の歯車の対のうち少なくとも一対は、各歯車の回転の中心軸が互いに直交する。第一実施形態では、減速機構9は、第1歯車対91及び第2歯車対92からなる二つの歯車の対を有する。
【0048】
第1歯車対91は、モータ回転軸51と一体に回転する上述した第1歯車911と、伝達回転軸310の外周面に沿って配置される第2歯車912と、により構成される。伝達回転軸310は、回転の中心軸が軸線600に平行になるように、回転可能にケース4に収容される。伝達回転軸310の両端部は、第2分割体42に配置された伝達回転軸支持軸受314と、第1分割体41に配置された伝達回転軸支持軸受315とに支持される。
【0049】
第1歯車対91を構成する第1歯車911の中心軸と、第2歯車912の中心軸とは、互いに直交する。第一実施形態における第1歯車対91は、まがりばかさ歯車を有する。すなわち、第1歯車911と第2歯車912とは、まがりばかさ歯車を構成する。なお、第1歯車対91は、まがりばかさ歯車ではなく、すぐばかさ歯車やハイポイドギアやフェースギアやねじ歯車を有するものであってもよい。例えば、すぐばかさ歯車の場合、小型化、伝達効率向上、組み立て性向上等の利点がある。また、例えば、ハイポイドギアの場合、減速比を大きくとれる等の利点がある。
【0050】
第2歯車対92は、伝達回転軸310の外周面に沿って配置される第3歯車921と、出力体8と一体に回転する上述した第4歯車922と、により構成される。第2歯車対92を構成する第3歯車921の中心軸と、第4歯車922の中心軸とは、互いに平行となる。第一実施形態における第2歯車対92は、平歯車を有する。すなわち、第3歯車921と第4歯車922と、平歯車である。なお、第3歯車921と第4歯車922は、平歯車ではなく、はすば歯車であってもよい。
【0051】
第2歯車912の外径は、第3歯車921の外径よりも大きい。第2歯車912及び第3歯車921は、伝達回転軸310と一体に回転する。
【0052】
第2歯車912の外周面には、歯部313が形成されている。歯部313は、モータ5のモータ回転軸51に形成された歯部54と噛み合って、モータ回転軸51から受ける回転力によって回転する。
【0053】
第3歯車921の外周面には、歯部317が形成されている。歯部317は、第4歯車922が有する歯部82と噛み合って、伝達回転軸310を介して第2歯車912から受ける回転力を、第4歯車922が有する歯部82に伝達する。
【0054】
運転者が、電動自転車1のペダル181を漕ぐことにより、入力軸体60に、加速方向の回転力がかかる。入力軸体60が回転すると、入力体7は、入力軸体60と一体に回転する。入力体7の加速方向の回転力は、出力体8に加速方向の回転力がかかり、出力体8及び前側のスプロケット191は加速方向に回転する。前側のスプロケット191が加速方向に回転すると、チェーン193を介して後側のスプロケット192に加速方向の回転力がかかり、後側のスプロケット192及び後輪112が加速方向に回転する。これにより、電動自転車1は進行方向に進行する。
【0055】
また、電動自転車1が人力で進行方向に進行中に、モータ5からの回転力を補助力として出力体8に加えることができる。以下に詳しく説明する。モータ5のモータ回転軸51が加速方向に回転すると、モータ5のモータ回転軸51と一体に回転する第1歯車911と噛み合う第2歯車912が加速方向に回転する。第2歯車912の加速方向の回転力は、伝達回転軸310及び伝達回転軸310に固定される第3歯車921に伝達され、第3歯車921は加速方向に回転する。第3歯車921の加速方向の回転力は、第3歯車921と噛み合う第4歯車922に伝達され、更にワンウェイクラッチ316を介して出力体8に伝達される。すなわち、出力体8は、入力体7からの人力の回転力と、モータ5からの回転力とが合わさる合力体として機能する。第一実施形態におけるモータユニット3は、いわゆる一軸式のモータユニット3である。
【0056】
電動自転車1にあっては、入力軸体60にかかっているトルク及び入力軸体60の単位時間当たりの回転数に応じて、モータ5からの回転力が制御される。入力軸体60にかかっているトルクは、トルク検出部33により検出される。トルク検出部33は、回転軸ユニット30の外周面に沿う、軸線600方向の一部の範囲に配置される。
【0057】
第一実施形態では、入力体7の外周面に、磁気異方性が付与された磁歪発生部331が形成されている。また、入力体7の外周面の磁歪発生部331が設けられた部分から若干の間隔をあけて、コイル332が配置されている。これらの磁歪発生部331及びコイル332により、トルク検出部33としての磁歪式のトルクセンサが構成されている。このような磁歪式のトルクセンサとしては、様々なものが適宜利用可能である。また、トルク検出部33は、磁歪式のトルクセンサに限定されない。
【0058】
入力軸体60の単位時間当たりの回転数は、回転検出部34により検出される。回転検出部34は、回転軸ユニット30の外周面に沿う、軸線600方向の一部の範囲に配置される。
【0059】
第一実施形態では、入力体7の外周面側であって、トルク検出部33のコイル332の右側に、周方向に一定間隔で歯部及び歯部の間に形成される通光部を有する回転体341が、入力体7と一体に回転するように固定されている。更に、回転体341の歯部を左右から挟むように光センサ342が配置される。光センサ342は、歯部の左側に配置される出光部と、歯部の右側に配置される受光部と、を有するが、出光部及び受光部の位置関係は限定されない。このような回転体341及び光センサ342を有する回転検出部34としては、様々なものが適宜利用可能である。また、回転検出部34は、回転体341及び光センサ342を有するものに限定されない。
【0060】
モータユニット3は、ケース4内に、モータ5を制御する制御部を有する制御基板35が配置される。制御部は、例えばマイクロコンピュータを有し、ROM(Read Only Memory)等の記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、各要素の動作を制御する。このような制御部は、様々なものが適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。制御部は、トルク検出部33により検出されたトルク及び回転検出部34により検出された回転数に基いて、モータ5からの回転力を制御する。
【0061】
第一実施形態では、一対の第1歯車911、第2歯車912が、第1歯車911、第2歯車912の回転の中心軸が互いに直交するため、モータ5のモータ回転軸51の中心軸を軸線600方向と直交させやすい。これにより、ケース4内に配置されるモータ5及び減速機構9の軸線600方向の長さを短くし、ケース4の幅を短くしていわゆるQファクターを小さくし、ケース4の小型化を図ることができる。
【0062】
第一実施形態では、入力軸6の回転数と出力体8の回転数が一致する。換言すると、入力軸6と出力体8との間には、入力軸6の回転力を出力体8に伝達するための歯車が介在していない。このため、歯車が介在する場合に発生しやすい歯打ち音が発生せず、静粛なモータユニット3を構成しやすい。
【0063】
また、第一実施形態では、減速機構9は、第1歯車対91及び第2歯車対92からなる二つの歯車の対を有し、モータ5の回転力が、いわゆる二段減速により、出力体8に伝達されるため、大きな減速を達成しやすい。
【0064】
また、第一実施形態では、第4歯車922は、歯部82がはす歯であるため、噛み合い率が向上し、静粛なモータユニット3を構成しやすい。
【0065】
次に、第二実施形態のモータユニット3について、
図5及び
図6に基いて説明する。なお、第二実施形態のモータユニット3は、第一実施形態のモータユニット3と大部分において同じである。以下、主に第一実施形態と異なる部分について説明する。
【0066】
第一実施形態では、第1歯車対91は、まがりばかさ歯車を有するものであった。これに対して第二実施形態では、第1歯車対91は、ウォームギアを有するものである。第1歯車対91を構成する一方の第1歯車911は、ウォームギアからなり、第1歯車対91を構成する他方の第2歯車912は、ウォームホイールからなる。第1歯車911のらせん状をした歯部54と、第2歯車912の歯部313が噛み合う。
【0067】
第二実施形態においても、ケース4内に配置されるモータ5及び減速機構9の軸線600方向の長さを短くし、ケース4の幅を短くしていわゆるQファクターを小さくし、ケース4の小型化を図ることができる。
【0068】
次に、第一実施形態及び第二実施形態の変形例について説明する。
【0069】
入力体7と出力体8との間に、ワンウェイクラッチが配置されてもよい。この場合、モータ5の駆動によって入力軸6は回転されない。よって、モータ5によってのみ駆動される電動自転車1を押し歩く際、クランクアーム18が供回りされず運転者は好適に車体を取りまわすことができる。ワンウェイクラッチは、入力体7に、加速方向の回転力がかかる場合にこの回転力を出力体8に伝達し、加速方向と反対方向の回転力がかかる場合にはこの回転力を出力体8に伝達しない。また、このワンウェイクラッチは、出力体8に、加速方向の回転力がかかる場合にこの回転力を入力体7に伝達しない。
【0070】
モータユニット3は、フレーム10に内蔵されてもよい。フレーム10にモータユニット3が内蔵される場合、フレーム10の構成する複数の部材(例えば立パイプ104とチェーンステー106など)に跨り位置してもよい。
【0071】
第1歯車対91は、フェースギアを有してもよい。
【0072】
第1歯車対91は、ハイポイドギアを有してもよい。
【0073】
第1歯車対91は、ねじ歯車を有してもよい。
【0074】
次に、
図7に示す変形例について説明する。本変形例は、第一実施形態又は第二実施形態の電動自転車1における、主にフレーム10へのバッテリ15の装着状態が異なる例である。
【0075】
本変形例では、下パイプ103は中間部分が下方に凸となるように屈曲しており、この屈曲部よりも前側の前部1031と屈曲部よりも後側の後部1032とを有している。バッテリ15は、前部1031内に収容されることで、フレーム10に装着される。
【0076】
バッテリ15がフレーム10に装着された状態において、モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510と、バッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150とが交差している。モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510は、後部1032の長手方向に沿っている。また、バッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150は、前部1031の長手方向に沿っている。
【0077】
第1仮想線510と第2仮想線150とが交差する点(下パイプ103の屈曲部のあたりの点)は、モータ回転軸51から延びる第1仮想線510とバッテリ15から延びる第2仮想線150の交差点であり、この交差点にはバッテリ15及びモータ5(モータユニット3)が位置しない。
【0078】
バッテリ15は、後部1032に形成された開口(不図示)を介して、前部1031内に収容される。更に説明すると、後部1032の第2仮想線150と交差する部分に、バッテリ15が挿通可能な開口が形成されており、この開口には蓋(不図示)が着脱可能に装着される。バッテリ15は、蓋が外された後部1032の開口より、前部1031内に向けて前方に挿入され、挿入後、蓋が開口に装着される。前部1031内に挿入されたバッテリ15の端子は、バッテリ装着部16が有するバッテリ端子と電気的に接続される。
【0079】
本変形例にあっては、第2仮想線150上に、モータ5(モータユニット3)が位置しない。このため、バッテリ15を前部1031の長手方向に沿って移動させて取り出す際に、動線上(すなわち第2仮想線150上)にモータ5(モータユニット3)等の障害物がなく、バッテリ15をフレーム10から取り外しやすい。また、フレーム10の小型化を図りやすい。
【0080】
次に、
図8に示す変形例について説明する。本変形例は、
図7に示す変形例の更なる変形例であり、
図7に示す変形例と大部分の構成が同じであるため、
図7に示す変形例と異なる構成についてのみ説明する。
【0081】
本変形例は、
図7に示す変形例において上パイプ102を省略した例である。本変形例の電動自転車1にあっては、上パイプ102が設けられていないため、電動自転車1に乗っていない状態から電動自転車1に乗る際に、足を上パイプ102の上方を通したり後輪112の後方を通して跨ったりする必要がなく、電動自転車1に乗りやすい。また、
図7に示す変形例と同様に、第2仮想線150上に、モータ5(モータユニット3)が位置しないため、バッテリ15を前部1031の長手方向に沿って移動させて取り出す際に、動線上(すなわち第2仮想線150上)にモータ5(モータユニット3)等の障害物がなく、バッテリ15をフレーム10から取り外しやすい。また、フレーム10の小型化を図りやすい。
【0082】
次に、
図9に示す変形例について説明する。本変形例は、第一実施形態又は第二実施形態の電動自転車1における、主にフレーム10へのバッテリ15の装着状態が異なる例である。
【0083】
本変形例では、下パイプ103は、
図7及び
図8に示す変形例とは異なり、
図1に示す実施形態と同様に屈曲しておらず、直線状に形成されている。バッテリ15は、下パイプ103内に収容されることで、フレーム10に装着される。モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510及びバッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150は、下パイプ103の長手方向に沿っている。
【0084】
本変形例では、入力軸6の軸線600方向からみたとき、モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510が、バッテリ15と重なる。更に言うと、第1仮想線510が、第2仮想線150に沿って平行になっている。
【0085】
本変形例にあっては、モータ回転軸51とバッテリ15とを略同一直線上に配置しやすく、フレーム10の小型化を図りやすい。
【0086】
次に、
図10に示す変形例について説明する。本変形例は、
図9に示す変形例の更なる変形例であり、
図9に示す変形例と大部分の構成が同じであるため、
図9に示す変形例と異なる構成についてのみ説明する。
【0087】
本変形例では、バッテリ15は、直線状をした立パイプ104内に収容されることで、フレーム10に装着される。モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510及びバッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150は、立パイプ104の長手方向に沿っている。
【0088】
本変形例では、
図9に示す変形例と同様に、入力軸6の軸線600方向からみたとき、モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510が、バッテリ15と重なる。更に言うと、第1仮想線510が、第2仮想線150に沿っている。
【0089】
本変形例にあっては、
図9に示す変形例と同様に、モータ回転軸51とバッテリ15とを略同一直線上に配置しやすく、フレーム10の小型化を図りやすい。
【0090】
次に、
図11に示す変形例について説明する。本変形例は、
図10に示す変形例の更なる変形例であり、
図10に示す変形例と大部分の構成が同じであるため、
図10に示す変形例と異なる構成についてのみ説明する。
【0091】
本変形例では、バッテリ15は、直線状をした立パイプ104の後側に装着されることで、フレーム10に装着される。モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510及びバッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150は、立パイプ104の長手方向に沿っている。すなわち、入力軸6の軸線600方向からみたとき、第1仮想線510が、第2仮想線150に沿って平行になっているが、第1仮想線510と第2仮想線150とは同一直線上になく、平行にずれている。
【0092】
本変形例にあっては、第1仮想線510と第2仮想線150とが平行になるため、フレーム10を直線的に形成しやすく、これによりフレーム10の剛性を向上させやすい。
【0093】
次に、
図12に示す変形例について説明する。本変形例は、
図11に示す変形例の更なる変形例であり、
図11に示す変形例と大部分の構成が同じであるため、
図11に示す変形例と異なる構成についてのみ説明する。
【0094】
図11に示す変形例では、バッテリ15は立パイプ104の後側に装着されることでフレーム10に装着されるのに対し、本変形例では、バッテリ15は、直線状をした立パイプ104の前側に装着される点で異なる。モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510及びバッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150は、立パイプ104の長手方向に沿っている。すなわち、入力軸6の軸線600方向からみたとき、第1仮想線510が、第2仮想線150に沿って平行になっているが、第1仮想線510と第2仮想線150とは同一直線上になく、平行にずれている。
【0095】
本変形例にあっては、
図11に示す変形例と同様に、第1仮想線510と第2仮想線150とが平行になるため、フレーム10を直線的に形成しやすく、これによりフレーム10の剛性を向上させやすい。
【0096】
以上、述べた実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様のモータユニット3は、ケース4と、ケース4内に収容され、モータ回転軸51と、モータ回転軸51と一体に回転するロータ52とを有するモータ5と、入力軸6と、出力体8と、減速機構9と、を備える。入力軸6は、軸線600方向にケース4を貫通して軸線600回りに回転可能に配置される。出力体8は、軸線600方向にケース4を貫通して軸線600回りに回転可能に配置される。減速機構9は、ケース4内に収容され、モータ5の回転を減速して出力体8に伝達する。減速機構9は、互いに噛み合う歯車の対を複数有する。複数の歯車の対のうち少なくとも一対は、各歯車の回転の中心軸が互いに直交する。
【0097】
第1の態様によれば、ケース4内に配置されるモータ5及び減速機構9の軸線600方向の長さを短くしやすく、ケース4の幅を短くしてケース4の小型化を図りやすい。
【0098】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、減速機構9は、第1歯車対91及び第2歯車対92からなる二つの歯車の対を有する。第1歯車対91を構成する第1歯車911、第2歯車912の中心軸は、互いに直交する。第2歯車対92を構成する第3歯車921、第4歯車922の中心軸は、互いに平行となる。
【0099】
第2の態様によれば、ケース4の幅を短くしてケース4の小型化を図りやすい。
【0100】
第3の態様は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、第1歯車対91は、第1歯車911、第2歯車912の中心軸が交わる。
【0101】
第3の態様によれば、小型化、伝達効率向上および組み立て性向上を図りやすい。
【0102】
第4の態様は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、第1歯車対91は、第1歯車911、第2歯車912の中心軸が交わらない。
【0103】
第4の態様によれば、減速比を大きくとりやすい。
【0104】
第5の態様は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、第1歯車対91は、ハイポイドギア又はまがりばかさ歯車である。
【0105】
第5の態様によれば、ケース4の幅を短くしてケース4の小型化を図りやすい。
【0106】
第6の態様は、第2~第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、第1歯車対91は、減速機構9は、伝達回転軸310を有し、第1歯車対91をモータ回転軸51と一体に回転する第1歯車911と、伝達回転軸310に配置される第2歯車912とで構成し、第2歯車対92を伝達回転軸310に配置される第3歯車921と、出力体8と一体に回転する第4歯車922とで構成している。
【0107】
第6の態様によれば、ケース4の幅を短くしてケース4の小型化を図りやすい。
【0108】
第7の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、入力軸6の回転数と出力体8の回転数が一致するように構成されている。
【0109】
第7の態様によれば、入力軸6と出力体8の軸線600回りの回転における位相が固定される。
【0110】
第8の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、減速機構9と出力体8との間にワンウェイクラッチ316を備える。ワンウェイクラッチ316の回転の中心軸が軸線600上に位置する。
【0111】
第8の態様によれば、ケース4内の入力軸6及び出力体8から離れた部分にワンウェイクラッチ316を配置する必要がなくなり、ケース4内の入力軸6及び出力体8から離れた部分にスペースを形成しやすい。
【0112】
第9の態様の電動自転車1は、第1~第8のいずれかのモータユニット3を備えている。
【0113】
第9の態様によれば、ケース4の幅を短くしてケース4の小型化を図った電動自転車1としやすい。
【0114】
第10の態様は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様では、第6の態様のモータユニット3と、フレーム10と、フレーム10に装着されるバッテリ15とを備える。入力軸6の軸線600方向からみたとき、モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510がバッテリ15と重なる。
【0115】
第10の態様によれば、モータ回転軸51とバッテリ15とを略同一直線上に配置しやすく、フレーム10の小型化を図りやすい。
【0116】
第11の態様は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様では、第6の態様のモータユニット3と、フレーム10と、フレーム10に装着されるバッテリ15とを備える。入力軸6の軸線600方向からみたとき、バッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150とモータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510とが平行である。
【0117】
第11の態様によれば、第1仮想線510と第2仮想線150とが平行になるため、フレーム10を直線的に形成しやすく、これによりフレーム10の剛性を向上させやすい。
【0118】
第12の態様は、第1~第8のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第12の態様では、第1~第8のいずれかの態様のモータユニット3と、フレーム10と、フレーム10に装着されるバッテリ15とを備える。入力軸6の軸線600方向からみたとき、モータ回転軸51の中心軸の軸線方向に伸びる第1仮想線510と、バッテリ15の長手方向に伸びる第2仮想線150とが交差する。
【0119】
第12の態様によれば、第2仮想線150上に、モータ5(モータユニット3)が位置しないようにできて、バッテリ15をフレーム10の長手方向に沿って移動させて取り出す際に、動線上(すなわち第2仮想線150上)にモータ5(モータユニット3)等の障害物がなく、バッテリ15をフレーム10から取り外しやすい構成とすることができる。
【0120】
第13の態様は、第12の態様との組み合わせにより実現され得る。第13の態様では、第1仮想線と第2仮想線とがフレーム10上で交差する。
【0121】
第13の態様によれば、フレーム10の小型化を図りやすい。
【符号の説明】
【0122】
1 電動自転車
10 フレーム
15 バッテリ
150 第2仮想線
3 モータユニット
31 減速機構
310 伝達回転軸
4 ケース
5 モータ
51 モータ回転軸
510 第1仮想線
52 ロータ
6 入力軸
600 軸線
8 出力体
91 第1歯車対
911 第1歯車
912 第2歯車
92 第2歯車対
921 第3歯車
922 第4歯車