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特開2023-94436送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094436
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20230628BHJP
   H04W 28/18 20090101ALI20230628BHJP
【FI】
H04W16/28 150
H04W28/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209916
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 豊
(72)【発明者】
【氏名】作田 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太樹
(72)【発明者】
【氏名】永井 倫亮
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067CC01
5K067DD44
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】資源の浪費を抑制する技術を提供する。
【解決手段】N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置と受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集部と、収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置のうち、通信に使用する送信装置を選択する選択部と、を備えた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置であって、
前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集部と、
前記収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択部と、
を備えた送信制御装置。
【請求項2】
前記通信品質情報は、前記送信装置における変調符号化方式であり、
前記選択部は、前記送信装置ごとに前記収集部によって収集された変調符号化方式に応じて定まる伝送レートの最大値に応じて、通信に使用する前記送信装置の個数nを決定し、伝送レートが最大の前記送信装置から、伝送レートが上位n番目までの前記送信装置を通信に使用する前記送信装置として選択する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項3】
前記通信品質情報は、前記送信装置と1対1で通信する前記受信装置における受信電波強度を示す情報であり、
前記選択部は、前記送信装置ごとに前記収集部によって収集された受信電波強度の最大値に応じて、通信に使用する前記送信装置の個数nを決定し、受信電波強度が最大の前記送信装置から、受信電波強度が上位n番目までの前記送信装置を通信に使用する前記送信装置として選択する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項4】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の前記受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、
前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部と、
を備えた受信制御装置。
【請求項5】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置の制御方法であって、
送信制御装置が、前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集ステップと、
送信制御装置が、前記収集ステップにより収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択ステップと、
を備えた制御方法。
【請求項6】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の前記受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、
受信制御装置が、前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力ステップ、
を備えた制御方法。
【請求項7】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集部と、
前記収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項8】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の前記受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Wifi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線通信では、時々刻々と無線経路の状態が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の送信装置と複数の受信装置とが1対1で通信を行うとともに、送信するデータを複製して、各々の送信装置が同じデータを含むフレームを送信する通信システムがある。1対1で通信を行う場合、送信装置と受信装置間の伝送レートにばらつきが生じることがある。そのため、例えば伝送レートが小さい送信装置と受信装置とを通信させても、他の送信装置や受信装置間で既に送受信済みとなったフレームばかりを送受信することがある。この場合、伝送レートが小さい送信装置と受信装置とで電力が消費されたり、伝送レートが小さい送信装置と受信装置とが使用する周波数で周波数がひっ迫するなど、資源を必要以上に浪費するという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の送信装置と複数の受信装置とが1対1で通信を行う通信システムにおいて、資源の浪費を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置であって、前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集部と、前記収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択部と、を備えた送信制御装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、前記通信品質情報は、前記送信装置における変調符号化方式であり、前記選択部は、前記送信装置ごとに前記収集部によって収集された変調符号化方式に応じて定まる伝送レートの最大値に応じて、通信に使用する前記送信装置の個数nを決定し、伝送レートが最大の前記送信装置から、伝送レートが上位n番目までの前記送信装置を通信に使用する前記送信装置として選択する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、前記通信品質情報は、前記送信装置と1対1で通信する前記受信装置における受信電波強度を示す情報であり、前記選択部は、前記送信装置ごとに前記収集部によって収集された受信電波強度の最大値に応じて、通信に使用する前記送信装置の個数nを決定し、受信電波強度が最大の前記送信装置から、受信電波強度が上位n番目までの前記送信装置を通信に使用する前記送信装置として選択する。
【0009】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の前記受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、前記データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部と、を備えた受信制御装置である。
【0010】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置の制御方法であって、送信制御装置が、前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集ステップと、送信制御装置が、前記収集ステップにより収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択ステップと、を備えた制御方法である。
【0011】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の前記受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、受信制御装置が、前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力ステップ、を備えた制御方法である。
【0012】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、各々の前記送信装置から、前記送信装置における変調符号化方式、または前記送信装置と1対1で通信する前記受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、前記収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択部と、して機能させるためのプログラムである。
【0013】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記送信装置を制御する送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記送信装置と前記受信装置との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する収集部と、前記収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の前記送信装置のうち、通信に使用する前記送信装置を選択する選択部と、して機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、この発明によれば、資源の浪費を抑制する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】送信制御装置、受信制御装置を含む通信システムの概略構成を示す図である。
図2】フレームの一例である。
図3】破棄されるデータを説明するための図である。
図4】MCSと伝送レートとの対応例を示す図である。
図5】MCSにもとづいて選択する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】RSSIにもとづいて選択する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】出力部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る通信システムについて説明する。本実施形態で説明する通信システムは、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムである。
【0017】
具体的に、図1を用いて説明する。図1は、送信制御装置10、および受信制御装置70を含む通信システム1の概略構成を示す図である。通信システム1は、送信制御装置10、送信サーバ40、送信装置50-1、…、50-N、受信装置60-1、…、60-N、受信制御装置70、および受信サーバ80を備える。以下の説明において、送信装置50-1、…、50-Nのそれぞれを区別しない場合には、送信装置50と表現する。受信装置60-1、…、60-Nのそれぞれを区別しない場合には、受信装置60と表現する。送信装置50は、受信装置60と1対1で通信する。本実施形態では、送信装置50-k(k=1~N)と受信装置60-kとが1対1で通信する。また、送信装置50、および受信装置60は、例えば無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて通信を行う。
【0018】
送信サーバ40は、送信制御装置10に受信サーバ80に送信するデータを送信する。送信制御装置10は、送信装置50に送信サーバ40から受信したデータを複製し、同じデータを各送信装置50に出力する。送信装置50は、送信制御装置10により出力されたデータを、無線により受信装置60に送信する。このとき、データは後述するフレームに埋め込まれて送信される。受信装置60は、送信装置50から受信したデータを受信制御装置70に出力する。受信制御装置70は、受信装置60により出力されたデータを受信サーバ80に送信する。
【0019】
送信制御装置10の詳細について説明する。送信制御装置10は、演算部20、および送信制御部30で構成される。演算部20は、収集部21、選択部22、および通知部23で構成される。収集部21は、送信装置50と受信装置60との間の通信品質を示す通信品質情報を収集する。本実施形態では、通信品質情報として、送信装置50における変調符号化方式(MCS(Modulation and Coding Scheme))、または送信装置50と1対1で通信する受信装置60における受信電波強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を収集する。なお、変調符号化方式は、変調方式や符号化率がインデックス化されたものであるが、本実施形態では、説明を簡単にするために、MCS値(以下、単に「MCS」という)を収集部21が取得するものとする。収集部21は、MCSおよびRSSIをSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて取得してもよい。
【0020】
選択部22は、収集部21により収集されたMCS、またはRSSIにもとづき、N個の送信装置50のうち、通信に使用する送信装置50を選択する。選択方法については後述する。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する。
【0021】
送信制御部30は、設定部31、信号受信部32、およびフレーム送信部33で構成される。設定部31は、通知部23から通知された上記特定情報をフレーム送信部33に出力する。信号受信部32は、送信サーバ40から送信されたデータを受信し、フレーム送信部33に出力する。フレーム送信部33は、信号受信部32から出力されたデータをフレームに埋め込み、そのフレームを複製し、特定情報で特定される、通信に使用する送信装置50に出力する。
【0022】
図2は、フレームの一例である。図2に示されるフレームは、本実施形態に無関係なヘッダや誤り訂正符号などは省略している。図2に示されるように、フレームには、順番情報と識別情報とデータとが含まれる。順番情報は、データの順番を示す情報である。識別情報は、データを識別するための情報である。
【0023】
フレームが入力された送信装置50は、それぞれ対応する受信装置60に無線によりデータを送信する。受信装置60は、受信したデータを受信制御装置70に出力する。
【0024】
図1に示されるように、受信制御装置70は、信号受信部71、記憶部72、および出力部73で構成される。信号受信部71は、受信装置60から出力されたデータを受信する。記憶部72は、信号受信部71が受信したデータを一時記憶する。出力部73は、記憶部72に記憶されたデータ(「データA」とする)を識別するための識別情報をフレームから取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、データAを破棄する。また、出力部73は、フレームから取得した識別情報と同じ識別情報が、既に受信したフレームから取得されていない場合に、データAの順番を示す順番情報に従って、上位装置にデータAを出力する。
【0025】
破棄について具体的に図3を用いて説明する。図3は、破棄されるデータを説明するための図である。図3には、送信装置Yと受信装置Xとが通信し、送信装置Zと受信装置Wとが通信している様子が示されている。また、フレームa、b、cが示されている。各フレームは、受信装置に近いものほど受信装置に時間的に早く受信されるものとする。
【0026】
フレームaは、受信装置Xが受信装置Wよりも早く受信する。フレームb、cは、受信装置Wが受信装置Xよりも早く受信する。この場合、破棄されるフレームは、受信装置Wが受信したフレームaと、受信装置Xが受信したフレームb、cとなる。
【0027】
図3に示されるように、最も早く受信装置60で受信されたデータが受信サーバ80に出力されるので、低遅延かつ安定的な通信を実現できる。
【0028】
次に、選択部22の選択方法について説明する。上述したように、選択部22は、N個の送信装置50のうち、通信に使用する送信装置50を選択する。まず、MCSにもとづく選択方法について説明する。
【0029】
選択部22は、送信装置50ごとに収集部21によって収集されたMCSに応じて定まる伝送レートの最大値に応じて、通信に使用する送信装置50の個数nを決定し、伝送レートが最大の送信装置50から、伝送レートが上位n番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置として選択する。
【0030】
選択部22は、MCSに応じて定まる伝送レートを求める。選択部22がMCSから伝送レートを求める方法について説明する。
【0031】
図4は、MCSと伝送レートとの対応例を示す図である。MCSと伝送レートとの対応を示す情報は、例えばテーブルとして不図示の記憶部に記憶されていてもよいし、プログラムのif文またはcase文などを用いてプログラムに組み込んでいてもよい。選択部22は、収集部21が各々の送信装置50から収集したMCSに対応する伝送レートを各々の送信装置50ごとに取得する。例えば、送信装置50-1から、MCSとして2が収集された場合には、送信装置50-1の伝送レートとしてr2を取得する。なお、MCSと伝送レートとの対応を示す情報を用いて伝送レートを取得する方法に代えて、送信装置50から直接伝送レートを取得してもよい。
【0032】
MCSにもとづいて選択する場合の送信制御装置10の処理を図5のフローチャートを用いて説明する。図6において、収集部21は、各送信装置50からMCSを取得する(ステップS101)。選択部22は、取得されたMCSに対応する伝送レートを各送信装置50ごとに取得する(ステップS102)。選択部22は、各々の送信装置50の伝送レートを取得すると、伝送レートを大きい順にソートする(ステップS103)。
【0033】
選択部22は、各々の送信装置50の伝送レートのうちの最大伝送レートが100Mbps以上か否かを判定する(ステップS104)。最大伝送レートが100Mbps以上の場合には(ステップS104:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を1個に決定する(ステップS105)。選択部22は、伝送レートが最大の送信装置50から、伝送レートが上位1番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS106)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS107)。
【0034】
最大伝送レートが100Mbps未満の場合には(ステップS104:NO)、選択部22は、各々の送信装置50の伝送レートのうちの最大伝送レートが75Mbps以上か否かを判定する(ステップS108)。最大伝送レートが75Mbps以上の場合には(ステップS108:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を2個に決定する(ステップS109)。選択部22は、伝送レートが最大の送信装置50から、伝送レートが上位2番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS110)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS107)。
【0035】
最大伝送レートが75Mbps未満の場合には(ステップS108:NO)、選択部22は、各々の送信装置50の伝送レートのうちの最大伝送レートが50Mbps以上か否かを判定する(ステップS111)。最大伝送レートが50Mbps以上の場合には(ステップS111:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を3個に決定する(ステップS112)。選択部22は、伝送レートが最大の送信装置50から、伝送レートが上位3番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS113)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS107)。
【0036】
最大伝送レートが50Mbps未満の場合には(ステップS111:NO)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数をN個に決定する(ステップS114)。選択部22は、伝送レートが最大の送信装置50から、伝送レートが上位N番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS115)。図1の構成に示されるように、送信装置50はN個のため、全ての送信装置50が通信に使用する送信装置50となる。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS107)。
【0037】
図5のフローチャートにおける各判定(ステップS104、108、111)で用いられた閾値(100Mbps、75Mbps、50Mbps)は一例であり、どのような閾値を用いてもよい。また、判定を行う回数(図5ではステップS104、108、111の3回)も一例であり、どのような回数であってもよい。
【0038】
なお、閾値は、例えば送信装置50と受信装置60との間で要求される伝送レートに応じて定めてもよい。例えば、要求される伝送レートがR(Mbps)の場合、閾値をR、(3×R)/4、R/2などとしてもよい。また、閾値で振り分けずに、伝送レートが大きい順の上位の送信装置50の伝送レートの総和がRを超える最小の個数の送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択してもよい。
【0039】
図5の処理に示されるように、MCSにもとづき、N個の送信装置50のうち、通信に使用する送信装置50を選択することで、必要以上に送信装置50を使用しないことから、消費電力や周波数などの資源の浪費を抑制することができる。
【0040】
次に、RSSIにもとづく選択方法について説明する。選択部22は、送信装置50ごとに収集部21によって収集されたRSSIの最大値に応じて、通信に使用する送信装置50の個数nを決定し、RSSIが最大の送信装置50から、RSSIが上位n番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する。
【0041】
RSSIにもとづいて選択する場合の送信制御装置10の処理を図6のフローチャートを用いて説明する。図6において、収集部21は、各送信装置50からRSSIを取得する(ステップS201)。選択部22は、各々の送信装置50のRSSIを取得すると、RSSIを大きい順にソートする(ステップS202)。
【0042】
選択部22は、各々の送信装置50のRSSIの最大値が-30dBm以上か否かを判定する(ステップS203)。RSSIの最大値が-30dBm以上の場合には(ステップS203:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を1個に決定する(ステップS204)。選択部22は、RSSIが最大の送信装置50から、RSSIが上位1番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS205)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS206)。
【0043】
RSSIの最大値が-30dBm未満の場合には(ステップS203:NO)、選択部22は、各々の送信装置50のRSSIの最大値が-50dBm以上か否かを判定する(ステップS207)。RSSIの最大値が-50dBm以上の場合には(ステップS207:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を2個に決定する(ステップS208)。選択部22は、RSSIが最大の送信装置50から、RSSIが上位2番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS209)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS206)。
【0044】
RSSIの最大値が-50dBm未満の場合には(ステップS208:NO)、選択部22は、各々の送信装置50のRSSIの最大値が-70dBm以上か否かを判定する(ステップS210)。RSSIの最大値が-70dBm以上の場合には(ステップS210:YES)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数を3個に決定する(ステップS211)。選択部22は、RSSIが最大の送信装置50から、RSSIが上位3番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS212)。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS206)。
【0045】
RSSIの最大値が-70dBm未満の場合には(ステップS210:NO)、選択部22は、通信に使用する送信装置50の個数をN個に決定する(ステップS213)。選択部22は、RSSIが最大の送信装置50から、RSSIが上位N番目までの送信装置50を通信に使用する送信装置50として選択する(ステップS214)。図1の構成に示されるように、送信装置50はN個のため、全ての送信装置50が通信に使用する送信装置50となる。通知部23は、選択部22により選択された送信装置50を特定する特定情報を送信制御部30の設定部31に通知する(ステップS206)。
【0046】
図6のフローチャートにおける各判定(ステップS203、207、210)で用いられた閾値(-30dBm、-50dBm、-70dBm)は一例であり、どのような閾値を用いてもよい。また、判定を行う回数(図6ではステップS203、207、210の3回)も一例であり、どのような回数であってもよい。
【0047】
図6の処理に示されるように、RSSIにもとづき、N個の送信装置50のうち、通信に使用する送信装置50を選択することで、必要以上に送信装置50を使用しないことから、消費電力や周波数などの資源の浪費を抑制することができる。
【0048】
次に、受信制御装置70の処理について説明する。図7は、出力部73の処理の流れを示すフローチャートである。図7において、出力部73は、記憶部110に記憶されたデータを受信サーバ80に出力した際に、出力したデータの順番情報と識別情報とを取得する。取得された順番情報と識別情報は、不図示の記憶装置に記憶される。
【0049】
出力部73は、記憶部72を参照して、次のデータが記憶されているか否かを判定する(ステップS302)。ここで、「次のデータ」とは、ステップS301で記憶された順番情報に示される順番の次の順番のデータを示す。したがって、例えばステップS301で記憶された順番情報に示される順番が5の場合、次の順番である6番目のデータが「次のデータ」となる。一方、次の順番である6番目のデータが記憶されてなく、7番目のデータが記憶されている場合には、ステップS302では否定判定され、6番目のデータの記憶待ちとなる。
【0050】
次のデータが記憶されていない場合には(ステップS302:NO)、次のデータの記憶待ちとなる。次のデータが記憶されている場合には(ステップS302:YES)、出力部73は、次のデータの識別情報を取得する(ステップS304)。出力部73は、ステップS304で取得した識別情報が、ステップS301で既に取得された識別情報か否かを判定する(ステップS304)。ステップS304で取得した識別情報が、ステップS301で既に取得された識別情報の場合には(ステップS304:YES)、出力部73は、データを破棄し(ステップS305)、ステップS302に戻る。データの破棄は、例えば記憶部110に記憶されたデータを削除することである。ステップS304で取得した識別情報が、ステップS301で既に取得された識別情報ではない場合には(ステップS304:NO)、出力部73はデータを受信サーバ80に出力し(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0051】
このように、出力部73は、記憶部72において記憶されたデータを、データの順番に従って、受信サーバ80にデータを出力する。これにより、順番が担保されたデータを上位装置に出力することができるので、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供することができる。また、既に取得された識別情報のデータが送信されることもないため、重複したデータを受信サーバ80にデータを出力することも防止できる。
【0052】
また、受信制御装置70により、受信装置60は、データの順番などを考慮せずに、送信装置50から単純にデータを受信して受信制御装置70に出力すればよい。この受信制御装置70により、受信装置60は、送信装置50と1対1での通信が可能となり、送信装置50と通信をしない場合には受信装置60の消費電力は、通信する場合と比較して減少し、また通信のための周波数も使用しないため、資源の浪費を抑制することができる。
【0053】
以上説明した実施形態において、収集部21がMCSまたはRSSIを収集するタイミングは、無線品質の変化の度合いに応じて定めるようにしてもよい。すなわち、無線品質の変化の度合いが大きい場合には、例えば1分ごとに収集して送信装置50を選択させる。このようにすることで、刻々と変化する無線品質に対応することができる。一方、無線品質の変化の度合いが小さい場合には、例えば1日ごとに収集して送信装置50を選択させる。このようにすることで、収集部21と送信装置50との通信頻度を無駄に多くする場合と比較して、収集部21と送信装置50との間のトラヒックを抑制でき、また演算部20の演算に要する処理も削減することができる。
【0054】
以上説明した実施形態において、送信制御装置10および受信制御装置70は、ソフトウェアで実現されていてもよいし、ハードウェアで実現されていてもよい。例えば、送信制御装置10において、データを送信装置50に出力する処理や、受信制御装置70においてデータを記憶部72に記憶させる処理をハードウェアで実現することで、より高速化することができる。また、演算部20をソフトウェアで実現し、送信制御装置10から演算部20の機能を除いたものをハードウェアで実現してもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信に使用する送信装置50を選択することで、従来技術のように全ての送信装置で送信する場合と比較して、消費電力を抑制でき、かつ周波数のひっ迫も抑制できることから、資源の浪費を抑制することができる。
【0056】
なお、以上説明した実施形態では、通信品質情報として、変調符号化方式または受信電波強度を例にしたが、これに限るものではない。通信品質情報として、通信の品質を示す情報(例えば、通信速度や通信の安定度合いを示す情報)であれば、どのような無線情報でもよい。
【0057】
上述した実施形態における送信制御装置10、受信制御装置70、または演算部20の処理をソフトウェアによりコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0058】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 通信システム、10 送信制御装置、20 演算部、21 収集部、22 選択部、23 通知部、30 送信制御部、31 設定部、32 信号受信部、33 フレーム送信部、40 送信サーバ、50 送信装置、60 受信装置、70 受信制御装置、71 信号受信部、72 記憶部、73 出力部、80 受信サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7