(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094438
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】受発注システム、受発注方法及び受発注プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230628BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230628BHJP
【FI】
G06Q30/06 308
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209918
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘道
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB58
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】安全な工事の実行を支援することができる建築業界向けの受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムを提供すること。
【解決手段】受発注システムのサーバ装置10は、工事会社の担当者ごとに、担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データ123を記憶する記憶部12と、メーカ側端末装置から工事の依頼を受け付ける工事依頼受付部131と、工事履歴データ123を参照し、依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者から、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する工事業者選定部132と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受注側の工事業者が有する携帯端末と、発注側のメーカが有するメーカ側端末装置と、前記メーカと前記工事業者との間の工事の受発注を管理するサーバ装置と、を有する受発注システムであって、
前記サーバ装置は、
前記工事業者の担当者ごとに、前記担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データを記憶する記憶部と、
前記メーカ側端末装置から工事の依頼を受け付ける受付部と、
前記工事履歴データを参照し、前記受付部が依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者から、前記受付部が依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時に前記バイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する選定部と、
を有することを特徴とする受発注システム。
【請求項2】
前記記憶部は、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、及び、各工事業者の事業所住所を含む工事業者データをさらに記憶し、
前記選定部は、前記工事業者データを参照し、当該受注システムに登録している工事業者のうち、前記受付部が依頼を受け付けた工事について、少なくとも、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所住所、及び、前記依頼を受け付けた工事の場所を基に、前記受注可能である工事業者を抽出することを特徴とする請求項1に記載の受発注システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記工事業者の各担当者の病歴を示すデータをさらに記憶し、
前記選定部は、前記病歴を示すデータを参照し、前記工事業者の各担当者の病歴を基に、前記受注可能である工事業者から除外する工事業者を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の受発注システム。
【請求項4】
前記選定部は、前記受付部が依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時の気象情報を基に、前記受注可能である工事業者から除外する工事業者を判定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の受発注システム。
【請求項5】
前記選定部は、選定した前記発注候補の工事業者のうち、前記依頼を受け付けた工事の内容に最も合致する工事業者を、発注先の工事業者として選定し、発注先として選定した工事業者の工事予定に、前記依頼を受け付けた工事を登録することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の受発注システム。
【請求項6】
受注側の工事業者が有する携帯端末と、発注側のメーカが有するメーカ側端末装置と、前記メーカと前記工事業者との間の工事の受発注を管理するサーバ装置と、を有する受発注システムが実行する受発注方法であって、
前記サーバ装置は、前記工事業者の担当者ごとに、前記担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データとを記憶する記憶部を有し
前記サーバ装置が、前記メーカ側端末装置から工事の依頼を受け付ける工程と、
前記サーバ装置が、前記工事履歴データを参照し、依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者から、前記依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時に前記バイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する工程と、
を含んだことを特徴とする受発注方法。
【請求項7】
方法をコンピュータに実行させる受発注プログラムであって
サーバ装置としてのコンピュータに、
メーカ側端末装置から工事の依頼を受け付けるステップと、
工事業者の担当者ごとに、前記担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データを参照し、依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者から、前記依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時に前記バイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定するステップと、
を実行させることを特徴とする受発注プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種業界において、Web上のやり取りで商品等の受発注が完了する受発注システムが構築されている。
【0003】
ここで、建材メーカが工事業者に工事を発注する建築業界では、建材メーカが指定した紙の専用帳票を用いて、発注、注文請書、完了報告、請求までを行っていた。この煩雑な帳票作業を低減するため、受発注や工程管理も含めて、建材メーカと工事業者との間の取引を電子化し、作業を効率化したいという要望があった。このため、近年、受発注システムを、建築業界に適用する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に夏季には、熱中症などの体調不良を発症する危険性が高く、屋外や高所での作業を行っている場合に熱中症等の体調不良を発症した場合には事故につながるおそれがある。そこで、このような事故の可能性を回避し、安全な工事の実行を支援することができるシステムが要望されている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安全な工事の実行を支援することができる建築業界向けの受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の受発注システムは、受注側の工事業者が有する携帯端末と、発注側のメーカが有するメーカ側端末装置と、メーカと工事業者との間の工事の受発注を管理するサーバ装置と、を有する受発注システムであって、サーバ装置は、工事業者の担当者ごとに、担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データを記憶する記憶部と、メーカ側端末装置から工事の依頼を受け付ける受付部と、工事履歴データを参照し、受付部が依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者から、受付部が依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する選定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全な工事の実行を支援することができる建築業界向けの受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る受発注システムが実行する電子化処理を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る受発注システムの構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、工事業者データのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、工事履歴データのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、除外工事データのデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、工事予定データのデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、メーカ側端末装置の画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、メーカ側端末装置の画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、メーカ側端末装置の画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、メーカ側端末装置の画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る受発注方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムが限定されるものではない。
【0011】
以下の実施の形態では、実施の形態に係る受発注システム、受発注方法及び受発注プログラムの処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。
【0012】
[実施の形態]
まず、実施の形態について説明する。実施の形態では、建材メーカと、個人または少人数で構成される小規模な工事業者との間における工事の受発注及び工程管理を一元管理する受発注システムについて説明する。実施の形態に係る受発注システムにおいては、工事の受発注及び工程管理をWeb上での電子化処理で完了可能とする構成となっている。
図1は、実施の形態に係る受発注システムが実行する電子化処理を説明する図である。
【0013】
実施の形態に係る受発注システムは、
図1に示す施主、建材メーカ、大手工事会社等、工事業者間の処理のうち、枠C1,C2,C3の処理を、Webまたはアプリケーションを介することで電子化処理を実現する。
【0014】
工事業者は、例えば、自身が有する携帯端末にインストールした受発注アプリケーションを介して、クラウド(プラットフォーマーのサーバ装置)に接続することで、工事受注、工事日程調整、工事完了手続き、請求金額の交渉、確定請求等の手続きを実行する(
図1の(2),(3),(5),(6),(7))。建材メーカは、受発注システムにアクセス可能なWebアプリケーションを介してクラウドに接続することで、工事依頼、受注連絡、工事完了続き、請求金額の交渉、確定請求受領等の手続きを実行する(
図1の(1),(2),(5),(6),(7))。
【0015】
これらの処理のうち、実施の形態では、プラットフォーマーによる発注候補の工事業者のレコメンドを中心に説明する。プラットフォーマーは、建材メーカによる工事依頼を受け付けると、依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者の中から、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外する。そして、プラットフォーマーは、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する。本実施の形態では、工事の発注検討段階で、工事の作業を安全に行うことが可能である工事業者を選定し、建材メーカにレコメンドする。
【0016】
このように、プラットフォーマーは、依頼を受け付けた工事に対し、危険傾向がある工事業者には工事をアサインしないようにすることで、事故の可能性を回避し、安全な工事の実行を支援する。さらに、プラットフォーマーは、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時の気象情報や、各工事業者の病歴も用いて、受注可能である工事業者から除外する工事業者を判定することで、事故の可能性のさらなる低減を図る。
【0017】
さらに、プラットフォーマーは、工事業者データを参照し、当該受注システムに登録している工事業者のうち、依頼を受け付けた工事について、少なくとも、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所住所、及び、前記依頼を受け付けた工事の場所を基に、受注可能である工事業者を抽出する。したがって、建材メーカの担当者自身が、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所の場所、及び、依頼を受け付けた工事の場所を基に工事業者を絞り込むという煩雑な処理を行わずともよい。
【0018】
そして、プラットフォーマーは、選定した発注候補の工事業者のうち、依頼を受け付けた工事の内容に最も合致する工事業者を、発注先の工事業者として選定し、この発注先として選定した工事業者の工事予定に、依頼を受け付けた工事を登録することで、自動的に工事予定日時をスケジューリングしてもよい。
【0019】
実施の形態では、これらの処理によって、事故の可能性を回避し、安全な工事の実行を支援する受発注システムを実現する。
【0020】
[受発注システムの構成]
続いて、実施の形態に係る受発注システムの構成を説明する。
図2は、実施の形態に係る受発注システムの構成を説明する図である。
【0021】
図2に示すように、実施の形態に係る受発注システム100は、受発注システム100の処理を制御及び管理するプラットフォーマーのサーバ装置10と、工事業者U、Vの携帯端末20U,20Vと、ウェアラブルデバイス30U,30Vと、建材メーカのメーカ側端末装置40と、を有する。また、
図2に示す構成は一例にすぎず、具体的な構成や、携帯端末20U,20Vと、建材メーカのメーカ側端末装置40の数は特に限定されない。このため、複数の建材メーカが、受発注システム100を利用してもよい。また、携帯端末20U,20Vを総称する場合には、携帯端末20とする。
【0022】
サーバ装置10は、受発注システム100の処理を制御及び管理する。サーバ装置10は、建材メーカと、工事業者との間における工事の受発注及び工程管理を一元管理する。
【0023】
サーバ装置10は、携帯端末20U,20V及びメーカ側端末装置40から送信された手続きデータを基に、工事受注、工事日程調整、工事完了手続き、請求金額の交渉、確定請求等の手続きや工程管理に関するデータを登録する。サーバ装置10は、携帯端末20U,20V及びメーカ側端末装置40に、手続きや工程管理に関するデータを送信し、Webアプリケーションまたは受発注アプリケーションを介して、携帯端末20U,20V及びメーカ側端末装置40に表示させる。サーバ装置10は、所定のスケジュールで手続きが行われていない場合には、携帯端末20U,20V或いはメーカ側端末装置40にアラートを発する。
【0024】
サーバ装置10は、工事会社の担当者ごとに、担当者のバイタルデータと作業内容とを対応付けて記録した工事履歴データを基に、工事の発注検討段階で、工事の作業を安全に行うことが可能である工事業者を選定し、建材メーカにレコメンドする。
【0025】
携帯端末20Uは、工事業者Uの、例えば担当者U1が携帯する携帯端末である。携帯端末20Vは、工事業者Vの、例えば担当者V1が携帯する携帯端末である。携帯端末20U,20Vは、例えば、タブレット、スマートフォン等のスマートデバイスであり、GPS機能、写真撮影機能、テキスト入力機能等を有する。
【0026】
携帯端末20U,20Vは、受発注アプリケーションを介してサーバ装置10に接続し、工事内容の確認、工事注文の受信、工事受注の連絡、工事完了や請求の申請等を処理可能とする。携帯端末20U,20Vでは、受発注アプリケーションを立ち上げると、ダッシュボード画面が表示され、ダッシュボード画面から、工事一覧画面、工事受注画面、各工事の完了登録画面、工事金額の交渉画面(チャット画面)等の各処理画面に遷移できる。そして、携帯端末20U,20Vは、工事業者U,Vによる、テキスト入力、アイコン選択、画像撮影などの操作に応じて、各処理に関する手続きや工程管理に関するデータをサーバ装置10に送信する。
【0027】
ウェアラブルデバイス30U,30Vは、工事業者U,Vの各担当者U1,V1がそれぞれ装着するデバイスである。ウェアラブルデバイス30U,30Vは、例えば、腕時計型のデバイスであるが、特に腕時計型に限らない。ウェアラブルデバイス30U,30Vは、装着した担当者U1,V1のバイタルデータを計測し、計測した時系列のバイタルデータを、携帯端末20に送信する。携帯端末20は、受信したバイタルデータと、工事の担当者を示す識別情報とを対応付けて、サーバ装置10に送信する。バイタルデータは、例えば、心拍数、体温、血流、呼吸数である。また、ウェアラブルデバイス30U,30Vを総称する場合には、ウェアラブルデバイス30とする。
【0028】
メーカ側端末装置40は、建材メーカの担当者が操作する端末装置である。メーカ側端末装置40は、ノートPC(Personal Computer)やデスクトップPC等の情報処理装置電子や、タブレット等のスマートデバイスである。
【0029】
メーカ側端末装置40は、受発注システムにアクセス可能なWebアプリケーションを介しサーバ装置10に接続し、工事依頼、受注連絡、工事完了手続き、請求金額の交渉、確定請求受領等の手続きを実行する。メーカ側端末装置40では、Webアプリケーションを介して受発注システムにアクセスすると、ダッシュボード画面が表示され、ダッシュボード画面から工事一覧画面、工事依頼画面、各工事の進捗状況確認画面、工事金額の交渉画面等の各処理画面に遷移できる。そして、メーカ側端末装置40は、担当者によるテキスト入力、クリック操作などの操作に応じて、各処理に関する手続きや工程管理に関するデータがサーバ装置10に送信される。
【0030】
[サーバ装置]
続いて、サーバ装置10について説明する。
図3は、
図2に示すサーバ装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0031】
通信部11は、無線または有線にて他の装置との間で通信を行う。通信部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置と制御部13(後述)との間の通信を行う。例えば、通信部11は、手続きや工程管理に関するデータを、携帯端末20及びメーカ側端末装置40との間で送受信する。また、通信部11は、工事業者選定部132(後述)によって選定された発注候補の工事業者のレコメンド情報をメーカ側端末装置40に送信する。
【0032】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部12は、サーバ装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部12は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。記憶部12は、工事依頼データ121、工事業者データ122、工事履歴データ123、バイタルデータ群124、除外工事データ125、工事予定データ126及び進捗管理データ127を有する。
【0033】
工事依頼データ121は、建材メーカから工事業者へ依頼される工事に関するデータである。工事依頼データ121は、例えば、工事名、工事対象の建材名、工事期間、工事場所、発注元の建材メーカ名、工事に要する資格、保険、工事業態の項目を含む。工事期間は、工事が可能である全期間のほか、工事希望日時を含んでもよい。
【0034】
工事業者データ122は、受発注システム100に登録している各工事業者に関するデータである。
図4は、工事業者データ122のデータ構成の一例を示す図である。
図4に示すように、工事業者データ122は、工事業者の識別情報、工事業者の担当者名、工事業者の評価、工事業者が加入している保険、工事業者の工事業態、工事業者が有する資格、工事業者の担当者のスキル、工事業者の事業所の場所(事業所住所)、移動手段、年齢及び病歴を項目として有する。
【0035】
なお、評価及びスキルは、施主や建材メーカからの評価結果或いはスキル認定のほか、工事写真に基づく施工内容、解析結果も含めて総合的に評価された結果でもよい。また、評価及びスキルは、総合評価のほか、工事内容や作業ごとにそれぞれ評価された結果でもよい。また、評価項目は、工事内容や製品に応じて異なるものであってもよい。
【0036】
例えば、工事業者Uは、担当者がU1であり、評価が5段階中の4.5である。そして、工事業者Uは、社会保険、労災保険、建設業許可、建設工事保険等の保険に加入しており、工事業態が機械器具設置工事業であり、Q1,Q2,Q3,Q4等の資格を有し、事業所住所のD1から車で移動する。また、工事業者Uの担当者U1は、内部建具取り付け作業のスキルが高く、67歳である。これらの情報は、各工事業者U,Vの担当者U1,V1から、携帯端末20U,20Vの受発注アプリケーションを介して登録される。
【0037】
工事履歴データ123は、受発注システム100に登録している各工事業者が実行した工事の履歴である。
図5は、工事履歴データ123のデータ構成の一例を示す図である。
図5に示すように、工事履歴データ123は、工事業者の識別情報、工事業者の担当者名、実施した工事名、工事を行う建材の製品、工事日時、工事場所、工事種別、バイタルデータ及び気象データを項目として有する。
【0038】
工事履歴データ123には、例えば、工事業者Uの担当者U1が、製品M1の取り付け工事である工事T1を、2020/9/1 13:00-15:00に、場所P1で実行したことが記録されている。そして、工事履歴データ123には、この工事T1の工事種別が高所作業を含む工事であることと、工事T1実行時の担当者U1のバイタルデータの識別情報「E1」と、工事T1実行時の気象情報H1が記載されている。気象情報は、気象庁等から発表された工事T1実行場所の実行時における気象情報でもよいし、ウェアラブルデバイス30Uが検出した工事T1実行時の気温や湿度であってもよい。
【0039】
バイタルデータ群124は、工事業者の各担当者の工事実行時の時系列のバイタルデータを含む。バイタルデータは、例えば、心拍数、体温、血流、呼吸数等を定期的に検出した結果である。バイタルデータには、バイタルデータの識別情報と、工事の担当者を示す識別情報とを対応付けられる。
【0040】
除外工事データ125は、工事業者の担当者ごとに、工事業者選定部132(後述)において、除外すべきと判定された工事の作業を示すデータである。
図6は、除外工事データ125のデータ構成の一例を示す図である。
図6に示すように、除外工事データ125は、工事業者の識別情報、工事業者の担当者名、年齢、除外すべき工事種別(除外工事)を項目として有する。例えば、工事業者Uの担当者U1に対しては、年齢が67歳であり、高温下での高所作業が除外工事として登録される。
【0041】
工事予定データ126は、受発注システム100に登録している各工事業者の工事予定に関するデータである。
図7は、工事予定データ126のデータ構成の一例を示す図である。
図7に示すように、工事予定データ126は、工事業者の識別情報、工事業者の担当者名、実施予定である工事名、工事を行う建材の製品、工事予定日時、工事予定場所、工事種別を項目として有する。
【0042】
例えば、工事業者Uの担当者U1は、P11において行われる工事予定T11において、工事種別が屋内作業である、製品M5の建材取り付け工事を、「2021/6/2 13:00-15:00」の予定で行う。これらの情報は、メーカ側端末装置40による発注に応じた各工事業者U,Vによる工事受注の際に、受発注アプリケーションを介して登録される。なお、工事予定データ126には、工事業者の移動手段と工事予定場所と工事業者の事業所の場所とを基に推定された工事業者の移動経路がさらに登録されていてもよい。
【0043】
進捗管理データ127は、各工事や各種手続きの進捗を管理するためのデータであり、各工事に関する各種手続きの進捗状況が登録されている。
【0044】
制御部13は、サーバ装置10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部13は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部13は、工事依頼受付部131、工事業者選定部132、発注部133、受注部134及び進捗管理部135を有する。
【0045】
工事依頼受付部131は、建材メーカのメーカ側端末装置40から、工事の依頼を受け付ける。工事依頼受付部131は、依頼を受け付けた工事に関するデータを工事依頼データ121に登録する。
【0046】
工事業者選定部132は、メーカ側端末装置40から工事の依頼を受け付けると、受発注システムに登録する複数の工事業者の中から発注候補の工事業者を選定し、選定した工事業者を示すレコメンド情報をメーカ側端末装置40に送信する。
【0047】
工事業者選定部132は、まず、建材メーカによる工事依頼を受け付けると、工事業者データ122を参照し、受発注システムに登録している工事業者のうち、依頼を受け付けた工事について、少なくとも、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所住所、及び、依頼を受け付けた工事の場所を基に、受注可能である工事業者を抽出する。さらに、工事業者選定部132は、抽出した工事業者の中から、工事T13の工事期間中、工事予定が空いている工事業者を抽出する。
【0048】
例えば、期間2021/6/1-6/3で製品M1の取り付け工事(以降、工事T13とする。)の依頼があった場合を例に説明する。この場合、工事業者選定部132は、工事業者データ122を参照し、保険、資格、工事業者の事業所住所を基に、受注可能である工事業者として、工事業者U,Vを抽出する。なお、製品M1の取り付け工事は、高所作業を含む。
【0049】
そして、工事業者選定部132は、工事業者データ122、工事履歴データ123及びバイタルデータ群124を参照し、依頼を受け付けた工事T13を受注可能である工事業者から、この工事T13に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外し、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する。工事業者選定部132は、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時の気象情報や、各工事業者の病歴も用いて、受注可能である工事業者から除外する工事業者を判定してもよい。
【0050】
工事T13の例の場合、工事業者選定部132は、工事業者データ122、工事履歴データ123及び工事業者U,Vの各担当者のバイタルデータを参照して、工事業者U,Vが、発注候補から除外する工事業者であるか否かを判定する。
【0051】
具体的には、工事業者選定部132は、工事履歴データ123を参照し、工事業者Uの担当者U1が、工事T13と同じ製品M1の取り付け工事を行ったことがあるか否かを判定する。この場合、
図5の例では、担当者U1による製品M1の取り付け工事T1の履歴があるため、工事業者選定部132は、担当者U1の工事T1実行時のバイタルデータE1を参照する。
【0052】
ここで、バイタルデータE1は、一部の時間において正常範囲を外れたバイタルを記録している。このため、工事業者選定部132は、工事T13実行時に、再度担当者U1のバイタルデータが正常範囲を外れる可能性があることから、工事T13の発注候補から、工事業者Uの担当者U1を除外することを判定する。さらに、工事業者選定部132は、担当者U1の工事T1実行時の気象情報H1を参照する。気象情報H1は、25℃以上の夏日であったことを記録している。このため、工事業者選定部132は、工事業者Uの担当者U1に対応付けて、この担当者U1の年齢と、高温下での高所作業を、除外すべき工事種別として、除外工事データ125に登録する。工事業者選定部132は、除外工事データ125も参照して、除外対象の工事業者を判定してもよい。
【0053】
そして、工事業者選定部132は、工事履歴データ123を参照し、工事業者Vの担当者V1が、工事T13と同じ製品M1の取り付け工事を行ったことがあるか否かを判定する。この場合、
図5の例では、担当者V1による製品M1の取り付け工事T4の履歴があるため、工事業者選定部132は、担当者V1の工事T4実行時のバイタルデータE4を参照する。
【0054】
ここで、バイタルデータE4は、正常範囲のバイタルを記録している。このため、工事業者選定部132は、工事T13実行時に、担当者V1のバイタルデータが正常範囲を外れる可能性は低いと判定し、工事T13の発注候補から、工事業者Vの担当者V1を除外しない。さらに、工事業者選定部132は、担当者V1の工事T4実行時の気象情報H4を参照する。気象情報H4は、25℃以上の夏日であったことを記録している。工事T13の工事期間2021/6/1-6/3は、夏日となる場合もある。工事業者Vの担当者V1は、夏日での高所作業でもバイタルが正常範囲内であったため、工事業者選定部132は、発注候補の工事業者として、工事業者Vの担当者V1を残す。なお、担当者V1に、高所作業を控えるべき病歴がある場合、工事業者選定部132は、発注候補の工事業者から、工事業者Vの担当者V1を除外する。
【0055】
そして、工事業者選定部132は、発注候補の工事業者を、例えば、ランキング形式で、メーカ側端末装置40に一覧表示させることで、発注候補の工事業者をレコメンドする。工事業者選定部132は、発注候補の工事業者を、評価順にランキング表示してもよいし、受注件数順にランキングしてもよい。また、工事業者選定部132は、各工事業者の移動手段を用いて算出した工事場所間の移動経路や移動時間を基に、工事場所への移動が効率的である順にランキング表示してもよい。どのランキングで表示するかは、メーカ側端末装置40でも変更できる。メーカ側端末装置40の担当者が、レコメンドされた工事業者から発注先の工事業者を選択すると、メーカ側端末装置40は、発注先として選択された工事業者を示す選択情報をサーバ装置10に送信する。
【0056】
なお、工事業者選定部132は、選定した発注候補の工事業者のうち、依頼を受け付けた工事の内容に最も合致する工事業者であって工事請負可能である工事予定の工事業者を、発注先の工事業者として選定し、この発注先として選定した工事業者の工事予定に、依頼を受け付けた工事を登録することで、自動的に工事予定日時をスケジューリングしてもよい。
【0057】
この場合、工事業者選定部132は、工事予定データ126の、発注先として選定した工事業者の工事予定に、工事予定日時と、依頼を受け付けた工事の内容とを登録する。例えば、工事業者Vの担当者V1が工事の内容に最も合致する場合には、工事業者選定部132は、
図5に示す工事予定データ126の工事業者Vの担当者V1の登録欄に、2021/6/2 9:00-12:00の間で、工事T13を登録する。
【0058】
そして、工事業者選定部132は、発注先の工事業者とスケジューリングした工事予定日時とを示すレコメンド情報を、メーカ側端末装置40に送信する。そして、この工事業者の携帯端末20には、依頼を受け付けた工事と、スケジューリングした工事予定日時とを送信し、この工事業者の受発注アプリケーション上の工事一覧に自動的に登録させる。この結果、メーカ側端末装置40の担当者による工事業者の選択処理、及び、工事業者による受発注アプリケーション上での工事予定の登録処理を簡略化することができる。
【0059】
発注部133は、メーカ側端末装置40から送信された選択情報を基に、発注先の工事業者が有する携帯端末20に、工事が発注されたことを示す発注情報を送信する。具体的には、発注部133は、携帯端末20に、工事が発注されたことを示すアラートを出し、受発注アプリケーションの工事一覧画面に、発注された工事の内容を表示させることで、発注された工事の内容を工事業者が閲覧できるようにする。そして、工事業者は、発注された工事を受注する場合には、受注する旨及び工事予定日時を示す受注情報を、携帯端末20を用いて、サーバ装置10に連絡する。
【0060】
受注部134は、携帯端末20から送信された受注情報を受信すると、受注情報をメーカ側端末装置40に送信するとともに、工事業者データ122、工事予定データ126及び進捗管理データ127に、受注が完了した工事の情報を登録する。
【0061】
進捗管理部135は、受発注システムにおいて登録された各工事や各種手続きの進捗状況を管理する。各工事や各種手続きの完了日が経過しても各工事や各種手続きが完了していない場合には、工事や手続きを担当する工事業者の携帯端末20やメーカ側端末装置40に、完了日が過ぎている工事或いは手続きがあることを示すアラートを発信する。
【0062】
[受発注処理]
次に、実際に、メーカ側端末装置40及び携帯端末20に表示される画面例を示し、受発注システムにおいて、発注候補の工事業者をレコメンドするまでの処理を説明する。
図8~
図11は、メーカ側端末装置40の画面の一例を示す図である。
図12は、携帯端末20の画面の一例を示す図である。
【0063】
工事を依頼する際、メーカ側端末装置40は、Webアプリケーションを介して受発注システムにアクセスし、ダッシュボード画面から工事依頼画面に移り、工事依頼に関するデータを入力する。工事依頼に関するデータの入力完了後、メーカ側端末装置40からサーバ装置10に工事依頼データが送信され、サーバ装置10は、工事の依頼を受け付け、発注候補の工事業者の選定を行う。
【0064】
例えば、メーカ側端末装置40では、依頼をした工事の一覧を示す画面として、
図8に示す工事一覧画面W1が表示される。工事一覧画面W1の左方に、依頼をした工事1~4の概略が表示される。また、工事一覧画面W1の右方には、各工事の場所と、工事の場所近隣の工事業者の事業所の場所がピン表示されたマップが表示されている。メーカ側端末装置40の担当者は、工事1の工事業者のレコメンドを受けたい場合、工事1の「工事会社を探す」ボタンG1を選択する。
【0065】
サーバ装置10は、工事1について、少なくとも、保険、資格、各工事業者の事業所住所及び工事1の場所を基に、受注可能である工事業者を抽出する。サーバ装置10は、工事Tを受注可能である工事業者から、この工事1に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外する。サーバ装置10は、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定し、メーカ側端末装置40にレコメンドする。
【0066】
このレコメンドに従って、メーカ側端末装置40には、
図9の画面W2のように、画面左方には、工事1の工事業者として、工事業者Vと工事業者Jとの順で、発注候補の工事業者がレコメンドされる。画面右方には、この工事1の場所と、工事業者V,Jの事業所の場所がピン表示されたマップが表示される。画面W2は、工事期間「2021/6/1-2021/6/3」のうち、「2021/6/2」を工事日としたときのレコメンド画面である。
【0067】
画面W2では、各工事業者V,Jごとに、会社情報ボタン、発注ボタン、当日工事予定ボタンが表示される。例えば、工事業者Vの会社情報ボタンG21を押すと、メーカ側端末装置40には、
図10の画面W3のように、工事業者Vの会社情報が表示される。工事業者Vの会社情報として、例えば、工事業者Vの区分や、工事業者が加入している保険一覧が表示される。
【0068】
また、工事業者Vの当日の工事予定ボタンG22を押すと、メーカ側端末装置40には、
図11の画面W4のように、画面左方には、工事業者Vの「2021/6/2」の工事予定が表示され、画面右方には、当日の工事場所を示すマップが表示される。
【0069】
画面W4には、依頼を受け付けた工事1(
図11では、工事T13とする。)の場所、工事業者Vの事業所の場所、工事予定T14の場所、工事予定T15の場所が、テキスト及びピンで表示されている(
図11の(1)~(4))。さらに、画面W4のマップには、工事業者Vの事業所から工事予定T14までの経路R1と、工事予定T14から工事予定T15までの経路R2が表示されていてもよい。この際、サーバ装置10は、画面W4に、工事業者Vの事業所の場所から工事T13までの移動経路、工事T13と工事予定T14との間の移動経路や、各移動経路に要する移動時間を表示してもよいし、工事T13の実施日時の候補を表示してもよい。
【0070】
なお、工事業者の移動経路が判定できない場合には、工事業者の事業所及び工事予定場所に、移動順序を表示したピンを表示してもよい。そして、移動順序が判定できない場合には、工事業者の事業所及び工事予定場所に、ピンを表示するのみでもよい。
【0071】
メーカ側端末装置40の担当者は、この画面W4から、ランキング1位の工事業者Vには、「2021/6/2」の午前中に工事予定が入っていないことを認識することができる。メーカ側端末装置40の担当者は、工事業者Vに、工事を発注したい際には、画面W2の発注ボタンG23を押す。これによって、サーバ装置10には、メーカ側端末装置40から、「2021/6/2」の工事T13の発注先として、工事業者Vが選択されたことを示す選択情報が送信される。サーバ装置10は、工事業者Vの携帯端末20Vに、「2021/6/2」の工事T13が発注されたことを示す発注情報を送信する。
【0072】
また、「2021/6/2」の工事T13の工事の実施時間は、メーカ側端末装置40の担当者が工事業者Vの工事予定を基に指定してもよいし、工事T13の実施日時の候補が表示されている場合には、実施日時の候補の中から選択してもよい。また、「2021/6/2」の工事T13の工事の実施時間は、工事業者選定部132が、工事予定データ126の工事業者Vの工事予定を基に自動で設定し、設定した工事の実施時間を含めてメーカ側端末装置40にレコメンドしてもよい。
【0073】
携帯端末20Vは、工事T13の発注情報を受信すると、発注された工事の内容を表示する。例えば、
図12の画面F1のように、工事名、工事場所、発注元の建材メーカ名とともに、枠L1内に、新規に依頼された工事であることを示す新規依頼欄K1、この工事の工事予定日時、工事対象の建材、及び、発注金額が表示される。
図12の例では、他の工事予定が入っていない「2021/6/2 9:00-12:00」の時間が設定されている。この時間は、工事業者Vによって変更することも可能である。なお、工事業者Vの事業所の場所から、依頼を受け付けた工事T13までの移動経路、工事T13と工事予定T14との間の移動経路や、各移動経路に要する移動時間をマップ表示できる画面に遷移することも可能である。
【0074】
工事業者Vは、自身の携帯端末20Vの画面を確認することで、発注された工事T13の内容や工事予定日時を確認することができる。そして、工事業者Vは、発注された工事T13を受注する場合、枠L1内の「受注する」ボタンK2を押す。これによって、携帯端末20Vは、工事T13を受注する旨を示す受注情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、携帯端末20Vから送信された工事T13の受注情報をメーカ側端末装置40に送信するとともに、受注が完了した工事T13の情報を、
図7に示すように、工事予定データ126に登録する。
【0075】
[処理手順]
図13を参照して、受発注システムにおける発注候補の工事業者のレコメンドに関する処理の処理手順について説明する。
図13は、実施の形態に係る受発注方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0076】
図13に示すように、サーバ装置10は、メーカ側端末装置40から工事の依頼を受け付けると(ステップS1)、工事業者データ122を参照し(ステップS2)、登録している工事業者のうち、依頼を受け付けた工事について、少なくとも、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所住所、及び、依頼を受け付けた工事の場所を基に、受注可能である工事業者を抽出する(ステップS2)。
【0077】
そして、サーバ装置10は、工事業者データ122、工事履歴データ123及びバイタルデータ群124を参照し、ステップS2において抽出した工事業者から、この工事に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外する(ステップS3)。サーバ装置10は、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する(ステップS4)。サーバ装置10は、選定した発注候補の工事業者を、例えば、ランキング形式で、メーカ側端末装置40に一覧表示させることで、発注候補の工事業者をレコメンドする(ステップS5)。
【0078】
サーバ装置10は、メーカ側端末装置40から送信された、発注先として選択された工事業者を示す選択情報を受信すると(ステップS6)、発注先の工事業者が有する携帯端末20に、工事が発注されたことを示す発注情報を送信する(ステップS7)。
【0079】
サーバ装置10は、携帯端末20から送信された受注情報を受信すると(ステップS8)、受注情報をメーカ側端末装置40に送信するとともに、工事業者データ122、工事予定データ126及び進捗管理データに、受注が完了した工事の情報を登録する(ステップS9)。
【0080】
[実施の形態の効果]
実施の形態におけるサーバ装置10は、建材メーカによる工事依頼を受け付けると、依頼を受け付けた工事を受注可能である工事業者の中から、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時にバイタルデータが正常範囲から外れたことがある担当者を有する工事業者を除外する。そして、サーバ装置10は、除外後の工事業者を発注候補の工事業者として選定する。
【0081】
このように、サーバ装置10は、工事の発注検討段階で、工事の作業を安全に行うことが可能である工事業者を選定し、建材メーカにレコメンドする。したがって、サーバ装置10は、依頼を受け付けた工事に対し、危険傾向がある工事業者には工事をアサインしないようにしているため、事故の可能性を回避し、安全な工事の実行を支援する。さらに、サーバ装置10は、依頼を受け付けた工事に含まれる作業と同じ作業の実行時の気象情報や、各工事業者の病歴も用いて、受注可能である工事業者から除外する工事業者を判定することで、事故の可能性のさらなる低減を図る。
【0082】
さらに、サーバ装置10は、工事業者データ122を参照し、受発注システム100に登録している工事業者のうち、依頼を受け付けた工事について、少なくとも、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所住所、及び、前記依頼を受け付けた工事の場所を基に、受注可能である工事業者を抽出する。したがって、建材メーカの担当者自身が、各工事業者が加入している保険、各工事業者が有する資格、各工事業者の事業所の場所、及び、依頼を受け付けた工事の場所を基に工事業者を絞り込むという煩雑な処理を行わずともよい。
【0083】
そして、サーバ装置10は、選定した発注候補の工事業者のうち、依頼を受け付けた工事の内容に最も合致する工事業者を、発注先の工事業者として選定し、この発注先として選定した工事業者の工事予定に、依頼を受け付けた工事を登録することで、自動的に工事予定日時をスケジューリングしてもよい。
【0084】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0085】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0086】
[プログラム]
また、上記実施の形態において説明したサーバ装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施の形態におけるサーバ装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0087】
図14は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図14に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0088】
メモリ1010は、
図14に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、
図14に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0089】
ここで、
図14に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0090】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0091】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0092】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
10 サーバ装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20,20U,20V 携帯端末
30U,30V ウェアラブルデバイス
40 メーカ側端末装置
100 受発注システム
121 工事依頼データ
122 工事業者データ
123 工事履歴データ
124 バイタルデータ群
125 除外工事データ
126 工事予定データ
127 進捗管理データ
131 工事依頼受付部
132 工事業者選定部
133 発注部
134 受注部
135 進捗管理部