(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094478
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】緩衝体、及び、免振建物
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20230628BHJP
F16F 3/093 20060101ALI20230628BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20230628BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
F16F7/00 B
F16F3/093
F16F15/08 B
E04H9/02 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209984
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 亨二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 貞光
(72)【発明者】
【氏名】森 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼▲崎▼ 宏典
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅史
(72)【発明者】
【氏名】二木 秀也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 一斗
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
3J059
3J066
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB13
2E139AD03
2E139CA02
2E139CB04
2E139CC02
3J048AA01
3J048AD16
3J048BA24
3J048BB01
3J048CB21
3J048EA38
3J059AA01
3J059AA03
3J059BA64
3J059BA73
3J059BB03
3J059BC07
3J059BC08
3J059BD01
3J059BD05
3J059CA12
3J059CB03
3J066AA23
3J066BA01
3J066BB01
3J066BC01
3J066BD05
3J066BE01
3J066BE06
(57)【要約】
【課題】緩衝力を向上できる緩衝体、及び、緩衝力を向上できる緩衝体を備えた免振建物を、提供する。
【解決手段】本発明の緩衝体1は、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12を備え、第1緩衝部材及び第2緩衝部材は、それぞれ、緩衝本体部13と、緩衝本体部の軸線方向の両端面のそれぞれに一体化されて、緩衝本体部を挟持する、一対の外部剛性板14と、を有し、第1緩衝部材及び第2緩衝部材どうしは、直列に連結されており、第1緩衝部材及び第2緩衝部材のそれぞれの緩衝本体部は、緩衝本体部穴13hを有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1緩衝部材及び第2緩衝部材を備え、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材は、それぞれ、
緩衝本体部と、
前記緩衝本体部の軸線方向の両端面のそれぞれに一体化されて、前記緩衝本体部を挟持する、一対の外部剛性板と、
を有し、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材どうしは、直列に連結されており、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のそれぞれの前記緩衝本体部は、緩衝本体部穴を有している、緩衝体。
【請求項2】
前記第1緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第2緩衝部材側の前記外部剛性板と、前記第2緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第1緩衝部材側の前記外部剛性板とのうち、少なくとも一方は、前記第1緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第2緩衝部材とは反対側の前記外部剛性板と、前記第2緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第1緩衝部材とは反対側の前記外部剛性板とよりも、厚い、請求項1に記載の緩衝体。
【請求項3】
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材との間に、中間剛性板をさらに備え、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材どうしは、前記中間剛性板を介して、直列に連結されている、請求項1又は2に記載の緩衝体。
【請求項4】
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち少なくとも一方は、前記緩衝本体部穴が、前記緩衝本体部を前記軸線方向に貫通している、請求項1~3のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項5】
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材は、それぞれ、前記緩衝本体部に埋設された内部剛性板をさらに有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項6】
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち一方の前記緩衝本体部は、高減衰ゴムから構成されており、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち他方の前記緩衝本体部は、天然ゴムから構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項7】
前記第1緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第2緩衝部材とは反対側の部分と、前記第2緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第1緩衝部材とは反対側の部分とは、天然ゴムから構成されており、
前記第1緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第2緩衝部材側の部分と、前記第2緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第1緩衝部材側の部分とは、高減衰ゴムから構成されている、請求項5に記載の緩衝体。
【請求項8】
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部の外径が異なる、請求項1~7のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項9】
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部穴の径が異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項10】
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部穴の前記軸線方向の長さが異なる、請求項1~9のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項11】
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記軸線方向の投影面における前記緩衝本体部穴の位置が異なる、請求項1~10のいずれか一項に記載の緩衝体。
【請求項12】
基礎と、
前記基礎の上に設けられた、免振装置と、
前記免振装置の上に配置された、建物と、
前記基礎に立設され、前記建物の側壁に対して対向配置された、擁壁と、
前記建物の前記側壁と前記擁壁との少なくとも一方に取り付けられた、請求項1~11のいずれか一項に記載の緩衝体と、
を備えた、免振建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝体、及び、免振建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の側壁と擁壁との少なくとも一方に設けられる緩衝体(衝撃吸収部材)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の緩衝体においては、緩衝力に関して向上の余地があった。
【0005】
本発明は、緩衝力を向上できる緩衝体、及び、緩衝力を向上できる緩衝体を備えた免振建物を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の緩衝体は、
第1緩衝部材及び第2緩衝部材を備え、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材は、それぞれ、
緩衝本体部と、
前記緩衝本体部の軸線方向の両端面のそれぞれに一体化されて、前記緩衝本体部を挟持する、一対の外部剛性板と、
を有し、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材どうしは、直列に連結されており、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のそれぞれの前記緩衝本体部は、緩衝本体部穴を有している。
本発明の緩衝体によれば、緩衝力を向上できる。
【0007】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第2緩衝部材側の前記外部剛性板と、前記第2緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第1緩衝部材側の前記外部剛性板とのうち、少なくとも一方は、前記第1緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第2緩衝部材とは反対側の前記外部剛性板と、前記第2緩衝部材の前記一対の外部剛性板のうち前記第1緩衝部材とは反対側の前記外部剛性板とよりも、厚いと、好適である。
これにより、軸線方向に対して交差する方向に衝撃が入力された時において、緩衝体内の力の伝達を均一化できる。
【0008】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材との間に、中間剛性板をさらに備え、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材どうしは、前記中間剛性板を介して、直列に連結されていてもよい。
【0009】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち少なくとも一方は、前記緩衝本体部穴が、前記緩衝本体部を前記軸線方向に貫通していると、好適である。
これにより、緩衝本体部の剛性を低下させて反発力を弱めることができ、構造物を保護することができる。
【0010】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材は、それぞれ、前記緩衝本体部に埋設された内部剛性板をさらに有していると、好適である。
これにより、緩衝体の圧縮剛性を高めることができる。
【0011】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち一方の前記緩衝本体部は、高減衰ゴムから構成されており、
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材のうち他方の前記緩衝本体部は、天然ゴムから構成されていてもよい。
この場合、高減衰ゴムによって衝撃を吸収するとともに、天然ゴムによって反発力を高めることができる。
【0012】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第2緩衝部材とは反対側の部分と、前記第2緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第1緩衝部材とは反対側の部分とは、天然ゴムから構成されており、
前記第1緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第2緩衝部材側の部分と、前記第2緩衝部材の前記緩衝本体部のうち前記内部剛性板よりも前記第1緩衝部材側の部分とは、高減衰ゴムから構成されていてもよい。
この場合、復元性と緩衝力とを良好に両立することができる。
【0013】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部の外径が異なっていてもよい。
【0014】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部穴の径が異なっていてもよい。
【0015】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記緩衝本体部穴の前記軸線方向の長さが異なっていてもよい。
【0016】
本発明の緩衝体においては、
前記第1緩衝部材と前記第2緩衝部材とは、前記軸線方向の投影面における前記緩衝本体部穴の位置が異なっていてもよい。
【0017】
本発明の免振建物は、
基礎と、
前記基礎の上に設けられた、免振装置と、
前記免振装置の上に配置された、建物と、
前記基礎に立設され、前記建物の側壁に対して対向配置された、擁壁と、
前記建物の前記側壁と前記擁壁との少なくとも一方に取り付けられた、請求項1~11のいずれか一項に記載の緩衝体と、
を備えている。
本発明の免振建物によれば、緩衝体の緩衝力を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、緩衝力を向上できる緩衝体、及び、緩衝力を向上できる緩衝体を備えた免振建物を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る緩衝体が擁壁に取り付けられた様子を示す概略図である。
【
図3】
図2の緩衝体を分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図4】
図2の緩衝体を、緩衝体の軸線方向に平行な
図2のA-A線に沿う断面により示す、軸線方向断面図である。
【
図5】
図1の例において、建物の側壁が緩衝体を介して擁壁に衝突したときの様子を示す概略図である。
【
図6】本発明の緩衝体の第1変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図7】本発明の緩衝体の第2変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図8】本発明の緩衝体の第3変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図9】本発明の緩衝体の第4変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図10】本発明の緩衝体の第5変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図11】本発明の緩衝体の第6変形例を示す、軸線方向断面図である。
【
図12】本発明の緩衝体の第7変形例を示す、分解斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る緩衝体が、擁壁、ブラケットを介して建物下部、及び、ブラケットを介して基礎構造物、に取り付けられた様子を示す概略図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る緩衝体がブラケットを介して建物内部の床面、及び、ブラケットを介して天井面、に取り付けられた様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の緩衝体は、互いに対向配置された一対の構造物の少なくとも一方に取り付けられると好適なものであり、免震建物における建物の側壁とこれに対向配置された擁壁との少なくとも一方に取り付けられると特に好適なものである。
以下に、図面を参照しつつ、本発明に係る緩衝体、及び、免振建物の実施形態を例示説明する。
【0021】
図1~
図5は、本発明の一実施形態に係る緩衝体1、及び、本発明の一実施形態に係る免震建物SIBを説明するための図面である。
図1~
図5の例では、本発明の一実施形態に係る緩衝体1が、本発明の一実施形態に係る免震建物SIBにおいて、建物Bの側壁BWと対向配置された擁壁RWに取り付けられている。
図1は、地震が発生していない通常時における、本実施形態の免震建物SIBを示しており、
図2~
図4は、
図1の緩衝体1を拡大して示している。
以下、まず本実施形態の免震建物SIBについて説明し、その後、本実施形態の緩衝体1の役割について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の免震建物SIBは、基礎Fと、1つ又は複数(本例では複数)の免震装置SIDと、建物Bと、擁壁RWと、1つ又は複数(本例では複数)の本実施形態の緩衝体1と、を備えている。
基礎Fは、例えば、建物Bを支えるための略水平の構造体であり、建物Bが建てられる敷地に施工される。基礎Fは、例えば、配筋にコンクリートを流し込むことによって構築される。
基礎Fの上には免震装置SIDが設けられており、免震装置SIDの上には、建物Bが配置されている。
免震装置SIDは、建物Bが基礎Fに対して水平に移動するのを許容するように構成されており、これにより、地震発生時において、揺れを受け流し、揺れが建物Bに伝わるのを抑制するようにされている。本例の免震建物SIBは、免震装置SIDとして、ゴムシートと鋼板とを交互に積層させてなる積層体を備えた免震ゴム(「積層ゴム」とも呼ばれる)を有している。免震ゴムは、揺れを受け流す機能だけでなく、揺れ(主に水平方向の揺れ)のエネルギーを吸収する機能をも有するものである。ただし、免震建物SIBは、免震装置SIDとして、免震ゴムに加えて又は代えて、建物Bを支承する支承、ダンパー等、任意の種類の免震装置を有してよい。
基礎Fの外縁部には、擁壁RWが立設されている。擁壁RWは、建物Bの側壁BWに対して水平方向に間隔を空けて対向配置されている。
本実施形態の緩衝体1は、擁壁RWにおける、建物Bの側壁BWとの対向面に、取り付けられている。
【0023】
このように構成された本実施形態のの免震建物SIBにおいては、想定された規模の地震が発生した場合には、免震装置SIDの作用によって、建物Bが、擁壁RWに衝突することなく、基礎Fに対して水平に揺れ動くとともに、免震装置SIDの作用によって、徐々に揺れのエネルギーが吸収されていき、揺れが収まっていく。
一方、想定を超える大規模な地震が発生した場合には、
図5に示すように、免震装置SIDのエネルギー吸収機能だけでは対応しきれずに、建物Bが、基礎Fに対して過度に水平移動し、擁壁RWに衝突することが懸念される。そこで、本実施形態の緩衝体1は、免震装置SIDだけでは対応しきれない揺れに対応するために設けられている。緩衝体1は、擁壁RWにおける、建物Bの側壁BWとの対向面に設けられているので、建物Bは、直接ではなく、緩衝体1を介して、擁壁RWに衝突することとなる。建物Bが緩衝体1に衝突すると、緩衝体1は、建物Bが受ける衝撃を緩和する。
【0024】
なお、本実施形態では、緩衝体1は、擁壁RWに設けられているが、本実施形態に限らず、緩衝体1は、建物Bの側壁BW(より具体的には、建物Bの側壁BWの外面のうち、擁壁RWと対向する部分)に、取り付けられてもよい。あるいは、建物Bの側壁BWと擁壁RWとの両方に、それぞれ別々の緩衝体1が設けられてもよい。これらの場合でも、大地震の発生時に、建物Bは、直接ではなく、緩衝体1を介して、擁壁RWに衝突することとなるので、緩衝体1は、本実施形態と同様に、建物Bが受ける衝撃を緩和することができる。
また、これに限られず、緩衝体1は、互いに対向配置された任意の一対の構造物の少なくとも一方に取り付けられてよい。これにより、緩衝体1は、構造物が受ける衝撃を緩和することができる。
【0025】
図13に示すように、緩衝体1は、建物Bの下部及び基礎構造物Fの少なくともいずれか一方に、緩衝体1の軸線方向を略水平方向に指向させた状態で設置されていてもよい。
図13に示すように、免震建物SIBにおいて、緩衝体1は、建物Bの下部から下側へ張り出したブラケットKに取り付けられてもよい。また、
図13に示すように、免震建物SIBにおいて、緩衝体1は、基礎構造物Fの上面から上側へ張り出したブラケットKに取り付けられてもよい。
図13に示すように、建物Bの下部から下側へ張り出したブラケットKに取り付けられた緩衝体1と、基礎構造物Fの上面から上側へ張り出したブラケットKに取り付けられた緩衝体1とを、それぞれの軸線方向を略水平方向に指向させた状態で、互いに軸線方向に対向するように配置してもよい。また、建物Bの下部にのみ緩衝体1を取り付け、この緩衝体1が、建物Bの振動時に基礎構造物Fに接するようにしてもよい。更に、基礎構造物Fにのみ緩衝体1を取り付け、この緩衝体1が、建物Bの振動時に建物Bに当接するようにしてもよい。また、ブラケットKの片側だけでなく、両側に緩衝体1を取り付けてもよい。
【0026】
あるいは、
図14に示すように、緩衝体1は、基礎に固定された建物Bにも適用可能である。このような建物Bに適用する場合には、緩衝体1は、
図14に示すように、建物Bの内部の床面及び天井面の少なくともいずれか一方に設置される。
図14に示す緩衝体1は、建物Bの内部の床面及び天井面それぞれから張り出したブラケットKにそれぞれ取り付けられており、互いに略水平方向に対向して配置されている。
【0027】
つぎに、本実施形態の緩衝体1の構成について、
図2~
図4を参照しながら詳しく説明する。
図2は、
図1の緩衝体1を示す斜視図である。
図3は、
図2の緩衝体1を分解した状態で示す分解斜視図である。
図4は、
図2の緩衝体1を、緩衝体1の軸線方向に平行な
図2のA-A線に沿う断面により示す、軸線方向断面図である。
図4の断面は、緩衝体1の中心軸線Oを通る断面である。
図1~
図4において、緩衝体1は、建物Bからの衝撃が1度も加わったことのない、初期の状態にある。
【0028】
なお、「緩衝体1の軸線方向」(以下、単に「軸線方向」ともいう。)とは、緩衝体1の中心軸線Oに平行な方向である。ここで、「緩衝体1の中心軸線O」とは、緩衝体1の後述の緩衝本体部13の取付側の面(緩衝本体部13の外面のうち、緩衝体1が取り付けられる構造物に対向する側の面)に対し垂直であり、かつ、緩衝本体部13の取付側の面の外縁形状の重心を通る、直線である。本実施形態において、緩衝体1の軸線方向は、水平方向に指向されている。
以下では、便宜のため、軸線方向の一方側を「軸線方向第1側O1」といい、軸線方向の他方側を「軸線方向第2側O2」という。緩衝体1における軸線方向第2側O2の端部は、基端部であり、互いに対向配置された一対の構造物の一方(具体的に、本実施形態では、擁壁RW)に取り付けられるように構成されている。緩衝体1における軸線方向第1側O1の端部は、自由端部であり、互いに対向配置された一対の構造物の他方(具体的に、本実施形態では、建物Bの側壁BW)に対して対向配置されるように構成されている。
また、緩衝体1において、「外周側」とは、緩衝体1の中心軸線Oから遠い側を指している。一方、緩衝体1において、「内周側」とは、緩衝体1の中心軸線Oに近い側を指している。
また、「緩衝体1の軸直方向」(以下、単に「軸直方向」ともいう。)とは、緩衝体1の軸線方向に垂直な方向である。
【0029】
図2~
図4に示すように、本実施形態の緩衝体1は、緩衝部材10を複数備えている。本実施形態の緩衝体1は、緩衝部材10として、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とを備えている。各緩衝部材10(ひいては、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)は、それぞれ、緩衝本体部13と、一対の外部剛性板14と、を有している。
【0030】
緩衝本体部13は、外部から入力される衝撃を緩和する機能を有している。緩衝本体部13は、緩衝本体部13に軸線方向に押圧力が作用した際に圧縮変形するように構成されると、好適である。緩衝本体部13を構成する材料としては、例えば、エラストマー系材料、弾性体等が挙げられ、より具体的には、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ゴムとしては、天然ゴム、又は、高減衰ゴム等の合成ゴムが挙げられる。
緩衝本体部13は、その全体にわたって同じ材料で構成されてもよいし、あるいは、部分ごとに異なる材料から構成されてもよい。
【0031】
以下では、第1緩衝部材11の緩衝本体部13を「緩衝本体部131」と表記し、第2緩衝部材12の緩衝本体部13を「緩衝本体部132」と表記する場合がある。
【0032】
図2~
図4の例において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の緩衝本体部13は、平面視での外縁形状が、それぞれ8角形である。ここで、「平面視」とは、軸線方向のいずれか一方側から観ることを指す。ただし、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の緩衝本体部13の平面視での外縁形状は、四角形、円形等、任意の形状でよい。また、第1緩衝部材11の緩衝本体部131と第2緩衝部材12の緩衝本体部132とは、平面視での外縁形状が、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0033】
一対の外部剛性板14は、緩衝本体部13の軸線方向の両端面のそれぞれに一体化されており、緩衝本体部13を挟持している。
各外部剛性板14は、軸直方向に対し平行であると、好適である。
外部剛性板14は、緩衝本体部13よりも高い剛性を有する材料から構成されると好適である。外部剛性板14を構成する材料としては、鋼等の金属が好適であるが、金属と同等の剛性を備えた樹脂等でもよい。
外部剛性板14は、例えば、加硫接着により、緩衝本体部13の軸線方向の両端面のそれぞれに接合され、緩衝本体部13の軸線方向の両端面と一体化される。
緩衝本体部13の軸線方向の両端面と一対の外部剛性板14とが一体化されていることで、緩衝本体部13の圧縮変形時に、緩衝本体部13における圧縮方向(軸線方向)の両側いずれも、変形を抑制する変形拘束状態にすることができる。このため、緩衝本体部13の圧縮剛性を高めることが可能になる。
なお、外部剛性板14は、加硫接着に代えて又は加えて、接着剤による接着により、緩衝本体部13の軸線方向の両端面のそれぞれに接合され、緩衝本体部13の軸線方向の両端面と一体化されてもよい。
【0034】
以下では、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第1側O1の外部剛性板14を「外部剛性板141a」と表記し、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板14を「外部剛性板141b」と表記し、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第1側O1の外部剛性板14を「外部剛性板142a」と表記し、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板14を「外部剛性板142b」と表記する場合がある。
【0035】
図2~
図4の例において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、それぞれ、一対の外部剛性板14のうち軸線方向第1側O1の外部剛性板14(141a、142a)の平面視での外縁形状が、それぞれ8角形であり、一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板14(141b、142b)の平面視での外縁形状が、それぞれ4角形である。ただし、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各外部剛性板14は、それぞれ、任意の形状でよい。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、それぞれの一対の外部剛性板14の平面視での外縁形状が、互いに異なっていてもよいし、互いに同じでもよい。例えば、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、それぞれの一対の外部剛性板14の平面視での外縁形状が、4角形でもよい。
【0036】
図2~
図4の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、平面視において、一対の外部剛性板14のうち少なくとも一方(
図2~
図4の例では、軸線方向第1側O1の外部剛性板141a、142a)の外縁形状と緩衝本体部131の外縁形状とが、合同であると、好適である。これにより、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の製造性を向上できる。
【0037】
図2~
図4の例において、緩衝体1は、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板142bが、締結により、構造物(本例では、擁壁RW)に取り付けられるように構成されている。より具体的に、
図3に示すように、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板142bは、複数の締結穴142bpを有しており、これらの締結穴142bpを介して、締結具f2を用いた締結により、構造物(本例では、擁壁RW)に取り付けられるように構成されている。締結穴142bpは、本例において、第2緩衝部材12の軸線方向第2側O2の外部剛性板142bの4隅に設けられているが、当該外部剛性板142bにおける任意の位置に任意の数だけ設けられてよい。締結具f2は、例えば、ネジを含む。締結具f2は、ナット、ワッシャー等を含んでもよい。
ただし、緩衝体1は、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板14のうち軸線方向第2側O2の外部剛性板142bが、接着剤による接着により、構造物に取り付けられるように構成されてもよい。
【0038】
第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12どうしは、直列に連結されており、言い換えれば、軸線方向に沿って配列された状態で互いに連結されている。第1緩衝部材11は、第2緩衝部材12に対して、軸線方向第1側O1に位置している。第1緩衝部材11の中心軸線Oと第2緩衝部材12の中心軸線Oとは、一致している。
第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12どうしは、締結により、互いに連結されている。より具体的に、本実施形態において、緩衝体1は、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12との間に、中間剛性板16をさらに備えている。そして、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12どうしは、中間剛性板16を介して、締結により、直列に連結されている。より具体的には、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16とが、締結により連結されており、また、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとが、締結により連結されている。
図3に示すように、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16とは、それぞれ、複数の締結穴141bp、16p1を有しており、これら複数の締結穴141bp、16p1を介して、締結具f1を用いた締結により、互いに連結されている。締結穴141bp、16p1は、本例において、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16との4隅に設けられているが、当該外部剛性板141bと中間剛性板16とにおける任意の位置に任意の数だけ設けられてよい。締結具f1は、例えば、ネジを含む。締結具f1は、ナット、ワッシャー等を含んでもよい。
また、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとは、それぞれ、複数の締結穴16p2、142apを有しており、これら複数の締結穴16p2、142apを介して、締結具f3を用いた締結により、互いに連結されている。締結穴16p2、142apは、本例において、中間剛性板16の締結穴16p1よりも内周側において、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとにそれぞれ8つずつ設けられているが、中間剛性板16と当該外部剛性板142aとにおける任意の位置に任意の数だけ設けられてよい。締結具f3は、例えば、ネジである。また、本例において、中間剛性板16の締結穴16p2は、
図3~
図4に示すように、締結具f3の頭部が軸線方向第1側O1に向けられた状態で締結具f3の頭部を収容するように構成されており、それにより、締結具f3が中間剛性板16側から第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aに向けて挿入されるようにされている。
【0039】
本実施形態の緩衝体1を製造するにあたっては、まず、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12をそれぞれ製造し、その後、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとを締結により連結することで、中間剛性板16と第2緩衝部材12とを連結し、その後、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16とを締結により連結することで、第1緩衝部材11と中間剛性板16を連結する。それにより、緩衝体1が最終的に得られる。
【0040】
ただし、緩衝体1は、本実施形態とは異なる構成により、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16とが、締結により連結され、また、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとが、締結により連結されてもよい。その場合、緩衝体1を製造するにあたっては、まず、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12をそれぞれ製造し、その後、第1緩衝部材11における軸線方向第2側O2の外部剛性板141bと中間剛性板16とを締結により連結することで、第1緩衝部材11と中間剛性板16を連結し、その後、中間剛性板16と第2緩衝部材12における軸線方向第1側O1の外部剛性板142aとを締結により連結することで、中間剛性板16と第2緩衝部材12とを連結するようにされてもよい。
【0041】
このように、本実施形態においては、緩衝体1が、直列に連結された複数の緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)を備えているので、仮に緩衝体1が緩衝部材10を1つのみ備えている場合に比べて、ストロークを伸ばすことができ、緩衝力を向上できる。
なお、仮に、緩衝体1を1つの緩衝部材10のみから構成し、かつ、緩衝本体部13の軸線方向の厚さを厚くすることで緩衝体1の軸線方向の厚さを本実施形態と同じにした場合には、緩衝体1の全体としての剛性が低くなり、緩衝体1の軸線方向の圧縮変位量が大きくなるおそれがあり、構造物(具体的に、本実施形態では、建物B)の揺れをさほど効果的に抑えることができないおそれがある。また、仮に、緩衝体1を1つの緩衝部材10のみから構成し、かつ、外部剛性板14の軸線方向の厚さを厚くすることで緩衝体1の軸線方向の厚さを本実施形態と同じにした場合には、緩衝体1の緩衝力が低下するおそれがある。その点、本実施形態においては、緩衝体1が、直列に連結された複数の緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)を備えているので、緩衝力を向上しつつ、剛性の低下を抑制できる。
また、本実施形態においては、緩衝体1が、直列に連結された複数の緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)を備えているので、緩衝体1の製造時においては、各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)をそれぞれ製造した後に、各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)どうしを締結により連結することにより、緩衝体1を得ることができる。よって、仮に、緩衝体1を1つの緩衝部材10のみから構成し、かつ、緩衝体1の軸線方向の厚さを本実施形態と同じにした場合に比べて、緩衝部材10の製造設備(金型等)や緩衝部材10の性能試験機を小さくすることができ、ひいては、製造性を向上できる。
また、本実施形態においては、緩衝体1が、直列に連結された複数の緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)を備えているので、各緩衝部材10の組み合わせを変えるだけで緩衝体1の構成を変えることができるので、剛性等の調整を容易に行うことができ、また、必要に応じていずれかの緩衝部材10のみを交換することが可能なので、メンテナンス性を向上できる。
複数の複数の緩衝部材10を連結することにより、地震時に圧縮力が発生し水平方向変形しても水平力が低下するので、締結具f1~f3や構造物側(本例では、擁壁RW)、衝突される側の負担が小さくなり、ひいては、締結具f1~f3を細くすることができる。
【0042】
図4に示すように、本実施形態において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のそれぞれの緩衝本体部13は、緩衝本体部穴13hを、1つ又は複数(
図4の例では、1つ)有している。
図4の例において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、緩衝本体部穴13hが、中心軸線O上に位置しており、緩衝本体部13の軸線方向の全体にわたって延在しており、軸直方向の断面において円形をなしている。
ただし、緩衝本体部穴13hの位置、大きさ、個数、形状は、任意である。
緩衝本体部穴13hがあることにより、衝撃の入力に応じて緩衝本体部13が軸線方向に圧縮される際に、緩衝本体部13のうち緩衝本体部穴13hの近傍の部分が、緩衝本体部穴13hの内側に向かって膨出されやすくなるので、剛性が低減され、その際に生じる軸線方向の反力(押し返す力)が低減される。緩衝本体部穴13hの位置、大きさ、個数を調整することにより、緩衝本体部13ひいては緩衝体1の圧縮剛性、ストローク、線形・非線形(P-δ曲線)を調整することができる。
【0043】
以下、緩衝体1の好適な構成や変形例について、説明する。
【0044】
本明細書で説明する各例においては、
図6の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12どうし(ひいては、外部剛性板141b、142aどうし)が、中間剛性板16を介さずに、締結により、互いに連結されてもよい。この場合、緩衝体1は、中間剛性板16を備えない。
【0045】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の少なくとも一方(
図4の例では、両方)は、緩衝本体部13に埋設された1つ又は複数(
図4の例では、1つ)の内部剛性板15をさらに有していると、好適である。
各内部剛性板15は、軸直方向に対し平行であると、好適である。
内部剛性板15は、緩衝本体部13よりも高い剛性を有する材料から構成されると好適である。内部剛性板15を構成する材料としては、鋼等の金属が好適であるが、金属と同等の剛性を備えた樹脂等でもよい。
内部剛性板15により、緩衝体1の圧縮剛性を高めることができる。
本明細書で説明する各例においては、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の少なくとも一方において、
図4の例のように、緩衝本体部13によって内部剛性板15の外周端部が覆われていてもよいし、あるいは、緩衝本体部13から内部剛性板15の外周端部が露出していてもよい。
【0046】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板141a、141bのうち第2緩衝部材12側(すなわち、軸線方向第2側O2)の外部剛性板141bと、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板142a、142bのうち第1緩衝部材11側(すなわち、軸線方向第1側O1)の外部剛性板142aとのうち、少なくとも一方(
図4の例では、外部剛性板142aのみ)は、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板141a、141bのうち第2緩衝部材12とは反対側(すなわち、軸線方向第1側O1)の外部剛性板141aと、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板142a、142bのうち第1緩衝部材11とは反対側(すなわち、軸線方向第2側O2)の外部剛性板142bとよりも、厚いと、好適である。仮に、緩衝体1の各外部剛性板14の厚さが同じである場合、軸線方向に対して交差する方向(例えば、斜め上方向、左右方向等)に衝撃が入力された時に、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12どうしの連結部分に相当する外部剛性板141b、142aの近傍において応力が集中し、そこで局部破壊が生じるおそれがある。上述のように、外部剛性板141b、142aの少なくとも一方を比較的厚くすることにより、軸線方向に対して交差する方向(例えば、斜め上方向、左右方向等)に衝撃が入力された時において、緩衝体1内の力の伝達を均一化でき、ひいては、局部破壊を抑制でき、緩衝体1の耐久性を向上できると共に圧縮剛性を安定させる事ができる。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、緩衝体1が1つ又は複数の内部剛性板15を備える場合、
図4の例のように、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板141a、141bのうち第2緩衝部材12側(すなわち、軸線方向第2側O2)の外部剛性板141bと、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板142a、142bのうち第1緩衝部材11側(すなわち、軸線方向第1側O1)の外部剛性板142aとのうち、少なくとも一方(
図4の例では、外部剛性板142aのみ)は、各内部剛性板15よりも、厚いと、好適である。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、緩衝体1が中間剛性板16を備える場合、
図4の例のように、中間剛性板16が、第1緩衝部材11の一対の外部剛性板141a、141bのうち第2緩衝部材12とは反対側(すなわち、軸線方向第1側O1)の外部剛性板141aと、第2緩衝部材12の一対の外部剛性板142a、142bのうち第1緩衝部材11とは反対側(すなわち、軸線方向第2側O2)の外部剛性板142bとよりも、厚いと、好適である。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、緩衝体1が中間剛性板16と1つ又は複数の内部剛性板15とを備える場合、
図4の例のように、中間剛性板16が、各内部剛性板15よりも、厚いと、好適である。
また、外部剛性板141a、142bを比較的薄くすることにより、軽量化、低コスト化が可能である。
【0047】
なお、
図4の例においては、外部剛性板142aと中間剛性板16との厚さが同じであり、また、外部剛性板141a、141b、142b及び各内部剛性板15どうしの厚さが同じである。
ただし、緩衝体1の各外部剛性板14、中間剛性板16、及び各内部剛性板15の厚さは、それぞれ任意であり、例えば、これらの厚さが同じでもよい。
【0048】
本明細書で説明する各例において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各外部剛性板14は、
図4の例のように、外部剛性板穴14hを有してもよいし、外部剛性板穴14hを有しなくてもよい。
本明細書で説明する各例において、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各内部剛性板15は、内部剛性板穴15hを有してもよいし、内部剛性板穴15hを有しなくてもよい。
本明細書で説明する各例において、中間剛性板16は、中間剛性板穴16hを有してもよいし、中間剛性板穴16hを有しなくてもよい。
【0049】
本明細書で説明する各例において、緩衝体1は、1つ又は複数の緩衝体穴1hを有している。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各緩衝本体部穴13hは、緩衝体1の緩衝体穴1hの少なくとも一部を構成する。
緩衝体穴1hは、緩衝本体部穴13hのみから構成されてもよいし、あるいは、互いに連通された、緩衝本体部穴13hと、外部剛性板14の外部剛性板穴14h、各内部剛性板15の内部剛性板穴15h、及び、中間剛性板16の中間剛性板穴16hのうち少なくとも1つと、から構成されてもよい。
緩衝体1は、
図4の例のように緩衝体穴1hを1つのみ有してもよいし、あるいは、
図11の例のように緩衝体穴1hを複数(
図11の例では、2つ)有してもよい。
【0050】
本明細書で説明する各例において、緩衝体1は、少なくとも1つの緩衝体穴1h(ひいては、緩衝本体部穴13h)が、
図4の例のように、緩衝体1の中心軸線O上に位置していると、好適である。ただし、緩衝体1は、この構成に代えて又は加えて、少なくとも1つの緩衝体穴1h(ひいては、緩衝本体部穴13h)が、中心軸線Oよりも外周側のみに位置していてもよい。
【0051】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち少なくとも一方(
図4の例では、両方)は、緩衝本体部穴13hが、緩衝本体部13を軸線方向に貫通していると、好適である。
これにより、緩衝本体部13の剛性を低下させて反発力を弱めることができ、構造物を保護することができる。
また、緩衝本体部穴13hが緩衝本体部13を軸線方向に貫通していることにより、緩衝本体部13がゴムから構成される場合に、(I)緩衝本体部穴13hを加硫製造時の熱源として利用することができ、製造時間の短縮につながる、(II)加硫製造時間のボトルネックとなりうる部分が中空となることで製造時間の短縮につながる、(III)上記(I)または上記(II)により加硫製造されるゴム部分の加硫ばらつきが小さくなり、性能が安定する、という効果を得ることができる。
ただし、本明細書で説明する各例においては、
図11の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち少なくとも一方(
図11の例では、両方)において、緩衝本体部穴13hが、緩衝本体部13を軸線方向に貫通していなくてもよい。
【0052】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、緩衝体1の緩衝体穴1hが、緩衝体1を軸線方向に貫通していると好適である。具体的に、
図4の例においては、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各緩衝本体部穴13hと、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各外部剛性板穴14hと、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の各内部剛性板穴15hと、中間剛性板16の中間剛性板穴16hとが、連通しており、それにより、緩衝体穴1hが緩衝体1を軸線方向に貫通している。
緩衝体穴1hが緩衝体1を軸線方向に貫通していることにより、緩衝本体部13がゴムから構成される場合に、(I)緩衝体穴1hを加硫製造時の熱源として利用することができ、製造時間の短縮につながる、(II)加硫製造時間のボトルネックとなりうる部分が中空となることで製造時間の短縮につながる、(III)上記(I)または上記(II)により加硫製造されるゴム部分の加硫ばらつきが小さくなり、性能が安定する、という効果を得ることができる。
ただし、本明細書で説明する各例においては、
図11の例のように、緩衝体穴1hが緩衝体1を軸線方向に貫通していなくてもよい。この場合、緩衝体穴1は、
図11の例のように、緩衝体1の軸線方向両端のいずれにも開口していなくてもよいし、あるいは、緩衝体1の軸線方向両端のうち一方のみに開口していてもよい。
【0053】
本明細書で説明する各例においては、
図7の例のように、第1緩衝部材11の緩衝本体部131と第2緩衝部材12の緩衝本体部132とが、互いに異なる材料から構成されてもよい。
例えば、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち一方の緩衝本体部13は、高減衰ゴムから構成されており、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち他方の緩衝本体部13は、天然ゴムから構成されていてもよい。この場合、高減衰ゴムによって衝撃を吸収するとともに、天然ゴムによって反発力を高めることができる。高減衰ゴムは、高い減衰性能を有しており、ひいては、構造物が緩衝体1に当たった時に、衝撃のエネルギーを効果的に吸収し、構造物の揺れを効果的に減衰させることができる。天然ゴムは、構造物が緩衝体1に当たった時に、反力を生じつつ圧縮されることにより、構造物を柔らかく受け止め、構造物が受ける衝撃を効果的に緩和することができる。
特に、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11の緩衝本体部131は、高減衰ゴムから構成されており、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12の緩衝本体部132は、天然ゴムから構成されていると、好適である。これにより、より効果的に、高減衰ゴムによって衝撃を吸収するとともに、天然ゴムによって反発力を高めることができ、ひいては、緩衝体1の緩衝力をより向上できる。
第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の両方の緩衝本体部13を高減衰ゴムから構成した場合は、よりエネルギー吸収を重視した設計となる。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の両方の緩衝本体部13を天然ゴムから構成した場合は、より反発力を期待した設計になる。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち一方の緩衝本体部13を高減衰ゴムから構成し、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち他方の緩衝本体部13を天然ゴムから構成した場合は、その中間の特性となり、しかも自由にその特性を調整することができる。
このように2連にすることでストロークを長くすることができ、材料の組み合わせや大きさを変えることで荷重-変形の履歴が任意の経路を辿れるよう自由に調整することができる。
【0054】
本明細書で説明する各例においては、
図8の例のように、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の少なくとも一方(
図8の例においては、両方)において、緩衝本体部13が、内部剛性板15に対する軸線方向の両側で、互いに異なる材料から構成されてもよい。
例えば、第1緩衝部材11の緩衝本体部131のうち内部剛性板15よりも第2緩衝部材12とは反対側(すなわち、軸線方向第1側O1)の部分131cと、第2緩衝部材12の緩衝本体部132のうち内部剛性板15よりも第1緩衝部材11とは反対側(すなわち、軸線方向第2側O2)の部分132cとは、天然ゴムから構成されており、第1緩衝部材11の緩衝本体部131のうち内部剛性板15よりも第2緩衝部材12側(すなわち、軸線方向第2側O2)の部分131dと、第2緩衝部材12の緩衝本体部132のうち内部剛性板15よりも第1緩衝部材11側(すなわち、軸線方向第1側O1)の部分132dとは、高減衰ゴムから構成されていてもよい。この場合、緩衝体1における自由端部側及び基端部側(すなわち、軸線方向両外側)においては、天然ゴムによって、衝撃が入力されても耐えられる(復元できる)ようにするとともに、緩衝体1における軸線方向の中間部においては、高減衰ゴムによって、衝撃を吸収して緩衝力を高めることができ、ひいては、復元性と緩衝力とを良好に両立することができる。
第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の両方の緩衝本体部13を高減衰ゴムから構成した場合は、よりエネルギー吸収を重視した設計となる。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12の両方の緩衝本体部13を天然ゴムから構成した場合は、より反発力を期待した設計になる。第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち一方の緩衝本体部13を高減衰ゴムから構成し、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12のうち他方の緩衝本体部13を天然ゴムから構成した場合は、その中間の特性となり、しかも自由にその特性を調整することができる。
このように2連にすることでストロークを長くすることができ、材料の組み合わせや大きさを変えることで荷重-変形の履歴が任意の経路を辿れるよう自由に調整することができる。
【0055】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部13の外径が同じでもよい。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、
図9の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部13の外径が異なっていてもよい。
各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)の緩衝本体部13の外径を調整することにより、各緩衝部材10の緩衝本体部13の剛性ひいては緩衝体1の緩衝力を調整することができる。一般的に、緩衝本体部13の外径が小さいほど、緩衝本体部13の剛性が低くなる傾向がある。
例えば、
図9の例のように、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11の緩衝本体部131は、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12の緩衝本体部132よりも、外径が小さいと、好適である。これにより、構造物が緩衝体1に衝突した時に、衝突の前半においては、第1緩衝部材11の緩衝本体部131が比較的容易に圧縮変形することで衝撃を効果的に吸収でき、衝突の後半においては、第2緩衝部材12の緩衝本体部132が効果的に構造物を押し返して構造物の変位を抑えることができる。よって、緩衝力を向上できる。
なお、緩衝本体部13の外径とは、軸直方向の断面における緩衝本体部13の外接円の直径を指す。
このように2連にすることでストロークを長くすることができ、材料の組み合わせや大きさを変えることで荷重-変形の履歴が任意の経路を辿れるよう自由に調整することができる。
【0056】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの径が同じでもよい。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、
図10の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの径が異なっていてもよい。
各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)の緩衝本体部穴13hの径を調整することにより、各緩衝部材10の緩衝本体部13の剛性ひいては緩衝体1の緩衝力を調整することができる。一般的に、緩衝本体部穴13hの径が大きいほど、緩衝本体部13の剛性が低くなる傾向がある。
例えば、
図10の例のように、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11は、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12も、緩衝本体部穴13hの径が大きいと、好適である。これにより、構造物が緩衝体1に衝突した時に、衝突の前半においては、第1緩衝部材11の緩衝本体部131が比較的容易に圧縮変形することで衝撃を効果的に吸収でき、衝突の後半においては、第2緩衝部材12の緩衝本体部132が効果的に構造物を押し返して構造物の変位を抑えることができる。よって、緩衝力を向上できる。
なお、緩衝本体部穴13hの径とは、軸直方向の断面における緩衝本体部穴13hの外接円の直径を指す。
このように2連にすることでストロークを長くすることができ、材料の組み合わせや大きさを変えることで荷重-変形の履歴が任意の経路を辿れるよう自由に調整することができる。
【0057】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さが同じでもよい。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、
図11の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さが異なっていてもよい。
各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)の緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さを調整することにより、各緩衝部材10の緩衝本体部13の剛性ひいては緩衝体1の緩衝力を調整することができる。一般的に、緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さが長いほど、緩衝本体部13の剛性が低くなる傾向がある。
例えば、
図11の例のように、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11は、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12も、緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さが長いと、好適である。これにより、構造物が緩衝体1に衝突した時に、衝突の前半においては、第1緩衝部材11の緩衝本体部131が比較的容易に圧縮変形することで衝撃を効果的に吸収でき、衝突の後半においては、第2緩衝部材12の緩衝本体部132が効果的に構造物を押し返して構造物の変位を抑えることができる。よって、緩衝力を向上できる。
なお、
図4や
図11の各例のように、複数の緩衝本体部穴13hどうしの間に内部剛性板穴15hがある場合等、軸線方向に沿って複数の緩衝本体部穴13hが存在する場合においては、緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さとは、軸線方向に配列された当該複数の緩衝本体部穴13hの軸線方向の長さの合計を指す。
【0058】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの体積が同じでもよい。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、
図11の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、緩衝本体部穴13hの体積が異なっていてもよい。
各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)の緩衝本体部穴13hの体積を調整することにより、各緩衝部材10の緩衝本体部13の剛性ひいては緩衝体1の緩衝力を調整することができる。一般的に、緩衝本体部穴13hの体積が大きいほど、緩衝本体部13の剛性が低くなる傾向がある。
例えば、
図11の例のように、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11は、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12も、緩衝本体部穴13hの体積が大きいと、好適である。これにより、構造物が緩衝体1に衝突した時に、衝突の前半においては、第1緩衝部材11の緩衝本体部131が比較的容易に圧縮変形することで衝撃を効果的に吸収でき、衝突の後半においては、第2緩衝部材12の緩衝本体部132が効果的に構造物を押し返して構造物の変位を抑えることができる。よって、緩衝力を向上できる。
なお、緩衝部材10が複数の緩衝本体部穴13hを有する場合においては、緩衝本体部穴13hの体積とは、緩衝部材10が有する当該複数の緩衝本体部穴13hの体積の合計を指す。
【0059】
本明細書で説明する各例においては、
図4の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、軸線方向の投影面(図示せず)における緩衝本体部穴13hの位置が同じでもよい。
図4の例では、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12は、軸線方向の投影面(図示せず)において、緩衝本体部穴13hが、中心軸線O上に位置している。
あるいは、本明細書で説明する各例においては、
図12の例のように、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12とは、軸線方向の投影面(図示せず)における緩衝本体部穴13hの位置が異なっていてもよい。この場合、軸線方向の投影面において、第1緩衝部材11の各緩衝本体部穴13hと、第2緩衝部材12の各緩衝本体部穴13hとは、重複しなくてもよいし、部分的に重複してもよい。
軸線方向の投影面における各緩衝部材10(具体的には、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12)の緩衝本体部穴13hの位置を調整することにより、各緩衝部材10の緩衝本体部13ひいては緩衝体1の緩衝力を調整することができる。
例えば、
図12の例のように、軸線方向の投影面(図示せず)において、緩衝体1の自由端部側(すなわち、軸線方向第1側O1)に位置する第1緩衝部材11は、緩衝本体部穴13hが中心軸線O上に位置しており、また、緩衝体1の基端部側(すなわち、軸線方向第2側O2)に位置する第2緩衝部材12は、複数の緩衝本体部穴13hを有しており、当該複数の緩衝本体部穴13hが、中心軸線Oよりも外周側のみに位置していると、好適である。これにより、構造物が緩衝体1に衝突した時に、衝突の前半においては、第1緩衝部材11の緩衝本体部131が比較的容易に圧縮変形することで衝撃を効果的に吸収でき、衝突の後半においては、第2緩衝部材12の緩衝本体部132が効果的に構造物を押し返して構造物の変位を抑えることができる。よって、緩衝力を向上できる。なお、この場合、軸線方向の投影面において、第1緩衝部材11の緩衝本体部穴13hと、第2緩衝部材12の各緩衝本体部穴13hとは、重複していないと好適であるが、部分的に重複してもよい。
【0060】
本明細書で説明する各例においては、緩衝体1は、直列に連結された緩衝部材10を3つ以上備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の緩衝体は、互いに対向配置された一対の構造物の少なくとも一方に取り付けられると好適なものであり、免震建物における建物の側壁とこれに対向配置された擁壁との少なくとも一方に取り付けられると特に好適なものである。
【符号の説明】
【0062】
1:緩衝体、 1h:緩衝体穴、
10:緩衝部材、 11:第1緩衝部材(緩衝部材)、 12:第2緩衝部材(緩衝部材)、
13、131、132:緩衝本体部、 131c:第1緩衝部材の緩衝本体部のうち内部剛性板よりも第2緩衝部材とは反対側の部分、 131d:第1緩衝部材の緩衝本体部のうち内部剛性板よりも第2緩衝部材側の部分、 132c:第2緩衝部材の緩衝本体部のうち内部剛性板よりも第1緩衝部材とは反対側の部分、 132d:第2緩衝部材の緩衝本体部のうち内部剛性板よりも第1緩衝部材側の部分、 13h:緩衝本体部穴、 14、141a、141b、142a、142b:外部剛性板、 14h:外部剛性板穴、 141bp:締結穴、 142ap、142bp:締結穴、 1515:内部剛性板、 15h:内部剛性板穴、
16:中間剛性板、 16p1、16p2:締結穴、 16h:中間剛性板穴、
f1、f2、f3:締結具、
O:緩衝体の中心軸線、 O1:軸線方向第1側、 O2:軸線方向第2側、
B:建物、 BB:建物の底部、 BW:建物の側壁、 F:基礎、 RW:擁壁、 SIB:免震建物、 SID:免震装置、 K:ブラケット