(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094498
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】駆動効率増幅機能を有する各種伝達要素。
(51)【国際特許分類】
B60D 1/04 20060101AFI20230628BHJP
F16D 3/26 20060101ALI20230628BHJP
F16C 3/08 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B60D1/04
F16D3/26 J
F16C3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215582
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】591188619
【氏名又は名称】中山 善次郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 善次郎
【テーマコード(参考)】
3J033
【Fターム(参考)】
3J033AA02
3J033CA01
3J033CA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駆動効率を2倍近くに増幅する事を可能にする。
【解決手段】物体を駆動する場合、通常作用反作用が同一運動線上にあるとき反作用が100%逆方向に働くが、作用反作用の運動線が異なる場合、反作用のマイナス効果が無く、駆動効率は倍増する。作用反作用の運動線が同一線上にならないように構成すると駆動効率の増幅が可能となる。車両牽引システムでは牽引車と被牽引車の間に伝達要素を介在させ入力軸と出力軸が直角に立体交差するように構成する事で伝達要素に生じる作用反作用の運動線が異なり駆動効率の増幅機能が発生する。クランクやスプロケット、歯車のように回転運動を行う伝達要素の場合は入力点から出力点の間の動力伝達経路上に単数の円孔等による亀裂を設ける事で作用反作用の運動線が異なり駆動効率の増幅が可能になり、円孔亀裂の数を増やす事や適正傾斜を加える事で駆動効率増幅巾がさらに大きくなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と被牽引車の連結要素として硬質体の伝達要素を介在させ同伝達要素に設けた入力軸と出力軸によって両車両を連結する牽引システムで、下記4パターンにより伝達要素に発生する作用反作用の運動線が異なるように構成した牽引システム。
▲1▼牽引車と伝達要素の片側を垂直の入力軸で繋ぎ、伝達要素の他端と被牽引車を水平の出力軸で繋ぐように構成した牽引システム、または、入力軸を水平、出力軸を垂直にして構成した牽引システム。
▲2▼牽引車と伝達要素を1箇所の入力軸で繋ぎ、伝達要素と被牽引車を2箇所の出力軸で繋ぐように構成した牽引システム、または、伝達要素の入力軸を2箇所とし、出力軸を1箇所として構成した牽引システム。
▲3▼車両を連結する伝達要素の入力軸と出力軸間の中心線上に円孔等による亀裂を設けて構成した牽引システム。
▲4▼垂直の入力軸と出力軸で牽引車と被牽引車を連結するシステムで伝達要素に上下方向に傾斜が生じるように構成した牽引システム。
【請求項2】
入力軸心と出力軸心を結ぶ中心線上に面に垂直な円孔等による単数または複数の亀裂を設けたクランク、および、垂直に適正傾斜を加えた角度の単数傾斜亀裂を設けたクランク、および、複数の傾斜亀裂と複数の垂直亀裂を交互に中心線上に設けたクランク。
なお前述適正傾斜には定数がなく傾斜比率を少なくする事で増幅巾が大きくなるため技術的に可能な範囲で有効な最小傾斜を適正傾斜とします。
【請求項3】
面上に円孔等による単数または複数の亀裂を面に垂直に設けたスプロケットや歯車、および、垂直に上記適正傾斜を加えた角度の単数傾斜亀裂を設けたスプロケットや歯車、および、複数傾斜亀裂と複数垂直亀裂を円周上に交互に設けたスプロケットや歯車。
【請求項4】
軸心を中心にした回転を伝える回転軸で駆動部分と被駆動部分の間に表面から軸心までの深さの円孔等による垂直亀裂を単数又は複数設けた回転軸、および、同じ深さで垂直に上記適正傾斜を加えた角度の単数傾斜亀裂を設けた回転軸、および、同じ深さで複数傾斜亀裂と複数垂直亀裂を交互に設けた回転軸。
【請求項5】
均質な素材からなる手袋や靴敷などに、面に垂直または垂直に上記適正傾斜を加えた角度で碁盤目状に多数の円孔等による亀裂を設けて運動効率の増幅を可能にした手袋や靴敷。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
当発明は駆動効率の増幅を可能にする機械器具の伝達要素や運動効率の増幅機能を有した生活用品の伝達要素に関するものです。
【背景の技術】
【0002】
従来、車両牽引システムやトーバーのように押したり引いたりする機能を行う機材や伝達要素に駆動効率を増幅させる機能はなかった。また自転車や自動車などの駆動系で使用されるクランク、スプロケット、歯車等の回転運動を伝える伝達要素にも回転効率を増幅させる機能はなく従来の動力機関改良の研究は主に軽量化、摩擦量の減少によるエネルギーの効率化,変速システムの導入等に向けられてきました。然しこれらの改良効果には限界があり変速機能は減速比を大きくすることでトルク量を大きく出来るがその分速度が減速するためトータルでは駆動力への増幅効果はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当発明は牽引システムやトーバー等の押引運動を行う機械器具の駆動効率を補助動力なしで2倍近くまで増幅させる事やクランク、スプロケット、歯車、回転軸など回転運動を行う伝達要素の駆動効率を2倍以上に増幅させる事を主要目的とするものですが、併せて、生活用品の手袋や靴敷、ベルトなど各種運動補助用品の運動効率の増幅を可能にし、多分野での省力化を課題とします。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当発明は2つの発見をベースにしたものです。
第1の発見は作用と反作用に関するものです。物体を動かそうとする場合、通常、作用と反作用が同一運動線上にあるため作用と逆方向に働く反作用が100%作用入力を相殺する働きをします。然し、作用と反作用が同一運動線上にない場合には双方の運動線がすれ違い反作用のマイナス効果が無くなるため被駆動体を駆動するのに必要な作用入力は作用反作用が同一運動線上にある場合に比べて2分の1近くまで減少し、駆動効率は2倍近くまで増幅します。
【0005】
第2の発見はクランクやスプロケット、歯車等のように回転運動を行う伝達要素に関するものです。回転動力を伝える伝達要素の場合は入力点、出力点間の動力伝達経路上に単数の円孔亀裂を面に垂直に設ける事で作用反作用の運動線が異なる事になり上記と同様な駆動効率増幅効果が発生しますが押引運動と異なり回転運動の場合は垂直円孔亀裂を複数個設ける事や垂直亀裂に微小傾斜を加える事、傾斜亀裂と垂直亀裂を交互に複数個所に設ける事などで駆動効率の増幅巾が更に拡大する事が判明しました。
この現象から人為的に動力伝達経路に傾斜を加える事で駆動効率が拡大すると考えられますが傾斜率を低くする事で駆動効率の増幅巾が拡大するため傾向があるため最大の駆動効率を得られる(適正傾斜)は技術的に可能で有効な最小傾斜になります。
【発明の効果】
【0006】
以上の発見に基づき当発明は補助動力なしで牽引システムなど押引運動を行う機械器具の駆動効率を2倍近くまで増幅する事を可能にします。また、手袋や靴敷などの軟質体の伝達要素の場合にも同様な運動効率の増幅を可能にします。
クランクやスプロケット、歯車のように回転運動を行う伝達要素の場合には複数の垂直亀裂と傾斜亀裂を交互に設ける事で増幅巾が更に拡大し、3倍近くまで駆動効率を増幅させる事が可能になります。従って、自転車のクランクまたはスプロケットに当発明を適用すれば電気動力補助自転車に近い駆動効率のある自転車を実現できます。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施する形態】
【0008】
車両の牽引システム等の押引運動を行う機械器具で駆動効率増幅機構を実現するためには駆動体と被駆動体を連結する伝達要素を介在させる必要があり、伝達要素に生じる作用反作用の運動線が異なるように構成して駆動効率増幅機構が実現されます。作用反作用の運動線が異なるようにする方法としては下記4パターンが可能な方法になります。
【0009】
▲1▼ 駆動体と伝達要素を連結する入力軸および伝達要素と被駆動体を連結する出力軸が直角に立体交差するように構成した牽引システム。
▲2▼ 駆動体と伝達要素が1本の入力軸で連結されているのに対して伝達要素と被駆動体が2本の出力軸で連結されるように構成した牽引システム。
▲3▼ 伝達要素の入力軸と出力軸を結ぶ線上に円孔などによる亀裂を設けて作用反作用の運動線が異なるよう構成した牽引システム。
▲4▼ 駆動体と伝達要素を垂直の入力軸で繋ぎ、伝達要素と被駆動体を垂直の出力軸で繋いで駆動体と被駆動体が伝達要素を介して連結されるように構成し、伝達要素と入出力軸との直角交差に同率の傾斜を加え伝達要素が水平に対して傾斜が生じるように構成した牽引システム。
【0010】
手袋や靴敷のように軟質体の伝達要素の場合は面に垂直な角度又は垂直に適正傾斜を加えた角度で碁盤目状に円孔を設ける事で同様な駆動効率増幅機能を組み込む事が可能です。
回転動力を伝えるクランクやスプロケット、歯車、回転軸などの伝達要素の場合には駆動力の伝達経路上に垂直の円孔等による亀裂を一個所に設ける事で作用反作用の運動線が異なり2倍近い駆動効率増幅機能を組み込む事が可能です。また垂直円孔亀裂を複数個所に設ける事や、垂直に適正傾斜を加えた角度の傾斜亀裂と垂直亀裂を交互に複数個所に設ける事により更なる駆動効率の拡大が可能で、3倍近くにまで駆動効率を増幅する事が可能になります。
【実施例0011】
図1は実施例1の車両牽引システム(パターン1)で、牽引車が伝達要素Bを介してトレイラーを牽引する状態を示す平面図および側面図です。 牽引車とトレイラーの間に介在する伝達要素Bには片側に垂直の軸受けを設け他方には水平の軸受けを設けています。これに対応して牽引車後部の連結部材Eには垂直方向の軸受けが設けてありトレイラー前部の連結部材Fには水平方向の軸受けが設けてあります。 牽引車の連結部材Eと伝達要素Bを垂直の入力軸Cで連結し、トレイラーの連結部材Fと伝達要素Bを水平の出力軸Dで連結する事で牽引車とトレイラーは伝達要素Bを介して連結されます。
【0012】
この構成により伝達要素Bに設けた入力軸Cと出力軸Dは直角に立体交差し、牽引車から伝わる駆動力は垂直の入力軸Cから水平の出力軸Dに伝わるため作用と反作用の運動線が異なる事になります。この結果、トレイラーを牽引する事で生じる反作用のマイナス効果がなくなり牽引車の駆動効率が増幅されます。
この構成では伝達要素Bの入力軸が1本のみなのに対して出力軸は2本になるため作用反作用の運動線が異なる事になります。このためトレイラーを牽引する事で生じる反作用のマイナス効果が無くなり牽引車の駆動効率が増幅されます。