IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

特開2023-9451一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム
<>
  • 特開-一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム 図1
  • 特開-一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム 図2
  • 特開-一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム 図3
  • 特開-一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009451
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230113BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230113BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112753
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 文人
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF33
5H181LL14
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】多段階一時停止を行ったことを判定することができる一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラムを提供する。
【解決手段】一時停止判定装置40は、CPU2が、道路上の一時停止線Sの所定距離手前に設定されたA点と、A地点と一時停止線Sの間に設定されたB点と、の各位置情報を取得し、A点、B点の順に通過後、一時停止線Sの位置を検出する。そして、CPU2が、検出した一時停止線Sに停止したか判定し、一時停止線Sに停止したか判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の一時停止線の所定距離手前に設定された第1地点と、前記第1地点と前記一時停止線の間に設定された第2地点と、の各位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1地点、前記第2地点の順に通過後、前記一時停止線の位置を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記一時停止線に停止したか判定する第1判定部と、
前記第1判定部による判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する第2判定部と、
を備えることを特徴とする一時停止判定装置。
【請求項2】
少なくとも前記第1判定部及び前記第2判定部の判定結果に基づいて警報を行う警報部を備えることを特徴とする請求項1に記載の一時停止判定装置。
【請求項3】
前記第2判定部による判定後、所定距離以内に再々度停止するか判定する第3判定部を備え、
前記警報部は、前記第1判定部、前記第2判定部及び前記第3判定部の判定結果に基づいて警報を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の一時停止判定装置。
【請求項4】
前記一時停止線を通過後に直進したか否かを判定する直進判定部を備え、
前記直進判定部が直進したと判定した場合は、前記警報部の警報の対象外とすることを特徴とする請求項2または3に記載の一時停止判定装置。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の一時停止判定装置と、前記警報部による警報が発生した場合に、当該警報は発生したことを示す情報を送信する送信部と、を備える車載機と、
前記車載機から送信された情報を受信する受信部と、受信した前記情報を解析する解析部と、を備える解析装置と、
を備えることを特徴とする一時停止判定システム。
【請求項6】
前記車載機は車両前方の映像を撮像する撮像部が撮像した前記映像を取得する映像取得部を備え、
前記送信部は、前記警報発生時を含む所定時間の映像も送信することを特徴とする請求項5に記載の一時停止判定システム。
【請求項7】
道路上の一時停止線の所定距離手前に設定された第1地点と、前記第1地点と前記一時停止線の間に設定された第2地点と、の各位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1地点、前記第2地点の順に通過後、前記一時停止線の位置を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記一時停止線に停止したか判定する第1判定部と、
前記第1判定部による判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する第2判定部と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする一時停止判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が一時停止を行ったことを判定する一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルタコグラフ等の車載機においては、交差点進入時に例えばウィンカーのタイミングや進入速度等に基づいて安全運転の判定を行うことがあった。
【0003】
また、交差点における運転診断を行う発明としては特許文献1に記載の発明が提案されている。特許文献1には、自車両が交差点で一時停止をした場合に、記憶部に記憶されている各指標のうち、自車両が通過した交差点において一時停止を行った車両の停止行動指標、発進行動指標、減速行動指標を抽出する。そして、抽出した停止行動指標を標本として停止行動特性の偏差値を求め、発進行動指標を標本として発進行動特性の偏差値を求め、減速行動指標を標本として減速行動特性の偏差値を求め、偏差値の合計を診断スコアとすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-62281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、見通しの悪い交差点でなどでは、交差する車両同士が互いに存在を確認し合えるように多段階一時停止が行われる。特に、運送業者等が運行する車両では、配達中の多段階一時停止が義務付けられる場合がある。
【0006】
しかしながら、上述したように、ウィンカーのタイミングや進入速度等で安全判定を行っている場合、多段階一時停止を行ったか否かは考慮されない。そのため、ウィンカーのタイミングや進入速度の項目さえ守れば安全運転の扱いとなってしまい、多段階一時停止を行わなかったことによるドライバー等への評価や指導ができない場合があった。
【0007】
また、特許文献1に記載の発明は、各種指標に基づいて偏差値を求めて診断スコアを算出しているため、多段階一時停止については考慮されていない。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、多段階一時停止を行ったことを判定することができる一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、道路上の一時停止線の所定距離手前に設定された第1地点と、前記第1地点と前記一時停止線の間に設定された第2地点と、の各位置情報を取得する取得部と、前記第1地点、前記第2地点の順に通過後、前記一時停止線の位置を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記一時停止線に停止したか判定する第1判定部と、前記第1判定部による判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する第2判定部と、を備えることを特徴とする一時停止判定装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1判定部と第2判定部との判定結果に基づいて多段階一時停止が行われたか確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる一時停止判定システムの概略構成図である。
図2図1に示された車載機における多段階一時停止判定処理のフローチャートである。
図3】A点及びB点の具体例を示した説明図である。
図4】他段階一時停止の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる一時停止判定システム30の概略構成図である。図1に示したように、車載機1とPC21とを有している。
【0013】
車載機1は、CPU2と、広域通信部3と、SW入力部4と、アナログI/F5と、ブザー(BZ)6と、エンジン入力部7と、GセンサI/F8と、LCD9と、SDカードI/F10と、FROM11と、DHT入力I/F12と、SWU入力I/F13と、GPS入力I/F14と、カメラI/F15と、速度入力I/F16と、外部入力I/F17と、を備えている。
【0014】
CPU2は、予め組み込まれているプログラムを実行することにより、車載機1に必要とされる様々な機能を実現するための処理を行う。この処理には、デジタルタコグラフとしての運行データ記録処理等が含まれるが、本実施形態では、図示したように、CPU2は、GPS設定ダウンロード処理2a、多段階一時停止判定処理2b、交差点右左折判定処理2cがさらに含まれる。
【0015】
GPS設定ダウンロード処理2aは、後述するA点及びB点の緯度経度情報(位置情報)をPC21からダウンロードし、例えばFROM11に格納する。
【0016】
多段階一時停止判定処理2bは、車載機1が搭載されている車両が多段階一時停止を行ったか判定する。多段階一時停止判定処理2bの詳細は後述する。
【0017】
交差点右左折判定処理2cは、従来技術に記載したように、ウィンカータイミングと交差点への進入速度に基づいて適切なタイミングと速度で右左折を行ったか判定する。例えばウィンカータイミングとして交差点の30m手前とし、進入速度として15km/hとすることができる。交差点右左折判定処理2cは、上記判定条件による判定の結果警報が必要になった場合は、ブザー6を鳴動させるとともに、広域通信部3によりPC21へ警報イベント発生の通知を行う。
【0018】
広域通信部3は、例えば携帯回線網(モバイル通信網ともいう)といった広域回線を介してPC21と通信を行う。
【0019】
SW入力部4は、入庫ボタン、入庫ボタン等の車載機1に設けられている各種ボタンのON/OFF信号が入力される。
【0020】
アナログI/F5は、エンジン温度(冷却水温)を検知する温度センサ(図示せず)、燃料量を検知する燃料量センサ(図示せず)等の信号が入力されるインタフェース(I/F)である。
【0021】
ブザー6は、後述する多段階一時停止判定処理2bの処理結果や、交差点右左折判定処理2cの処理結果に基づいてブザー音(警報音)を出力する。
【0022】
エンジン入力部7は、エンジン回転数センサ(図示せず)からの回転パルス信号が入力される。
【0023】
Gセンサ8I/Fは、加速度センサ(Gセンサ)から加速度(G値)等の信号が入力されるI/Fである。
【0024】
LCD9は、表示部であり、本実施形態では液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)で構成され、日時や、動作状態、メッセージ等の文字情報をドライバー等の乗務員が容易に視認できる状態で表示する。
【0025】
SDカードI/F10は、記憶媒体としてSDカードが挿抜自在に装着されるスロット等を有する。SDカードI/F10は、車載機1によって計測された運行データや、カメラI/F15が取得した車載カメラで撮像された映像の動画データ等をSDカードへ出力する。
【0026】
FROM11は、揮発性メモリである。FROM11は、CPU2のアクセスによりデータの読み出し及び書き込みが自在な半導体メモリ(RAM等)で構成されており、CPU2等が生成した様々なデータを一時的に保持するために利用される。
【0027】
DHT入力I/F12は、ハンディテンキー(図示せず)が接続されるI/Fである。ハンディテンキーは、例えば、数値入力用のテンキー、磁気又はICカードのデータ読み取り用のカードリーダ等を備える端末である。
【0028】
SWU入力I/F13は、スイッチユニット(SWU;図示せず)が接続されるI/Fである。SWUは、オプション機器として車載機1に接続されるユニットである。
【0029】
GPS入力I/F14は、GPS(Global Positioning System)受信機が接続されるI/Fである。GPS受信機は、GPSアンテナを有し、GPS衛星から送信される信号を受信し、現在位置を取得する。
【0030】
カメラI/F15は、車両に設置され、少なくとも車両の前方を撮像して動画データを生成するカメラ(撮像部)が接続される。即ち、カメラI/F15は、撮像部が撮像した映像を取得する映像取得部として機能する。カメラは、例えば魚眼レンズを通して撮像される撮像面に、100万画素、200万画素等の画素が配置されたイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサで構成されてもよいし、CCD(電荷結合素子)センサで構成されてもよい。
【0031】
速度入力I/F16は、車両の速度を検出する車速センサ(図示せず)からの速度パルスが入力される。
【0032】
外部入力I/F17は、例えばウィンカーの作動信号等の外部機器(図示せず)が接続され、外部機器からの信号が入力される。
【0033】
PC21は、車載機1を搭載する車両を運行する事業者等の事務所20に設置される。PC21は、通信部21aやCPU21b等を有し、汎用のオペレーティングシステムで動作するパーソナルコンピュータ(PC)である。
【0034】
通信部21aは、例えば通信インターフェース等で構成され、車載機1から送信された各種情報を受信する受信部として機能する。CPU21bは、汎用のオペレーティングシステムが動作し、車載機1から送信された各種情報に基づいてドライバー等を指導するための解析等を行う解析部として機能する。
【0035】
次に、上述した構成の車載機1における多段階一時停止判定処理2bを図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示したフローチャートはCPU2で実行されるコンピュータプログラム(一時停止判定プログラム)として構成されている。
【0036】
まず、ドライバー等の乗務員が車両のイグニッションをオンにして車載機1を起動すると(ステップS101)、CPU2は、多段階一時停止のGPS設定をダウンロードする(ステップS102)。他段階一時停止のGPS設定とは、一時停止線の手前に設定されたA点(第1地点)と、A点と一時停止線の間に設定されたB点(第2地点)と、の緯度経度情報を含む設定情報を示す。このステップS102では、前記したGPS設定をPC21からダウンロードする。即ち、CPU2は、道路上の一時停止線の所定距離手前に設定された第1地点と、第1地点と一時停止線の間に設定された第2地点と、の各位置情報を取得する位置情報取得部として機能する。
【0037】
上記したA点とB点について、具体例を図3に示す。図3は、道路R1と道路R2が交差する地点を示した図である。図3において、車両Vが道路R1を道路R2に向かって進行する際は交差点の手前左側に家Hがあり塀等によって交差点の見通しが悪い状態とする。また、道路R1には、交差点の手前に一時停止線Sが表示されている。
【0038】
A点は一時停止線Sの所定距離手前に設定される地点であり、B点はA点と一時停止線Sとの間に設定される地点である。ここで、所定距離は一律の距離に限らず、対象となる道路の制限速度や道路幅、車線数等に応じて適宜変更してもよい。また、B点もA点と一時停止線Sの中間地点に限らず、後述するが、一時停止線Sが車載カメラから認識できる地点であればよい。車載機1を搭載した車両Vは、図3に示したように、A点、B点の順に通過し、一時停止線S(交差点)に向かう。
【0039】
このA点及びB点は、例えば過去の走行データやヒヤリハット情報等に基づいてPC21に予め設定すればよい。また、本実施形態では、2地点で説明するが、3地点以上であってもよい。
【0040】
次に、ドライバー等は出庫ボタン等を操作して出庫処理を行うと(ステップS103)、その後CPU2は、入庫したか否か判定する(ステップS104)。入庫の判定は、例えば入庫ボタン等の操作の有無で判定すればよい。入庫した場合は(ステップS104;YES)、CPU2は、所定の入庫処理を行い(ステップS105)フローチャートは終了する。
【0041】
一方、入庫していない場合は(ステップS104;NO)、CPU2は、設定のA点を通過したか判定する(ステップS106)。設定のA点とは、図3で説明したA点を示す。ステップS106では、ステップS102でダウンロードしたA点の緯度経度情報と、GPS入力I/F14に入力された現在位置情報と、に基づいて判定を行う。例えば、現在位置情報が示す緯度経度がA点の緯度経度と一致した場合はA点を通過したと判定する。
【0042】
ステップS106の判定の結果、A点を通過していない場合は(ステップS106;NO)ステップS104に戻る。一方、ステップS106の判定の結果、A点を通過した場合は(ステップS106;YES)、CPU2は、設定のB点を通過したか判定する(ステップS107)。設定のB点とは、図3で説明したB点を示す。ステップS107では、ステップS106と同様にステップS102でダウンロードしたB点の緯度経度情報と、GPS入力I/F14に入力された現在位置情報と、に基づいて判定を行う。例えば、現在位置情報が示す緯度経度がB点の緯度経度と一致した場合はB点を通過したと判定する。
【0043】
次に、ステップS107の判定の結果、B点を通過していない場合は(ステップS107;NO)ステップS104に戻る。B点を通過していない場合とは、例えばA点から予め定めた距離を走行してもB点を見つけられなかった場合や、B点通過前に右左折が発生した場合が挙げられる。一方、ステップS107の判定の結果、B点を通過した場合は(ステップS107;YES)、CPU2は、一時停止線を認識したか判定する(ステップS108)。ステップS108の判定は車両前方を撮像する車載カメラからの映像に基づいてCPU2で画像認識した結果に基づいて判定がなされる。即ち、CPU2は、第1地点、第2地点の順に通過後、一時停止線Sの位置を検出する検出部として機能する。
【0044】
次に、ステップS108の判定の結果、一時停止線を認識していない場合は(ステップS108;NO)ステップS104に戻る。一時停止線を認識していない場合とは、例えばB点から予め定めた距離を走行しても一時停止線を見つけられなかった場合が挙げられる。一方、ステップS108の判定の結果、一時停止線を認識した場合は(ステップS108;YES)、CPU2は、認識した一時停止線で停止したか判定する(ステップS109)。ステップS109は、例えば認識した一時停止線が車両前進により車載カメラに撮像された映像に映らなくなってから(認識できなくなってから)、指定距離以内に停止した場合に一時停止線で停止したと判定すればよい。即ち、CPU2は、検出部が検出した前記一時停止線に停止したか判定する第1判定部として機能する。
【0045】
次に、ステップS109の判定の結果、一時停止線で停止していないと判定された場合は(ステップS109;NO)、CPU2は、一時停止線不停止警報フラグをONにする(ステップS110)。一時停止線不停止警報フラグとは、一時停止線で不停止であったことを示すフラグであり、例えばCPU2内のメモリ等に保存される。
【0046】
一方、ステップS109の判定の結果、一時停止線で停止したと判定されない場合は(ステップS109;YES)、CPU2は、見せるための停止を行ったか判定する(ステップS111)。ステップS111は、例えば一時停止線での停止後、走行開始してから指定距離以内に停止した場合に見せるための停止を行ったと判定すればよい。即ち、CPU2は、第1判定部による判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する第2判定部として機能する。ここで、多段階一時停止における停止について図4を参照して説明する。
【0047】
図4は、多段階一時停止における停止の各段階についての説明図である。まず車両Vのドライバーは一時停止線Sを認識する(a)。次に、ドライバーは一時停止線Sで車両Vを一時停止させる(b)。次に、ドライバーは一時停止線から車両Vの鼻先が交差点に進入した程度の位置(距離d1)で車両Vを再度停止させる(c)。この停止は「見せるための停止」といい、車量Vの存在を周囲に知らせるために行われる停止である。次に、ドライバーは「見せるための停止」から更に進んでドライバー自身が左右の確認をできる程度の位置(距離d2)で車両Vを再々度停止させる(d)。この停止は「確認の停止」といい、ドライバーが左右の確認をするために行われる停止である。多段階一時停止としては、上記の3段階の停止を行うものが多く、本実施形態も図4の多段階一時停止を前提として説明する。
【0048】
なお、多段階一時停止として、一時停止線(停止位置)で一時停止し、交差点の進入口でもう一度止まり安全確認を行う2段階一時停止でもよく、その場合は後述するステップS113、S114は省略してもよい。そして、後述する警報イベント発生事務所通知(ステップS117)もステップS109~S112の結果に基づいて行ってもよい。
【0049】
図2の説明に戻る。ステップS111の判定の結果、見せるための停止を行っていない場合は、(ステップS111;NO)、CPU2は、見せるための停止警報フラグをONにする(ステップS112)。見せるための停止警報フラグとは、上述した見せるための停止が不実行であったことを示すフラグであり、例えばCPU2内のメモリ等に保存される。
【0050】
一方、ステップS111の判定の結果、見せるための停止を行ったと判定された場合は(ステップS111;YES)、CPU2は、確認の停止を行ったか判定する(ステップS113)。ステップS113は、例えば見せるための停止後、走行開始してから指定距離以内に停止した場合に確認の停止を行ったと判定すればよい。なお、ステップS111の指定距離(d1)とステップS113の指定距離(d2)は同じ距離でなくてもよい。また、指定距離は、車両形状や交差点の見通しの悪さの程度が異なる場合もあるので、車両ごとや交差点ごとに適宜変更してもよい。即ち、CPU2は、第2判定部による判定後、所定距離以内に再々度停止するか判定する第3判定部として機能する。
【0051】
ステップS113の判定の結果、確認の停止を行っていない場合は、(ステップS113;NO)、CPU2は、確認の停止警報フラグをONにする(ステップS114)。確認の停止警報フラグとは、上述した確認の停止が不実行であったことを示すフラグであり、例えばCPU2内のメモリ等に保存される。
【0052】
一方、ステップS113の判定の結果、確認の停止を行ったと判定された場合は(ステップS113;YES)、CPU2は、右左折を実施したか判定する(ステップS115)。なお、ステップS115は、ステップS110、S112、S114実行後にも行われる。ステップS115の判定の結果、右左折を実施しない場合は(ステップS115;NO)、後述するステップS118に進む。本実施形態では、確認の停止判定後、若しくは何れかの警報フラグがONになった後、一定距離以内に右左折実施されなかった場合は一時不停止の警報は行わない。右左折の実施は、例えばウィンカー動作の有無等により判定すればよい。何れかの警報フラグとは、上述した一時停止線不停止警報フラグ(ステップS110)、見せるための停止警報フラグ(ステップS112)、確認の停止警報フラグ(ステップS114)のいずれかである。
【0053】
即ち、CPU2は、一時停止線Sを通過後に直進したか否かを判定する直進判定部として機能し、直進したと判定した場合は、ブザー6(警報部)の警報の対象外(警報を行わない)としている。
【0054】
ステップS115の判定の結果、右左折を実施した場合は(ステップS115;YES)、何れかの警報フラグがONか判定する(ステップS116)。何れかの警報フラグとは上述した3つの警報フラグのいずれかである。ステップS116の判定の結果、3つの警報フラグがいずれもOFFである場合は(ステップS116;NO)、後述するステップS118に進む。
【0055】
一方、ステップS116の判定の結果、何れかの警報フラグがONである場合は(ステップS116;YES)、警報イベントが発生した旨を事務所に通知する(ステップS117)。ステップS117は、ONになった警報フラグの内容等を示す情報を含むイベント発生情報を広域通信部3を介してPC21に送信する。また、このステップS117のタイミングで警報フラグがONであることによりブザー6を鳴動させる。即ち、ブザー6(警報部)は、第1判定部、第2判定部及び第3判定部の判定結果に基づいて警報している。
【0056】
そして、全ての警報フラグをOFFにリセットして(ステップS118)、ステップS104に戻る。警報フラグがOFFになるためブザー6の鳴動は停止する。
【0057】
上述した説明から明らかなように、CPU2と、ブザー6と、GPS入力I/F14と、カメラI/F15と、で本発明の一実施形態にかかる一時停止判定装置を構成する。
【0058】
本実施形態によれば、一時停止判定装置40は、CPU2が、道路上の一時停止線Sの所定距離手前に設定されたA点と、A地点と一時停止線Sの間に設定されたB点と、の各位置情報を取得し、A点、B点の順に通過後、一時停止線Sの位置を検出する。そして、CPU2が、検出した一時停止線Sに停止したか判定し、一時停止線Sに停止したか判定後、所定距離以内に再度停止するか判定する。
【0059】
一時停止判定装置40が上記のように構成されることにより、2回の判定結果に基づいて多段階一時停止が行われたか確実に判定することができる。また、A点やB点を設定することにより、交差点方向に向かっていることを確実に検出することができ、誤判定を防止することができる。
【0060】
また、一時停止判定装置40は、CPU2で行われた判定結果に基づいて多段階一時停止を実行しなかった旨の警報を行うブザー6を備えているので、多段階一時停止を実行しなかったことをドライバー等の乗務員に即座に通知することができる。
【0061】
また、一時停止判定装置40は、上記2回の判定後、CPU2が所定距離以内に再々度停止するか判定し、3つの判定結果に基づいてブザー6による警報を行うので、一時停止線での停止、見せるための停止、確認の停止の3段階の停止に対応することができる。
【0062】
また、一時停止判定装置40は、CPU2が一時停止線Sを通過後に直進したか否かを判定し、直進したと判定した場合は、ブザー6の警報の対象外とするので、不要な警報を行うことを防止できる。
【0063】
また、一時停止判定システム30は、一時停止判定装置40と、広域通信部3と、を有する車載機1と、車載機1から送信された情報を受信する通信部21aと、受信した情報を解析するCPU21bと、備えるPC21と、を備えている。このように構成された一時停止判定システム30によれば、多段階一時停止が行われたか確実に判定することができる。したがって、事業者等は、多段階一時停止について乗務員等に評価や指導を行うことができる。
【0064】
なお、上述した実施形態において、カメラI/F15に入力された警報時に撮像された映像データもイベント発生情報に含めて送信してもよい。警報時とは、厳密な警報発生時に限らず、警報発生の前後の所定時間も含める映像であるのが好ましい。映像データも含めることで、多段階一時停止を実行しなかった際の状況を確認しながら乗務員等に指導することができる。
【0065】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の一時停止判定装置、一時停止判定システム及び一時停止判定プログラムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 車載機
2 CPU(位置情報取得部、検出部、第1判定部、第2判定部、第3判定部、直進判定部)
3 広域通信部(送信部)
6 ブザー(警報部)
15 カメラI/F(映像取得部)
21 PC(解析装置)
21a 通信部(受信部)
21b CPU(解析部)
30 一時停止判定システム
40 一時停止判定装置
図1
図2
図3
図4