(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094518
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】真空バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20230628BHJP
F16K 51/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F16K51/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022132383
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】21217523
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュヴァイクヘーファー
【テーマコード(参考)】
3H051
3H066
【Fターム(参考)】
3H051BB01
3H051BB10
3H051CC01
3H051CC11
3H051CC15
3H051CC16
3H051FF09
3H066BA17
3H066BA18
3H066BA19
(57)【要約】
【課題】別の真空部品に省スペースで接続できる、コスト的に最適化された、容易に製造できる真空バルブを提供する。
【解決手段】基体12と真空開口16とを備え、真空開口16は、シール手段24に対するシール面18によって囲繞されている、真空バルブ10において、真空開口16及びシール面18が、直接に基体12に形成されていて、少なくとも1つの取付手段26、28が、基体12に形成されていて、取付手段26、28は、真空バルブ10に真空密に接続される真空部品の取付けに用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体(12)と真空開口(16、51)とを備え、
真空開口(16、51)は、シール手段(24)に対するシール面(18、52)によって囲繞されている、真空バルブ(10)において、
真空開口(16、51)及びシール面(18、52)が、直接に基体(12)に形成されていて、少なくとも1つの取付手段(26、28、78)が、基体(12)に形成されていて、取付手段(26、28、78)は、真空バルブ(10)に真空密に接続される真空部品(30、58、80)の取付けに用いられることを特徴とする、真空バルブ(10)。
【請求項2】
シール面(18、52)は、基体(12)の凹部に形成されていて、特に基体(12)の凹部の底を形成することを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項3】
基体(12)は、調心リング(22)を保持する凹み(20)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の真空バルブ(10)。
【請求項4】
少なくとも1つの取付手段が、真空開口(16、51)に形成された雌ねじ山(78)を有することを特徴とする、請求項1から3の少なくともいずれか一項に記載の真空バルブ(10)。
【請求項5】
少なくとも1つの取付手段が、シール面(18、52)の周りに配置された複数の孔(26、28、54)を有することを特徴とする、請求項1から4の少なくともいずれか一項に記載の真空バルブ(10)。
【請求項6】
孔のうちの少なくとも1つの孔(26、54)が、雌ねじを有する、及び/又は
孔のうちの少なくとも1つの孔(24)が、基体を完全に貫通して延在する
ことを特徴とする、請求項5に記載の真空バルブ(10)。
【請求項7】
シール面(18、52)は、DIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部に適合していることを特徴とする、請求項1から6の少なくともいずれか一項に記載の真空バルブ(10)。
【請求項8】
真空バルブ(10)は、真空ポンプ用の、特にターボ分子真空ポンプ(30)用の予備真空バルブ、又は真空室を遮断するバルブ、又はマルチチャンバシステムを遮断するバルブであることを特徴とする、請求項1から7の少なくともいずれか一項に記載の真空バルブ(10)。
【請求項9】
請求項1から8の少なくともいずれか一項に記載の真空バルブ(10)と、
真空部品(30、58、80)と、
真空バルブ(10)と真空部品(30、58、80)との間に配置されたシール手段(24)と
を備えた、システム。
【請求項10】
真空部品が、ターボ分子真空ポンプ(30)、特にターボ分子真空ポンプ(30)であって、基体(36)と真空開口(42)とを備え、真空開口(42)は、シール手段(24)に対するシール面(44)によって囲繞されていて、真空開口(42)及びシール面(44)は、直接に基体(36)に形成されていて、真空バルブ(10)を取り付けるために用いられる少なくとも1つの取付手段(47)が、基体(36)に形成されていてることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)及び真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)は、真空バルブ(10)と真空部品(30)とが真空密に互いに接続されると直ちに真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)と真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)とが接触するように、構成及び位置決めされていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
真空部品(58)は、真空バルブ(10)に接続するためのフランジ(60)、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部を有し、フランジ(60)は、シール面(64)を形成する正面と、正面から離反する側の背面(62)とを有することを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
特に円弧状のクランプ要素(66)が設けられていて、クランプ要素(66)は、真空バルブ(10)の少なくとも1つの取付手段(26)に割り当てられた少なくとも1つの取付用アイ(68、70)を有することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
クランプ要素(66)は、真空部品(58)のフランジの背面(62)に当接する、真空バルブ(10)に面する接触面(76)を有し、
特に、接触面(76)は、半径方向外側から半径方向内側へ真空バルブ(10)の基体(12)から離反する方へ傾斜していて、
特に、接触面(76)の傾斜は、フランジの、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部の背面(62)の傾斜に適合していることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
クランプ要素(66)は、2つの取付用アイ(68、70)を有し、取付用アイの一方は、全周にわたって閉じた孔(68)であり、他方の取付用アイは、半径方向に部分的に開いた孔(70)であることを特徴とする、請求項13又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体と真空開口とを備え、真空開口は、シール手段に対するシール面によって囲繞されている、真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の公知の真空バルブでは、シール面が、フランジの、真空バルブから離反する方を向いた正面に形成されている。フランジは、半径方向外側から半径方向内側へ、真空バルブの基体から離反する方へ傾斜する背面を有するとともに、短い管部材を介して、真空バルブの基体に接続されている。この真空バルブを別の真空部品に真空密に接続するために、通常、別の真空部品も、同一に構成されたフランジを有するので、フランジは、例えば緊締リングを用いて互いに接続できる。そのために、通常、調心リング及びシール手段が、2つのシール面間にもたらされ、緊締リングは、半径方向外側から半径方向内側へ、各々の真空部品の基体から離反する方へ傾斜する、互いに反対側に位置する2つの内側面を有し、緊締リングは、両方のフランジの周りに置かれるので、緊締リングの2つの内側面は、フランジの2つの背面に当接する。ここで緊締リングがねじ込まれる又は他の形で締め付けられると、緊締リングの内側面が、フランジの背面に圧力を加え、これにより、シール面が、シール手段に押し付けられ、真空密の接続が生じる。
【0003】
真空技術では、真空バルブを別の真空部品に接続するために、ISO規格の小フランジ(ISO-KF)が汎用されている。小フランジは、前述の原理に従って機能する。この場合、緊締リングがフランジの背面に係合する必要があるので、フランジは、真空バルブの基体からある程度間隔を置いて短い管部材に形成しなければならない。このことを実現するために、真空バルブは、フランジを有する管部材と共に、単一の素材部分から製作されてよい。しかし、この素材部分は、突出するフランジに基づいて、真空バルブ自体の基体よりも著しく大きくしなければならず、材料損失が大きく、煩雑でありコストが嵩む形で切削加工しなければならない。別の可能性は、一方では真空バルブの基体と他方ではフランジを含む管部材とを別個に製作し、後で接続することにあるが、しかし、このことは、別の作業ステップ及び潜在的な漏れを引き起こす。真空バルブと別の真空部品との記載された形での接続の別の欠点は、接続部自体が、常にある程度の最小構造サイズを有することである。このことは、一方では、制限されたスペース状況では不都合であり、しかも他方では、常にある種の梃子腕が形成されていて、梃子腕には、接続軸線に対して半径方向の力が作用し得、これにより、真空密の接続部が破壊されてしまうおそれがあることも意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎をなす課題は、別の真空部品に省スペースで接続できる、コスト的に最適化された、容易に製造できる真空バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する真空バルブによって、特に、真空開口及びシール面が、直接に基体に形成されていて、少なくとも1つの取付手段が、基体に形成されていて、取付手段は、真空バルブに真空密に接続される別の真空部品の取付けに用いられることによって達成される。
【0006】
インラインバルブのみならずコーナーバルブとしても構成されてよい本発明に係る真空バルブによって、真空開口及びシール面が、直接に真空バルブの基体に形成されていて、例えば従来慣用のISO-KF接続部を有する別の真空部品が、取付手段を使用するとともにシール手段を介在して直接に真空バルブに取り付けられることによって、従来技術の記載の欠点が克服される。別の真空部品がフランジを有しないと、真空バルブと別の真空部品とは、これらの基体間に間隔を空けずに、したがって最小の所要スペースで互いに対して組付けできる。
【0007】
別の真空部品が、例えば真空ポンプ、特にターボ分子真空ポンプであると、真空バルブは、基体同士が互いに当接するように、真空ポンプに密に組付けできる。したがって、真空バルブに制御ユニットが設けられてもよく、制御ユニットは、電気コンタクトを含む真空バルブ用の駆動エレクトロニクス及び/又は制御エレクトロニクスを有し、電気コンタクトは、例えばコネクタに形成されていて、コネクタは、真空バルブを真空ポンプに組み付けるとき、真空ポンプに相応に設けられたコネクタに直接に係合するように構成及び位置決めされている。このようにして、真空ポンプの駆動エレクトロニクス及び/又は制御エレクトロニクスを、コネクタを介して、直接に真空バルブの駆動エレクトロニクス及び/又は制御エレクトロニクスに接続でき、真空バルブを、真空ポンプを介して直接に制御できる。真空ポンプがターボ分子真空ポンプであるとき、真空ポンプを介する真空バルブの直接の制御が特に有利である。この場合、真空ポンプの駆動エレクトロニクス及び/又は制御エレクトロニクスは、PVM変調によって、真空バルブの切替後に平均電圧を降下できる。これにより、エネルギを節約でき、切替動作後の電力消費量を低減でき、ひいては温度上昇を低減できる。
【0008】
本発明の別の発展形態は、従属請求項、明細書及び図面から看取される。
【0009】
一実施形態によれば、シール面は、基体の凹部に形成されている。特に、シール面は、基体の凹部の底を形成する。この場合、特に有利には、凹部が、シール手段の寸法に適合しているので、真空バルブの基体と別の真空部品の基体とを互いに対して整合して接続できる。
【0010】
別の一実施形態によれば、基体は、調心リングを保持する凹みを有する。一方では、凹みにシール手段を取付けでき、他方では、凹みによって、真空部品の、正確に位置を合わせた接続が容易になる。
【0011】
更に別の一実施形態によれば、少なくとも1つの取付手段が、真空開口に形成された雌ねじ山を有する。そのような取付手段は、例えばプッシュインコネクタ又はホースニップルコネクタ等の様々な接続部材のねじ込みを可能にし、これにより、真空バルブ自体がアダプタとして機能できる。
【0012】
別の一実施形態によれば、少なくとも1つの取付手段が、シール面の周りに配置された複数の孔を有する。
【0013】
孔のうちの少なくとも1つの孔が、雌ねじを有してよい、及び/又は基体を完全に貫通して延在してよい。
【0014】
この場合、特に有利には、真空バルブの、基体を完全に貫通して延在する孔の位置が、別の真空部品の、雌ねじ山が設けられた孔の位置に適合しているので、これらの孔は、ねじを用いて互いに接続できる。
【0015】
別の一実施形態によれば、シール面は、DIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部に適合している。したがって、フランジが例えばクランプ要素又は爪を用いて真空バルブに取り付けられることによって、別の真空部品(そのシール面は対応する固有のフランジに形成されている)が、真空密に真空バルブに接続できる。その利点によれば、真空バルブが従来慣用の真空部品に適合している。
【0016】
例えば、真空バルブは、真空ポンプ用の、特にターボ分子真空ポンプ用の予備真空バルブ、又は真空室を遮断するバルブ、又はマルチチャンバシステムを遮断するバルブであってよい。
【0017】
本発明は、さらに、請求項9に記載のシステム、すなわち本発明に係る真空バルブと、真空部品と、真空バルブと真空部品との間に配置されたシール手段とを備える、システムに関する。
【0018】
システムの一実施形態によれば、真空部品は、ターボ分子真空ポンプ、特に基体と真空開口とを備えるターボ分子真空ポンプであり、真空開口は、シール手段に対するシール面によって囲繞されていて、真空開口及びシール面は、直接に基体に形成されていて、真空バルブを取り付けるために用いられる少なくとも1つの取付手段が、基体に形成されていてる。
【0019】
システムの一発展形態によれば、真空バルブの少なくとも1つの電気コンタクト及び真空部品の少なくとも1つの電気コンタクトは、真空バルブと真空部品とが真空密に互いに接続されると直ちに真空バルブの少なくとも1つの電気コンタクトと真空部品の少なくとも1つの電気コンタクトとが接触するように、構成及び位置決めされている。
【0020】
真空バルブと、真空部品、例えばターボ分子真空ポンプとは、真空バルブの基体と真空部品の基体との間に間隔が生じないように、互いに接続できるので、各々の駆動エレクトロニクス及び/又は制御エレクトロニクスも、有利には、付加的なコネクタ、例えばケーブルが必要とされることなく、真空バルブと真空部品とが真空密に互いに接続されると直ちに、真空バルブの、例えばプラグに形成されてよい電気コンタクトと、真空部品の、例えばソケットに形成されてよい電気コンタクトとが直接に接触されるように、位置決め及び構成できる。
【0021】
システムの別の一実施形態によれば、真空部品は、真空バルブに接続するためのフランジ、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部を有し、フランジは、シール面を形成する正面と、正面から離反する側の背面とを有する。
【0022】
この場合、システムは、特に円弧状のクランプ要素を備え、クランプ要素は、真空バルブの少なくとも1つの取付手段に割り当てられた少なくとも1つの取付用アイを有する。クランプ要素によって、真空部品のフランジは、本発明に係る真空バルブの基体に接続できる。
【0023】
システムの一発展形態によれば、クランプ要素は、真空部品のフランジの背面に当接する、真空バルブに面する接触面を有する。接触面を介して、クランプ要素は、圧力を、フランジの背面に及ぼせ、これにより、フランジのシール面が、シール面間に配置されたシール手段に押し付けられ、シール手段は、真空バルブのシール面に押し付けられ、これにより、真空密の接続が形成される。
【0024】
クランプ要素の接触面は、半径方向外側から内側へ、基体から離反する方へ傾斜してよく、特に接触面の傾斜は、フランジの、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部の背面の傾斜に適合し得る。クランプ要素の接触面の傾斜をフランジの背面の傾斜に適合させることによって、シール手段に掛かる両方のシール面の押圧力を、真空バルブの基体への方向の接続方向に対して軸方向にクランプ要素に掛かる力と、半径方向内側へクランプ要素に掛かる力との両方によっても発生できることが達成可能である。
【0025】
システムの別の一実施形態によれば、クランプ要素は、2つの取付用アイを有し、取付用アイの一方は、全周にわたって閉じた孔であり、他方の取付用アイは、半径方向に部分的に開いた孔である。これにより、クランプ要素を、例えば、第1の取付用アイを通してガイドされていて、真空バルブの基体における第1の孔にねじ込まれている第1のねじを中心として旋回可能であり、その際、第2の取付用アイを通してガイドされるとともに、真空バルブの基体における第2の孔にねじ込まれる第2のねじを取り除かなくてよい。これにより、特に迅速かつ容易に、真空バルブから真空部品を取り外す又は真空バルブに真空部品を取り付けることが可能となる。
【0026】
以下、図面を参照して、単なる例としての様々な実施形態に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】
図1の真空バルブが取り付けられた
図2のターボ分子真空ポンプを示す。
【
図4】KF接続部及びプッシュインコネクタが取り付けられた
図1の真空バルブを斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、基体12と制御ユニット14とを有する真空バルブ10、特に補助真空バルブを示す。
【0029】
基体12の正面には、真空開口16が位置し、真空開口16は、DIN28403及びISO2861に準拠するKFフランジに適合し得るシール面18によって囲繞されている。より具体的に述べると、シール面18は、基体12の円環状の凹部の底を形成する。シール面18の内縁は、凹み20によって画定されていて、凹み20は、真空開口16を起点として基体12内へ延在するとともに、調心リング22の保持に用いられる。調心リング22は、シール面18に当接するはずの、例えばOリング24の形態のシール手段を支持する(
図6)。
【0030】
シール面18の周りに複数の孔26、28が、本実施例では4つの孔26、28が配置されていて、孔26、28は、真空バルブ10を、別の真空部品、例えばターボ分子真空ポンプ30(
図2)に取り付けるのに用いられる。この場合、孔のうちの2つの孔26に雌ねじ山が設けられていて、2つの別の孔28は、貫通孔であり、貫通孔28は、基体12を完全に貫通して延在する。孔26、28は、四角形の角に配置されていて、その中央には、真空開口16が位置する。この場合、一方ではこれらのねじ山付き孔26同士が、他方ではこれらの貫通孔28同士が、それぞれ互いに対角線上で反対の側に位置する。
【0031】
制御ユニット14は、駆動エレクトロニクス及び/又は電子エレクトロニクスとコネクタ32とを有し、コネクタ32は、これに付属する電気コンタクト34を有し、電気コンタクト34は、真空開口16と同一方向へ向いている。換言すると、コネクタ32は、真空バルブ10に接続されるべき別の真空部品に面する。
【0032】
図2は、基体36を有するターボ分子真空ポンプ30を示し、基体36内に駆動エレクトロニクスが形成されていて、駆動エレクトロニクスは、コネクタ38、特に、電気コンタクト40を具備する、真空バルブ10のコネクタ32に相補的なコネクタ38を有する。
【0033】
さらに、基体36に、真空開口42が形成されていて、真空開口42は、シール面44によって囲繞されていて、シール面44は、基体36の環状の凹部を形成し、シール面44は、DIN28403及びISO2861に準拠するKFフランジに適合し得る。シール面44の内縁は、凹み46によって画定されていて、凹み46は、真空開口42を起点として基体12内へ延在するとともに、調心リング22の保持に用いられる。調心リング22は、シール面44に当接するはずの、例えばOリング24の形態のシール手段を支持する(
図6)。
【0034】
シール面の周りに複数の孔47が、本実施例では2つの孔47が配置されていて、孔47は、それぞれ雌ねじ山を有するとともに、真空バルブ10の取付けに用いられる。孔47は、真空バルブの貫通孔28に対応して、真空開口42のそれぞれ反対の側に配置されている。
【0035】
コネクタ38は、電気コンタクト40と共に、真空開口42と同一方向へ向いていて、真空バルブ10がターボ分子真空ポンプ30に取り付けられるとき真空バルブ10のコネクタ32に係合できるように位置決めされている。
【0036】
図3は、
図1の真空バルブ10が取り付けられた、
図2のターボ分子真空ポンプ30を示す。真空バルブ10は、ターボ分子真空ポンプ30に次のように、すなわち各々の真空開口が互いに向き合い、真空バルブ10の貫通孔28を通してガイドされているとともにターボ分子真空ポンプ30のねじ山付き孔47にねじ込まれている2つのねじ48、50によって、ターボ分子真空ポンプ30に取り付けられるように、配置されている。真空バルブとターボ分子真空ポンプ30との間に、真空開口を囲繞するシール手段が配置されていて、シール手段は、真空バルブ10及びターボ分子真空ポンプ30のシール面18、44に接触し、シール面18、44によって押し合わされ、これにより、真空バルブ10とターボ分子真空ポンプ30との真空密の接続が達成される。
【0037】
真空バルブ10の基体12におけるシール面18の形成が、間隔を置かないターボ分子真空ポンプ30への取付けを可能にするので、真空バルブ10のコネクタ32は、電気コンタクト34、40を接触させるために、ターボ分子真空ポンプ30のコネクタ38に直接に係合可能である。そうすると、真空バルブ10は、ターボ分子真空ポンプ30の駆動エレクトロニクスを介して直接に制御できる。
【0038】
真空バルブ10の、基体12の正面から離反する側の背面に、同様に、真空開口51を囲繞する1つのシール面52と、真空開口51のそれぞれ反対の側に配置された2つのねじ山付き孔54が形成されていて、ねじ山付き孔54は、別の真空部品を取り付けるために利用できる。真空開口51には、さらに雌ねじ山78が設けられていて、雌ねじ山78には、
図4から
図6に示されているように、プッシュインコネクタ80をねじ込み可能である。
【0039】
図4から
図6は、
図1の真空バルブ10を、これに取り付けられたに管部材58と共に示し、管部材58の端部には、フランジ60、例えばDIN28403及びISO2861に準拠するKFフランジが形成されている。フランジ60は、真空バルブ10から離反する側の、半径方向内側から半径方向外側へ真空バルブ10へ向けて傾斜する背面62と、真空バルブ10のシール面18に適合する、真空バルブ10に面するシール面64とを有する。フランジ60のシール面64と真空バルブ10のシール面18との間に、Oリング24の形態のシール手段が配置されていて、シール手段は、調心リング22に取り付けられている(
図6)。
【0040】
真空バルブ10にフランジ60を固定するために、クランプ要素66が設けられている。クランプ要素66は、円弧状に形成されているとともに2つの取付用アイ68、70を有し、取付用アイ68、70を通して、2つのねじ72、74がガイドされていて、ねじ72、74は、クランプ要素66ひいてはフランジ62を真空バルブ10の基体12に取り付けるために、真空バルブ10のねじ山付き孔54にねじ込まれている。
【0041】
一方の取付用アイ70は、半径方向に部分的に開いた孔として構成されていて、これにより、クランプ要素66は、他方の取付用アイ68を通してガイドされるねじ72を中心に上方へ旋回可能であり、その際、一方の取付用アイ70に対応付けられたねじ74をねじ山付き孔54から完全にねじ外さなくてよい。上方旋回位置では、クランプ要素66がフランジ60を解放するので、真空バルブ10と管部材部分58とは、互いから分離できる。
【0042】
フランジ60を固定する状態で、つまりクランプ要素66が、フランジ60を覆い、両方のねじ72、74によって真空バルブ10に固くねじ止めされているとき、クランプ要素66に形成された接触面76が、フランジ60の背面62に力を及ぼし、この力によって、フランジ60のシール面64がOリング24に押し付けられ、Oリング24が真空バルブ10のシール面18に押し付けられ、これにより、管部材58と真空バルブとの間の真空密の接続が可能となる。
【符号の説明】
【0043】
10 真空バルブ
12 基体
14 制御ユニット
16 真空開口
18 シール面
20 凹み
22 調心リング
24 Oリング
26 孔
28 孔
30 ターボ分子真空ポンプ
32 コネクタ
34 電気コンタクト
36 基体
38 コネクタ
40 電気コンタクト
42 真空開口
44 シール面
46 凹み
47 孔
48 ねじ
50 ねじ
51 真空開口
52 シール面
54 孔
58 管部材
60 フランジ
62 フランジの背面
64 シール面
66 クランプ要素
68 取付用アイ
70 取付用アイ
72 ねじ
74 ねじ
76 接触面
78 雌ねじ山
80 プッシュインコネクタ
【手続補正書】
【提出日】2022-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体(12)と真空開口(16、51)とを備え、
真空開口(16、51)は、シール手段(24)に対するシール面(18、52)によって囲繞されている、真空バルブ(10)において、
真空開口(16、51)及びシール面(18、52)が、直接に基体(12)に形成されていて、少なくとも1つの取付手段(26、28、78)が、基体(12)に形成されていて、取付手段(26、28、78)は、真空バルブ(10)に真空密に接続される真空部品(30、58、80)の取付けに用いられることを特徴とする、真空バルブ(10)。
【請求項2】
シール面(18、52)は、基体(12)の凹部に形成されていて、特に基体(12)の凹部の底を形成することを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項3】
基体(12)は、調心リング(22)を保持する凹み(20)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の真空バルブ(10)。
【請求項4】
少なくとも1つの取付手段が、真空開口(16、51)に形成された雌ねじ山(78)を有することを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項5】
少なくとも1つの取付手段が、シール面(18、52)の周りに配置された複数の孔(26、28、54)を有することを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項6】
複数の孔のうちの少なくとも1つの孔(26、54)が、雌ねじを有する、及び/又は
複数の孔のうちの少なくとも1つの孔(28)が、基体を完全に貫通して延在する
ことを特徴とする、請求項5に記載の真空バルブ(10)。
【請求項7】
シール面(18、52)は、DIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部に適合していることを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項8】
真空バルブ(10)は、真空ポンプ用の、特にターボ分子真空ポンプ(30)用の予備真空バルブ、又は真空室を遮断するバルブ、又はマルチチャンバシステムを遮断するバルブであることを特徴とする、請求項1に記載の真空バルブ(10)。
【請求項9】
請求項1に記載の真空バルブ(10)と、
真空部品(30、58、80)と、
真空バルブ(10)と真空部品(30、58、80)との間に配置されたシール手段(24)と
を備えた、システム。
【請求項10】
真空部品が、真空ポンプ(30)、特にターボ分子真空ポンプ(30)であって、基体(36)と真空開口(42)とを備え、真空開口(42)は、シール手段(24)に対するシール面(44)によって囲繞されていて、真空開口(42)及びシール面(44)は、直接に基体(36)に形成されていて、真空バルブ(10)を取り付けるために用いられる少なくとも1つの取付手段(47)が、基体(36)に形成されていてることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)及び真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)は、真空バルブ(10)と真空部品(30)とが真空密に互いに接続されると直ちに真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)と真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)とが接触するように、構成及び位置決めされていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
真空部品(58)は、真空バルブ(10)に接続するためのフランジ(60)、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部を有し、フランジ(60)は、シール面(64)を形成する正面と、正面から離反する側の背面(62)とを有することを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
特に円弧状のクランプ要素(66)が設けられていて、クランプ要素(66)は、真空バルブ(10)の少なくとも1つの取付手段(26)に割り当てられた少なくとも1つの取付用アイ(68、70)を有することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
クランプ要素(66)は、真空部品(58)のフランジの背面(62)に当接する、真空バルブ(10)に面する接触面(76)を有し、
特に、接触面(76)は、半径方向外側から半径方向内側へ真空バルブ(10)の基体(12)から離反する方へ傾斜していて、
特に、接触面(76)の傾斜は、フランジの、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部の背面(62)の傾斜に適合していることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
クランプ要素(66)は、2つの取付用アイ(68、70)を有し、取付用アイの一方は、全周にわたって閉じた孔(68)であり、他方の取付用アイは、半径方向に部分的に開いた孔(70)であることを特徴とする、請求項13又は14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
フランジ60を固定する状態で、つまりクランプ要素66が、フランジ60を覆い、両方のねじ72、74によって真空バルブ10に固くねじ止めされているとき、クランプ要素66に形成された接触面76が、フランジ60の背面62に力を及ぼし、この力によって、フランジ60のシール面64がOリング24に押し付けられ、Oリング24が真空バルブ10のシール面18に押し付けられ、これにより、管部材58と真空バルブとの間の真空密の接続が可能となる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
基体(12)と真空開口(16、51)とを備え、
真空開口(16、51)は、シール手段(24)に対するシール面(18、52)によって囲繞されている、真空バルブ(10)において、
真空開口(16、51)及びシール面(18、52)が、直接に基体(12)に形成されていて、少なくとも1つの取付手段(26、28、78)が、基体(12)に形成されていて、取付手段(26、28、78)は、真空バルブ(10)に真空密に接続される真空部品(30、58、80)の取付けに用いられることを特徴とする、真空バルブ(10)。
2.
シール面(18、52)は、基体(12)の凹部に形成されていて、特に基体(12)の凹部の底を形成することを特徴とする、上記1の真空バルブ(10)。
3.
基体(12)は、調心リング(22)を保持する凹み(20)を有することを特徴とする、上記1又は2の真空バルブ(10)。
4.
少なくとも1つの取付手段が、真空開口(16、51)に形成された雌ねじ山(78)を有することを特徴とする、上記1から3の少なくともいずれか一つの真空バルブ(10)。
5.
少なくとも1つの取付手段が、シール面(18、52)の周りに配置された複数の孔(26、28、54)を有することを特徴とする、上記1から4の少なくともいずれか一つの真空バルブ(10)。
6.
孔のうちの少なくとも1つの孔(26、54)が、雌ねじを有する、及び/又は
孔のうちの少なくとも1つの孔(28)が、基体を完全に貫通して延在する
ことを特徴とする、上記5の真空バルブ(10)。
7.
シール面(18、52)は、DIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部に適合していることを特徴とする、上記1から6の少なくともいずれか一つの真空バルブ(10)。
8.
真空バルブ(10)は、真空ポンプ用の、特にターボ分子真空ポンプ(30)用の予備真空バルブ、又は真空室を遮断するバルブ、又はマルチチャンバシステムを遮断するバルブであることを特徴とする、上記1から7の少なくともいずれか一つの真空バルブ(10)。
9.
上記1から8の少なくともいずれか一つの真空バルブ(10)と、
真空部品(30、58、80)と、
真空バルブ(10)と真空部品(30、58、80)との間に配置されたシール手段(24)と
を備えた、システム。
10.
真空部品が、真空ポンプ(30)、特にターボ分子真空ポンプ(30)であって、基体(36)と真空開口(42)とを備え、真空開口(42)は、シール手段(24)に対するシール面(44)によって囲繞されていて、真空開口(42)及びシール面(44)は、直接に基体(36)に形成されていて、真空バルブ(10)を取り付けるために用いられる少なくとも1つの取付手段(47)が、基体(36)に形成されていてることを特徴とする、上記9のシステム。
11.
真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)及び真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)は、真空バルブ(10)と真空部品(30)とが真空密に互いに接続されると直ちに真空バルブ(10)の少なくとも1つの電気コンタクト(34)と真空部品(30)の少なくとも1つの電気コンタクト(40)とが接触するように、構成及び位置決めされていることを特徴とする、上記9又は10のシステム。
12.
真空部品(58)は、真空バルブ(10)に接続するためのフランジ(60)、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部を有し、フランジ(60)は、シール面(64)を形成する正面と、正面から離反する側の背面(62)とを有することを特徴とする、上記9のシステム。
13.
特に円弧状のクランプ要素(66)が設けられていて、クランプ要素(66)は、真空バルブ(10)の少なくとも1つの取付手段(26)に割り当てられた少なくとも1つの取付用アイ(68、70)を有することを特徴とする、上記12のシステム。
14.
クランプ要素(66)は、真空部品(58)のフランジの背面(62)に当接する、真空バルブ(10)に面する接触面(76)を有し、
特に、接触面(76)は、半径方向外側から半径方向内側へ真空バルブ(10)の基体(12)から離反する方へ傾斜していて、
特に、接触面(76)の傾斜は、フランジの、特にDIN28403及びISO2861に準拠するKF接続部の背面(62)の傾斜に適合していることを特徴とする、上記13のシステム。
15.
クランプ要素(66)は、2つの取付用アイ(68、70)を有し、取付用アイの一方は、全周にわたって閉じた孔(68)であり、他方の取付用アイは、半径方向に部分的に開いた孔(70)であることを特徴とする、上記13又は14のシステム。
【外国語明細書】