(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094538
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】サンパティーク測時器組立体を形成するサンパティーク腕時計及び置時計、並びに前記サンパティーク測時器組立体の腕時計の時間を設定する方法
(51)【国際特許分類】
G04B 47/06 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G04B47/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169740
(22)【出願日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】21217368.6
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ツァウク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サンパティーク測時器組立体を形成するサンパティーク腕時計及び置時計、並びに前記サンパティーク測時器組立体の腕時計の時間を設定する方法を提供すること。
【解決手段】サンパティーク置時計20との協働を意図するサンパティーク腕時計30に関し、サンパティーク腕時計は、置時計の第1の作動器及び第2の作動器とそれぞれ協働することを意図する第1の作動器と第2の作動器とを備え、前記腕時計の第1の作動器は、結合機構及び共振器の停止機構及びリセット機構に対して作用するように少なくとも3つの連続個別位置を占有でき、前記腕時計の第2の作動器は、第1の作動器が連続個別位置のうち1つを占有する場合にのみ時間設定機構に対して作用するように2つの端位置を交互に占有できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンパティーク置時計(20)との協働を意図するサンパティーク腕時計(30)であって、前記サンパティーク腕時計(30)は、少なくとも1つの時間値表示器(31、32)が接続された測時器ムーブメントと、表示列(35)と最終列(36)とを分離可能にする結合機構(38)と、少なくとも1つの腕時計表示器を所定の基準位置に移動することを意図するリセット機構とを備え、前記腕時計(30)は、前記置時計(20)の第1の作動器(210)及び第2の作動器(220)との協働をそれぞれ意図する第1の作動器(310)と第2の作動器(320)とを備え、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)は、前記結合機構(38)及び前記リセット機構に対して作用するように少なくとも3つの連続個別位置を占有でき、前記腕時計(30)の前記第2の作動器(320)は、前記第1の作動器(310)が前記連続個別位置のうち1つを占有する場合にのみ前記時間設定機構に対して作用するように2つの端位置を交互に占有できることを特徴とする、腕時計(30)。
【請求項2】
前記第1の作動器(310)は、前記腕時計の共振器(34)の停止機構(37)に対して2つの連続個別位置で作用するように構成する、請求項1に記載の腕時計(30)。
【請求項3】
前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)は、接続された伝達レバー(39)により、前記結合機構(38)、前記停止機構(37)及び前記リセット機構に対して作用するように構成し、前記伝達レバーは、付随して、前記結合機構(38)及び前記リセット機構を付勢するように構成する、請求項2に記載の腕時計(30)。
【請求項4】
前記伝達レバー(39)は、前記伝達レバー(39)が回転可能である前記レバーの第1の端部と、突起部(395)を含む第2の端部との間に延在し、前記突起部(395)により、前記伝達レバー(39)は、前記リセット機構、前記結合機構(38)及び前記停止機構(37)と協働する、請求項3に記載の腕時計(30)。
【請求項5】
前記伝達レバー(39)は、初期位置に前記伝達レバー(39)を移動させる性質があるレバーばねによって戻し力を受け、前記初期位置では、前記伝達レバー(39)は、前記リセット機構を非作動位置内に駆動し、前記結合機構(38)を結合位置内に駆動し、前記停止機構(37)を前記伝達レバー(39)が前記共振器(34)を解放する位置内に駆動する、請求項3に記載の腕時計(30)。
【請求項6】
前記結合機構(38)は、プライヤを形成する2つの腕部(380、381)と、前記表示列(35)と係合する前記最終列(36)を移動させる性質がある摩擦ばね(383)とを含み、前記腕部(380、381)は、結合ばね(382)によって結合位置の方に付勢され、前記第1の作動器(310)が「第1の位置」と呼ばれる複数の位置の1つを占有する際、前記結合ばね(382)に対して解放位置内に駆動されるように構成し、前記解放位置では、前記腕部(380、381)は、前記最終列(36)を前記表示列(35)から離すように前記結合ばね(382)及び前記摩擦ばね(383)の作用に対抗する、請求項1に記載の腕時計(30)。
【請求項7】
前記結合機構(38)は、プライヤを形成する2つの腕部(380、381)と、前記表示列(35)と係合する前記最終列(36)を移動させる性質がある摩擦ばね(383)とを含み、前記腕部(380、381)は、結合ばね(382)によって結合位置の方に付勢され、前記第1の作動器(310)が「第1の位置」と呼ばれる複数の位置の1つを占有する際、前記結合ばね(382)に対して解放位置内に駆動されるように構成し、前記解放位置では、前記腕部(380、381)は、前記最終列(36)を前記表示列(35)から遠ざけるように前記結合ばね(382)及び前記摩擦ばね(383)の作用に対抗し、前記腕部(380、381)は、境界領域で互いに協働し、前記協働によって、前記結合ばね(382)によって生成される戻し力の作用下、「第1の腕部」(380)と呼ぶ前記複数の腕部の一方が「第2の腕部」(381)と呼ぶもう一方の腕部を前記結合位置の方に強制的に移動させることができ、前記第2の腕部(381)は、前記第1の作動器(310)が第1の位置を占有する際、前記第2の腕部(381)が前記伝達レバー(39)によって受けた力を前記第1の腕部(380)に伝達することができ、前記力は、前記腕部(380、381)を前記解放位置に移動させる、請求項3に記載の腕時計(30)。
【請求項8】
前記リセット機構は、前記時間値表示器(31、32)と一体に回転する少なくとも1つのハートピース・カム(390)と、少なくとも1つのハンマ(391)とを含み、前記少なくとも1つのハンマ(391)は、ハンマばね(392)の作用下、前記少なくとも1つのハートピース・カム(390)と支承的に協働し、作動位置を占有するように構成し、前記ハンマ(391)が前記ハートピース・カム(390)の最小半径部を圧迫するまで前記ハートピース・カム(390)を強制的に回転させ、前記第1の作動器(310)が「第1の位置」と呼ぶ複数の位置の1つを占有する際、前記ハンマ(391)は、前記伝達レバー(39)によって非作動位置に戻され、前記非作動位置で保持されるように構成し、前記非作動位置では、前記ハンマ(391)は、前記第1の作動器(310)が別の位置を占有する際に前記ハートピース・カム(390)から遠ざかっている、請求項3に記載の腕時計(30)。
【請求項9】
前記リセット機構は、前記時間値表示器(31、32)と一体に回転する少なくとも1つのハートピース・カム(390)と、少なくとも1つのハンマ(391)とを含み、前記少なくとも1つのハンマ(391)は、ハンマばね(392)の作用下、前記少なくとも1つのハートピース・カム(390)と支承的に協働して作動位置を占有し、前記第1の作動器(310)が「第1の位置」と呼ぶ複数の位置の1つを占有する際に前記ハンマ(391)が前記ハートピース・カム(390)の最小半径部を圧迫するまで前記ハートピース・カム(390)を強制的に回転させるように構成し、前記ハンマ(391)は、前記伝達レバー(39)によって非作動位置に戻され、前記非作動位置で保持されるように構成し、前記第1の作動器(310)が別の位置を占有する際に前記ハンマ(391)は、前記ハートピース・カム(390)から遠ざかっており、前記伝達レバー(39)は、前記突起部(395)が前記ハンマ(391)の切欠き(396)内で係合され、前記ハンマ(391)が前記ハンマばね(392)の作用下、作動位置内に駆動されるように構成し、前記突起部(395)は、前記切欠き(396)から外され、前記ハンマ(391)の側面に圧迫して置かれ、前記ハンマ(391)を非作動位置内に駆動し、前記ハンマ(391)を前記非作動位置で保持する、請求項4に記載の腕時計(30)。
【請求項10】
前記停止機構(37)は、停止レバー(370)を含み、前記停止レバー(370)は、前記停止レバー(370)を回転させる性質があるばねの付勢を受け、このため、前記停止レバー(370)は、前記共振器(34)のてんぷに対して支承的に配置され、前記伝達レバー(39)は、前記突起部(395)が、前記停止レバー(371)に加えられるばねの力に対抗する力を加えるように構成する、請求項3に記載の腕時計(30)。
【請求項11】
前記腕時計(30)の測時器ムーブメントは、歯付き車(394)を含み、前記歯付き車(394)は、分表示円板によって支持され、規則的な段に従って分表示器(32)を所定の位置に保持するジャンパ(393)と協働する、請求項1に記載の腕時計(30)。
【請求項12】
前記時間設定機構は、時間設定可動構成要素(321)を含み、前記時間設定可動構成要素(321)は、前記腕時計(30)の前記第2の作動器(320)の推進力による付勢に適合し、前記腕時計(30)の前記第2の作動器(320)の推進ごとに1段、単一回転方向で分表示円板を回転駆動する、請求項1に記載の腕時計(30)。
【請求項13】
請求項1に記載のサンパティーク腕時計(30)との協働を意図するサンパティーク置時計(20)であって、前記サンパティーク置時計(20)は、置時計測時器ムーブメントによって駆動される少なくとも1つの置時計時間値表示器(21、22)を含み、前記サンパティーク置時計(20)は、前記腕時計(30)の第1の作動器(310)及び第2の作動器(320)とそれぞれ協働することを意図する第1の作動器(210)と第2の作動器(220)とを含み、前記置時計(20)の第1の作動器(210)は、少なくとも3つの連続個別位置で前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)を移動させるように構成し、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)は、前記腕時計の前記第1の作動器が前記連続個別位置の1つを占有する際に2つの位置の間を往復運動によって前記腕時計(30)の前記第2の作動器(320)を移動させるように構成し、前記置時計(20)の前記測時器ムーブメントは、少なくとも1つの制御手段(213)を含み、前記少なくとも1つの制御手段(213)は、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)の移動を制御又は禁止するように構成することを特徴とする、サンパティーク置時計(20)。
【請求項14】
前記置時計(20)の前記測時器ムーブメントは、渦形カム(230)を備え、前記渦形カム(230)は、前記時間値表示(複数可)(21、22)の角度位置が、前記時間値表示器(複数可)(21、22)の値を特徴付けるように、前記置時計(20)の前記時間値表示(複数可)(21、22)に運動学的に接続され、前記渦形カム(230)の外周部上に、前記フィーラスピンドル(231)が作動位置を占有する際にフィーラスピンドル(231)の第1の端部が支承的に配置され、前記第1の端部は、前記フィーラスピンドル(231)が静止位置を占有する際、前記渦形カム(230)から後退し、前記測時器ムーブメントは、前記フィーラスピンドル(231)が前記静止位置と前記作動位置との間で移動する間、前記腕時計(30)の前記時間値表示器(複数可)(31、32)の基準位置と前記置時計(20)の前記時間値表示器(21、22)によって表示される時間値との間の差を表す往復運動の数に従って、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)を移動駆動するように構成する、請求書13に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項15】
前記フィーラスピンドル(231)は、前記第1の端部とは反対の第2の端部に、ラック(232)を含み、前記ラック(232)は、伝達列の第1の歯付き車(235)と協働するように構成され、前記伝達列は、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)に接続された第2の歯付き車(236)を備え、前記フィーラスピンドル(231)が静止位置から作動位置まで移動する間、前記第2の作動器(220)を往復運動で移動させる、請求項14に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項16】
前記第2の歯付き車(236)は、角穴車(233)と嵌合し、前記角穴車(233)は、専用エネルギー源によって回転し、複数の三角歯を含み、前記複数の三角歯の1つに対して、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)が支承的に配置されることを意図し、前記角穴車(233)が回転する間、往復運動によって前記第2の作動器(220)を動かすようにする、請求項15に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項17】
前記第2の歯付き車(236)は、接続棒-クランク・ハンドル機構により前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)に接続され、前記接続棒は、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)と一体であることを意図し、前記クランク・ハンドルは、前記第2の歯付き車(236)と一体に回転する、請求項15に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項18】
前記置時計(20)の前記測時器ムーブメントは、解放位置の占有に適合する結合レバー(240)を含み、前記解放位置では、前記結合レバー(240)は、前記第1の歯付き車(235)及び補助香箱(234)を分離し、前記補助香箱(234)は、前記第1の歯付き車(235)及び前記第2の歯付き車(236)を回転させることを意図し、前記置時計(20)の前記測時器ムーブメントは、オールオアナッシング・デバイス(242)を更に備え、前記オールオアナッシング・デバイス(242)は、前記結合レバー(240)と協働し、前記フィーラスピンドル(231)が作動位置に到達した際に前記結合レバー(240)を前記解放位置内に駆動するように構成し、前記フィーラスピンドル(231)が、フィーラスピンドル戻しばねの作用下、静止位置内に駆動されるようにする、請求項15に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項19】
前記置時計(20)の前記測時器ムーブメントは、カム(211)を備え、前記カム(211)は、専用エネルギー源によって回転し、カム外形部を含み、前記カム外形部に対して、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)が支承的に配置され、前記カム外形部は、少なくとも3つの個別位置に従った前記第1の作動器(210)の移動に適合する連続部分を含み、所定位置の時間サイクルを画定するようにする、請求項13に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの制御手段(213)は、前記カム(211)の回転を係止又は解放するように構成する、請求項19に記載のサンパティーク置時計(20)。
【請求項21】
請求項1に記載のサンパティーク腕時計(30)と、請求項13に記載のサンパティーク置時計(20)とを備えるサンパティーク測時器組立体(10)。
【請求項22】
請求項21に記載のサンパティーク測時器組立体(10)の腕時計の時間設定方法であって、前記方法は、連続的に、
-第1の動作段階であって、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)は、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)を第1の位置内に駆動し、前記第1の位置では、前記第1の作動器(310)がリセット機構を付勢し、前記腕時計(30)の少なくとも1つの時間値表示器(31、32)を基準位置まで移動させ、前記第1の作動器(310)は、前記最終列(36)及び前記表示列(35)の解放を生じさせるように前記前記結合機構(38)に作用する、第1の動作段階と、
-第2の動作段階であって、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)は、一方で、前記第1の作動器(310)がハンマ(391)を非作動位置内に駆動する第2の位置で前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)を駆動し、もう一方で、前記置時計(20)の前記第2の作動器(220)を作動させ、前記第2の作動器(220)が前記腕時計(30)の前記第2の作動器(320)を往復運動で2つの端位置の間を駆動するようにする、第2の動作段階と、
-第3の動作段階であって、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)は、一方で、前記第1の作動器(310)が前記結合機構(38)を結合する第3の位置で前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)を駆動し、前記置時計(20)の前記第1の作動器(210)は、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)を制御し、前記置時計(20)の前記時間値表示器(複数可)(31、32)によって表示される時間値が前記腕時計(30)の前記時間値表示器(複数可)(31、32)によって表示される時間値に対応する際に前記第3の動作段階の実施を開始する、第3の動作段階と
を含む、方法。
【請求項23】
前記第1の動作段階の間、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)は、前記共振器(34)を固定するように前記停止機構(37)を付勢し、前記第2の動作段階の間、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)は、前記停止機構(37)を所定の位置に保持し、前記第3の動作段階の間、前記腕時計(30)の前記第1の作動器(310)は、前記共振器(34)を解放するように前記停止機構(37)を付勢する、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンパティーク(同調)置時計及び腕時計というかなり特定の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、サンパティーク測時器組立体を形成するサンパティーク腕時計及び置時計、並びに前記サンパティーク測時器組立体の腕時計の時間を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1800年以来、アブラアン-ルイ・ブレゲは、サンパティーク置時計を設計しており、サンパティーク置時計は、サンパティーク置時計専用のサンパティーク腕時計を巻き上げ、時間を設定し、調節することを可能にするものであり、置時計上に配置された専用の受け内に腕時計を置く以外、他の制約条件はない。
【0004】
これらの3つの機能は、概して、置時計の構造によって規定される瞬間、概して1日に1回又は2回、同時に実行される。これは、例えば、ジョージ・ダニエルズによる書籍「L’art de Breguet」に記載されるブレゲ置時計No.128及び付随する腕時計No.5009が実例である。重要であるのは、時間設定の精度を条件付ける、時間設定を作動させる瞬間である。このことは、この機能が、1800年代の置時計では1日に1回又は2回のみ実行され、1990年代の置時計では2時間おきに実行されることの説明となる。
【0005】
最新技術のサンパティーク腕時計は、分修正器の他に、時修正器を備えておらず、置時計が通過中に正確な時間設定を実行する約15分前後において、最初の大まかな時間設定による事前調節をユーザに義務付けていることに留意されたい。
【0006】
今日まで、こうした種類の機能のみが、いくつかの既存のサンパティーク置時計に適用されている。
【0007】
最新技術のサンパティーク置時計の構造から複数の欠点が生じる。特に、腕時計を置時計上に置くかぎり、置時計は、周期的(2時間、12時間ごと又は24時間ごと)に時間設定し、時間設定機構を不必要に付勢させる。更に、腕時計の動作は、腕時計が所定の瞬間、例えば、サンパティーク置時計の時間設定の終了時にサンパティーク置時計から取り外されない場合、不確実である。
【0008】
更に、ユーザが、停止している腕時計を任意の瞬間で稼働開始することが可能ではない。この場合、ユーザは、この稼働開始を予想し、腕時計を事前に巻き上げ、事前に調節し、サンパティーク時間設定の瞬間で次の通過を待機することが義務付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の欠点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明は、サンパティーク置時計との協働を意図するサンパティーク腕時計に関し、サンパティーク腕時計は、少なくとも1つの時間値表示器が接続された測時器ムーブメントと、前記少なくとも1つの表示器と最終列とを分離可能にする結合機構と、前記少なくとも1つの時計表示器を所定の基準位置内に移動させることを意図するリセット機能とを備える。
【0011】
腕時計は、置時計の第1の作動器及び第2の作動器との協働をそれぞれ意図する第1の作動器と第2の作動器とを備え、前記腕時計の第1の作動器は、結合機構及びリセット機構に作用するように少なくとも3つの連続個別位置を占有でき、前記腕時計の第2の作動器は、第1の作動器が3つの連続個別位置の1つを占有する場合にのみ、時間設定機構により前記少なくとも1つの表示器に作用するように2つの端位置を交互に占有できる。
【0012】
本発明の特徴のおかげで、腕時計は、任意の瞬間で1段ずつ割り送ることができる。第1の作動器が、個別位置を占有し、個別位置のそれぞれにおいて、結合機構、共振器の停止機構又はリセット機能を付勢することにより、時間値表示器に対する確実で正確な割送りの実施を任意の瞬間で可能にする。
【0013】
特定の実施形態では、本発明は、単独で、又は技術的に可能なあらゆる組合せにより、以下の特徴の1つ又は複数を更に含み得る。
【0014】
特定の実施形態では、第1の作動器は、腕時計の共振器の停止機構に対して2つの連続個別位置で作用するように構成される。
【0015】
腕時計の第1の作動器は、防水性及び気密性を保証するように、腕時計のケース内に固定される。
【0016】
伝達レバーは、腕時計のムーブメント内に配置される。
【0017】
他の条件では、単一レバーによる第1の作動器の移動により、結合機構、共振器の停止機構及びリセット機構に力を伝達する。
【0018】
したがって、腕時計のムーブメントは、単純な設計を有し、特に、信頼性を増大可能にする。
【0019】
特定の実施形態では、腕時計の第1の作動器は、接続された伝達レバーにより、結合機構、停止機構及びリセット機構に対して作用するように構成され、前記伝達レバーは、付随して、結合機構及びリセット機構を付勢するように構成される。
【0020】
特定の実施形態では、伝達レバーは、回転可能である前記レバーの第1の端部と、突起部を含む第2の端部との間に延在し、突起部により、前記伝達レバーは、リセット機構、結合機構及び停止機構と協働する。
【0021】
代替的に、別の実施形態では、伝達レバーは、摺動可能に配置し得る。
【0022】
特定の実施形態では、伝達レバーは、初期位置に伝達レバーを移動させる性質があるレバーばねによって戻し力を受け、初期位置では、伝達レバーは、リセット機構を非作動位置に駆動し、結合機構を結合位置内に駆動し、停止機構を伝達レバーが共振器を解放する位置内に駆動する。
【0023】
したがって、腕時計を置時計の受けから取り外した際、腕時計は、一方で、通常の稼働を再開でき、もう一方で、腕時計と置時計との間の協働は、前記腕時計又は前記置時計に損傷を与える危険性を伴わずに中断される。
【0024】
特定の実施形態では、結合機構は、プライヤを形成する2つの腕部と、表示列と係合する最終列を移動させる性質がある摩擦ばねとを含む。
【0025】
腕部は、結合ばねによって結合位置の方に付勢され、第1の作動器が、「第1の位置」と呼ぶ複数の位置のうち1つを占有した際、腕部が結合ばねに対して解放位置内に駆動されるように構成し、解放位置では、腕部は、前記最終列を表示列から遠ざけるように結合ばね及び摩擦ばねの作用に対抗する。
【0026】
特定の実施形態では、腕部は、境界領域で互いに協働し、協働によって、結合ばねによって生成される戻し力の作用下、「第1の腕部」と呼ぶ複数の腕部の一方が「第2の腕部」と呼ぶもう一方の腕部を結合位置の方に強制的に移動させることができ、第2の腕部は、第1の作動器が第1の位置を占有する際、第2の腕部が伝達レバーによって受けた力を第1の腕部に伝達することができ、この力により、前記腕部を解放位置内に移動させる。
【0027】
特定の実施形態では、リセット機構は、時間値表示器と一体に回転する少なくとも1つのハートピース・カムと、少なくとも1つのハンマとを含み、少なくとも1つのハンマは、ハンマばねの作用下、少なくとも1つのハートピース・カムと支承的に協働し、作動位置を占有し、第1の作動器が「第1の位置」と呼ぶ複数の位置の一方を占有する際にハンマが最小半径部を圧迫するまで前記ハートピース・カムを強制的に回転させるように構成され、ハンマは、伝達レバーによって非作動位置に戻され、非作動位置内で保持されるように構成し、ハンマは、第1の作動器が別の位置を占有する際、前記ハートピース・カムから遠ざかっている。
【0028】
特定の実施形態では、伝達レバーは、ハンマが、ハンマばねの作用下、作動位置内に駆動されるように、突起部がハンマの切欠き内で係合されるように構成し、また、ハンマを非作動位置に駆動し、ハンマを非作動位置内で保持するように、突起部が切欠きから外され、前記ハンマの側面に圧迫して置かれるように構成する。
【0029】
特定の実施形態では、停止機構は、停止レバーを含み、停止レバーは、停止レバーを回転させる性質があるばねの付勢を受け、前記停止レバーが共振器のてんぷに対して支承的に配置されるようにし、伝達レバーは、突起部が、前記停止レバーに対して加えられるばねの力に対抗する力を加えるように構成される。
【0030】
代替的に、ばねは、停止レバー制御器を共振器のてんぷから遠ざける性質があるように構成し得る。この場合、伝達レバーは、突起部が停止レバー制御器の隣りに置かれるように構成され、前記停止レバー制御器に対して加えられるばねの力に対抗する力を加え、停止レバー制御器がてんぷを圧迫するようにする。
【0031】
特定の実施形態では、腕時計の測時器ムーブメントは、歯付き車を含み、歯付き車は、分表示円板によって支持され、規則的な段に従って分表示器を所定の位置に保持するジャンパと協働する。
【0032】
代替的に、腕時計の測時器ムーブメントは、分表示円板を含むことができ、分表示円板の歯車は、適切な数の歯を含み、モーションワークによって時表示器を駆動させ、ジャンパと協働し、規則的な段に従って分表示器を所定の位置に保持する。したがって、測時器ムーブメントは、分表示器を所定の位置に保持することを意図する専用歯付き車を含まなくてよい。
【0033】
特定の実施形態では、時間設定機構は、腕時計の第2の作動器の推進力による付勢に適合された時間設定可動構成要素を含み、腕時計の第2の作動器の推進ごとに1段、単一回転方向で分表示円板を回転駆動し得る。
【0034】
別の目的によれば、本発明は、上記のサンパティーク腕時計との協働を意図するサンパティーク置時計に関する。
【0035】
置時計は、置時計測時器ムーブメントによって駆動される少なくとも1つの腕時計時間値表示器と、腕時計の第1の作動器及び第2の作動器とそれぞれ協働することを意図する第1の作動器及び第2の作動器とを含む。
【0036】
置時計の第1の作動器は、腕時計の第1の作動器を少なくとも3つの連続個別位置内に移動させるように構成され、置時計の第2の作動器は、腕時計の第1の作動器が複数の位置の1つを占有する際に腕時計の第2の作動器を2つの位置の間で、往復運動によって移動させるように構成され、置時計の測時器ムーブメントは、置時計の第1の作動器の移動を制御又は禁止するように構成された少なくとも1つの制御手段を含む。
【0037】
特定の実施形態では、置時計測時器ムーブメントは、時間値表示器(複数可)の角度位置が、前記時間値表示器(複数可)の値を特徴付けるように、置時計の時間値表示器(複数可)に運動学的に接続された渦形カムを備え、フィーラスピンドルが作動位置を占有する際、時間値表示器(複数可)の外周部上に、フィーラスピンドルの第1の端部が支承的に配置され、前記第1の端部は、フィーラスピンドルが静止位置を占有する際に渦形カムから後退する。
【0038】
測時器ムーブメントは、フィーラスピンドルが静止位置と作動位置との間で移動する間、腕時計の前記時間値表示器(複数可)の基準位置と置時計の時間値表示器(複数可)によって表示される時間値との間の差を表す往復運動の数に従って、置時計の第2の作動器を移動駆動するように構成される。
【0039】
特定の実施形態では、フィーラスピンドルは、第1の端部とは反対の第2の端部に、伝達列の第1の歯付き車と協働するように構成されたラックを含み、前記伝達列は、置時計の第2の作動器に接続された第2の歯付き車を備え、フィーラスピンドルが静止位置から作動位置まで移動する間、第2の作動器を往復運動で移動させる。
【0040】
特定の実施形態では、第2の歯付き車は、角穴車と嵌合し、角穴車は、専用エネルギー源によって回転し、複数の三角歯を含み、複数の三角歯の1つに対して、置時計の第2の作動器が支承的に配置されることを意図し、角穴車が回転する間、往復運動によって第2の作動器を動かすようにする。
【0041】
特定の実施形態では、第2の歯付き車は、接続棒-クランク・ハンドル機構により置時計の第2の作動器に接続され、接続棒は、置時計の第2の作動器と一体であることを意図し、クランク・ハンドルは、第2の歯付き車と一体に回転する。
【0042】
特定の実施形態では、置時計の測時器ムーブメントは、解放位置の占有に適合する結合レバーを含み、解放位置では、結合レバーは、第1の歯付き車及び補助香箱を分離し、補助香箱は、前記第1の歯付き車及び第2の歯付き車を回転させることを意図する。
【0043】
置時計の測時器ムーブメントは、オールオアナッシング・デバイスを更に備え、オールオアナッシング・デバイスは、結合レバーと協働し、フィーラスピンドルが作動位置に到達した際に結合レバーを解放位置内に駆動するように構成し、前記フィーラスピンドルが、フィーラスピンドル戻しばねの作用下、静止位置内に駆動されるようにする。
【0044】
特定の実施形態では、角穴車は、調整機構に接続された増倍列と一体であり、前記角穴車の回転を調整するようにする。調整機構は、脱進機及び発振器から構成される。
【0045】
特定の実施形態では、置時計の測時器ムーブメントは、カムを備え、カムは、専用エネルギー源によって回転し、カム外形部を含み、カム外形部に対して、置時計の第1の作動器が支承的に配置され、前記カム外形部は、少なくとも3つの個別位置に従った前記第1の作動器の移動に適合する連続部分を含み、所定位置の時間サイクルを画定するようにする。
【0046】
特定の実施形態では、前記少なくとも1つの制御手段は、カムの回転を係止又は解放するように構成される。
【0047】
特定の実施形態では、カムは、増倍列、並びに脱進機及び発振器から構成される調整機構と一体であり、前記カムの回転を調整するようにする。
【0048】
本発明のまた別の態様は、上記したサンパティーク腕時計とサンパティーク置時計とを備えるサンパティーク測時器組立体に関する。
【0049】
本発明のまた別の態様は、上記したサンパティーク測時器組立体の腕時計の時間を設定する方法に関し、方法は、連続的に、
-第1の段階であって、置時計の第1の作動器は、腕時計の第1の作動器を第1の位置内に駆動し、第1の位置では、第1の作動器がリセット機構を付勢し、腕時計の少なくとも1つの時間値表示器を基準位置まで移動させ、第1の作動器は、最終列及び表示列の解放を生じさせるように結合機構に作用する、第1の動作段階と、
-第2の動作段階であって、置時計の第1の作動器は、一方で、第1の作動器がハンマを非作動位置内に駆動する第2の位置で腕時計の第1の作動器を駆動し、もう一方で、置時計の第2の作動器を作動させ、第2の作動器が腕時計の第2の作動器を往復運動で2つの端位置の間を駆動するようにする、第2の動作段階と、
-第3の動作段階であって、置時計の第1の作動器は、一方で、第1の作動器が結合機構を結合する第3の位置で腕時計の第1の作動器を駆動し、置時計の第1の作動器は、置時計の時間値表示器(複数可)によって表示される時間値が腕時計の時間値表示器(複数可)によって表示される時間値に対応する際に腕時計の第1の作動器を制御して第3の動作段階の実施を開始する、第3の動作段階と
を含む。
【0050】
特定の実装形態では、第1の動作段階の間、腕時計の第1の作動器は、共振器を固定するように停止機構を付勢し、第2の動作段階の間、腕時計の第1の作動器は、停止機構を所定の位置に保持し、第3の動作段階の間、腕時計の第1の作動器は、共振器を解放するように停止機構を付勢する。
【0051】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら非限定的な例として示す以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】サンパティーク置時計とサンパティーク腕時計とを含む、本発明の一実施形態によるサンパティーク測時器組立体の概略正面図である。
【
図2】
図1の詳細図であり、置時計の第1の作動器及び第2の作動器は、腕時計の第1の作動器及び第2の作動器とそれぞれ協働する。
【
図3】置時計によって腕時計の時間を設定する方法の1つの動作段階における、測時器ムーブメントが部分的に見える
図1のサンパティーク腕時計の正面図である。
【
図4】置時計によって腕時計の時間を設定する方法の1つの動作段階における、測時器ムーブメントが部分的に見える
図1のサンパティーク腕時計の正面図である。
【
図5】置時計によって腕時計の時間を設定する方法の1つの動作段階における、測時器ムーブメントが部分的に見える
図1のサンパティーク腕時計の正面図である。
【
図6】
図1の腕時計の一実施形態における測時器ムーブメントの最終列、表示列、リセット機構及び結合機構の一部分の概略断面図であり、結合機構は、解放されている。
【
図7】
図6に対応する図であり、結合機構は、結合されている。
【
図9】
図2の置時計の作動器を駆動する手段の概略正面図、及び置時計の第1の作動器の詳細図である。
【
図10】時間設定制御器による、
図1の腕時計の時表示器及び分表示器と、前記腕時計の第2の作動器との間の接続部の概略正面図である。
【
図11】
図3に対応し、腕時計の時表示器及び分表示器を示す。
【
図12】
図4に対応し、腕時計の時表示器及び分表示器を示す。
【
図13】
図5に対応し、腕時計の時表示器及び分表示器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、
図1に示すように、サンパティーク腕時計30、サンパティーク置時計20、並びに前記腕時計及び前記置時計によって形成されるサンパティーク測時器組立体10に関する。
【0054】
サンパティーク置時計20は、置時計の時表示器21及び置時計の分表示器22等の少なくとも1つの時間値表示器を含み、少なくとも1つの時間値表示器は、現在の時刻を表示するように置時計の測時器ムーブメントによって駆動される。サンパティーク腕時計30は、サンパティーク置時計20と同様に、腕時計の時表示器31及び腕時計の分表示器32等の少なくとも1つの時間値表示器が接続された測時器ムーブメントを備える。
【0055】
概して、本文において、「表示器」は、針、リング、円板、カーソル、フラグ等、測時器製作法において公知のあらゆる可動表示要素を意味する。
【0056】
本文の残りにおいて、サンパティーク置時計20及びサンパティーク腕時計30は、言い回しが乱用されるため、それぞれ、用語「置時計」及び「腕時計」と呼ばれる。
【0057】
腕時計30の測時器ムーブメントは、従来、エネルギーを少なくとも1つの共振器34に供給する少なくとも1つのエネルギー蓄積香箱33と、1つの時間設定機構と、腕時計表示器に接続された1つの表示列35と、1つの最終列36とを含む。
【0058】
腕時計30の測時器ムーブメントは、有利には、
図2から
図5に示す共振器34の停止機構37を含む。共振器34の停止機構37は、好ましくは、例えばてんぷ、共振器34から構成される慣性質量体と協働するように構成された停止レバー370を備え、慣性質量体を固定又は解放する。
【0059】
停止レバー370は、好ましくは、停止レバー制御器371によって支持され、停止レバー制御器371は、停止レバー制御器371を回転させる性質があるばね(図示せず)の付勢を受け、前記停止レバー370が共振器34の制御器を圧迫し、固定するようにする。
【0060】
更に、腕時計30の測時器ムーブメントは、好ましくは、結合機構38を備え、結合機構38は、
図6及び
図7に示すように、表示列35を最終列36から分離可能にする。
【0061】
結合機構38は、解放されている際、最終列36とは無関係に時表示器31及び分表示器32を回転可能にし、結合されている際、最終列36によって表示列35、したがって前記表示器を駆動可能にする。
【0062】
特に
図3から
図5に示すように、一実施形態では、結合機構38は、プライヤを形成する2つの腕部380と381とを含み、プライヤの機能は、結合及び解放を保証することである。結合位置及び解放位置は、互いに対する腕部380及び381の角度の隔りによって画定される。結合機構38は、
図6及び
図7に対応する
図3及び
図5に示すように、腕部380及び381が互いから隔たっている際に結合され、腕部380及び381が互いに近くに移動している際に解放される。
【0063】
2つの腕部380及び381は、結合ばね382によって結合位置の方に付勢される。特に、
図3から
図5に示す好ましい実施形態では、結合ばね382は、本文の残りで「第1の腕部」380と呼ぶ腕部の一方に戻し力を加え、第1の腕部380は、「第2の腕部」381と呼ぶもう一方の腕部にこの戻し力を伝達するように構成される。
【0064】
結合機構38は、
図6及び
図7に示す摩擦ばね383を更に含み、摩擦ばね383は、最終列36上に組み付けられ、表示列35に対して可動外縁部384を軸方向に移動させる性質があり、このため、前記最終列36は、この外縁部384の摩擦によって前記表示列35と一体の円板385と係合する。腕部380及び381は、摩擦ばね383の動作に対抗し、結合機構38が解放されている際に前記最終列36を表示列35から遠ざけるように構成される。
【0065】
腕時計30の測時器ムーブメントは、有利には、リセット機構も含み、リセット機構は、腕時計30の各時表示器31及び分表示器32を所定の基準位置、例えば、
図3の10時10分又は
図11の12時0分に移動させることを意図する。
【0066】
この目的で、
図8に概略的に示し、
図3から
図5に部分的に示す一実施形態では、リセット機構は、時表示器31と一体に回転するハートピース・カム390と、ハンマ391とを含み、ハンマ391は、ハンマばね392の作用下、前記ハートピース・カム390と支承的に協働し、作動位置を占有するように構成され、作動位置では、ハンマ391がハートピース・カム390を最小半径部まで強制的に回転させる。
【0067】
代替的に、図示しない別の実施形態では、リセット機構は、時表示器と一体のハートピース・カムと、分表示器32と一体のハートピース・カムと、専用ばねの作用下、前記ハートピース・カムのそれぞれとそれぞれが支承的に協働するように構成された2つのハンマとを含む。
【0068】
図8に概略的に示す実施形態では、分表示器32は、時表示器31及びモーションワーク列311によって所定の基準位置の方に駆動される。
【0069】
ハンマ391は、以下でより詳細に説明する作動器によって、本文の残りで「巻上げ位置」とも呼ぶ非作動位置に戻され、非作動位置で保持することができ、腕時計30が現在時刻を示す際、即ち、腕時計30が「通常稼働」と呼ぶ状態にある際にハンマ391をハートピース・カム390から遠ざけるようにする。更に、ハンマ391は、腕時計30が以下でより詳細に説明されるように時間設定されている際、巻上げ位置で保持される。
【0070】
図8に示すように、腕時計30の測時器ムーブメントは、星形車等の歯付き車394も含むことができ、歯付き車394は、分表示円板によって支持され、ジャンパ393と協働し、以下でより詳細に説明するように、前記腕時計30が時間設定されている際に規則的な段に従って分表示器32を所定の位置に保持することを意図する。
【0071】
サンパティーク組立体10は、置時計20と腕時計30との間に、
図2及び
図9に概略的に示す少なくとも1つの接続機構を含み、少なくとも1つの接続機構は、腕時計30を伝達位置で置時計20の受けに置いた際に置時計20と腕時計30とを機械的に協働させることを意図する。
【0072】
本発明によれば、この接続機構は、少なくとも2つの個別伝達ラインを含み、少なくとも2つの個別伝達ラインは、互いに異なる機能を有し、置時計20の運動を腕時計30に伝達することを意図する。
【0073】
各伝達ラインは、腕時計30の作動器及び置時計20の作動器から構成され、前記作動器は、互いに協働し得る。
【0074】
特に、腕時計30は、第1の作動器310と第2の作動器320とを含み、それぞれ、置時計20の第1の作動器210及び第2の作動器220との協働を意図する。
【0075】
腕時計30を伝達位置で受けに配置する際、置時計20の第1の作動器210及び第2の作動器220は、腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320とそれぞれ協働することを意図し、移動、好ましくは並進移動を第1の作動器310及び第2の作動器320に伝達するようにする。
【0076】
好ましくは、腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320は、
図3から
図5、
図9及び
図10に示すように、プッシュピースの形態である。
【0077】
図示しない実施形態では、腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320、並びに置時計20の第1の作動器210及び第2の作動器220は、これらが協働する端部に、結合される磁性要素又は強磁性要素を含み、これにより、並進移動の伝達の案内を可能にする。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、腕時計30の第1の作動器310は、伝達レバー39に接続され、前記腕時計30の第1の作動器310の移動により前記伝達レバー39の角度位置を修正するようにする。より詳細には、第1の作動器310は、前記レバーの第1の端部の間に配置された枢動体によって伝達レバー39に接続され、枢動体は、第1の端部で回転可能である。
【0079】
有利には、伝達レバー39は、ハンマ391、結合機構38、分ジャンパ393及び停止レバー370との協働に適合するように構成される。
【0080】
より詳細には、伝達レバー39は、突起部を含み、突起部は、例えば、伝達レバー39の第2の端部に配置されたポスト又はピン395によって形成される。本文の残りにおいて、突起部は、明確にする目的でピンと称する。
【0081】
ピン395は、停止レバー制御器371に支承的に載置し、前記停止レバー371に加えられるばねの力に対抗する力を加えることができる。
【0082】
更に、腕時計30の第1の作動器310の位置に従って、ピン395は、ハンマ391の側面に支承的に置かれ、ハンマ391を巻上げ位置で保持でき、ハンマばね392の作用下、作動位置内に移動可能にするように前記ハンマ391の切欠き396内に係合できる。
【0083】
更に、ピン395は、結合機構38の腕部381の一方に対する押圧に適合し、前記結合機構38を解放位置内に駆動可能にする。
【0084】
更に、ピン395は、ジャンパ393の側面の1つに対する押圧に適合し、伝達レバー39の位置に従って、前記ジャンパ393を、非作動である巻上げ位置で保持可能にするか、又は作動位置内に移動可能にする。作動位置では、ジャンパ393は、ジャンパばね3962の作用下、前記ジャンパ396の切欠き3961内で係合することによって、歯付き車394と協働する。
【0085】
より詳細には、
図3から
図5に示す本発明の好ましい実施形態では、ピン395は、第2の腕部381の側面を押圧し、伝達レバー39の移動中、結合ばね382の戻し力に対して前記第2の腕部381を移動可能にする。有利には、第2の腕部381は、前記結合ばね382の戻し力に対して第1の腕部380を移動駆動するように構成される。
【0086】
特に、
図3から
図5に示すように、第1の腕部380及び第2の腕部381は、境界領域で互いに協働し、これにより、第1の腕部380は、結合ばね382によって生成される戻し力の作用下、第2の腕部381を結合位置の方に強制的に移動させ、第2の腕部381は、ピン395の移動作用下、戻し力に反する力を第1の腕部380に伝達でき、前記第1の腕部380及び第2の腕部381を解放位置内に移動するようにする。
【0087】
例として、全般的に
図3から
図5に示し、
図11により詳細に概略的に示すように、腕時計30の第2の作動器320は、置時計20の第2の作動器220との協働を意図する修正棒の形態を取り得る。
【0088】
腕時計30の時間設定機構は、時間設定制御器321等の時間設定可動構成要素を含むことができ、時間設定制御器321は、前記時間設定制御器321を移動させる修正棒による付勢に適合する第1の腕部、及び第2の腕部によって形成され、第2の腕部の自由端は、例えば、第2の作動器320の往復運動ごとの1つの歯による分表示円板の回転に適合する。
【0089】
分表示円板は、ジャンパ393によって、第2の作動器320の付勢により生じる各移動の間、及び腕時計30の時間設定後、所定の位置に保持される。
【0090】
腕時計20は、本文の残りで説明するように、ユーザ又は置時計20の要求時、前記腕時計30の第1の作動器及び第2の作動器に対する第1の作動器210及び第2の作動器220の作用によって、腕時計30の時間を設定することを意図する。腕時計30の時間設定は、例えば、以下の表示:時、分、日付、曜日、月、月相の調節を可能にする。本文は、腕時計30の時及び分の表示を調節可能にする時間設定を段階的に説明する。
【0091】
以下でより詳細に説明するように、腕時計30の第1の作動器310は、置時計20の第1の作動器210の作用下、複数の連続個別位置を取るように構成される。言い換えれば、置時計20の第1の作動器210によって腕時計30の第1の作動器310を付勢すると、腕時計30の表示に対する時間設定動作を順次実施可能にする。
【0092】
特に、腕時計30の第1の作動器310に対して置時計20の第1の作動器210を付勢するごとに、置時計20によって腕時計30の時間を設定する方法の段階が連続的に実施される。
【0093】
「初期段階」と呼ぶ段階の1つにおいて、腕時計30及び置時計20、特に、これらのそれぞれの作動器は、腕時計30を受けから自由に取り外しできるように、互いに協働していない。
【0094】
「動作段階」と呼ぶ次の段階の間、腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320は、置時計20の第1の作動器及び第2の作動器とそれぞれ協働し、置時計20の作動器が腕時計30の作動器を移動させることができる。特に、置時計20の第1の作動器210を連続的に付勢すると、初期段階後の動作段階の全てを連続的に、循環的に駆動する。
【0095】
各段階は、置時計20の第1の作動器210、及び結果として、腕時計30の第1の作動器310の特定の位置に対応する。
【0096】
本発明の特定の実施形態では、置時計20の手段を以下で説明する。置時計20の手段は、前記置時計20の第1の作動器210及び第2の作動器220に対して作用可能であり、第1の作動器210及び第2の作動器220が、腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320のそれぞれを付勢するようにする。
【0097】
図9の概略図に示すように、置時計20の測時器ムーブメントは、渦形カム230を備えることができ、フィーラスピンドル231が作動位置を占有する際、渦形カム230の外周部にフィーラスピンドル231の第1の端部が支承的に配置される。前記フィーラスピンドル231の前記第1の端部は、渦形カム230が静止位置を占有する際に渦形カム230から後退して配置される。静止位置では、フィーラスピンドル231は、図示しないフィーラスピンドル戻しばねによって付勢される。フィーラスピンドル231の静止位置は、時間の遅れに対応する安全時間を追加した腕時計30の基準表示位置に対応し、この時間の遅れは、以下で説明するように、腕時計の時間を設定し、腕時計を再開するための例えば5分間の待機時間を保証するのに望ましいものである。
【0098】
渦形カム230は、置時計20の時表示器21に運動学的に接続され、時表示器21の角度位置が、前記置時計20の時表示器21の値、したがって、現在の時刻を特徴付けるようにする。
【0099】
より詳細には、渦形カム230は、12時間で1回転を実施し、その外周部に144個の支承部を含むように構成される。この場合、フィーラスピンドル231は、5分ごとに新たな支承部と接触して置くことが可能である。
【0100】
有利には、
図9に示すように、置時計20の測時器ムーブメントは、時表示器21を5分ごとに回転駆動させるように、時表示器21を渦形カム230に接続するジャンプ機構を含み得る。
【0101】
フィーラスピンドル231は、置時計20の時表示器21の値を置時計20の第2の作動器220の方に伝達するように、回転可能に構成される。特に、静止位置と作動位置との間を移動する間、フィーラスピンドル231は、腕時計30の表示の基準位置と置時計20の表示によって示される現在時刻との間の差を表す移動にわたり、置時計20の第2の作動器220を移動駆動可能にするように構成される。
【0102】
特に、フィーラスピンドル231は、弾性接続部238により、第1の端部の反対の第2の端部でラック232に接続される。ラック232は、伝達列と協働するように構成され、伝達列は、置時計20の分表示器22及び時表示器21によって示される時間に従って第2の作動器220を駆動するように構成される。伝達列は、好ましくは、専用エネルギー源によって、好ましくは、「補助香箱」234と呼ぶ専用の香箱によって回転させることを意図する。しかし、エネルギー源は、代替的に、当業者によって公知のものの様式で、ケーブルによって胴部に接続されるおもりの形態を取り得ることに留意されたい。
【0103】
置時計20によって示される時間が取るこの基準は、オンデマンドのミニッツ・リピート機構である分構成要素によって実行される基準と同様に行われるが、ただ1つの差を有する。この差とは、本発明において、計数が、静止位置から作動位置までのフィーラスピンドル231の移動によって実施されること、即ち、フィーラスピンドル231が渦形カム230に接触するまで移動する一方で、ミニッツ・リピートの場合、計数は、分の渦形カムと接触する作動位置から静止位置までの分構成要素の移動によって実施されることにある。
【0104】
一層より詳細には、本発明の一実施形態では、伝達列は、ラック232と嵌合する第1の歯付き車235と、置時計20の第2の作動器220を移動できるように配設された第2の歯付車236とを備え、前記第1の歯付き車235及び前記第2の歯付き車236は、互いに運動学的に接続される。好ましくは、第1の歯付き車235及び第2の歯付き車236は、補助香箱234によって支持され、
図9の腕時計のように、第2の作動器220に運動学的に接続される。
【0105】
置時計20の測時器ムーブメントは、結合レバー240を更に含み、結合レバー240は、第1の歯付き車235及び第2の歯付き車236の互いからの分離、より詳細には、第1の歯付き車235及び補助香箱234の分離に適合する。好ましくは、結合レバー240は、置時計の枠上に回転可能に固定され、結合位置において、衛星列によって歯付き車235に運動学的に接続された「第3の歯付き車」237と呼ぶ歯付き車と係合し、解放位置において、前記第3の歯付き車237から遠ざかるように構成される。
【0106】
第2の歯付き車236は、有利には、ここでは角穴車233によって形成された出力車と嵌合し、角穴車233は、回転可能に構成され、当業者が「ウルフティース」とも呼ぶ複数の三角歯を有し、三角歯の1つに対して、置時計20の第2の作動器220が支承的に配置される。
図2及び
図9に示す本発明の好ましい実施形態では、この置時計20の第2の作動器220は、制御レバーの形態を取る。この制御レバーは、例えば、弾性戻し手段又は重力によって角穴車233の方に付勢され、角穴車233のウルフティースが回転する間の往復運動によって動される。
【0107】
したがって、第2の作動器220は、角穴車233が回転する間、交互に2つの個別の端位置を取ることに適合する。
【0108】
置時計20の第2の作動器220は、腕時計30の第2の作動器320を2つの端位置の間で移動させるように、腕時計30の第2の作動器320への推進力の伝達を保証する。
【0109】
角穴車233の回転速度は、有利には、当業者が公知の、第1の作動器のカムの回転の調整に関して
図9の詳細図に示す同様の脱進機速度調整器によって調整される。
【0110】
弾性接続部238は、角穴車233及び結合レバー240に対する作用に適合するオールオアナッシング・デバイス242に接続される。弾性接続部238及びオールオアナッシング・デバイス242は、フィーラスピンドル231が、補助香箱234の作用下、渦形カム230との接触に達するまでラック232によって回転されると、弾性接続部238が変形し、オールオアナッシング・デバイス242を付勢するように構成され、このため、オールオアナッシング・デバイスが角穴車233を固定し、結合レバー240を枢動させ、第1の歯付き車235及び補助香箱234を分離するようにする。特に、オールオアナッシング・デバイス242は、フック241を含み、フック241は、角穴車233を固定させるように、角穴車233の歯との協働に適合する。
【0111】
したがって、結合レバーは、フィーラスピンドル231を補助香箱234の把持から解放し、これにより、戻しばね(
図9には示さない)の制約下、ラック232及びフィーラスピンドル231が静止位置を再開するのを可能にする。
【0112】
静止位置から作動位置へのフィーラスピンドル231の移動は、本文の残りでより詳細に説明するように、前記第1の作動器210が所定の位置を占有する際に、図示しない、当業者の手の届く範囲にある専用手段により、置時計20の第1の作動器210によって作動される。
【0113】
要約すると、第1の作動器210を作動させると、フィーラスピンドル231は、往復運動を第2の作動器220に付与する角穴車233と同様に、補助香箱234と嵌合するラック232の仲介を通じて回転し、この回転は、フィーラスピンドル231が渦形カム230に支承的に置かれるまで継続する。フィーラスピンドル231が作動位置に達すると、角穴車233は固定され、ラック232は、補助香箱234から分離し、フィーラスピンドル231がフィーラスピンドル戻しばねによって静止位置まで駆動される。
【0114】
置時計20は、
図9の詳細図に示すもの等、置時計20の第1の作動器210を移動駆動させるカム211を含み得る。このカム211は、カム211が傾斜部によって接続された外形部分を有するかぎり、第2の作動器220の角穴車233とは異なり、傾斜部は、少なくとも3つの個別位置に従って、次々に前記第1の作動器210を移動するように構成され、規定速度で追従する所定位置の時間サイクルを画定する。
【0115】
本発明の好ましい実施形態では、第1の作動器210は、
図2及び
図9に示す制御レバー又は制御棒の形態を取り、同様に、
図9に示すように、弾性戻し手段212によってカム211の方に付勢される。したがって、第1の作動器210は、考慮される実施形態により、カム211によって並進移動又は回転移動し得ることを理解されたい。
【0116】
図9の詳細図に示す実施形態では、カム211は、同じ
図9の全体図とは反対に、反時計回り方向での枢動を意図するか、又はカムは、機構の構成に特定の理由で、時計回り方向での枢動を意図することに留意されたい。
【0117】
カム211は、おもり又は香箱等の専用エネルギー源によって回転し、増倍列、並びに脱進機及び発振器から構成される調整機構と一体であり、
図9の詳細図に示すように、当業者に公知であるカムの回転速度を調整するようにする。
【0118】
置時計20は、置時計20の第1の作動器210の枢動を許可または禁止することを意図する2つの制御手段2130及び2131を含む。言い換えれば、制御手段2130及び2131は、カム211の回転を可能にし、したがって、置時計20の第1の作動器210の位置を修正するように構成される。
【0119】
より詳細には、2つの制御手段2130及び2131は、1回転にわたるカム211の回転を許可又は禁止することを可能にする。特に、「第1の制御手段」2130と呼ぶ制御手段の一方は、カム211の回転及び固定を開始可能にする、即ち、以下で詳細に説明する時間設定方法を開始し、終了することを可能にする。「第2の制御手段」2131と呼ぶもう一方の制御手段は、第2の作動器220が移動する間、置時計20の第1の作動器210を停止させ、次に、5分間の待機時間を開始させ、置時計20の第1の作動器310を再度解放することを保証する。
【0120】
図9に示す好ましい実施形態では、第1の制御手段2130及び第2の制御手段2131のそれぞれは、制御カム2132の外周部に支承的に置かれることを意図するレバーによって形成され、制御カム2132は、カム211に同心であり、カム211と一体である。制御カム2132の外周部は、それぞれ2つの制御手段2130及び2131との協働を意図する少なくとも1つの径方向切欠きを含む。
【0121】
レバーは、両方とも、増倍列の円板の1つの歯と協働して前記列を固定するように設けられたビークを備える。
【0122】
特に、レバーの1つが切欠きの1つと協働すると、前記レバーのビークは、前記増倍列の半減を利用して調整列の円板の1つを圧迫し、調整列の回転を係止する。
【0123】
代替的に、置時計20は、レバーの形態の単一制御手段のみを含むことが想定され、この場合、前記レバーは、2つのビークを備える。更に、制御カム2132及びカム211は、単一の一体カムを形成し得る。
【0124】
第1の制御手段2130は、ユーザが操作するように構成される。
【0125】
第2の制御手段2131は、置時計20の分表示器の回転に接続された機構によるフィーラスピンドル231によって実施される計数が終了した後、5分の次の通過で置時計20によって制御されるように構成される。このことは、置時計20の第1の作動器310を解放するための待機時間を生成するためである。
【0126】
第1の制御手段2130を操作又は制御する際、カム211を回転させ、したがって、置時計20の第1の作動器210によって腕時計30の第1の作動器310を付勢することを可能にし、この結果、初期位置から第1の位置まで腕時計30の第1の作動器310が移動する、即ち、第1の動作段階が開始される。好ましくは、この位置の変更は、約5秒の期間にわたり実施され、第1の位置は、約5秒の間保持される。
【0127】
次に、第2の動作段階が開始され、第2の動作段階では、置時計20の第1の作動器210は、第2の位置内に腕時計30の第1の作動器310を移動駆動する。第1の作動器310がこの第2の位置にある際、第2の制御手段2131は、制御カム2132の切欠きと協働し、待機時間の間、カム211を固定する。この待機時間は、上記で説明した第2の作動器の機能の実施に必要なものであり、腕時計によって表示する際、例えば5分の置時計の次の通過に対する待機時間に追加される。
【0128】
これら2つの待機時間が終了すると、第3の段階が開始され、第3の段階では、第2の制御手段2132は、制御カム2132の切欠きから解放され、これにより、カム211の回転を再開する、したがって、置時計20の第1の作動器210によって腕時計30の第1の作動器310を付勢可能にし、前記腕時計30の第1の作動器310が初期位置に対応する第3の位置を占有するようにする。
【0129】
好ましくは、この位置の変更は、約0.1秒の期間にわたり実施され、第3の位置は、第1の制御手段2130と、カム211を固定する制御カム2132の切欠きとの協働によって保持される。
【0130】
言い換えれば、2つの制御手段2130及び2131は、置時計20の第1の作動器210の作動を交互に許可又は禁止するように構成される。
【0131】
置時計20による腕時計30の時間設定方法の連続動作段階は、以下で詳細に説明され、所定の位置の時間サイクルに従った腕時計30の第1の作動器310の位置の変更のおかげで実施される。
【0132】
初期段階の後の第1の動作段階では、置時計20の第1の作動器210は、第1の位置で腕時計30の第1の作動器310を駆動する。この第1の動作段階における腕時計30を
図3及び
図11に示す。
【0133】
好ましい実施形態では、腕時計30の第1の作動器310を複数の位置の全てで駆動するため、置時計20の第1の作動器210は、カム211の外形部分を押圧する。
【0134】
特に、初期段階において、置時計20の第1の作動器210は、初期位置を占有し、第1の作動器210がカム211の第1の外形部分2170の区分217を押圧する。この第1の部分2170は、カムの半径増大を画定する第1の傾斜部219を含み、第1の動作段階の間、初期位置から、腕時計30の第1の作動器310を第1の位置で、制御された速度、例えば5秒で駆動することを可能にする。
【0135】
置時計20の第1の作動器210が第1の傾斜部219に沿って移動した後、カム211の第2の部分214に到達すると、腕時計の第1の作動器310は、第1の位置内に駆動される。
【0136】
第1の動作段階は、置時計20の第1の作動器210が第2の部分214を圧迫する際に実施される。この第2の部分214は、同心、即ち、第2の部分214上のカム211の半径は一定であり、予め規定した期間、例えば5秒にわたり腕時計30の第1の作動器310を第1の位置で保持するようにする。この予め規定した期間は、第1の動作段階の間、以下の機能の達成を可能にする。
【0137】
腕時計30の第1の作動器310は、第1の位置を占有する際、リセット機構を付勢し、腕時計30の時表示器31及び分表示器32を基準位置まで移動させるように構成される。
【0138】
より詳細には、腕時計30の第1の作動器310が第1の位置を占有するように移動する際、ピン395がハンマ391の切欠き396内で係合するまで伝達レバー39を回転させる。したがって、このことにより、ハンマばね392の作用下、ハンマ391を作動位置内に移動させ、結果として、時表示器31及び分表示器32を基準位置まで移動可能にする。
【0139】
腕時計30の第1の作動器310も、第1の位置を占有する際、結合機構38に作用し、最終列36及び表示列35を解放させ、腕時計30の共振器34の係止位置で停止レバー370を駆動させるように構成される。
【0140】
特に、本発明の好ましい実施形態では、腕時計30の第1の作動器310が、ピン395により、第1の位置の方に移動することによって生じる伝達レバー39の回転により、結合ばね382が生成する戻し力に反して、第1の腕部380及び第2の腕部381を互いの方に回転させ、したがって、結合機構38を解放する。
【0141】
本発明の好ましい実施形態では、腕時計30の第1の作動器310は、第1の位置を占有するように移動する際、伝達レバー39の回転は、停止レバーばねが生成する力の作用下、停止レバー370がてんぷに支承的に置かれるまで、停止レバー371を移動させ、この結果、共振器34を停止させる。
【0142】
第2の動作段階では、カム211の第2の外形部分214の後、腕時計20の第1の作動器210は、事実上即時の時間枠以内、例えば0.1秒でカム211の第3の外形部分2150の傾斜部216に接して前記第3の部分2150の区分215に到達するまで支承的に駆動される。置時計20の第1の作動器210は、この区分215に到達すると、第2の位置で腕時計30の第1の作動器310を駆動する。
【0143】
傾斜部216は、本文では前記カム211の回転方向を考慮することによって、カム211の半径を示す径方向区分の低減によって画定される。したがって、第2の位置において、腕時計30の第1の作動器310は、第1の位置を占有する際よりも、腕時計30に対して後退する。
【0144】
この第2の動作段階における腕時計30を
図4及び
図12に示す。
【0145】
この第2の位置において、腕時計30の第1の作動器310は、ハンマ391を巻き直すように構成される、即ち、第1の作動器310は、ハンマ391をハートピース・カム390からある距離で、非作動位置内に駆動する。
【0146】
より詳細には、本発明の好ましい実施形態では、ピン395は、腕時計30の第1の作動器310が第2の位置の方に駆動される際、第1の作動器310によって生じる伝達レバー39の移動の間、強制的にハンマ391の切欠き396から引き出される。したがって、ピン395は、その後、ハンマ391の側面に置かれ、ハンマばね392に対して回転する。
【0147】
有利には、ハンマ391の巻直しは、分表示円板によって支持されるジャンパ393と歯付き車394との間の協働のおかげで、腕時計30の時表示器31及び分表示器32の位置を修正させない。
【0148】
置時計20の第1の作動器210は、第2の位置内に駆動される際、角穴車233の回転を開始し、フィーラスピンドル231を静止位置から作動位置まで移動させ、したがって、置時計20の第2の作動器220を作動させるように構成される。
【0149】
このため、置時計20の第1の作動器210は、例えば、図示しない専用機構により、フック241に作用し、フック241を角穴車233から後退させ、補助香箱234の付勢下、回転を可能にする。フック241の移動は、結合レバー240を枢動させる効果を有し、第1の歯付き車235及び第2の歯付き車236の互いに対して回転させ、補助香箱234の付勢下、ラック232を回転駆動し、したがって、静止位置から作動位置へのフィーラスピンドル231の枢動を確実にするようにする。
【0150】
したがって、言い換えれば、この第2の動作段階の間、置時計20の第2の作動器220は、2つの端位置の間を往復運動で腕時計30の第1の作動器320を駆動させる。
【0151】
更に、フィーラスピンドル231の角移動は、置時計20の表示が示す現在時刻から腕時計30の基準表示位置に対応する時間を分離する段数に対応する。
【0152】
腕時計30の第2の作動器320は、往復運動のそれぞれの間、時間設定制御器321を介して腕時計30の分表示器32を1段の所与の値で駆動するように構成され、分表示器32の駆動により、時表示器31を移動させる。
【0153】
段の値は、1時間の約数、即ち、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分である。
【0154】
有利には、渦形カム230及びフィーラスピンドル231は、置時計20の第2の作動器220が腕時計30の第2の作動器320を駆動し、分表示器32を移動させるように構成され、腕時計30の分表示器32及び時表示器31の位置が、少なくとも1段追加された置時計20の分表示器22及び時表示器21の位置に対応するようにする。
【0155】
言い換えれば、この第2の段階の間、腕時計30の第2の作動器320は、置時計20の第2の作動器220によって付勢され、腕時計30の時表示器31及び分表示器32を連続段によって、所定の更なる数の段、例えば、5分の値に対応する段数だけ増大させた現在時刻の位置に対応する位置まで駆動する。
【0156】
この第2の動作段階の間、第2の制御手段2131は、置時計20の第2の作動器220を作動する間、即ち、腕時計30の時間設定を増大する間、及び例えば5分の待機時間の間、前記腕時計30の時間設定増大の終了時、カム211を固定するように構成される。
【0157】
第3の動作段階は、第2の制御手段2131によって起動され、第2の制御手段2131は、置時計20の第2の作動器220を固定した後、上記のように置時計20の次の全5分への通過によって制御される。この第3の動作段階において、カム211は、置時計20の第1の作動器210は、傾斜部の形態のカム211の第4の外形部分218を押圧し、腕時計30の第1の作動器310を第3の位置、即ち、初期位置内に駆動するように回転する。カム211は、第1の制御手段2130によってこの第3の段階で固定される。
【0158】
第4の部分218は、前記カム211の回転方向を考慮することによって、カム211の径方向区分の減少を画定する。したがって、第3の位置において、腕時計30の第1の作動器310は、第2の位置を占有する際よりも、腕時計30に対して後退する。
【0159】
この第3の動作段階における腕時計30を
図5及び
図13に示す。
【0160】
この第3の位置において、腕時計30の第1の作動器310は、結合機構38を結合し、停止レバー370を腕時計30の共振器34の解放位置内に駆動させるように構成される。任意で、腕時計30の第1の作動器310は、この段階の間、ハンマ391の巻上げを保持するように構成し得る。
【0161】
より詳細には、腕時計30の第1の作動器310が第3の位置の方に移動する間、ピン395による伝達レバー39の回転により、結合ばね382が生成する戻し力の作用下、第1の腕部380及び第2の腕部381を互いに対して反対方向で回転させる。
【0162】
更に、腕時計30の第1の作動器310が第3の位置を占有するように移動すると、伝達レバー39の回転により、停止レバーばねが生成する力に対して、共振器34が解放されるまで停止レバー制御器371の移動を生じさせる。
【0163】
更に、ジャンパ393は、伝達レバー39が移動する間、腕時計30の第1の作動器310が第3の位置の方に駆動されると、ピン395が側面の1つを押圧し、側面の1つを歯付き車394から分離し、これにより、腕時計30の分表示器32の回転を解放可能にするように構成される。
【0164】
言い換えれば、置時計20の第1の作動器210は、現在時刻、即ち、置時計20の時表示器21及び分表示器22によって示される時間が腕時計30の時表示器31及び分表示器32が示す時間に対応する際、腕時計30の第1の作動器310を制御し、第3の動作段階の実施を開始するように構成される。
【0165】
第3の段階は、初期段階、即ち、腕時計30の表示が置時計20の表示と同相であることを除き、第1の段階の開始前である腕時計30の状態に対応する。
【0166】
好ましくは、伝達レバー39は、伝達レバー39を「初期位置」と呼ぶ位置に移動させる性質があるレバーばねによる戻し力を受け、「初期位置」は、腕時計30の第1の作動器310が第3の位置にある位置に対応する。この戻し力は、有利には、腕時計30の第1の作動器310が置時計20の第1の作動器210によって付勢されない場合、即ち、腕時計30の第1の作動器310が第3の位置にある際、伝達レバー39が初期位置内に駆動されるように寸法決定される。
【0167】
より詳細には、この第3の段階における腕時計30の第1の作動器310及び第2の作動器320の位置は、特に腕時計30が置時計20と協働しない際に第1の作動器310及び第2の作動器320が配置される静止位置に対応する。
【0168】
上述の動作段階の継続時間及び前記段階のそれぞれの間の移行は、カム211の外形部分及び前記部分の間の傾斜部が延在する角度の振幅に対して比例することに留意されたい。
【0169】
より一般的には、上記で考慮された実装形態及び実施形態は、非限定的な例として説明しており、したがって、他の変形形態が可能であることに留意されたい。
【0170】
特に、伝達レバー39は、2つの腕部380及び381のそれぞれと協働してよく、この場合、前記腕部380及び381は、互いから独立しており、専用結合ばねと協働する。
【0171】
更に、腕部380若しくは381の一方、又は腕部380及び381は、結合ばねを構成するように弾性部分を含み得る。この特徴は、有利には、専用結合ばねの使用をなくすことを可能にする。
【0172】
伝達レバー39は、クロノグラフ型測時器ムーブメントで使用されるコラムホイールによって置き替え得ることにも留意されたい。
【符号の説明】
【0173】
10 サンパティーク測時器組立体
20 サンパティーク置時計
30 サンパティーク腕時計
31 時表示器
32 分表示器
35 表示列
36 最終列
38 結合機構
210 第1の作動器
220 第2の作動器
310 第1の作動器
320 第2の作動器
【外国語明細書】