(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094553
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】予測可能な挙動を有するように車両を制御すること
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20230628BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20230628BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185154
(22)【出願日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】21217595.4
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】521527211
【氏名又は名称】ボルボ・オートノマス・ソリューションズ・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Volvo Autonomous Solutions AB
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク・サンドブロム
(72)【発明者】
【氏名】リーナス・ハグヴァル
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA15
3D241BA33
3D241CA15
3D241CD11
3D241CD12
3D241DC33Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両がたどるための安全な軌道がない場合、予期しない結果につながり得るまれな事象を経験する自律車両に影響を及ぼす、様々な問題を軽減する。
【解決手段】本方法は、車両の自動運転システム、ADSが、予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定し、予期しない事象の発生に応答して、車両がたどる現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価することを含む。次いで、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、現在の再評価された軌道経路をたどるという決定が可能になる。これにより、車両ADSは、場合によっては車両を遅くするようにその経路に沿った車両の挙動を変更しながら、現在の軌道の経路を維持することが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測可能な挙動を有するように車両を制御するコンピュータ実装方法(100)であって、前記車両の自動運転システムであるADS(30)が、
予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定すること(114)と、
前記決定に応答して、現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価すること(116)と、
すべての他の前の安全基準を維持しながら、前記現在の軌道を再評価するために使用された前記安全基準から前記事象の前記発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、車両が予測可能な挙動を有した状態で、前記現在の再評価された軌道経路が維持されるべきであることを決定することと
を実行することを含む、コンピュータ実装方法(100)。
【請求項2】
前記方法は、ランタイムに前記車両のADSによって実行され、前記すべての他の前の安全基準が、前のADSランタイム期から現在のADSランタイム期までの安全基準を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記事象の前記発生の前記結果のうちの1つまたは複数がオフラインで事前決定される、請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記事前決定された1つまたは複数の結果が、前記予期しない事象のタイプについての1つまたは複数の予測される結末のセットに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
予測される結末の前記セットが、前記現在の軌道を維持または変更するためのルールのセットに関連付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記安全基準を再評価するときに前記事象の前記1つまたは複数の結果を削除することが、前記ADSランタイムの前のインスタンスにおいて前記現在の軌道についての情報から決定された1つまたは複数の予測される結末の前記セットの安全な結末に関連付けられたルールの前記セットを使用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
安全な軌道がないことを決定したことに応答して、前記ADSが、ランタイム中に、前記車両(10)の制御システム(38)のための制御オプションの利用可能なセットを、予測される結末に向けて前記車両(10)を制御するために行使するための前記制御システム(38)のためのオプションの許容されるセットまで、低減することをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
利用可能な制御オプションの前記低減されたセットを行使することが、前記車両(10)を、前記予期しない事象より前の予測される挙動と異なる予測可能な挙動で、前記現在の軌道経路に沿って継続して進ませる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記異なる予測される挙動は、車両速度を遅くすることが予測される挙動を含み、前記異なる予測される挙動が、
ブレーキをかけることと、
低速ギアを入れることによって前記エンジンを遅くすることと、
前記現在の軌道経路に沿って左右に方向転換することと
のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ADSは、前記制御システムがそれに応答して前記車両を動作させるためにアクチュエータ信号を生成する情報を生成するように構成された、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項11】
後続のADSランタイム期中に後続の安全基準に対して前記軌道を再評価することの結果として、前記軌道が前記後続の安全基準を満たすことになる、請求項8または9に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記事象が単独の予期しない事象のタイプである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項13】
自動運転システムであるADS(30)を含む車両(10)の制御システム(38)であって、
メモリ(44)と、
コンピュータプログラムコードと、
1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路(42)であって、前記コンピュータプログラムコードが、前記メモリ(44)からロードされ、前記1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路(42)によって実行されると、前記制御システムに請求項1から12のいずれか1項に記載の方法を実行させる、1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路(42)と
を含む、制御システム(38)。
【請求項14】
請求項13に記載の制御システムを用いて構成された、車両。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読記憶媒体が、ロードされ、車両(10)の制御システム(38)の1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路(42)によって実行されると、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法を実行することによって前記車両の予測可能な挙動を維持するように前記制御システム(38)を構成させるコンピュータコードを含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予測可能な挙動を有するように車両を制御するための方法および関係する態様に関する。
【0002】
特に、ただし排他的にではなく、本開示は、交通インシデントに巻き込まれた車両の予測される結果がより定量化しやすくなるように、車両のADSがエラー結果クラスの独立したセットを作成する決定をランタイム(run-time)に行うことを可能にする方法に関する。これは、交通インシデントの発生への代替が利用可能である場合には最適でない可能性があるが、そこから選択するべき車両のために利用可能な安全な軌道がないいくつかの状況では、確実に、あらゆるタイプ(種類)の結果へのあらゆるタイプ(種類)のインシデントの寄与率を割り当てる能力は、明らかな利点を有する。説明する技術は、主に、車両、例えば、自律または半自律車両であり得る自動車両に関する。そのような車両は、セミトレーラ車両およびトラックなど、大型車両、ならびに自動車など他のタイプの車両を含み得る。
【背景技術】
【0003】
ドイツ特許出願DE102014204168は、回避事故を防ぐためのシステムに関する。そのシステムは、車両(105)の走行経路(111)を予測し、少なくとも1つの衝突物体(101)との車両(105)の切迫した衝突を検出し、少なくとも、衝突物体(101)との切迫した衝突の場合に、走行経路(111)からの車両(105)の逸脱を防ぐように設計される。走行経路(111)は、衝突物体(101)との車両(105)の衝突が発生するようにあらかじめ計算され得る。
【0004】
米国特許出願第2017/210383号は、前方障害検出デバイスと、横方向物体検出デバイスと、制動装置が自動的に動作することを可能にするための自動制動制御を実行するための自動制動制御実行部分、および自動制動制御に加えて、ステアリング装置が自動的に動作することを可能にするための回避制御を実行するための回避制御実行部分と、回避制御の実行を禁止するための回避制御禁止部分を含むコントローラとを含む、車両衝突回避支援システムであって、回避制御禁止部分は、横方向物体検出デバイスが、自身の車両の側方で、自身の車両が走行しているのと同じ方向に移動している横方向移動物体を検出し、回避制御が実行された場合に自身の車両と横方向移動物体とが互いに衝突する危険があるときに、回避制御の実行を禁止する、車両衝突回避支援システムに関する。
【0005】
国際PCT特許出願WO02/08010は、環境条件に加えて車両状態変数と車両特徴量を検出するためのセンサーデバイスを備える車両のための自動ブレーキおよびステアリングシステムに関する。車両のブレーキおよび/またはステアリングを調整するための調整および制御デバイスが提供される。最大のセキュリティをもって自動障害回避操作を実行するために、走行経路中に障害(3)があるとき、代替ルート(b)が決定される。代替ルート中にさらなる障害(4)がある場合、別の代替ルートを決定するためのストラテジーが適用される。衝突のない代替ルートが見つからない場合、残りの停止距離(sb)と障害(5)までの残りの距離(sh2)との差(D S2)が最も短い、後続のルート(e)が選定される。
【0006】
ドイツ特許出願DE102017103700は、動力車両(1)の第1のセンサーシステム(20)によって少なくとも1つの車両外部物体(2)に関する物体データ(3)を収集するステップ(V3)と、動力車両(1)の第2のセンサーシステム(24)によって動力車両(1)に関する車両データ(10)を収集するステップ(V1)と、物体データ(3)と車両データ(10)とに基づいて少なくとも1つの車両外部物体(2)との動力車両(1)の切迫した衝突(8)を決定するステップ(V5)とを含む、少なくとも1つの車両外部物体(2)との動力車両(1)の衝突(8)を自動的に回避するための方法に関する。動力車両のステアリングシステムにおける誤った介入の危険を低減するために、切迫した衝突を決定するために物体データ(3)から少なくとも1つの車両外部物体(2)のそれぞれの動き(7)がモデル化され(V4)、少なくとも1つの車両外部物体(2)のそれぞれの動き(7)が、事前定義された基準に従って確実に決定または予測される場合にのみ、少なくとも1つの車両外部物体(2)との動力車両(1)の切迫した衝突を回避するための動力車両(1)のステアリングシステムにおける介入(V7、V7’)が行われることが与えられる。
【0007】
開示する技術は、車両がたどるための安全な軌道がない場合、予期しない結果につながり得るまれな事象を経験する自律車両に影響を及ぼす、当技術分野で知られている様々な問題を軽減するか、予防するか、緩和するか、またはなくすことを求める。
【0008】
実行時の戦術的決定は、インシデント(I)を回避し、インシデントが結果(C)につながることがある。特定のインシデントを結果にマッピングする関数は、結果が常に正しく評価されることができるとは限らないという意味で、ランダムである。例えば、危険な状況またはインシデントは、死亡事故についての確率が10%よりも大きい場合には、最も重大なタイプとして分類され得る。明示的な範囲/約束によって限定された結果を評価するように構成されたADSは、(インシデントの場合の「n」個のタイプと、結果の「m」個のタイプとがあると仮定して)すべてのマッピングI_n->{C_0、C_1、…C_m}を知ることが必要とされる。
【0009】
安全基準に対するADSの安全性とコンプライアンスとを論じるとき、ADSがある信頼度まで明示的な危険基準を満たすことを予測することが可能であることが望ましい。言い換えれば、特定のADSの導入がつながり得るいくつの事故およびどのくらい重大な事故かについての範囲を明示的に表す何らかの方法があるべきである。範囲を計算するために、どのタイプのインシデントがどのタイプの結果につながり得るかをマッピングすることが可能であることが重要である。特定のタイプのインシデントとインシデントにより起こり得る1つまたは複数の結果との間に知られている関連がない場合、最終的な結末(outcome)がどうなるかを正しく推定し、定量化することは困難である。さらに、ADSが現場に展開される前に、そのようなADSによって取られる何らかの戦術的決定が意図せずに説明できない結果につながらないことを、ある程度の信頼性をもって知ることが将来の要件になる可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されるが、この概要セクションでは、いくつかの好ましい実施形態の例および可能な技術的利益の指示とともに、特許請求される技術を含む開示する技術の様々な態様について述べる。
【0011】
開示する技術は、一般に、予期しない事象が発生した後に、その事象によりその特定の瞬間に安全な軌道が生じない場合でも、予測可能な挙動を有するように車両を制御するために、例えば、車両の制御システムおよび/または自動運転システム、ADSによって実行されるコンピュータ実装方法に関する。例えば、車両が自律車両である場合、本方法のいくつかの実施形態では、車両のADSが、予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定した場合に、ADSは、車両がたどる現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価する。次いで、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果(consequences)を削除することによって、現在の再評価された軌道をたどるという決定が可能になる。これにより、車両ADSは、場合によっては、車両を遅くするように、その経路に沿った車両の挙動を変更しながら、現在の軌道の経路を維持することが可能になる。
【0012】
開示する実施形態のうちのいくつかの技術的利益は、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することの結果として、車両の現在の軌道の経路がADSによって維持され得るが、経路に沿った車両の挙動は変化することができることである。いくつかの状況では、例えば、予期しない事象の後に、現在の軌道経路は、再評価された安全基準に基づいて好適な軌道予測モデルに従って維持され得るが、その経路に沿った車両の挙動は、予期しない事象の前にADSによって挙動モデルを使用して前に予測されたかもしれない挙動出力から変化し得る。
【0013】
言い換えれば、軌道経路に沿った車両挙動は変化し得る、例えば、予期しない事象が発生した後に、車両は著しく減速し得るが、車両の挙動は、車両のADSによって挙動モデルを使用して予測され得る。いくつかの実施形態では、車両挙動は、実際の車両挙動の1つまたは複数の特性が、1つまたは複数の事前決定された許容誤差および/またはADSによって予測される挙動の信頼性レベル内にとどまるという意味で、予測可能なままであり得る。例えば、安全な軌道がないと決定したことに応答して、いくつかの実施形態では、本方法は、ADSが、車両の制御システムのための制御オプションの利用可能なセットを、予測される結末(outcome)に向けて車両を制御するために(例えば、軌道経路に沿った車両の挙動を制御するために)行使するための制御システムのためのオプションの許容されるセットまで、ランタイム(run-time:実行時間)中に低減することをさらに含む。制御システムは、好適な挙動を決定するために軌道および/または挙動モデルを使用し得る。制御システムが利用可能な制御オプションの低減されたセットを行使するとき、それは、車両を、予期しない事象より前の予測された挙動と同じ軌道経路に沿って、異なる予測可能な挙動で現在の軌道に沿って継続して進ませ得る。異なる予測される挙動の例は、例えば、ブレーキをかけること、および/または低速ギアを入れることによってエンジンを遅くすること、および/または軌道経路の周りを左右に方向転換することなど、車両速度を遅くすることが予測される挙動を含み得る。
【0014】
開示する技術の第1の態様は、予測可能な挙動を有するように車両を制御するコンピュータ実装方法を含み、本方法は、車両の自動運転システム、ADSが、予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定することと、決定に応答して、現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価することと、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、車両が予測可能な挙動を有した状態で、現在の再評価された軌道経路が維持されるべきであることを決定することと、を実行することを含む。
【0015】
有利には、本方法は、ADSが、予期しない事象がすでに起こったときにいくつかのインシデントの過大表現につながる戦術的決定を行うことを防ぎ得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、車両は大型車両である。
【0017】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、ランタイム(run-time)に車両のADSによって実行され、すべての他の前の安全基準は、前のADSランタイム期(ADS run-time epoch)から現在のADSランタイム期までの安全基準を含む。
【0018】
本方法のいくつかの実施形態では、事象の発生の結果のうちの1つまたは複数はオフラインで事前決定される。
【0019】
本方法のいくつかの実施形態では、事前決定された1つまたは複数の結果(consequences)は、予期しない事象のタイプについての1つまたは複数の予測される結末(outcome)のセットに関連付けられる。本方法のいくつかの実施形態では、予測される結末のセットは、現在の軌道を維持または変更するためのルールのセットに関連付けられる。
【0020】
本方法のいくつかの実施形態では、安全基準を再評価するときに事象の1つまたは複数の結果を削除することは、ADSランタイムの前のインスタンスにおける現在の軌道についての情報から決定された1つまたは複数の予測される結末のセットの安全な結末に関連付けられたルールのセットを使用することを含む。
【0021】
本方法のいくつかの実施形態では、安全な軌道がないことを決定したことに応答して、本方法は、ADSが、車両の制御システムのための制御オプションの利用可能なセットを、予測される結末に向けて車両10を制御するために行使するための制御システムのためのオプションの許容されるセットまで、ランタイム中に低減することをさらに含む。
【0022】
本方法のいくつかの実施形態では、利用可能な制御オプションの低減されたセットを行使することは、車両を、予期しない事象より前の予測される挙動と異なる予測可能な挙動で、現在の軌道経路に沿って継続して進ませる。
【0023】
本方法のいくつかの実施形態では、異なる予測される挙動は、車両速度を遅くすることが予測される挙動を含み、異なる予測される挙動は、ブレーキをかけることと、低速ギアを入れることによってエンジンを遅くすることと、軌道経路に沿って左右に方向転換すること(swerving from side to side along the trajectory path)とのうちの1つまたは複数を含む。
【0024】
本方法のいくつかの実施形態では、ADSは、制御システムがそれに応答して車両を動作させるためにアクチュエータ信号を生成する情報を生成するように構成される。
【0025】
本方法のいくつかの実施形態では、後続のADSランタイム期中に後続の安全基準に対して軌道を再評価することの結果として、軌道が後続の安全基準を満たすことになる。
【0026】
本方法のいくつかの実施形態では、事象は単独の予期しない事象のタイプである。
【0027】
本発明の別の第2の態様は、自動運転システム、ADSを含む車両の制御システムを含み、制御システムは、以下を備える。
【0028】
メモリと、コンピュータプログラムコードと、1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路。ここで、コンピュータプログラムコードは、メモリからロードされ、1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路によって実行されると、制御システムに第1の態様による方法を実行させる。
【0029】
本発明の別の第3の態様は、第2の態様による制御システムを用いて構成された車両を含む。
【0030】
本発明の別の第4の態様は、コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品を含み、コンピュータ可読記憶媒体がコンピュータコードを含み、コンピュータコードは、ロードされ、車両の制御システムの1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路によって実行されると、第1の態様の実施形態のいずれかによる方法を実行することによって車両の予測可能な挙動を維持するように制御システムを構成させる。
【0031】
開示する技術の第5の態様は、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムを伝えるするコンピュータプログラムキャリアを含み、コンピュータプログラムコードは、コンピュータプログラムキャリアからロードされ、自動運転システムを有する車両の1つまたは複数のプロセッサまたは処理回路によって実行されると、車両に第1の態様による方法を実装させ、コンピュータプログラムキャリアが、電子信号、光信号、無線信号またはコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つである。
【0032】
開示する態様および実施形態は、当業者に明らかであろう任意の好適な様式で互いと組み合わせられ得る。
【0033】
以下で、単に例としてのものである添付の図面を参照しながら、開示する技術のいくつかの実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】車両ADSが複数の軌道を生成した時間t0における例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図2】
図1のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示す図である。
【
図3】後の時間t1における
図1の例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図4】後の時間t1における
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示す図である。
【
図5】後の時間t2における
図1の例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図6】後の時間t2における
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示す図である。
【
図7】後の時間Tにおける
図1の例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図8】後の時間Tにおける
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示す図である。
【
図9】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【
図10A】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法がインシデントを回避する例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図10B】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法がインシデントを回避する例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図10C】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法がインシデントを回避する例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図10D】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法がインシデントを回避する例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図10E】開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法がインシデントを回避する例示的なシナリオを概略的に示す図である。
【
図11】開示する技術による、例示的な制御システムと自律車両のADSとを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下で、添付の図面を参照しながら本開示の態様についてより十分に説明する。本明細書で開示する装置および方法は、しかしながら、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に記載した態様に限定されるとして解釈されるべきでない。ステップは、そのように明示的に言及されようと、暗黙的な場合であろうと、開示する実施形態のうちのいくつかに不可欠でない場合、並べ替えられるか、または省略され得る。全体にわたって図面中の同様の番号は同様の要素を指す。
【0036】
本明細書で使用する際、単数形「a」、「an」および「the」は、コンテキストが別段に明示しない限り、複数形をも含むものとする。
【0037】
開示する技術は、故意にいくつかのインシデントにつながらない、設計時にエラーを識別することを可能にする。例えば、大型トラック(lorry)の後ろに後続する車両に向かって移動する大型トラックから物体が転がり落ちるシナリオについて考える。物体は車両に衝突するコース上にある。車両が物体を検出したとき、ADS物体追跡ソフトウェアは、そのポイントにおける物体の軌道と車両の軌道とに基づく道路上の障害の検出が、衝突を説明する一連のインシデントにつながり得るが、環境上の制約により道路逸脱にはつながり得ないこと、を決定する。言い換えれば、物体との1つまたは複数の衝突を考慮した場合、車両がたどっている現在の軌道は、それが安全基準のすべてを満たすことができなくなるという意味で、もはや安全でない。しかしながら、車両のADSが選択するために利用可能な代替の安全な軌道がない場合、例えば、車両が単線の橋などの単線の高架道路上にある場合はどうなるだろう。
【0038】
仮に、車両が、限定された結果(limited consequences)を伴ってまたは伴わずに道路から安全に離れることができるなら、道路上にとどまり、物体と衝突する危険を冒すことは最適でない可能性がある。言い換えれば、そのような状況では、車両が道路を離れた軌道についての予測される結末が起こらないなら、車両は、限定された結果を伴ってまたは伴わずに道路を安全に離れている可能性がある。車両がこれを行わない場合、言い換えれば、物体が検出されたインスタンスにおいて安全でないことが決定された利用不可能な軌道のうちの1つが後で安全であったことが分かったことが判明した場合、なぜ車両がその軌道を拒否し、これがおそらく後で場合によってはより重大な結果につながるにもかかわらず、代わりに現在の軌道を継続したかを理解することが重要である。言い換えれば、コースにとどまり、物体に当たることは大きい交通インシデントを引き起こすことになるかもしれないが、後から考えると、車両はインシデントを安全に回避できたかもしれない。しかしながら、インシデントの時間に、車両がそのような結末(outcome)を予測することができないなら、車両はこの結末の存在を信頼性をもって知る機能を有しないので、この結末には到達できない。
【0039】
開示する技術の実施形態は、インシデントにつながる事象と、ADSを有する自律車両の制御ユニットが車両に取らせた行為とを、危険基準を満たすことに基づいて車両が定義上安全であり得るように、証明され得ることの観点から分析し、検討することを可能にする。開示する技術の技術的利益は、ADSの(または「ドライバ」の)仮定における誤りの考えられる結果を簡略化することによって、危険基準がADSによって満たされることを信頼性をもって示すことがより容易であることである。そのような仮定は、限定はしないが、例えば、車両は、十分な完全性をもつ知覚システムからこの情報を受信したので、あるエリアが空いていると仮定することを含む。
【0040】
開示する技術は、危険基準を満たすので車両の安全を損なわず、代わりに、ADSが例えば交通インシデントにつながり得る状況などの重大な状況において最適でない可能性のある決定を行わなければならないときでも、危険基準が車両のADSによって満たされることを可能にするものである。結果として、ランタイム(run-time)決定は、常に、態様におけるこの危険を冒し、その結果、許容される最大速度を下げるなど、危険を最小限に抑えるための他の手段を使用する。
【0041】
ADSが、物体などとの衝突などのインシデントを回避するための安全な軌道がないことを決定する場合に、ADSを有する車両を、予測可能な挙動を有するように制御することを、開示する技術がどのように可能にするかをより良く説明するために、添付の図面の
図1、
図3、
図5、および
図7に展開して示されているシナリオについて考える。
【0042】
図1は、自動運転システム、ADSによって軌道が制御される自律車両10が、時間(時刻)t=t0と呼ぶことにする公称時点(nominal point of time)において基準軌道A、代替軌道BおよびCとして示されている複数の軌道を生成した、時間t0における例示的なシナリオを概略的に示す。
【0043】
いくつかの実施形態では、車両は大型車両である。現代の大型車両は、内燃機関、電気機械、摩擦ブレーキ、回生ブレーキ、ショックアブソーバ、空気ベローズ、およびパワーステアリングポンプなど、広範囲の異なる物理的デバイスを備え得る。これらの物理的デバイスは一般的に動き支援デバイス(MSD)として知られている。MSDは、例えば、電気機械によって正のトルクを生成するために、車両上の、あるいはさらには同じホイール車軸上の別のホイールが同時に使用されている間に、摩擦ブレーキが1つのホイール、すなわち、負のトルクに適用され得るように、個々に制御可能であり得る。
【0044】
図1に示されたシナリオのコンテキストにおいて、車両10は、トラックまたは大型トラックまたはキャブ付きトレーラ構成など、大きい大型車両からなる。車両10は、例えば、静止物体16a、16bおよび18、ならびに移動物体12および20など、それの周囲における他の物体を感知することが可能である。静止物体16a、16b、18の例は、路側縁石またはガードレールなど、および建築物を含み得る。移動物体は他の車両12および歩行者20を含み得る。
【0045】
図2は、
図1のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示したもので、時間t=t0から時間t=t1まで動作する現在のADS期(ADS epoch)#1を示す。これは、t0の後に、t1を含むt1までに発生する如何なるインシデントも期#1に割り当てられることを意味する。現在のランタイム期の開始時間t0において、車両のADSは、
図1に歩行者20として示されている歩行者の現在の位置を決定することが可能であり、ADSが前の期(epoch)における歩行者の動きを追跡していたと仮定すると、ADSはまた、ADSランタイムの次のタイム期#2の開始時間t1において歩行者がどこにいるかに関する予測を行うことが可能である。
【0046】
現在の期(epoch)についての時間ラベル#1、ならびに時間ラベルt0およびt1は、後のインシデントに到る事象のシーケンスを添付の図面からより良く理解することを可能にするためのものにすぎないことに、当業者は気付くであろう。
【0047】
図3は、ADSの第2のランタイム期の始まりである後の時間t1における
図1の例示的なシナリオを概略的に示す。
図3において、
図1の要素と同様の要素はそれらの番号付け方式を保持する。
図3の例示的なシナリオでは、車両10は、軌道Aに沿って進んでおり、軌道Cは安全な利用可能な軌道のままであるが、歩行者20が、今では、
図3に20
*として示されている新しい位置まで移動しているので、軌道Bは、もはや安全ではなく、したがって、車両のADSが軌道を変更する必要がある場合に車両ADSが選択するために利用不可能な代替軌道である。
【0048】
図4は、後の時間t1における
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示したもので、t1で始まる実行期(execution epoch)が持続時間、言い換えれば、時間間隔#2だけ継続し、その後、時間t=t2から次のタイム期#3が開始される様子を示す。
【0049】
図5は、ADS実行スレッドの次の期(epoch)の開始である後の時間t2における
図1の例示的なシナリオを概略的に示す。
図5において、歩行者は先に進んだが、車両10が基準軌道Aに沿って、該車両10が軌道Bに切り替わり得るポイントを越えて進んだので、軌道Bはもはや利用可能でない。これは、現在の軌道Aが維持される場合のインシデント22を車両が予測する場合、車両ADSは、その安全な利用可能な軌道を評価し、車両が軌道Cに切り替わるべきであることを決定することを意味する。
【0050】
図6は、後の時間t2における
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示したもので、時間t2で始まる第3の期中のインシデントの発生を示す。
【0051】
図7は、ADSランタイム実行スレッドの第3の期中の後の時間Tにおける
図1の例示的なシナリオを概略的に示したもので、ここでは予期しないインシデント24が発生する。ここで、ADSは、事象が発生するであろうことを、有用な程度まで前のタイム期中に予測することができなかったという意味で、インシデントは予期しないものである。
図7に示されているように、事象は次のADS期の開始の前に発生し、事象の結末は時間t>Tにおける衝突であることが予測される。
【0052】
図8は、後の時間Tにおける、
図2のADSのランタイム実行スレッドを概略的に示す。
【0053】
時間Tにおいて、車両ADSは、本発明によれば、車両10の後続の挙動を予測可能な挙動にすることを可能にする方法100を実行するように構成される。
図9に示されているように、方法100は、軌道Cが時間t=tn(これは、
図1における時間t=t0に相当し、n=0である)において安全な代替軌道であることを決定する第1の決定102を含む。安全でなくなりつつある現在の軌道Aに応答して、ADSは車両の制御ユニットに信号を送り、車両制御ユニットは時間t=t
n+1において車両を代替の安全な軌道Cに変更させる104ためのアクチュエータコマンドを生成する。
【0054】
しかしながら、時間=Tにおいて、次のタイム期n+2中の時間t=Tにおける予期しない事象の発生に応答して、ADSは、現在の軌道Cが、利用可能な軌道として選択されるべき安全基準を依然として満たすかどうかを評価する106。新しい軌道Cが依然として安全であることが決定された108場合、車両は軌道Cに沿って継続して進む118。しかしながら、次のタイム期n+2中の時間t=Tにおける予期しない事象の発生に応答して、現在の軌道Cが、最初に、もはや安全基準を満たさないと評価された場合、ADSは、別の安全な軌道が存在するかどうかを検査し110、別の安全な軌道が存在する場合、ADSは他の安全な軌道に変更する112。しかしながら、ADSが、安全な軌道がないことを決定した114場合、ADSは、予期しない事象、または予期しない事象の1つまたは複数の結果がひとたび無視されると、安全基準が依然として満たされるかどうかを再評価するように構成される。これは、ADSが、現在の軌道Cを安全な軌道として見なし続けることを可能にし、それにより、軌道Cが、t=tn+1である前のインスタンス/ランタイム期中に安全であったことに基づいて、現在の安全でない軌道Cなどの安全でない軌道を維持するために、ADSが制御ユニットにシグナリングすることが可能になる。
【0055】
車両10のADSによって実行される方法100のいくつかの実施形態は、したがって、予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定し(
図9、114参照)、予期しない事象の発生に応答して、現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価する(
図9、116参照)ことによって、車両10に予測可能な挙動を有させる。本方法は、次いで、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、車両が予測可能な挙動を有した状態で、現在の再評価された軌道が維持されるべきであることを決定する。
【0056】
方法100はランタイムに車両のADSによって実行される。いくつかの実施形態では、他の前の安全基準は、前のADSランタイム期から現在のADSランタイム期までの安全基準、例えば、前のADSランタイム期中に選択された現在の軌道を評価するために使用された安全基準を含む。
【0057】
方法100はADSによって動的に実行されるが、言い換えれば、ADSが実行しているとき、事象の発生の結果のうちの1つまたは複数は、いくつかの実施形態では、オフラインで事前決定される。結果は、したがって、例えば、自律車両10を管理するバックオフィスサーバなどよりリモートサーバによって、リモートで決定され得る。
【0058】
事前決定された1つまたは複数の結果は、本方法のいくつかの実施形態では、予期しない事象のタイプについての1つまたは複数の予測される結末のセットと関連付けられる。例えば、予期しない事象が道路の崩壊である場合、予測される結末は、穴に落ちることであり得る。別の例として、予期しない事象が、道路の上に木が倒れることである場合、予測される結末は、倒れた木にぶつかることであり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、予測される結末のセットは、現在の軌道を維持または変更するためのルールのセットに関連付けられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、本方法は、ADSランタイムの前のインスタンスにおける現在の軌道についての情報から決定された1つまたは複数の予測される結末のセットの安全な結末に関連付けられたルールのセットを使用することによって安全基準を再評価するときに、事象の1つまたは複数の結果を削除する。
【0061】
いくつかの実施形態では、安全な軌道がないことを決定したことに応答して、本方法は、車両のADSのための制御オプションの利用可能なセットを、予測される結末に向けて車両を制御するために行使するためのADSのためのオプションの許容されるセットまで、ランタイム中に低減することをさらに含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、利用可能な制御オプションの低減されたセットを行使することは、車両を、予期しない事象より前の予測される挙動と異なる予測可能な挙動で、現在の軌道に沿って継続して進ませる。
【0063】
いくつかの実施形態では、異なる予測される挙動は、車両速度を遅くすることが予測される挙動を含む。例えば、異なる予測される挙動は、例えば、ブレーキをかけること、低速ギアを入れることによってエンジンを遅くすること、および/または左右に方向転換することなどの行為を含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、ADSは、制御システムがそれに応答して車両を動作させるためにアクチュエータ信号を生成する情報を生成するように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、後続のADSランタイム期中に後続の安全基準に対して軌道を再評価することの結果として、軌道が後続の安全基準を満たすことになる。
【0066】
いくつかの実施形態では、予期しない事象は単独の予期しない事象の一種(タイプ)であり、言い換えれば、ADSは、時間Tにおいて発生する事象が、特定のランタイム期よりも長く続き得る一連の事象の一部でないと仮定する。
【0067】
図10A~
図10Eは、開示する技術による、予測可能な挙動を有するように車両を制御する方法が、時間Tにおいて予期しない事象が発生した後にインシデントを回避する、例示的なシナリオを概略的に示す。
図10A~
図10Eは、インシデントが発生し得るシナリオの特に簡略化されたバージョンである。
【0068】
例えば、(t=Tである)予期しない事象が発生した期より前の期より前の期までのADSランタイムインスタンスの前の期中の、ある時間t<<<Tにおける
図10Aにおいて、自律車両10のADSは、3つの利用可能な軌道、すなわち、たどられている現在の基準軌道Aと、2つの代替軌道BおよびCとがあることを決定している。すべての3つの軌道は、例えば、その内に移動物体がない安全地帯内にある、安全な軌道として評価される。
図10Aにおいて位置a1、b1、c1、d1、e1、またはf1に示されている移動物体は、したがって、安全地帯の外側にある。
【0069】
図10Bにおいて、例えば、ADSの次のランタイム期中の後の時点t<<Tにおいて、物体dは位置d2まで移動している。物体排除ゾーン内のロケーションd2における物体Dの存在を決定する車両10のADSは、それが、そのランタイム期(t=t1)中に軌道Bに切り替わることの結末を評価するときに、軌道Bを安全でないとする。現在の基準軌道Aに沿って、しかしながら、車両は、物体Dとロケーションd2とに衝突することを回避するために緊急停止を行い得る。したがって、軌道Aおよび代替軌道Cは依然としてこのタイム期(t=t1)において安全であると決定される。
【0070】
後の時点、例えば、予期しない事象が発生した現在の期までの前の期中の時間t<Tにおいて、物体Dは、
図10Cに示されているように、車両10が安全に停止することができる前のロケーションd3まで予期せずに移動している。車両のADSは、軌道Aについての安全基準を再評価し、その際に、その時間tにおいて安全であると依然として決定された軌道Cをたどるように車両を切り替える。
【0071】
図10Dは、現在のADSランタイム期中の時間t=Tにおいて、軌道Cに沿ってロケーションg1において予期しない事象が発生するシナリオを示す。そのような予測不可能な事象の発生は、実際極めてまれであるはずであるが、起こり得る。それは、例えば、空からドローン、鳥または飛行機の部品が落下することから、大型トラックの後部から何かが落下することまで、道路の前で木が倒れることまで、どんなことでもあり得る。予期しない事象が発生した時間において(t=Tにおいて)、事象は、車両が軌道C上で停止することができる前のロケーションg1にある。ADSは、時間t=Tにおいて、予期しない事象が静止物体に関連しているか移動物体に関連しているかを予測することが可能でないことがある。そのようなシナリオにおいて、軌道Cが、時間Tの後に、すなわちt>Tであるときにたどるために安全であるかどうかを評価するために、ADSが安全基準に対して軌道Cを再評価するとき、軌道Cをたどることを継続することの結果が考慮に入れられた場合、軌道Cは不合格になる。
【0072】
この時点において、すなわち、時間t=Tにおいて、実質的に、時間Tにおいて検出された事象に応答してわずかに後の時間であるが、車両のADSは、例えば、方法100の実施形態を実行し、それは、g1における予期しない事象の発生に応答して安全な利用可能な存在する軌道がないことを決定する(114)。それは、次いで、予期しない事象の発生に応答して、現在の軌道が、この場合は軌道Cが安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価する(116)。そうでない場合、それは、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、現在の再評価された軌道が維持されるべきかどうかを決定する。その結果、車両は、前に安全でないと決定された軌道Cを維持することになる。その結果、車両は予測可能な挙動を有し続け、時間t=Tにおいて、これらが交通インシデントにつながることが予測される、言い換えれば、時間t=Tにおいて、車両はg1における予期しない事象に関連する物体に衝突するコースを進み続けると予測されるとしても、車両の制御ユニットは、車両を減速するかまたは停止するために他の行為を取ることができる。
【0073】
図10Eは、軌道Cに沿って予期しない物体との衝突は発生しないことが分かった際に、時間t>Tまたはt>>Tにおける、言い換えれば、ADSが軌道Cに沿って継続して進む戦術的決定を行った期(epoch)よりもやや後の時間に、方法100を実行することの肯定的な結末があり得ることを概略的に示す。このシナリオでは、軌道に沿って継続して進むADSによる戦術的決定は安全な結末を有する。例えば、示されているシナリオにおいて、位置g1において軌道Cの経路に沿って現れた予期しない物体は今度は時間t>>Tにおいて位置g2にあるが、したがって、これは、ADSが軌道Cに沿って継続して進む戦術的決定を行った時点t>Tにおいて予期されていなかった。
【0074】
有利には、軌道Cは時間における前のインスタンスにおいて安全であったので、その時点において既知の軌道として継続することが軌道の時間t=Tにおける最良の選択であり得る可能性があるという仮定に基づいて、軌道Cをたどることを継続することによって、車両の挙動は予測可能である。
【0075】
いくつかの実施形態では、上述のように、ADSは、軌道Cの経路に沿って継続して進む戦術的決定を行うが、予期しない事象が発生したことに応答して、ADSは、おそらくできる限り迅速に減速するように車両の制御ユニットに命令し、その結果として、左右に方向転換すること、緊急停止を実行すること、ギアを低速に変更することなど、などをもたらし得るので、軌道Cに沿った車両の挙動は今やは異なる。
【0076】
上記方法100の実施形態のすべてではないがいくつかは、ソフトウェアとして与えられ得るか、または、例えば、車両ADS中にまたは車両のADSシステムに接続するデバイス上にインストールするために車両に信号として伝えられるコンピュータプログラム製品としてハードコードされ得る、コンピュータプログラムコードを使用して実装され得る。コンピュータプログラム製品は、したがって、車両中に工場製造環境においてインストールされ得るか、または、オーバージエア、OTA、更新として、または、フラッシュドライブまたはusbスティックまたは同様のデバイスなどのポータブルメモリデバイスなど、物理的メモリスティック上に与えられ得る、車両のADSソフトウェアへの更新として与えられ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、車両10の1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路42によってメモリからロードされ、実行されたときに、開示する方法実施形態のいずれか1つによる、予測可能な挙動を有するように車両を制御するための方法100を車両10に実装させるコンピュータコードを含む。
【0078】
添付の図面の
図11は、自動運転システム、ADS30を含む車両10の制御システム38を示し、制御システム38は、メモリ44と、コンピュータプログラムコードと、1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路42とを備える。コンピュータプログラムコードは、1つまたは複数のプロセッサおよび/または処理回路42によってメモリ44からロードされ、実行されたときに、方法100の開示する実施形態のうちの1つを制御システムに実行させる。そのような制御システムを備える車両は、したがって、方法100の開示する実施形態のうちの1つを実行するようにも構成される。
【0079】
制御システムのいくつかの実施形態では(およびそのような制御システムを含む車両のいくつかの実施形態でも)、上記で説明した方法実施形態のうちの1つなどの方法実施形態は、本明細書で開示する方法100の実施形態の機能と行為とを実行するためのコンピュータプログラムコードと一緒に、
図11に制御ユニット38として示されている車両制御システム中のプロセッサまたは処理回路42など、1つまたは複数のプロセッサを通して少なくとも部分的に実装され得る。
【0080】
図11において、制御システム38は、感知サブシステム32aと知覚サブシステム32bと決定サブシステム32cとを含むADS30を含み、感覚データと、環境データおよびロケーションデータなどの他のデータとを受信し、方法100の実施形態を実装するためにこれを処理する。
【0081】
方法100を実装した後に、ADSは、車両動作を制御するために任意の適切なアクチュエータ信号を処理し、生成するための戦術的決定データを制御システムに送る。ADS30は、制御システム30の一部であるとして
図11に示されている、言い換えれば、ADSによって使用される支援構成要素と機能とのうちのいくつかは制御システム38によっても使用される。他の実施形態では、しかしながら、ADSは、それが別個の支援構成要素と機能とを使用するという意味で制御システム38とは別個であり得、その場合、ADS30によって行われたいずれかの戦術的決定についての情報が、さらなる処理のために、適切な場合、車両動作を制御するためのアクチュエータ信号の生成を引き起こすために制御システム38に送られ得るように、ADS30と制御システム38との間に好適なデータインターフェースが与えられ得る。
【0082】
上記で手短に述べたように、上述のプログラムコードはまた、例えば、制御ユニット38中のプロセッサまたは処理回路42にロードされたときに本明細書の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコードまたはコード手段を伝えるデータキャリアの形態のコンピュータプログラム製品として与えられ得る。
【0083】
データキャリアまたはコンピュータ可読媒体は、電子信号、光信号、無線信号またはコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つであり得る。コンピュータプログラムコードは、例えば、制御ユニット38中にまたはサーバ上で純粋なプログラムコードとして与えられ、制御ユニット38にダウンロードされ得る。
【0084】
したがって、制御ユニット38の機能は、いくつかの実施形態では、プロセッサまたは処理モジュール、例えば
図11の制御ユニット38中の処理回路42による実行のために、メモリ44、例えば、コンピュータ可読記憶ユニットに記憶されたコンピュータプログラムとして実装され得ることに留意されたい。
【0085】
自律車両10を動作させるための方法行為を実行するために、制御ユニット38は、制御ユニット38が少なくとも1つのアンテナ40を介して通信するように構成された、
図11の概略ブロック図に示された特徴を有し得る。また、
図11に示されていないが、例えば、動力源、例えばバッテリーへの接続、または車両12の動きを制御するためのブレーキまたはステアリングシステム、例えばオンボードアクチュエータまたはセンサーへの接続など、制御ユニット38の知られている従来の特徴は、制御ユニット38中に含められると仮定され得るが、
図4に関して示されてもおらず、それ以上詳細には説明されてもいないことに留意されたい。制御ユニット38は、上述のように、処理回路42とメモリ44とを備え得る。また、上記の実施形態において制御ユニット38によって実行されるとして説明された機能のいくつかまたはすべては、例えば、
図11に示されたメモリ44など、コンピュータ可読媒体上に記憶された命令を実行する処理回路42によって与えられ得ることに留意されたい。
【0086】
制御ユニット68の代替実施形態は、例えば、少なくとも決定モジュール46、再評価モジュール48、オペレーティングシステムモジュール50など、追加の構成要素を備え得、それにより、各モジュールは、本明細書で説明する実施形態をサポートするためにそれの専用機能を与えることのために構成され、そのことを担当し得る。これらのモジュールは、制御システムのみによって使用されるか、または、いくつかの実施形態では、車両ADSと共有され得る。
【0087】
制御ユニット38および/または処理回路42が、ADSを与えるように構成されたかまたはそのように構成可能な構成要素を含む場合、それらの構成要素は、予期しない事象の発生に応答して安全な軌道がないことを決定する114決定モジュール46、および予期しない事象の発生に応答して、現在の軌道が安全基準の現在のセットを満たすかどうかを動的に再評価する116再評価モジュール48、ならびに、車両が予測可能な挙動を有することができるように、再評価された軌道の現在の経路が車両で維持されるべきであることを決定する決定モジュール46または別の決定モジュールを含み得る。決定モジュール46または別のモジュールは、すべての他の前の安全基準を維持しながら、現在の軌道を再評価するために使用された安全基準から事象の発生の1つまたは複数の結果を削除することによって、これを実行し得る。
【0088】
したがって、制御ユニット38および/または処理回路42がADS30を備えるいくつかの実施形態では、方法100は、ランタイムに車両ADS30によって実行され、すべての他の前の安全基準は、前のADSランタイム期から現在のADSランタイム期までの安全基準を含む。
【0089】
事象の発生の結果のうちの1つまたは複数は、オフラインで事前決定され、および/または、いくつかの実施形態では、オンボードで車両を動的に評価し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、事前決定された1つまたは複数の結果は、予期しない事象のタイプについての1つまたは複数の予測される結末のセットに関連付けられる。予測される結末のセットは、いくつかの実施形態では、現在の軌道を維持または変更するためのルールのセットに関連付けられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、制御ユニット38または処理回路42は、ADSランタイムの前のインスタンスにおける現在の軌道についての情報から決定された1つまたは複数の予測される結末のセットの安全な結末に関連付けられたルールのセットを使用することによって安全基準を再評価するときに、事象の1つまたは複数の結果を削除するように構成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、安全な軌道がないと決定したことに応答して、本方法は、制御ユニット38または処理回路42が、車両のADSのための制御オプションの利用可能なセットを、予測される結末に向けて、車両を制御するために行使するためのADSのためのオプションの許容されるセットまで、ランタイム中に低減することをさらに含む。いくつかの実施形態では、利用可能な制御オプションの低減されたセットを行使することは、車両を、予期しない事象より前の予測される挙動と異なる予測可能な挙動で、現在の軌道に沿って継続して進ませる。異なる予測される挙動は、車両速度を遅くすることが予測される挙動を含み得る。例えば、異なる予測される挙動は、ブレーキをかけることと、低速ギアを入れることによってエンジンを減速することと、左右に方向転換することとのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、制御ユニット38または処理回路42は、後続のADSランタイム期中に後続の安全基準に対して軌道を再評価し、結果として、軌道が後続の安全基準を満たすように構成される。事象は、単独の予期しない事象のタイプであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、制御ユニット38または処理回路42のADS30は、現在の再評価された軌道が、車両が予測可能な挙動を有した状態で維持されるべきであることを決定したことに応答して、車両の制御ユニットに命令を送るように構成される。
【0095】
当業者はまた、上記で説明した処理回路42およびメモリまたはコンピュータ可読記憶ユニット44は、アナログ回路とデジタル回路との組合せ、ならびに/あるいは、処理回路44などの1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに上記で説明したように実行する、例えばメモリに記憶されたソフトウェアおよび/またはファームウェアを用いて構成された1つまたは複数のプロセッサを指し得ることを理解するであろう。これらのプロセッサのうちの1つまたは複数、ならびに他のデジタルハードウェアは単一の特定用途向け集積回路(ASIC)またはいくつかのプロセッサ中に含まれ得、様々なデジタルハードウェアが、個々にパッケージされるにせよ、システムオンチップ(SoC)中にアセンブルされるにせよ、いくつかの別個の構成要素間に分散され得る。
【0096】
制御ユニット38はまた、車両12が1つまたは複数の通信チャネルを介してリモートエンティティと、例えば、サイトバックオフィスと通信するために、信号がアンテナ40を介してどのようにワイヤレスで送られるかを制御することを含むか、または制御することが可能である。
【0097】
通信チャネルは、例えば、ワイヤレス通信をサポートするセルラーネットワークまたは衛星ネットワークを介した、ポイントツーポイントまたはネットワークであり得る。ワイヤレス通信は、限定はしないが、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(エッジ)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11gおよび/またはIEEE802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メールのためのプロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(ポップ))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能なメッセージングおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージングおよびプレゼンスレバレッジング拡張のためのセッション開始プロトコル(SIMPLE)、および/またはインスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS))、および/またはショートメッセージサービス(SMS))、または、本文書の出願日の時点においてまだ開発されていない通信プロトコルを含む任意の他の好適な通信プロトコルを含む、1つまたは複数のパブリックまたはプロプライエタリ通信規格、プロトコルおよび/または技術に準拠し得る。
【0098】
車両のオペレーティングシステムは、さらに、一般的なシステムタスク(例えば、メモリ管理、記憶デバイス制御、電力管理など)を制御し、管理するための様々なソフトウェア構成要素および/またはドライバを有し得、オペレーティングソフトウェアモジュール50に加えて様々なハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素間の通信を促進する。
【0099】
ブロック図および/またはフローチャートの形態の図面を参照しながら開示する技術について説明する場合、図面中のいくつかのエンティティ、例えば、ブロック図のブロック、また、図面中のエンティティの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装され得、それらの命令は、コンピュータ可読メモリに記憶され、また、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードされ得ることを理解されたい。そのようなコンピュータプログラム命令は、コンピュータおよび/または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、ブロック図および/またはフローチャートブロックまたはブロック中に指定された機能/行為を実装するための手段を作成するように、機械を製造するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータおよび/または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに与えられ得る。
【0100】
いくつかの実装形態では、および本開示のいくつかの態様によれば、ブロック中に記載された機能またはステップは、動作説明に記載されている順序を外れて行われ得る。例えば、連続して示された2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行されるか、またはブロックは、時々、関与する機能/行為に応じて逆の順序で実行され得る。また、ブロック中に記載された機能またはステップは、本開示のいくつかの態様によれば、ループ中で連続的に実行され得る。
【0101】
開示した技術については、図示されている例示的な実施形態を含む1つまたは複数の例示的な実施形態の形態で説明したが、網羅的なものではなく、説明された例示的な実施形態への変更および変形は、本明細書で開示した例示的な実施形態に鑑みて、その共通の一般的な知識に基づいて当業者に明らかになろう。本明細書で説明した例示的な実施形態の特徴は、上記の態様のうちの1つのコンテキストにおいてのみ説明されている場合でも、他の例示的な実施形態からの特徴と適切に組み合わせられ得、適切な場合、異なる方法、装置、モジュール、システム、およびコンピュータプログラム製品において使用され得る。
【0102】
「備える」という単語は、必ずしも、記載されたもの以外の要素、特徴、機能、またはステップの存在を除外するとは限らず、要素に先行する「a」または「an」という単語は、複数のそのような要素、特徴、機能、またはステップの存在を除外しないことに留意されたい。さらに、如何なる参照符号も特許請求の範囲を限定しないこと、例示的な実施形態はハードウェアとソフトウェアの両方によって少なくとも部分的に実装され得ること、およびいくつかの「手段」、「ユニット」または「デバイス」はハードウェアの同じアイテムによって表され得ることに留意されたい。
【0103】
本明細書で説明した様々な例示的な実施形態は、方法の一般的なコンテキストにおいて説明され、要素、機能、ステップまたはプロセスに関し得、それらのうちの1つまたは複数またはすべては、一態様では、ネットワーク化された環境においてコンピュータによって実行される、プログラムコードなど、コンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ可読媒体中で実施されるコンピュータプログラム製品によって実装され得る。
【0104】
コンピュータ可読媒体は、限定はしないが、読取り専用メモリ(ROM)、スタティックRAM、SRAM、またはダイナミックRAM、DRAMであり得るランダムアクセスメモリ、RAM)を含むリムーバブルおよび非リムーバブル記憶デバイスを含み得る。ROMは、プログラマブルROM、PROM、またはEPROM、消去可能プログラマブルROM、または電気的消去可能プログラマブルROM、EEPROMであり得る。メモリのための好適な記憶構成要素は、プリント回路板、あるいは1つまたは複数のプロセッサまたは処理モジュールと接続された他の基板にチップとして一体化されるか、あるいは、例えば、(USBスティックとしても知られる)フラッシュメモリ、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、および任意の他の好適な形態のメモリによってリムーバブル構成要素として与えられ得る。目下の適用例のために不適でない限り、メモリはまた、様々な形態のメモリおよび記憶構成要素にわたって分配され得、クラウドベースの記憶ソリューションによって与えられ得るなど、1つまたは複数のサーバ上にリモートで与えられ得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含み得る。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書で開示した方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。そのような実行可能命令または関連するデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップまたはプロセスにおいて記述された機能を実装するための対応する行為の例を表す。
【0105】
いずれかの装置によって使用されるメモリは、本明細書で説明した電子装置のそれの形態がどんなものであっても、したがって、任意の好適なデバイス可読および/または書込み可能媒体を含み、それの例は、限定はしないが、永続ストレージ、固体メモリ、リモートで取り付けられたメモリ、磁気媒体、光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブル記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ、コンパクトディスク(CD)またはデジタルビデオディスク(DVD))、ならびに/あるいは、処理回路によって使用され得る情報、データおよび/または命令を記憶する任意の他の揮発性または不揮発性の非一時的デバイス可読および/またはコンピュータ実行可能メモリデバイスを含む任意の形態の揮発性または不揮発性のコンピュータ可読メモリを含むが、それらに限定されない。メモリは、コンピュータプログラム、ソフトウェア、論理、ルール、コード、テーブルなどのうちの1つまたは複数を含むアプリケーション、および/または処理回路によって実行され、どんな形態の電子装置であっても装置によって利用されることが可能な他の命令を含む、任意の好適な命令、データまたは情報を記憶し得る。メモリは、処理回路によって行われる任意の計算、および/またはユーザもしくは通信もしくは他のタイプのデータインターフェースを介して受信される任意のデータを記憶するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処理回路とメモリとは一体化される。メモリはまた、1つまたは複数のシステムまたは装置構成要素の間に分散させられ得る。例えば、メモリは、いくつかの実施形態では、他のネットワークノード上に位置するモジュールを含む、複数の異なるメモリモジュールを備え得る。
【0106】
図面および明細書において、本開示の例示的な態様を開示した。しかしながら、添付の特許請求の範囲内に入るこれらの態様に対して多くの変形および変更が行われ得る。したがって、本開示は、上記で説明した態様および実施形態の特定の例に限定されない特許請求の範囲をサポートすることに関して、限定的ではなく例示的なものであると見なされるべきである。上記で説明した様々な態様と実施形態とによって本明細書で例示された本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲を有する。
【外国語明細書】