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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094595
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】流体バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20230628BHJP
   H01F 7/14 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
H01F7/14 D
H01F7/14 E
H01F7/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205174
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21217232.4
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522166851
【氏名又は名称】アーファウエス インジェニエーア ヨット ツェー レーマー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ライナー フィッシュ
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA08
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB33
3H106DC05
3H106DC18
3H106DD03
3H106DD12
3H106EE22
3H106EE34
3H106JJ02
3H106JJ03
5E048AB01
5E048AD18
5E048CA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低い切り替え電流で改善された切り替え動作を可能にする流体バルブを提供すること。
【解決手段】バルブ閉鎖体8のための磁気駆動ユニット2を備える流体バルブに関し、駆動ユニット2は、コア3と、コア3を部分的に取り囲むコイル4と、コイル4の通電及び結果としての磁気力によって枢動軸SAの周りを枢動可能なアーマチュア5とを有し、バルブ閉鎖体8は、アーマチュア5と作動的に結合され、アーマチュア5の枢動によって枢動軸SVの周りを枢動可能であり、少なくとも第1及び第2の枢動位置に位置付けることができ、バルブ閉鎖体8は、第1及び第2の脚部8.1、8.2を有し、第1の脚部8.1は、少なくとも1つの流路を有するバルブハウジング9の中に延び、第2の脚部8.2は、第1の脚部8.1から所定の角度で横方向に突出してアーマチュア5との作動的な結合を確立する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ閉鎖体(8)のための磁気駆動ユニット(2)を備える流体バルブであって、
前記駆動ユニット(2)は、コア(3)と、前記コア(3)を部分的に取り囲むコイル(4)と、前記コイル(4)の通電及び結果としての磁気力によって枢動軸(SA)の周りを枢動可能なアーマチュア(5)とを有し、
前記バルブ閉鎖体(8)は、前記アーマチュア(5)と作動的に結合され、前記アーマチュア(5)の枢動によって枢動軸(SV)の周りを枢動可能であり、少なくとも第1及び第2の枢動位置に位置付けることができ、
前記バルブ閉鎖体(8)は、第1及び第2の脚部(8.1、8.2)を有し、前記第1の脚部(8.1)は、少なくとも1つの流路を有するバルブハウジング(9)の中に延び、前記第2の脚部(8.2)は、前記第1の脚部(8.1)から所定の角度で横方向に突出して前記アーマチュア(5)との作動的な結合を確立する、流体バルブ。
【請求項2】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)よりも長い、請求項1に記載の流体バルブ。
【請求項3】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)より少なくとも1.5倍長い、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項4】
前記第2の脚部(8.2)は、長手方向軸(LA)に沿って前記アーマチュア(5)の部分的長さに広がる、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項5】
前記第2の脚部(8.2)は、前記バルブ閉鎖体(8)の枢動軸(SV)から、前記アーマチュア(5)の枢動軸(SA)から離れる前記アーマチュア(5)の側の方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項6】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)に対して垂直又は実質的に垂直に延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項7】
前記バルブ閉鎖体(8)の前記枢動軸(SV)は、前記第1及び第2の脚部(8.1、8.2)の間の移行領域に配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項8】
前記アーマチュア(5)は、前記駆動ユニット(2)によって前記第1及び第2の枢動位置の間で移動可能であり、前記第1及び第2の枢動位置の間の角度は5°以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項9】
前記コア(3)は、U字形であり、磁極面(3.1、3.1’)のペアを有し、前記アーマチュア(5)は、前記磁極面(3.1、3.1’)のペアをまたぐように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項10】
前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)は、前記コア(3)の前記磁極面(3.1、3.1’)が配置される平面と平行に延在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項11】
前記アーマチュア(5)は、通電状態において、前記磁極面(3.1’)に向かう第1の枢動位置に枢動すると共に、非通電状態において、前記アーマチュア(5)の前記長手方向軸(LA)が前記磁極面(3.1、3.1’)の平面から斜めに突出する第2の枢動位置に位置決めされるように、前記コア(3)の前記磁極面(3.1、3.1’)が配置される平面に対して枢動することができる、請求項1から10のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項12】
前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)は、前記アーマチュア(5)の第1の自由端に設けられ、前記バルブ閉鎖体(8)の前記第2の脚部(8・2)の自由端は、前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)の反対側にある前記アーマチュア(5)の第2の自由端に結合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項13】
前記アーマチュア(5)は、前記第2の自由端の領域において、前記バルブ閉鎖体(8)のための連結部(5.4)を有し、前記連結部(5.4)は、前記コア(3)から外方に面する前記アーマチュア(5)の後側(5b)で突出する前記アーマチュア(5)の突出部に設けられている、請求項1から12のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【請求項14】
前記連結部(5.4)は、前記バルブ閉鎖体(8)の自由端のための支持体を形成し、前記バルブ閉鎖体(8)の前記自由端は、前記連結部(5.4)に枢動可能に保持されている、請求項13に記載の流体バルブ。
【請求項15】
前記アーマチュア(5)の枢動可能性は、前記磁気駆動ユニット(2)の通電状態及び非通電状態の両方において、前記バルブハウジング(9)内の前記バルブ閉鎖体(8)の枢動範囲によって制限される、請求項1から14のいずれか一項に記載の流体バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ閉鎖体を動かすことができる磁気駆動ユニットを有する流体バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気駆動ユニットを有する流体バルブはすでに知られている。詳細には、アーマチュアが磁界の印加によって直線的に移動する、すなわち変位する流体バルブは知られている。この直線運動は、バルブ閉鎖体の枢動運動に変換される。バルブ閉鎖体の枢動運動に応じて、流体バルブの流路が解放又は閉鎖される。
【0003】
公知の流体バルブの主たる欠点は、バルブの構造に起因して、コイルの磁場によってアーマチュアに作用する力の印加が小さいので、流体バルブを切り替えることができるようにするために、コイルを通る比較的大きな電流が必要である点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、低い切り替え電流で改善された切り替え動作を可能にする流体バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項1の特徴を備える流体バルブによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
第1の態様では、バルブ閉鎖体のための磁気駆動ユニットを備える流体バルブが開示される。駆動ユニットは、コアと、コアを部分的に取り囲むコイルと、コイルの通電及び結果としての磁気力によって枢動軸の周りを枢動可能なアーマチュアとを有し、バルブ閉鎖体は、アーマチュアと作動的に結合され、アーマチュアの枢動によって枢動軸の周りを枢動可能であり、少なくとも第1及び第2の枢動位置に位置付けることができ、バルブ閉鎖体は、第1及び第2の脚部を有し、第1の脚部は、少なくとも1つの流路を有するバルブハウジングの中に延び、第2の脚部は、第1の脚部から所定の角度で横方向に突出してアーマチュアとの作動的な結合を確立する。
【0007】
流体バルブの技術的利点は、アーマチュアとそれに結合されたバルブ閉鎖体の枢動可能性に起因して、アーマチュアの直線変位と比較して低い切り替え電流が必要となるので、流体バルブの改善された切り替え動作が達成されることである。バルブ閉鎖体の角度設計に起因して、バルブ閉鎖体のアーマチュアへの場所を取らない結合及び同時に高い力の導入を達成することができる。
【0008】
1つの例示的な実施形態によれば、第1の脚部は、第2の脚部よりも長い。これは、第1の脚部のストローク又は枢動移動距離が第2の脚部のストローク又は枢動移動距離よりも長いことを保証する。その結果、アーマチュアの枢動角又はストロークが小さいにもかかわらず、第1の脚部の自由端のストローク又は枢動移動距離が長くなり、結果的に、流体バルブの切り替え動作を改善することができる。
【0009】
1つの例示的な実施形態では、第1の脚部は、第2の脚部よりも少なくとも1.5倍長い。詳細には、第1の脚部と第2の脚部との間の長さ比率は、1.5と2との間である。長さの比率をこのように寸法決めすることによって、十分に良好な切り替え動作と、バルブ閉鎖体のコンパクトな設計及び高い閉鎖力とを同時に達成することができる。
【0010】
1つの例示的な実施形態では、第2の脚部は、その長手方向軸線に沿ってアーマチュアの部分的長さに広がる。これにより、バルブ閉鎖体の枢動軸がアーマチュアの中央領域に配置され、第2の脚部によって、バルブ閉鎖体をアーマチュアの自由端に結合することができる。
【0011】
1つの例示的な実施形態によれば、第2の脚部は、バルブ閉鎖体の枢動軸から、アーマチュアの枢動軸から離れるアーマチュアの側の方向に延びる。その結果、バルブ閉鎖体は、アーマチュアが枢動した場合の最大のストロークを遂行するアーマチュア領域に結合することができる。
【0012】
1つの例示的な実施形態では、第1の脚部は、第2の脚部から直角又は実質的に直角に突出する。その結果、バルブハウジングの上でもたらされるアーマチュアの枢動運動を、それに対して直角又は実質的に直角に向けられるバルブ閉鎖体の第1の脚部の枢動運動へ変換することを実現することができる。
【0013】
1つの例示的な実施形態では、バルブ閉鎖体の枢動軸は、第1の脚部と第2の脚部との間の移行領域に配置される。その結果、アーマチュアの枢動運動のバルブ閉鎖体の枢動運動への有利な変換を実現することができる。
【0014】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアは、駆動ユニットによって第1の枢動位置と第2の枢動位置との間で移動することができ、第1の枢動位置と第2の枢動位置との間の角度は5°以下である。アーマチュアのこの小さな角度ストロークにより、アーマチュアがコアの磁極面から離れて枢動される場合であっても、アーマチュアへの高い力の導入が可能となる。その結果、アーマチュアとコアの磁極面との間の距離が小さいことに起因して、アーマチュアがコアから離れるように枢動した状態でも高い力が導入されるので、流体バルブを切り替えるために必要なコイルを流れる電流は小さくなる。
【0015】
1つの例示的な実施形態では、コアは、U字形であり、磁極面のペアを有する。アーマチュアは、ここでは、磁極面のペアをまたぐように設計されている。好ましくは、コイルが通電された場合のアーマチュアの枢動は、磁極面の間の磁気回路を閉じる。アーマチュアが磁極面を横切って延びることにより、アーマチュアに高い力が加えられ、この力は、バルブ閉鎖体を枢動させるために使用される。
【0016】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアの枢動軸は、コアの磁気面が配置される平面と平行に延在する。アーマチュアの枢動軸は、アーマチュアの長手方向軸の方向で見て、アーマチュアの長手方向軸の方向で見て一方が他方の上に配置されている、磁極面のペアの下にあることが好ましい。これにより、アーマチュアは磁極面の平面に対して枢動することができ、それによって、コイルが通電された場合に磁気回路が閉じる。
【0017】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアは、通電されると、磁極面に向かう第1の枢動位置に枢動すると共に、非通電になると、アーマチュアの長手方向軸が磁極面の平面から斜めに突出する第2の枢動位置に位置決めされるように、コアの磁極面が配置される平面に対して枢動することができる。平面から外への枢動は、好ましくは、コイルに電流が印加されたときに変形するばねのばね力によって行われる。第1の枢動位置において、アーマチュアは、好ましくは、磁極面から小さな距離、例えば1mm未満、詳細には0.5mm未満だけ離れている、すなわち磁極面に対して直接的な当接は存在しない。第1の枢動位置では、磁気回路は閉じられる。第2の枢動位置では、磁極面からの(詳細には最も遠い磁極面からの)アーマチュアの距離は、最大で5mm、詳細には4mm、3mm、又は2mm、より好ましくは1mm以下、例えば0.8mm又は実質的に0.8mmである。枢動運動の小さなストロークに起因して、アーマチュアへの高い力の導入、従って高い作動力が発生する。
【0018】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアの枢動軸は、アーマチュアの第1の自由端に設けられ、バルブ閉鎖体の第2の脚部の自由端は、アーマチュアの枢動軸の反対側に位置するアーマチュアの第2の自由端に結合される。これにより、アーマチュア領域が、最大のストローク又は枢動移動を行うバルブ閉鎖体に結合されるので、アーマチュアとバルブ閉鎖体との間の改善された機械的結合が提供される。
【0019】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアは、第2の自由端の領域においてバルブ閉鎖体のための連結部を備える。連結部は、アーマチュアの突出部に設けられ、突出部は、コアから離れる方向に面するアーマチュアの後側から突出する。その結果、連結部は、アーマチュアからバルブハウジングの方向に突出し、その中にバルブ閉鎖体の少なくとも一部が突出する。従って、バルブ閉鎖体に対するアーマチュアの場所を取らない結合を実現することができる。
【0020】
1つの例示的な実施形態によれば、連結部は、バルブ閉鎖体の自由端のための支持体を形成し、バルブ閉鎖体の自由端は、連結部に枢動可能に保持される。連結部は、バルブ閉鎖体がアーマチュアと作動的に結合されるように構成されているので、アーマチュアの枢動はバルブ閉鎖体の枢動を引き起こすが、バルブ閉鎖体自体もアーマチュアに対して枢動することができる。アーマチュアの枢動点は、例えば、断面がフック状であり、バルブ閉鎖体の自由端と枢動継手部位を形成することができる。このようにして、アーマチュアからバルブ閉鎖体へ力を伝達することができ、同時にアーマチュアはバルブ閉鎖体に対して枢動することができる。
【0021】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアの枢動可能性は、磁気駆動ユニットの通電状態及び非通電状態の両方において、バルブハウジング内のバルブ閉鎖体の枢動範囲により制限される。換言すれば、アーマチュアの枢動運動は、アーマチュアが流体バルブの周囲の構成要素に対して突き当たることによって制限されないが、アーマチュアは、バルブ閉鎖体によってその枢動可能性が間接的に制限される。その結果、アーマチュアの揺動移動量を調整する必要がなく、流体バルブの製造コストを削減することができる。
【0022】
本発明の意味において、「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」又は「おおよそ(about)」という表現は、それぞれの正確な値から±10%、好ましくは±5%の偏差及び/又は機能にとって重要ではない変化の形態での偏差を意味する。
【0023】
本発明のさらなる進展、利点、及び可能性のある用途は、例示的な実施形態の以下の説明及び図面に由来する。これに関連して、説明及び/又は図示された全ての特徴は、原則として、特許請求の範囲の概要又はそれらの後方参照に関係なく、個別に又は何らかの組み合わせで本発明の主題である。また、特許請求の範囲の内容は、本明細書の一部とされる。
【0024】
本発明は、例示的な実施形態によって図面を参照して詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】例示的に第1の切り替え状態を有する流体バルブを通る縦断面を示す。
図2】例示的に第2の切り替え状態を有する流体バルブを通る縦断面を示す。
図3】例示的にバルブ閉鎖体の側面図を示す。
図4】例示的にバルブ閉鎖体の斜視図を示す。
図5】例示的にバルブ閉鎖体の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図2は、例示的に及び概略的に、流体バルブ1を中心とする縦断面図を示し、各図面は、流体バルブ1の切り替え位置が異なるだけである。
【0027】
流体バルブ1は、バルブ閉鎖体8のための駆動ユニット2と、少なくとも1つの流路が設けられたバルブハウジング9とを備える。バルブ閉鎖体8は、バルブハウジング9の中に延び、駆動ユニット2に結合されており、バルブ閉鎖体8は、駆動ユニット2によって動かすことができるように、詳細には枢動させることができるようになっている。詳細には、バルブ閉鎖体8は、枢動位置に応じてバルブ開口を解放又は閉鎖するために、第1及び第2の枢動位置を取ることができる。例えば、図1は、ポート1.2及び1.3が互いに流体接続されている第1の枢動位置を示し、図2は、ポート1.1及び1.3が互いに流体接続されている、流体バルブ1の第2の枢動位置を示す。
【0028】
図示の例示的な実施形態では、バルブハウジング9は、3つのポート1.1、1.2、1.3を備え、ポートのペアは、バルブ閉鎖体8の枢動位置に応じて、その都度、互いに流体接続される。しかしながら、これとは異なり、流体バルブ1は、2つのポートのみを有することもでき、ポートの間の流体接続は、バルブ閉鎖体8の枢動位置に応じて、解放されるか又は解放されない。
【0029】
流体バルブ1は、以下の機能を有する。すなわち、駆動ユニット2は、アーマチュア5の枢動位置に影響を与えるように設計されている。駆動ユニット2は、例えば、電磁駆動ユニットである、すなわち、駆動ユニットのコイル4が通電されると、磁気力が発生し、これによってアーマチュア5が第2の枢動位置(図2参照)から第1の枢動位置へ移動する。この第1の枢動位置は、図1に示されており、第2の枢動位置は図2に示されている。アーマチャは、コイル4が通電さている限りこの第1の枢動位置に保持される。好ましくは、アーマチュア5は、コイル4を通る電流が終了した後に第2の枢動位置に戻されるように、ばね7によって付勢される。
【0030】
図1に示すように、バルブ閉鎖体8は、バルブ閉鎖体8がアーマチュア5によって動かされる、詳細には枢動されるような方法でアーマチュア5と結合される。詳細には、バルブ閉鎖体8は、アーマチュア5の枢動位置に応じてバルブハウジング9内で第1又は第2の枢動位置を取り、結果として、バルブ位置を規定する、又は流路の解放又は閉鎖を規定する。詳細には、シーリングダイアフラム10は、バルブハウジング9の中に延びるバルブ閉鎖体8の部分を取り囲んでいる。このシーリングダイアフラム10は、バルブ閉鎖体8の枢動位置に応じて流路が選択的に開放又は閉鎖されるように、枢動位置に応じてバルブ閉鎖体8によってバルブハウジング9のバルブシートに押し付けられる。
【0031】
駆動ユニット2は、本体6を備える。本体6は、駆動ユニット2の支持基本構造を形成する。好ましくは、これは、射出成形部品として、詳細にはプラスチック射出成形部品として設計される。本体6は、コイル4のための管状又は実質的に管状の支持部を有する。支持部内には第1の挿入口が形成されており、その中には、U字形コア3の脚部を挿入することができる。
【0032】
また、本体6は、アーマチュア支持部6.1を備える。このアーマチュア支持部6.1は、コイル4の支持部に直接隣接し、アーマチュア5を枢動可能に取り付けるように設計されている。アーマチュア支持部6.1は、箱状、詳細には矩形の箱状構造であり、下部領域と複数の壁領域とを有している。壁領域は、下部領域に結合され、下部領域を周方向に取り囲み、下部領域から、コイル4から外方に面する側に突出する。
【0033】
下部領域には第2の挿入口が設けられており、この挿入口にはU字形コア3の第2の脚部を挿入することができる。従って、U字形コア3はヨーク形状であり、コア3の1つの脚部はコイル4によって取り囲まれており、コイル4が通電されると、コア3と、コア3の磁極面3.1、3.1’にまたがるアーマチュア5とによって閉磁気回路が形成されるようになっている。
【0034】
アーマチュア5には、軸受部5.2が設けられている。軸受部5.2は軸受領域5.3を有し、これによって、アーマチュア5は、駆動ユニット2の本体6内に枢動可能に取り付けられる。アーマチュア5の枢動可能な取り付けにより、アーマチュア5は、上述した枢動位置、詳細には、アーマチュア5が磁極面3.1、3.1’に平行に延在する平面から外に枢動する第2の枢動位置(図2)と、アーマチュア5の長手方向軸LAが、コア3の磁極面3.1、3.1’が位置する平面に対して平行に又は実質的に平行に延在する又は磁極3.1、3.1’に向かって枢動する、第1の枢動位置(図1)とを取ることができる。
【0035】
好ましくは、第1の枢動位置におけるアーマチュア5の長手方向軸は、第2の枢動位置におけるアーマチュア5の長手方向軸と5°より小さい、詳細には4°、3°又は2°より小さい角度を包囲する。より好ましくは、角度は、1.8°より小さい。小さな枢動可能性に起因して、アーマチュア5と磁極面3.1、3.1’との間の空隙が小さいので、アーマチャが第2の枢動位置にある場合、すなわちコア3の磁極面3.1、3.1’から離れて枢動する場合でも、アーマチュア5への高い力伝達が達成される。
【0036】
軸受部5.2は、アーマチュア5の第1の自由端上に設けられている。軸受部5.2に設けられた軸受領域5.3は、好ましくは、軸受部5.2の外部に形成された滑り軸受領域を形成する。軸受領域5.3は、本体6に設けられた摺動回転軸受嵌合面6.1.1と相互作用する。ここでは、取り付け部5.2は、取り付け部5.2とアーマチュア支持部6.1との間に平面軸受が形成されるように、すなわちアーマチュア5の枢動軸方向の取り付けが達成されるよう軸受領域5.3が摺動回転軸受嵌合面6.1.1に当接するように、本体6のアーマチュアの係止支持部の中に挿入される。
【0037】
軸受部5.2の軸受領域5.3は、外周の断面が円弧形状である、すなわち湾曲した摺動面を形成する。軸受領域5.3は、軸受領域5.3と逆の形状を有するアーマチュア支持部6.1の凹状の滑り軸受嵌合面6.1.1と相互連結接触する。その結果、アーマチュア5は、コア3の磁極面3.1、3.1’が配置される平面と平行に延在する又はアーマチュア5の長手方向軸LAと垂直に延在する枢動軸SAの周りに回動することができる。これにより、アーマチュア5は、上部磁極面3.1に向かって、又はそこから離れて枢動することができる。
【0038】
アーマチュア5の軸受部5.2の反対側には、連結部(linking portion)5.4が設けられている。アーマチュア5は、この連結部5.4を介してバルブ閉鎖体8に結合されている。連結部5.4は、例えば、バルブ閉鎖体8の一部、詳細には自由端部が係合する凹部を有する。原理的には逆の設計も考えられる、すなわち、バルブ閉鎖体8が、連結部5.4の突出部が係合する凹部を有する設計である。連結部5.4を用いたアーマチュア5とバルブ閉鎖体8との間の結合は、詳細には、連結部5.4がバルブ閉鎖体8をアーマチュア5に対して枢動させることができるように設計されている。図示の例示的な実施形態では、これは、アーマチュア5とバルブ閉鎖体8との間の枢動継手のような結合によって達成される。
【0039】
連結部5.4は、例えば、アーマチュア5のフック形の突出部に設けられ、この突出部は、アーマチュア5の後側5bから突出している。後側5bは、コア3の磁極面3.1、3.1’に向かい合うアーマチュア5の前側5aの反対側ある。従って、バルブ閉鎖体8に対するアーマチュア5の場所を取らない結合を実現することができる。
【0040】
バルブ閉鎖体8は、以下でより詳細に説明される。ここでは、バルブ閉鎖体8は、図3から5において、その都度、単独位置かつ異なる図で示されている。
【0041】
詳細には、図3及び4から分かるように、バルブ閉鎖体8は、角度付き構造であり、第1及び第2の脚部8.1、8.2を有する。脚部8.1、8.2の長手方向軸は、例えば、互いに80°と100°との間の角度を囲む。詳細には、脚部8.1、8.2の長手方向軸の間の角度は、90°又は実質的に90°である。第1の脚部8.1はバルブハウジングの中に延びるように設計されている。第2の脚部8.2は、第1の脚部8.1から横方向に突出し、アーマチュア5の長手方向軸LAと実質的に平行に延在する。第2の脚部8.2の自由端は、アーマチュア5とバルブ閉鎖体8との間の機械的結合を構築するために、連結部分5.4を介してアーマチュア5に結合される。好ましくは、バルブ閉鎖体8は、第2の脚部8.2を用いてアーマチュア5に直接、すなわち追加の中間要素なしで結合される。
【0042】
第1及び第2の脚部8.1、8.2の間の移行領域において、バルブ閉鎖体8は、例えば、ボルトを挿入することができ、それによってバルブ閉鎖体8を駆動ユニット2内で枢動可能に保持するボア8.3を有する。従って、ボア8.3は、バルブ閉鎖体8の枢動軸SVを規定する。
【0043】
特に図3から分かるように、バルブ閉鎖体8の第1の脚部8.1は、第2の脚部8.2よりも長い。このことは、第1の脚部8.1の枢動移動距離が第2の脚部8.2の枢動移動距離よりも長いので、第1及び第2の枢動位置の間のアーマチュア5の小さなストロークであっても、第1の脚部8.1の自由端が大きなストロークを実行することを保証する。これは、バルブハウジングに形成されたバルブシートからの第1の脚部8.1の自由端の十分に大きな間隔をもたらす。
【0044】
第1の脚部8.1は、好ましくは、第2の脚部8.2の少なくとも1.5倍、詳細には少なくとも1.7倍の長さである。より好ましくは、比率は1.8又は実質的に1.8である。
【0045】
特に図4で明らかなように、脚部8.1、8.2は、異なる幅を有する。詳細には、第2の脚部8.2の幅b2は、第1の脚部8.1の幅b1よりも大きい。詳細には、バルブ閉鎖体8は、ボア8.3の領域において、第1の脚部8.1よりも幅広とすることもできる。第2の脚部8.2は第1の脚部8.1に比べて幅広なので、バルブ閉鎖体8のアーマチュア5への改善された結合が達成される。ボア8.3の領域におけるバルブ閉鎖体8の増加した幅は、駆動ユニット2におけるバルブ閉鎖体8の改善された取り付けをもたらす。
【0046】
好ましくは、アーマチュア5は、アーマチュア支持体6.1に停止部なしで保持される、すなわち、アーマチュア5の枢動運動は、第1の枢動位置又は第2の枢動位置のいずれにおいても、アーマチュア5を取り囲む構成要素に対して当接するアーマチュア部分によって制限されない。アーマチュア5の枢動運動は、むしろバルブ閉鎖体8によって制限され、バルブ閉鎖体8は、アーマチュア5の枢動位置に応じて、バルブハウジング9の当接面に対して当接するようになる。この接触面は、詳細には、バルブハウジング9に形成されたバルブシートとすることができる。コイル4を通って電流が流れる場合に想定されるアーマチュア5の第2の枢動位置においても、アーマチュア5は、磁極面3.1、3.1’から相隔たることに留意されたい。この距離は、アーマチュア5への高い力の伝達を達成するために、好ましくは1mm未満、詳細には0.5mm未満である。
【0047】
本発明は、例示的な実施形態を参照して上述されている。多くの修正例並びに変形例は、特許請求の範囲によって定義される保護範囲から離れることなく可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0048】
1 流体バルブ
1.1 ポート
1.2 ポート
1.3 ポート
2 駆動ユニット
3 コア
3.1、3.1’ 磁極面
4 コイル
5 アーマチャ
5a アーマチュアの前側
5b アーマチュアの後側
5.2 軸受部
5.3 軸受領域
5.4 連結部
6 本体
6.1 アーマチュア支持部
6.1.1 摺動回転軸受嵌合面
8 バルブ閉鎖体
8.1 第1の脚
8.2 第2の脚
8.3 ボア
9 バルブ本体
10 シーリングダイアフラム
LA アーマチュアの長手方向軸
SA アーマチュアの枢動軸
SV バルブ閉鎖体の枢動軸
b1 第1の脚部の幅
b2 第2の脚部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ閉鎖体(8)のための磁気駆動ユニット(2)を備える流体バルブであって、
前記駆動ユニット(2)は、コア(3)と、前記コア(3)を部分的に取り囲むコイル(4)と、前記コイル(4)の通電及び結果としての磁気力によって枢動軸(SA)の周りを枢動可能なアーマチュア(5)とを有し、
前記バルブ閉鎖体(8)は、前記アーマチュア(5)と作動的に結合され、前記アーマチュア(5)の枢動によって枢動軸(SV)の周りを枢動可能であり、少なくとも第1及び第2の枢動位置に位置付けることができ、
前記バルブ閉鎖体(8)は、第1及び第2の脚部(8.1、8.2)を有し、前記第1の脚部(8.1)は、少なくとも1つの流路を有するバルブハウジング(9)の中に延び、前記第2の脚部(8.2)は、前記第1の脚部(8.1)から所定の角度で横方向に突出して前記アーマチュア(5)との作動的な結合を確立する、流体バルブ。
【請求項2】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)よりも長い、請求項1に記載の流体バルブ。
【請求項3】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)より少なくとも1.5倍長い、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項4】
前記第2の脚部(8.2)は、長手方向軸(LA)に沿って前記アーマチュア(5)の部分的長さに広がる、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項5】
前記第2の脚部(8.2)は、前記バルブ閉鎖体(8)の枢動軸(SV)から、前記アーマチュア(5)の枢動軸(SA)から離れる前記アーマチュア(5)の側の方向に延びる、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項6】
前記第1の脚部(8.1)は、前記第2の脚部(8.2)に対して垂直又は実質的に垂直に延びる、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項7】
前記バルブ閉鎖体(8)の前記枢動軸(SV)は、前記第1及び第2の脚部(8.1、8.2)の間の移行領域に配置されている、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項8】
前記アーマチュア(5)は、前記駆動ユニット(2)によって前記第1及び第2の枢動位置の間で移動可能であり、前記第1及び第2の枢動位置の間の角度は5°以下である、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項9】
前記コア(3)は、U字形であり、磁極面(3.1、3.1’)のペアを有し、前記アーマチュア(5)は、前記磁極面(3.1、3.1’)のペアをまたぐように構成されている、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項10】
前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)は、前記コア(3)の前記磁極面(3.1、3.1’)が配置される平面と平行に延在する、請求項に記載の流体バルブ。
【請求項11】
前記アーマチュア(5)は、通電状態において、前記磁極面(3.1’)に向かう第1の枢動位置に枢動すると共に、非通電状態において、前記アーマチュア(5)の前記長手方向軸(LA)が前記磁極面(3.1、3.1’)の平面から斜めに突出する第2の枢動位置に位置決めされるように、前記コア(3)の前記磁極面(3.1、3.1’)が配置される平面に対して枢動することができる、請求項に記載の流体バルブ。
【請求項12】
前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)は、前記アーマチュア(5)の第1の自由端に設けられ、前記バルブ閉鎖体(8)の前記第2の脚部(8・2)の自由端は、前記アーマチュア(5)の前記枢動軸(SA)の反対側にある前記アーマチュア(5)の第2の自由端に結合される、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項13】
前記アーマチュア(5)は、前記第2の自由端の領域において、前記バルブ閉鎖体(8)のための連結部(5.4)を有し、前記連結部(5.4)は、前記コア(3)から外方に面する前記アーマチュア(5)の後側(5b)で突出する前記アーマチュア(5)の突出部に設けられている、請求項12に記載の流体バルブ。
【請求項14】
前記連結部(5.4)は、前記バルブ閉鎖体(8)の自由端のための支持体を形成し、前記バルブ閉鎖体(8)の前記自由端は、前記連結部(5.4)に枢動可能に保持されている、請求項13に記載の流体バルブ。
【請求項15】
前記アーマチュア(5)の枢動可能性は、前記磁気駆動ユニット(2)の通電状態及び非通電状態の両方において、前記バルブハウジング(9)内の前記バルブ閉鎖体(8)の枢動範囲によって制限される、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【外国語明細書】