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特開2023-94600アブレーションカテーテルアセンブリのためのカプラ、張力緩和ハブ、及びノーズピース、並びにそれらを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094600
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】アブレーションカテーテルアセンブリのためのカプラ、張力緩和ハブ、及びノーズピース、並びにそれらを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230628BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230628BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205261
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/293,469
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/056,580
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】オードリー・ブ
(72)【発明者】
【氏名】ルーズベ・ボルジャン
(72)【発明者】
【氏名】エスアール・プラサド
(72)【発明者】
【氏名】アナベル・ハロ
(72)【発明者】
【氏名】アミー・キム
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK12
4C160KK30
4C160KK54
4C160MM38
4C267AA06
4C267BB02
4C267BB30
4C267CC19
(57)【要約】
【課題】アブレーションカテーテルアセンブリのためのカプラ、ノーズピース、及び張力緩和ハブ、並びにそれらを使用する方法を提供すること。
【解決手段】開示された技術は、第1の部分と、第2の部分と、通気ポートと、を有する、カプラを有する医療用プローブを含むことができる。第2の部分は、第1の位置と第2の位置との間で摺動することができる。第1の位置にあるときに、通気ポートは、第1の部分によって少なくとも部分的に遮断することができ、第2の位置にあるときに、通気ポートは、第1の部分によって遮断されないようにすることができる。医療用プローブは、0.14インチ未満の外径を有するノーズピースと、ノーズピースを通って延在する開口部と、を含むことができる。開口部は、カテーテルを受容するようにサイズ決めすることができる。医療用プローブは、第1の部分及び第2の部分を有し、かつ医療用プローブのハンドルに結合されるように構成された張力緩和ハブを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
近位部分から遠位部分まで延在するハンドルと、
シャフトであって、前記ハンドルの前記遠位部分から延在し、かつ前記シャフトの遠位部分に配設されたバルーンの近位部分に結合されたシャフトと、
前記シャフトと前記バルーンの前記近位部分との間に配設されたカプラと、を備え、前記カプラが、
第1の部分を通って配設された第1の開口部を有する、前記第1の部分と、
前記第1の部分に摺動可能に結合され、かつ第2の部分を通って配設された第2の開口部を有する、前記第2の部分であって、前記第2の部分が、前記第1の部分内に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされ、前記第2の部分が、前記第1の部分に対して第1の位置と第2の位置との間で摺動するように構成されている、前記第2の部分と、
前記第2の部分の近位端部に近接する通気ポートであって、前記第2の部分が前記第1の位置にあるときに、前記通気ポートが前記第1の部分によって少なくとも部分的に遮断され、前記第2の部分が前記第2の位置にあるときに、前記通気ポートが前記第1の部分によって遮断されないように構成されている、通気ポートと、を備える、医療用プローブ。
【請求項2】
前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれかに所定の力が適用されない限り、前記第2の部分が前記第2の位置に移動することを防止するように構成されたばねを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記ばねが、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する、請求項2に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
第2のばねを更に備え、前記第2のばねが、前記第1のばねとは反対である前記カプラの側部に配設されている、請求項2に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記第2の部分の側部に沿って配設された中空チューブを更に備え、前記通気ポートが、前記中空チューブ内に配設されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記中空チューブが、前記第2の部分のほぼ遠位部分から前記第1の部分のほぼ遠位端部まで延在する、請求項5に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記中空チューブが、前記第2の部分が前記第2の位置にあるときに、前記医療用プローブのバルーンから流体が流れることを可能にするように構成されている、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記第1の部分が、前記医療用プローブのシースを受容するようにサイズ決めされており、
前記第2の部分が、前記医療用プローブのバルーン内に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
前記第2の部分が、前記医療用プローブの電極アセンブリのワイヤを受容するようにサイズ決めされた第3の開口部を更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルが前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通過することを可能にするようにサイズ決めされている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
前記第2の部分が、前記第2の部分が前記第1の部分から結合解除することを防止するように構成された隆起端部を更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記シャフトから前記バルーンの遠位部分まで延在するアクチュエータシャフトを更に備え、前記アクチュエータシャフトが、長手方向軸に沿って移動するように構成されており、前記バルーンの前記遠位部分においてノーズピースに結合されており、前記ノーズピースが、前記バルーンの前記遠位部分に結合されており、前記ノーズピースが、
前記バルーンの前記遠位部分に結合されるように構成された円筒形本体を備え、前記円筒形本体が、
3.556mm(0.14インチ)未満の外径と、
前記円筒形本体を通って前記円筒形本体の近位端部から前記円筒形本体の遠位端部まで延在する開口部であって、前記医療用プローブのカテーテルを受容するようにサイズ決めされた開口部と、を有する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記ノーズピースが、前記バルーンの前記遠位部分に近接して配設されたカプラと締まり嵌めを形成するように構成されたリッジを更に備える、請求項12に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
前記ノーズピースが、前記ノーズピースを通って前記円筒形本体の前記遠位部分から前記円筒形本体の前記近位端部まで延在する第2の開口部を更に備え、前記第2の開口部が、流体が前記医療用プローブのバルーンから前記第2の開口部を通過し、かつ前記円筒形本体の前記遠位端部から出ることを可能にするように構成されている、請求項12に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記ハンドルに結合された張力緩和ハブを更に備え、前記張力緩和ハブが、
前記医療用プローブの前記ハンドル内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分であって、前記第1の部分を通って延在する第1の開口部と、前記張力緩和ハブが前記ハンドルに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するために前記医療用プローブの前記ハンドルと相互作用するように構成された肩部と、を備える、第1の部分と、
第2の部分であって、前記第1の部分に取り付けられており、かつ前記第2の部分を通って延在する第2の開口部を備え、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルチューブを受容するように構成されており、前記第2の部分が、前記第1の部分の内径よりも小さい内径を有する、第2の部分と、を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記張力緩和ハブの前記第1の部分が、前記第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を更に備える、請求項15に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
医療用プローブのためのハンドルであって、
長手方向軸に沿って近位部分から遠位部分まで延在するハンドル本体であって、前記ハンドルが、他の構成要素が前記ハンドルを通過することを可能にするように構成されている、ハンドル本体と、
前記ハンドル本体の遠位部分に配設された張力緩和ハブと、を備え、前記張力緩和ハブが、
前記ハンドル本体内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分であって、前記第1の部分を通って延在する第1の開口部と、前記張力緩和ハブが前記ハンドル本体内で近位又は遠位に摺動することを防止するために前記ハンドル本体と相互作用するように構成された肩部と、を備える、第1の部分と、
第2の部分であって、前記第1の部分に取り付けられており、かつ前記第2の部分を通って延在する第2の開口部を備え、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルを受容するように構成されている、第2の部分と、を備える、ハンドル。
【請求項18】
前記第2の部分が、前記第1の部分に取り外し可能に取り付け可能であり、前記第1の部分を通過する前記カテーテルが前記第1の部分によって定位置に固定されるように、前記第2の部分が前記第1の部分に取り付けられるときに、前記第1の部分の内径を低減させるように構成されている、請求項17に記載のハンドル。
【請求項19】
前記第1の部分が、前記第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を更に備える、請求項17に記載のハンドル。
【請求項20】
前記第1の部分が、前記張力緩和ハブが前記ハンドル内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、前記医療用プローブの前記ハンドルと相互作用するように構成された第2の肩部を更に備える、請求項17に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスに関し、具体的には、ただし限定することなく、心臓組織をアブレーションするのに好適な電極を有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに発生する。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0003】
心臓組織を選択的にアブレーションすることが可能な医療用プローブは、典型的には、シャフトの遠位端部に配置された拡張可能な部材上に配設された電極を含む。シャフトは、患者のルーメン内に挿入され、心臓に誘導され、そこで、電極が、心臓組織をアブレーションするように配置され、通電されることができる。拡張可能な部材は、展開状態にあるときに所定の形状を形成するように構成された膨張可能なバルーン及び/又はスパインを含むことができるときがある。
【0004】
膨張可能なバルーンを利用する医療用プローブは、一般に、シャフト又はカテーテルを通して生理食塩水を注入して、バルーンを膨張させ、心臓組織がアブレーションされるべき位置に灌注を提供する。医療処置が完了するときに、操作者はバルーンを収縮させて、送達シースを通して、バルーンを引き抜くことができるようにしなければならない。生理食塩水が小さい灌注開口を通って膨張可能なバルーンから出るため、バルーンは収縮するのにいくらかの時間がかかる可能性がある。したがって、当該技術分野では、拡張可能な部材が送達シースを通して引き抜かれるときに、拡張可能な部材を迅速に排出することが可能である装置が必要とされている。
【0005】
追加的に、現在の医療用プローブは、医療処置を実行するために操作者によって把持及び操作されるハンドルを含む。これらのハンドルは、多くの場合、ハンドルを製造し組み立てることを困難にし得る多くの小さい部品を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当該技術分野では、医療用プローブを製造及び組み立てる全体的なコスト及び複雑さを低減するのを助ける、より少ない構成要素を有するハンドルが必要とされている。これら及び他の問題は、本明細書に開示された技術によって対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ハンドル、シャフト、バルーン、及びカプラを含む医療用プローブが提供される。ハンドルは、近位部分から遠位部分まで延在することができる。シャフトは、ハンドルの遠位部分から延在し、シャフトの遠位部分に配設されたバルーンの近位部分に結合され得る。
【0008】
カプラは、シャフトとバルーンの近位部分との間に配設され得る。カプラは、第1の部分を通って配設された第1の開口部を有する第1の部分と、第1の部分に摺動可能に結合され、かつ第2の部分を通って配設された第2の開口部を有する第2の部分と、を含むことができる。第2の部分は、第1の部分の中に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされ得る。第2の部分は、第1の部分に対して第1の位置と第2の位置との間で摺動するように構成され得る。
【0009】
カプラは、第2の部分の近位端部に近接した通気ポートを含むことができる。通気ポートは、第2の部分が第1の位置にあるときに、通気ポートが第1の部分によって少なくとも部分的に遮られ、第2の部分が第2の位置にあるときに、通気ポートが第1の部分によって遮られないように構成され得る。
【0010】
医療用プローブは、第1の部分又は第2の部分のいずれかに所定の力が加えられない限り、第2の部分が第2の位置に移動することを防止するように構成されたばねを更に含むことができる。ばねは、第1の部分と第2の部分との間に延在することができる。医療用プローブは、第1のばねと反対のカプラの側部に配設された第2のばねを含むことができる。
【0011】
医療用プローブは、第2の部分の側部に沿って配設された中空チューブを含むことができ、通気ポートは、中空チューブ内に配設され得る。中空チューブは、第2の部分のほぼ遠位部分から第1の部分のほぼ遠位端部まで延在することができる。中空チューブは、第2の部分が第2の位置にあるときに医療用プローブのバルーンから流体が流れることを可能にするように構成され得る。
【0012】
カプラの第1の部分は、医療用プローブのシースを受容するようにサイズ決めされ得、カプラの第2の部分は、医療用プローブのバルーン内に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされ得る。
【0013】
第2の部分は、医療用プローブの電極アセンブリのワイヤを受容するようにサイズ決めされた第3の開口部を含むことができる。
【0014】
カプラの第1の開口部及び第2の開口部は、軸方向に整列され、医療用プローブのカテーテルがそれらの開口部を通過することを可能にするようにサイズ決めされている。
【0015】
カプラの第2の部分は、第2の部分が第1の部分から結合解除することを防止するように構成された隆起端部を更に含むことができる。
【0016】
医療用プローブは、シャフトからバルーンの遠位部分まで延在するアクチュエータシャフトを含むことができる。アクチュエータシャフトは、長手方向軸に沿って移動するように構成され得る。アクチュエータシャフトは、バルーンの遠位部分においてノーズピースに結合され得、ノーズピースは、バルーンの遠位部分に結合され得る。ノーズピースは、バルーンカテーテルの遠位部分に結合されるように構成された円筒形本体を含むことができる。円筒形本体は、0.14インチ未満の外径を含み、円筒形本体を通って円筒形本体の近位端部から円筒形本体の遠位端部まで延在する開口部を含むことができる。開口部は、医療用プローブのカテーテルを受容するようにサイズ決めされ得る。いくつかの例では、ノーズピースの外径は約0.11インチである。
【0017】
ノーズピースは、ノーズピースの円筒形本体の遠位端部に近接した傾斜エンドピースを含むことができる。ノーズピースは、バルーンカテーテルの遠位部分に近接して配設されたカプラと締まり嵌めを形成するように構成されたリッジを含むことができる。ノーズピースは、ノーズピースを通って円筒形本体の遠位部分から円筒形本体の近位端部まで延在する第2の開口部を含むことができる。第2の開口部は、流体が医療用プローブのバルーンから第2の開口部を通過して円筒形本体の遠位端部から出ることを可能にするように構成され得る。
【0018】
ノーズピースは、開口部内へ内向きに延在し、かつアクチュエータシャフトが近位端部から遠位端部まで開口部を通過することを防止するように構成された肩部を含むことができる。肩部は、アクチュエータシャフトが開口部内に少なくとも部分的に延在することを可能にされるように配置され得る。
【0019】
医療用プローブは、ハンドルに結合された張力緩和ハブを含むことができる。張力緩和ハブは、医療用プローブのハンドル内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分を含むことができる。第1の部分は、第1の部分を通って延在する第1の開口部と、張力緩和ハブがハンドルに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するために、医療用プローブのハンドルと相互作用するように構成された肩部と、を含むことができる。
【0020】
張力緩和ハブは、第1の部分に取り付けられた第2の部分を含むことができ、第2の部分は、第2の部分を通って延在する第2の開口部を有する。第1の開口部及び第2の開口部は、軸方向に整列され、医療用プローブのカテーテルチューブを受容するように構成され得る。第2の部分は、第1の部分の内径よりも小さい内径を有することができる。
【0021】
張力緩和ハブの第1の部分及び第2の部分は、第2の部分が第1の部分にねじ込み式に取り付け可能であるように、ねじ付き継手を含むことができる。第2の部分は、第1の部分を通過するカテーテルチューブが第1の部分によって定位置に固定されるように、第2の部分が第1の部分に取り付けられたときに第1の部分の内径を低減させるように構成され得る。
【0022】
張力緩和ハブの第1の部分は、第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を含むことができる。張力緩和ハブの第1の部分は、張力緩和ハブがハンドル内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、医療用プローブのハンドルと相互作用するように構成された第2の肩部を含むことができる。
【0023】
張力緩和ハブの第2の部分は、第2の部分の遠位端部に近接する傾斜端部を含むことができる。
【0024】
開示された技術は、医療用プローブのためのハンドルを含むことができる。ハンドルは、長手方向軸に沿って近位部分から遠位部分まで延在するハンドル本体を含むことができる。ハンドルは、他の構成要素がハンドルを通過することを可能にするように構成され得る。
【0025】
ハンドルは、ハンドル本体の遠位部分に配設された張力緩和ハブを含むことができる。張力緩和ハブは、ハンドル本体内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分を含むことができる。第1の部分は、第1の部分を通って延在する第1の開口部と、張力緩和ハブがハンドル本体内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、ハンドル本体と相互作用するように構成された肩部と、を含むことができる。ハンドルは、第1の部分に取り付けられた第2の部分を含むことができ、第2の部分は、第2の部分を通って延在する第2の開口部を備える。第1の開口部及び第2の開口部は、軸方向に整列され、医療用プローブのカテーテルを受容するように構成され得る。
【0026】
張力緩和ハブの第2の部分は、第1の部分を通過するカテーテルが第1の部分によって定位置に固定されるように、第2の部分が第1の部分に取り付けられたときに、第1の部分の内径を低減させるように構成され得る。
【0027】
張力緩和ハブの第1の部分は、第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を含むことができる。張力緩和ハブの第1の部分は、張力緩和ハブがハンドル内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、医療用プローブのハンドルと相互作用するように構成された第2の肩部を含むことができる。
【0028】
張力緩和ハブの第2の部分は、第2の部分の遠位部分に近接する傾斜端部を含むことができる。
【0029】
開示された技術は、医療処置のための医療用プローブの拡張可能な部材を調製する方法を含むことができる。方法は、拡張可能な部材が挿入ツールを越えて延在するように、拡張可能な部材を挿入ツールに挿入することと、拡張可能な部材を流体中に浸漬することと、拡張可能な部材を通して第1の流量で流体をポンプ圧送するように医療用プローブの流体ポンプを設定することと、を含むことができる。
【0030】
拡張可能な部材が流体に浸漬された状態で、方法は、流体を第2の流量でポンプ圧送するように流体ポンプを設定することを含むことができ、第2の流量は、第1の流量未満である。方法は、拡張可能な部材及び挿入ツールが浸漬された状態で、拡張可能な部材を挿入ツール内に引き込むことを含むことができる。
【0031】
方法は、拡張可能な部材が挿入ツールの内側に配設された状態で挿入ツールをシース弁に部分的に挿入することと、拡張可能な部材が送達シースの遠位部分の外側に延在するまで、送達シースを通して、拡張可能な部材を押動させることと、流体を第1の流量でポンプ圧送するように流体ポンプを設定することと、アブレーションエネルギーを拡張可能な部材上に配設された電極に印加することと、を含むことができる。
【0032】
第1の流量は、約35ミリリットル/分を含み、第2の流量は、約5ミリリットル/分を含む。
【0033】
心臓組織がアブレーションエネルギーによって十分にアブレーションされたことの判定に応答して、方法は、流体を第2の流量でポンプ圧送するように流体ポンプを設定することと、拡張可能な部材を送達シースに引き戻すことと、を含むことができる。
【0034】
方法は、拡張可能な部材を心臓内の新しい位置に移動させることと、拡張可能な部材が送達シースの遠位部分の外側に延在されるまで、送達シースを通して、拡張可能な部材を押動させることと、流体を第1の流量でポンプ圧送するように流体ポンプを設定することと、新しい位置に近接する心臓組織を医療用プローブでアブレーションすることと、を含むことができる。本方法は、拡張可能な部材をシースから完全に引き抜くことを含むことができる。
【0035】
開示された技術の追加の特徴、機能、及び用途は、本明細書でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】開示された技術による、本発明の一実施形態による、医療処置の概略描画例解図である。
図2】ラッソーカテーテルとの使用の際、拡張状態のバルーンを備える例示的な医療プローブの上面図の概略描画例解図である。
図3A】開示された技術による、カプラに取り付けられたバルーン及びシャフトの側面図の概略描画例解図である。
図3B】開示された技術による、カプラの側面図の概略描画例解図である。
図4A】開示された技術による、カプラの斜視図の概略絵画例解図である。
図4B】開示された技術による、カプラの分解斜視図の概略描画例解図である。
図5A】開示された技術による、第1の位置にあるカプラに取り付けられたバルーン及びシャフトの側面図の概略描画例解図である。
図5B】開示された技術による、第1の位置にあるカプラの側面図の概略描画例解図である。
図6A】開示された技術による、第2の位置にあるカプラに取り付けられたバルーン及びシャフトの側面図の概略描画例解図である。
図6B】開示された技術による、第2の位置にあるカプラの側面図の概略描画例解図である。
図7A】開示された技術による、バルーン及びノーズピースの側面図の概略描画例解図である。
図7B】開示された技術による、ノーズピースの斜視図の概略絵画例解図である。
図8A】開示された技術による、ノーズピースの斜視図の概略絵画例解図である。
図8B】バルーンに取り付けられたノーズピースの断面斜視図の概略絵画例解図である。
図8C】開示された技術による、バルーンに取り付けられたノーズピースの詳細図である。
図9A】開示された技術による、張力緩和ハブの斜視図の概略描画例解図である。
図9B】開示された技術による、図9Aの張力緩和ハブの上面図である。
図9C】開示された技術による、図9Bの切断線X-Xに沿った図9A及び図9Bの張力緩和ハブの断面図である。
図10】開示された技術による、医療用プローブのハンドルに取り付けられた張力緩和ハブの斜視図の概略描画例解図である。
図11A】開示された技術による、医療処置のために調製されているバルーンの概略描画例解図である。
図11B】開示された技術による、医療処置のために調製されているバルーンの概略描画例解図である。
図11C】開示された技術による、医療処置のために調製されているバルーンの概略描画例解図である。
図12A】開示された技術による、医療処置のための拡張可能な部材を調製し、医療処置を行うために拡張可能な部材を使用する方法を例解するフローチャートを示す。
図12B】開示された技術による、医療処置のための拡張可能な部材を調製し、医療処置を行うために拡張可能な部材を使用する方法を例解するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描写しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0038】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。
【0039】
本明細書で考察される際、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、任意の該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0040】
本明細書で考察される際、「操作者」又は「専門職」は、薬剤抵抗性心房細動の治療のための多電極カテーテルの被験者への送達に関連する、医師、外科医、技師、科学者又は任意の他の個人若しくは送達器具類を含み得る。同様に、「近位」という用語は、操作者又は医師に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、操作者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0041】
本明細書で考察される際、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円筒構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面又は内面を有し得る。
【0042】
本明細書で考察される際、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関連する場合、パルス電場(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称されることもある、不可逆的なエレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内での不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関するアブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0043】
本開示は、バルーン又はスパインなどの拡張可能な部材に固着された電極を有するエンドエフェクタを利用するシステム、方法又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションされる組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に提供される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造(例えば、バルーン又はスパインなどの拡張可能な部材)を含み、三次元構造上に配置された様々な電極からアブレーションエネルギーを投与するように構成されている。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化することができる。
【0044】
機能不全の心臓を矯正するために、無線周波数(radio frequency、RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術の適用を使用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用するアブレーションを成功させるために、心筋の様々な位置で心臓の電極電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータが提供される。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0045】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながる可能性があるリスクを有する可能性がある。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操縦し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0046】
IREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスが適用されて、心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。したがって、IREは、アブレーションモダリティ又は分離モダリティで、既知の可能性のある合併症の低減に利益を与えるであろう、隣接する熱感受性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相パルスが利用され得る。
【0047】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の適用時に休止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位を下回ったままであるが、エレクトロポレーションは可逆的(reversable)であり、これは、適用されたパルス電界が除去されたときに細孔が閉じることができ、細胞は自己修復及び生存することができる。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞は約500V/cmの閾値電位を有することができるが、骨の場合、3000V/cmである。閾値電位のこれらの違いは、IREが閾値電位に基づいて細胞を選択的に標的とすることを可能にする。
【0048】
ここで、同様の参照番号が同様の要素を表す図面を参照すると、図1は、本開示の例による、装置12を含む例示的な器具類を示す。処置は、操作者14により行われ、ヒト患者18の心臓の心筋16の一部分のアブレーションを含むと想定される。しかしながら、本明細書にて開示された実施形態は、この特定の処置にのみ適用されるわけではなく、生物学的組織又は非生物学的材料に対するいかなる処置をも実質的に包含し得ることが理解される。
【0049】
アブレーションを実施するために、操作者14は、患者の内腔内に事前に位置付けられた送達シース21にプローブ20を挿入する。送達シース21は、プローブ20の遠位端部22が患者の心臓に入るように配置される。多電極高周波バルーンカテーテル24(例えば、バルーンカテーテル)は、プローブ20のルーメン23を通って配備され、プローブ20の遠位端部から出ている。カテーテル24は、心房の肺静脈の心臓電気生理学的アブレーションのための、並びに以下でより具体的に考察されるように、マルチチャネルRF発生器と組み合わせて使用される場合には、薬剤抵抗性再発性症候性発作性心房細動(paroxysmal atrial fibrillation、PAF)の治療のための多電極高周波バルーンカテーテルであり得る。このようなカテーテル24は、大腿動脈、手首動脈(橈骨アクセス)を通して、又は頸動脈を通して直接に導入可能である。橈骨経由及び頸動脈経由の両方のアクセスは大動脈弓を回避するが、他の欠点がある。しかしながら、3つの手法は全て、当業者には既知であると考えられる。
【0050】
機能的には、カテーテル24は、AFの症状を排除するために、被験者の左心房(left atrium、LA)における肺静脈の隔離を達成することを目的とする。カテーテル24は、複数の灌注式の独立して制御される電極から同時にアブレーションを行う。各電極に送達される電力量は、安全性及び損傷部の質を改善するために、独立して制御される。
【0051】
本開示での使用が企図される1つのRF発生器は、適合性のあるRFアブレーションカテーテルを介して心臓内の部位に送達するRFエネルギーを発生させることができる。発生器は、電極へのRFエネルギーの送達を同時に独立して制御することができる。発生器は、カテーテルのアブレーション電極におけるアブレーションパラメータを制御するための機能を含むことができる。電力、インピーダンス、アブレーション持続時間、及び温度などのアブレーションパラメータを記録し、処置の終了時にポータブルメモリデバイス、クラウドストレージ、又は他のストレージにエクスポートすることができる。
【0052】
図1に示されているとおり、装置12は、装置の操作用コンソール15内にある、システムプロセッサ46により制御される。コンソール15は、操作者14がプロセッサ46と通信するために使用される制御装置49を備える。コンソール15は、制御ステーション48内に収容され得、操作者14が処置に関する情報を見ることができるように、ディスプレイ62にデータ60を出力するように構成され得る。
【0053】
処置の間、プロセッサ46は、典型的には、当該技術分野において既知である任意の方法又は使用を用いてプローブ20の遠位端部22の位置及び配向を追跡する。例えば、プロセッサ46は、プローブ20の遠位端部に位置付けられたコイルにおいて、患者18の体外にある磁気送信器25X、25Y、及び25Zが信号を生成する、磁気追跡方法又は使用を用いることができる。CARTO(登録商標)システム(Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)から入手可能)は、このような追跡方法又は使用を用いている。
【0054】
装置12を操作するために、プロセッサ46は、装置を操作するためのプロセッサ46により使用される多くのモジュールを有するメモリ50と通信する。したがって、メモリ50は、温度モジュール52、アブレーションモジュール54、及び心電計(electrocardiograph、ECG)モジュール56を備える。メモリ50は、典型的には、遠位端部22にかかる力を測定する力モジュール、プロセッサ46により使用される追跡方法又は使用を操作する追跡モジュール、及びプロセッサが遠位端部22に対して提供する灌注を制御することを可能にする灌注モジュールなどの他のモジュールを備える。
【0055】
他のモジュールは図1には例解されていないが、他のモジュールも実際に企図されており、ハードウェア要素並びにソフトウェア要素を含むことができる。例えば、モジュール54は、少なくとも1個の出力部又は出力チャネル、例えば、10個の出力部又は10個の出力チャネルを備える、高周波発生器を含むことができる。出力部の各々は、スイッチにより個別に及び選択的に起動又は停止させることができる。すなわち、各スイッチは、信号発生器と各出力部との間に配設することができる。したがって、10個の出力部を有する発生器は、10個のスイッチを含むことになる。これらの出力部はそれぞれ、アブレーションカテーテル上の電極、例えば、以下にて更に詳細に記載するバルーン80上の10個の電極33に個々に連結させることができる。電極33は、これらに結合され、組織に単極方式でRFエネルギーを送達し、各電極の温度を感知するために使用される、灌注式で可撓性の金めっきされた電極とすることができる。電極33は、肺静脈の口との円周方向の良好な接触を達成するように、円形に配向することができる。カテーテル24は、マルチチャネルRF発生器と対になっている場合に、独立して制御される電極から心臓組織を同時にアブレーションすることができ、各電極に送達される電力の量は、独立して制御される。
【0056】
このような電気的接続は、各出力部と各電極との間に電気経路を確立することにより、達成することができる。例えば、各出力部は、1つ又は2つ以上のワイヤ又は好適な電気コネクタによって対応する電極に接続することができる。したがって、いくつかの実施形態では、電気経路は、少なくとも1つのワイヤを含むことができる。いくつかの実施形態では、電気経路は、電気コネクタ及び少なくとも第2のワイヤを更に含むことができる。したがって、電極33は、スイッチにより選択的に起動又は停止されて、他の電極のそれぞれから別個に高周波エネルギーを受信することができる。
【0057】
図2は、カテーテル24の上面図である。カテーテル24は、約110cmの使用可能な長さを有する(ただし、必要とされる、又は要求される際は、他の寸法も企図される)。カテーテル24は、ハンドル42、シャフト82及び遠位端部22の3つの主要セクションを有することができる。シャフト82は、バルーン80が完全に折り畳まれた状態にあるときに、長さが10.5F、バルーン80の周囲の最大外径が13.5Fとすることができる。カテーテル24は、一方向に編組された偏向可能な先端セクションを有する高トルクシャフト82を有することができる。シャフトは、バルーン80を有する湾曲した先端部の平面を回転させて、カテーテル先端の所望の部位(肺静脈の口)への正確な配置を容易にすることを可能にする。バルーン80がコンプライアントであることにより、その可撓性の表面電極33が組織に押し付けられたときの解剖学的構造への適合を可能にする。
【0058】
ハンドル42は、一方向の偏向を可能にする偏向サムノブ、バルーン前進機構、並びにバルーン膨張及び灌注のためのルアー取り付け具を組み込むことができる。更なるルアー取り付け具が含まれ、イジェクタの近位に配置され、ガイドワイヤ用並びに遠位灌注用及び/又は造影剤注入用の進入ポートとして機能することができる。カテーテル24を灌注ポンプとともに使用して、バルーンへの灌注を制御することができる。ヘパリン加生理食塩水を、ハンドル42のルアーフィッティングを通して送達することができる。
【0059】
バルーン80の遠位端部にラッソーカテーテル72を有するカテーテル24が図2に示されているが、ガイドワイヤ、診断カテーテル、又は用途に好適な任意の他のカテーテルなど、他のカテーテルを、バルーン80を通して挿入することができる。換言すれば、バルーン80は、カテーテルがバルーン80を通過することを可能にするためにバルーン80を通過するルーメンを含むことができる。
【0060】
図3Aは、本開示の技術による、両方ともカプラ300に取り付けられたバルーン80及びシャフト82の側面図の概略描画例解図である。シャフト82は、送達シース21を通して、バルーン80を患者18の心臓まで誘導するように構成されたカテーテルチューブであり得る。バルーン80及びシャフト82は、バルーンがカプラ300の遠位端部115に取り付けられ、かつシャフトがカプラ300の近位端部117に取り付けられた状態でカプラ300に取り付けられ得る。カプラ300は、送達シース21を通して嵌合するようにサイズ決めされ得る。
【0061】
アクチュエータシャフト83は、バルーン80の内側に示されており、バルーン80の長手方向軸(A-A)に沿って延在する。アクチュエータシャフト83は、シャフト82からバルーン80を通って延在し、バルーン80の遠位端部22に取り付けられ得る。アクチュエータシャフト83は、バルーン80の長手方向軸に沿って摺動又は他の方法で移動するように構成され得、その結果、アクチュエータシャフト83は、バルーン80の拡張、後退、及び操作を容易にして医療処置を行うことができる。アクチュエータシャフト83は、いくつかの例では、ガイドワイヤ、灌注流体、カテーテル、又は他の構成要素若しくは要素が通過してバルーン80の遠位端部22の近くに送達されることを可能にするために、アクチュエータシャフト83を通る開口部を含むことができる。
【0062】
図3B図4Bに例解されるように、カプラ300は、第1の部分102と、第1の部分102に摺動可能に取り付けられた第2の部分104と、を含むことができる。第2の部分104は、(図5A図5Bに例解されるような)第1の位置と(図6A図6Bに例解されるような)第2の位置との間で第1の部分102に対して長手方向軸(A-A)に沿って摺動することができる。第1の位置では、カプラ300は、流体がバルーン80から排出されることを防止するように構成され得、第2の位置では、カプラ300は、流体がバルーン80から排出されることを可能にするように構成され得る。このようにして、カプラ300は、バルーン80が送達シース21を通して引き抜かれ得るように、バルーン80から流体を迅速に排出することを容易にするように構成され得る。
【0063】
第1の部分102は、長手方向軸に沿ってその第1の部分を通って延在する開口部116を含むことができ、第2の部分104は、同様に、長手方向軸に沿って、その第2の部分を通って延在する開口部114を含むことができる。第1の部分102の開口部116及び第2の部分104の開口部114は、各々、電気ワイヤ、ガイドワイヤ、アクチュエータシャフト83、カテーテルチューブ、及び/又は他の構成要素若しくは要素がそれら開口部を通過することを可能にするようにサイズ決めされ得る。
【0064】
カプラ300は、第2の部分104が(図6A図6Bに例解されるような)第2の位置にあるとき、生理食塩水又は他の流体がバルーン80から排出されることを可能にするように構成され得る通気ポート128を含むことができる。しかしながら、第2の部分104が第1の位置にあるときに、通気ポート128は、カプラ300が、生理食塩水又は他の流体がバルーン80から通気ポート128を通って排出されるのを防止することができるように、第1の部分102によって少なくとも部分的に塞がれ得る(図5A、5Bに例解されるように)。カプラ300は、十分な力が第1の部分102及び/又は第2の部分104に加えられるまで、第2の部分104が第1の位置に留まり、流体が通気ポート128を通って排出されることが防止されるように構成され得る。例えば、第1の部分102及び第2の部分104は、一方又は両方が反対方向に引っ張られて、第2の部分104を第2の位置に移動させ、通気ポート128を露出させるまで、第1の位置に留まるようにされ得る。例解すると、バルーン80が送達シース21内に引き戻されるときに、送達シース21の縁部に接触するバルーン80の力は、通気ポート128が第1の部分102によって遮られないように、第2の部分104をその第2の位置に移動させることができる。このようにして、通気ポート128は、操作者14が送達シース21を通してバルーン80を引き戻すことを可能にするために、流体がバルーン80から排出されることを可能にすることができる。
【0065】
第2の部分104が第1の位置に留まり、通気ポート128が第1の部分102によって少なくとも部分的に遮られることを確実にするのを助けるために、カプラ300は、第1の部分102及び第2の部分104を第1の位置に保持するように構成された1つ又は2つ以上のばね108を含むことができる。例えば、カプラ300は、カプラ300の両側に配設されたばね108を含むことができる。ばね108は、第1の部分102と第2の部分104との間に延在することができ、ばねが第1の部分102及び第2の部分104に力を加えて、第2の部分104を第1の位置に留まらせるように構成され得る。第1の部分102はばね開口部118を含むことができ、第2の部分はばね凹部120を含むことができる。ばね開口部118及びばね凹部120は、ばね108を受容し、ばね108がカプラ300から外れるのを防止するように構成され得る。ばね108は、十分な力が第1の部分102、第2の部分104、又はその両方に加えられて第2の部分104を第2の位置に移動させるまで、ばね力が第2の部分104を第1の位置に保持するのに十分であるようにサイズ決め及び構成され得る。
【0066】
ばね108は、第1の部分102及び第2の部分104とは別個であるように例解されているが、ばね108は、第1の部分102又は第2の部分104に一体化され得る。例えば、ばね108は、十分な力が加えられるまで第2の部分104を第1の位置に留まらせるコンプライアント機構として、第1の部分102又は第2の部分104の側部に形成され得る。
【0067】
第2の部分104は、ワイヤ又は他の構成要素がその第2の部分を通過することを可能にするように、第2の部分104の側部に形成され得る、1つ又は2つ以上の構成要素開口部110を含むことができる。例えば、構成要素開口部110は、ワイヤがその構成要素開口部を通過して電極に接続することができるようにサイズ決めされ得る。第2の部分104は、流体開口部112を更に含むことができ、その流体開口部は、バルーン80の膨張及び電極に近接する灌注を容易にするために、流体(例えば、生理食塩水などの灌注流体)がその流体開口部を通過することを可能にする。
【0068】
第2の部分104は、第2の部分104が第1の部分102から結合解除されることを防止するように、第1の部分102の内面に接触するように構成され得る隆起端部124を含むことができる。換言すれば、隆起端部124は、力が第2の部分104に加えられて第2の部分104を第1の部分102から引き離すときに、第2の部分104が第1の部分102を完全に通過するのを防止するように構成され得る。
【0069】
第2の部分104は、バルーン80への取り付けのためにサイズ決めされ得る隆起肩部125を含むことができる。例えば、バルーン80は、隆起肩部125と隆起端部124との間で第2の部分104に取り付けられ得る。このようにして、第2の部分104は、送達シース21を通したバルーン80のより容易な除去を容易にするために、隆起肩部125よりも小さい外径である遠位端部115を有することができる。
【0070】
第2の部分104は、第2の部分104の側部内に形成され、かつ中空チューブ106を受容するようにサイズ決めされたチャネル122を含むことができる。中空チューブ106は、少なくとも部分的にその中空チューブを通って延在する管腔126を有することができ、通気ポート128は、中空チューブ106内に形成され得る。このようにして、バルーン80の内側の流体は、中空チューブ106を通過し、通気ポート128が塞がれていないときに通気ポート128から排出され得る。チャネル122は、第2の部分104が第1の位置にあるときに、中空チューブ106が第2の部分104と第1の部分102との間に嵌合することができるようにサイズ決めされ得る。中空チューブ106は、カプラ300の遠位端部115に近接して終端するように例解されているが、中空チューブ106は、特定の用途に対して好適となるように、カプラ300の遠位端部115を越えて延在するか、又はカプラ300の遠位端部115に到達する前に終端することができる。
【0071】
図5Aは、バルーン80及びシャフト82がカプラに取り付けられた状態で第1の位置にあるカプラ300を例解し、図5Bは、第1の位置にあるカプラ300のみを例解する。示すように、第2の部分104が第1の位置にあるときに、第1の部分102は、バルーン80の内側の流体が通気ポート128を通って排出されることを防止するように、通気ポート128を塞ぐことができる。
【0072】
図6Aは、バルーン80及びシャフト82がカプラに取り付けられた状態で第2の位置にあるカプラ300を例解し、図6Bは、第2の位置にあるカプラ300のみを例解する。示すように、第2の部分104が第2の位置にあるときに、第1の部分102は通気ポート128を塞がず、したがって、バルーン80の内側の流体は通気ポート128を通って排出されることが可能になる。このようにして、カプラ300は、バルーン80が送達シース21内に引き戻されるか、そうでなければもはや膨張したままである必要がないときに、バルーン80からの流体の排出を容易にすることができる。
【0073】
図7Aは、開示された技術による、バルーン80及びノーズピース700の側面図の概略描画例解図であり、図7Bは、ノーズピース700の斜視図の概略描画例解図である。ノーズピース700は、バルーン80の遠位端部22に結合され得、いくつかの例では、アクチュエータシャフト83に取り付けられ得る。ノーズピース700は、円筒形本体702と、ノーズピース700の近位端部からノーズピース700の遠位端部までその円筒体本体を通って延在する開口部704と、を有することができる。開口部704は、カテーテル、ガイドワイヤ、又は他の構成要素がその開口部を通過することを可能にするようにサイズ決めされ得る。
【0074】
ノーズピース700は、バルーン80及びノーズピース700が送達シース21内に嵌合できることを確実にするために、0.14インチ未満の外径を有することができる。いくつかの例では、ノーズピース700の外径は、約0.11インチであり得る。
【0075】
ノーズピース700は、バルーン80の遠位端部22に配置されたノーズカプラ81と締まり嵌めを形成するようにサイズ決め及び配置され得る1つ又は2つ以上のリッジ708を含むことができる。ノーズカプラ81及びノーズピース700は一緒に、バルーン80が必要に応じて膨張、収縮、及び操作され得るように、バルーン80及びアクチュエータシャフト83を定位置に固定することができる。
【0076】
ノーズピース700は、円筒形本体702の外径よりも大きい外径を有することができるが、依然として送達シース21内に嵌合することができる傾斜端部ピース706を含むことができる。傾斜端部ピース706は、ノーズピース700を通過する構成要素が鋭い縁部によって損傷を受ける可能性を低減するのを助けるように、ノーズピース700の遠位端部において鋭い縁部が低減されるように傾斜し得る。
【0077】
図8Aは、開示された技術による、ノーズピース800の斜視図の概略描画例解図である。ノーズピース700と同様に、ノーズピース800は、円筒形本体802と、その円筒形本体を通って延在する開口部と、傾斜端部ピース806と、を含むことができる。ノーズピース800は、ノーズピース800を通って近位端部から遠位端部まで延在する排水開口部808を更に含むことができる。排水開口部808は、流体(例えば、生理食塩水又は他の灌注流体)がバルーン80から排出されること、及び/又はバルーン80の遠位端部22において灌注を提供することを可能にするように構成され得る。いくつかの例では、ノーズピース800は、互いに等間隔に離間した4つの排水開口部808を含むことができる。
【0078】
ノーズピース800は、円筒形本体802の側部からノーズピース800を通って延在する開口部804まで延在することができる側部開口部810を更に含むことができる。側部開口部810は、流体が開口部804とバルーン80内の円筒形本体802の外側との間を流れることを可能にして、ノーズピース800を通過する流体から生じ得る圧力を軽減するのを助けるように構成され得る。
【0079】
図8Bは、本開示の技術による、バルーン80に取り付けられたノーズピース800の断面斜視図の概略描画例解図であり、図8Cは、バルーン80に取り付けられたノーズピースの詳細図である。図8Cに最良に例解されているように、ノーズピース800は、ノーズピース800とノーズカプラ81との間に形成された締まり嵌めによってバルーン80の遠位端部に取り付けられ得る。バルーン80は、バルーン80がノーズピース800及びノーズカプラ81に固定されるように、ノーズピース800とノーズカプラ81との間に配置され得る。
【0080】
図8Cに例解されるように、ノーズピース800は、開口部804内に内向きに延在する肩部812を含むことができる。肩部812は、アクチュエータシャフト83がノーズピース800を完全に通過することを防止するようにサイズ決め及び構成され得る。換言すれば、肩部812は、アクチュエータシャフト83がノーズピース800を押動させることができることを確実にするのを助け、バルーン80の膨張、収縮、及び操作を容易にするのを助けるように構成され得る。肩部812は、アクチュエータシャフト83が少なくとも部分的にノーズピース800内に延在することができるように配置され得る。
【0081】
図9A図9Cは、開示された技術による、張力緩和ハブ900を例解し、図10は、ハンドル42とともに組み立てられた張力緩和ハブ900を例解する。張力緩和ハブ900は、医療用プローブのハンドル42に結合されるように構成され得る。張力緩和ハブ900は、ハンドル42の複雑さを低減するのを助け、ハンドル42の簡単な組み立てを容易にするために、ハンドル42に現在設置されているいくつかの構成要素に取って代わるようにサイズ決め及び構成され得る。
【0082】
張力緩和ハブ900は、ハンドル42に挿入され得る第1の部分902と、第1の部分902に取り付けられ、かつハンドル42から外向きに延在する第2の部分904と、を含むことができる。第1の部分902及び第2の部分904は各々、カテーテル、ワイヤ、又は他の構成要素が、張力緩和ハブ900を通って延在し、ハンドル42から外向きに延在することを可能にするように、その部分を通って延在する開口部905、906を含むことができる。
【0083】
第1の部分902は、張力緩和ハブの近位端部に配置され得るスロット付き端部908を含むことができる。スロット付き端部908は、ワイヤ及び/又はカテーテルが張力緩和ハブ900を通過することをより容易にすることができる。スロット付き端部908は、上部ハンドルカバー半体(明確にするために図10には図示せず)がスロット付き端部908と係合し、ハンドルカバーの上部半体を張力緩和ハブ900及び下部ハンドルカバー半体45に保持することを可能にする。スロット付き端部908は、ハンドルカバー上部半体及び/又はハンドルカバー下部半体45から延在する突出部と係合して、ハンドル42及び張力緩和ハブ900が完全に一緒に組み立てられたときに、張力緩和ハブ900を定位置に保つのを助けることができる。
【0084】
第1の部分902は、張力緩和ハブ900がハンドル42に沿って近位に摺動することを防止するためにハンドル42と相互作用するように構成され得る第1の肩部910を更に含むことができる。張力緩和ハブ900は、張力緩和ハブ900がハンドル42に沿って遠位に摺動することを防止するためにハンドル42と相互作用するように構成され得る第2の肩部914を更に含むことができる。換言すれば、第1の肩部910及び第2の肩部914は、張力緩和ハブ900を定位置に固定し、張力緩和ハブ900がハンドル42内に設置されるときに、張力緩和ハブ900がハンドル42に沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように構成され得る。
【0085】
図10は、ハンドル42と組み立てられた張力緩和ハブ900を例解する。ハンドル42は、ハンドル42の内部構成要素が見えるように、部分的に分解されて示されている。図10に例解されるように、ハンドル42は、張力緩和ハブ900がハンドル42内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、張力緩和ハブ900がハンドル42内に設置されるときに、第2の肩部914に接触するように構成される端部リッジ43と、第1の肩部910に接触するように構成された突出部44と、を含むことができる。換言すれば、張力緩和ハブ900は、ハンドル42と組み立てられたときに張力緩和ハブ900がハンドル42内で近位又は遠位に摺動することを防止するように、第1の肩部910が突出部44に接触(又はほぼ接触)し、第2の肩部914が端部リッジ43に接触(又はほぼ接触)するようにサイズ決めされ得る。
【0086】
図9Bは、張力緩和ハブ900の上面図であり、図9Cは、図9Bの切断線X-Xに沿った張力緩和ハブ900の断面図である。図9Cに例解されるように、第1の部分902を通る開口部905は、第2の部分904を通る開口部906の内径(D1)よりも大きい内径(D2)を有することができる。このようにして、第2の部分904を通過するワイヤ及び/又はカテーテルは、定位置により良好に固定され得る。
【0087】
図9Cに例解されるように、張力緩和ハブ900は、第1の部分902を通ってほぼ中間まで延在することができる凹部912を更に含むことができる。凹部912は、長手方向軸D-Dに沿って測定したとき、第1の肩部910と第2の肩部914との間に延在する幅(W)を有することができる。幅(W)は、張力緩和ハブ900とワイヤ及び/又はカテーテルとの組み立てを容易にするようにサイズ決めされ得る。凹部912は、張力緩和ハブ900を通って延在するワイヤ及び/又はカテーテルを露出させて、ハンドル42及びその構成要素の組み立てをより容易にすることができる。例えば、凹部912は、ワイヤ及び/又はカテーテルが適切に固定されることを確実にするために、ワイヤ及び/又はカテーテルに接着剤を塗布することを容易にして、一緒に及び張力緩和ハブ900との適切な接合を確実にするために使用され得る。凹部912は、より良好な接着を容易にするために、リッジ又は粗い表面を更に含むことができる。更に、凹部912は、ワイヤ及び/又はカテーテルを露出させるために張力緩和ハブ900を通ってほぼ中間まで延在するので、紫外線(ultraviolet、UV)光又は他の硬化技術プロセスを使用して、ワイヤ及び/又はカテーテルを張力緩和ハブ900に接合するために使用される接着剤の硬化時間を加速させることができる。更に、凹部912は、ワイヤ及び/又はカテーテルの検査を可能にして、組み立てられた後の適切な配置及び接着を確実にすることができる。同様に、凹部912は、張力緩和ハブ900を製造するために使用される全体的な材料を低減することができ、完全に組み立てられたときのハンドル42の全体的な重量を低減する。
【0088】
1つの例示的な実施形態では、張力緩和ハブ900は、図9Cの断面図に示されるように、部分902及び904の両方が1ピース部材として形成される一体化された単一部材である。換言すると、第1の部分902及び第2の部分904は、第1の部分902及び第2の部分904が1つの連続部材であるように、張力緩和ハブ900を形成するために一緒に一体的に形成され得る。
【0089】
代替的には、第1の部分902及び第2の部分904は、互いに取り付けられる2つの別個の部材として構成され得る。第2の部分904が第1の部分902に取り付けられるときに、第2の部分904は、第1の部分902上に締め付けられることができ、その結果、第1の部分902の内径を低減して、張力緩和ハブ900を通過するワイヤ、カテーテル、又は他の構成要素を定位置に固定することができる。第2の部分904は、第1の部分902上に圧入されて、第1の部分902を締め付けることができる。代替的に又は追加的に、第1の部分902は、ねじ山付き端部(図示せず)を有することができ、第2の部分904は、対応するねじ山付き端部916を有することができ、その結果、第2の部分904は、第1の部分902にねじ込み式に取り付け可能である。第2の部分904を第1の部分902上に締め付けることによって、第1の部分902及び第2の部分904はまた、張力緩和ハブ900を通って延在する構成要素と水密シールを形成することができる。例えば、ガスケット又は他の可撓性材料は、第1の部分902が水密シールを形成するように締め付けられ得るように、張力緩和ハブ900と、張力緩和ハブ900を通過する構成要素との間に挿入され得る。別の例として、(例えば、開口部906において)張力緩和ハブ900を通過する構成要素に接着剤を塗布して、水密シールを形成することができる。
【0090】
第2の部分904は、張力緩和ハブ900の遠位端部に形成される鋭い縁部を低減するために、傾斜端部918を含むことができる。傾斜端部918は、第2の部分904の一部分のみから遠位端部まで傾斜することができるか、又は傾斜端部918は、第2の部分904の近位端部から遠位端部まで傾斜することができる。
【0091】
図11A図11Cは、開示された技術による、医療処置のために調製されているバルーン80の概略描画例解図である。図11A図11Cは、図12A図12Bに例解及び説明された方法に関連して理解され得るが、ここでは説明のために様々な構成要素の簡単な説明が提示される。
【0092】
図12Aに例解されるように、シャフト82に取り付けられたバルーン80は、挿入ツール1104を通して挿入され得る。説明されるように、挿入ツール1104は、バルーン80を患者18の心臓に誘導するために、送達シース21へのバルーン80の挿入を整列させ、容易にするのを助けるために使用され得る。バルーン80は、バルーン80から空気又は他のガスを除去するのを助けるために、水又は生理食塩水の流体浴1102に浸漬することができる。バルーン80が浸漬された状態で、流体(例えば、水又は生理食塩水)がバルーン80を通してポンプポンプ圧送され、バルーン80内に捕捉された任意の空気又はガスを更に除去することができる。バルーン80が依然として浸漬された状態で、図11Bに例解されるように、バルーンを収縮させて挿入ツール1104内に引き込むことができる。
【0093】
バルーン80が依然として挿入ツール1104内にある状態で、挿入ツール1104は、シース弁1108に結合され、送達シース21と整合され、次いで、送達シース21に押し込まれ、次いで、患者18の心臓内に誘導され得る。バルーン80を挿入ツール1104内に容易に引き込み、次いでバルーン80を送達シース21と整列させることを容易にするのを助けるために、挿入ツール1104は、挿入ツール1104の遠位端部にフレア状端部1105を含むことができる。
【0094】
図12A図12Bは、開示された技術による、医療処置のために拡張可能な部材を調製し、医療処置を行うために拡張可能な部材を使用する方法1200を例解するフローチャートである。方法1200は、挿入ツール(例えば、挿入ツール1104)を通して拡張可能な部材(例えば、バルーンカテーテル、スパインを有するバスケットカテーテルなど)を挿入すること(1202)と、次いで、拡張可能な部材を流体に浸漬すること(1204)と、を含むことができる(例えば、図11Aに例解されるように)。拡張可能な部材が流体に浸漬された状態で、方法1200は、第1の所定の流量で流体をポンプポンプ圧送するように流体ポンプを設定すること(1206)を含むことができる。拡張可能な部材が依然として流体に浸漬された状態で、方法1200は、第2の所定の流量で流体をポンプポンプ圧送するように流体ポンプを設定すること(1208)を含むことができる。第2の流量は、第1の流量未満とすることができる。例えば、限定するものではないが、第1の所定の流量は、約35ミリリットル/分(ml/分)とすることができ、第2の所定の流量は、約5ml/分とすることができる。
【0095】
方法1200は、拡張可能な部材を挿入ツール内に引き込むこと(1210)(例えば、図11Bに例解されるように)と、次いで、拡張可能な部材を有する挿入ツールをシース弁内に少なくとも部分的に挿入すること(1212)(例えば、図11Cに例解されるように)と、を含むことができる。拡張可能な部材がシース弁内の送達シースと整列されると、拡張可能な部材は、本明細書に開示される例に従って、医療処置を行うために調製及び準備される。
【0096】
ここで図12Bを参照すると、方法1200は、送達シースを選択された位置に操作すること(1214)を含むことができる。例えば、方法1200は、左上肺静脈、左下肺静脈、右上肺静脈、右下肺静脈、又は特定の医療処置に好適な患者18の心臓若しくは身体内の他の位置に近接する領域に送達シースを操作すること(1214)を含むことができる。方法1200は、拡張可能な部材が送達シースの外側に延在するまで拡張可能な部材を押動させること(1216)を含むことができる。方法1200は、第1の流量で流体をポンプポンプ圧送するように流体ポンプを設定すること(1218)と、次いで、心臓組織が十分にアブレーションされるまで、拡張可能な部材上に配設された電極にアブレーションエネルギーを印加すること(1220)と、を含むことができる。理解されるように、第1の流量は、アブレーション中に心臓組織を灌注及び冷却するのに十分な流量とすることができる。この流体は、例えば、心臓組織を灌注及び冷却するために使用される生理食塩水であり得る。
【0097】
方法1200は、流体を第2の流量でポンプポンプ圧送するように流体ポンプを設定すること(1222)と、拡張可能な部材を送達シースに引き戻すこと(1224)と、を含むことができる。例えば、操作者14が、拡張可能な部材に近接する心臓組織が十分にアブレーションされたと判定すると、操作者14は、拡張可能な部材が送達シースに引き戻され得る(1224)ように、第2の流量で流体をポンプポンプ圧送するように流体ポンプを設定すること(1222)によって、灌注流体の流れを低減することができる。
【0098】
操作者14が、医療処置が完了したと判定した場合、方法1200は、拡張可能な部材を送達シースから完全に引き抜くこと(1226)を含むことができる。しかしながら、操作者14が、医療処置がまだ完了していないと判定した場合、方法1200は、要素1214~1224を繰り返して、心臓組織が最初に十分にアブレーションされなかった場合に、他の位置又は同じ位置で再び心臓組織のアブレーションを実行することを含むことができる。理解されるように、操作者14は、医療処置が完了するまで、患者18の心臓内の様々な位置でアブレーションを実行し続けることができる。更に、当業者によって理解されるように、方法1200は、本明細書で説明される開示された技術の様々な特徴のいずれかを含むことができ、特定の構成に応じて変更され得る。したがって、方法1200は、本明細書で明示的に説明される特定のステップ及びステップの順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0099】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示及び説明されるものに限られるものではない。そうではなく、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組み合わせとその部分的組み合わせの両方、また上の発明を実施するための形態を読むと当業者には思い至るであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形形態及び修正形態も含むものである。
【0100】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
近位部分から遠位部分まで延在するハンドルと、
シャフトであって、前記ハンドルの前記遠位部分から延在し、かつ前記シャフトの遠位部分に配設されたバルーンの近位部分に結合されたシャフトと、
前記シャフトと前記バルーンの前記近位部分との間に配設されたカプラと、を備え、前記カプラが、
第1の部分を通って配設された第1の開口部を有する、前記第1の部分と、
前記第1の部分に摺動可能に結合され、かつ第2の部分を通って配設された第2の開口部を有する、前記第2の部分であって、前記第2の部分が、前記第1の部分内に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされ、前記第2の部分が、前記第1の部分に対して第1の位置と第2の位置との間で摺動するように構成されている、前記第2の部分と、
前記第2の部分の近位端部に近接する通気ポートであって、前記第2の部分が前記第1の位置にあるときに、前記通気ポートが前記第1の部分によって少なくとも部分的に遮断され、前記第2の部分が前記第2の位置にあるときに、前記通気ポートが前記第1の部分によって遮断されないように構成されている、通気ポートと、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれかに所定の力が適用されない限り、前記第2の部分が前記第2の位置に移動することを防止するように構成されたばねを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記ばねが、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 第2のばねを更に備え、前記第2のばねが、前記第1のばねとは反対である前記カプラの側部に配設されている、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(5) 前記第2の部分の側部に沿って配設された中空チューブを更に備え、前記通気ポートが、前記中空チューブ内に配設されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0101】
(6) 前記中空チューブが、前記第2の部分のほぼ遠位部分から前記第1の部分のほぼ遠位端部まで延在する、実施態様5に記載の医療用プローブ。
(7) 前記中空チューブが、前記第2の部分が前記第2の位置にあるときに、前記医療用プローブのバルーンから流体が流れることを可能にするように構成されている、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(8) 前記第1の部分が、前記医療用プローブのシースを受容するようにサイズ決めされており、
前記第2の部分が、前記医療用プローブのバルーン内に少なくとも部分的に挿入されるようにサイズ決めされている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記第2の部分が、前記医療用プローブの電極アセンブリのワイヤを受容するようにサイズ決めされた第3の開口部を更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルが前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通過することを可能にするようにサイズ決めされている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0102】
(11) 前記第2の部分が、前記第2の部分が前記第1の部分から結合解除することを防止するように構成された隆起端部を更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(12) 前記シャフトから前記バルーンの遠位部分まで延在するアクチュエータシャフトを更に備え、前記アクチュエータシャフトが、長手方向軸に沿って移動するように構成されており、前記バルーンの前記遠位部分においてノーズピースに結合されており、前記ノーズピースが、前記バルーンの前記遠位部分に結合されており、前記ノーズピースが、
前記バルーンの前記遠位部分に結合されるように構成された円筒形本体を備え、前記円筒形本体が、
3.556mm(0.14インチ)未満の外径と、
前記円筒形本体を通って前記円筒形本体の近位端部から前記円筒形本体の遠位端部まで延在する開口部であって、前記医療用プローブのカテーテルを受容するようにサイズ決めされた開口部と、を有する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(13) 前記ノーズピースが、前記バルーンの前記遠位部分に近接して配設されたカプラと締まり嵌めを形成するように構成されたリッジを更に備える、実施態様12に記載の医療用プローブ。
(14) 前記ノーズピースが、前記ノーズピースを通って前記円筒形本体の前記遠位部分から前記円筒形本体の前記近位端部まで延在する第2の開口部を更に備え、前記第2の開口部が、流体が前記医療用プローブのバルーンから前記第2の開口部を通過し、かつ前記円筒形本体の前記遠位端部から出ることを可能にするように構成されている、実施態様12に記載の医療用プローブ。
(15) 前記ハンドルに結合された張力緩和ハブを更に備え、前記張力緩和ハブが、
前記医療用プローブの前記ハンドル内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分であって、前記第1の部分を通って延在する第1の開口部と、前記張力緩和ハブが前記ハンドルに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するために前記医療用プローブの前記ハンドルと相互作用するように構成された肩部と、を備える、第1の部分と、
第2の部分であって、前記第1の部分に取り付けられており、かつ前記第2の部分を通って延在する第2の開口部を備え、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルチューブを受容するように構成されており、前記第2の部分が、前記第1の部分の内径よりも小さい内径を有する、第2の部分と、を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0103】
(16) 前記張力緩和ハブの前記第1の部分が、前記第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を更に備える、実施態様15に記載の医療用プローブ。
(17) 医療用プローブのためのハンドルであって、
長手方向軸に沿って近位部分から遠位部分まで延在するハンドル本体であって、前記ハンドルが、他の構成要素が前記ハンドルを通過することを可能にするように構成されている、ハンドル本体と、
前記ハンドル本体の遠位部分に配設された張力緩和ハブと、を備え、前記張力緩和ハブが、
前記ハンドル本体内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された第1の部分であって、前記第1の部分を通って延在する第1の開口部と、前記張力緩和ハブが前記ハンドル本体内で近位又は遠位に摺動することを防止するために前記ハンドル本体と相互作用するように構成された肩部と、を備える、第1の部分と、
第2の部分であって、前記第1の部分に取り付けられており、かつ前記第2の部分を通って延在する第2の開口部を備え、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、軸方向に整列されており、かつ前記医療用プローブのカテーテルを受容するように構成されている、第2の部分と、を備える、ハンドル。
(18) 前記第2の部分が、前記第1の部分に取り外し可能に取り付け可能であり、前記第1の部分を通過する前記カテーテルが前記第1の部分によって定位置に固定されるように、前記第2の部分が前記第1の部分に取り付けられるときに、前記第1の部分の内径を低減させるように構成されている、実施態様17に記載のハンドル。
(19) 前記第1の部分が、前記第1の部分を通ってほぼ中間まで延在する凹部を更に備える、実施態様17に記載のハンドル。
(20) 前記第1の部分が、前記張力緩和ハブが前記ハンドル内で近位又は遠位に摺動することを防止するために、前記医療用プローブの前記ハンドルと相互作用するように構成された第2の肩部を更に備える、実施態様17に記載のハンドル。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
【外国語明細書】