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特開2023-94623分光反射率分析に基づいてフロートガラス中の含有物を検出するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094623
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】分光反射率分析に基づいてフロートガラス中の含有物を検出するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3563 20140101AFI20230628BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20230628BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
G01N21/3563
G01N21/359
C03C3/087
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066885
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2021518092の分割
【原出願日】2019-10-02
(31)【優先権主張番号】16/148,057
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アグブガ オカン
(57)【要約】
【課題】ソーダ石灰シリカ系フロートガラスなどのガラス中の含有物(例えば、硫化ニッケル系含有物/欠陥)を検出及び/又は識別するための方法及び/又はシステムが提供される。
【解決手段】特定の例示的な場合では、ガラス製造プロセス中及び/又はその後に、ガラスシートが形成されて溶融材料(例えば、スズ浴)上に浮き、アニーリング徐冷窯を介してなどで冷却される、又は少なくとも冷却され得る、フロートプロセスにおける段階に続いて、赤外(IR)エネルギーなどのエネルギーが得られるガラスに向けられ、様々な波長での反射率を分析して含有物を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス中の含有物を検出する方法であって、前記ガラスが、以下を含む基礎ガラス組成物を含み、
【表1】

前記方法が、
少なくとも1つの光源から前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、
異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含み、
異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の、硫化ニッケル系含有物とCr系含有物とを、又は硫化ニッケル系含有物と鉄系含有物とを、識別し、区別することを更に含む、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出し、前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、800~2,000nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、900~1,700nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、950~1,250nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスと前記ガラスから反射エネルギーを受け取るためのカメラとの間に、少なくとも1つのバンドパスフィルタが設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記含有物が硫化ニッケルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも含有物が検出されたかどうかに基づいて、前記ガラスの合否を判定することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光源がフロートライン上及び/又はフロートライン内に位置し、前記フロートラインのアニーリング徐冷窯の後に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の代表的な実施形態は、フロートガラスなどのソーダ石灰シリカ系ガラス中の含有物及び/若しくはその他の欠陥(例えば、硫化ニッケル系含有物/欠陥、クロム系含有物/欠陥、鉄系含有物/欠陥、金属Si系含有物/欠陥などの微小含有物)を検出するための方法並びに/又はシステムに関する。本発明の特定の例示的実施形態では、エネルギー(例えば、赤外(IR)及び/又は可視)は、少なくとも1つの光源からガラスに向けて方向付けられてもよく、少なくとも1つの光源から反射されたエネルギーの異なる波長が分析されて比較され、含有物を、様々な波長における検出された分光反射率に基づいて検出することができる。このシステムは、ある範囲の波長にわたる広範なスペクトル信号を使用することができ、マルチスペクトル画像に基づく含有物/欠陥検出システムは、それらの対応する分光反射率曲線を捕捉して分析し、その間を区別することによって、異なる種類の含有物/欠陥を識別及び/又は区別することができる。
【背景技術】
【0002】
フロートガラスの製造プロセスは、当該技術分野において既知である。例えば、それらの全ての開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第3,954,432号、同第3,083,551号、同第3,220,816号、同第7,743,630号、同第8,677,782号、同第9,016,094号及び同第5,214,008号を参照されたい。一般的に言えば、フロートガラス製造ラインでは、バッチ材料を炉又は溶融機内で加熱して、ガラス溶融物を形成する。ガラス溶融物をスズ(スズ浴)などの溶融材料の浴上に注ぎ、次に連続的に冷却してフロートガラスリボンを形成する。フロートガラスリボンは次に、更なる処理のためにアニーリング徐冷窯に送達され、次に、平坦なガラスシートなどの固体ガラス物品を形成するために切断されてもよい。フロートガラスの場合、ガラスバッチは、ソーダ、石灰、及びシリカを含み、ソーダ石灰シリカ系フラットガラスを形成する場合が多い。
【0003】
フロートガラスは、商業用建築物及び住居用建築物の窓、ガラス製家具、シャワードア、並びに自動車ウィンドシールドに広く使用されている。多くの製品では、破損の場合に安全性を確保するために、フロートガラスを熱強化しなければならない(少なくとも580℃まで加熱し、続いて急速冷却しなければならない)。原材料からの不純物、添加剤(複数可)からの硫黄、及び/又はフロートプロセスからの汚染物は、場合により、また予測不可能に、ガラス形成中に不必要な化学化合物(例えば、含有物)を形成するが、これはガラス中の望ましくない欠陥である。例えば、ニッケルは、硫黄と自然に結合して、(NiSなどの任意の好適な化学量論的)硫化ニッケル含有物又は硫化ニッケルに基づいた含有物を形成する。
【0004】
典型的には(例えば、熱焼戻しなどの任意の追加の熱処理を伴わずにフロートプロセスを介して作製される)アニールガラスにおいて無害であるにもかかわらず、NiS含有物は、熱強化ガラスの自然破損を引き起こすことが知られている。更に、熱強化ガラス中のNiS含有物/欠陥は、設置された製品において長期間にわたって壊滅的なガラス破損を引き起こした。したがって、欠陥のあるアニールガラスを排斥することは、a)費用のかかる熱焼戻し段階及び均熱段階中の生産収率を増加させ、b)設置された製品中のガラスの壊滅的なガラス破損を最小限に抑える、という、少なくとも2つの目的に役立つ。
【0005】
硫化ニッケルは、異なる温度で異なる相にて存在する。例えば、既知のNiSの2つの特定の相は、α相及びβ相である。715°F(379℃)未満の温度では、硫化ニッケルは、β相形態で比較的安定している。この温度を超えると、硫化ニッケルはα相中で安定している。したがって、炉内でガラスが製造される場合、任意のNiS含有物がα相内にある可能性が高い。典型的なアニールガラスでは、アニーリング徐冷窯によって提供される低速冷却プロセスは、ガラスが冷却する際にNiSがそのβ相へと形質転換する充分な時間を可能にする。しかし、熱強化ガラス及び強化ガラスの両方で使用される高速冷却プロセスでは、多くの場合、相転移を完了するには時間が不十分である(比較的遅いプロセスである)。したがって、NiS含有物は、その高温のα相中でガラス中に捕捉される。しかし、一度ガラスが相変化温度を超えて冷却されると、NiS含有物は、低エネルギーβ相に再び入ろうとする。捕捉された含有物に関して、本プロセスは、数ヶ月~数年のいずれかで行われる。これは、NiSがα相からβ相に変化した場合に、2~4%など体積が増加するという点ではなく、ガラスへの影響を有していなくてもよい。この膨張は、ガラスの破損につながる可能性がある局所的な引張応力を作り出す場合もある。
【0006】
同様に、硫化ニッケルは、種々の形態で得られる化合物である。硫化ニッケルの最も一般的な形態は、Ni76、NiS、NiS1.03、Ni32、及びNi32+Niである。電子顕微鏡下で見た場合、Ni76、NiS、及びNiS1.03は、イエローゴールドの色であり、ゴルフボールと同様の凹凸のある表面を有する。これら3つの種類は非磁性であり、強化ガラスにおける破損を引き起こすことが見出されている。他の種類の含有物(欠陥)もガラス中で発生する。
【0007】
NiS含有物のインライン検出及び同様のサイズスケールのその他の微細欠陥(例えば、40~150マイクロメートルサイズの欠陥)のインライン検出のために、種々の方法が使用されてきた。参考として本明細書に組み込まれている米国特許第7,511,807号は、例えば、含有物を検出するために、ガラスに光を方向付けて光散乱を考察している。したがって、含有物を検出するための従来の技術は、非効率的であり、時には効果的ではなかった。
【0008】
従来のガラス欠陥検査溶液は、可視波長範囲で2D又は3D機械視覚技術を使用している。従来の機械視覚システムは、画像の形状及び強度によって、含有物欠陥を検出し、分類する。NiS、金属Siなどの含有物、及び更には気泡は、それらの形状及び強度が類似しているため、同じ種類の欠陥として見えることがある。従来の機械視覚システムは、NiS含有物を正確に検出するために設計されておらず、またその能力がなく、NiS含有物を他の種類の含有物から合理的に区別することができない。
【0009】
上記を考慮すると、ソーダ石灰シリカ系ガラス及び/又は他の種類のガラス中の含有物を検出するための改良された方法及び/又は装置を含む、改良されたガラスの製造方法及びガラス品質制御方法の必要性が当該技術分野において存在することは、明らかであろう。
【発明の概要】
【0010】
ソーダ石灰シリカ系ガラスなどのガラス中の含有物(例えば、硫化ニッケル系含有物/欠陥)を検出するための方法及び/又はシステムが提供される。本明細書で論じられるインラインシステム及び/又は方法は、例えば、フロートガラスなどのガラス中の含有物/欠陥を検出するために使用することができる。例えば、方法及び/又はシステムは、約30~300μm、より好ましくは約40~200μmのサイズを有する硫化ニッケル含有物及び/若しくはその他微小欠陥を検出するために使用することができ、並びに/又は、そのような硫化ニッケル系含有物を、含有物を含まないガラスと他の含有物の両方から区別するために使用することができる。
【0011】
特定の例示的実施形態では、ソーダ石灰シリカ系ガラスは、重量パーセントで、67~75%のSiO2、10~20%のNa2O、5~15%のCaO、0~7%のAl23、0~7%のMgO、及び0~7%のK2Oを含む、基礎ガラス部分を含む。所望により、ガラスの着色剤部分は、鉄、セレン、コバルト、エルビウムなどの1種以上の着色剤を更に含んでもよい。
【0012】
本発明の代表的な実施形態は、フロートガラスなどのソーダ石灰シリカ系ガラス中の含有物及び/若しくはその他の欠陥(例えば、硫化ニッケル系含有物/欠陥、クロム系含有物/欠陥、鉄系含有物/欠陥、金属Si系含有物/欠陥などの微小含有物)を検出するための方法並びに/又はシステムに関する。本発明の特定の例示的実施形態では、エネルギー(例えば、赤外(IR)及び/又は可視)は、少なくとも1つの光源からガラスに向けて方向付けられてもよく、少なくとも1つの光源から反射されたエネルギーの異なる波長が分析されて比較され、含有物を、異なる波長での検出された分光反射率に基づいて検出することができる。このシステムは、ある波長の範囲(例えば、500~2,500nm、又は800~2,000nm、又は900~1,700nm、又は950~1,250nm、又はこれらの範囲のいずれか中の特定の波長)にわたる広範なスペクトル信号を使用することができ、マルチスペクトル画像に基づく含有物/欠陥検出システムは、それらの対応する分光反射率曲線を捕捉して分析し、その間を区別することによって、異なる種類の含有物/欠陥を識別及び/又は区別することができる。例えば、硫化ニッケル含有物/欠陥は、含有物を含まないガラスとは異なって、また、クロム系含有物/欠陥及び鉄系含有物/欠陥などの他の種類の含有物とは異なって、所与の波長範囲(例えば、950~1250nm、及び/又はその範囲内の特定の波長)に影響を与える。したがって、例えば、硫化ニッケル系含有物は、そのような硫化ニッケル系含有物による異なる波長での反射率の少なくとも分析に基づいて検出かつ識別することができ、含有物及び他の種類の含有物/欠陥が存在しないフロートガラス自体は、それらの波長における反射率に異なる影響を有するため、硫化ニッケル系含有物から区別することができる。
【0013】
この検出システムは、ガラスシートが溶融した材料(例えば、スズ浴)上に形成されて浮き、冷却されるか、又はアニーリング徐冷窯後など、少なくとも部分的に冷却されるフロートプロセスの段階の後など、ガラス製造プロセス中及び/又はその後に実施され得る。少なくとも1つの光源からのエネルギーは、得られるガラスに向けられてもよく、含有物は、反射エネルギーを波長(λ)の関数として分析及び/又は比較することに基づいて検出することができる。
【0014】
本発明の例示的実施形態では、ガラス中の含有物を検出する方法が提供され、このガラスは、重量%で、67~75%のSiO2、5~15%のCaO、0~7%のAl23、及び0~7%のK2Oを含む、基礎ガラス組成物を含み、この方法は、少なくとも1つの光源からガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、異なる波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む。少なくとも1つの光源は、ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出してもよく、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、異なるIR波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいてもよい。
【0015】
本発明の例示的実施形態では、ガラス中の含有物を検出する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの光源からガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、様々な波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む。少なくとも1つの光源は、ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出してもよく、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、様々なIR波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいてもよい。かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、800~2,000nmの範囲内、及び/又は900~1,700nmの範囲内の様々なIR波長での、ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいてもよい。光源は、ガラスの少なくとも下方に任意選択的に配置されてもよく、ガラスからIRを受け取る撮像カメラは、ガラスが光源とカメラとの間に配置され得るように、ガラスの上方に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の例示的実施形態による、フロートガラス中の含有物を検出するためのシステムの図である。
図2】含有物を含まないガラスと、硫化ニッケル系含有物、クロム系含有物、鉄系含有物、及び金属シリコン系含有物などの異なる含有物とが、波長の範囲にわたって波長の関数として異なる分光反射率特性を有することを示す、反射率対波長(nm)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ソーダ石灰シリカ系ガラス1などのガラス中の含有物を検出するための方法及び/又はシステムが提供される。例えば、方法及び/又はシステムは、約30~300μm、より好ましくは約40~200μmのサイズを有する硫化ニッケル含有物及び/若しくはその他微小欠陥を検出するために使用することができ、並びに/又は、そのような硫化ニッケル系含有物を、含有物を含まないガラスと同じサイズ又は別のサイズの他の種類の含有物の両方から区別するために使用することができる。特定の例示的実施形態では、ソーダ石灰シリカ系ガラス1は、重量パーセントで、67~75%のSiO2、10~20%のNa2O、5~15%のCaO、0~7%のAl23、0~7%のMgO、及び0~7%のK2Oを含む、基礎ガラス部分を含む。所望により、ガラスの着色剤部分は、鉄、セレン、コバルト、エルビウムなどの1種以上の着色剤を更に含んでもよい。あるいは、ガラス1は、珪硼酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス等の異なる種類のガラスであってもよい。
【0018】
重量パーセント基準でフロートプロセス又はその他の好適なプロセスを介して作製され得る、本発明の特定例の実施形態によるソーダ石灰シリカ系ガラス1の例には、以下の基本成分が含まれる。
表1:例示的な基礎ガラス
【表1】

【0019】
芒硝及び結晶水等の種々の精製剤を含む、その他の微量成分もまた、基礎ガラスに含まれてよい。特定の実施形態では、例えば、本明細書に記載のガラス1は、精製剤としての芒硝(SO3)を用いて、バッチ原材料のケイ砂、ソーダ灰、ドロマイト、石灰岩から作製されてよい。還元剤及び酸化剤(複数可)もまた、特定の場合に使用されてもよい。特定の場合には、本明細書に記載のソーダ石灰シリカ系ガラス1は、約10~15重量%のNa2O及び約6~12重量%のCaOを含んでよい。上述した基礎ガラス材料に加えて、ガラスバッチ並びに/又は最終ガラス1はまた、所望の方法でガラスに着色及び/若しくは吸収を提供するために、好適な量の鉄、エルビウム、コバルト、セレン等の材料(複数可)を含む着色剤部分を含んでもよい。本発明の特定の例示的実施形態では、ガラス中の鉄の総量は、約0.05~1.2%、より好ましくは約0.3~0.8%であってよい。特定の透明な高透過ガラスの場合、総鉄は約0.005~0.025%であってもよい。ガラス中に存在し、またしたがってその着色剤部分に存在する鉄の総量は、本明細書において、標準的な慣行に従ってFe23に関して表現されている。しかしながら、これは、全ての鉄分が実際にFe23の形態であることを示唆するものではない。同様に、第一鉄状態の鉄の量は、ガラス中の全ての第一鉄状態の鉄がFeOの形態であり得なくても、本明細書ではFeOとして報告される。
【0020】
フロートプロセスを介してガラスを作製する場合、例えば、ガラスバッチ原材料(例えば、シリカ砂、ソーダ灰、ドロマイト、石灰岩、着色剤(複数可)等)を炉又は溶解装置に供給し、炉又は溶解装置内で加熱してガラス溶融物を形成する。ガラスが形成されて連続的に冷却されフロートガラスリボンを形成する、スズ(スズ浴)などの溶融材料の浴上に、ガラス溶融物を注ぐ。フロートガラスリボンは、低速冷却のためにアニーリング徐冷窯に向かって前進する。所望により、アニーリング徐冷窯に入るのに先立って、ガラスシートの横方向縁部(複数可)は、高温状態でトリミングされてもよい。ガラスシートは、典型的には、少なくとも約540℃、より好ましくは少なくとも約580℃の温度でアニーリング徐冷窯の始端に到達し、約540(又は580)~800℃の可能な範囲を有する。アニーリング中、ガラスシートストリップの温度は、アニーリング点(例えば、約538~560℃)から約495~560℃のひずみ点までゆっくりと冷却されるが、これはアニーリング範囲と呼ばれることもある。これらの温度範囲はアニーリングに好ましいが、特定の場合には異なる温度が使用されてもよい。連続ガラスシートは、アニーリング中にローラ又はガスのいずれかによって支持されてもよい。アニーリング後、連続ガラスシートを、切断、追加の冷却、コーティング等の1つ以上などの更なる加工のために移動される。
【0021】
上で説明したとおり、原材料からの不純物、添加剤(複数可)からの硫黄、及び/又はフロートプロセスからの汚染物は、場合により、また予測不可能に、ガラス形成中に不必要な化学化合物(例えば、含有物)を形成するが、これはガラス中の望ましくない欠陥である。例えば、ニッケルは、硫黄と自然に結合して、(NiSなどの任意の好適な化学量論的)硫化ニッケル含有物又は硫化ニッケルに基づいた含有物を形成する。
【0022】
反射光分光法では、本明細書に含まれる基本的特性は、分光反射率及び輝度(又は単に「分光反射率」と呼ばれる)である。分光反射率及び輝度(又は「分光反射率」)は、波長の関数としての入射エネルギーに対する反射エネルギーの比である。分光反射率は、異なる種類の材料の波長によって変化する。ある材料の波長固有反射率は、例えば、特定の化学元素又はイオンのスペクトル吸収、特定の元素のイオン電荷、及び/又は元素間の化学結合の配置に起因し得る。例えば、含有物を含まないソーダ石灰シリカ系ガラス、硫化ニッケル系含有物、クロム系含有物、鉄系含有物、及び金属Si系含有物はそれぞれ、特定の波長範囲にわたって図2に示されるものなどの異なるそれぞれの分光反射率曲線を有する。理解目的に提供される別の例として、カオリナイト及びモンモリロナイトは、土壌中によく見られる粘土鉱物であり、両方のスペクトルにおける1.4μm付近の強い吸収帯は、カオリナイトにおける弱い1.9μm帯と共に水酸化物イオン(OH-1)に起因し、モンモリロナイトにおけるより強い1.9μm帯は、この含水粘土中の結合水分子に起因する。
【0023】
本発明の例示的実施形態では、異なる種類の材料、及び/又は吸収帯(位置及び強度)についてメモリ60内に記憶されたスペクトル曲線をプロセッサ50によって使用して、異なる材料(例えば、硫化ニッケル系含有物、クロム系含有物など)を検出かつ識別することによって、ソーダ石灰シリカ系ガラスなどのガラス1中の含有物の検出かつ同定を可能にする。本発明の特定の例示的実施形態では、マルチスペクトル画像技術は、広い範囲のスペクトル信号(例えば、可視からIRまで、又はIR内のみ)を使用することができ、マルチスペクトル画像に基づく欠陥検出システムは、分光反射率曲線の差(又は値、又は値差)を捕捉し、その差を、例えば異なる材料について記憶された曲線(又は値)に対して分析することによって、ガラス1中の異なる種類の含有物欠陥を同定する。特定の例示的実施形態では、拡張人工知能(AI)によるマルチスペクトル画像手法を、長期にわたって学習される異なる種類の材料(例えば、異なる種類の含有物)の保存された曲線に対して使用することができる。
【0024】
図1は、ローラ3上で方向Dに移動するソーダ石灰シリカ系ガラス1などのガラス中の含有物/欠陥を検出するための例示的なシステムを示す。少なくとも1つのエネルギー/光源LS1及び/又はLS2からのエネルギー(例えば、短波IR、IR、可視、及び/又はこれらの任意の組み合わせ)を、ガラス1に方向付ける。光源LS1及び/又はLS2からの光は、ガラスの上面及び/又は下面に集束されるなど、ガラス1に集束されてもよい、又は集束されなくてもよい。特定の例示的実施形態では、図1のLS1によって示されるものなど、ガラス1の上方のエネルギー/光源のみを使用することができる。しかしながら、特定の例示的実施形態(例えば、図2のスペクトル曲線を得た実施形態)では、図1のLS2によって示されるものなど、ガラス1の下方のエネルギー/光源のみを使用してもよい。ガラス及びその中の任意の含有物は、図1に示されるように、波長の関数として(LS1及び/又はLS2からの)このエネルギーをバンドパスフィルタ40に向けて反射する。ここで説明するように、各材料は、異なる反射特性を有する。例えば、マルチスペクトル画像は、バンドパスフィルタ40を通して、3~7つのスペクトル帯にわたるガラス1からの反射率を捕捉することができる。次いで、受信したガラス1からの反射スペクトルを、メモリ60中の様々な材料(例えば、本明細書で論じられる含有物及び含有物を含まないガラスの種類)について事前に決定されたスペクトル曲線及び/又は値と比較することによって、ガラス中の含有物をプロセッサ50によって検出することができる。特定の例示的実施形態では、マルチスペクトル画像システムは、選択されたバンドパスフィルタ40を備え、プロセッサによる、好適な波長範囲、例えば900~1700nmにわたるNiS又は任意の他の含有物の分光反射率(「指紋」)の発見/特定/決定を可能にする。NiS含有物が、他の金属含有物と比較して明確に異なる分光反射率曲線を有することが見出され、図2に示されている。他の金属含有物(Si-Ballなど)及びNiS含有物は、可視範囲において同様の強度を有することが見出されているが、近IR(NIR)範囲では非常に異なる反射率値を有することが見出されており、本発明の例示的実施形態では、900~1700nmを含む範囲が特に有利であることが見出されている理由である。例えば、本発明の例示的実施形態では、プロセッサ50は、冷却したSWIR InGaAsエリアスキャンカメラ(例えば、40kHzのInGaAsスキャンカメラ)、IR照明源(例えば、LS1及び/又はLS2)、及び50nm帯域通過ステップを伴う950nm~1250nmの特定のOD4フィルタ(カメラと一体でもそうでなくてもよい)を使用する拡張測定手法によって、NiS及び他の金属含有物の異なるそれぞれの分光反射率を特定することができる。ガラスからIRを受信するための撮像装置を含むこのようなカメラは、図1に示される要素40~70を含んでも含まなくてもよい。検出された含有物の識別及び位置などの結果は、メモリ60に記憶されてもよく、及び/又は操作者が見えるようにディスプレイ70上に表示されてもよい。
【0025】
図2は、硫化ニッケル系含有物、クロム系含有物、鉄系含有物、ケイ素系含有物、及び含有物を含まないガラスの、950~1250nmの波長範囲の分光反射特性を示す。図2の様々な含有物及びガラスのスペクトル曲線を得るために、IR光源を、図1のLS2によって示されるようにガラスの下に配置した。例えば、図2は、1000nmにおいて、ケイ素系含有物が約0.18の反射率を有し、クロム系含有物が約0.29の反射率を有し、鉄系含有物が約0.33の反射率を有し、硫化ニッケル系含有物が約0.42の反射率を有し、含有物を含まないガラスがほぼ1.0の反射率を有することを示す。別の例として、図2は、1050nmにおいて、ケイ素系含有物が約0.08の反射率を有し、クロム系含有物が約0.46の反射率を有し、鉄系含有物が約0.32の反射率を有し、硫化ニッケル系含有物が約0.38の反射率を有し、含有物を含まないガラスがほぼ1.0の反射率を有することを示す。別の例として、図2は、1150nmにおいて、ケイ素系含有物が約0.58の反射率を有し、クロム系含有物が約0.06の反射率を有し、鉄系含有物が約0.30の反射率を有し、硫化ニッケル系含有物が約0.38の反射率を有し、含有物を含まないガラスが約1.0の反射率を有することを示す。別の例として、図2は、1200nmにおいて、ケイ素系含有物が約0.58の反射率を有し、クロム系含有物が約0.68の反射率を有し、鉄系含有物が約0.32の反射率を有し、硫化ニッケル系含有物が約0.58の反射率を有し、含有物を含まないガラスが約1.0の反射率を有することを示す。ガラス中の様々な種類の材料について図2に示すそれぞれの分光反射率曲線は、例えば、限定するものではないが、50nmごと及び/又は200msの積分時間など、任意の好適な速度でサンプリングすることによって得ることができる。硫化ニッケル含有物などの含有物を検出かつ識別するために、プロセッサ50がガラス1から受け取った反射率データをメモリ60に記憶されたそのようなデータと比較し、異なる種類の含有物を互いに区別できるように、このような曲線及び/又は値をメモリ60内に記憶できる。例えば、図2からは、プロセッサ50が、ガラス1中のケイ素系含有物、クロム系含有物、鉄系含有物、及び硫化ニッケル系含有物のそれぞれを検出でき、保存され受信された分光反射率データに基づいて、異なる種類の含有物を互いに区別できることがわかる。
【0026】
したがって、本発明の例示的実施形態は、フロートガラスなどのソーダ石灰シリカ系ガラス中の含有物及び/若しくはその他の欠陥(例えば、硫化ニッケル系含有物/欠陥、クロム系含有物/欠陥、鉄系含有物/欠陥、金属Si系含有物/欠陥などの微小含有物)を検出するための方法並びに/又はシステムを含む。本発明の特定の例示的実施形態では、エネルギー(例えば、赤外(IR)及び/又は可視)は、少なくとも1つの光源からガラスに向けて方向付けられてもよく、少なくとも1つの光源から反射されたエネルギー(例えば、屈折光及び/又は散乱光)の異なる波長が分析されて比較され、含有物を、異なる波長での検出された反射率に基づいて検出することができる。このシステムは、ある波長の範囲(例えば、500~2,500nm、又は800~2,000nm、又は900~1,700nm、又は950~1,250nm、又はこれらの範囲のいずれか中の特定の波長)にわたる広範なスペクトル信号を使用することができ、マルチスペクトル画像に基づく含有物/欠陥検出システムは、それらの対応する分光反射率曲線を捕捉して分析し、その間を区別することによって、異なる種類の含有物/欠陥を識別及び/又は区別することができる。例えば、硫化ニッケル含有物/欠陥は、含有物を含まないガラスとは異なって、また、クロム系含有物/欠陥及び鉄系含有物/欠陥などの他の種類の含有物とは異なって、所与の波長範囲(例えば、950~1250nm、及び/又はその範囲内の特定の波長)に影響を与える。したがって、例えば、硫化ニッケル系含有物は、そのような硫化ニッケル系含有物による異なる波長での反射率の少なくとも分析に基づいて検出かつ識別することができ、含有物及び他の種類の含有物/欠陥が存在しないフロートガラス自体は、それらの波長における反射率に異なる影響を有するため、硫化ニッケル系含有物から区別することができる。
【0027】
本発明の例示的実施形態では、ガラスシートが溶融した材料(例えば、スズ浴)上に形成されて浮き、冷却されるか、又はアニーリング徐冷窯後など、少なくとも部分的に冷却されるフロートプロセスの段階後の、ガラス製造プロセス中及び/又はその後に、図1に示されるシステムが提供され得る。ガラス1中の(任意の化学量論的)硫化ニッケル系含有物などの含有物を検出するための図1に示されるシステムは、本発明の特定の例示的実施形態では、アニーリング徐冷窯後、及びガラス切断ステーションの前後において、フロートライン上に配置されてよい。ガラス中に含有物(複数可)が見出される場合、ガラスのその部分は廃棄される、及び/又は熱焼戻しを受けない。あるいは、図1に示される含有物検出システムは、含有物を検出して、熱焼戻しに先立って含有物を伴うガラスを廃棄するために、代わりに、フロートラインと焼戻し炉との間のステーション、又は焼戻し設備内の焼戻し炉の直前のステーションなど、フロートラインから分離して配置されてもよい。このような含有物検出プロセスはまた、(ソーダ石灰シリカ系ガラスを製造するためのフロートプロセス中又はフロートプロセス直後とは対照的に)珪硼酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス等のその他の種類のガラスの製造中又は製造後に利用されてもよい。
【0028】
このようにして作製されたガラスは、含有物が検出されない状態で検出ステーションを通過した後、例えば、限定するものではないが、建築物及び/若しくは車両用ガラス窓用途、太陽電池用途、家具ガラス用途、並びに/又はディスプレイガラス用途に有用である。
【0029】
本発明の例示的実施形態では、ガラス中の含有物を検出する方法が提供され、このガラスは、重量%で、67~75%のSiO2、5~15%のCaO、0~7%のAl23、及び0~7%のK2Oを含む、基礎ガラス組成物を含み、この方法は、少なくとも1つの光源からガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、異なる波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む。
【0030】
直前の段落の方法では、少なくとも1つの光源は、ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出してもよく、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、異なるIR波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいてもよい。
【0031】
前述の2つの段落のいずれかの方法では、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、800~2,000nmの範囲内、場合によっては900~1,700nmの範囲内、及び場合によっては950~1,250nmの範囲内の異なるIR波長での、ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいてもよい。
【0032】
前述の3つの段落のいずれかの方法では、ガラスとガラスから反射エネルギーを受け取るためのカメラとの間に、少なくとも1つのバンドパスフィルタが設けられてもよい。
【0033】
前述の4つの段落のいずれかの方法では、含有物は、硫化ニッケルであってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0034】
前述の5つの段落のいずれかの方法は、異なる波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の異なる材料の異なる含有物を識別し、区別することを更に含んでもよい。
【0035】
前述の6つの段落のいずれかの方法は、異なる波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の硫化ニッケル系含有物とCr系含有物とを識別し、区別することを更に含んでもよい。
【0036】
前述の7つの段落のいずれかの方法は、異なる波長でのガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の硫化ニッケル系含有物と鉄系含有物とを識別し、区別することを更に含んでもよい。
【0037】
前述の8つの段落のいずれかの方法は、少なくとも含有物が検出されたかどうかに基づいて、ガラスの合否を判定することを更に含んでもよい。
【0038】
前述の9つの段落のいずれかの方法では、光源はフロートライン上及び/又はフロートライン内に位置してもよく、フロートラインのアニーリング徐冷窯の後に配置されてもよい。
【0039】
本発明の例示的実施形態では、ガラス中の含有物を検出する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの光源からガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、様々な波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む。
【0040】
直前の段落の方法では、少なくとも1つの光源は、ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出してもよく、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、様々なIR波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいてもよい。
【0041】
前述の2つの段落のいずれかの方法では、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、800~2,000nmの範囲内の様々なIR波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいてもよい。
【0042】
前述の3つの段落のいずれかの方法では、かかるガラス中の含有物の有無を判定することは、900~1,700nmの範囲内の様々なIR波長でのガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく。
【0043】
前述の4つの段落のいずれかの方法では、光源は、ガラスの少なくとも下方に配置されてもよく、ガラスからIRを受け取るカメラは、ガラスが光源とカメラとの間に配置され得るように、ガラスの上方に配置されてもよい。
【0044】
上記の開示を考慮すると、多くのその他の特徴、修正及び改善が、当業者には明らかになるであろう。したがって、このような特徴、修正、及び改善は、本発明の一部であると見なされ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【0045】
1. ガラス中の含有物を検出する方法であって、前記ガラスが、以下を含む基礎ガラス組成物を含み、
【表2】

前記方法が、
少なくとも1つの光源から前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、
異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む、方法。
2. 前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出し、前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、1に記載の方法。
3. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、800~2,000nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、1又は2に記載の方法。
4. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、900~1,700nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、1~3のいずれかに記載の方法。
5. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、950~1,250nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、1~4のいずれかに記載の方法。
6. 前記ガラスと前記ガラスから反射エネルギーを受け取るためのカメラとの間に、少なくとも1つのバンドパスフィルタが設けられている、1~5のいずれかに記載の方法。
7. 前記含有物が硫化ニッケルを含む、1~6のいずれかに記載の方法。
8. 異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる材料の異なる含有物を識別し、区別することを更に含む、1~7のいずれかに記載の方法。
9. 異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の硫化ニッケル系含有物とCr系含有物とを識別し、区別することを更に含む、1~8のいずれかに記載の方法。
10. 異なる波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の硫化ニッケル系含有物と鉄系含有物とを識別し、区別することを更に含む、1~9のいずれかに記載の方法。
11. 少なくとも含有物が検出されたかどうかに基づいて、前記ガラスの合否を判定することを更に含む、1~10のいずれかに記載の方法。
12. 前記光源がフロートライン上及び/又はフロートライン内に位置し、前記フロートラインのアニーリング徐冷窯の後に配置される、1~11のいずれかに記載の方法。
13. ガラス中の含有物を検出する方法であって、前記方法が、
少なくとも1つの光源から前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、
異なる赤外(IR)波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む、方法。
14. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、800~2,000nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づく、13に記載の方法。
15. 異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる材料の異なる含有物を識別し、区別することを更に含む、13~14のいずれかに記載の方法。
16. ガラス中の含有物を検出するシステムであって、前記ガラスが、以下を含む基礎ガラス組成物を含み、
【表3】

前記システムが、
前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けるための少なくとも1つの光源と、
異なる波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
17. 前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出するように構成されており、前記プロセッサが、異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、16に記載のシステム。
18. 前記プロセッサが、800~2,000nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、16~17のいずれかに記載のシステム。
19. 前記プロセッサが、900~1,700nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、16~18のいずれかに記載のシステム。
20. 前記ガラスと前記ガラスから反射エネルギーを受け取るためのカメラとの間に、少なくとも1つのバンドパスフィルタが設けられている、16~19のいずれかに記載のシステム。
21. 前記含有物が硫化ニッケルを含む、16~20のいずれかに記載のシステム。
22. 前記プロセッサが、異なる波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる材料の異なる含有物を識別し、区別するように更に構成されている、16~21のいずれかに記載のシステム。
23. ガラス中の含有物を検出する方法であって、前記方法が、
少なくとも1つの光源から前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けることと、
様々な波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定することと、を含む、方法。
24. 前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出し、前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、23に記載の方法。
25. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、800~2,000nmの範囲内の様々なIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、23~24のいずれかに記載の方法。
26. 前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、900~1,700nmの範囲内の様々なIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、23~25のいずれかに記載の方法。
27. 前記光源が前記ガラスの下方に配置され、前記ガラスからIRを受け取るカメラは、前記ガラスが前記光源と前記カメラとの間に配置されるように、前記ガラスの上方に配置される、23~26のいずれかに記載の方法。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス中の含有物を検出するシステムであって、前記ガラスが、ソーダ石灰シリカ系ガラスであり、
前記システムが、
前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けるための少なくとも1つの光源と、
対応する分光反射率曲線を捕捉して分析することによる異なる波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる含有物を識別し、区別するように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出するように構成されており、前記プロセッサが、異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、800~2,000nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、請求項1~2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、900~1,700nmの範囲内の異なるIR波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の含有物の有無を判定するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガラスと前記ガラスから反射エネルギーを受け取るためのカメラとの間に、少なくとも1つのバンドパスフィルタが設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記含有物が硫化ニッケルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、異なる波長での前記ガラスからの分光反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる材料の異なる含有物を識別し、区別するように更に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
ガラス中の含有物を検出する方法であって、前記方法が、
少なくとも1つの光源から前記ガラスに向けてエネルギーを方向付けることであって、前記ガラスが、ソーダ石灰シリカ系ガラスである、エネルギーを方向付けることと、
対応する分光反射率曲線を捕捉して分析することによる-異なる波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づいて、前記ガラス中の異なる含有物を識別し、区別することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源が、前記ガラスに向けて赤外(IR)エネルギーを含むエネルギーを放出し、前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、異なるIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、800~2,000nmの範囲内の様々なIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、請求項8~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラス中の含有物の有無を前記判定することが、900~1,700nmの範囲内の様々なIR波長での前記ガラスからの反射率値及び/又は輝度値の少なくとも分析に基づく、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光源が前記ガラスの下方に配置され、前記ガラスからIRを受け取るカメラは、前記ガラスが前記光源と前記カメラとの間に配置されるように、前記ガラスの上方に配置される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。