(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094648
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】グルコシノレート含有組成物の製造方法、及びグルコシノレート含有植物からのグルコシノレートの抽出効率を高める方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20230629BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20230629BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20230629BHJP
C07H 15/04 20060101ALI20230629BHJP
A61K 36/31 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/7028 20060101ALN20230629BHJP
A61P 39/02 20060101ALN20230629BHJP
A61P 1/16 20060101ALN20230629BHJP
A61P 39/06 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/125
A23L33/175
C07H15/04 E
A61K36/31
A61K31/7028
A61P39/02
A61P1/16
A61P39/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210065
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塚副 成
(72)【発明者】
【氏名】古口 勝
(72)【発明者】
【氏名】高田 渉
【テーマコード(参考)】
4B018
4C057
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD19
4B018MD27
4B018MD48
4B018ME03
4B018ME04
4B018ME14
4B018MF01
4C057BB02
4C057CC05
4C057DD01
4C057JJ14
4C086AA04
4C086EA05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA75
4C086ZC37
4C088AB15
4C088AC04
4C088BA09
4C088BA13
4C088CA04
4C088CA08
4C088MA02
4C088NA20
4C088ZA75
4C088ZC37
(57)【要約】
【課題】グルコシノレート含有組成物の製造において、グルコシノレート含有植物からの
、グルコシノレートの抽出効率を高めること。
【解決手段】当該課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、グルコ
シノレート含有組成物の製造において、少なくとも、抽出工程を備えることである。当該
抽出工程で抽出されるのは、グルコシノレート含有植物であり、ここで使用される抽出溶
媒は、エタノールと水の混合液であり、当該混合液におけるエタノールの体積割合は、1
%以上、かつ、20%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコシノレート含有組成物の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以
下の工程である:
抽出:ここで抽出されるのは、グルコシノレート含有植物であり、ここで使用される抽
出溶媒は、エタノールと水の混合液であり、当該混合液におけるエタノールの体積割合は
、1%以上、かつ、20%以下である。
【請求項2】
請求項1の製造方法であって、前記抽出時の混合液の温度は、60℃以上である。
【請求項3】
請求項1又は2の製造方法であって、前記グルコシノレート含有植物は、アブラナ科植物
である。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの製造方法であって、前記グルコシノレートは、グルコラファニ
ン、又はグルコラフェニンである。
【請求項5】
グルコシノレート含有植物からのグルコシノレートの抽出効率を高める方法であって、そ
れを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
抽出:ここで抽出されるのは、グルコシノレート含有植物であり、ここで使用される抽
出溶媒は、エタノールと水の混合液であり、当該混合液におけるエタノールの体積割合は
、1%以上、かつ、20%以下である。
【請求項6】
請求項5の方法であって、前記抽出時の混合液の温度は、60℃以上である。
【請求項7】
請求項5又は6の方法であって、前記グルコシノレート含有植物は、アブラナ科植物であ
る。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかの方法であって、前記グルコシノレートは、グルコラファニン、
又はグルコラフェニンである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関係するのは、グルコシノレート含有組成物の製造方法、グルコシノレート含
有植物からのグルコシノレートの抽出効率を高める方法である。
【背景技術】
【0002】
アブラナ科植物に特有の成分として含まれるグルコシノレート類は、植物体やヒトの腸
内菌叢が持つミロシナーゼによってイソチオシアネートに変換された後、体内に吸収され
て多彩な生理作用を示す。特に、ブロッコリースプラウトやブロッコリー種子には、スル
フォファラングルコシノレート(以下、「SGS」という)が多く含まれる。SGSから
変換されるスルフォラファンの生理作用として、解毒作用、肝機能改善効果、抗酸化作用
等が報告されている。
この生理作用に着目し、グルコシノレート、特にSGSを種々の飲食品用途に使用可能
とすることで、多くの消費者の健康に貢献できることが見込まれる。
【0003】
特許文献1が開示するのは、アブラナ科植物由来の搾汁組成物であり、その目的は、グ
ルコシノレート量の増大した搾汁液の製造である。その方法は、特定の加熱条件でケール
を加熱し、搾汁することである。
【0004】
特許文献2が開示するのは、十字花科植物を含む食品の製造方法であり、その目的は、
相当量の第二相誘発ポテンシャルを含有し、インドールグルコシノレートとその分解産物
および甲状腺腫誘発性のヒドロキシブテニルグルコシノレートを無毒性の濃度で含む食品
を提供することである。その方法は、種子の選別、種子の発芽、発芽開始から装用段階ま
での間に前記新芽を収穫して食品を作成することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5726535号公報
【特許文献2】特開2000-502245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
グルコシノレート含有組成物の製造における課題は、グルコシノレート含有植物からの
、グルコシノレートの抽出効率を高めることである。グルコシノレートから変換されたイ
ソチオシアネート(化1)は、機能性の面から有用な成分である反面、揮発性のため不安
定であり、経時的に消失する。そのため、摂取する場合は、摂取する直前、又は体内にお
いてイソチオシアネートに変換されることが好ましい。そのため、飲食品や、その原料と
なる組成物中では安定性の高いグルコシノレートの状態であることが好ましい。
【0007】
【0008】
グルコシノレートを含有する組成物を製造するための、一つの方法は、グルコシノレー
ト含有植物からのグルコシノレートの抽出である。しかしながら、グルコシノレート含有
植物は、グルコシノレートを分解するミロシナーゼを同時に含有するものが多い。そのた
め、グルコシノレート抽出時、又は抽出後における、ミロシナーゼによるグルコシノレー
トの分解に留意する必要がある。
【0009】
また、グルコシノレートを抽出後においても、グルコシノレート植物の中にグルコシノ
レートが残存している場合も多く見られた。そのため、グルコシノレートの抽出方法につ
いても、抽出効率を高めるための、更なる検討の余地がある。
【0010】
つまり、グルコシノレート含有組成物の製造における課題は、グルコシノレート含有植
物からの、グルコシノレートの抽出効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
当該課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、グルコシノレート
抽出時において、高効率で抽出可能な溶媒の組成である。本発明者は、グルコシノレート
の抽出溶媒として、適正な有機溶媒の選択、及び適正な含有比率を見出すことにより、高
効率でグルコシノレートを抽出することを可能とした。
【0012】
グルコシノレート含有組成物の製造方法を構成するのは、少なくとも、抽出工程である。抽出工程で、人又は装置によって抽出されるのは、グルコシノレート含有植物である。ここで使用される抽出溶媒は、エタノールと水の混合液であり、当該混合液におけるエタノールの体積割合は、1%以上、かつ、20%以下である。当該抽出時の混合液の温度は、60℃以上であることが好ましい。また、前記グルコシノレート含有植物は、アブラナ科植物であることが好ましい。さらに、前記グルコシノレートは、グルコラファニン、又はグルコラフェニンであることが好ましい。
【0013】
グルコシノレート含有植物からのグルコシノレートの抽出効率を高める方法を構成するのは、少なくとも、抽出工程である。抽出工程で抽出されるのは、グルコシノレート含有植物である。ここで使用される抽出溶媒は、エタノールと水の混合液であり、当該混合液におけるエタノールの体積割合は、1%以上、かつ、20%以下である。当該抽出時の混合液の温度は、60℃以上であることが好ましい。また、前記グルコシノレート含有植物は、アブラナ科植物であることが好ましい。さらに、前記グルコシノレートは、グルコラファニン、又はグルコラフェニンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明が可能にするのは、グルコシノレート含有植物からの、グルコシノレートの抽出
効率を高めることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】グルコシノレート含有組成物の製造方法の流れ図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<グルコシノレート含有組成物>
本発明の実施に係るグルコシノレート含有組成物とは、(以下、「本組成物」という。
)組成物であって、グルコシノレートを含有することを特徴とするものである。例示する
と、グルコシノレートを含有する搾汁、グルコシノレートを含有する植物抽出物(エキス
)、グルコシノレートを含有する精製物、並びに、それらの濃縮物、乾燥物、及び粉末、
等である。
【0017】
<グルコシノレート>
グルコシノレート類とは、化2の構造式で示される、グルコースおよびアミノ酸の誘導
体であり、硫黄と窒素を含む有機化合物の一群である。本発明におけるグルコシノレート
は、特に限定されないが、例示すると、スルフォラファングルコシノレート(グルコラフ
ァニンとも呼ばれる)、シニグリン、グルコエルシン、グルコブラシシン、グルコラフェ
ニン、グルコラファサティン、フェネチルグルコシノレート等であり、本発明においては
、特にスルフォラファングルコシノレートであることが好ましい。これらのグルコシノレ
ートのうち1種、又は複数種用いてもよい。
【0018】
【0019】
<グルコシノレート含有植物、及びアブラナ科植物>
本発明におけるグルコシノレート含有植物とは、植物であって、グルコシノレートを含
有するものをいう。特に、本発明におけるグルコシノレート含有植物は、アブラナ科植物
であることが好ましい。本発明におけるアブラナ科植物とは、植物であって、アブラナ科
に分類されるものをいう。例示すると、キャベツ、ブロッコリー、ケール、クレソン、コ
マツナ、チンゲンサイ、カイワレダイコン、カリフラワー、ハクサイ、ナバナ、タカナ、
コールラビ、等が含まれる。これらの植物のうち1種、又は複数種用いてもよい。また、
これら植物の部位(花、葉や茎)の全部、又は一部を用いてもよく、スプラウトや種子を
用いても良い。本発明において特に好ましい態様は、ブロッコリースプラウト、又はブロ
ッコリー種子である。
【0020】
植物の搾汁とは、植物を破砕して搾汁し或いは裏ごしして得られる搾汁、これを濃縮し
た濃縮汁、及び、濃縮汁を希釈還元したものを意味する。これらは、さらに他の成分(例
えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有していてもよい。
【0021】
植物の抽出物とは、植物から溶媒を用い植物に含まれる成分を抽出したもの、及びこれ
を濃縮したものである。
【0022】
<本グルコシノレート含有組成物の製造方法>
本組成物の製造方法(以下、「本製法」という。)を主に構成するのは、抽出工程、加
熱工程、濃縮工程、殺菌工程、充填工程、冷却工程である。
【0023】
<抽出(S010)>
抽出の目的は、グルコシノレート含有植物から、グルコシノレートを抽出することであ
る。グルコシノレート含有植物が、抽出溶媒に浴することで、グルコシノレートが抽出溶
媒に溶け出す。抽出溶媒の温度を高めることで、抽出時間を短縮できる。また、抽出溶媒
の温度を高めることで、グルコシノレート含有植物中のミロシナーゼを失活することがで
きる。そのような観点から、当該植物からグルコシノレートを抽出するときの温度は、6
0℃以上、かつ95℃以下であり、好ましくは、70℃以上、かつ95℃以下である。
【0024】
<抽出溶媒>
本発明において、前記抽出時に使用する抽出溶媒は、有機溶媒と水との混合液である。
また、当該有機溶媒は、エタノールである。当該混合液におけるエタノールの体積割合は
、好ましくは、1%以上、かつ20%以下である。より好ましくは、5%以上、かつ、2
0%以下である。
【0025】
<加熱(S020)>
加熱の目的の一つは、グルコシノレート含有植物に含まれるミロシナーゼの失活である
。当該加熱を行うことにより、ミロシナーゼが失活し、グルコシノレートの分解が抑制さ
れる。加熱の目的のもう一つは、殺菌である。当該加熱の時期は、特に限定されない。加
熱の時期の一つの態様は、前記抽出工程の前である。グルコシノレート含有植物を直接、
又は間接的に加熱することによって、植物に含まれるミロシナーゼを失活することができ
る。加熱の時期のもう一つの態様は、前記抽出と同時である。また、加熱の時期のもう一
つの態様は、後述する濃縮と同時、又は濃縮の後である。加熱時の温度は、特に限定され
ない。ミロシナーゼの失活の観点から、好ましくは、温度の下限は、60℃である。より
好ましくは、70℃である。また、好ましくは、温度の上限は、100℃である。
【0026】
<濃縮(S030)>
濃縮の目的は、本組成物のハンドリングの向上である。液体の組成物を濃縮することで
、液体の容積が減る。つまり、液体の保管コストが下がる。濃縮方法は、公知の方法で良
く、例えば、真空濃縮、膜濃縮、凍結濃縮等である。
【0027】
<殺菌、冷却(S040)、充填(S050)>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌、充填及び冷却である。殺菌方法は、
公知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。冷却方
法は、公知の方法で良い。充填方法は、公知の方法でよい。本飲食品が充填される(詰め
られる)容器は、公知の物で良く、例示すると、缶、瓶、紙容器、ポリエチレン製容器等
である。
【0028】
<グルコシノレート含有飲食品>
本発明に係るグルコシノレート含有飲食品(以下、「本飲食品」という。)とは、グル
コシノレートを含有する飲料又は食品のことを示す。本飲食品は、原料として、本発明に
係るグルコシノレート含有組成物を含有するものであることが好ましい。飲料は、清涼飲
料、スムージー等、一般に飲料と認識されるものであれば、特に限定されない。本飲食品
は、スープ等、一部固形分が含まれるものも含む。
【0029】
<生理活性>
本グルコシノレート含有飲食品は、グルコシノレートの有する機能性が強化されている
。当該観点から、本飲食品は、肝機能改善効果、血糖値改善効果、糖尿病予防効果、ピロ
リ菌除菌効果、肺活量・呼吸機能改善効果、LDLコレステロール低下効果、大気汚染物質
の排泄促進効果、便通改善効果、記憶力や注意力改善効果、統合失調症緩和効果、肥満予
防・改善効果、脂肪肝予防・改善効果、認知症予防効果、認知機能改善効果、腸内菌叢改
善効果、うつ病予防効果、前立腺予防効果、からなる群より選択される少なくとも1つの
機能性を有するものであっても良い。
【実施例0030】
本組成物を具現化したのは、試験例1乃至5である。ただし、これらの実施例によって
、本発明に係る特許請求の範囲が限定されるものではない。
【0031】
<SGS濃度の測定>
本測定で採用したSGSの測定方法は、HPLC法である。試料は適宜希釈し、フィル
ター濾過したものを検体とした。詳細な測定条件は、以下のとおりである。
【0032】
<HPLC測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H-Classシステム(Waters社製)
カラム:ACQUITYCSH C18(Φ2.1×100mm,1.7μm)(Wa
ters社製)
カラム温度:30℃
サンプル注入量:10μL
移動相A:超純水:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
移動相B:メタノール:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
グラジエント:5分間 移動相B割合0%を維持
10分間で移動相B割合0→10%のリニアグラジエント
5分間で移動相B割合10→100%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合100%を維持
2分間で移動相B割合100→0%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合0%を維持
流速:0.1mL/min
検出波長:235nm
【0033】
<SGS回収率>
本実施例において、SGS回収率とは、比較例1における試料のSGS濃度を100と
したときの、各試験例における試料のSGS濃度の比率を示したものである。表1及び表
2に記載の数値は、いずれもn=2における平均値である。
【0034】
<比較例1>
市販のブロッコリーの種子(販売元:プラントライフデザイン)を、オートクレーブに
より、90℃で10分間加熱処理を行った。オートクレーブ後の種子2gに対して、10
gの水を混合し、恒温槽を用いて、70℃で60分間、攪拌しながら加温した。加温後の
種子は取り除き、液部を回収し、液部のSGS濃度を測定した。
【0035】
<試験例1乃至8>
市販のブロッコリーの種子(販売元:プラントライフデザイン)を、オートクレーブに
より、90℃で10分間加熱処理を行った。オートクレーブ後の種子2gに対して、10
gのエタノール及び水の混合液を混合し、恒温槽を用いて、70℃で60分間、攪拌しな
がら加温した。混合液におけるエタノールの体積割合は、1%、5%、10%、15%、
20%、30%、50%、及び70%として、各試験区分をそれぞれ、試験例1乃至8と
した。加温後の種子は取り除き、液部を回収し、液部のSGS濃度、及びSGS回収率を
測定した(表1)。
【0036】
<試験例9乃至12>
市販のブロッコリーの種子(販売元:プラントライフデザイン)を、オートクレーブに
より、90℃で10分間加熱処理を行った。オートクレーブ後の種子2gに対して、10
gのエタノール及び水の混合液を混合し、恒温槽を用いて、70℃で60分間、攪拌しな
がら加温した。混合液におけるプロパノールの体積割合は、10%、30%、50%、及
び70%として、各試験区分をそれぞれ、試験例9乃至12とした。加温後の種子は取り
除き、液部を回収し、液部のSGS回収率を算出した(表2)。
【0037】
<SGS抽出効率向上評価>
本試験において、対照区分と比較して、SGS回収率が高い区分をSGS抽出効率向上
評価「〇」とした。また、対照区分と比較して、SGS回収率が低い区分を、SGS抽出
効率向上評価「×」とした。
【0038】
【0039】
【0040】
<結果、まとめ>
ブロッコリー種子からSGSを抽出する際、水及びエタノールの混合液を抽出溶媒とし
て用いることにより、SGSの抽出効率が向上した。特に、エタノール比率1%以上、か
つ20%以下の混合液を用いるときに、SGSの抽出効率が向上した。一方、抽出溶媒と
して、プロパノールを用いた場合、SGSの抽出効率は向上せず、逆に低下する結果とな
った。
【0041】
以上の試験結果から、グルコシノレート植物からグルコシノレートを抽出する際、抽出
溶媒として、水とエタノールの混合液を用いることが有効であることがわかった。特に、
エタノール比率が、1%以上、かつ、20%以下の混合溶媒を用いることにより、グルコ
シノレートの抽出効率が向上することがわかった。これにより、グルコシノレートの抽出
効率を向上させ、回収率を高めたグルコシノレート含有組成物を製造することが可能であ
ることがわかった。