IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズインダストリー株式会社の特許一覧

特開2023-94659伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法
<>
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図1
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図2
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図3
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図4
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図5
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図6
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図7
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図8
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図9
  • 特開-伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094659
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230629BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230629BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210085
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】516047175
【氏名又は名称】三菱重工パワーインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】仲達 俊介
(72)【発明者】
【氏名】旗手 朋和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 正則
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】伝熱管の損傷の原因を推論することによって伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことを可能とする、伝熱管損傷原因推論装置を提供する。
【解決手段】過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルを生成するように構成された機械学習部と、損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得するように構成された対象画像データ取得部と、を備え、学習モデルは、対象画像データ取得部によって取得した対象画像データを入力されることにより、対象伝熱管の損傷原因の推論結果を出力するように構成される。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルを生成するように構成された機械学習部と、
前記損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得するように構成された対象画像データ取得部と、
を備え、
前記学習モデルは、前記対象画像データ取得部によって取得した前記対象画像データを入力されることにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を出力するように構成された、伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項2】
前記教師データは、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた場所情報であって前記学習用画像データに示される伝熱管の場所を示す場所情報を含む、請求項1に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項3】
前記学習モデルが出力する前記推論結果は、前記対象伝熱管の損傷原因の複数の候補と、前記複数の候補の各々の確率とを含む、請求項1又は2に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項4】
ユーザ側の端末に表示する表示画面の画面データを出力する画面データ出力部を備え、
前記画面データ出力部によって出力する前記画面データは、前記学習モデルが出力する前記推論結果と、前記推論結果に含まれる前記複数の候補のうち最も確率が高い候補の損傷原因についての過去の事例に関する参考情報と、を含む、請求項3に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項5】
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンクを含む、請求項4に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項6】
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考文書の画像を含む、請求項4又は5に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項7】
画像部分と前記画像部分以外の部分とを含む画像データから前記学習用画像データを生成するための学習用画像データ生成部を更に備え、
前記学習用画像データ生成部は、前記画像データのうち特徴量が所定の条件を満たす特徴部の集合を推論し、前記画像データのうち、前記集合が占める範囲における最小のX座標及び最大のX座標並びに最小のY座標及び最大のY座標によって画定される四角形の内側の部分を画像として抽出することによって、前記学習用画像データを生成するように構成された、請求項1乃至6の何れか1項に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項8】
損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得する対象画像データ取得ステップと、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いた機械学習によって生成された、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルについて、前記対象画像データ取得ステップで取得した前記対象画像データを前記学習モデルに入力することにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を前記学習モデルが出力するステップと、
を備える、伝熱管損傷原因推論方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボイラ炉壁の伝熱管に関して、パウダスケールなどに起因した過熱損傷のリスクが高い部位を判定する方法が開示されている。この方法では、炉壁の複数の部位の温度をそれぞれ2回計測し、各回の温度の差分から統計的処理によって閾値を設定し、差分が閾値から逸脱した部位を高リスク部位と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-132240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来は、伝熱管に噴破等の損傷が発生すると、現地に作業員を派遣して対象部位を詳細に調査した上で原因を特定し、その後に具体的な対処(例えば交換部品の手配等)をすることとなり、伝熱管を含むプラントの運転を長時間停止する必要があった。このため、プラントの稼働率を高めるために伝熱管の損傷の原因を速やかに特定することが求められている。
【0005】
この点、特許文献1に記載の方法では、高リスク部位と判定された部分を監視して必要に応じて洗浄等を行うことによって、伝熱管の損傷の発生を抑制することはできるものの、実際に伝熱管の損傷が発生した場合に、その原因を推論することはできず、伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことができない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、伝熱管の損傷原因を推論することによって伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことを可能とする、伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係る伝熱管損傷原因推論装置は、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、画像データから伝熱管の損傷原因を推論するための学習モデルを生成するように構成された機械学習部と、
損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得するように構成された対象画像データ取得部と、
を備え、
前記学習モデルは、前記対象画像データ取得部によって取得した前記対象画像データを入力されることにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を出力するように構成される。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係る伝熱管損傷原因推論方法は、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルを生成する機械学習ステップと、
前記損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得する対象画像データ取得ステップと、
前記対象画像データ取得ステップで取得した前記対象画像データを前記学習モデルに入力することにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を前記学習モデルが出力するステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、伝熱管の損傷原因を推論することによって伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことを可能とする、伝熱管損傷原因推論装置及び伝熱管損傷原因推論方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る伝熱管噴破原因推論装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2図1に示した伝熱管噴破原因推論装置2の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】上述した伝熱管噴破原因推論装置2を用いた伝熱管損傷原因の推論及び表示のフローの一例を示す図である。
図4】学習用画像データ生成部12によって学習用画像データDflを生成するフローの一例を示す図である。
図5】学習用画像データ生成部12が取得する画像データDbの一例を示す図である。
図6】学習モデルMd0が推論した画像部分を示す図である。
図7】学習用画像データの生成方法を説明するための図である。
図8】対象画像データDa等をユーザ側の端末14から伝熱管噴破原因推論装置2に入力する際のユーザ側の端末14の表示部14dの表示画面E1の一例を示す図である。
図9図8において推論ボタンF6を押すことで端末14の表示部14dに出力される表示画面E2の一例を示す図である。
図10図8において推論ボタンF6を押すことで端末14の表示部14dに出力される表示画面E2の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
(伝熱管噴破原因推論装置2の構成及び機能)
図1は、本開示の一実施形態に係る伝熱管噴破原因推論装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図2は、図1に示した伝熱管噴破原因推論装置2の機能的な構成の一例を示すブロック図である。伝熱管噴破原因推論装置2は、以下で説明するように、不図示のボイラの熱交換器等に用いられる伝熱管の噴破原因を推論するための装置である。
【0013】
図1に示すように、伝熱管噴破原因推論装置2は、例えばプロセッサ72、RAM(Random Access Memory)74、ROM(Read Only Memory)76、HDD (Hard Disk Drive)78、入力I/F80、及び出力I/F82を含み、これらがバス84を介して互いに接続されたコンピュータを用いて構成される。なお、伝熱管噴破原因推論装置2のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせにより構成されてもよい。また伝熱管噴破原因推論装置2は、伝熱管噴破原因推論装置2の各機能を実現するプログラムをコンピュータが実行することにより構成される。以下で説明する伝熱管噴破原因推論装置2における各部の機能は、例えばROM76に保持されるプログラムをRAM74にロードしてプロセッサ72で実行するとともに、RAM74やROM76におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0014】
図2に示すように、伝熱管噴破原因推論装置2は、対象画像データ取得部4、機械学習部6、参考情報記憶部8、参考情報検索部9、画面データ出力部10、及び学習用画像データ生成部12を備える。
【0015】
対象画像データ取得部4は、噴破原因を推論する対象である対象伝熱管について、対象伝熱管の噴破部を示す画像データである対象画像データDaを取得するように構成される。対象画像データ取得部4は、例えばユーザ側の端末14から情報通信ネットワークNcを介して対象画像データDaを取得する。対象画像データ取得部4は、対象画像データDaとともに、対象画像データDaが示す伝熱管の場所を示す場所情報Saを対象画像データDaに関連付けて取得してもよい。
【0016】
機械学習部6は、過去に噴破原因を特定された伝熱管の噴破部をそれぞれ示す複数の学習用画像データDflと、複数の学習用画像データDflの各々に関連付けられた噴破原因Cdと、を含む教師データDtを用いて機械学習を行うことにより、画像データから伝熱管の噴破原因を推論するための学習モデルMd1を生成するように構成される。ここで、機械学習部6が機械学習に用いる教師データDtは、複数の学習用画像データDflの各々に関連付けられた場所情報Stを含んでいてもよく、場所情報Stは、学習用画像データDflに示される伝熱管の場所を示す情報である。
【0017】
学習モデルMd1は、対象画像データ取得部4によって取得した対象画像データDa(対象画像データDaに関連付けられた上記場所情報Saを対象画像データ取得部4が取得した場合には対象画像データDa及び場所情報Sa)を入力されることにより、対象伝熱管の噴破原因の推論結果Riを出力する。学習モデルMd1が出力する上記推論結果Riは、対象伝熱管の噴破原因の複数の候補と、複数の候補の各々の確率とを含む。
【0018】
参考情報記憶部8は、伝熱管の複数の噴破原因について過去の事例に関する参考情報(例えば伝熱管を含むボイラ等のプラントの事故報告書等)を記憶している。
【0019】
参考情報検索部9は、学習モデルMd1から出力された推論結果Riに含まれる上記複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考情報Irを参考情報記憶部8に記憶された参考情報から検索して取得する。参考情報検索部9によって参考情報記憶部8から取得される参考情報Irは、推論結果Riに含まれる上記複数の候補のうち、最も確率が高い候補だけでなく、2番目以降に確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考情報を含んでいてもよい。
【0020】
画面データ出力部10は、ユーザ側の端末14に表示する表示画面の画面データDsを出力するように構成される。画面データ出力部10によって出力される画面データDsは、学習モデルMd1が出力する推論結果Riと、参考情報検索部9によって取得された上記参考情報Irを含む。画面データ出力部10によって出力された画面データDsは、情報通信ネットワークNcを介してユーザ側の端末14に送信され、端末14の表示部14dに表示される。
【0021】
学習用画像データ生成部12は、過去に作成された事故報告書等の画像データDbから上述の学習用画像データDflを生成するように構成される。この画像データDbは、例えば事故報告書等をスキャニングすることで生成されるpdfファイル等であってもよく、画像部分と、画像以外の部分(背景等の非画像部分)とを含んでいてもよい。学習用画像データ生成部12は、学習モデルMd0を用いて、画像データDbから、画像部分を推論して抽出する(切り取る)ことによって、学習用画像データDflを生成する。
【0022】
これにより、過去に作成された事故報告書等の多くの画像データDbから、上述の教師データDtとして使用するための多くの学習用画像データDflを生成することができる。なお、学習用画像データ生成部12は、画像データにおける画像部分と画像部分以外の部分とを指示する教師データD0を用いて機械学習を行うことによって学習モデルMd0を生成する。学習用画像データ生成部12による学習用画像データDflの生成方法の詳細については後述する。
【0023】
図3は、上述した伝熱管噴破原因推論装置2を用いた伝熱管噴破原因の推論及び表示のフローの一例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、S101において、対象画像データ取得部4は、噴破原因を推論する対象である対象伝熱管について、対象伝熱管の噴破部を示す画像データである対象画像データDaを取得する。対象画像データ取得部4は、例えばユーザ側の端末14から情報通信ネットワークNcを介して対象画像データDaを取得する。
【0025】
S102において、機械学習部6の学習モデルMd1は、対象画像データ取得部4によって取得した対象画像データDaを入力されることにより、対象伝熱管の噴破原因の推論結果Riを出力する。
【0026】
S103において、参考情報検索部9は、学習モデルMd1から出力された推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち、最も確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考情報Irを参考情報記憶部8から検索して取得する。
【0027】
S104において、画面データ出力部10は、学習モデルMd1から出力された推論結果Riと、参考情報検索部9によって取得された上記参考情報Irと、を含む画面データDsを出力する。画面データ出力部10によって出力された画面データDsは、ネットワークNcを介してユーザ側の端末14に送信され、端末14の表示部14d(例えばディスプレイ等)に表示される。
【0028】
図4は、学習用画像データ生成部12によって学習用画像データDflを生成するフローの一例を示す図である。
【0029】
図4に示すように、S201において、学習用画像データ生成部12は、過去に作成された事故報告書等の画像データDb(例えば図5参照)を取得する。この画像データDbは、画像部分と画像以外の部分(背景等の非画像部分)とを含む。S202において、学習用画像データ生成部12は、S201で取得した画像データDbにおける特徴量が所定の条件を満たす画像部分(特徴部)を学習モデルMd0を用いて推論する。学習用画像データ生成部12は、例えば、画像データDbにおける画素毎に、推論の対象である対象画素及び対象画素の周囲の画素の明度や色を特徴量として画像部分の推論をおこなってもよい。この場合、対象画素とその周囲の多くの画素が連続して同色である場合にはそれらの画素を背景として判断し(すなわち画像部分でないと判断し)、対象画素とその周囲の画素に多くの色が含まれる場合にはそれらの画素を画像部分として判断してもよい。また、例えばS201で図5に示す画像データDbが取得された場合には、S202において、学習モデルMd0は図6における黒色部によって示される画像部分を推論する。S203において、学習用画像データ生成部12は、S202で推論した画像部分のうち連続した画像部分の面積を算出する。
【0030】
S204において、学習用画像データ生成部12は、ある程度大きな画像面積を有する学習用画像データを効率的に生成するために、S203で算出した面積が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。S204において、S203で算出した面積が閾値以上である場合には、S205において、S201で取得した画像データDbにおける連続した画像部分の集合Gを四角形(長方形又は正方形)で囲んだ部分を抽出する(切り取る)ことによって、学習用画像データDflを生成する。例えば、S202で図5に示す画像データDbから図6に示す画像部分(黒色部)を推論した場合、S205では、連続した画像部分の集合Gが占める範囲における最小のX座標Xmin及び最大のX座標Xmax並びに最小のY座標Ymin及び最大のY座標Ymaxによって規定される四角形Kの内側の部分(例えば図7におけるXmin,Xmax,Ymin,Ymaxによって規定される左下の四角形Kの範囲に対応する部分)を画像として抽出することによって、学習用画像データDflを生成する。なお、図7に示す例では、横軸がX軸、縦軸がY軸であり、図の右側がX軸の正の方向、図の下側がY軸の正の方向を示している。
【0031】
S204においてS203で算出した面積が閾値以上でないと判断した場合、又は、S205を実行した場合には、S206において、S202で他に推論した画像部分があるか否かを判定し、他に推論した画像部分があれば、S203に戻ってその画像部分についてS203~S205を実行する。S206においてS202で他に推論した画像部分がない場合には、画像データDbを用いた学習用画像データDflの生成を終了する。図7に示す例では、学習用画像データ生成部12は、画像データDbから3つの四角形Kの範囲にそれぞれ対応する3つの画像部分を抽出することによって、3つの学習用画像データDflを生成している。
【0032】
次に、上述の対象画像データDa等をユーザ側の端末14から伝熱管噴破原因推論装置2に入力する際のユーザ側の端末14の表示部14dの表示画面E1の一例を、図8を用いて説明する。図8に示す表示画面E1は、画面データ出力部10の出力に基づいて端末14の表示部14dに表示される。
【0033】
図8に示すように、表示画面E1は、対象伝熱管の噴破部を含む画像データのファイルを特定するためのファイル名入力欄F1と、ファイル名入力欄F1に入力された画像データを表示する画像データ表示部F2と、画像データ表示部F2に表示された画像データの一部を切り取って対象画像データDaとして抽出するためのフレームF3と、画像データ表示部F2に表示された画像データのサイズを調節するためのサイズ調節ボタンF4と、フレームF3の上下左右の位置を調節するためのフレーム位置調節ボタンF5と、フレームF3によって切り取られた対象画像データDaについて、対象画像データDaに示される対象伝熱管の噴破原因の推論を実行するための推論ボタンF6と、表示画面E1の情報を更新するための情報更新ボタンF0とを含む。
【0034】
また、表示画面E1は、フレームF3のX座標、Y座標、幅及び高さを示す数値を入力する数値入力欄F7を含む。ここで、フレームF3のX座標及びY座標は、フレームF3の特定位置のX座標及びY座標であり、例えばフレームF3のX座標の最小値及びフレームF3のY座標の最小値(例えば図8におけるフレームF3の左上の角のX座標及びY座標)であってもよい。なお、図8におけるフレームF3の左上の角とは、フレームF3の4つの角のうち「検索画像」の文字に最も近い角を意味する。また、表示画面E1は、噴破した対象伝熱管の場所(例えばボイラの過熱器や再熱器等)を入力する場所入力欄F8と、噴破した対象伝熱管を識別する識別情報(例えば管番号等)を入力する管入力欄F9と、を含む。対象伝熱管の場所及び識別情報は、上述の場所情報Saに相当する。
【0035】
図9は、図8における推論ボタンF6を押すことで端末14の表示部14dに出力される表示画面E2の一例を示す図である。
【0036】
図9に示すように、表示画面E2は、上記表示画面E1でフレームF3によって切り取られた対象画像データDaと、学習モデルMd1から出力された推論結果Riと、参考情報検索部9によって取得された参考情報Irと、を含む。
【0037】
推論結果Riは、上記表示画面E1でフレームF3によって切り取られた対象画像データDaと、場所入力欄F8に入力された対象伝熱管の場所と、管入力欄F9に入力された対象伝熱管の識別情報と、が学習モデルMd1に入力されることにより、学習モデルMd1から出力される。
【0038】
図示する例では、推論結果Riは、対象伝熱管の噴破原因の複数の候補(エロージョン、クリープ破壊、硫酸露点腐食、腐食疲労、その他合計)と、複数の候補の各々の確率とを含む。また、参考情報Irは、推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因(図示する例ではエロージョン)についての過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンクF10(例えば事故報告書等の文書の所在を示す情報)を含む。なお、表示画面E2に表示される参考情報Irは、推論結果Riに含まれる上記複数の候補のうち2番目以降に確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンクを更に含んでいてもよい。
【0039】
図10は、図8において推論ボタンF6を押すことで端末14の表示部14dに出力される表示画面E2の他の一例を示す図である。
【0040】
図10に示す表示画面E2は、図9に示す表示画面E2と参考情報Irの内容のみが異なっており、その他は同一である。図10に示す表示画面E2では、参考情報Irは、推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因(図示する例ではエロージョン)についての過去の事例に関する参考文書の画像F11(例えば事故報告書等の文書の画像)を含む。なお、表示画面E2に表示される参考情報Irは、推論結果Riに含まれる上記複数の候補のうち、2番目以降に確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考文書の画像を含んでいてもよい。
【0041】
(伝熱管噴破原因推論装置2が奏する効果)
次に、上記伝熱管噴破原因推論装置2が奏する効果について説明する。
上記伝熱管噴破原因推論装置2によれば、過去に噴破原因を特定された伝熱管の噴破部をそれぞれ示す複数の学習用画像データDflと、複数の学習用画像データDflの各々に関連付けられた噴破原因Cdと、を含む教師データDtを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の噴破部の画像データと伝熱管の噴破原因との関係についての過去の知見の蓄積を反映した学習モデルMd1を機械学習部6によって生成することができる。このため、生成した学習モデルMd1に対象画像データDaを入力することにより、対象画像データDaが示す対象伝熱管の噴破原因を精度良く推論することができる。これにより、伝熱管の噴破に対して迅速な対処を行うことが可能となる。
【0042】
また、上記教師データDtは、複数の学習用画像データDflの各々に関連付けられた場所情報Stであって学習用画像データDflに示される伝熱管の場所を示す場所情報Stを含む。このため、伝熱管の噴破部を示す画像データと伝熱管の場所と伝熱管の噴破原因との関係についての過去の知見の蓄積を反映した学習モデルMd1を機械学習部6によって生成することができる。これにより、対象伝熱管の噴破原因の推論精度を向上することができる。
【0043】
また、上記学習モデルMd1が出力する推論結果Riは、対象伝熱管の噴破原因の複数の候補と、複数の候補の各々の確率とを含む。このため、噴破原因の候補の確率を考慮して、伝熱管の噴破に対して効率的に対処を行うことができる。
【0044】
また、画面データ出力部10によって出力する画面データDsは、学習モデルMd1が出力する推論結果Riと、推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち最も確率が高い候補についての過去の事例に関する参考情報Irと、を含む。このため、複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考情報Irを考慮して、伝熱管の噴破に対して効率的に対処を行うことができる。
【0045】
また、図9に示す例では、参考情報Irは、推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンクF10を含む。このため、学習モデルMd1が出力する推論結果Riと参考情報Irとを含む画面データDsをユーザ側の端末14に表示する際に、画面データDsの情報量が過剰に多くなることを抑制し、伝熱管の噴破に対処するために必要な情報を容易に把握することが可能となる。
【0046】
また、図10に示す例では、参考情報Irは、参考情報Irは、推論結果Riに含まれる噴破原因の複数の候補のうち最も確率が高い候補の噴破原因についての過去の事例に関する参考文書の画像F11を含むため、学習モデルMd1が出力する推論結果Riと参考情報Irとを含む画面データDsをユーザ側の端末14に表示する際に、参考文書の画像F11によって過去の事例の内容を容易に把握することが可能となる。
【0047】
また、図7等に示したように、画像データDbのうち、集合Gが占める範囲における最小のX座標Xmin及び最大のX座標Xmax並びに最小のY座標Ymin及び最大のY座標Ymaxによって規定される四角形Kの内側の部分(四角形Kの範囲に対応する部分)を画像として抽出することによって、学習用画像データDflを生成することができる。このため、例えば画像データDbの中に1つ又は複数の画像領域(特徴部の複数の集合G)がある場合において、画像データDbから各画像領域に対応する部分を適切に抽出して学習用画像データDflを効率的に生成し、学習モデルMd1における噴破原因の推論精度を向上することができる。
【0048】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0049】
例えば、上述した実施形態では、伝熱管の損傷の一例である伝熱管の噴破(伝熱管に伝熱管の内外を連通する貫通孔が形成された状態)の原因を推定する伝熱管噴破原因推論装置を示したが、本開示は、伝熱管の噴破に限らず伝熱管の損傷(例えば伝熱管の表面の傷等)の原因を推論する伝熱管損傷原因推論装置に適用可能である。伝熱管損傷原因推論装置の構成、機能及び効果等は、上述した伝熱管噴破原因推論装置2の説明について「噴破」を「損傷」と読み替えることにより理解される。
【0050】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0051】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る伝熱管損傷原因推論装置(例えば上述の伝熱管噴破原因推論装置2)は、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データ(例えば上述の複数の学習用画像データDfl)と、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因(例えば上述の噴破原因Cd)と、を含む教師データ(例えば上述の教師データDt)を用いて機械学習を行うことにより、画像データから伝熱管の損傷原因を推論するための学習モデル(例えば上述の学習モデルMd1)を生成するように構成された機械学習部(例えば上述の機械学習部6)と、
損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データ(例えば上述の対象画像データDa)を取得するように構成された対象画像データ取得部(例えば上述の対象画像データ取得部4)と、
を備え、
前記学習モデルは、前記対象画像データ取得部によって取得した前記対象画像データを入力されることにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果(例えば上述の推論結果Ri)を出力するように構成される。
【0052】
上記(1)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の損傷部の画像データと伝熱管の損傷原因との関係についての過去の知見の蓄積を反映した学習モデルを機械学習部によって生成することができる。このため、生成した学習モデルに対象画像データを入力することにより、対象画像データが示す対象伝熱管の損傷原因を精度良く推論することができる。これにより、伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことが可能となる。
【0053】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
前記教師データは、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた場所情報(例えば上述の場所情報Stであって前記学習用画像データに示される伝熱管の場所を示す場所情報を含む。
【0054】
上記(2)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、損傷部の画像データと損傷部の場所と損傷原因との関係についての過去の知見の蓄積を反映した学習モデルを機械学習部によって生成することができる。これにより、対象伝熱管の損傷原因の推論精度を向上することができる。
【0055】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
前記学習モデルが出力する前記推論結果は、前記対象伝熱管の損傷原因の複数の候補と、前記複数の候補の各々の確率とを含む。
【0056】
上記(3)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、損傷原因の候補の確率を考慮して、伝熱管の損傷に対して効率的に対処を行うことができる。
【0057】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
ユーザ側の表示端末に表示する表示画面の画面データを出力する画面データ出力部(例えば上述の画面データ出力部10)を備え、
前記画面データ出力部によって出力する前記画面データは、前記学習モデルが出力する前記推論結果と、前記推論結果に含まれる前記複数の候補のうち最も確率が高い候補の損傷原因についての過去の事例に関する参考情報(例えば上述の参考情報Ir)と、を含む。
【0058】
上記(4)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、複数の候補のうち最も確率が高い候補の損傷原因についての過去の事例に関する参考情報を考慮して、伝熱管の損傷に対して効率的に対処を行うことができる。
【0059】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンク(例えば上述のリンクF10)を含む。
【0060】
上記(5)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、学習モデルが出力する推論結果と参考情報とを含む画面データをユーザ側の端末に表示する際に、画面データの情報量が過剰に多くなることを抑制し、伝熱管の損傷に対処するために必要な情報を容易に把握することが可能となる。
【0061】
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)又は(5)に記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考文書の画像(例えば上述の画像F11)を含む。
【0062】
上記(6)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、学習モデルが出力する推論結果と参考情報とを含む画面データをユーザ側の端末に表示する際に、過去の事例に関する参考文書の画像によって過去の事例の内容を容易に把握することが可能となる。
【0063】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載の伝熱管損傷原因推論装置において、
画像部分と前記画像部分以外の部分とを含む画像データから前記学習用画像データを生成するための学習用画像データ生成部(例えば上述の学習用画像データ生成部12)を更に備え、
前記学習用画像データ生成部は、前記画像データのうち特徴量が所定の条件を満たす特徴部の集合(例えば上述の集合G)を推論し、前記画像データのうち、前記集合が占める範囲における最小のX座標及び最大のX座標並びに最小のY座標及び最大のY座標によって画定される四角形の内側の部分を画像として抽出することによって、前記学習用画像データを生成するように構成される。
【0064】
上記(7)に記載の伝熱管損傷原因推論装置によれば、例えば元の1つの画像データの中に1つ又は複数の画像領域がある場合において、元の画像データから各画像領域に対応する部分を適切に抽出して学習用画像データを効率的に生成し、学習モデルにおける損傷原因の推論精度を向上することができる。
【0065】
(8)本開示の一実施形態に係る伝熱管損傷原因推論方法は、
損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データ(例えば上述の対象画像データDa)を取得する対象画像データ取得ステップと、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データ(例えば上述の複数の学習用画像データDfl)と、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因(例えば上述の噴破原因Cd)と、を含む教師データ(例えば上述の教師データDt)を用いた機械学習によって生成された、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルについて、前記対象画像データ取得ステップで取得した前記対象画像データを前記学習モデルに入力することにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果(例えば上述の推論結果Ri)を前記学習モデルが出力するステップと、
を備える。
【0066】
上記(8)に記載の伝熱管損傷原因推論方法によれば、過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いた機械学習により生成された学習モデルを用いて、伝熱管の損傷部の画像データと伝熱管の損傷原因との関係についての過去の知見の蓄積を反映した学習モデルに対象画像データを入力することにより、対象画像データが示す対象伝熱管の損傷原因を精度良く推論することができる。これにより、伝熱管の損傷に対して迅速な対処を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
2 伝熱管噴破原因推論装置
4 対象画像データ取得部
6 機械学習部
8 参考情報記憶部
9 参考情報検索部
10 画面データ出力部
12 学習用画像データ生成部
14 端末
14d 表示部
72 プロセッサ
74 RAM
76 ROM
78 HDD
80 入力I/F
82 出力I/F
84 バス
Cd 噴破原因
Da 対象画像データ
Db 画像データ
Dfl 学習用画像データ
Ds 画面データ
Dt 教師データ
E1,E2 表示画面
F1 ファイル名入力欄
F2 画像データ表示部
F3 フレーム
F4 サイズ調節ボタン
F5 フレーム位置調節ボタン
F6 推論ボタン
F7 数値入力欄
F8 場所入力欄
F9 管入力欄
F10 リンク
F11 画像
G 集合
Ir 参考情報
K 四角形
Md0,Md1 学習モデル
Nc 情報通信ネットワーク
Ri 推論結果
Sa,St 場所情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱器および再熱器を含むボイラの熱交換器に用いられる伝熱管の損傷原因を推論するための伝熱管損傷原因推論装置であって、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いて機械学習を行うことにより、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルを生成するように構成された機械学習部と、
前記損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得するように構成された対象画像データ取得部と、
を備え、
前記学習モデルは、前記対象画像データ取得部によって取得した前記対象画像データを入力されることにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を出力するように構成され
前記教師データは、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた場所情報であって前記学習用画像データに示される伝熱管の前記ボイラ内における場所を示す場所情報を含む、
伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項2】
前記学習モデルが出力する前記推論結果は、前記対象伝熱管の損傷原因の複数の候補と、前記複数の候補の各々の確率とを含む、請求項に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項3】
ユーザ側の端末に表示する表示画面の画面データを出力する画面データ出力部を備え、
前記画面データ出力部によって出力する前記画面データは、前記学習モデルが出力する前記推論結果と、前記推論結果に含まれる前記複数の候補のうち最も確率が高い候補の損傷原因についての過去の事例に関する参考情報と、を含む、請求項に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項4】
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考資料にアクセスするためのリンクを含む、請求項に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項5】
前記参考情報は、前記過去の事例に関する参考文書の画像を含む、請求項又はに記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項6】
画像部分と前記画像部分以外の部分とを含む画像データから前記学習用画像データを生成するための学習用画像データ生成部を更に備え、
前記学習用画像データ生成部は、前記画像データのうち特徴量が所定の条件を満たす特徴部の集合を推論し、前記画像データのうち、前記集合が占める範囲における最小のX座標及び最大のX座標並びに最小のY座標及び最大のY座標によって画定される四角形の内側の部分を画像として抽出することによって、前記学習用画像データを生成するように構成された請求項1乃至の何れか1項に記載の伝熱管損傷原因推論装置。
【請求項7】
過熱器および再熱器を含むボイラの熱交換器に用いられる伝熱管の損傷原因を推論するための伝熱管損傷原因推論方法であって、
損傷原因を推論する対象である対象伝熱管について、前記対象伝熱管の損傷部を示す画像データである対象画像データを取得する対象画像データ取得ステップと、
過去に損傷原因を特定された伝熱管の損傷部をそれぞれ示す複数の学習用画像データと、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた損傷原因と、を含む教師データを用いた機械学習によって生成された、伝熱管の損傷原因の推論に用いる学習モデルについて、前記対象画像データ取得ステップで取得した前記対象画像データを前記学習モデルに入力することにより、前記対象伝熱管の損傷原因の推論結果を前記学習モデルが出力するステップと、
を備え
前記教師データは、前記複数の学習用画像データの各々に関連付けられた場所情報であって前記学習用画像データに示される伝熱管の前記ボイラ内における場所を示す場所情報を含む、
伝熱管損傷原因推論方法。