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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094678
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】空気清浄ユニット及び空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20230629BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230629BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20230629BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230629BHJP
   B01J 35/06 20060101ALI20230629BHJP
   B01J 27/18 20060101ALI20230629BHJP
   B01J 21/06 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/014
B01J35/02 J
B01J35/06 Z
B01J35/02 311Z
B01J27/18 A
B01J21/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210118
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】510066868
【氏名又は名称】株式会社オペス
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真佐也
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180CC04
4C180EA08X
4C180EA24X
4C180EA30X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA36X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH18
4C180HH19
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA48
4G169BB05A
4G169BB14A
4G169BC09A
4G169CA02
4G169DA06
4G169EA10
4G169EA11
4G169EE01
4G169HB01
4G169HC14
4G169HC15
4G169HC29
4G169HE03
4G169HF02
(57)【要約】
【課題】コンパクトで消費電力を節約できるとともに、充分な清浄効果が得られる、空気清浄ユニット及び空気清浄装置を提供する。
【解決手段】空気清浄装置内に積層して使用される空気清浄ユニット30は、内側が第1領域31aと第2領域31bに区分けされたフレーム31と、第1領域31aに配置され、基材に光触媒が担持された光触媒部32と、第2領域31bに配置され、光触媒部32で浄化された空気を通過させる通気部33と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄装置内に積層されて使用される空気清浄ユニットであって、
内部が第1領域と第2領域に区分けされたフレームと、
前記第1領域に配置され、基材に光触媒が担持された光触媒部と、
前記第2領域に配置され、前記光触媒部で浄化された空気を通過させる通気部と、を備える、
空気清浄ユニット。
【請求項2】
前記基材は、不織布で形成されたシート部材であり、
前記光触媒部は、前記シート部材に前記光触媒が含浸又は塗布された、
請求項1に記載の空気清浄ユニット。
【請求項3】
前記基材は、透明性または透光性を備える基板であり、
前記光触媒部は、前記基板に前記光触媒がコーティングされた、
請求項1に記載の空気清浄ユニット。
【請求項4】
前記光触媒は、二酸化チタンである、
請求項1-3の何れか1項に記載の空気清浄ユニット。
【請求項5】
前記光触媒は、前記二酸化チタンに金属イオンがドープされた、
請求項4に記載の空気清浄ユニット。
【請求項6】
前記光触媒部は、ハイドロキシアパタイトで被覆された、
請求項4又は5に記載の空気清浄ユニット。
【請求項7】
光源と、
請求項1-6の何れか1項に記載された複数の空気清浄ユニットと、
前記空気清浄ユニットに空気を送る送風部と、を備える、
空気清浄装置。
【請求項8】
前記複数の空気清浄ユニットは、第1空気清浄ユニットと、当該第1空気清浄ユニットと間隔を隔てて積層された第2空気清浄ユニットと、を備え、
前記第1空気清浄ユニットと前記第2空気清浄ユニットとは、各々の前記光触媒部と前記通気部の位置が逆になるように配置されて積層された、
請求項7に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記光源は、LEDである、
請求項7又は8に記載の空気清浄装置。
【請求項10】
前記光源と前記送風部に電力を供給する蓄電池、
を更に備える、
請求項7-9の何れか1項に記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄ユニット及び空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の臭気、塵、菌、及びウイルスなどを除去する空気清浄装置は、業務用または家庭用など様々な分野で活用されている。空気清浄装置として、例えば、オゾン、プラズマ、紫外線、又は光触媒を利用した装置がある。光触媒を用いた空気清浄装置は、騒音、大きさ、コストの面で、他の装置より優れている。
【0003】
光触媒、例えば、二酸化チタン、酸化タングステンに光を照射すると、空気中の水や酸素と反応して、活性酸素を生成し、強力な酸化作用を持つ活性酸素により、脱臭または殺菌などの効果を発揮する。光触媒を利用した空気清浄装置として、例えば、特許文献1に開示された装置がある。
【0004】
特許文献1に開示された空気清浄装置は、光触媒を活性化させる光源と、光源の周囲に配置された光触媒を含む脱臭フィルタと、脱臭フィルタに空気を送るファンを備える。ファンを稼働させて脱臭フィルタに空気を送り込み、脱臭フィルタの光触媒により空気の清浄化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-78058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された空気清浄装置において、空気は、脱臭フィルタを通過するときのみ光触媒と接触するので、接触時間は短く清浄効果は充分ではなかった。また、ファンは、空気が脱臭フィルタを通過できるだけの風力を備える必要があり、ファンが大型化し消費電力も大きいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コンパクトで消費電力を節約できるとともに、充分な清浄効果が得られる、空気清浄ユニット及び空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る空気清浄ユニットは、
空気清浄装置内に積層されて使用される空気清浄ユニットであって、
内部が第1領域と第2領域に区分けされたフレームと、
前記第1領域に配置され、基材に光触媒が担持された光触媒部と、
前記第2領域に配置され、前記光触媒部で浄化された空気を通過させる通気部と、を備える。
【0009】
前記基材は、不織布で形成されたシート部材であり、
前記光触媒部は、前記シート部材に前記光触媒が含浸又は塗布された、
こととしてもよい。
【0010】
前記基材は、透明性または透光性を備える基板であり、
前記光触媒部は、前記基板に前記光触媒がコーティングされた、
こととしてもよい。
【0011】
前記光触媒は、二酸化チタンである、
こととしてもよい。
【0012】
前記光触媒は、前記二酸化チタンに金属イオンがドープされた、
こととしてもよい。
【0013】
前記光触媒部は、ハイドロキシアパタイトで被覆された、
こととしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る空気清浄装置は、
光源と、
上記の何れか1つに記載された複数の空気清浄ユニットと、
前記空気清浄ユニットに空気を送る送風部と、を備える。
【0015】
前記複数の空気清浄ユニットは、第1空気清浄ユニットと、当該第1空気清浄ユニットと間隔を隔てて積層された第2空気清浄ユニットと、を備え、
前記第1空気清浄ユニットと前記第2空気清浄ユニットとは、各々の前記光触媒部と前記通気部の位置が逆になるように配置されて積層された、
こととしてもよい。
【0016】
前記光源は、LEDである、
こととしてもよい。
【0017】
前記光源と前記送風部に電力を供給する蓄電池、
を更に備える、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンパクトで消費電力を節約できるとともに、充分な清浄効果が得られる、空気清浄ユニット及び空気清浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄装置の外観を示す概略図である。
図2】空気清浄装置の構造を示す図である。
図3】空気清浄ユニットの外観図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のX-X線で切断したときの断面図である。
図4】空気清浄ユニットを積層して使用する場合を示し、(a)は第1空気清浄ユニット及び第3空気清浄ユニットの上面図であり、(b)は、第2空気清浄ユニットの上面図である。
図5】空気清浄ユニットを積層して使用する場合の側面図である。
図6】ラックの要部を示す図である。
図7】変形例1の空気清浄装置の概念図である。
図8図7の破線で囲われた部分を拡大した図である。
図9】変形例2の空気清浄装置の概念図である。
図10図9の破線で囲われた部分を拡大した図である。
図11】光触媒部の表面構造を示し、(a)は、従来の表面構造、(b)は、本実施の形態の表面構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る空気清浄装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図において、空気清浄装置の空気清浄ユニットを積層する方向を上下方向、矩形状の空気清浄ユニットの長手方向を左右方向、上下方向及び左右方向の双方に垂直な方向を前後方向とする。上下・左右・前後の方向は、本実施の形態を説明するために任意に定められた方向である。
【0021】
(実施の形態)
本実施の形態に係る空気清浄装置1は、図1に外観を示すように、箱型に形成され、吸込口11から空気を取り入れ、内部の光触媒で空気中のウイルス、細菌等を不活性化して、空気を清浄化する装置である。図2に示すように、空気清浄装置1は、本体10と、送風部20と、空気清浄ユニット30と、ラック40と、電源50と、光源60と、を備える。
【0022】
本体10は、空気清浄装置1の構成部品を内部に収容するケース部材であり、合成樹脂で形成されている。本体10の上面には、外部の空気を取り込むための吸込口11が形成され、下面には、本体10の内部に取り込まれた空気を吐き出すための排出口12が形成されている。本実施の形態では、吸込口11と排出口12とは、互いに対向する位置に配置され、吸込口11から取り込まれた空気は、上方から下方の排出口12に向けて流れる。
【0023】
送風部20は、吸込口11の近傍に配置され、吸込口11から入った空気を、空気清浄ユニット30に向けて送る。送風部20は、ファンと、ファンを回転させるモータとを備える(図示せず)。ファンとして、例えば、シロッコファン、プロペラファンが用いられる。モータとして、例えば、インバータ回路により周波数制御するインバータモータが使用される。モータは、後述する電源50により駆動される。ファンの回転数は、使用者の操作により変更することができる。
【0024】
空気清浄ユニット30は、送風部20により送られた空気に含まれる塵、細菌、ウイルスを、光触媒により除去するユニットである。空気清浄ユニット30は、図3に示すように、フレーム31と、光触媒部32と、通気部33とを備える。
【0025】
フレーム31は、矩形状に形成された合成樹脂製の枠体であり、内部が第1領域31aと第2領域31bに区分けされている。第1領域31aと第2領域31bは、フレーム31の内部を前後方向の境界線31cにより、左右に区分けされた領域である。図3(a)(b)では、第1領域31aは第2領域31bより大きく形成されている。第1領域31aと第2領域31bの大きさは、同じでもよいし、第2領域31bが第1領域31aより大きくてもよい。また、境界線31cの部分に枠材を配置して、後述する不織布や透明性または透光性を備える基板を固定するために使用してもよい。
【0026】
光触媒部32は、フレーム31の第1領域31aに配置される。光触媒部32は、光触媒を含み、第1領域31aの表面を通過する空気を浄化する。
【0027】
光触媒部32は、基材に光触媒を担持させて形成される。基材として、本実施の形態では、不織布で形成されたシート部材を用いる。シート部材は、フレーム31の第1領域31aを覆うようにして、フレーム31の枠の部分に貼り付けられる。
【0028】
光触媒として、金属イオン、半導体等が用いられ、半導体の光触媒として、例えば、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe)、酸化タングステン(WO)、ガリウムリン(GaP)、ガリウム砒素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS、チタン酸ストロンチウム(SrTiO))を用いる。二酸化チタンは、安価で化学的安定性も優れており、本実施の形態では二酸化チタン(以下、「酸化チタン」という。)を例に用いて説明する。
【0029】
不織布は、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリプロピレンなどを原料として使用して製造された不織布を用いる。酸化チタンとバインダ(接着剤)等を混合した液体に不織布を含浸又は塗布して、酸化チタンを不織布に担持させる。シート部材に酸化チタンを担持させたものを、以下、酸化チタンシートという。酸化チタンシートを予め作成することにより、使用するフレーム31の第1領域31aの大きさに応じて、切り取って使用することができる。
【0030】
また、光触媒として、可視光応答型の光触媒を用いることができる。可視光応答型の光触媒として、例えば、酸化チタンに金属イオンをドープしたものを使用する。酸化チタンは、紫外線が照射されたときは、空気の浄化作用が強いが、可視光に対する活性はよくない。酸化チタンに金属イオンをドープすると、可視光に対する応答性が高くなることが知られている。このような可視光応答型の光触媒を使用することで、LED等の可視光を利用して空気を清浄させることができる。金属イオンとして、鉄、白金、クロム、銅イオン等を使用する。
【0031】
また、光触媒部32は、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))で被覆してもよい。ハイドロキシアパタイトは、塩基性リン酸カルシウムである。ハイドロキシアパタイトは、物質の吸着性に優れた特性を有し、特に、細菌、ウイルス、アンモニアなどアミノ酸を吸着する。しかし、吸着性は飽和状態となるので、定期的な交換が必要である。一方、光触媒である酸化チタンは、強い酸化力により接触した細菌、ウイルス等を分解処理できるが、吸着力は劣る。したがって、光触媒である酸化チタンにハイドロキシアパタイトを被覆することにより、空気中の多くの有害物質を吸着して、優れた空気清浄効果を発揮することができる。なお、ハイドロキシアパタイトの代わりに、同じく吸着性の優れた、チタンアパタイト(TiCa(PO(OH))を使用してもよい。チタンアパタイトは、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))の成分にチタンを混ぜてカルシウムの1つがチタンに置き換わったものである。
【0032】
通気部33は、光触媒部32により浄化された空気を通過させ、空気清浄装置1の下方に向けて送る。通気部33は、フレーム31の第2領域31bに配置され、不織布に形成されたシート部材に、空気を通過させる通気孔33aが形成されている。シート部材は、フレーム31の第2領域31bを覆うようにして、フレーム31の枠の部分に貼り付けられる。通気孔33aは、図3(a)に示すように、シート部材に設けた複数の貫通孔である。通気部33は、複数の通気孔33aを、シート部材に形成するのではなく、第2領域31bの全体、すなわち、第2領域31b自体を、通気孔として形成してもよい。
【0033】
空気清浄装置1は、図2に示すように、3つの同一の空気清浄ユニット30を含む。3つの空気清浄ユニット30は、所定の間隔を隔てて上下方向に積層され、対向する空気清浄ユニット30は、光触媒部32と通気部33の位置を逆にして積層される。また、対向する空気清浄ユニット30の間に、光源60が配置される。3つの空気清浄ユニット30の配置関係、光源60の配置関係については、後述する。
【0034】
電源50は、電力線により、送風部20と光源60とに接続され、送風部20と光源60に電力を供給する。電源50は、スマートフォン等に搭載されるリチウム電池等のモバイルバッテリが用いられる。モバイルバッテリは、薄型の蓄電池であり、空気清浄装置1の蓄電状態に応じて、適宜充電して使用される。
【0035】
本実施の形態では、後述するように光源60としてLEDを用いることが好ましいこと、送風部20は、空気清浄ユニット30の表面を流れるだけの空気流を生じさせればよいこと、から消費電力を少なくできる。したがって、モバイルバッテリ等の小型の蓄電池を使用することができる。蓄電池を使用することにより、電力を取得するためのプラグが不要になり、空気清浄装置1は、持ち運びが可能となり、装置自体を小型化させることができる。
【0036】
光源60は、空気清浄ユニット30に光を照射して、光触媒を活性化させる。光源60は、紫外線ランプ、白色灯、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)等を使用することができる。光触媒として、酸化チタンに金属イオンをドープしたものを使用する場合には、可視光応答性がよいので、LEDを使用することができる。LEDを使用した場合には、他の光源と比較して、寿命が長く、長期間交換せずに使用できるとともに、消費電力も少ないので、コストも削減できる。また、省電力、長寿命のLEDを使用することで、カーボンニュートラルの実現に貢献することができる。
【0037】
光源60として、LEDを使用するときには、白色LEDを使用してもよい。白色LEDを使用することで、UV-LEDを使用する場合と比較して、低コストで高輝度の光源を提供できるとともに、大型の冷却装置も不要となる。したがって、空気清浄装置1を小型することができる。
【0038】
3つの空気清浄ユニット30の位置関係、及び光源60の位置関係を、図4、5を用いて、詳述する。3つの空気清浄ユニットとして、第1空気清浄ユニット301、第2空気清浄ユニット302、及び第3空気清浄ユニット303を使用する。これらの空気清浄ユニット30は、それぞれ光触媒部32と通気部33とを備える。図面では通気部33には複数の通気孔33aは示していない。通気部33は、複数の通気孔33aであってもよいし、第2領域31b自体を通気孔としてもよい。これらの空気清浄ユニット30は、ラック40に搭載される。以後、説明の内容に応じて、空気清浄ユニット30と、第1空気清浄ユニット301、第2空気清浄ユニット302、及び第3空気清浄ユニット303と、を使い分けて説明する。
【0039】
ラック40は、図5、6に示すように、左右に対向して配置された第1側板401と、第2側板402と、を備える。第1側板401と第2側板の402の対向する壁面には、図6に示すように、前後方向に伸びる保持部材401a、402aが取り付けられる。保持部材401a、402aは、上下方向の切断面がコ字状に形成された溝部401aa、402aaを備える。各空気清浄ユニット30は、溝部401aaと溝部402aaに、その短辺をスライドして挿入され、第1側板401と第2側板402の間に保持される。各空気清浄ユニット30は、ストッパ(図示せず)により、溝部401aa、溝部402aaに固定されてもよいし、ラック40の前後方向に対向して板材を取り付けて、空気清浄ユニット30を前後方向から挟み込むことで固定してもよい。
【0040】
第1空気清浄ユニット301、第2空気清浄ユニット302、及び第3空気清浄ユニット303は、図5に示すように、この順番に、上下方向に間隔を隔てて積層されて、ラック40に配置される。3つの空気清浄ユニット30は、対向する空気清浄ユニット30間において、方向を逆にして配置される。すなわち、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302は、図4、5に示すように、光触媒部32と通気部33とが逆になるように配置される。第1空気清浄ユニット301では、光触媒部32が右側、通気部33が左側であるが、第2空気清浄ユニット302では、光触媒部32が左側、通気部33が右側、と左右が逆となるように配置される。第3空気清浄ユニット303は、第1空気清浄ユニット301と同一方向に配置される。
【0041】
上述のように3つの空気清浄ユニット30を配置することで、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の通気部33は、図4(a)(b)に示すように、上面視で左右対称となる位置に配置される。送風部20により空気が送られると、第1空気清浄ユニット301の通気部33と第2空気清浄ユニット302の通気部33との間に空気流が発生する。第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303の通気部33も上面視で左右対称となる位置に配置され、第2空気清浄ユニット302の通気部33と第3空気清浄ユニット303の通気部33との間に空気流が発生する。したがって、吸込口11から入った空気は、左右に蛇行しながら流れて、排出口12から排出される。
【0042】
光源60は、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間、及び第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303の間、に配置される。第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間の光源60は、ラック40の第2側板402に取り付けられる。第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303の間の光源60は、ラック40の第1側板401に取り付けられる。したがって、2つの光源60は、上面視で左右対称に配置される。
【0043】
このように、吸込口11から吸い込まれた空気は、対向する空気清浄ユニット30の間を蛇行して流れて、充分に光触媒と接触して浄化される。また、空気清浄ユニット30間に取り付けられる光源60は、第1側板401と第2側板402に交互に設置されるので、光源60の個数を最小限に抑えながら、光触媒の効果を発揮できる。
【0044】
(空気清浄の方法)
空気清浄装置1を用いて、空気を清浄する方法について、図2、5を用いて説明する。使用者が、空気清浄装置1のスイッチ(図示せず)をオンにすることにより、運転が開始される。スイッチがオンになることで、電源50から電力が供給され、送風部20のモータ(図示せず)が駆動され、ファンが可動し、光源60が点灯する。
【0045】
ファンが可動すると、図2に示すように、外部の空気は、吸込口11から流入し空気清浄装置1の内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、図5に示すように、第1空気清浄ユニット301の表面301aを右方向に流れ、通気部33を通過する。第1空気清浄ユニット301の表面301aを空気が流れるときに、空気は、光触媒部32の光触媒により清浄化される。
【0046】
第1空気清浄ユニット301の通気部33を通過した空気は、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間を左方向に流れる。そのとき、第1空気清浄ユニット301の裏面301bと第2空気清浄ユニット302の表面302aに空気が接触することにより、空気は、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の光触媒部32の光触媒により、清浄化される。
【0047】
第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間を流れた空気は、第2空気清浄ユニット302の通気部33を通過して、第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303との間を右方向に流れる。そのとき、第2空気清浄ユニット302の裏面302bと第3空気清浄ユニット303の表面303aに空気が接触することにより、空気は、第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303の光触媒部32の光触媒により、清浄化される。
【0048】
第2空気清浄ユニット302と第3空気清浄ユニット303の間を流れた空気は、第3空気清浄ユニット303の通気部33を通過して、第3空気清浄ユニット303の裏面303bを左方向に流れて、排出口12から外部に排出される。
【0049】
なお、送風部20のファンの回転速度は変更できるので、空気の流れを促進させて浄化作用を増加させたい場合には回転速度を上げ、送風部20の騒音低減を優先する場合には、回転速度を下げる。
【0050】
(変形例1)
実施の形態では、空気清浄ユニット30を3つ備える空気清浄装置1を説明したが、空気清浄装置は、3つ以上の空気清浄ユニット30を備えてもよい。本変形例の空気清浄装置を、図7、8を参照して説明する。
【0051】
空気清浄装置100は、本体10と、送風部と、空気清浄ユニットである第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302と、ラック40と、電源と、光源60と、を備える。空気清浄装置100の構成要素の構造は、空気清浄装置1と同一である。各要素の構造は、既に上述したので省略する。また、送風部と電源は、図示を省略している。
【0052】
本変形例では、空気清浄ユニット30の通気部33を、第2領域31bの全てを開口部とする通気孔としたので、図では通気部33は省略し、光触媒部32のみを図示している。光触媒部32は、不織布で形成したシート部材に、光触媒を含浸又は塗布したものを使用する。
【0053】
本変形例では、ラック40の第1側板401の壁面に第1空気清浄ユニット301が所定の間隔を隔てて取付けられ、第2側板402の壁面に第2空気清浄ユニット302が所定の間隔を隔てて取付けられる。第1側板401と第2側板402を前後方向から見ると、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302は、それぞれ櫛の歯状に配列されている。図7では、第1側板401に3枚の第1空気清浄ユニット301が取り付けられ、第2側板402に2枚の第2空気清浄ユニット302が取り付けられている。それぞれの側板に取り付けられる空気清浄ユニット30は、2枚以上又は3枚以上でもよい。第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302とは、空気清浄装置100の内部で、互いに対向され、交互に配列するように配置される。
【0054】
光源60は、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302との間に、実施の形態と相違して、ラック40の第1側板401と第2側板402の双方に取り付けられる。光源60を増やしたことにより、光触媒の活性化を向上させることができる。
【0055】
空気清浄装置100を駆動させると、吸込口11から入った空気は、櫛の歯状に配置された第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302との間を、左右に蛇行しながら移動して、排出口12から吹き出される。空気は、本体10の中で、第1空気清浄ユニット310と第2空気清浄ユニット302の光触媒部32の光触媒と充分に接触しながら移動される。そして、吸込口11から流入した空気中のウイルス70は、不活性化されて排出口12から排出される。
【0056】
より具体的には、図8に示すように、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の光触媒部32の光触媒は、光源60から発せられた光を吸収する。そして、光を吸収した酸化チタンは、電子が励起され、電子と電子が抜けた後の正孔とにより、活性酸素を生じて、空気中のウイルス等を不活性化する。
【0057】
本変形例では、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302を櫛の歯状に配置して光触媒と空気との接触面積を増加させたので、清浄効果を高めることができる。また、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間に、第1側板401と第2側板402の双方に光源60を取り付け、空気清浄ユニット30に、左右双方向から光源60の光を照射したので、光触媒の活性を促進させことができる。
【0058】
(変形例2)
実施の形態及び変形例1では、空気清浄ユニット30の基材として、不織布を使用した例を用いて説明した。基材は、不織布でなくてもよく、透明性または透光性を備える基板を用いることができる。基材としてガラス基板を用いた変形例を、図9、10を参照して説明する。
【0059】
ここで、透明性とは、光がその物体を透過して、物体の向こう側が見通せる物体の性質をいう。透明性を備える物体として、ガラス、高分子材料で形成された樹脂、例えば、PMMA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネイト)等がある。透光性とは、その物体を透過する光が拡散されるため、向こう側の形状等を明確に認識できない物体の性質をいう。透光性を備える物体として、アルミナ、PLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)等のセラミックがある。
【0060】
空気清浄装置200は、本体10と、送風部と、空気清浄ユニットである第1空気清浄ユニット301、第2空気清浄ユニット302と、ラック40と、電源と、光源60と、を備える。空気清浄装置200の構成要素の構造は、空気清浄ユニットの基材としてガラス基板を用いた以外は、空気清浄装置1と同一である。また、送風部と電源は、図示を省略している。
【0061】
空気清浄ユニット30は、光触媒部32と通気部33を有するが、変形例1と同様に、通気部33は、第2領域31bの全てを開口部として形成したので、図では通気部33は省略し、光触媒部32のみを図示している。
【0062】
空気清浄ユニット30の基材として、ガラス基板を用い、当該基板に、光触媒をコーティングする。当該基板への光触媒のコーティングは、例えば、チタニウム化合物を変性した溶液をミスト状または蒸気状にしてガラスに吹き付ける、又は酸化チタンを加熱焼成して当該基板に固定する等の方法を用いる。
【0063】
空気清浄ユニット30は、変形例1と同様に、第1側板401の壁面に第1空気清浄ユニット301が、第2側板402に第2空気清浄ユニット302が、それぞれ櫛の歯状に配列されて取付けられる。図9では、第1側板401に4枚の第1空気清浄ユニット301が取り付けられ、第2側板402に3枚の第2空気清浄ユニット302が取り付けられている。それぞれの側板に取り付けられる空気清浄ユニット30は、3枚以上又は4枚以上でもよい。
【0064】
光源60は、ラック40の第1側板401と第2側板402の双方に取り付けられる。光源60は、実施の形態及び変形例1と相違して、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302の間ではなく、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302のそれぞれの通気部33があるところに取り付けられる。したがって、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302は、間隔を狭めて配置させることができる。そのため、実施の形態及び変形例1よりも、多くの第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302を取り付けられる。
【0065】
空気清浄装置200を駆動させると、吸込口11から入った空気は、櫛の歯状に配置された第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302との間を、左右に蛇行しながら移動して、排出口12から吹き出される。空気は、本体10の中で、第1空気清浄ユニット310と第2空気清浄ユニット302にコーティングされた光触媒と十分に接触しながら移動される。また、基材としてガラス基板を使用したので、光源60から発する光は、図10に示すように、ガラス基板を透過して、一つのガラス基板の一方の面から他方の面に達して、両面にコーティングされた光触媒を活性化させる。また、通過した光は、第1空気清浄ユニット301から第2空気清浄ユニット302、又はその逆に達して、光触媒を活性化させる。このように、吸込口11から入った空気は、空気清浄装置200の内部で浄化され、空気中のウイルス70等は不活性化されて、排出口12から排出される。
【0066】
本変形例では、第1空気清浄ユニット301と第2空気清浄ユニット302を櫛の歯状に形成して清浄効果を高めるともに、空気清浄ユニット30に、左右の双方向から光源60の光を照射したので、光触媒の活性を促進させことができる。また、基材として透明性または透光性を備える基板を使用したので、光源60からの光は当該基板を透過して、一つの空気清浄ユニット30の両面にコーティングされた光触媒を活性化させるのみならず、別の空気清浄ユニット30の光触媒も活性化させることができる。更に、光源60を空気清浄ユニット30の通気部33に配置することにより、空気清浄ユニット30の設置数を増やすことができる。
【0067】
本実施の形態に係る空気清浄ユニット30によれば、空気は、空気清浄ユニット30の表面を流れる間、光触媒と接触するので、光触媒と十分な接触時間を確保して光触媒を活性化させることができる。また、空気は、空気清浄ユニットの光触媒部32を通過する必要はないので、出力の小さいファンでもよく、空気清浄装置1を小型化させることができる。
【0068】
本実施の形態に係る空気清浄ユニット30によれば、可視光応答型の光触媒を用いて空気清浄ができるので、太陽光の有効利用、室内での使用を促進することができ、空気清浄装置1の設置場所を限定することなく使用することができる。
【0069】
本実施の形態の空気清浄装置1は、同一の空気清浄ユニット30を、方向を逆にして積層して形成した。したがって、同一の空気清浄ユニット30を、所望する空気清浄装置1に必要な数だけ量産することができ、製造効率を上げることができる。
【0070】
本実施の形態の空気清浄装置1によれば、複数の空気清浄ユニット30を積層することで、各空気清浄ユニット30の両面の光触媒部32と接触するので、浄化作用が高い。
【0071】
本変形例1、2によれば、複数の空気清浄ユニットを櫛の歯状に配置することで、従来の空気清浄装置の数十~数百倍の浄化性能を発揮することができる。
【0072】
本実施の形態、本変形例1、2では、基材として、不織布を用いたシート部材、ガラス基板等の透明性または透光性のある基盤を説明したが、金属板、セラミック板等を用いてもよい。
【0073】
本実施の形態では、送風部20は、吸込口11の近傍に配置される、と説明したが、排出口12の近傍に配置してもよい。
【0074】
本実施の形態では、空気清浄ユニット30を空気清浄装置1の内部に設置する例を説明した。しかし、図1に示すように、可視光応答型の光触媒80、例えば、酸化チタンを金属イオンでドープした光触媒を、空気清浄装置1の本体10の外表面にコーティングしてもよい。このようなコーシングを施すことにより、室内に置かれた空気清浄装置1の表面の殺菌も可能である。
【0075】
本実施の形態では、図1に示すように、1つの空気清浄装置1を用いて説明した。空気清浄装置1は、1つではなく、上下方向に別の空気清浄装置1を重ねて連結して使用してもよい。複数の空気清浄装置1を連結して使用することにより、清浄化の性能を向上させることができる。
【0076】
本実施の形態では、図11(a)に示すように、表面が平坦である光触媒部32を前提として説明した。しかし、図11(b)に示すように、光触媒部32の表面に複数の凸部32aを形成してもよい。このような表面構造とすることにより、光触媒部32の表面積が増加し、光触媒部32に接触する有害物質であるウイルス70等の量が多くなり、高い清浄効果を発揮することができる。
【0077】
本実施の形態では、フレーム31の形状は矩形状であると説明したが、フレーム31の形状は、空気清浄装置1の本体10の形状に応じて、例えば、円形のフレームを使用してもよい。
【0078】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、空気清浄ユニット及び空気清浄装置に、好適である。
【符号の説明】
【0080】
1、100、200 空気清浄装置
10 本体
11 吸込口
12 排出口
20 送風部
30 空気清浄ユニット
31 フレーム
31a 第1領域
31b 第2領域
31c 境界線
32 光触媒部
32a 凸部
33 通気部
33a 通気孔
40 ラック
50 電源
60 光源
70 ウイルス
80 光触媒
301 第1空気清浄ユニット
302 第2空気清浄ユニット
303 第3空気清浄ユニット
301a、302a、303a 表面
301b、302b、303b 裏面
401 第1側板
402 第2側板
401a、402a 保持部材
401aa、402aa 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11