(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094711
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】鞍乗型車両の制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20230629BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20230629BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20230629BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230629BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W30/14
B60W40/04
G08G1/16 C
G06F3/01 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210172
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラース
【テーマコード(参考)】
3D241
5E555
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241CA12
3D241CE05
3D241DC01Z
3D241DC21Z
3D241DC30Z
5E555AA64
5E555AA74
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB45
5E555CB72
5E555EA09
5E555EA22
5E555FA00
5H181AA05
5H181CC04
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181MA50
(57)【要約】
【課題】本発明は、自車両の前方に位置する先行車両のライダーのジェスチャーに応じて、自車両のライダーを適切に支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【解決手段】本発明に係る制御装置(20)および制御方法(100)では、認識部(13)が、自車両(1)の周辺に位置する周辺鞍乗型車両(2)のライダーである認識対象ライダー(3)のジェスチャーを認識する。さらに、制御動作実行部(23)が、自車両(1)において認識対象ライダー(3)のジェスチャーに応じた制御動作を実行して、自車両(1)のライダーを支援する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両の制御装置であって、
自車両(1)の周辺に位置する周辺鞍乗型車両(2)のライダーである認識対象ライダー(3)のジェスチャーを認識する認識部(13)と、
前記自車両(1)において前記認識対象ライダー(3)のジェスチャーに応じた制御動作を実行して、前記自車両(1)のライダーを支援する制御動作実行部(23)と、を備える制御装置。
【請求項2】
前記自車両(1)を含む複数の鞍乗型車両がグループで走行するグループ走行モードが有効である場合に、前記周辺鞍乗型車両(2)が前記複数の鞍乗型車両に含まれることを特定する特定部(22)を更に備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御動作実行部(23)は、前記制御動作として、前記ジェスチャーに応じて前記グループ走行モードを開始または停止する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御動作実行部(23)は、前記制御動作として、前記自車両(1)の走行速度を自動で制御するアダプティブクルーズコントロールの設定を切り替える、請求項1ないし3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御動作実行部(23)は、前記制御動作として、前記アダプティブクルーズコントロールを停止または開始する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の腕の動きを含む、請求項1ないし5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の手の動きを含む、請求項1ないし6の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の指の動きを含む、請求項1ないし7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の頭の動きを含む、請求項1ないし8の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の脚の動きを含む、請求項1ないし9の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記ジェスチャーは前記認識対象ライダー(3)の足の動きを含む、請求項1ないし10の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御動作実行部(23)は、前記制御動作として、前記自車両(1)の走行速度を変更する、請求項1ないし11の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御動作実行部(23)は、前記制御動作として、前記自車両(1)の前記自車両(1)のヘッドライト(15)の制御、方向指示器(16、17)の制御、前記自車両(1)のブレーキランプ(18)の制御、または前記自車両(1)のハザードランプ(19)の制御、のいずれか一つを行う、請求項1ないし12の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
鞍乗型車両の制御方法であって、
自車両(1)の周辺に位置する周辺鞍乗型車両(2)のライダーである認識対象ライダー(3)のジェスチャーを認識し、
前記自車両(1)において前記認識対象ライダー(3)のジェスチャーに応じた制御動作を実行して、前記自車両のライダーを支援する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のライダーを支援する制御動作を実行することができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転を支援する種々の技術が提案されている。例えば米国特許出願公開第2020/0286387号明細書では、自車両を先行車両に追従させる制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0286387号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鞍乗型車両のライダーが、自身の意図をジェスチャーによって後続車に伝達する場合がある。そのため、ライダーが鞍乗型車両である自車両を運転することを支援する場合、自車両の前方に位置する鞍乗型車両である先行車両のライダーのジェスチャーに応じた制御動作を実行可能な制御装置または制御方法が求められる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、自車両の前方に位置する先行車両のライダーのジェスチャーに応じて、自車両のライダーを適切に支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両の制御装置は、認識部と制御動作実行部を備える。認識部は、自車両の周辺に位置する周辺鞍乗型車両のライダーである認識対象ライダーのジェスチャーを認識する。制御動作実行部は、自車両において認識対象ライダーのジェスチャーに応じた制御動作を実行して、自車両のライダーを支援する。
【0007】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両の制御方法は、自車両の周辺に位置する周辺鞍乗型車両のライダーである認識対象ライダーのジェスチャーを認識し、自車両において認識対象ライダーのジェスチャーに応じた制御動作を実行して、自車両のライダーを支援する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、認識部が周辺鞍乗型車両のライダーである認識対象ライダーのジェスチャーを認識し、制御動作実行部が自車両において認識対象ライダーのジェスチャーに応じた制御動作を実行する。これにより、本発明に係る制御装置及び制御方法によれば、認識対象ライダーの意図に応じて、自車両のライダーが自車両を運転することを適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る鞍乗型車両の全体構成を示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る鞍乗型車両が先行車両に追従している様子を示す図である。
【
図4】鞍乗型車両のライダーのジェスチャーの例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る、鞍乗型車両の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下で説明する構成や動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方
法は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0012】
以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部分については、同一の符号を付すか又は符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0013】
本発明に係る制御装置は、鞍乗型車両に採用される。鞍乗型車両とは、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車等)、バギー、自転車等の乗員が跨るように着座する形式の車両を意味する。モータサイクル及びバギーは、例えば、エンジンまたは電動モータを駆動源とする車両である。自動二輪車又は自動三輪車は、いわゆるモータサイクルを意味し、モータサイクルには、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車とは、ペダルに付与される踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味している。つまり、自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0014】
図1を参照して、鞍乗型車両1の構成について説明する。なお、以下の説明では、鞍乗型車両1を自車両1とも呼ぶ。
【0015】
図1は、鞍乗型車両1の全体構成を示す概略図である。
図1に示されるように、鞍乗型車両1は、エンジン11と、液圧制御ユニット12と、周囲環境センサ13と、入力装置14と、ヘッドライト15と、右折ランプ16および左折ランプ17を含む方向指示器と、ブレーキランプ18と、ハザードランプ19と、制御装置(ECU)20と、を備える。
【0016】
エンジン11は、鞍乗型車両1の駆動源の一例に相当し、車輪を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン11には、内部に燃焼室が形成される1つ又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン11の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0017】
液圧制御ユニット12は、車輪に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。例えば、液圧制御ユニット12は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続する油路上に設けられ、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するためのコンポーネント(例えば、制御弁及びポンプ)を含む。液圧制御ユニット12のコンポーネントの動作が制御されることによって、車輪に生じる制動力が制御される。なお、液圧制御ユニット12は、前輪及び後輪の双方に生じる制動力をそれぞれ制御するものであってもよく、前輪及び後輪の一方に生じる制動力のみを制御するものであってもよい。
【0018】
周囲環境センサ13は、鞍乗型車両1の周囲の環境に関する周囲環境情報を検出する。具体的には、周囲環境センサ13は、鞍乗型車両1の胴体の前部に設けられており、鞍乗型車両1よりも前方の周囲環境情報を検出する。本明細書において、周囲環境センサ13を認識部とも呼ぶ。
【0019】
環境センサ13は、検出範囲内に位置する物体までの距離及び/又は方向に関連する情報を非接触で検出するものであってもよい。検出範囲内に位置する物体とは、例えば、車両、障害物、道路設備、人、動物等である。環境センサにより検出される情報は、例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度、相対加加速度、通過時間差、衝突に至るまでの予測時間等の情報である。また、環境センサ13は、検出範囲内に位置する物体の特徴を非接触で検出するものであってもよい。当該物体の特徴とは、例えば、種別、形状、大きさ、物体に付されているマーク等である。
【0020】
周囲環境センサ13として、例えば、鞍乗型車両1の周囲を撮像するカメラ、ターゲットの深度を検出可能な深度センサ、鞍乗型車両1からターゲットまでの距離を検出可能なレーダーが用いられる。例えば、周囲環境センサ13において、レーダーがLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)又は超音波センサに置き換えられてもよい。また、例えば、周囲環境センサ13は、ステレオカメラであってもよい。
【0021】
入力装置14は、ライダーによる各種操作を受け付ける。入力装置14は、例えば、ハンドルに設けられ、ライダーの操作に利用される押しボタン等を含む。入力装置14を用いたライダーの操作に関する情報は、制御装置20に出力される。
【0022】
ヘッドライト15は鞍乗型車両1の胴体の前部に配置されている。右折ランプ16、左折ランプ17、ブレーキランプ18、およびハザードランプ19は、鞍乗型車両1の胴体の後部に配置されている。なお、
図1は鞍乗型車両1を右方から見た概略図を示しているため、図示の都合上、右折ランプ16のみを示している。左折ランプ17は、鞍乗型車両1を左方から見た場合、右折ランプ16に対応する位置に配置されている。ヘッドライト15、右折ランプ16、左折ランプ17、ブレーキランプ18、およびハザードランプ19の光源は、フィラメントを用いた電球であってもよいし、LEDであってもよい。
【0023】
制御装置20は、鞍乗型車両1の挙動を制御する。例えば、制御装置20の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置20の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置20は、例えば、各機能を持つ構成が1つの筐体にまとめられて単一のユニットとして構成されていてもよく、また、各機能を持つ構成が複数の筐体に分かれていてもよい。
【0024】
図2は、制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置20は、例えば、取得部21と、特定部22と、制御動作実行部23と、記憶部24と、を備える。また、制御装置20は、鞍乗型車両1の各装置と通信する。
【0025】
取得部21は、鞍乗型車両1の各装置から情報を取得し、特定部22及び制御動作実行部23に取得した情報に対応する信号を出力する。例えば、取得部21は、周囲環境センサ13から鞍乗型車両1の周囲環境に関する情報を取得する。なお、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0026】
特定部22は、取得部21から出力された信号を受信し、受信した信号に基づいて後述する各種の判定プロセスを実行する。特定部22は、特定結果を制御動作実行部23に出力する。
【0027】
制御動作実行部23は、特定部22から受信した特定結果に基づいて鞍乗型車両1の各装置の動作を制御することによって、各種制御動作を実行する。制御動作実行部23は、例えば、エンジン11、液圧制御ユニット12、ヘッドライト15、右折ランプ16、左折ランプ17、ブレーキランプ18、ハザードランプ19の動作を制御する。
【0028】
制御動作実行部23は、制御動作として、周囲環境センサ13により検出される周囲環境情報に基づいて、あるいは入力装置14を用いたライダーによる操作に応じて、アダプティブクルーズコントロールを開始または停止する。あるいは、制御動作実行部23は、制御動作として、アダプティブクルーズコントロールの設定を切り替える。
【0029】
アダプティブクルーズコントロールでは、制御動作実行部23は、ライダーによる加減速操作(つまり、アクセル操作及びブレーキ操作)によらずに鞍乗型車両1の走行速度を自動で制御する。制御動作実行部23は、例えば、前輪の車輪速及び後輪の車輪速に基づいて取得される鞍乗型車両1の走行速度の値を監視することによって、鞍乗型車両1の走行速度を、予め設定された上限速度を超えない速度に制御することができる。
【0030】
また、アダプティブクルーズコントロールでは、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1と追従対象車両との車間距離または通過時間差を目標値に維持する車間距離維持制御を行う。制御動作実行部23は、周囲環境センサ13により検出される周囲環境情報に基づいて、車間距離維持制御を行う。
【0031】
例えば、
図3に示すように、鞍乗型車両1の前方を周辺鞍乗型車両2が走行している場合、周囲環境センサ13は、鞍乗型車両1と周辺鞍乗型車両2との間の車間距離、鞍乗型車両1と周辺鞍乗型車両2との間の通過時間差、または周辺鞍乗型車両2に対する鞍乗型車両1の相対速度を検出することができる。制御動作実行部23は、例えば、鞍乗型車両1と周辺鞍乗型車両2との間の車間距離または通過時間差が目標値に維持されるように、鞍乗型車両1の走行速度を制御する。なお、鞍乗型車両1と周辺鞍乗型車両2との間の車間距離は、車線(具体的には、鞍乗型車両1の走行レーン)に沿う方向の距離を意味してもよく、直線距離を意味してもよい。
【0032】
特定部22は、周囲環境センサ13により検出される周囲環境情報に基づいて、周辺鞍乗型車両2を追従対象車両として設定するか否かを判定する。例えば、特定部22は、周囲環境センサ13により検出される周囲環境情報からレーンマーカーL1とレーンマーカーL2に関する情報を抽出し、鞍乗型車両1が位置する走行レーンTL(自車レーンTLとも呼ぶ)を特定する。特定部22は、自車レーンTLに位置し、かつ鞍乗型車両1の前方を走行する周辺鞍乗型車両2を追従対象車両として特定する。鞍乗型車両1の前方を走行する複数の車両が存在する場合、特定部22は、自車レーンTLに位置し、且つ鞍乗型車両1に一番近い車両を追従対象車両として特定してもよい。なお、特定部22は、レーンマーカーL1とレーンマーカーL2に関する情報を用いることなく、周辺鞍乗型車両2を追従対象車両として設定するか否かを判定してもよい。例えば、特定部22は、鞍乗型車両1と周辺鞍乗型車両2の位置関係の時間経過に基づいて、周辺鞍乗型車両2を追従対象車両として設定するか否かを判定してもよい。
【0033】
ここで、鞍乗型車両1を含む複数の鞍乗型車両がグループで走行する場合がある。そのため、鞍乗型車両1では、例えば入力装置14を用いたライダーによる操作に応じて、グループ走行モードを選択できるようになっている。グループ走行モードは、アダプティブクルーズコントロールの各種モードのうちの1つである。グループ走行モードが選択されると、制御動作実行部23は、グループ走行モードをアダプティブクルーズコントロールとして実行する。つまり、グループ走行モードは、制御動作実行部23により実行される各種制御動作のうちの1つである。
【0034】
特定部22は、グループ走行モードが有効である場合に、周辺鞍乗型車両2がグループで走行している複数の鞍乗型車両に含まれることを特定する。例えば、特定部22は、周囲環境センサ13が取得した周辺環境情報と、記憶部24に記憶された情報と、を比較することにより、周辺鞍乗型車両2がグループで走行しているの複数の鞍乗型車両に含まれるか否かを判定する。周辺環境情報は、例えば周辺鞍乗型車両2を撮像した画像であってもよい。
【0035】
例えば、周辺鞍乗型車両2が複数の鞍乗型車両に含まれる(換言すれば、グループに属している)か否かの識別に用いられる情報は、予め設定されて制御装置20の記憶部24に記憶されている。当該情報は自動で入力されてもよく、また鞍乗型車両1のライダー等の使用者によって手動で入力されてもよい。周辺鞍乗型車両2が複数の鞍乗型車両に含まれることを識別するための情報とは、例えば、周辺鞍乗型車両2のナンバープレートに示される文字や数字である。
【0036】
ここで、鞍乗型車両のライダーが、鞍乗型車両の運転に関する意図を、ジェスチャーによって後続車に伝達する場合がある。そのため、グループ走行モードを含むアダプティブクルーズコントロールにおいて、追従対象車両のライダーのジェスチャーに応じて、自車両の挙動を自動で制御する制御装置が求められる。
【0037】
そこで、本発明では、周囲環境センサ13が周囲環境情報として周辺鞍乗型車両2のライダー3のジェスチャーを認識する。以下の説明において、周辺鞍乗型車両2のライダー3を認識対象ライダー3とも呼ぶ。取得部21は、周囲環境センサ13が認識したジェスチャーに関する情報を周囲環境センサ13から取得する。特定部22は、周囲環境センサ13から周囲環境情報を受信して、認識対象ライダー3のジェスチャーを抽出し、必要な制御動作を特定する。制御動作実行部23は、特定部22から必要な制御動作に対応する信号を受信し、周辺鞍乗型車両2のライダー3のジェスチャーに応じた制御動作を実行して、鞍乗型車両1のライダーを支援する。
【0038】
図4は、鞍乗型車両のライダーが後続車両に示すジェスチャーの例を示す図である。
図4では、ジェスチャーの例として、ジェスチャー31からジェスチャー44を示している。ジェスチャーとは、認識対象ライダー3の指、手、腕、足、脚、または頭等の身体の一部の動きを含む。あるいは、ジェスチャーは、認識対象ライダー3の指、手、腕、足、脚、または頭の動きの組み合わせである。
【0039】
ジェスチャー31は、認識対象ライダー3が、鞍乗型車両1のヘッドライト15が意図せずハイビームモードに設定されていると判断した場合、ハイビームを停止するよう鞍乗型車両1のライダーに促す。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1のヘッドライト15をハイビーム以外のモード(例えば通常ライト)に切り替える。あるいは、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1のヘッドライト15をオフにする。
【0040】
ジェスチャー32は、認識対象ライダー3が、周辺鞍乗型車両2を左折させることを意味する。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の左折ランプ17を点灯させる。この時、制御動作実行部23が鞍乗型車両1の走行速度を変化させて(例えば減速させて)左折に備えてもよい。鞍乗型車両1を減速させる場合、制御動作実行部23が、鞍乗型車両1を減速させている間、ブレーキランプ18を点灯させる。
【0041】
ジェスチャー33は、認識対象ライダー3が、周辺鞍乗型車両2を右折させることを意味する。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の右折ランプ16を点灯させる。この時、制御動作実行部23が鞍乗型車両1の走行速度を変化させて(例えば減速させて)右折に備えてもよい。鞍乗型車両1を減速させる場合、制御動作実行部23が、鞍乗型車両1を減速させている間、ブレーキランプ18を点灯させる。
【0042】
ジェスチャー34は、認識対象ライダー3が、鞍乗型車両1の方向指示器が意図せず点灯していると判断した場合、鞍乗型車両1の方向指示器の点灯を停止するよう鞍乗型車両1のライダーに促す。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の右折ランプ16と左折ランプ17の点滅を停止させる。あるいは、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の右折ランプ16と左折ランプ17が点滅していない場合は、点滅していない状態を継続させる。
【0043】
ジェスチャー35は、認識対象ライダー3が、前方に障害物等を発見し、ハザードランプを点滅させるよう鞍乗型車両1のライダーに促す。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1のハザードランプ19を点滅させる。この時、制御動作実行部23が、周辺鞍乗型車両2の走行速度に応じて、鞍乗型車両1を減速させてもよい。鞍乗型車両1を減速させる場合、制御動作実行部23が、鞍乗型車両1を減速させている間、ブレーキランプ18を点灯させる。
【0044】
ジェスチャー36は、認識対象ライダー3が、周辺鞍乗型車両2を加速させることを意味する。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を加速させて、周辺鞍乗型車両2に追従させる。具体的には、アダプティブクルーズコントロールまたはクルーズコントロールが実行されている場合であって、鞍乗型車両1が減速中である場合、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の減速度を0M/S2まで減少させる。あるいは、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を、所定の時間にわたって所定の加速度で加速させる。この加速をブーストモードとも呼ぶ。あるいは、制御動作実行部23は、アダプティブクルーズコントロールにおける鞍乗型車両1の設定速度を、予め設定されている速度まで上げる。この時、制御動作実行部23は、所定の時間にわたって、連続的にまたは一時的に、鞍乗型車両1を予め設定されている速度で走行させてもよい。また、制御動作実行部23は、これらの制御動作のうち1つを実行してもよく、また、これらの制御動作のうち2つ以上を組み合わせて実行してもよい。
【0045】
ジェスチャー37は、認識対象ライダー3が、周辺鞍乗型車両2を減速させることを意味する。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を減速させて、周辺鞍乗型車両2に追従させる。具体的には、アダプティブクルーズコントロールまたはクルーズコントロールが実行されている場合であって、鞍乗型車両1が加速中である場合、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1の加速度を0M/S2まで減少させる。あるいは、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を、所定の時間にわたって所定の減速度で減速させる。あるいは、制御動作実行部23は、アダプティブクルーズコントロールにおける鞍乗型車両1の設定速度を、予め設定されている速度まで下げる。この時、制御動作実行部23は、所定の時間にわたって、連続的または一時的に、鞍乗型車両1を予め設定されている速度で走行させてもよい。また、制御動作実行部23は、これらの制御動作のうち1つを実行してもよく、また、これらの制御動作のうち2つ以上を組み合わせて実行してもよい。
【0046】
さらに、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を減速させている間、ブレーキランプ18を点灯させる。制御動作実行部23は、ブレーキランプ18を点灯させる代わりに、鞍乗型車両1の後方に設けられたその他の警告灯やハザードランプ19を点灯させてもよい。あるいは、制御動作実行部23は、ブレーキランプ18を点灯させると共に、鞍乗型車両1の後方に設けられたその他の警告灯やハザードランプ19を点灯させてもよい。鞍乗型車両1を減速させている間にブレーキランプ18および/またはその他のランプを点灯させる制御動作は、ジェスチャー37以外のその他のジェスチャーにおいても、必要に応じて実行される。
【0047】
ジェスチャー38は、認識対象ライダー3が周辺鞍乗型車両2を停止させることを意味する。そのため、制御動作実行部23は、ブレーキランプ18を点灯させ、鞍乗型車両1を周辺鞍乗型車両2に追従させながら、鞍乗型車両1を徐々に減速させて停止させる。具体的には、制御動作実行部23は、上述したジェスチャー37の場合と同様の制御動作を実行して、ブレーキランプ18(あるいはその他のランプ)を点灯させ、鞍乗型車両1を減速させて停止する。
【0048】
ジェスチャー39からジェスチャー41は、認識対象ライダー3が周辺鞍乗型車両2を停止させることを伝達する他のジェスチャーの例である。ジェスチャー39は給油のための停止を示す。ジェスチャー40は休憩のための停止を示す。ジェスチャー41は、何らかの理由で一旦停止することを示す。何れの場合も、ジェスチャー38の場合と同様に、制御動作実行部23は、ブレーキランプ18を点灯させ、鞍乗型車両1を減速させて停止する。
【0049】
ジェスチャー42は、鞍乗型車両1を含む複数の鞍乗型車両がグループで走行する場合に、認識対象ライダー3が、複数の鞍乗型車両に一列で走行するよう伝達する。そのため、制御動作実行部23は、アダプティブクルーズコントロールを通常ACCモードに設定する。これにより、鞍乗型車両1が鞍乗型車両1の直前を走行する追従対象車両に追従する通常ACCモードが実行される。具体的には、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1においてアダプティブクルーズコントロールが実行中であって、且つ通常ACCモード以外のモード(例えば、グループ走行モード)に設定されている場合、実行中のモードを停止して通常ACCモードに切り替える。通常ACCモードが実行中の場合、制御動作実行部23は、通常ACCモードを継続して実行する。制御動作実行部23は、鞍乗型車両1においてアダプティブクルーズコントロールが実行中でない場合、アダプティブクルーズコントロールの各種モードから通常ACCモードを選択してアダプティブクルーズコントロールを開始する。
【0050】
ジェスチャー43は、鞍乗型車両1を含む複数の鞍乗型車両がグループで走行する場合に、認識対象ライダー3が、複数の鞍乗型車両に二列で走行するよう伝達する。そのため、制御動作実行部23は、グループ走行モードを実行する。具体的には、アダプティブクルーズコントロールが実行中であって、且つグループ走行モード以外のモードが実行されている場合、制御動作実行部23は、実行中のモードを停止してグループ走行モードに切り替える。グループ走行モードが実行中の場合、制御動作実行部23は、グループ走行モードを継続して実行する。アダプティブクルーズコントロールが実行中でない場合、アダプティブクルーズコントロールの各種モードからグループ走行モードを選択してアダプティブクルーズコントロールを開始する。グループ走行モードは、アダプティブクルーズコントロールの各種モードのうち、複数の鞍乗型車両が複数の車列で走行する場合に自車両のライダーを適切に支援することが可能なモードある。そのため、グループ走行モードを実行することで、複数の鞍乗型車両が二列で走行する場合に、自車両1のライダーが自車両1を運転することを適切に支援することができる。
【0051】
ジェスチャー44は、認識対象ライダー3が、鞍乗型車両1のライダーに、周辺鞍乗型車両2を追い越すように促す。そのため、制御動作実行部23は、鞍乗型車両1を加速させて周辺鞍乗型車両2を追い越させる。この時、制御装置20は、周囲環境センサ13が取得した周囲環境情報に基づいて、すり抜け可能かどうかを判定するすり抜け判定等、各種制御を実行してもよい。
【0052】
ここで、グループで走行する複数の鞍乗型車両が二列で走行する場合、特定部22は、複数の鞍乗型車両のうち先頭に位置する先頭鞍乗型車両のライダーである先頭ライダーを認識対象ライダー3として特定してもよい。この場合、制御動作実行部23は、先頭ライダーのジェスチャーに応じた各種制御動作を実行する。なお、特定部22は、認識対象ライダー3として先頭ライダーを特定すると共に、追従対象車両として先頭鞍乗型車両以外の鞍乗型車両を特定してもよい。この場合、制御動作実行部23は、認識対象ライダー3のジェスチャーに応じた制御動作を実行すると共に、追従対象車両に自車両1を追従させるための制御動作を実行してもよい。
【0053】
なお、制御動作実行部23は、制御動作として、鞍乗型車両1のディスプレイに認識対象ライダー3のジェスチャーに応じた情報を表示してもよい。鞍乗型車両1のディスプレイとは、例えば、HMI(Human Machine Interface)である。ジェスチャーに応じた情報とは、例えば、メッセージ等の文字又は画像であってもよい。例えば、特定部22がジェスチャー39を特定した場合、給油を示すメッセージ又は画像をHMIに表示してもよい。当該メッセージ又は画像によって、鞍乗型車両1のライダーが、認識対象ライダー3が給油のために停止する意図であることを認識することができる。
【0054】
以下に、
図5を参照して、本発明に係る制御方法を説明する。
図5は、一実施形態に係る、鞍乗型車両の制御方法100を示すフローチャートである。
【0055】
周囲環境センサ13は、S101において、周囲環境情報として周辺鞍乗型車両2のライダーである認識対象ライダー3のジェスチャーを認識する。
【0056】
取得部21は、S102において、周囲環境センサ13が認識したジェスチャーに関する情報を周囲環境センサ13から取得する。
【0057】
特定部22は、S103において、周囲環境センサ13から周囲環境情報を受信して、認識対象ライダー3のジェスチャーを抽出し、必要な制御動作を特定する。
【0058】
制御動作実行部23は、S104において、特定部22から必要な制御動作に対応する信号を受信し、周辺鞍乗型車両2のライダー3のジェスチャーに応じた制御動実行して、鞍乗型車両1のライダーを支援する。
【0059】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法の効果を記載する。
【0060】
本発明によれば、周囲環境センサ13(認識部とも呼ぶ)により、自車両1の周辺に位置する周辺鞍乗型車両2のライダーである認識対象ライダー3のジェスチャーを認識する。制御動作実行部23は、自車両1において認識対象ライダー3のジェスチャーに応じた制御動作を実行して、自車両1のライダーを支援する。これにより、認識対象ライダー3の意図に適切に対応した制御動作を実行することが可能になる。その結果、本発明に係る制御装置及び制御方法によれば、自車両1のライダーが自車両1を運転することを適切に支援することができる。
【0061】
本発明によれば、制御動作実行部23は、制御動作として、認識対象ライダー3のジェスチャーに応じて自車両1の走行速度を自動で制御するアダプティブクルーズコントロールの設定を切り替える。あるいは、制御動作実行部23は、制御動作として、認識対象ライダー3のジェスチャーに応じてアダプティブクルーズコントロールを停止または開始する。そのため、制御動作実行部23は、認識対象ライダー3の意図に適切に対応した制御動作を実行することが可能になる。その結果、本発明に係る制御装置及び制御方法によれば、自車両1のライダーが自車両1を運転することを適切に支援することができる。
【0062】
本発明によれば、制御動作実行部23は、制御動作として、認識対象ライダー3のジェスチャーに応じてグループ走行モードを開始または停止する。例えば、本発明に係る制御装置及び制御方法によれば、認識対象ライダー3が二列走行を指示するジェスチャーを出した場合、グループ走行モードを開始して、自車両1のライダーがグループ走行を行うことを適切に支援することができる。
【0063】
ここで、複数の鞍乗型車両によるグループ走行では、複数の鞍乗型車両が一列で走行する場合がある。この場合、複数の鞍乗型車両のそれぞれが直前の鞍乗型車両に追従するため、グループ走行モードよりも通常ACCモードの方が好ましい場合がある。本発明に係る制御装置及び制御方法によれば、認識対象ライダー3が一列走行を指示するジェスチャーを出した場合、アダプティブクルーズコントロールの設定を切り替えて通常ACCモードを実行することができる。
【0064】
本発明によれば、特定部22が、自車両1を含む複数の鞍乗型車両がグループで走行するグループ走行モードが有効である場合に、周辺鞍乗型車両2が前記複数の鞍乗型車両に含まれることを特定する。これにより、自車両1がグループに含まれない車両に誤って追従することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 :鞍乗型車両(自車両)
2 :周辺鞍乗型車両
3 :認識対象ライダー
11 :エンジン
12 :液圧制御ユニット
13 :周囲環境センサ
14 :入力装置
15 :ヘッドライト
16 :右折ランプ
17 :左折ランプ
18 :ブレーキランプ
19 :ハザードランプ
20 :制御装置
21 :取得部
22 :特定部
23 :制御動作実行部
24 :記憶部
31 :ジェスチャー
32 :ジェスチャー
33 :ジェスチャー
34 :ジェスチャー
35 :ジェスチャー
36 :ジェスチャー
37 :ジェスチャー
38 :ジェスチャー
39 :ジェスチャー
40 :ジェスチャー
41 :ジェスチャー
42 :ジェスチャー
43 :ジェスチャー
44 :ジェスチャー
100 :制御方法
TL :走行レーン(自車レーン)