(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094713
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】案内システム、および案内方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20230629BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210179
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 立晴
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 英美
(72)【発明者】
【氏名】平島 陽子
(72)【発明者】
【氏名】今村 将司
(72)【発明者】
【氏名】宮田 克也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】利用者に行動変容を促すために、利用者の特性に合わせた多様な行動変容促進情報を提供する。
【解決手段】演算部は、利用者の特性に応じて定められる行動変容に関する情報と行動変容後の利用者の行動対象となる事業者情報との関連性を定めた特性別事業者関連情報に基づいて、特性を有した利用者についての特徴量を算出し、行動変容後の行動に関する事業者情報に含まれる事業者の特徴情報を特性別事業者関連情報に変換した事業者についての特徴量を算出し、利用者についての特徴量と事業者についての特徴量との一致度が所定の条件を満たす場合に、特性別事業者関連情報と行動変容を促す促進情報とを含む行動変容促進情報を生成し、生成した行動変容促進情報を利用者の端末に送信する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行動変容を促進する情報を利用者の端末に送信する案内システムであって、
演算部と記憶部とを有し、
前記演算部は、
利用者の特性に応じて定められる行動変容に関する情報と行動変容後の利用者の行動対象となる事業者情報との関連性を定めた特性別事業者関連情報に基づいて、前記特性を有した利用者についての特徴量を算出し、
前記行動変容後の行動に関する前記事業者情報に含まれる事業者の特徴情報を前記特性別事業者関連情報に変換した前記事業者についての特徴量を算出し、
前記利用者についての特徴量と前記事業者についての特徴量との一致度が所定の条件を満たす場合に、前記特性別事業者関連情報と前記行動変容を促す促進情報とを含む行動変容促進情報を生成し、
前記生成した行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする案内システム。
【請求項2】
前記演算部は、
利用者の行動間の関係性を定めた行動関係情報を用いて、利用者の行動に対応する行動変容後の行動を特定し、
前記事業者の特徴情報のうち、前記特性に応じて区別しない特徴については前記特性に応じて区別する特徴と共通する第1の情報に変換し、前記特性に応じて区別する特徴については前記特性により異なる第2の情報に変換し、
前記変換した前記第1の情報と前記第2の情報とを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記演算部は、
前記利用者の端末に送信した前記利用者に対する問い合わせ情報に対して、前記利用者の端末から受信した回答情報を生成し、生成した当該回答情報に基づいて、前記利用者の特性を推定し、当該推定の結果情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記利用者の行動予定情報と、当該行動予定情報に対する現在の状況を示す情報とに基づいて、前記利用者の行動が阻害されると判定した場合、利用者の行動が阻害される状況が生じたときの対応ポリシーに関する情報と当該対応ポリシーに応じた対応行動に関する情報とを対応付けた目標行動変容提案情報を用いて、阻害されると判定した前記利用者の行動に対する前記対応ポリシーに関する情報と前記対応行動に関する情報とを含む前記行動変容促進情報を生成し、
前記生成した前記対応ポリシーに関する情報と前記対応行動に関する情報とを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。
【請求項5】
前記演算部は、
前記目標行動変容提案情報に記憶された、前記目標行動変容提案情報を作成した事業者以外の他の事業者が提供するサービスに関する行動にまで行動変容後の利用者の行動対象を拡張するか否かを示す関係有無情報が関係有を示す場合には、前記他の事業者に関するコンテンツを含む前記行動変容促進情報を生成し、
前記生成した前記他の事業者に関するコンテンツを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項4に記載の案内システム。
【請求項6】
演算部と記憶部とを有した、利用者の行動変容を促進する情報を利用者の端末に送信する案内システムで行われる案内方法であって、
前記演算部は、
利用者の特性に応じて定められる行動変容に関する情報と行動変容後の利用者の行動対象となる事業者情報との関連性を定めた特性別事業者関連情報に基づいて、前記特性を有した利用者についての特徴量を算出し、
前記行動変容後の行動に関する前記事業者情報に含まれる事業者の特徴情報を前記特性別事業者関連情報に変換した前記事業者についての特徴量を算出し、
前記利用者についての特徴量と前記事業者についての特徴量との一致度が所定の条件を満たす場合に、前記特性別事業者関連情報と前記行動変容を促す促進情報とを含む行動変容促進情報を生成し、
前記生成した行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする案内方法。
【請求項7】
前記演算部は、
利用者の行動間の関係性を定めた行動関係情報を用いて、利用者の行動に対応する行動変容後の行動を特定し、
前記事業者の特徴情報のうち、前記特性に応じて区別しない特徴については前記特性に応じて区別する特徴と共通する第1の情報に変換し、前記特性に応じて区別する特徴については前記特性により異なる第2の情報に変換し、
前記変換した前記第1の情報と前記第2の情報とを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の案内方法。
【請求項8】
前記演算部は、
前記利用者の端末に送信した前記利用者に対する問い合わせ情報に対して、前記利用者の端末から受信した回答情報を生成し、生成した当該回答情報に基づいて、前記利用者の特性を推定し、当該推定の結果情報を出力する、
ことを特徴とする請求項6に記載の案内方法。
【請求項9】
前記演算部は、
前記利用者の行動予定情報と、当該行動予定情報に対する現在の状況を示す情報とに基づいて、前記利用者の行動が阻害されると判定した場合、利用者の行動が阻害される状況が生じたときの対応ポリシーに関する情報と当該対応ポリシーに応じた対応行動に関する情報とを対応付けた目標行動変容提案情報を用いて、阻害されると判定した前記利用者の行動に対する前記対応ポリシーに関する情報と前記対応行動に関する情報とを含む前記行動変容促進情報を生成し、
前記生成した前記対応ポリシーに関する情報と前記対応行動に関する情報とを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の案内方法。
【請求項10】
前記演算部は、
前記目標行動変容提案情報に記憶された、前記目標行動変容提案情報を作成した事業者以外の他の事業者が提供するサービスに関する行動にまで行動変容後の利用者の行動対象を拡張するか否かを示す関係有無情報が関係有を示す場合には、前記他の事業者に関するコンテンツを含む前記行動変容促進情報を生成し、
前記生成した前記他の事業者に関するコンテンツを含む前記行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項9に記載の案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システム、および案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、行動科学分野のナッジ理論は交通、公共政策、医療、小売り業、教育等の様々な分野で活用されている。各分野サービスの事業者が利用者に特定の目標行動を実行させる場合や、利用者の行動が同じ対象に過度に集中しリソース不足が生じないように利用者の行動変容を実行させる場合に対し行動変容促進技術が活発に研究されている。ナッジは人々の行動を予測可能な方法で変化させるアーキテクチャとして行動変容促進に関する装置およびシステムに使われている。例えば、多数の利用者の行動の全体状況を最適化するため、利用者の行動を制御するシステムが特許文献1で実現されている。また特許文献2には行動要因に基づくナッジを利用して、対象者の行動変容を支援する行動支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-59099号公報
【特許文献2】特許第6935118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
行動変容促進においては、新たな目標行動となるコンテンツと、その実行を促すメッセージ(ナッジ文)をセットにして提案することで、行動対象者の提案受容率を高めることが可能である。
【0005】
特許文献1では、行動制御のための目標行動に関するコンテンツを提供するが、多様な事業者の提供するサービスから目標行動に関するコンテンツを選択することができず、また行動対象の特性に合わせたナッジ文とセットに提供していない。
【0006】
特許文献2では、利用者の行動変容を支援するメッセージを生成する。しかし、メッセージ生成に利用する情報は目標行動に関する情報のみであり、利用者の特性によってメッセージ部品を変更することがないため、多様な利用者に対して受容しやすいメッセージを提供することが困難である。
【0007】
本発明では、利用者に行動変容を促すために、利用者の特性に合わせた多様な行動変容促進情報を提供する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る案内システムは、行動変容を促進する情報を利用者の端末に送信する案内システムであって、演算部と記憶部とを有し、利用者の特性に応じて定められる行動変容に関する情報と行動変容後の利用者の行動対象となる事業者情報との関連性を定めた特性別事業者関連情報に基づいて、前記特性を有した利用者についての特徴量を算出し、前記行動変容後の行動に関する前記事業者情報に含まれる事業者の特徴情報を前記特性別事業者関連情報に変換した前記事業者についての特徴量を算出し、前記利用者についての特徴量と前記事業者についての特徴量との一致度が所定の条件を満たす場合に、前記特性別事業者関連情報と前記行動変容を促す促進情報とを含む行動変容促進情報を生成し、前記生成した行動変容促進情報を前記利用者の端末に送信する、ことを特徴とする案内システムとして構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者に行動変容を促すために、利用者の特性に合わせた多様な行動変容促進情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例における行動変容促進システムおよび装置の構成図である。
【
図2】本発明の一実施例における利用者情報テーブルの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例で用いられる行動予定テーブルの一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例で用いられるリアルタイム状況テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例で用いられる目標行動変容提案テーブルの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例で用いられる行動種別関係テーブルの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例で用いられる行動種別毎の事業者ジャンルテーブルの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例で用いられる事業者候補テーブルの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例で用いられる目標行動状況テーブルの一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例で用いられる特性別ナッジ情報テーブルの一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施例で用いられるナッジ文言生成テーブルの一例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施例における全体処理フローを示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施例における事業者候補リストの絞り込みフローを示すフローチャートである。
【
図14】本発明の一実施例で用いられる、健康特性を加味した事業者候補テーブルの変換の例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施例で用いられる、貢献特性を加味した事業者候補テーブルの変換の例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施例で用いられるキーワードベクトルのマッチング度を計算する方法の例を示す図である。
【
図17A】本発明の一実施例で用いられるナッジ文言生成テーブルのデータ設定処理の例を示す図である。
【
図17B】本発明の一実施例で用いられるナッジ文言生成テーブルのデータ設定処理の例を示す図である。
【
図18A】本発明の一実施例で用いられる行動変容促進情報を表示する画面の例を示す図である。
【
図18B】本発明の一実施例で用いられる行動変容促進情報を表示する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含む。
【0012】
<構成>
本実施では交通事業者が提供するルート検索サービス、および移動という利用者目標行動の例を用いて説明する。これに限らず、例えば、健保事業者が提供する健診管理システム、及び健診という利用者目標行動など様々なユースケースに適用できる。
【0013】
以下、本実施例の構成について、説明する。
図1は、本実施例の行動変容促進システムおよび装置の構成図である。本実施例における利用者への案内システムである行動変容促進システム10Sは、行動変容促進装置100と、事業者Aが運用する外部事業者サーバ180A、事業者Bが運用する外部事業者サーバ180Bなどの複数の外部事業者サーバ180と、利用者Aの利用者端末170Aや利用者Bの利用者端末170Bなどの複数の利用者端末170がインタネットのようなネットワーク190を介して、お互い接続される。利用者端末170は、例えば、タブレット型端末、スマートフォン、スマートウォッチ、ARグラスである。
【0014】
行動変容促進装置100は、本実施例の主たる処理を実行する装置である。本実施例には、行動変容促進装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを記憶する記憶媒体も含まれる。ここで、
図1では、行動変容促進装置100のハードウェア構成と、保持するデータテーブルを示す。行動変容促進装置100は通信部130、制御部140、入力部150、出力部160、記憶部110がバスのような通信路を介してお互いに接続されている。
【0015】
通信部(I/F:インタフェース)130は、ハードウェアとしては、例えば、NIC(Network Interface Card)のような通信機器から構成され、インタネットのようなネットワークを介して利用者端末170、外部事業者サーバ180との通信する機能を持つ。
【0016】
制御部140は、ハードウェアとしては、例えば、CPUなどのプロセッサで実現できる。制御部140は記憶部110に格納された図示しない各種プログラムを実行することによって、各種機能を実現する。なお、制御部140の処理の詳細は後述する。
【0017】
入力部(I/F)140は、ハードウェアとしては、例えば、マウス、キーボード、マイク、画像取り込み装置などである。
【0018】
出力部(I/F)150は、ハードウェアとしては、例えば、表示装置、スピーカーなどである。
【0019】
記憶部110は、ハードウェアとしては、例えば、HDDなどのストレージで構成され、入力部150や通信部130で取得した情報、制御部140の処理結果に基づく情報などを格納して保持する。本例では記憶部110がストレージである場合を例示するが、メモリなどの記憶媒体であってもよい。
【0020】
記憶部110は、利用者情報テーブル111、行動予定テーブル112、リアルタイム状況テーブル113、目標行動変容提案テーブル114、行動種別関係テーブル115、行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116、事業者候補テーブル117、目標行動状況テーブル118、特性別ナッジ情報テーブル119、ナッジ文言生成テーブル120を備える。各テーブルの詳細は後述する。以下の説明では、「テーブル」、「リスト」などの表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されてもよい。更に、識別情報について説明する際、「ID」、「番号」、「識別情報」、「名」などの表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0021】
なお、行動変容促進装置100は、複数の装置で構成されていてもよいし、外部事業者サーバ180と同一装置として構成されていてもよい。例えば、行動変容促進装置100の機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピュータに分散して設けられ、あるいは外部事業者サーバ180に設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより同様の機能を実現してもよい。
【0022】
<情報・データ>
次に、記憶部110が保持するデータテーブルの例を説明する。これらのデータテーブルは1つの利用者に対して説明する。複数の利用者に対し、複数のデータテーブルをそれぞれ作成されている。
【0023】
まず、
図2は利用者情報テーブル111を示す図である。利用者情報テーブル111には、利用者に関する情報が格納される。格納する情報は、例えば、利用者端末170で入力した情報を通信部130を介して取得したもの、後述の制御部140の利用者特性推定処理の処理結果などに基づく情報などがある。利用者情報テーブル111は、利用者ID201、名前202、パスワード203、性別204、年齢205、居住地206、嗜好207、アンケート結果208、特性判定結果209、受入結果210を含む。
【0024】
利用者ID201には、利用者の識別用のID(以下、「利用者ID」と呼ぶ)が格納される。名前202には、利用者がサービスを利用するときの名前またはメールアドレスが格納される。パスワード203には、利用者がサービスを利用するときのパスワードが格納される。性別204には利用者の性別データが格納される。年齢205には利用者の年齢データが格納される。居住地206には利用者の住所データが格納される。嗜好207には、利用者の嗜好についての情報などが格納される。例えば、喫煙嗜好の有無、飲酒嗜好の有無といった情報であり、利用者が直接入力してもよいし、利用者のアンケート回答内容に基づいて生成した回答情報を参照する等して行動変容促進装置100が決定してもよい。アンケート結果208には特性判定用アンケートの回答結果情報などが格納される。特性判定結果209には、アンケート結果208の情報を用いた後述の処理1202の処理結果に基づく利用者特性を表す情報が格納される。利用者特性の具体例については後述する。なお、アンケート結果を用いずに、利用者が直接入力した情報を格納する方法でもよい。受入結果210は、後述の処理1217の処理結果などに基づく情報が格納される。例えば、行動変容促進装置100が提供した行動変容促進情報に含まれる選択肢のいずれを選択したかの情報である。なお、利用者に関する情報項目は上述したものに限定されない。
【0025】
図3は、行動予定テーブル112を示す図である。行動予定テーブル112には、後述の処理1203で受け付けした目標行動の予定(以下、「行動予定」と呼ぶ)が格納される。すなわち、利用者端末170で入力した情報を通信部130を介して取得した情報などが格納される。交通事業者のルート検索サービスにおける行動予定とは、利用者の移動目的に合わせたルート検索条件あるいはその検索結果である。行動予定テーブル112は、利用者ID301、出発時刻302、到着時刻303、出発地304、到着地305、経由地306を含む。
【0026】
利用者ID301には当該行動予定を計画した利用者の利用者IDが格納される。出発時刻302は利用者が入力した出発予定時刻が格納される。到着時刻303は利用者が入力した到着予定時刻が格納される。一般的に出発時刻302と到着時刻303はどちらか一方をルート検索条件として指定し、他方は検索結果となる。出発地304は利用者が入力した起点とする場所の情報(例えば、駅名やバス停名)が格納される。到着地305は利用者が入力した終点とする場所の情報(例えば、駅名やバス停名)が格納される。経由地306は利用者が入力した移動ルート上経由する場所の情報(例えば、駅名やバス停)が格納される。
図3は交通ユースケースの例としての行動予定テーブルを説明したが、利用者の行動予定情報は上述ものに限定されない。
【0027】
図4は、リアルタイム状況テーブル113を示す図である。リアルタイム状況テーブル113には、事業者が提供するサービスの状況がリアルタイムに変化している実態を記録する情報、および過去データを用いて現在または近い将来の状況を予測する処理結果などに基づく情報などが格納される。すなわち、外部事業者サーバ180が保持する情報を通信部130を介して取得した情報などが格納される。リアルタイム状況テーブル113は、系統番号401、区間情報402、予定出発時刻403、予定到着時刻404、遅延時間405、混雑レベル406、混雑解消見込時間407を含む。
【0028】
系統番号401には交通路線などの情報を示す番号が格納される。区間情報402には、交通路線上にある空間の起点と終点の駅名またはバス停名などの情報が格納される。予定出発時刻403には、区間情報402に格納されている起点駅またはバス停からの予定発車時刻の情報が格納される。予定到着時刻404には、区間情報402に格納されている終点駅またはバス停への予定到着時刻の情報が格納される。遅延時間405には、現時点の列車またはバスの在線位置情報から計算した予定出発時刻の遅延などの情報が格納される。混雑レベル406には、現時点の乗車実績から計算した混雑の程度を示す情報、または過去の乗車実績や天気などの変動する環境情報などを利用して予測した混雑の程度を示す情報が格納される。例えば、混雑レベルを4段階と定義して、混雑レベル3以上なら「混雑である」と示す方法もある。混雑解消見込時間407は、混雑レベル406、過去の乗車実績、天気などの変動する環境情報などを利用して予測した混雑解消までの見込み時間情報が格納される。リアルタイム状況テーブル113の各項目のデータは、外部事業者サーバ180が保持する情報を通信部130を介して取得しそのまま格納する方法や、外部事業者サーバ180から取得した情報に基づいて行動変容促進装置100が算出した情報を格納する方法がある。交通事業者以外の事業者が提供するサービス状況も時刻に伴い変化しているため、リアルタイムに変更することを示せれば、リアルタイム状況テーブルは上述様式に限定されない。
【0029】
図5は、目標行動変容提案テーブル114を示す図である。目標行動変容提案テーブル114には目標行動の対象サービスを提供する事業者の意図または行動需要のコントロールポリシーに沿って作成した行動変容提案に関する情報が格納される。目標行動変容提案テーブル114は事前に作成して行動変容促進装置100に静的に格納される。本実施例では交通事業者の移動需要のコントロールポリシーに踏まえ作成したものである。目標行動変容提案テーブル114は、状況内容510、対応ポリシー520、対応行動選択肢530を含む。
【0030】
状況内容510には、目標行動の実行が阻害される状況に関する情報(例えば、混雑、遅延)が格納される。対応ポリシー520には、事業者の意図に沿って状況内容510が示す各状況が発生した場合の対応ポリシー(例えば、混雑を避ける)が格納される。対応行動選択肢530には、対応ポリシー520が示すポリシーを実現するための手段である行動の選択肢(例えば、寄り道、迂回)に関する情報が格納される。対応行動選択肢530は、対応行動531、行動種別関係の利用有無532を含む。対応行動531は、対応ポリシー520が示すポリシーを実現するために取り得る行動の選択肢情報が格納される。行動種別関係の利用有無532は、対応行動531が示す対応行動の実現に当たり、目標行動変容提案テーブル114の生成に主として関わる事業者(例えば、目標行動変容提案テーブル114を生成した交通事業者)以外の他事業者(例えば、ラーメン屋)が提供するサービスに関する行動までに選択肢を拡張するか否かを示す情報が格納される。他事業者が提供するサービスに関する行動に拡張する場合は行動種別関係の利用有無532に「有」が格納される。他事業者が提供するサービスに関する行動に拡張しない場合は行動種別関係の利用有無532に「無」が格納される。目標行動変容提案テーブル114の生成に主として関わる事業者の意図によって、すべての対応行動に対し行動種別関係の利用有無532に「有」または「無」を設定することが可能である。具体的には後述するが、行動種別関係の利用有無532に「有」が設定されている場合には、最終ナッジ文と当該最終ナッジ文に対応する上記他の事業者についてのコンテンツとが利用者に対して提示される。一方、行動種別関係の利用有無532に「無」が設定されている場合には、最終ナッジ文と目標行動における対応行動に関するコンテンツが利用者に対して提示される。
【0031】
図6は、行動種別関係テーブル115を示す図である。行動種別関係テーブル115は、利用者の行動間の関係性を定めた行動関係情報であり、行動種別間の関係有無および関係の種類に関する情報が格納される。行動種別関係テーブル115は事前に作成して行動変容促進装置100に静的に格納される。行動種別関係テーブル115は、人の行動履歴、購買履歴、SNS(Social Networking Service)データ、アンケート調査などの情報に基づいた行動種別の関係に関する知見や機械学習によって作成することが可能である。行動種別関係テーブル115は、行動種別A列601、行動種別B列602、関係A→B603を含む。
【0032】
行動種別A列601と行動種別B列602にはそれぞれ行動の種別(例えば移動、買うなど)が格納される。関係A→B603には行動種別A列601に格納された行動種別Aと行動種別B列602に格納された行動種別Bとの関係を示す情報が格納される。例えば移動種別A列601に「移動」が格納されている、移動種別B列602に「買う」が格納されている、関係A→B603には行動種別Aの「移動」で行動種別Bの「買う」が実現されていると示す関係情報「実現」が格納される。事業者の意図とポリシーによって、目標行動種別と特定な関係を持つ行動種別のみに拡張する場合がある。その場合は、指定する関係を持つ行動種別のみを抽出する。
【0033】
図7は、行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116を示す図である。行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116には、行動種別関係テーブル115の行動種別B列が示す行動種別に対して、どんなジャンルのサービスを提供する事業者が該当するかを示す情報が格納される。行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116は事前に作成して行動変容促進装置100に静的に格納される。行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116は、行動種別701、事業者ジャンル702を含む。
【0034】
行動種別701には本システムで扱う行動種別(例えば、食べる、買う)が格納される。事業者ジャンル702には、行動種別701が示す行動種別に関わりのあるサービスを提供する事業者のジャンル情報(例えば、行動種別の「食べる」に対応する事業者ジャンルは「ラーメン屋」、「居酒屋」など)が格納される。
【0035】
図8は、事業者候補テーブル117を示す図である。事業者候補テーブル117には、様々なサービスを提供する事業者の各種特徴を表す情報が格納される。例えば、事業者候補テーブル117は、事業者ID801、事業者名前802、ジャンル803、営業時間804、位置情報805、最寄り駅806、混雑状況807、利用目安時間808、人気度809、個室有無810、予算811、喫煙有無812、キャッチ813などの特徴情報が格納される。事業者候補テーブル117に格納される特徴情報は上述記載した項目に限定されない。事業者候補テーブル117に格納される情報は、一般的なサービス検索で利用するために外部事業者が用意した静的情報やリアルタイム情報であり、外部事業者サーバ180から通信部130を介して適宜取得する。
【0036】
図9は、目標行動状況テーブル118を示す図である。目標行動状況テーブル118には、後述の処理1204にて行動予定テーブル112とリアルタイム状況テーブル113のデータに基づいて目標行動の実行が阻害される状況が発生したと判断した場合にその状況の詳細情報が格納される。目標行動状況テーブル118は、利用者ID901、状況内容902、状況発生の位置903、状況発生の日時904、状況解消までの見込時間905を含む。
【0037】
利用者ID901には、目標行動の実行が阻害される状況が発生した利用者のIDが格納される。状況内容902には、目標行動の実行が阻害される状況の種類(例えば、混雑、遅延)が格納される。状況発生の位置903には、状況内容902が示す状況が発生した位置の情報(例えば、駅名、バス停名)が格納される。状況発生の日時904には、状況内容902が示す状況が発生した日時情報が格納される。状況解消までの見込時間905には、状況内容902が示す状況が解消されるまでの予測時間に関する情報が格納される。目標行動の実行が阻害される状況に関する特徴を表す情報であれば、目標行動状況テーブル118は上述のものに限定されない。
【0038】
図10は、特性別ナッジ情報テーブル119を示す図である。特性別ナッジ情報テーブル119には、特性ごとに効果的と考えられる行動変容促進方法に関する特徴を表す情報が格納される。特性別ナッジ情報テーブル119は事前に作成され、行動変容促進装置100に静的に格納される。特性別ナッジ情報テーブル119は、特性種別1001、ナッジ方針1002、ナッジ文言1003、事業者ジャンル1004、ジャンルの評価1005、ジャンルのディスクリプションキーワード1006を含む。
【0039】
特性種別1001には利用者の特性の種別情報が格納される。例えば、特性種別1001には、健康意識の高い人を示す「健康」、社会貢献意識の高い人を示す「貢献」、周囲との同調欲求が強い人を示す「同調」、行動変容に対する抵抗感が高い人を示す「変化回避」などが格納される。ナッジ方針1002には、アンケート調査などで得た知見に基づき特性ごとに効果的な行動変容の種別を表す情報が格納される。例えば、「健康」特性の人は感染対策を重視する傾向や、意識的に歩行量を増やしたい傾向があるため「感染対策」や「移動を増やす」といった行動変容の種別を格納する。ナッジ文言1003には、ある特性を持っている利用者に対して効果的なナッジとなる行動変容促進メッセージが格納される。事業者ジャンル1004には、ある特性を持っている利用者に対して行動変容後の新たな行動ターゲット(行動対象)となり得る店舗並びに施設等の事業者ジャンル情報が格納される。ジャンルの評価1005には、ある特性を持っている利用者に対して事業者ジャンル1004が示すジャンルがどの程度の行動変容促進効果を持つかを数値化した情報が格納される。ジャンルのディスクリプションキーワード1006には、ある特性を持っている利用者と事業者ジャンル1004との関連性を示すキーワード情報が格納される。ジャンルのディスクリプションキーワード1006は、ある特性の利用者に、事業者に対する行動変容を促すための促進情報であるともいえる。ナッジ文言1003、事業者ジャンル1004、ジャンルの評価1005、ジャンルのディスクリプションキーワード1006についてもナッジ方針1002と同様に、ある特性を持っている利用者に関する行動履歴、購買履歴、SNSデータ、アンケートなどの情報を調査、分析、機械学習などして、その結果として得られた、ある特性を持っている利用者が受け入れやすいメッセージ内容、頻繁に利用する事業者ジャンルとその程度、頻繁に利用する店舗や施設を表す属性やキーワード情報に基づいてデータを作成する。具体的にはフローチャートを用いて後述するが、特性キーワードベクトルは、ナッジ方針ごとに生成される。
【0040】
図11は、ナッジ文言生成テーブル120を示す図である。ナッジ文言生成テーブル120には行動変容促進情報に使う最終ナッジ文の部品情報が格納される。ナッジ文言生成テーブル120は利用者毎に作成される。ナッジ文言生成テーブル120は、利用者ID1110、目標行動変容提案パーツ1120、事業者候補パーツ1130、ナッジ文言1140を含む。
【0041】
利用者ID1110は目標行動を実行する利用者の利用者IDが格納される。目標行動変容提案パーツ1120は対応ポリシー1121、対応行動1122を含む。目標行動変容提案パーツ1120は目標行動変容提案テーブル114から抽出したデータが設定される。対応ポリシー1121、対応行動1122の内容および関係は、
図5の対応ポリシー520、対応行動531の内容および関係と同様である。目標行動変容提案パーツ1120の作成詳細は後述する。事業者候補パーツ1130はディスクリプション1131、事業者ジャンル1132を含む。事業者候補パーツ1130は事業者候補テーブル117と特性別ナッジ情報テーブル119を用いたマッチング処理から作成される。ディスクリプション1131、事業者ジャンル1132の内容および関係は、
図10のジャンルのディスクリプションキーワード1006、事業者ジャンル1004の内容および関係と同様である。事業者候補パーツ1130の作成詳細は後述する。ナッジ文言1140は、利用者特性と事業者ジャンルに合わせ、特性別ナッジ情報テーブル119から作成され、
図10のナッジ文言1003から一部または全部が設定される。ナッジ文言1140の作成詳細は後述する。
【0042】
<処理フロー>
次に、本実施例の処理フローを説明する。
図12は、本実施例における全体処理フローを示すフローチャートである。以下、
図12について、
図2から
図11に示すデータテーブルの処理を主体として説明する。
【0043】
まず、行動変容促進装置100は、利用者情報の入力を受け付ける(ステップ1201)。ステップ1201において、利用者が利用者端末170から利用者に関する情報を入力する。利用者に関する情報は、例えば、年齢、性別、嗜好、アンケート回答結果などがある。利用者に関する情報はネットワーク190と、通信部130とを介して記憶部110の利用者情報テーブル111に格納される。
【0044】
次に、行動変容促進装置100は、利用者の特性推定し、その推定の結果情報を出力する(ステップ1202)。ステップ1202において、利用者情報テーブル111のアンケート結果208の情報に基づいて利用者の特性を判定して、判定結果を利用者情報テーブル111の特性判定結果209に格納する。例えば、アンケートには、判別したい特性に関係のある行動や嗜好に関する複数のアンケート質問が設けられる。各アンケート質問は5段階で当てはまる/当てはまらない、の程度を回答できるようにしておき、回答後にアンケート回答の得点を集計して、一番高い得点に対応する特性は利用者の特性とする、という判定方法が考えられる。または一番高い得点の特性が複数ある場合はランダムに1つの特性を抽出する、または時間帯によって複数の特性を切り替える、という方法も考えられる。他に、アンケートの回答結果に従い複数の特性に各々重み付けて総合的な指標で特性を推定するという判定方法も考えられる。特性の推定は上述するものに限定されない。
【0045】
次に、行動変容促進装置100は、目標行動の入力を受け付ける(ステップ1203)。ステップ1203において、本実施例のような交通ユースケースの場合は、利用者が利用者端末170から目標行動に「移動」として、移動に関する予定情報を入力する。例えば、乗換検索操作である。ステップ1203で受け付けた行動目標はネットワーク190と、通信部130を介して記憶部110の行動予定テーブル112に格納される。ステップ1203の目標行動入力受付はユースケースによっては、事業者が利用者に特定の目標行動を実行させたいことがあり、事業者が入力する場合もある。例えば、健保事業者の健診ユースケースの場合、健保事業者が外部事業者サーバ180から最初の健診計画に関する情報を入力する。
【0046】
次に、行動変容促進装置100は、目標行動実現のため行動変容の必要の有無を判定する(ステップ1204)。ステップ1204において、行動変容促進装置100は、行動予定テーブル112と、リアルタイム状況テーブル113に基づいて目標行動実現のため行動変容の必要性があるかどうかを判定する。交通ユースケースの場合は、行動予定テーブル112に指定する出発時刻、到着時刻、出発地、到着地などの情報から経路検索する。次に、行動変容促進装置100は、その経路検索結果と、リアルタイム状況テーブル113の該当日時の経路毎の混雑や遅延などの情報と参照して、行動予定の経路検索結果に混雑、遅延などの情報があれば、行動変容の必要ありと判定される。行動予定の経路検索結果に混雑、遅延などの情報がなければ、行動変容の必要なしと判定される。行動変容促進装置100は、目標行動実現のため行動変容の必要ありと判定した場合は(ステップ1204;Yes)、目標行動の状況情報を目標行動状況テーブル118に格納する。健診のユースケースの場合は、行動予定テーブル112、リアルタイム状況テーブル113、目標行動状況テーブル118のデータ構造は
図2、
図3、
図9とは異なるが(図示せず)、行動予定テーブル112に格納された健保事業者が入力した健診計画情報と、リアルタイム状況テーブル113に格納された利用者の目標行動の実施状況情報から健診予約有無などの状況を判断し、目標行動実現のため行動変容の必要あり、なしを判定する。例えば、利用者のスケジュール情報を参照し、当該年度の検診予約がなされていなければ行動変容の必要ありと判定する。
【0047】
次に、行動変容促進装置100は、目標行動変容提案テーブル114から対応ポリシーと対応行動を読み出し、ナッジ文言生成テーブル120に登録する(ステップ1205)。行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118の状況内容902に格納される状況内容と、目標行動変容提案テーブル114の状況内容510に格納される状況内容とを比較し、同一状況内容が対応する対応ポリシー520に格納される対応ポリシーを抽出して、ナッジ文言生成テーブル120の目標行動変容提案パーツ1120の対応ポリシー1121に格納する。同一状況内容に対応する目標行動変容提案テーブル114の対応ポリシー520に格納される対応行動ポリシーが複数ある場合は、当該対応行動ポリシーに対応する複数の対応行動の行動種別関係の利用有無532に「有」が格納されているものがあれば当該対応行動ポリシーを優先的に抽出する。または、対応ポリシー520に格納される複数対応ポリシーをランダムに1つを抽出する。すなわち、上記行動種別関係の利用有無532に「無」、「有」が格納されている場合、「有」が格納されている行動種別関係の利用有無532に対応する対応行動ポリシーが抽出される。
【0048】
同様に、行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118の状況内容902に格納される状況内容と、目標行動変容提案テーブル114の状況内容510に格納される状況内容とを比較し、同一状況内容が対応する対応行動531に格納される対応行動を抽出して、ナッジ文言生成テーブル120の目標行動変容提案パーツ1120の対応行動1122に格納する。同一状況内容に対応する目標行動変容提案テーブル114の対応行動選択肢530に格納される対応行動が複数ある場合は、上述の対応ポリシー520に関する方法と同様に考えればよい。
【0049】
次に、行動変容促進装置100は、行動種別関係テーブル115を用いて関連行動種別を読みだす(ステップ1206)。行動変容促進装置100は、ステップ1203で受付目標行動「移動」を行動種別関係テーブル115の行動種別A列601から抽出し、それと対応する行動種別B列602に格納される行動種別を読み出し、目標行動の関連行動種別とする。例えば「移動」と関連する行動種別には「食べる」などがある。
【0050】
次に、行動変容促進装置100は、事業者候補テーブル117から関連行動種別に応じた事業者候補データを読み出す(ステップ1207)。まず、行動変容促進装置100は、行動種別毎の事業者ジャンルテーブル116を用いて、ステップ1206で読み出した関連行動種別に対応する事業者ジャンル702を読み出す。例えば、「食べる」と対応する事業者ジャンルには「ラーメン屋」や「和食店」などがある。次に、行動変容促進装置100は、事業者候補テーブル117のジャンル803を参照し、上述の関連行動種別と対応する事業者ジャンルと同様な事業者候補データを抽出する。例えば、「博多海鮮食堂」や「韓国魚料理屋」など事業者候補が抽出される。
【0051】
次に、行動変容促進装置100は、目標行動状況に基づいた事業者候補データリストの絞り込みを行う(ステップ1208)。ステップ1208について
図13を用いて説明するが、目標行動状況に基づいた事業者候補データリストの絞り込み方法はユースケースにより異なる場合があり、
図13に示すフローに限定されない。
【0052】
まず、ステップ1301においては、行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118を記憶部110から取得する。
【0053】
次に、ステップ1302においては、行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118の状況発生の位置903を取得し、事業者候補テーブル117の位置情報805を取得し、二つの位置情報から距離を計算して、一定距離以内(例えば、距離<500m)の事業者候補を抽出する。
【0054】
次に、ステップ1303においては、行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118の状況発生の日時904を取得し、事業者候補テーブル117の営業時間804を取得し、状況発生の日時に事業者が営業時間しているかどうかをチェックし、営業している事業者候補を抽出する。
【0055】
次に、ステップ1304においては、行動変容促進装置100は、目標行動状況テーブル118の状況解消までの見込時間905を取得し、事業者候補テーブル117の利用目安時間808を取得し、状況解消までの見込時間と利用目安時間情報と大幅な差があるかどうかをチェックし、受容できる範囲の差の利用目安時間を持つ事業者候補を抽出する。
【0056】
次に、ステップ1305においては、行動変容促進装置100は、ステップ1301~ステップ1304の絞りこみから抽出した事業者候補を記憶部110に一時的に保存する。このデータを事業者候補データリストとする。データ構造は事業者候補テーブル117と同様である。
【0057】
次に、
図12の説明に戻り、行動変容促進装置100は、利用者の特性キーワードベクトルを生成する(ステップ1209)。まず、行動変容促進装置100は、記憶部110から利用者情報テーブル111の特性判定結果209に格納される利用者の特性情報を取得する。次に、行動変容促進装置100は、記憶部110から特性別ナッジ情報テーブル119を取得する。特性別ナッジ情報テーブル119には1つの特性種別1001に対し、ナッジ方針1002が複数あるが、特性キーワードベクトルは一つの特性種別に対してナッジ方針の数だけ生成される。行動変容促進装置100は、特性別ナッジ情報テーブル119の特性種別1001から利用者特性と合致する特性種別(例えば、特性I1:「健康」)を抽出し、当該特性種別に対応するナッジ方針1002を1つ(例えばナッジ方針P1:「感染対策」)を選択し、選択したナッジ方針に対応するジャンルのディスクリプションキーワード1006に格納される全キーワードを読み出してキーワードベクトルリストを作成する。行動変容促進装置100は、このキーワードリストから重複するキーワードを除いた新たなキーワードを、その特性の利用者の特徴量とした新たなキーワードベクトルb1(例えば、b1=(接触少ない、オープンエア、免疫力アップ、・・・))を作成する。キーワードベクトルb1(以下、特性キーワードベクトルと呼ぶ)は特性I1:「健康」およびナッジ方針I1-P1:「感染対策」に対応するキーワードベクトルである。同様に、行動変容促進装置100は、特性I1:「健康」のその他ナッジ方針に対応する特性キーワードベクトルを生成する。または、行動変容促進装置100は、特性I2:「貢献」と「貢献」に対応するナッジ方針毎の特性キーワードベクトルを生成する。例えば、行動変容促進装置100は、特性I2:「貢献」とナッジ方針I2-P1:「地元貢献がわかりやすい」に対してはキーワードベクトルb2=(集客、応援、地産地消、市場直送、・・・)を生成する。
【0058】
次に、行動変容促進装置100は、事業者候補データリストを利用者特性に応じた特徴量に変換して事業者キーワードベクトルを生成する(ステップ1210)。事業者候補データリストはステップ1208にて事業者候補テーブル117から抽出したものである。
図8に示す事業者候補テーブル117の特徴フィールドは営業時間804、最寄り駅806、混雑状況807、などがある。
【0059】
特徴フィールドは2種類ある。第1は、特徴フィールドの情報を特性毎に変換する際に区別しないものである。例えば、営業時間804、利用目安時間808などはステップ1208の絞り込みに使われ、特性毎に変換する際に区別しない。このような特徴フィールドについては、営業時間のような構造化データに対しは、すべての特性に共通な変換ルールを作って適用する。例えば、営業時間804についてはすべての特性に対し、時間帯に対応するサービスのキーワード(例えば飲食店の場合は朝食、ランチ、ディナーなど)に変更する。またはキャッチ813に格納される情報のような非構造化文書データもある。この場合は、キャッチ1513に格納される情報に対し、形態素解析などによる文書からキーワードを自動抽出する。
【0060】
第2は、特徴フィールドの情報が特性毎に傾向が異なるため、同じ特徴フィールド情報に対して特性ごとに異なる変換を行うものである。このような特徴フィールド情報に対し、特性毎の変換ルールを作っておき、それに従って変換する。例えば、
図8に示すように、事業者候補テーブル117に事業者ID=1と事業者ID=2の事業者候補が格納されているとする。事業者ID=1と事業者ID=2のデータから事業者キーワードベクトルa1、a2の元となるテーブルを生成する例を
図14と
図15を用いて説明する。なお、
図14、
図15のデータ構造の各項目は、事業者候補テーブル117のデータ構造の各項目に対応するため、詳細説明は割愛する。
【0061】
例えば、事業者ID=1の事業者の混雑状況は「空き」であり、一方で事業者ID=2の混雑状況は「混雑」である。健康特性を加味した事業者候補テーブルの変換には、混雑状況「空き」を「接触がすくない」に、混雑状況「混雑」を「密集」に変換するルールを定めておく。これに従い、行動変容促進装置100は、ID=1の事業者の混雑状況を「接触がすくない」に変換し、ID=2の事業者の混雑状況を「密集」に変換する。貢献特性を加味した事業者候補テーブルの変換には、混雑状況「空き」を「集客待ち」に、混雑状況「混雑」を「Null」に変換するルールを定めておく。これに従い、行動変容促進装置100は、ID=1の事業者の混雑状況を「集客待ち」に変換し、ID=2の事業者の混雑状況を「Null」に変換する。「Null」は特性キーワードベクトルと事業者キーワードベクトルのマッチングには当該特性フィールドの情報を考慮しないことを示す。
【0062】
行動変容促進装置100は、以上のルールに従無関係特徴フィールド(例えば事業者ID801と、ジャンル803、最寄り駅806以外の特徴フィールドに格納される情報をキーワードに変換して事業者キーワードベクトルを生成する。結果、事業者ID=1、ID=2において、健康特性に応じて生成した事業者キーワードベクトルは以下となる。a1=(博多、海鮮、ランチ、ディナー、1000歩を歩く、接触が少ない、短い時間で、人気中レベル、やすい、喫煙不可、・・・、新業態、登場、人気、トッピング、150円・・・)、a2=(韓国、韓国料理、ランチ、ディナー、2次会、近い、天神、密集、ゆっくりご利用、人気度が高い、密接な、高級な、喫煙可、・・・、魚、市場直送、毎日、獲れる、鮮魚、定食、一品料理、味わえる)。同様に、事業者ID=1、ID=2において、貢献特性に応じ、生成した事業者キーワードベクトルは以下となる。a1=(博多、海鮮、ランチ、ディナー、遠い、集客待ち、短い時間で、人気中レベル、やすい、喫煙不可、・・・、新業態、登場、人気、トッピング、150円・・・)、a2=(韓国、韓国料理、ランチ、ディナー、2次会、近い、天神、Null、ゆっくりご利用、人気度が高い、個室なし、高級な、喫煙可、・・・、魚、市場直送、毎日、獲れる、鮮魚、定食、一品料理、味わえる)。このように同じ特徴フィールド情報に対して特性ごとに異なる変換ルールを実行することで、より利用者に適した事業者を選定あるいはマッチングすることができる。
【0063】
次に、行動変容促進装置100は、ステップ1209で生成した利用者の特性キーワードベクトルとステップ1210で生成した事業者キーワードベクトルをマッチングする(ステップ1211)。キーワードベクトルaとキーワードベクトルbのマッチング度の計算には、例えば、キーワードベクトルaの各キーワードとキーワードベクトルbの各キーワードの類似度を算出していき、類似度が一定値以上(例えば、類似度≧0.6)ならマッチング度がプラス1、キーワードベクトルa全体とキーワードベクトルb全体の類似度からマッチング度を決めるという方法が考えられる。マッチング度計算式の一例を
図16に示すが、マッチング度の計算はこれに限定されない。行動変容促進装置100は、ステップ1210で生成した健康特性を加味した事業者キーワードベクトルa(例えば、キーワードベクトルa1、キーワードベクトルa2)と、ステップ1209で生成した健康特性を加味した特性キーワードベクトル(例えば、キーワードベクトルb1と健康特性のその他ナッジ方針に対応するキーワードベクトル)とのマッチング度を計算した後、マッチング度が最大の事業者キーワードベクトルと当該事業者キーワードベクトルのマッチング度計算に用いられる特性キーワードベクトルのセットを記憶部110に格納する。同時に、行動変容促進装置100は、マッチングした事業者キーワードベクトルにについて、マッチング度に寄与したキーワードのリスト(図示せず)を記憶部110に格納する。マッチング度が最大値の事業者キーワードベクトルが複数ある場合は毎回ランダムに1つを抽出するマッチング結果による事業者キーワードベクトルの抽出基準は上述に限定されず、マッチング度が最大のもの1つだけでなく、上位から所定個数を抽出する方法でもよい。
【0064】
次に、行動変容促進装置100は、ステップ1212において、マッチングした事業者候補データをナッジ文言生成テーブル120に登録する。行動変容促進装置100は、ステップ1211でマッチングした事業者キーワードベクトルにマッチング度に寄与したキーワードリストを読み出す。行動変容促進装置100は、上述キーワードリストのキーワードを1つずつ抽出し、ナッジ文言生成テーブル120の事業者候補パーツ1130のディスクリプション1131に複数行を分けて格納する。次に、行動変容促進装置100は、ステップ1211でマッチングした事業者キーワードベクトルに対応するジャンル803に格納されるジャンル情報をナッジ文言生成テーブル120の事業者候補パーツ1130の事業者ジャンル1132に格納される。
【0065】
次に、行動変容促進装置100は、特性に対応するナッジ文言をナッジ文言生成テーブル120に登録する(ステップ1213)。まず、行動変容促進装置100は、ステップ1211で事業者キーワードベクトルとのマッチング度が高いものとして抽出された特性キーワードベクトルを読み出す。次に、行動変容促進装置100は、特性別ナッジ情報テーブル119から当該特性キーワードベクトルに対応するナッジ方針1002を読み出す。次に、行動変容促進装置100は、特性別ナッジ情報テーブル119のナッジ文言1003に格納される情報から上述の特性、ナッジ方針に対応するナッジ文言を読み出して、ランダムに1つのナッジ文言を選んで、ナッジ文言生成テーブル120のナッジ文言1140に格納する。
【0066】
次に、行動変容促進装置100は、ナッジ文言生成テーブル120から最終ナッジ文を生成する(ステップ1214)。ナッジ文言生成テーブル120のデータ設定処理の例を
図17A、17Bに示す。特性が異なる利用者の同一目標行動状況に対し、異なるナッジ文言生成テーブルが生成される。例えば、特性が「健康」の場合の例をナッジ文言生成テーブル1710に示す。特性が「貢献」の場合をナッジ文言生成テーブル1720に示す。行動変容促進装置100は、特性が「健康」の場合は、ナッジ文言生成テーブル1710に、ステップ1205で登録した目標行動変容提案パーツを1711の部分に格納し、ステップ1212に登録した事業者候補パーツを1712の部分に格納し、ステップ1213に登録したナッジ文言パーツを1713の部分に格納する。行動変容促進装置100は、特性が「貢献」の場合も同様に、ステップ1205で登録した目標行動変容提案パーツを1721の部分に格納し、ステップ1212に登録した事業者候補パーツを1722の部分に格納し、ステップ1213に登録したナッジ文言パーツを1723の部分に格納する。
【0067】
行動変容促進装置100は、ナッジ文言生成テーブル120に格納される情報パーツは行毎にナッジ文言生成キーワードベクトルとして纏める。例えば、
図17に示す特性が「健康」の場合のナッジ文言生成キーワードベクトルには(混雑を避ける、寄り道、接触が少ない、ラーメン屋、密を避けられます)がある。次に、行動変容促進装置100は、上述の行毎のナッジ文言生成キーワードベクトルにいわゆる「てにをは」などの助詞を加え自然な最終ナッジ文を作成する。または、キーワードに基づく文生成のニューラルネットワークなどの学習手法を用いて、上述の行毎のナッジ文言生成キーワードベクトルから最終ナッジ文を生成してもよい。例えば、(混雑を避ける、寄り道、接触が少ない、ラーメン屋、密を避けられます)とのキーワードベクトルから「混雑を避けて、寄り道して接触がすくないラーメン屋に行きませんか、密を避けられます。」との文を生成することが可能である。同様に、特性が「貢献」の場合は、「混雑を避けて、寄り道して集客待ちのラーメン屋に行きませんか、地元を応援しましょう」とのナッジ文を生成することが可能である。
【0068】
次に、行動変容促進装置100は、最終ナッジ文に対応するコンテンツを選択する(ステップ1215)。例えば、行動変容促進装置100は、ステップ1211でマッチングした事業者キーワードベクトルに対応する事業者の情報を事業者候補テーブル117から読み出して、この中から案内情報生成に必要な情報を取得し、ナッジ文に対応するコンテンツとして記憶部110に格納する。このとき、行動変容促進装置100は、目標行動変容提案テーブル114を参照し、最終ナッジ文に対応する対応行動531について行動種別関係の利用有無532に「有」が設定されている場合には、最終ナッジ文と当該最終ナッジ文に対応する上記他の事業者についてのコンテンツを選択する。一方、行動変容促進装置100は、最終ナッジ文に対応する対応行動531について行動種別関係の利用有無532に「無」が設定されている場合には、最終ナッジ文のみ選択する。
【0069】
次に、行動変容促進装置100は、案内情報を生成する(ステップ1216)。ステップ1214で作成した複数の最終ナッジ文と、ステップ1215で選択したコンテンツのセットを一定の表示基準に従い案内情報を生成して、通信部130と、ネットワーク190を介して、利用者端末170に表示する。
図18A、18Bに案内情報の表示例を示す。
図18Aが「健康」特性の場合の表示例で、
図18Bが「貢献」特性の場合の表示例である。
図18A、18Bでは、最終ナッジ文1801、1803、コンテンツ1802、1804が表示されている。このように同じ行動提案のための事業者リストに対して、特性ごとに異なる行動変容促進メッセージを表示することで、利用者が提案行動を受け入れる確率を高めることができる。
【0070】
次に、行動変容促進装置100は、利用者選択操作を受け付ける(ステップ1217)。利用者端末170に表示する案内情報に対し、利用者がいずれかを選択したか否かを受け付ける。その選択結果はネットワーク190と、通信部130を介して、記憶部110の利用者情報テーブル111の受入結果210に格納される。
【0071】
次に、行動変容促進装置100は、選択内容に応じた処理実行を実施する(ステップ1218)。まず、行動変容促進装置100は、行動予定テーブル112に基づいた経路検索結果に対し、「寄り道」、「迂回」などの行動変容促進に関する案内情報を選択したら、それらの情報(例えば、事業者候補先への滞在目安時間など)を加え、経路再検索を実施する。次に、行動変容促進装置100は、案内情報と更新した経路検索結果を通信部130と、ネットワーク190を介して、利用者端末170に表示する。
【0072】
このように、本実施例では、行動変容を促進する情報を利用者の端末に送信する行動変容促進システム10Sにおいて、演算部(例えば、CPU)と記憶部(例えば、メモリ)とを有し、上記演算部は、利用者の特性(例えば、特性種別1001、健康)に応じて定められる行動変容に関する情報(例えば、ナッジ方針1002、感染対策)と行動変容後の利用者の行動対象となる事業者情報(例えば、事業者ジャンル1004、ラーメン屋)との関連性を定めた特性別事業者関連情報(例えば、ジャンルのディスクリプションキーワード1006、接触少ない)に基づいて、上記特性を有した利用者についての特徴量(例えば、S1209で生成する利用者の特性キーワードベクトル)を算出し、上記行動変容後の行動に関する上記事業者情報に含まれる事業者の特徴情報(例えば、事業者候補テーブル117の項目のうちの混雑状況807)を上記特性別事業者関連情報に変換した上記事業者についての特徴量(例えば、S1210で生成する事業者キーワードベクトル)を算出し、上記利用者についての特徴量と上記事業者についての特徴量との一致度が所定の条件を満たす場合(例えば、マッチングにより両者が一致する場合)に、上記特性別事業者関連情報と上記行動変容を促す促進情報とを含む行動変容促進情報(例えば、
図18A、18Bの案内情報や
図17A、17Bに示すナッジ文言生成テーブル、あるいはこれらに含まれる事業者候補パーツ1130、ナッジ文言1140)を生成し、上記生成した行動変容促進情報を上記利用者の端末に送信する。これにより、利用者の特性にあった行動変容に必要な情報を自動的に組み立てて、利用者により異なる行動特性を加味した表現で、行動変容を促進するための案内を行うことができるようになる。例えば、行動変容を実行させたい利用者の特性を考慮し、行動変容促進に向けて、行動変容を促すメッセージを生成することで、行動変容に関して、利用者の特性に合わせた多様な行動変容促進情報を提供することができる。その結果、利用者が行動変容促進情報を受信し実際に行動変容する確率高めることが可能となる。
【0073】
また、上記演算部は、利用者の行動間の関係性を定めた行動関係情報(例えば、行動種別関係テーブル115)を用いて、利用者の行動(例えば、行動種別A列、移動)に対応する行動変容後の行動(例えば、行動種別B列、食べる)を特定し、上記事業者の特徴情報のうち、上記特性に応じて区別しない特徴については上記特性に応じて区別する特徴と共通する第1の情報に変換(例えば、営業時間804について「ランチ・ディナー」に変換)し、上記特性に応じて区別する特徴については上記特性により異なる第2の情報に変換(例えば、混雑状況807について「接触が少ない」に変換)し、上記変換した上記第1の情報と上記第2の情報とを含む上記行動変容促進情報を上記利用者の端末に送信する。したがって、例えば、利用者の特性に応じて区別すべき内容で行動変容を促すとともに、利用者の特性に依存しない内容については共通の内容で効率よく行動変容を促すことができるようになる。
【0074】
また、上記演算部は、上記利用者の端末に送信した上記利用者に対する問い合わせ情報に対して、上記利用者の端末から受信した回答情報を生成し、生成した当該回答情報(例えば、アンケート結果208)に基づいて、上記利用者の特性を推定し、当該推定の結果情報を出力する。したがって、例えば、天候が晴天の場合と雨天の場合、夏場と冬場の場合のように、様々な異なる環境下で行動する利用者に対して任意のタイミングで行われたアンケート結果を考慮して、利用者の特性を推定することができる。
【0075】
また、上記演算部は、上記利用者の行動予定情報(例えば、行動予定テーブル112で示された予定)と、当該行動予定情報に対する現在の状況を示す情報(例えば、リアルタイム状況テーブル113に示された状況)とに基づいて、S1204で説明したように、上記利用者の行動が阻害されると判定した場合、利用者の行動が阻害される状況が生じたときの対応ポリシーに関する情報と当該対応ポリシーに応じた対応行動に関する情報とを対応付けた目標行動変容提案情報(例えば、目標行動変容提案テーブル114)を用いて、阻害されると判定した上記利用者の行動に対する上記対応ポリシーに関する情報(例えば、混雑を避ける)と上記対応行動に関する情報(例えば、寄り道)とを含む上記行動変容促進情報(例えば、目標行動変容提案パーツ1120を含む上記行動変容促進情報)を生成し、上記生成した上記対応ポリシーに関する情報と上記対応行動に関する情報とを含む上記行動変容促進情報を上記利用者の端末に送信する。したがって、利用者の行動が阻害される要因に応じた行動変容を促すことができるようになる。
【0076】
また、上記演算部は、上記目標行動変容提案情報に記憶された、上記目標行動変容提案情報を作成した事業者(例えば、交通事業者)以外の他の事業者(例えば、ラーメン屋)が提供するサービスに関する行動にまで行動変容後の利用者の行動対象を拡張するか否かを示す関係有無情報が関係有を示す場合(例えば、行動種別関係の利用有無532が「有」の場合)には、上記他の事業者に関するコンテンツ(例えば、
図18Aに示したコンテンツ1802や
図18Bに示したコンテンツ1804)を含む上記行動変容促進情報を生成し、上記生成した上記他の事業者に関するコンテンツを含む上記行動変容促進情報を上記利用者の端末に送信する。したがって、利用者の目標行動を含む行動分野(例えば、行動種別A列、移動)だけでなく、当該行動分野以外の関連性がある行動分野(例えば、行動種別B列、食べる)を対象として、利用者の行動変容を促すことができるようになる。
【0077】
以上で、本実施例の説明を終わるが、本発明は本実施例に限定されず、様々なカスタマイズが可能である。
【0078】
以上説明したように、本実施例に係る行動変容促進システム10S(あるいは当該システムを構成する行動変容促進装置110)は、利用者の特性に合わせた多様な行動変容促進情報を提供することができ、利用者が行動変容促進情報を受信し実際に行動変容する確率高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10S:行動変容促進システム
110:行動変容促進装置
111:利用者情報テーブル
112:行動予定テーブル
113:リアルタイム状況テーブル
114:目標行動変容提案テーブル
115:行動種別関係テーブル
116:行動種別毎の事業者ジャンルテーブル
117:事業者候補テーブル
119:特性別ナッジ情報テーブル
120:ナッジ文言生成テーブル
130:通信部
140:制御部
150:入力部
160:出力部
170A:利用者端末A
170B:利用者端末B
180A:外部事業者サーバA
180B:外部事業者サーバB
190:ネットワーク
201:利用者ID
202:名前
203:パスワード
204:性別
205:年齢
206:居住地
207:嗜好
208:アンケート結果
209:特性判定結果
210:受入結果
301:利用者ID
302:出発時刻
303:到着時刻
304:出発地
305:到着地
306:経由地
401:系統番号
402:区間情報
403:予定出発時刻
404:予定到着時刻
405:遅延時間
406:混雑レベル
407:混雑解消見込時間
510:状況内容
520:対応ポリシー
530:対応行動選択肢
531:対応行動
532:行動種別関係の利用有無
601:行動種別A列
602:行動種別B列
603:関係A→B
701:行動種別
702:事業者ジャンル
703:食べる
704:買う
705:遊ぶ
706:働く
801:事業者ID
802:事業者名前
803:ジャンル
804:営業時間
805:位置情報
806:最寄り駅
807:混雑状況
808:利用目安時間
809:人気度
810:個室有無
811:予算
812:喫煙有無
813:キャッチ
901:利用者ID
902:状況内容
903:状況発生の位置
904:状況発生の日時
905:状況解消までの見込時間
1001:特性種別
1002:ナッジ方針
1003:ナッジ文言
1004:事業者ジャンル
1005:ジャンルの評価
1006:ジャンルのディスクリプションキーワード
1110:利用者ID
1120:目標行動変容提案パーツ
1121:対応ポリシー
1122:対応行動
1130:事業者候補パーツ
1131:ディスクリプション
1132:事業者ジャンル
1140:ナッジ文言