IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エコライティング・ジャパンの特許一覧

特開2023-94733照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置
<>
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図1
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図2
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図3
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図4
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図5
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図6
  • 特開-照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094733
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20230629BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20230629BHJP
   F21K 9/235 20160101ALI20230629BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20230629BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20230629BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20230629BHJP
   F21V 21/10 20060101ALI20230629BHJP
   F21V 17/08 20060101ALI20230629BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230629BHJP
【FI】
F21V19/00 110
F21S8/06 100
F21K9/235
F21V3/06 110
F21V17/10 350
F21V31/00 100
F21V21/10 300
F21V17/08
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210211
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】518043885
【氏名又は名称】株式会社エコライティング・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】牧野 徳志
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K011AA01
3K011BA02
3K011JA01
3K013AA03
3K013BA01
3K013CA02
3K013EA01
3K014AA01
3K014NA02
(57)【要約】
【課題】保護カバーを用いることなく作業員の感電を防止する。
【解決手段】
照明用コードは、ランプ20の口金21が開口端から挿着可能に構成された接続器12と、接続器12に端部が電気的に接続された被覆電線コード13と、接続器12の開口端を除く周囲を被覆電線コード13の端部と共に被覆する絶縁性の被覆部材14とを備え、接続器12の開口端の周囲における被覆部材14に外径を拡大するフランジ14dが形成される。吊り下げ式照明装置は、この照明用コード11と、照明用コード11の接続器12に口金21が挿着されたランプ20と、照明用コード11のフランジ14dとランプ20の間に設けられた接着層17とを備える。ランプ20の本体22に口金21の端縁から先端に向かって直径を拡大させる円錐部22aが形成され、円錐部22aに所定の隙間を空けて対峙するような円錐形状にフランジ14dが形成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ(20)の口金(21)が開口端から挿着可能に構成された接続器(12)と、前記接続器(12)に端部が電気的に接続された被覆電線コード(13)と、前記接続器(12)の開口端を除く周囲を前記被覆電線コード(13)の端部と共に被覆する絶縁性の被覆部材(14)とを備えた照明用コードであって、
前記接続器(12)の開口端の周囲における前記被覆部材(14)に外径を拡大するフランジ(14d)が形成された
ことを特徴とする照明用コード。
【請求項2】
フランジ(14d)は、外周がランプ(20)側に向かう円錐形を成す請求項1記載の照明用コード。
【請求項3】
請求項1又は2記載の照明用コード(11)と、
前記照明用コード(11)の接続器(12)に口金(21)が挿着されたランプ(20)と、
前記照明用コード(11)のフランジ(14d)と前記ランプ(20)の間に設けられ前記フランジ(14d)に前記ランプ(20)を接着する接着層(17)と
を備えた吊り下げ式照明装置。
【請求項4】
接着層(17)が、フランジ(14d)とランプ(20)の間に全周に亘って水密に充填固化された接着剤から成る請求項3記載の吊り下げ式照明装置。
【請求項5】
ランプ(20)が、口金(21)と、前記口金(21)が基端に設けられ前記口金(21)に導通して発光する発光体(23)が設けられた本体(22)と、前記発光体(23)を覆うように前記本体(22)の先端に設けられた透光性のカバー部材(24)とを備え、
前記本体(22)に前記口金(21)の端縁から先端に向かって直径を拡大させる円錐部(22a)が形成され、前記円錐部(22a)に所定の隙間を空けて対峙するような円錐形状にフランジ(14d)が形成され、接着層(17)が前記円錐部(22a)と前記フランジ(14d)との間の所定の隙間に形成された請求項3又は4記載の吊り下げ式照明装置。
【請求項6】
カバー部材(24)が有機ガラスから成る請求項5記載の吊り下げ式照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場等で仮設照明として使用される照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場等における仮設照明としては、電線コードの端部に設けられた接続器であるソケットにランプを装着し、そのランプより上の電線コードの中間又は端部を工事現場の仮設位置に取付けて、その電線コードを介してランプを吊り下げるようなことが行われる。
【0003】
このような吊り下げ式照明装置では、ランプの重量を電線コードが支持することになるために、比較的重量のあるランプが取り付けられたとしても充分に耐えうる電線コードが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、工事現場等における仮設照明としては、作業員の感電防止やランプの破損による危険を防止するために、図7に示すように、ランプ1を覆うように保護するカバー2をランプ1が螺着されるソケット3又はソケット3が設けられた電線コード4の端部に取付けるようなことが行われる。
【0005】
このような保護カバー2によりランプ1を覆うことによりランプ1の破損時の飛散を防止するとともに、その保護カバー2が、ランプ1における口金やソケット3の通電部分を覆って作業員が触れるようなことを防止することにより、作業員の感電をも回避し得るとされている。そして、それとともに作業の邪魔にならない位置に容易に設置することができるような保護カバー2も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-346960号公報
【特許文献2】特開平8-167305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ランプ1を覆うような保護カバー2を取付けることは部品点数の増加を招き、吊り下げ式照明装置の単価を押し上げる不具合がある。このため、保護カバー2を用いなくとも、作業員が、ランプにおける口金やソケットの通電部分に容易に触れないような吊り下げ式照明装置が求められている。
【0008】
本発明の目的は、保護カバーを用いることなく作業員の感電を防止し得る照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ランプの口金が開口端から挿着可能に構成された接続器と、接続器に端部が電気的に接続された被覆電線コードと、接続器の開口端を除く周囲を電線コードの端部と共に被覆する絶縁性の被覆部材とを備えた照明用コードの改良である。
【0010】
その特徴ある構成は、接続器の開口端の周囲における被覆部材に外径を拡大するフランジが形成されたところにある。
【0011】
この場合のフランジは、外周がランプ側に向かう円錐形を成すことが好ましい。
【0012】
一方、別の本発明は、上記照明用コードと、照明用コードの接続器に口金が挿着されたランプと、ランプとフランジの間に設けられそのフランジにランプを接着する接着層とを備えた吊り下げ式照明装置である。
【0013】
この場合の接着層は、フランジとランプの間に全周に亘って水密に充填固化された接着剤から成ることが好ましく、ランプが、口金と、口金が基端に設けられ口金に導通して発光する発光体が設けられた本体と、発光体を覆うように本体の先端に設けられた透光性のカバー部材とを備える場合、その本体に口金の端縁から先端に向かって直径を拡大させる円錐部を形成し、その円錐部に所定の隙間を空けて対峙するような円錐形状にフランジを形成して、接着層をその円錐部とフランジとの間の所定の隙間に形成することが好ましく、そのカバー部材を有機ガラスから成るものとすることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の照明用コードでは、ランプの口金が挿着される接続器の開口端の周囲を被覆する被覆部材に、その被覆部材の外径を拡大するフランジを形成しているので、そのフランジにより接続器と口金の双方は覆われて、作業員の手又は指が接続器や口金に直接触れるようなことはない。
【0015】
また、ランプと照明用コードの被覆部材に形成されたフランジとの間に接着層を形成すれば、その接着層により接続器と口金の双方は覆われて、例えば比較的細い金属線や、比較的薄い金属片であっても、ランプとフランジの間に進入して接続器や口金に触れるようこともない。
【0016】
更に、接着層が、接続器と口金の双方を覆うようにフランジとランプの間に全周に亘って水密に充填固化された接着剤から成るものである場合には、雨水等の導電性液体がその間に浸入して接続器や口金にまで達するようなことも防止される。
【0017】
よって、本発明の吊り下げ式照明装置では、作業員が直接接続器や口金に触れて感電する様な事態だけでなく、作業員が金属線や金属片又は雨水等の導電性液体を介して接続器や口金に触れて感電する様な事態にあっても防止され、このような感電を防止するために従来必要とされた保護カバーを不要とすることができる。
【0018】
また、ランプの発光体を覆う透光性のカバー部材を、従来の電球が備える無機ガラスではなくて、比較的破損しにくい有機ガラスから成るものを用いれば、破損時の飛散を防止することが可能となり、破片の飛び散りを防止するために、従来から用いられていた保護カバーを不要にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明実施形態の照明用コード及びそれを用いた吊り下げ式照明装置を示す正面図である。
図2】ランプが分離した照明用コードの一部断面図である。
図3】その吊り下げ式照明装置の使用状態を示す図である。
図4図1のA-A線断面図である。
図5】接着剤をフランジに塗布した後にランプの口金を接続器に螺着する状態を示す図である。
図6】ランプの円錐部とフランジとの間の隙間に接着剤を注入させる状態を示す図である。
図7】保護カバーが設けられた従来の吊り下げ式照明装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に、本発明における吊り下げ式照明装置10を示す。本発明における吊り下げ式照明装置10は、端部又は中間を支持して吊り下げられる照明用コード11を備える。
【0022】
この照明用コード11は、ランプ20の口金21が開口端から挿着可能に構成された接続器12と、接続器12に端部が電気的に接続された被覆電線コード13と、接続器12の開口端を除く周囲を被覆電線コード13の端部と共に被覆する絶縁性の被覆部材14とを備える。
【0023】
被覆電線コード13は、図4に示すように、電気用軟銅線等からなる導体芯線15aの周囲を塩化ビニル混合物(耐熱性PVC等)の絶縁体15bで被覆してなる一対の導線15,15の外周を、更に塩化ビニル混合物(耐熱性PVC等)の絶縁外皮16により被覆されてなるものを例示する。
【0024】
図1及び図2に示す様に、接続器12は、装着させるランプ20の口金21に対応した大きさのものが用いられ、E型口金21が設けられたランプ20を装着させるものである場合には、その口金シェル部21aが開口端から挿着可能に構成された金属製のネジ式ソケット12a、及びその口金シェル部21aをネジ式ソケット12aに装着した場合に、その口金アイレット部21bが当接する深部接触子12bを備えるものを示す。
【0025】
図における接続器12は、ネジ式ソケット12aの基端側に絶縁基板12cがその基端を封止するように取付けられ、その絶縁基板12cの略中央に深部接触子12bが取付けられるものを示し、そのネジ式ソケット12aと深部接触子12bに一対の導線15,15におけるそれぞれの導体芯線15a,15aが別々に電気的に接続されたものを示す(図2)。
【0026】
接続器12のランプ20が装着される開口端を除く周囲はその接続器12に導体芯線15a,15aが電気的に接続された被覆電線コード13の端部と共に絶縁性の被覆部材14により被覆される。図における被覆部材14は、インサートモールド成型により行われたものを示し、この被覆部材14は、電気絶縁性及び耐水性に優れ、かつ電源コードにおける絶縁外皮16との結合性が良好なPP(ポリプロピレン)等により形成されることが好ましい。
【0027】
図における被覆部材14は、接続器12の周囲を被覆電線コード13の端部と共に覆うように形成された胴部14aと、その胴部14aから被覆電線コード13側に延長されてその胴部14aより小径であって被覆電線コード13の周囲を覆うコード被覆部14bとが形成された形状であるが、胴部14aには、被覆電線コード13と同軸の溝14cが外周に円周方向全周に渡って形成されるものを示す。
【0028】
このような照明用コード11の特徴ある構成は、接続器12の開口端の周囲における被覆部材14に外径を拡大するフランジ14dが形成されたところにある。このフランジ14dはインサートモールド成型により被覆部材14を成型する際に、その胴部14aと共に一体的に形成されるものであり、被覆部材14と同一材料から成り、絶縁性及び耐水性を有するものとする。
【0029】
図におけるフランジ14dは、外周がランプ20側に向かう円錐形を成すものを示す。このフランジ14dは、後述するランプ20の口金21が接続器12に挿着された状態で、ランプ20の口金21に連続する部位に所定の隙間を空けて対向する様な円錐形状を成すものを示す。
【0030】
図1に示す様に、本発明の吊り下げ式照明装置10は、このような照明用コード11と、その照明用コード11の接続器12に口金21が挿着されたランプ20と、そのランプ20とフランジ14dの間に設けられて、ランプ20をフランジ14dに接着する接着層17とを備える。
【0031】
図におけるランプ20は、照明用コード11の接続器12に挿着可能な口金21と、その口金21が基端部に設けられた本体22と、その本体22の先端部に設けられて口金21に導通して発光する発光体23と、その発光体23を覆うように本体22の先端に設けられた透光性のカバー部材24とを備えたものを示す。
【0032】
図におけるランプ20は、発光体23がLEDであって、図示しないが本体22にはそのLEDを発光させる発光装置が設けられるものとする。そして、その発光体23を覆うカバー部材24は、透明なプラスチックであって、破損時に飛び散ることなく変形するポリカーボネートやアクリル樹脂などの有機ガラスが用いられ、図ではポリカーボネートから成るものが使用されるものとする。
【0033】
発光体23が先端に設けられた本体22は口金21より大径に形成され、その口金21の端縁から先端に向かって直径を拡大させる円錐部22aが形成される。そして、前述したけれども、照明用コード11における被覆部材14のフランジ14dは、この円錐部22aに所定の隙間を空けて対峙するような円錐形状に形成される。
【0034】
そして、このフランジ14dは、有効な接着層17を形成するために、被覆部材14の胴部14aの外径D1とフランジ14dの外径D2との差が4mm以上、好ましくは5mm以上であって、10mm以下となるように形成されることが好ましい。
【0035】
また、ランプ20に円錐部22aが形成される場合において、このフランジ14dの外径は、この円錐部22aの外径dよりも大きくなるように形成され、このフランジ14dが、ランプ20における円錐部22aの全ての部位で対峙するように形成されるものとする。
【0036】
E型口金21が設けられたこの実施の形態では、ランプ20はその口金21を接続器12に螺着することにより装着され、ランプ20が装着された状態でランプ20とフランジ14dの間に接着層17が設けられる。
【0037】
図1の拡大図に示す様に、口金21に連続する円錐部22aが本体22に形成されたランプ20を用いるこの実施の形態では、その円錐部22aとフランジ14dの間にその円錐部22aをフランジ14dに接着する接着層17が設けられる。
【0038】
この接着層17は、ランプ20における円錐部22aとフランジ14dとの間に全周に亘って接着剤を充填しかつ固化させることにより形成され、図6に示す様に、この接着剤41の充填は、ランプ20の口金21を接続器12に螺着した後に、円錐部22aとフランジ14dとの間の隙間に充填して固化させることができる。
【0039】
けれども、図5に示す様に、接着剤41を予め円錐部22a又はフランジ14dのいずれか一方又は双方に塗布した後に、ランプ20の口金21を接続器12に螺着することにより、間を狭めることになる円錐部22aとフランジ14dとの間において、その塗布された接着剤41を圧縮させるように充填し、その後固化させるようにしても良い。
【0040】
この接着剤は非導電性であって、耐水性や耐候性に優れたものが用いられ、充填された状態で接続器12と口金21の双方を周囲から覆うように水密に充填される。例えば、ランプ20における本体22やフランジ14dがポリプロピレンのような樹脂から成る場合、ランプ20とフランジ14dの間に充填固化される接着剤は、樹脂同士の接着に好ましいシリコン系のものが例示される。そして、そのような接着剤を円錐部22aとフランジ14dとの間に注入固化させて円錐部22aをフランジ14dに接着することにより、その固化した接着剤から成る接着層17がその間の所定の隙間に形成される。
【0041】
このように構成された吊り下げ式照明装置10は、主に、工事現場等における仮設照明として使用される。具体的には、ランプ20より上の被覆電線コード13の中間又は端部を工事現場の仮設位置に取付けて、その被覆電線コード13を介してランプ20を吊り下げる。
【0042】
図3に使用状態の一例を示す。この図3では、照明用コード11の上端に、導体芯線15a(図1)が電気的に接続された端子を有するコネクタ18を設け、工事現場に水平方向に配索された電力供給コード30に照明用コード11の上部近傍を粘着テープ31により固定し、その上端に設けられたコネクタ18を電力供給コード30から引き出された被コネクタ32に電気的に接続した場合を示す。
【0043】
そして、ランプ20を点灯させる場合には、照明用コード11を介してランプ20に電気を供給し、そのランプ20を点灯させることになる。図3では、電力供給コード30に電力を供給することによりコネクタ18を介して、照明用コード11に電気を供給し、それによりランプ20を点灯させることになる。
【0044】
ここで、工事現場等における仮設照明としては、作業員の感電を防止するために、従来からランプ20を覆うように保護するカバーを接続器12又は接続器12が設けられた被覆電線コード13の端部に取付けるようなことが行われる(図7)。
【0045】
けれども、本発明の照明用コード11では、ランプ20の口金21が挿着される接続器12の開口端の周囲を被覆する被覆部材14に、その被覆部材14の外径を拡大するフランジ14dを形成しているので、そのフランジ14dにより接続器12と口金21の双方は覆われて、作業員の手又は指が接続器12や口金21に直接触れるようことは防止される。よって、本発明の照明用コード11は、フランジ14dを形成することにより、作業員の感電を防止し得るものとなる。
【0046】
また、そのような照明用コード11を用いる本発明の吊り下げ式照明装置10では、照明用コード11の接続器12に口金21が挿着されたランプ20と、照明用コード11の被覆部材14に形成されたフランジ14dとの間に接着層17を形成しているので、その接着層17により接続器12と口金21の双方は確実に覆われて、例えば比較的細い金属線や、比較的薄い金属片であっても、ランプ20とフランジ14dの間に進入して接続器12や口金21に触れるようことも防止される。
【0047】
また、接着層17が、接続器12と口金21の双方を覆うようにフランジ14dとランプ20の間に全周に亘って形成されているので、接着層17が耐水性を有するものである場合には、雨水等の導電性液体がフランジ14dとランプ20の間の隙間に浸入して接続器12や口金21にまで達するようなことも防止される。
【0048】
このため、本発明の吊り下げ式照明装置10におけるランプ20を点灯させていても、作業員が直接接続器12や口金21に触れて感電する様な事態だけでなく、作業員が金属線や金属片又は雨水等の導電性液体を介して接続器12や口金21に触れて感電する様な事態も防止される。よって、本発明の吊り下げ式照明装置10では、このような感電を防止するために従来必要とされた保護カバーは不要となる。
【0049】
ここで、ランプ20とフランジ14dの間に接着剤を充填固化させて接着層17を形成すると、ランプ20の接続器12からの離脱は不能となり、寿命により点灯不能となったランプ20を接続器12から取り外すことは出来なくなる。けれども、ランプ20における発光体23がLEDである場合には、従来のフィラメントを用いたいわゆる電球に比較して、そのランプ20の寿命は著しく向上するので、ランプ20を交換する必要は無くなる。よって、本発明の吊り下げ式照明装置10のように、そのランプ20を照明用コード11に接着しても、寿命が著しく短くなるようなことはない。
【0050】
また、工事現場等における仮設照明としては、ランプ20の破損による危険を防止するために、従来からランプ20を覆うような保護するカバーを取付けるようなことが行われる。けれども、本発明の吊り下げ式照明装置10では、ランプ20の発光体23を覆う透光性のカバー部材24を、従来の電球が備える無機ガラスではなくて、有機ガラスから成るものを用いることにより、破損時の飛散を防止することが可能となる。これにより、ランプ20が破損した場合であっても、破片の飛び散りは防止されるので、破片の飛び散りを防止するために、従来からも用いられていた保護カバーも不要となる。
【0051】
以上述べたように、本発明の吊り下げ式照明装置10では、従来必要とされた保護カバーが不要となるので、保護カバーを必要とした従来と比較して、その単価を低減させることが可能となるのである。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、E型口金21が設けられたランプ20を用いて説明した。けれども、口金21はE型に限らず、接続器12に装着可能であれば、その他の口金を有するランプを用いるようにしても良い。
【0053】
また、上述した実施の形態では、インサートモールド成型により被覆部材14が形成されるものを示した。けれども、この被覆部材14は、接続器12の開口端を除く周囲を被覆電線コード13の端部と共に被覆するものであって、絶縁性及び耐水性を有する限り、接着剤を用いた組み立て式のものであっても良い。
【0054】
更に、上述した実施の形態では、接続器12が、E型口金21の口金シェル部21aが開口端から螺着されるネジ式ソケット12aを備える場合を例示した。けれども、この接続器12は、ランプ20の口金21が開口端から挿着可能に構成されたものであれば、ネジ式のものでなくても良く、例えば、口金シェル部21aが挿着可能な筒状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 吊り下げ式照明装置
11 照明用コード
12 接続器
13 被覆電線コード
14 被覆部材
14d フランジ
17 接着層
20 ランプ
21 口金
22 本体
23 発光体
24 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7