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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094757
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6555 20140101AFI20230629BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20230629BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20230629BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230629BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20230629BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20230629BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20230629BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20230629BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20230629BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/658
H01M10/651
H01M10/613
H01M10/647
H01M50/209
H01M10/627
H01G11/10
H01M50/249
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210258
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山根 久幸
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
(72)【発明者】
【氏名】時井 敦志
【テーマコード(参考)】
5E078
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA15
5E078AB01
5E078AB13
5E078BA26
5E078CA06
5E078DA02
5E078DA05
5E078FA02
5E078FA12
5E078FA13
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA13
5E078JA02
5E078JA04
5E078JA05
5E078JA07
5E078JA08
5E078JA10
5H031AA09
5H031HH00
5H031KK01
5H031KK02
5H040AA27
5H040AA37
5H040AS01
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】過剰に高温化した蓄電素子から他の蓄電素子への熱影響を抑制可能な蓄電装置を提供する。
【解決手段】第一方向(Y軸方向)に沿って配列された複数の蓄電素子100からなる素子列100aが、第一方向に直交する第二方向(X軸方向)に沿って複数、配列された蓄電装置10である。蓄電装置10は、第一方向で隣り合う一対の蓄電素子100の間には、断熱材320と、前記断熱材320よりも熱伝導率の高い第一熱伝導部材310とが積層されている。前記第一熱伝導部材310は、前記第二方向で隣り合う他の素子列100aに含まれる一対の蓄電素子100の間まで延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に沿って配列された複数の蓄電素子からなる素子列が、前記第一方向に直交する第二方向に沿って複数、配列された蓄電装置であって、
前記第一方向で隣り合う一対の蓄電素子の間には、断熱材と、前記断熱材よりも熱伝導率の高い第一熱伝導部材とが積層されており、
前記第一熱伝導部材は、前記第二方向で隣り合う他の素子列に含まれる一対の蓄電素子の間まで延びている
蓄電装置。
【請求項2】
前記第二方向で隣り合う一対の前記素子列間では、前記第一熱伝導部材が前記断熱材から露出されている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記一対の蓄電素子間において、前記第一熱伝導部材は、一対の前記断熱材により前記第一方向で挟まれている
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記複数の素子列に含まれる複数の蓄電素子のうち、前記第一方向の端部に位置し、前記第二方向で隣り合う少なくとも2つ蓄電素子は、前記第一方向の外方の第一側面同士に、前記断熱材よりも熱伝導率の高い第二熱伝導部材が架け渡されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電素子は、直方体状の蓄電素子であり、
前記素子列では、複数の前記蓄電素子が前記直方体状の最も広い面同士を対向させるように配列されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、X軸方向に沿って配列された複数の蓄電素子からなる素子列が、Y軸方向に沿って複数、配列された蓄電装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-125475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば一つの蓄電素子が不具合を生じて過剰に高温化してしまうと、この熱が当該蓄電素子に隣り合う他の蓄電素子に伝達され、他の蓄電素子も過剰に高温化してしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、所定の蓄電素子から他の蓄電素子への熱影響を抑制可能な蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に沿って配列された複数の蓄電素子からなる素子列が、前記第一方向に直交する第二方向に沿って複数、配列された蓄電装置であって、前記第一方向で隣り合う一対の蓄電素子の間には、断熱材と、前記断熱材よりも熱伝導率の高い第一熱伝導部材とが積層されており、前記第一熱伝導部材は、前記第二方向で隣り合う他の素子列に含まれる一対の蓄電素子の間まで延びている。
【発明の効果】
【0007】
本発明における蓄電装置によれば、所定の蓄電素子から他の蓄電素子への熱影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電装置の上面図である。
図4】実施の形態に係る蓄電装置の断面図である。
図5】実施の形態に係る蓄電装置において、1つの蓄電素子に異常が発生した場合の熱の流れを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に沿って配列された複数の蓄電素子からなる素子列が、前記第一方向に直交する第二方向に沿って複数、配列された蓄電装置であって、前記第一方向で隣り合う一対の蓄電素子の間には、断熱材と、前記断熱材よりも熱伝導率の高い第一熱伝導部材とが積層されており、前記第一熱伝導部材は、前記第二方向で隣り合う他の素子列に含まれる一対の蓄電素子の間まで延びている。
【0010】
これによれば、断熱材には、当該断熱材よりも熱伝導率の高い第一熱伝導部材が積層されており、この第一熱伝導部材は、他の素子列に含まれる一対の蓄電素子の間まで延びている。このため、一方の蓄電素子から伝わった熱を第一熱伝導部材で、他の素子列の蓄電素子へと分散させることができる。このように、一対の蓄電素子間に断熱材及び第一熱伝導部材の積層構造を設けることで、周囲の複数の蓄電素子に熱を分散することができ、特定の蓄電素子に集中して熱が伝導して高熱化するのを防ぐことができる。したがって、過剰に高温化した一方の蓄電素子から他方の蓄電素子への熱影響を抑制することが可能である。
【0011】
前記第二方向で隣り合う一対の前記素子列間では、前記第一熱伝導部材が前記断熱材から露出されていてもよい。
【0012】
これによれば、第二方向で隣り合う一対の素子列間では、第一熱伝導部材が断熱材から露出されているので、当該一対の素子列間では第一熱伝導部材が空気で断熱されることになる。つまり、断熱材の使用量を抑えつつも、一対の素子列間では高い断熱性を維持することが可能である。
【0013】
前記一対の蓄電素子間において、前記第一熱伝導部材は、一対の前記断熱材により前記第一方向で挟まれていてもよい。
【0014】
これによれば、第一方向で隣り合う一対の蓄電素子間では一対の断熱材が第一方向で第一熱伝導部材を挟んでいるので、一方の蓄電素子が過剰に高温化したとしても、各断熱材によって他方の蓄電素子に対する伝熱量をさらに低減することができる。
【0015】
前記複数の素子列に含まれる複数の蓄電素子のうち、前記第一方向の端部に位置し、前記第二方向で隣り合う少なくとも2つ蓄電素子は、前記第一方向の外方の第一側面同士に、前記断熱材よりも熱伝導率の高い第二熱伝導部材が架け渡されていてもよい。
【0016】
これによれば、第一方向の端部に位置し、第二方向で隣り合う少なくとも2つ蓄電素子の第一側面同士に、第二熱伝導部材が架け渡されているので、この第二熱伝導部材を熱の分散経路とすることができる。したがって、過剰に高温化した一方の蓄電素子の熱をより広範囲に分散することができる。
【0017】
前記蓄電素子は、直方体状の蓄電素子であり、前記素子列では、複数の前記蓄電素子が前記直方体状の最も広い面同士を対向させるように配列されていてもよい。
【0018】
これによれば、直方体状の蓄電素子において長側面(最も広い面)は短側面よりも面積が大きいのでそれだけ隣り合う他方の蓄電素子への伝熱量も大きい。本態様では、直方体状の蓄電素子の最も広い面同士が第一方向で対向しており、この最も広い面同士の間に断熱材及び第一熱伝導部材が介在することになる。つまり、伝熱量が大きくなりうる蓄電素子の配置レイアウトであったとしても、断熱材で一対の蓄電素子間の伝熱量を抑制することができ、さらに第一熱伝導部材で伝熱量を分散させることができる。これらのことにより、直方体状の蓄電素子を用いた蓄電装置であったとしても、他の蓄電素子に対する熱影響を抑制することが可能である。
【0019】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向、または、上下方向から見た蓄電素子の長手方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向または蓄電素子の容器の厚み方向(扁平方向)を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の電極端子の突出方向、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、X軸方向を第二方向とも呼ぶ。平行及び直交等の、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0022】
[蓄電装置の説明]
本実施の形態における蓄電装置10の構成について、説明する。図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の構成を示す斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子100と、複数の断熱部300と、複数の蓄電素子100及び断熱部300が収容される外装体200と、を備えている。蓄電装置10は、蓄電素子100を直列または並列に接続するバスバーも備えているが、図示及び説明は省略する。蓄電装置10は、上記の構成要素の他、バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム、外装体200の開口部201を塞ぐ蓋体、並びに、蓄電素子100の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板及びリレー等の電気機器等も備えていてもよい。外部の装置と電気的に接続するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)の端子台が外装体200等に取り付けられ、当該端子台に外部端子が配置される等、蓄電装置10が外部端子を備えていてもよい。
【0025】
外装体200の内方に配置される蓄電素子100の数は特に限定されないが、本実施の形態では、外装体200の内方に、18個の蓄電素子100が配置されている。具体的には、外装体200の内方において、Y軸方向(第一方向)に沿って配列された6つの蓄電素子100からなる素子列100aが、X軸方向(第二方向)に沿って3つ配列されている。以下、蓄電素子100及び外装体200の構成について、詳細に説明する。
【0026】
[蓄電素子の説明]
まず、蓄電素子100の構成について、詳細に説明する。図2は、実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。蓄電装置10が備える蓄電素子100は、全て同様の構成を有しているため、図2では1つの蓄電素子100を図示している。
【0027】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、Z軸方向から見てX軸方向(第二方向)に長い形状を有している。本実施の形態では、蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な直方体形状(角形、角型)を有している。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0028】
図2に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極及び負極)の電極端子150とを備え、容器110の内方には、電極体160と、一対(正極及び負極)の集電体170とが収容されている。容器110の内方には電解液(非水電解質)も封入され、電極端子150及び集電体170と容器110(後述の容器蓋部130)との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。ガスケットは、絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体160の側方または下方等に配置されるスペーサ、電極体160等を包み込む絶縁フィルム、及び、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)等を有していてもよい。
【0029】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する容器蓋部130と、を有する扁平な直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。容器蓋部130は、容器110の蓋部を構成するX軸方向に長い矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向に配置されている。容器蓋部130には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。容器110(容器本体120及び容器蓋部130)の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0030】
容器110は、電極体160等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と容器蓋部130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密閉(密封)されている。容器110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側面111及び112を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面113及び114を有し、Z軸マイナス方向側に底面115を有し、Z軸プラス方向側に電極端子150が配置される端子配置面116を有している。このように、容器110は、厚み方向がY軸方向となるY軸方向に扁平な容器であり、Z軸方向から見てX軸方向(第二方向)に長い形状を有している。長側面111及び112は、容器110の各外側面のうち最も広い面である。一つの素子列100aでは、複数の蓄電素子100が長側面111及び112同士を対向させるように配列されている(図1参照)。
【0031】
電極端子150は、容器110の容器蓋部130に配置される、蓄電素子100の端子部材(正極端子及び負極端子)である。具体的には、Z軸方向から見てX軸方向(第二方向)に並ぶ一対の電極端子150が、容器110の端子配置面116(容器蓋部130)からZ軸プラス方向に突出して配置されている。電極端子150は、集電体170を介して、電極体160の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子150は、電極体160に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体160に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子150は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0032】
電極体160は、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)であり、正極板と負極板とセパレータとを備え、正極板、負極板及びセパレータが積層されて形成されている。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる帯状の集電箔である正極基材上に正極活物質層が形成された電極板である。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる帯状の集電箔である負極基材上に負極活物質層が形成された電極板である。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。正極活物質層に用いられる正極活物質、及び、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータについても、蓄電素子100の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0033】
本実施の形態では、電極体160は、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成された巻回型の電極体である。具体的には、電極体160は、正極板と負極板とが、セパレータを介して、巻回軸の方向(X軸方向)に互いにずらして巻回されている。正極板及び負極板は、それぞれのずらされた方向の端部に、合材が塗工されず基材が露出した部分を有し、当該端部が、集電体170と電気的及び機械的に接続される。電極体160は、正極板と負極板とセパレータとが、Z軸方向に平行な巻回軸にて巻回されて形成された巻回型の電極体でもよい。電極体160は、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体でもよいし、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体でもよいし、その他の形態の電極体でもよい。
【0034】
集電体170は、電極体160と容器110との間に配置され、電極端子150と電極体160とに電気的に接続される導電性の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。集電体170は、電極体160に溶接等によって接合されている。正極の集電体170は、電極体160の正極板の正極基材と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極の集電体170は、電極体160の負極板の負極基材と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0035】
[外装体の説明]
次に、図3及び図4も用いて、外装体200の構成について、詳細に説明する。図3は、実施の形態に係る蓄電装置10の上面図である。図4は、実施の形態に係る蓄電装置10の断面図である。具体的には、図4は、図1におけるIV-IV線を含む切断面を見た断面図である。
【0036】
図1図3及び図4に示すように、外装体200は、蓄電装置10の外装体を構成する直方体形状(箱形)の容器である。外装体200は、複数の蓄電素子100の外方に配置され、複数の蓄電素子100を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。外装体200は、外装体200の本体を構成する外装体本体210と、外装体本体210の各内面に積層された複数の熱伝導部材220、230及び240と、を有している。
【0037】
外装体本体210は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、または、それらの複合材料等の絶縁部材により形成されている。これにより、外装体本体210は、複数の蓄電素子100が外部の金属部材等の導電部材と導通することを抑制するが、そのような必要がない場合等には、外装体200は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0038】
外装体本体210は、開口が形成されたハウジング(筐体)であり、複数の蓄電素子100を収容する。外装体本体210は、Z軸マイナス方向の底面部にZ軸方向に対向する底壁211を有し、Y軸方向両側の側面部にY軸方向に対向する一対の側壁212を有し、X軸方向両側の側面部にX軸方向に対向する一対の側壁213を有している。
【0039】
底壁211は、外装体本体210の底面を形成する、XY平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。底壁211は、Z軸方向において、複数の蓄電素子100と対向して配置される。底壁211の上面には、矩形板状の熱伝導部材240(第四熱伝導部材)が全体的に積層されている。つまり、熱伝導部材240は、複数の蓄電素子100の底面115(Z軸マイナス方向の面)の全体に接触し覆っている。これにより、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第二方向)の少なくとも一方で隣り合う複数の蓄電素子100は、底面115同士に熱伝導部材240が架け渡されている。
【0040】
また、底壁211は、熱伝導部材240を介して複数の蓄電素子100の底面115の全体を覆うように、熱伝導部材240のZ軸マイナス方向に配置されて、複数の蓄電素子100及び熱伝導部材240をZ軸マイナス方向から支持する。
【0041】
一対の側壁212は、外装体本体210のY軸方向両側の側面を形成する、XZ平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。一対の側壁212は、底壁211のY軸方向両端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、Y軸方向において複数の蓄電素子100と対向して配置される。具体的には、一対の側壁212は、複数の蓄電素子100のY軸方向の面の全面を覆うように、複数の蓄電素子100のY軸方向に配置される。つまり、Y軸プラス方向の側壁212は、Y軸プラス方向の複数の蓄電素子100のY軸プラス方向の面の全面を覆うように、当該複数の蓄電素子100のY軸プラス方向に配置される。Y軸マイナス方向の側壁212は、Y軸マイナス方向の複数の蓄電素子100のY軸マイナス方向の面の全面を覆うように、当該複数の蓄電素子100のY軸マイナス方向に配置される。一対の側壁212は、底壁211及び側壁213に隣接する。
【0042】
一対の側壁212において内方の側面には、矩形板状の熱伝導部材220(第二熱伝導部材)が積層されている。具体的には、Y軸プラス方向の側壁212は、Y軸マイナス方向の側面に熱伝導部材220が積層されており、当該熱伝導部材220が、Y軸プラス方向の端部に配置された複数の蓄電素子100の長側面112に接触している。他方、Y軸マイナス方向の側壁212は、Y軸プラス方向の側面に熱伝導部材220が積層されており、当該熱伝導部材220が、Y軸マイナス方向の端部に配置された複数の蓄電素子100の長側面111に接触している。
【0043】
つまり、複数の素子列100aに含まれる複数の蓄電素子100のうち、Y軸方向の端部に位置し、第二方向で隣り合う少なくとも2つの蓄電素子100は、Y軸方向の外方の側面(第一側面)同士に、熱伝導部材220が架け渡されている。各熱伝導部材220は、対応する複数の蓄電素子100の長側面111及び112を覆う大きさであればよく、本実施の形態では、各熱伝導部材220が各側壁212の上部を露出する大きさに形成されている場合を例示している。
【0044】
一対の側壁213は、外装体本体210のX軸方向両側の側面を形成する、YZ平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。一対の側壁213は、底壁211のX軸方向両端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、X軸方向において複数の蓄電素子100と対向して配置される。具体的には、一対の側壁213は、複数の蓄電素子100のX軸方向の面の全面を覆うように、複数の蓄電素子100のX軸方向に配置される。つまり、X軸プラス方向の側壁213は、X軸プラス方向の複数の蓄電素子100のX軸プラス方向の面の全面を覆うように、当該複数の蓄電素子100のX軸プラス方向に配置される。X軸マイナス方向の側壁213は、X軸マイナス方向の複数の蓄電素子100のX軸マイナス方向の面の全面を覆うように、当該複数の蓄電素子100のX軸マイナス方向に配置される。一対の側壁213は、底壁211及び一対の側壁212に隣接する。
【0045】
一対の側壁213において内方の側面には、矩形板状の熱伝導部材230(第三熱伝導部材)が積層されている。具体的には、X軸プラス方向の側壁213は、X軸マイナス方向の側面に熱伝導部材230が積層されており、当該熱伝導部材230が、X軸プラス方向の端部に配置された複数の蓄電素子100の短側面113に接触している。他方、X軸マイナス方向の側壁213は、X軸プラス方向の側面に熱伝導部材230が積層されており、当該熱伝導部材230が、X軸マイナス方向の端部に配置された複数の蓄電素子100の短側面114に接触している。
【0046】
つまり、複数の素子列100aのうち、X軸方向の端部に位置する素子列100aに含まれる複数の蓄電素子100は、X軸方向の外方の側面(第二側面)同士に、熱伝導部材230が架け渡されている。各熱伝導部材230は、対応する複数の蓄電素子100の短側面を覆う大きさであればよく、本実施の形態では、各熱伝導部材230が各側壁213の上部を露出する大きさに形成されている場合を例示している。
【0047】
以上のような構成により、外装体本体210には、Z軸方向に向けて開口する開口部201が形成されている。つまり、一対の側壁212と一対の側壁213とで、Z軸プラス方向に開口する開口部201が形成されている。開口部201は、外装体本体210の底壁211と対向する位置に配置され、Z軸プラス方向に向けて開口する、Z軸方向から見てX軸方向に長い矩形状の開口部である。
【0048】
[断熱部の説明]
次に、図1図3及び図4を用いて、断熱部300の構成について、詳細に説明する。図1図3及び図4に示すように、各断熱部300は、各素子列100aをなす複数の蓄電素子100においてY軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100の間に配置されている。
【0049】
断熱部300は、熱伝導部材310(第一熱伝導部材)と、複数の断熱材320とを有している。熱伝導部材310は、XZ平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の板材である。熱伝導部材310は、X軸方向に並ぶ3つの蓄電素子100の長側面111及び112を全体的に覆う大きさに形成されている。熱伝導部材310は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導材料から形成されている。好ましくは50W/m・K以上であり、さらに好ましくは100W/m・K以上である。熱伝導材料としては、例えば、銅やアルミニウムなどの金属材料、セラミック材料などが挙げられる。なお、熱伝導材料は絶縁性を有していることが好ましい。なお、上述した熱伝導部材220、230及び240においても、上記の熱伝導材料により形成されている。熱伝導部材220、230、240及び310は、同一の熱伝導材料から形成されていてもよいし、少なくとも1つが異なる熱伝導材料から形成されていてもよい。
【0050】
複数の断熱材320は、熱伝導部材310の各主面に対して積層されている。各断熱材320は、熱伝導部材310の各主面に、接着剤または両面テープなどにより接着されることで積層されている。各断熱材320は、XZ平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の板材である。各断熱材320は、1つの蓄電素子100の長側面111及び112を全体的に覆う大きさに形成されている。このため、複数の断熱材320は、X軸方向に所定の間隔をあけて配列されている。つまり、X軸方向(第二方向)で隣り合う各対の素子列100a間では、熱伝導部材310が各断熱材320から露出されている。断熱材320は、熱伝導率が10W/m・Kよりも低い断熱材料から形成されている。好ましくは5W/m・K以下であり、さらに好ましくは2W/m・K以下である。断熱材料としては、例えば、マイカ片を集積し、結合することで構成されるダンマ材、グラスウール、若しくは耐熱性樹脂、またはこれらの組み合わせ等で形成された材料などが挙げられる。
【0051】
熱伝導部材310のY軸プラス方向の主面に積層された各断熱材320は、当該熱伝導部材310のY軸プラス方向に配置された各蓄電素子100の長側面111の全体に接触している。一方、熱伝導部材310のY軸マイナス方向の主面に積層された各断熱材320は、当該熱伝導部材310のY軸マイナス方向に配置された各蓄電素子100の長側面112の全体に接触している。これにより、各素子列100aにおいては、Y軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100間の伝熱量が、当該一対の蓄電素子100に挟まれる一対の断熱材320によって低減されている。
【0052】
ここで、断熱材320の厚みは、熱伝導部材310の厚みより厚い方がよい。断熱材320の厚みが厚くなるに伴って断熱効果が大きくなる傾向にあり、蓄電素子100の間の限られた空間では断熱材320の厚みを厚くすることで他の蓄電素子200への熱の影響を小さくすることができる。具体的には、蓄電素子100間の断熱材320の厚みは2mm以上が好ましく、さらには3mm以上が好ましい。また、エネルギー密度の観点から断熱材320の厚みは8mm以下が好ましい。なお、蓄電素子320間に断熱材320が2枚以上設けられている場合は、それら断熱材320の厚みの合計が上記の範囲となることが好ましい。熱伝導部材310の厚みは、構造の強度の観点から0.1mm以上、1mm以下が好ましい。これは他の熱伝導部材220、230及び240においても同様である。
【0053】
[異常時の熱の流れについて]
次に、過剰に高温化する異常が1つの蓄電素子100に発生した場合の熱の流れについて説明する。図5は、実施の形態に係る蓄電装置10において、1つの蓄電素子100Bに異常が発生した場合の熱の流れを示す上面図である。
【0054】
例えば、図5に示すように、1つの蓄電素子100Bが過剰に高温化したとする。この場合、蓄電素子100BのY軸プラス方向では、当該蓄電素子100Bの長側面112に積層された断熱材320によりY軸プラス方向に流れる伝熱量が低減される。低減されるものの、当該断熱材320に積層された熱伝導部材310には熱が伝わるが、熱伝導部材310は、当該熱をY軸プラス方向及びX軸マイナス方向に流すことになる。このように熱伝導部材310が熱をX軸マイナス方向に流して、他の素子列100aの蓄電素子100に分散させる(矢印Y1参照)。ここで、熱伝導部材310は、X軸方向で隣り合う蓄電素子100の間で各断熱材320から露出されているので、当該部位では空気で断熱されることになり、露出箇所から他の蓄電素子100に熱が伝わり難くなっている。
【0055】
さらに、熱伝導部材310のY軸プラス方向の主面には、断熱材320が積層されているので、当該断熱材320によりY軸プラス方向に流れる伝熱量がより低減される。
【0056】
蓄電素子100BのX軸プラス方向の短側面113には、X軸プラス方向の熱伝導部材230が接触し、他の蓄電素子100に架け渡されている。このため、当該熱伝導部材230が熱の分散経路となり、蓄電素子100Bの熱が広範囲に分散される(矢印Y2参照)。
【0057】
蓄電素子100BのY軸マイナス方向の長側面111には、Y軸マイナス方向の熱伝導部材220が接触し、他の蓄電素子100に架け渡されている。このため、当該熱伝導部材220が熱の分散経路となり、蓄電素子100Bの熱が広範囲に分散される(矢印Y3参照)。
【0058】
蓄電素子100Bの底面115には、熱伝導部材240が接触し、他の蓄電素子100に架け渡されている。このため、当該熱伝導部材240が熱の分散経路となり、蓄電素子100Bの熱が広範囲に分散される(矢印Y4参照)。
【0059】
これらのことにより、蓄電素子100Bから、当該蓄電素子100BのY軸プラス方向で隣り合う蓄電素子100Cに伝わる伝熱量を大幅に低減することができる。
【0060】
[効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置10によれば、断熱材320には、当該断熱材320よりも熱伝導率の高い熱伝導部材310(第一熱伝導部材)が積層されており、この熱伝導部材310は、他の素子列100aに含まれる一対の蓄電素子100の間まで延びている。このため、蓄電素子100Bから伝わった熱を熱伝導部材310で、他の素子列100aの蓄電素子100へと分散させることができる。このように、一対の蓄電素子100間に断熱材320及び熱伝導部材310の積層構造を設けることで、周囲の複数の蓄電素子100に熱を分散することができ、特定の蓄電素子100Cに集中して熱が伝導して高熱化するのを防ぐことができる。したがって、過剰に高温化した蓄電素子100Bから蓄電素子100Cへの熱影響を抑制することが可能である。
【0061】
X軸方向(第二方向)で隣り合う一対の素子列100a間では、熱伝導部材310が断熱材320から露出されているので、当該一対の素子列100a間では熱伝導部材310が空気で断熱されることになる。つまり、断熱材320の使用量を抑えつつも、一対の素子列100a間では高い断熱性を維持することが可能である。
【0062】
Y軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100間では一対の断熱材320がY軸方向で熱伝導部材310を挟んでいるので、例えば蓄電素子100Bが過剰に高温化したとしても、各断熱材320によって蓄電素子100Cに対する伝熱量を低減することができる。これにより、蓄電素子100Cに対する熱影響をより抑制することが可能である。
【0063】
Y軸方向の端部に位置し、X軸方向で隣り合う少なくとも2つ蓄電素子100の第一側面(短側面113及び114)同士に、熱伝導部材220(第二熱伝導部材)が架け渡されているので、この熱伝導部材220を熱の分散経路とすることができる。したがって、過剰に高温化した蓄電素子100Bの熱をより広範囲に分散することができ、蓄電素子100Cに対する熱影響をより抑制することができる。
【0064】
直方体状の蓄電素子100において長側面111及び112(最も広い面)は短側面113及び114よりも面積が大きいのでそれだけ隣り合う他方の蓄電素子100への伝熱量も大きい。本実施の形態では、直方体状の蓄電素子100の最も広い面同士がY軸方向で対向しており、この最も広い面同士の間に断熱材320及び熱伝導部材310が介在している。つまり、伝熱量が大きくなりうる蓄電素子100の配置レイアウトであったとしても、Y軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100間の伝熱量を断熱材320で抑制することができ、さらに熱伝導部材310で伝熱量を分散させることができる。これらのことにより、直方体状の蓄電素子100であったとしても、他の蓄電素子100に対する熱影響を抑制することが可能である。
【0065】
(変形例など)
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0066】
例えば、上記実施の形態に係る一つの断熱部300では、X軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100間では、熱伝導部材310が各断熱材320から露出されている場合を例示した。しかしながら、断熱材と熱伝導部材との積層体を簡易的に製造できるという観点から、熱伝導部材は断熱材により全体が覆われていてもよい。
【0067】
上記実施の形態では、Y軸方向で隣り合う一対の蓄電素子100間において、熱伝導部材310がY軸方向で一対の断熱材320により挟まれている場合を例示した。しかしながら熱伝導部材は、Y軸方向の一方にのみ断熱材が積層されていてもよい。
【0068】
上記実施の形態では、外装体本体210の内面(一対の側壁212の内方の側面、一対の側壁213の内方の側面及び底壁211の上面)に熱伝導部材220、230及び240が積層されている場合を例示したが、熱伝導部材220、230及び240は少なくとも1つ設けられていればよいし、熱伝導部材220、230及び240がなくてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な(Z軸方向から見てX軸方向に長い)直方体形状を有していることとしたが、蓄電素子100の大きさ及び形状は特に限定されない。蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な(Z軸方向から見てX軸方向に長い)、長円柱形状、楕円柱形状、直方体以外の多角柱形状等でもよい。蓄電素子100は、Y軸方向から傾いた方向に扁平な形状でもよいし、X軸方向に扁平な(Z軸方向から見てY軸方向に長い)形状でもよいし、Z軸方向に扁平な形状でもよい。蓄電素子100は、扁平形状ではなく、Z軸方向から見て円形の円柱形状(円筒形、円筒型)でもよいし、Z軸方向から見て正方形の直方体形状等でもよい。
【0070】
上記実施の形態では、蓄電素子100が有する一対の電極端子150は、X軸方向に並んで配置されていることとしたが、X軸方向からZ軸方向に傾いた方向、または、Z軸方向に並んで配置されていてもよい。一対の電極端子150は、X軸方向からY軸方向に傾いた方向、または、Y軸方向に並んで配置されていてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、外装体本体210は、Z軸プラス方向に開口した開口部201を有していることとしたが、開口部201を有していない(開口部201が上壁で塞がれた)構成でもよい。
【0072】
上記実施の形態では、外装体本体210は、底壁211と一対の側壁212と一対の側壁213とを一体的に有していることとしたが、いずれかの壁が別体で構成されていてもよい。外装体本体210は、一対の側壁212及び一対の側壁213のうちのいずれかの側壁を有していなくてもよい。
【0073】
上記実施の形態において、素子列100aに含まれる複数の蓄電素子100が拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)で拘束されていてもよい。つまり、当該拘束部材によって一体化された素子列が、外装体本体内に挿入されてもよい。
【0074】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
10 蓄電装置
100、100B、100C 蓄電素子
100a 素子列
110 容器
111、112 長側面
113、114 短側面
115 底面
116 端子配置面
120 容器本体
130 容器蓋部
150 電極端子
160 電極体
170 集電体
200 外装体
201 開口部
210 外装体本体
211 底壁
212 側壁
213 側壁
220 熱伝導部材(第二熱伝導部材)
230 熱伝導部材(第三熱伝導部材)
240 熱伝導部材(第四熱伝導部材)
300 断熱部
310 熱伝導部材(第一熱伝導部材)
320 断熱材
Y1、Y2、Y3、Y4 矢印
図1
図2
図3
図4
図5