(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094828
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ロードコーン
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210361
(22)【出願日】2021-12-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】511173169
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】河江 宏幸
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101DA05
2D101EA07
2D101FA12
2D101GA04
(57)【要約】
【課題】 従来のロードコーンの課題である台座部の方向を揃える作業負担を減らし、さらには利便性・デザイン性を高めたロードコーンを提供することにある。
【解決手段】 ロードコーン10は、円錐状の本体部20と、本体部20の下側に本体部20よりも幅広の台座部30と、を備える。そして、台座部30を横断面円形の「円柱状」に形成したものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具のロードコーンであって、
台座部を横断面円形に形成したことを特徴とするロードコーン。
【請求項2】
台座部が、既存のロードコーンの横断面正方形をした従来型台座部の一辺と同じ寸法の直径に、その高さを従来型台座部以上の高さに形成したことを特徴とする請求項1記載のロードコーン。
【請求項3】
台座部の縦断面両側縁を湾曲状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のロードコーン。
【請求項4】
台座部の縦断面両側縁をテーパー状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のロードコーン。
【請求項5】
台座部の全部又は一部を高比重物質で形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロードコーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、保安器具であるロードコーン(いわゆるカラーコーン:登録商標)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロードコーンは、事故・工事の現場や街中・イベント会場などで保安器具として用いられることが多い。
ロードコーンについては、別段JIS等での規格は無い。しかし、そのほとんどが円錐状の本体部と、本体部の下側に正方形の台座部と、を備えたものとなっている(特許文献1の第1図等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロードコーンは、単体で使用することもあるが、ロードコーンとロードコーンの間をコーンバーで架設して規制帯を形成するように、複数のロードコーンを有機的に連結して使用することもある。
また、ロードコーンは本体部を空洞にしているので、複数のロードコーンを重ね合わせて保管・移動できる。
このとき、台座部は正方形なので、台座部の向きを揃えないと乱雑な印象を与えてしまう。
【0005】
そこで、本願発明者は、上記した従来のロードコーンの課題を解決しつつ、さらに利便性・デザイン性を高めたロードコーンを提供すべく、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の発明は、円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具のロードコーンであって、台座部を横断面円形に形成したことを特徴とするものである。
第2の発明は、台座部が、既存のロードコーンの横断面正方形をした従来型台座部の一辺と同じ寸法の直径に、その高さを従来型台座部以上の高さに形成したことを特徴とする同ロードコーンである。
第3の発明は、台座部の縦断面両側縁を湾曲状に形成したことを特徴とする同ロードコーンである。
第4の発明は、台座部の縦断面両側縁をテーパー状に形成したことを特徴とする同ロードコーンである。
第5の発明は、台座部の全部又は一部を高比重物質で形成したことを特徴とする同ロードコーンである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、以下の効果を有する。
(1)ロードコーンの台座部を横断面円形に形成したことで、複数のロードコーンを設置しても台座部の向きが常に同じであり、台座部の向きを揃える必要がない。そのため、ロードコーンを所定の位置に配置するだけで、ロードコーンの設置が完了する。また、同様に、複数のロードコーンを重ね合わせる場合にも、台座部の向きを揃える必要がない。ロードコーンを使用する際の作業の効率化(時短等)につながる。
(2)ロードコーンの台座部を横断面円形に形成したことで、台座部に角が無くなるので、台座部の角に足などが接触し、つまずくことを防止できて、安全性が高まる。
(3)ロードコーンの台座部を横断面円形に形成したことで、ロードコーンを斜めに倒し、台座部の側面が地面と接するようにすると、ロードコーンを転がしながら移動できる。昨今普及している台座部とコーンベット(おもり)が一体化しているロードコーンの場合、ロードコーンを持ち上げて移動させる必要があるため、かなりの重労働になるが(特にロードコーンを重ねて運搬する場合には顕著である)、転がして移動できるようになれば、ロードコーンの運搬が非常に楽に行える。
(4)ロードコーンの台座部を横断面円形に形成したことで、ロードコーン全体のフォルムが丸く、圧迫感が無くなる。そのため、優しさを感じる目印になる。
(5)ロードコーンの台座部を横断面円形で、且つ縦断面両側縁を湾曲状に形成したことで(ドーナツ型)、斜め状態にあるロードコーンが自立できる(自立性を備えている)。例えば、斜めにして運んでいるロードコーンが所定の位置まで来たら、そのままの状態で手を離すだけで自立する。また、屋外に設置されているロードコーンの台座部の片方が風にあおられて浮き上がっても、元に戻る角度が大きいため、元に戻りやすい(復元力を備えている)。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(1)。
【
図2】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(2)。
【
図3】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(3)。
【
図4】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(4)。
【
図5】本願発明の第2実施形態を説明する説明図(1)。
【
図6】本願発明の第2実施形態を説明する説明図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願発明に係るロードコーンの実施形態を、図面に基いて説明する。
【0010】
図1乃至
図4は、ロードコーン10の第1実施形態を示す説明図である。
図1左図に図示するように、ロードコーン10は、円錐状の本体部20と、本体部20の下側に本体部20よりも幅広の台座部30と、を備える。そして、台座部30を横断面円形の「円柱状」に形成したものである。
図1右図は、ロードコーン10を底面から図示したものであるが、本体部20は空洞になっている(他の実施形態において同じ)。これにより、従来のロードコーンと同様に、重ね合わせることが可能になっている。
【0011】
図2は、台座部30を図示したものである。
図2(イ)は、現在普及しているコーンベット(おもり)一体型ロードコーンの台座部の寸法を表示している。これによると、その体積は、35cm×35cm×4cm=4900立方cmとなり、1g/1立方cmとすると、その重量は4900gである。
【0012】
高さを変えずにこの台座部をそのまま円柱状の台座部にすると、
図2(ロ)の寸法になる。すなわち、19.7cm×19.7cm×3.14×4cm=4.874立方cm≒4900立方cm(4900g)である。すると、直径は39.4cm(19.7cm×2)となり、
図2(イ)の台座部よりも幅が12.5%も大きくなってしまう(39.4cm÷35cm=1.125)。これでは、現在普及しているコーンベット(おもり)一体型ロードコーンよりも大型化してしまい、利便性が損なわれる。
【0013】
そこで、台座部の幅(直径)を変えずに
図2(イ)と同じ体積(重量)の台座部にしようとすると、
図2(ハ)に図示するようにその高さは5.1cmとなる(17.5cm×17.5cm×3.14×5.1cm=4904立方cm(4904g)≒4900立方cm(4900g))。
【0014】
図3は、ロードコーンを運搬のために重ね合わせた状態を図示したものである(コーンベット(おもり)一体型ロードコーンは重量があるため、作業者が一度に運搬できる個数は3個程度である)。
図3左図は、現在普及しているコーンベット(おもり)一体型ロードコーンを重ね合わせた状態であるが、全体の高さを「X」で表示している。
図3右図は、
図2(ハ)の寸法の台座部30を備えたロードコーン10を重ね合わせた状態を図示し、全体の高さを「Y」で表示している。
両ロードコーンともに、重量と幅(台座部の幅となる)は一致しており、高さだけ異なるが(X<Y)、それもたった3.3cmである(4cm×3-5.1cm×3=-3.3cm)。作業者にとって、積み重ねられた両ロードコーンを運搬する手間はほとんど代わらないと言っていい。すなわち、現在普及している正方形の台座部から
図2(ハ)に図示する円柱状の台座部30に代えても、作業上・保管上のデメリットは生じ得ない。
【0015】
むしろ、円柱状の台座部30にすることのメリットが多い。
まず、
図1左図に図示するように、ロードコーン10は台座部30が円柱状ゆえに、どの方向からみても同じ外観になる。従って、複数のロードコーン10を設置又は重ね合わせても台座部30の向きが常に同じであり、台座部の向きを揃える必要がない。取り扱いが非常に便利である。
次に、台座部30には角が無いので、台座部30の角に足や物などが接触し、損傷することを防止できて、安全性が高いものとなる。また、台座部30の角が無いことで、ロードコーン10全体のフォルムが丸くなり、ロードコーン10に接する人に対して圧迫感などを与えなくなる。ロードコーン10が、優しさを感じる目印になる。
【0016】
さらには、
図4に図示するように、ロードコーン10を斜めに倒し、台座部30の側面が地面と接するようにすると、ロードコーン10を転がしながら移動・運搬できる。従来型の正方形状の台座部を有するロードコーンでは、このような移動・運搬方法は採れなかった。特に、重量のある台座部とコーンベット(おもり)が一体化しているロードコーンの場合には有効である。
【0017】
図5及び
図6は、ロードコーン10の第2実施形態を示す説明図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、台座部の形状である。第2実施形態の台座部40は、横断面円形で、且つ縦断面両側縁を湾曲状に形成したいわゆる「ドーナツ型」をしている。これによって、第1実施形態と同様の上記メリットを有する。
【0018】
また、ドーナツ型の台座部40に特有のメリットとして、
図6に図示するものが挙げられる。すなわち、斜め状態にあるロードコーン10が台座部40を備えることで自立可能になっている(自立性を備えている)。これにより、斜めにして運んでいるロードコーン10が所定の位置まで来たら、そのままの状態で手を離して設置させられる。また、屋外に設置されているロードコーン10の台座部の片方が風にあおられて浮き上がっても、元に戻る角度が大きいため、元に戻りやすい(復元力を備えている)。暴風・地震などの後に倒れたロードコーンを起こす作業が必要になるが、ドーナツ型の台座部40を備えたロードコーン10ではそのようなことが必要なくなる。
【0019】
図7乃至
図9は、ロードコーン10の第3実施形態乃至第5実施形態を示す説明図である。
第3実施形態乃至第5実施形態が第1実施形態と異なるのは、第2実施形態と同じく台座部の形状である。
第3実施形態のロードコーン10では、台座部50がその縦断面両側縁をストレートなテーパー状に形成されている。いわゆる「スカート型」である。
第4実施形態のロードコーン10では、台座部60がその縦断面両側縁をカーブを描くようなテーパー状に形成されている。いわゆる「お椀型」である。
第5実施形態のロードコーン10では、台座部70が円盤状に形成されている。いわゆる「帽子型」である。
【0020】
台座部30~70は、コーンベット(おもり)一体型ロードコーン10とするために、その全部又は一部を高比重物質で形成してもよい。特に、台座部70は円盤状であるために、その全部又は一部を高比重物質で形成する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願発明に係るロードコーンは、それ単体として使用してもよく、コーンバー等で複数のロードコーンを連結して使用してもよい。事故現場、工事現場、イベント会場等で作業者・設置者の負担を軽くして幅広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0022】
10 ロードコーン
20 本体部
30 台座部(円柱型)
40 台座部(ドーナツ型)
50 台座部(スカート型)
60 台座部(お椀型)
70 台座部(帽子型)
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具のロードコーンであって、
台座部を横断面円形且つ台座部の縦断面外側及び内側両側縁を半円の湾曲状に形成するドーナツ型であるとともに、
台座部の全部又は一部を高比重物質で形成し、斜め状態にあるロードコーン10から手を離し設置させる自立性および浮き上がった台座部を元に戻す復元力とを備えたことを特徴とするロードコーン。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状で空洞の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具のロードコーンであって、
台座部を横断面円形且つ台座部の縦断面外側及び内側両側縁を半円の湾曲状に形成するドーナツ型であるとともに、水平方向360度同一形状であり、
台座部の全部又は一部を高比重物質で形成し、斜め状態にあるロードコーンから手を離し設置させる自立性および浮き上がった台座部を元に戻す復元力とを備えたことを特徴とするロードコーン。