(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094830
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ゲル状洗浄剤組成物およびそれを使用した硬質表面の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/00 20060101AFI20230629BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20230629BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230629BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C11D17/00
C11D7/26
C11D1/90
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210363
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田井治 淑美
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC23
4H003AD04
4H003BA15
4H003DA06
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB02
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB36
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA17
4H003FA25
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】トイレの便器ボウル等の硬質表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤組成物であって、尿石に対しても優れた洗浄効果を発揮するとともに長期間洗浄効果を可能とするゲル状洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)~(C)、
(A)乳酸
(B)変性ポリエーテル
(C)水
を含有することを特徴とするゲル状洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(C)、
(A)乳酸
(B)変性ポリエーテル
(C)水
を含有することを特徴とするゲル状洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)の乳酸を3~25質量%で含有する請求項1記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、成分(D)脂肪酸アミドプロピルベタインを含有するものである請求項1または2記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(D)の脂肪酸の炭素数が6~20である請求項3記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(B)の変性ポリエーテルを15~45質量%で含有する請求項1~4の何れか1項に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(B)の変性ポリエーテルの平均分子量が35,000~45,000である請求項1~5の何れか1項に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(D)の脂肪酸がヤシ油脂肪酸である請求項3~6の何れか1項に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項8】
硬質表面用である請求項1~7の何れか1項に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載のゲル状洗浄剤組成物を硬質表面に付着させ、硬質表面上に付着したゲル状洗浄剤組成物に水を接触させることを特徴とする硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの便器に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレの便器に付着する汚れを除去したり、便器の表面に抗菌効果を付与するための洗浄剤が提案されている。例えば、水洗トイレの手洗い部や貯水タンク内に設置することにより、洗浄水に洗浄剤を溶出できるように設計されたオンタンクタイプ又はインタンクタイプのトイレ用洗浄剤が使用されている。しかしながら、近年、手洗い部がないものやそもそもタンクがないタンクレスな水洗トイレが普及しており、オンタンクタイプ又はインタンクタイプのトイレ用洗浄剤では、タンクレスの水洗トイレに適用できないという問題点があった。
【0003】
上記問題点を解決するために、トイレの便器ボウル等の硬質表面の表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤が開発されている。例えば、重合度が13~50のポリオキシエチレンと炭素数12~18のアルキル基で構成されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むトイレ用ゲル状洗浄剤(特許文献1)や、特定のポリオキシアルキレンブロックポリマーを含むゲル状洗浄剤(特許文献2)などが提案されている。
【0004】
しかし、これらのものは洗浄力に問題があった。便器のふち裏や男性小便器などの汚れとして尿石があるが、上記従来の界面活性剤を主成分とする洗浄剤では、尿石に対する十分な洗浄効果はなかった。尿石を除去するために一般的には乳酸等の有機酸を用いることが考えられるが、上記従来の洗浄剤中に有機酸を配合した場合、(ゲル状態を維持する)安定性の高い有機酸であるクエン酸を加えるだけでは尿石の主成分のカルシウム溶解性が低く、酢酸など溶解性の高い有機酸を加えると安定性が悪くなったり、酢酸自体の薬剤臭が強くなるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-57780号公報
【特許文献2】特開2015-199936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、トイレの便器ボウル等の硬質表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤組成物であって、尿石に対しても優れた洗浄効果を発揮するとともに長期間の洗浄効果を可能とするゲル状洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、変性ポリエーテルと乳酸を組み合わせてゲル化したゲル状洗浄剤組成物が、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の成分(A)~(C)、
(A)乳酸
(B)変性ポリエーテル
(C)水
を含有することを特徴とするゲル状洗浄剤組成物である。
【0009】
また、本発明は、上記ゲル状洗浄剤組成物を硬質表面に付着させ、硬質表面上に付着したゲル状洗浄剤組成物に水を接触させることを特徴とする硬質表面の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、トイレの便器ボウル等の硬質表面に付着させた場合に、尿石・水垢の洗浄効果が高く、アンモニアの消臭効果も高く、かつゲルの徐溶性に優れ、起泡性も保持ができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゲル状洗浄剤組成物(以下、「本発明組成物)という)は、以下の成分(A)~(C)を含有するものである。
(A)乳酸
(B)変性ポリエーテル
(C)水
【0012】
本発明組成物で使用される成分(A)の乳酸は、尿石の溶解性が高く、混合が容易な液状で安全性が高く比較的低臭である。本発明組成物における成分(A)の配合量は、特に限定されないが、例えば、3~25質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは5~20%さらに好ましくは8~15%である。成分(A)が3%未満では乳酸濃度が低すぎるため、十分な尿石溶解効果が期待できないこともあり、また、25%より多いと処方中の液体成分が多すぎるためゲルの粘度が低すぎて水流でゲルが容易に剥がれてしまうこともある。
【0013】
本発明組成物に使用される成分(B)変性ポリエーテルは、例えば、ポリアルキレングリコールと有機ポリイソシアネートを反応して得られるウレタン化合物等を挙げることができる。また、変性ポリエーテルの平均分子量は特に限定されないが、例えば、35,000~45,000、好ましくは38,000~42,000である。なお、この平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー分析法で測定される値である。このような変性ポリエーテルとしては、市販品を利用することができ、市販品としては、ニューポールT240U(三洋化成工業社製)等が挙げられる。本発明組成物における成分(B)の配合量は特に限定されないが、例えば、15~45%、好ましくは20~45%、さらに好ましくは30~40%である。成分(B)が15%未満では溶解性が低く、出来上がりのゲルが緩すぎて水流で流れてしまうことがあり、45%以上ではゲルが固すぎて粘着性が弱くなることがある。
【0014】
本発明組成物に使用される成分(C)水は、変性ポリエーテルと混合してゲル状を呈する成分である。本発明組成物における成分(C)の含有量は全成分の残部でよいため、また、水を含む原料を使用する場合もあるため、特に限定されないが、例えば、0~50%、好ましくは0~40%である。
【0015】
本発明組成物には、上記成分(A)~(C)に、更に、成分(D)脂肪酸アミドプロピルベタインを含有させることが、起泡性と洗浄性を向上させる点から好ましい。成分(D)としては、例えば、脂肪酸の炭素数6~20のものが好ましく、このようなものとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインともいう)、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン等が挙げられる。これらの中でも脂肪酸がヤシ油脂肪酸のものが好ましく、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)がより好ましい。これら成分(D)は1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明組成物における成分(D)の配合量は特に限定されないが、例えば、2~30%、好ましくは3~25%、さらに好ましくは5~20%である。成分(D)が2%未満では液の粘度が低すぎてゲル状の形状を維持することができないことや起泡性が不充分になることがあり、40%以上では原料が粉体形状になってしまうことで他の成分との混合が困難になることがある。
【0016】
本発明組成物には、上記成分(A)~(C)あるいは(A)~(D)に、更に(E)表面改質剤を含有させることが、便器の硬質表面の濡れ性を向上させ、水を流したときに薬液を広がりやすくする点から好ましい。表面改質剤としては、例えば、従来公知の非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤等を使用できる。
【0017】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノヤシ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、プロピレングリコールモノミリスチン酸エステル等のアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル類、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノセチルエーテル、グリセリンモノステアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノドデシルエーテル等のアルキル多価アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン分鎖オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド、ラウリン酸メチルグルカミド、ヤシ脂肪酸メチルグルカミド等のアシルメチルグルカミド、その他アセチレングリコール、ポリオキシエチレンアセチレングリコール、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルポリグルコシドジメチコンポリオールなどのシリコーン界面活性剤、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロック共重合体であるプルロニック(登録商標)型界面活性剤等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
両性界面活性剤としては、例えば、β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等の脂肪酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシエチレンエーテルミリスチン酸塩、高級アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等)等のアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン等のN-アシルアミン酸塩、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルスルホン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ロート油などの硫酸化油、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、及びカゼインナトリウム等の高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、スルホコハク酸塩等の硫酸エステル塩型またはスルホン酸塩型界面活性剤、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、N-アシルイミノジ酢酸、N-アシルアミノ酸塩等のカルボン酸型界面活性剤等が挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩型界面活性剤;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩、ラノリン脂肪酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩等のアミドアミン塩型カチオン性界面活性剤;ラウリン酸アミドグアニジン塩酸塩等が挙げられる。これらの陽イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明組成物における成分(E)の配合量は特に限定されないが、例えば、0~40%、好ましくは3~20%、更に好ましくは5~15%である。
【0022】
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、更に、成分(C)の水以外の溶剤を必要に応じて含有させてもよい。水以外の溶剤を含有させることによって、処方の安定性を上げたり、防腐効果が高くなる、香料等の他の添加剤に対して分散性や溶解性を向上させることができる。
【0023】
溶剤については、特に限定されないが、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。
【0024】
本発明組成物における溶剤(水以外)の配合量は特に限定されないが、例えば、0~30%、好ましくは3~20%、更に好ましくは5~10%である。
【0025】
本発明組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、香料、消臭剤、酵素、殺菌剤、キレート剤、着色剤、顔料、消臭剤、乳化剤、可溶化剤、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、撥水剤、親水剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、緩衝剤、消泡剤等の添加剤を適量含有させることができる。
【0026】
本発明組成物の製造方法は、従来公知の方法で製造できるため特に限定されないが、例えば、成分(C)水と成分(B)変性ポリエーテルを加温して溶解し、成分(A)乳酸を加えて粘度を下げ、その他の成分を温度が下がらないように数回に分けて投入、溶解させ、容器等に充填することにより製造できる。加温の温度は、例えば、80~100℃、好ましくは90℃である。また、容器に充填する際の温度は、例えば、50~80℃、好ましくは60℃である。
【0027】
斯くして得られる本発明組成物は、ゲル状になる。本発明組成物はゲル状のため、貯蔵弾性率が15,000~30,000Pa、好ましくは20,000~25,000Paを有し、損失弾性率が3,000~7,000Pa、好ましくは4,000~6,000Paを有する。この貯蔵弾性率と損失弾性率は、回転型レオメーターにより、パラレルプレートφ25mm、Gap=0.5mm、周波数1Hz、25℃の条件で測定される。
【0028】
本発明組成物は、硬質表面の洗浄及び除菌に使用することができる。具体的には、硬質表面に付着させ、硬質表面上に付着した本発明のゲル状洗浄剤組成物に水を接触させることにより、水に配合成分が流出し、硬質表面の洗浄及び除菌が行われる。
【0029】
本発明組成物において、洗浄対象となる硬質表面としては、水との接触が可能な硬質表面であればよく、例えば、洋式トイレの便器、和式トイレの便器、男性用小便器等のトイレ便器、トイレの手洗い部、が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトイレ便器が挙げられる。
【0030】
本発明組成物をトイレ便器の洗浄に使用する場合、本発明組成物は、フラッシュ水として供給される水と接触する部位に付着させればよい。このような付着部位として、便器ボウルの表面、貯水タンクの上に手洗い部が付いている水洗トイレの手洗い部の受け皿(貯水タンクの上蓋表面)等が挙げられる。本発明組成物は、このような部位に容器を介してまたは容器を介さず直接付着させれば、フラッシュ水が流れても、あるいは、フラッシュ水として貯水タンクに供給される水と接触しても、付着した状態を維持することができる。本発明組成物であれば、例えば、直径3~4cm程度、厚さ1~2cmの大きさであれば、140~560回程度水と接触しても付着している。
【0031】
本発明組成物を硬質表面に付着させるには、本発明組成物を収容でき、ゲル状である本発明組成物を押出または噴射できる容器を利用することが好ましい。
【0032】
このような容器としては、特に限定されないが、例えば、チューブ容器、ボトル容器、シリンジ型容器等の押出式容器、エアゾール容器等の噴射式容器等が挙げられる。押出式容器の押出機構については、特に制限されず、手動式、圧縮式等のいずれであってもよい。本発明組成物を収容する容器としては、底部を時計回りにひねることで本発明組成物を定量で押し出すことができる容器が、単なる押し出しにより本発明組成物を出す容器よりも小さな力で粘度の高い本発明組成物を安定して押し出すことができるため好ましい。
【実施例0033】
以下、本発明の実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1~10および比較例1~9
ゲル状洗浄剤組成物の調製:
以下の表1に記載の処方に従って、各成分を撹拌、混合してゲル状洗浄剤を製造した。具体的には、香料以外の成分を室温で混ぜて、撹拌しながら90℃まで加熱溶解後、60℃まで冷却後に香料を添加し、容器に充填後、室温で自然冷却して製造した。
【0035】
実施例1のゲル状洗浄剤組成物のゲルの貯蔵弾性率と損失弾性率を回転型レオメーターで測定したところそれぞれ20,800Pa、5,020Pa(25℃)であった。他の実施例のゲル状洗浄剤組成物のゲルの貯蔵弾性率と損失弾性率もほぼ同等であった。
【0036】
【0037】
上記で調製したゲル状洗浄剤組成物について、(1)尿石・水垢の除去試験、(2)消臭試験、(3)持続性試験、(4)起泡性試験を行った。結果を表3に示した。
【0038】
(1)尿石・水垢の除去試験
(試験方法)
以下の表2に記載の疑似尿石溶液を調製し、その50gを秤量し、直径2~3cm、厚さ1~2cmの円柱状に調製したゲル0.5gを疑似尿石溶液に投入し、回転速度600rpmで室温条件下にて30分間攪拌させた混合溶液を10g直径10cmのろ紙にてろ過し、残渣の入ったろ紙を45℃高温槽にて18時間乾燥させた。
【0039】
【0040】
(評価方法)
以下の計算式にて疑似尿石溶解率(%)を算出した。
【数1】
【0041】
(評価基準)
(評価) (内容)
◎:溶解率20%以上
〇:溶解率10%以上
△:溶解率5%以上
×:溶解率5%未満
【0042】
(2)消臭試験
(試験方法)
直径3cmの半円状のゲル(6g)を直径10cmガラス製シャーレ中央に張り付け、20Lのテドラーバックに無臭空気とともに静置させ、テドラーバックにアンモニアガス200mlを注入し、ガステック社製アンモニアガス用検知管にてテドラーバック内部のアンモニアガス濃度を測定した。
【0043】
(評価方法)
以下の計算式にて60分間静置後の悪臭除去率(%)を算出した。
【数2】
【0044】
(評価基準)
(評価) (内容)
◎:除去率95%以上
〇:除去率90%以上
△:除去率50%以上
×:除去率50%未満
【0045】
(3)持続性試験
(試験方法)
直径3cmの半円状のゲル(6g)を便器(TOTO製型番)内に張り付け、大フラッシュ(6L/回)を連続で行い、ゲルが目視で見えなくなるまでのフラッシュ回数をカウントした。
【0046】
(評価方法)
目視による貼り付けたゲルのなくなるまでの回数(ゲル直径3mm以下)
【0047】
(評価基準)
(評価)(内容)
◎:200回以上
〇:100回以上
△:50回以上
×:50回未満
【0048】
(4)起泡性試験
(試験方法)
直径3cmの半円状のゲル(6g)を便器(TOTO製型番)内に張り付け、大フラッシュ(6L/回)を1回行い、便器内水ぎわに泡が何秒残るかを目視で確認した。
【0049】
(評価基準)
(評価)(内容)
○:泡が10秒以上残る
×:泡が10秒未満で消える
【0050】
【0051】
以上の結果から、本発明組成物は、尿石・水垢の洗浄効果が高く、アンモニアの消臭効果も高く、かつゲルの徐溶性に優れ、起泡性も保持することができた。
【0052】
また、本発明組成物は、長期間使用できるだけでなく、クエン酸を使用した場合よりも、尿石・水垢の除去および消臭に顕著な効果があることが分かった。