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特開2023-94895故障予測装置、故障予測装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094895
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】故障予測装置、故障予測装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210474
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金平 喜孝
(72)【発明者】
【氏名】黒田 邦裕
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA23
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB02
3C223FF09
3C223FF13
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH22
3C223HH28
(57)【要約】
【課題】内燃力発電機の故障を予測する。
【解決手段】内燃力発電機の故障を予測する故障予測装置であって、前記内燃力発電機の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データとして生成された、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記物理量の新たな時系列データを取得する時系列データ取得部と、前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率を取得する故障確率取得部と、前記確率に基づく情報を出力する故障確率出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃力発電機の故障を予測する故障予測装置であって、
前記内燃力発電機の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データとして生成された、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記物理量の新たな時系列データを取得する時系列データ取得部と、
前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率を取得する故障確率取得部と、
前記確率に基づく情報を出力する故障確率出力部と、
を備える故障予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の故障予測装置であって、
前記学習モデルは、過去の第2期間の前記物理量の時系列データと、前記内燃力発電機の故障有無と、を学習データとして生成されてなる、故障予測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の故障予測装置であって、
前記学習モデルは、過去の第2期間の前記物理量の時系列データと、前記内燃力発電機の故障有無と、故障発生時に行った対応策の内容と、を学習データとして生成されてなり、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率と、故障した場合の対応策と、を出力し、
前記故障確率取得部は、
前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率と、故障した場合の対応策と、を取得し、
前記故障確率取得部は、
前記確率に基づく情報として、前記内燃力発電機が故障する確率と、故障した場合の対応策と、を出力する、故障予測装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の故障予測装置であって、
前記物理量には、外気温度と、前記内燃力発電機が設置されている建屋内の温度と、前記内燃力発電機の出力と、前記内燃力発電機の電流と、が含まれ、
前記学習モデルは、前記内燃力発電機が具備する吸気ファン及び吸気フィルタの少なくとも一方が第1期間内に故障する確率を出力する、故障予測装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の故障予測装置であって、
前記物理量には、外気温度と、前記内燃力発電機が設置されている建屋内の温度と、前記内燃力発電機の出力と、前記内燃力発電機の電流と、前記内燃力発電機が具備する燃料ポンプによって供給される燃料油の圧力と、が含まれ、
前記学習モデルは、前記燃料ポンプが第1期間内に故障する確率を出力する、故障予測装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の故障予測装置であって、
前記物理量には、外気温度と、前記内燃力発電機が設置されている建屋内の温度と、前記内燃力発電機の出力と、前記内燃力発電機が具備する燃料ポンプによって供給される燃料油の圧力と、前記内燃力発電機が具備する前記燃料油から不純物を除去する燃料濾器の上流側及び下流側の差圧と、が含まれ、
前記学習モデルは、前記燃料濾器が第1期間内に故障する確率を出力する、故障予測装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれかに記載の故障予測装置であって、
前記物理量には、外気温度と、前記内燃力発電機が設置されている建屋内の温度と、前記内燃力発電機の出力と、前記内燃力発電機の電流と、前記内燃力発電機が具備する主潤滑油ポンプによって供給される主潤滑油の圧力と、前記主潤滑油の温度と、が含まれ、
前記学習モデルは、前記主潤滑油ポンプが第1期間内に故障する確率を出力する、故障予測装置。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載の故障予測装置であって、
前記物理量には、外気温度と、前記内燃力発電機が設置されている建屋内の温度と、前記内燃力発電機の出力と、前記内燃力発電機の電流と、前記内燃力発電機が具備する主潤滑油ポンプによって供給される主潤滑油の圧力と、前記主潤滑油の温度と、前記内燃力発電機が具備する前記主潤滑油から不純物を除去する主潤滑油濾器の上流側及び下流側の差圧と、が含まれ、
前記学習モデルは、前記主潤滑油濾器が第1期間内に故障する確率を出力する、故障予測装置。
【請求項9】
内燃力発電機の故障を予測する故障予測装置の制御方法であって、
前記故障予測装置が、
前記内燃力発電機の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データとして生成された、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデルを記憶し、
前記物理量の新たな時系列データを取得し、
前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率を取得し、
前記確率に基づく情報を出力する、
故障予測装置の制御方法。
【請求項10】
内燃力発電機の故障を予測するコンピュータに、
前記内燃力発電機の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データとして生成された、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデルを記憶する機能と、
前記物理量の新たな時系列データを取得する機能と、
前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率を取得する機能と、
前記確率に基づく情報を出力する機能と、
を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障予測装置、故障予測装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械や設備の故障を検知する技術として、例えば特許文献1に記載されている診断装置が知られている。
【0003】
この診断装置は、動力機械が発生する動力によって駆動する第一駆動体の動作状態を検出し、第一駆動体の動作状態に応じた第一検出信号を出力する第一センサと、第一駆動体を介して伝達された動力によって駆動する第二駆動体の動作状態を検出し、第二駆動体の動作状態に応じた第二検出信号を出力する第二センサと、第二駆動体の正常状態を表す診断モデルであって、第一センサによって予め取得された第一駆動体の過去の動作状態に応じた第一検出信号と第二センサによって予め取得された第二駆動体の過去の動作状態に応じた第二検出信号とに基づいて生成されたモデル生成用データを用いて生成される診断モデルと、少なくとも第二検出信号に基づいて生成された診断用データとに基づいて、第二駆動体の動作状態を診断し、診断の結果に基づいて、第二駆動体の動作異常に関する動作異常信号を生成して出力する状態検知部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-82025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、離島のような他の地域から地理的に分離した地域では、ディーゼルエンジンやガスタービンエンジンなどの内燃機関により発電機を駆動する内燃力発電機を用いて地域内への電力供給が行われている。
【0006】
そしてこのような地域では、内燃力発電機が故障した場合には、他の地域から電力の融通を受けることができないため、予備機を起動して対処している。
【0007】
しかしながら、内燃力発電機が故障した際には、予備機が発電を開始するまでに相応の時間を要する上、その間、電力供給量が減少するので地域内の電力の需給バランスが変化し電力設備に悪影響を与える可能性がある。
【0008】
そのため、内燃力発電機の故障を事前に予測して、予備機への切り替えを円滑に行うことを可能にする技術が求められている。
【0009】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、内燃力発電機の故障を予測することが可能な故障予測装置、故障予測装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段の一つは、内燃力発電機の故障を予測する故障予測装置であって、前記内燃力発電機の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データとして生成された、前記内燃力発電機が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記物理量の新たな時系列データを取得する時系列データ取得部と、前記新たな時系列データを前記学習モデルに入力することによって、第1期間内に前記内燃力発電機が故障する確率を取得する故障確率取得部と、前記確率に基づく情報を出力する故障確率出力部と、を備える。
【0011】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内燃力発電機の故障を予測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】故障予測システムの全体構成を示す図である。
図2】内燃力発電機の構成を示す図である。
図3】故障予測装置の構成を示す図である。
図4】記憶装置を示す図である。
図5】運転状況管理テーブルを示す図である。
図6】故障予測一覧表を示す図である。
図7】学習モデルを示す図である。
図8】故障予測装置の機能構成を示す図である。
図9】学習モデルを生成する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】故障予測装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】故障予測結果を表示する画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
==全体構成==
本発明の実施形態に係る故障予測システム1000の全体構成を図1に示す。
【0016】
故障予測システム1000は、故障予測装置100と内燃力発電機200とが、インターネットやLAN(Local Area Network)、電話網等のネットワーク500を介して通信可能に接続されて構成される。
【0017】
内燃力発電機200は、内燃機関により発電機430を駆動することで発電を行う装置である。本実施形態に係る内燃力発電機200は、ディーゼルエンジン210により発電機430を駆動する。
【0018】
図1には、2台の内燃力発電機200が示されているが、内燃力発電機200は1台でもよく3台以上でもよい。また内燃力発電機200が複数台ある場合は、そのうち少なくとも1台は、他の内燃力発電機200が故障や点検等により運転を停止した際に運転を行う予備機としてもよい。
【0019】
内燃力発電機200は、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量(例えば発電量や燃料油の圧力など)の時系列データを、ネットワーク500を介して故障予測装置100に送信する。
【0020】
なお図1には記載されていないが、内燃力発電機200は、これらの時系列データをネットワーク500を介して故障予測装置100に送信するためのコンピュータを備えている。つまり、図1には便宜上内燃力発電機200が故障予測装置100と通信可能であるように記載されているが、より正確には、この不図示のコンピュータが故障予測装置100と通信可能に接続されている。
【0021】
故障予測装置100は、これらの時系列データを元に、内燃力発電機200の故障を予測する情報処理装置である。
【0022】
故障予測装置100は、内燃力発電機200から様々な物理量の時系列データを取得すると、これらの時系列データを後述する運転状況管理テーブル600に記憶する。また故障予測装置100は、内燃力発電機200の故障の有無および故障が起こった際に行った対応策(修理内容など)についても運転状況管理テーブル600に記録している。故障の有無や対応策については、内燃力発電機200の管理を行っている担当者が別途運転状況管理テーブル600に入力する。
【0023】
そして故障予測装置100は、これらの情報を解析することで後述する学習モデル620(AIモデル)を生成する。学習モデル620は、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データ610として生成されている。
【0024】
そのため故障予測装置100は、運転中の内燃力発電機200の時系列データを学習モデル620に入力することで、この内燃力発電機200が第1期間内(例えば現在から3時間以内)に故障する確率を出力することができる。
【0025】
このような態様により、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量の時系列データに基づいて、内燃力発電機200の故障を予測することが可能になる。これにより、例えば内燃力発電機200が実際に故障する前に予備機への切り替えを行っておき、地域への電力供給を安定的に継続することが可能になる。
【0026】
詳細は後述する。
【0027】
==内燃力発電機==
次に、本実施形態に係る内燃力発電機200について、図2を参照しながら説明する。
【0028】
内燃力発電機200は、ディーゼルエンジン210と発電機430とを備えている。ディーゼルエンジン210は、燃料油を燃焼させることにより運動エネルギーを発生させ、発電機430はこの運動エネルギーを電力に変換することで発電を行う。
【0029】
内燃力発電機200は、燃料タンク220、燃料ポンプ230、燃料フィルタ240、及び燃料噴射ポンプ250を備えている。
【0030】
燃料タンク220は、重油や軽油などの燃料油を貯蔵する装置である。燃料ポンプ230は、燃料タンク220から燃料油をくみ上げる装置である。燃料フィルタ240は、燃料油内に混入している異物を除去する装置である。燃料噴射ポンプ250は、ディーゼルエンジン210内の不図示の燃焼室へ燃料油を高圧噴射する装置である。
【0031】
また内燃力発電機200は、吸気フィルタ260、過給機270、インタークーラー290、給気ファン280、排気温度センサ300を備えている。
【0032】
吸気フィルタ260は、ディーゼルエンジン210に取り込まれる外気(給気)から異物を取り除く装置である。過給機270は、ディーゼルエンジン210からの排気を利用して不図示のタービンを回転させることで、給気を圧縮する装置である。インタークーラー290は、圧縮されて温度が上昇した給気を冷却する装置である。給気ファン280は、インタークーラー290を冷却する装置である。排気温度センサ300は、ディーゼルエンジン210から排出される排気ガスの温度を計測する。
【0033】
また内燃力発電機200は、主潤滑油タンク370、主潤滑油ポンプ380、主潤滑油フィルタ390、第3熱交換器330を有している。
【0034】
主潤滑油タンク370は、ディーゼルエンジン210内を潤滑する主潤滑油を貯蔵する装置である。主潤滑油ポンプ380は、主潤滑油タンク370から主潤滑油をくみ上げる装置である。主潤滑油フィルタ390は、主潤滑油内に混入している異物を除去する装置である。第3熱交換器330は、ディーゼルエンジン210から主潤滑油タンク370に戻ってくる主潤滑油を冷却する装置である。なお第3熱交換器330は、主潤滑油と中間冷却水(後述)とを熱交換することで、主潤滑油を冷却する。
【0035】
また内燃力発電機200は、動弁潤滑油タンク350、動弁潤滑油ポンプ360、第4熱交換器340を有している。
【0036】
動弁潤滑油タンク350は、ディーゼルエンジン210の動弁機構を潤滑する動弁潤滑油を貯蔵する装置である。動弁潤滑油ポンプ360は、動弁潤滑油タンク350から動弁潤滑油をくみ上げる装置である。第4熱交換器340は、ディーゼルエンジン210から動弁潤滑油タンク350に戻ってくる動弁潤滑油を冷却する装置である。なお第4熱交換器340は、動弁潤滑油と中間冷却水(後述)とを熱交換することで、動弁潤滑油を冷却する。
【0037】
また内燃力発電機200は、中間冷却水ポンプ400、第2熱交換器320を有している。
【0038】
中間冷却水ポンプ400は、主潤滑油及び動弁潤滑油を冷却する中間冷却水を循環させる装置である。第2熱交換器320は、中間冷却水を冷却する装置である。なお第2熱交換器320は、中間冷却水を二次水(後述する海水)と熱交換することで、中間冷却水を冷却する。
【0039】
また内燃力発電機200は、一次水ポンプ410、第1熱交換器310を有している。一次水ポンプ410は、ディーゼルエンジン210を冷却する一次水を循環させる装置である。第1熱交換器310は、一次水を冷却する装置である。なお第1熱交換器310は、一次水を二次水(後述する海水)と熱交換することで、一次水を冷却する。
【0040】
また内燃力発電機200は、二次水フィルタ420を有している。二次水フィルタ420は、一次水及び中間冷却水を冷却する海水(二次水)内の異物を除去する装置である。この二次水は、第1熱交換器310において一次水と熱交換を行うことで一次水を冷却し、第2熱交換器320において中間冷却水と熱交換を行うことで中間冷却水を冷却する。
【0041】
また図2には示されていないが、内燃力発電機200及び内燃力発電機200が設置されている建屋(不図示)の内部及び外部には、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する各種の物理量を計測するための様々なセンサ及びこれらのセンサによって検出されたデータを故障予測装置100に送信するコンピュータを備えている。
【0042】
なお内燃力発電機200は、図2に示した装置以外にも様々な装置及びセンサを具備して構成されており、これらのセンサからの時系列データも故障予測装置100に送信されているが、詳細な説明は省略する。
【0043】
==故障予測装置==
次に、故障予測装置100について説明する。
【0044】
故障予測装置100のハードウェア構成の一例を図3に示す。故障予測装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160及び記録媒体読取装置170を有して構成されるコンピュータである。
【0045】
CPU110は故障予測装置100の全体の制御を司るもので、記憶装置140に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される故障予測装置制御プログラム700や各種データをメモリ120に読み出して実行あるいは処理することにより、故障予測装置100としての各種機能を実現する。
【0046】
例えば、CPU110により故障予測装置制御プログラム700及び各種データが実行あるいは処理され、メモリ120や通信装置130、記憶装置140等のハードウェア機器と協働することにより、後述する学習モデル記憶部101、時系列データ取得部102、故障確率取得部103、故障確率出力部104などの各機能が実現される。
【0047】
故障予測装置制御プログラム700は、故障予測装置100が有する機能を実現するためのプログラムを総称しており、例えば、故障予測装置100上で動作するアプリケーションプログラムやOS(Operating System)、種々のライブラリ等を含む。
【0048】
メモリ120は例えば半導体記憶装置により構成することができる。
【0049】
記憶装置140は例えばハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための物理的な記憶領域を提供する装置である。本実施形態では、図4に示すように、記憶装置140には故障予測装置制御プログラム700の他、運転状況管理テーブル600、学習データ610、学習モデル620、推定結果630などの各種データが記憶されている。
【0050】
運転状況管理テーブル600の一例を図5に示す。
【0051】
故障予測装置100には、内燃力発電機200から様々な物理量の時系列データが送信されてくるが、故障予測装置100はこれらの時系列データを取得すると、所定時間ごとに(例えば10分毎に)これらの時系列データを運転状況管理テーブル600に記憶する。また故障予測装置100は、内燃力発電機200が故障した場合には、故障した旨の情報と、故障した場所(故障した装置)、故障の対応策を含む故障情報を取得し、運転状況管理テーブル600に記憶する。故障情報は、故障発生後に行われた調査によって判明する内容が含まれており、内燃力発電機200の修理などの故障対応を行った担当者によって故障予測装置100に入力される。
【0052】
故障予測装置100は、図5に示すように、所定時間毎(例えば10分毎)に時系列データと故障情報を記録している。なお故障予測装置100は、故障情報を取得していない場合は、故障が発生していない旨の情報を運転状況管理テーブル600に記録する。
【0053】
なお所定時間毎に運転状況管理テーブル600に記録される時系列データは、所定時間内の計測値の平均値であってもよいし、最大値あるいは最小値であってもよい。あるいは、平均値、最大値及び最小値を含んでもよい。あるいは、所定時間内にセンサで計測されたすべての計測値を含んでもよい(例えばセンサの計測周期が0.1秒である場合は、10分間に計測される6000個の計測値)。
【0054】
また図5に列挙されている時系列データは一例であり、他の種類の時系列データが含まれていてもよいし、一部の時系列データは含まれていなくてもよい。
【0055】
また故障予測装置100は、所定種類の気象情報を時系列データとして取得して、運転状況管理テーブル600に記憶してもよい。例えば気象情報の種類として、天候(晴れ、曇り、雨、雪、雷、ひょうなど)、気温、湿度、降水量、風速、風向、気圧などのような、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有するものが含まれている。この場合、故障予測装置100は、ネットワーク500を介して通信可能に接続されている不図示の気象情報提供装置から、これらの気象情報を取得してもよい。
【0056】
また運転状況管理テーブル600には、内燃力発電機200の各構成要素(例えば主潤滑油フィルタ390)の使用期間や使用開始年月が時系列データとして記録されていてもよい。
【0057】
そして時系列データの中にこれらの情報を含めることにより、学習モデル620の精度が一層向上し、故障予測装置100はより正確な故障の発生確率を出力することが可能となる。
【0058】
図4に戻って、故障予測装置100は、運転状況管理テーブル600に記録されている過去の第2期間(24時間、1週間、1か月等。以下、「時間区間」と称する。)の時系列データ及び故障情報に基づいて学習データ610を生成する。
【0059】
この学習データ610を用いて学習モデル620(機械学習モデル)の学習を行うことにより、学習モデル620は、内燃力発電機200が第1期間内(例えば現在から3時間以内)に故障する確率を出力することが可能となる。
【0060】
故障予測装置100は、時間区間の時系列データを説明変数(特徴量)とし、時間区間内の故障情報を目的変数(ラベル)とすることにより学習データ610を生成する。
【0061】
上記の時間区間は、例えば、故障の頻度等に基づき、故障の予測精度が向上するような長さに経験的に設定される。また、長さの異なる複数の時間区間に対してそれぞれ学習モデル620を生成し、これらの学習モデル620を用いて故障の発生確率を算出するようにしてもよい。このような態様により、例えば時間区間の長さによって異なる故障予測精度を平準化することが可能となる。
【0062】
あるいは故障予測装置100は、内燃力発電機200が複数ある場合、内燃力発電機200毎に学習データ610及び学習モデル620を生成してもよい。このような態様により、それぞれの内燃力発電機200に特有の学習モデル620を生成することができ、故障の発生確率の精度向上を図ることが可能となる。
【0063】
また同様に、故障予測装置100は学習データ610を生成する際に、特定の時期(例えば特定の季節や特定の月など)のデータを用いて学習データ610を生成してもよい。このような態様により、その時期に特有の学習モデル620を生成することができ、故障の発生確率の精度向上を図ることが可能となる。
【0064】
さらに故障予測装置100は学習データ610を生成する際に、特定の時期のデータを用いて内燃力発電機200毎に学習データ610を生成してもよい。このような態様により、その時期に特有の学習モデル620を内燃力発電機200毎に生成することができ、故障の発生確率の精度向上を図ることが可能となる。
【0065】
学習モデル620は、本実施形態ではDNN(Deep Neural Network)であるものとするが、勾配ブースティング(GBDT(Gradient Boosting Decision Tree))やオートエンコーダ等の他の種類のモデルで実現してもよい。
【0066】
なお、オートエンコーダを用いた学習モデル620の場合は、故障情報を用いることなく、時系列データの変化をとらえることで内燃力発電機200の異変を検出することができる。
【0067】
図7に学習モデル620の一例(ニューラルネットワークの構造)を示す。図7に示すように、学習モデル620の入力層621には時間区間内の時系列データが入力される。中間層622は、学習によって調整されるパラメータを含む一つ以上のノードからなる一つ以上の隠れ層を含む。中間層622は、入力層621に与えられた時系列データに基づき、出力層623の一つ以上の予測値(第1期間内に故障が起こる確率)を求める。出力層623は、一つ以上の予測値(故障が起こる確率)を出力する。
【0068】
図4に戻って、推定結果630は、学習モデル620から出力された第1期間内に故障が起こる確率に基づく情報を含む。また本実施形態に係る学習モデル620は、現在から3時間以内に故障が起こる確率と、24時間以内に故障が起こる確率と、のように複数の期間に故障が起こる確率を出力することができる。このような態様により、例えば、故障の対応策の策定や、故障対応に必要な人員や機材の準備、予備機の起動などをより効率よく行うことが可能となる。
【0069】
また推定結果630には、内燃力発電機200が第1期間内に故障が起こる確率の他に、故障が予想される場所(装置)や、故障が起こった場合の対応策などが含まれていてもよい。このような態様により、内燃力発電機200のメンテナンス作業を効率化することが可能となる。
【0070】
図3に戻って、記憶装置140は、故障予測装置100に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
【0071】
記録媒体読取装置170は、CD-ROMやDVD等の記録媒体800に記録されたプログラムやデータを読み取り、記憶装置140に格納する。
【0072】
通信装置130は、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク500を介して内燃力発電機200や、不図示の他のコンピュータとデータやプログラムの授受を行う。例えば不図示の他のコンピュータに、上述した故障予測装置制御プログラム700を格納しておき、故障予測装置100がこのコンピュータから故障予測装置制御プログラム700をダウンロードして実行するようにすることができる。
【0073】
あるいは通信装置130は、内燃力発電機200から時系列データを定期的に(例えば10分おきに)受信するようにしてもよい。また故障予測装置100は記憶装置140を備えずに、ネットワーク500を通じて通信可能に接続された不図示の他のコンピュータに記憶されている上記のプログラムやテーブル等の各種データを用いて故障予測装置100としての機能を実現する形態も可能である。
【0074】
入力装置150は、担当者等による故障予測装置100へのデータ入力等のために用いられる装置でありユーザインタフェースとして機能する。入力装置150としては例えばキーボードやマウス、マイク等を用いることができる。
【0075】
出力装置160は、情報を外部に出力するための装置でありユーザインタフェースとして機能する。出力装置160としては例えばディスプレイやプリンタ、スピーカ等を用いることができる。
【0076】
<機能構成>
図8に、本実施形態に係る故障予測装置100の機能ブロック図を示す。故障予測装置100は、学習モデル記憶部101、時系列データ取得部102、故障確率取得部103、故障確率出力部104の各機能を備える。これらの機能は、図3に示したハードウェアによって本実施形態に係る故障予測装置制御プログラム700や各種のデータが実行あるいは処理されることにより実現される。
【0077】
学習モデル記憶部101は、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量の過去の時系列データを学習データ610として生成された、内燃力発電機200が第1期間内に故障する確率を出力する学習モデル620を記憶する。
【0078】
例えば学習モデル620は、直近の過去の第2期間(24時間、1か月間、1年間等の時間区間)の時系列データを学習データ610として生成される。
【0079】
あるいは学習モデル620は、過去の第2期間の物理量の時系列データと、内燃力発電機200の故障有無と、を学習データ610として生成される。
【0080】
あるいは学習モデル620は、過去の第2期間の物理量の時系列データと、内燃力発電機200の故障有無と、故障発生時に行った対応策の内容と、を学習データ610として生成される。この場合学習モデル620は、内燃力発電機200が第1期間内に故障する確率と、故障した場合の対応策と、を出力することができる。このような態様により、内燃力発電機200の故障対応に不慣れな担当者でも対応方法が判断できるようになる。
【0081】
あるいは学習モデル620は、過去の第2期間の物理量の時系列データと、内燃力発電機200の故障有無と、故障した部位と、故障発生時に行った対応策の内容と、を学習データ610として生成される。この場合学習モデル620は、内燃力発電機200の部位別に、第1期間内に故障する確率と、故障した場合の対応策と、を出力することができる。このような態様によれば、故障確率が部位別に得られる上、故障対応が不慣れな担当者でも対応方法が判断できるようになる。
【0082】
学習モデル記憶部101は、本実施形態では記憶装置140として具現化されている。
【0083】
故障予測装置100は、例えば、学習データ610を学習モデル620に入力し、それにより学習モデル620が出力する結果と入力した学習データ610との差分に基づき、学習モデル620を定義するパラメータを、例えば、誤差逆伝搬法(backpropagation)等の方法で調整することにより学習モデル620の学習を行う。
【0084】
時系列データ取得部102は、上記物理量の新たな時系列データを取得する。例えば直近の過去第3期間(例えば直近の1時間)の時系列データを運転状況管理テーブル600から取得する。
【0085】
そして故障確率取得部103は、この新たな時系列データを学習モデル620に入力することによって、第1期間内(例えば3時間以内)に内燃力発電機200が故障する確率を取得する。
【0086】
なお学習モデル620から故障発生確率を出力する際の期間(第1期間)は、一つでも良いし複数でも良い。このような態様により、短期、中期、長期などのように、長さの異なる複数の期間における故障発生確率を担当者に提示することができる。
【0087】
あるいは、内燃力発電機200が第1期間内に故障する確率と、故障した場合の対応策と、を学習モデル620が出力できる場合は、故障確率取得部103は、故障発生確率と共に、故障した場合の対応策を取得する。
【0088】
あるいは、学習モデル620から出力される故障発生確率が、内燃力発電機200の部位別である場合には、故障確率取得部103は、例えば、故障燃料噴射ポンプ250の故障発生確率、吸気ファン280の故障発生確率、主潤滑油ポンプ380の故障発生確率、などのように、部位別に故障発生確率を取得できる。
【0089】
故障確率出力部104は、確率に基づく情報を出力する。確率に基づく情報は、例えば確率の値そのものでも良いし、確率の値を所定の判定値と比較した結果に応じて、例えば故障の起こりやすさを複数段階の数値(例えば「1」「2」「3」)あるいは言葉(「問題なし」「要注意」「至急対応が必要」など)で表した情報でもよい。
【0090】
また故障確率取得部103が、故障発生確率と共に、故障した場合の対応策を取得した場合には、故障確率取得部104は、内燃力発電機200が故障する確率と故障した場合の対応策とを確率に基づく情報として出力する。
【0091】
そして故障予測装置100は、例えば図11に示すような画面を出力装置160に表示することにより故障の確率に基づく情報を出力する。図11に示す例は、5台の内燃力発電機200のうち4台が稼働中である場合に、各内燃力発電機200について個別に故障発生確率を表示する場合の例である。
【0092】
以上のような態様により、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量の時系列データに基づいて、内燃力発電機200の故障を予測することが可能になる。これにより、内燃力発電機200の緊急停止の頻度が減少でき、電力供給の信頼度を向上させることが可能となる。例えば内燃力発電機200が実際に故障する前に予備機への切り替えを行っておき、電力供給を停止させないようにすることが可能になる。また内燃力発電機200の修理等の対応を、定例の点検等のタイミングに同調させることができ、作業手続きの効率化を図ることが可能となる。
【0093】
<故障予測の例>
次に、本実施形態に係る故障予測装置100が内燃力発電機200の故障予測を行う例を、図6に示す故障予測一覧表640を参照しながら説明する。
【0094】
故障予測一覧表640は、故障予測装置100が予測対象とする故障を例示的に列挙したものであり、故障予測する部位や、故障を予測するために用いる物理量などを示したものである。
【0095】
図6に示す故障予測一覧表640には、「故障項目」「判断要素」「比較対象」「故障判定要素」「故障予測」「対応策判定」「備考」の各欄の情報が記載されている。
【0096】
「故障項目」は、故障予測対象となる部位を示す。例えばNo1で示される故障予測では、内燃力発電機200が具備する吸気ファン280及び吸気フィルタ260が故障予測の対象である。
【0097】
「判断要素」は、故障予測を行うために学習モデル620に時系列データが入力される物理量の種類を示す。例えばNo1で示される故障予測では、「外気温度」「室内温度」「発電機出力」「発電機電流」の各時系列データが学習モデル620に入力される。なお、外気温度は、内燃力発電機200が設置される建屋の外の温度であり、室内温度は、内燃力発電機200が設置される建屋内の温度である。外気温度は、建屋の外に設置されている温度センサにより計測されたデータでもよいし、上述した気象情報提供装置から取得したデータでもよい。
【0098】
「比較対象」は、各時系列データをどのデータと比較することで故障を予測するのかを示す。「過去データ」と記載されているのは、過去の時系列データと比較することで故障を予測することを示す。したがって、DNNやオートエンコーダなどのように、過去の時系列データによって学習した学習モデル620を用いて故障を予測する場合が該当する。
【0099】
「故障判定要素」は、「判断要素」欄に記載されている物理量のうち、故障との関連性が最も高い物理量と、その時系列データの変化の傾向を示している。No1に示す例では、室内温度が上昇傾向にあることと、吸気ファン280あるいは吸気フィルタ260の故障との相関関係が高いことを示している。
【0100】
「故障予測」は、具体的に想定される故障の内容を示す。No1に示す例では、吸気ファン280の性能低下、あるいは吸気フィルタ260の詰まりが故障として想定されることを示している。
【0101】
「対応策判定」は、故障が起こった場合の対応策を示す。No1に示す例では、吸気ファン280の点検及び吸気フィルタ260の点検が記載されている。
【0102】
図6に示す故障予測一覧表640には、No1からNo16まで16種類の故障予測が例示的に列挙されているが、本実施形態に係る故障予測装置100は、それぞれの故障に対して学習モデル620を生成して故障予測を行っている。
【0103】
例えばNo1の故障を予測するための学習モデル620は、外気温度と、内燃力発電機200が設置されている建屋内の温度(室内温度)と、内燃力発電機200の出力と、内燃力発電機200の電流と、の各物理量の時系列データを入力とし、吸気ファン280及び吸気フィルタ260の少なくとも一方が第1期間内に故障する確率を出力する。
【0104】
同様に、例えばNo2の故障を予測するための学習モデル620は、外気温度と、内燃力発電機200が設置されている建屋内の温度(室内温度)と、内燃力発電機200の出力と、内燃力発電機200の電流と、燃料ポンプ230によって供給される燃料油の圧力と、の各物理量の時系列データを入力とし、燃料ポンプ230が第1期間内に故障する確率を出力する。
【0105】
また例えばNo3の故障を予測するための学習モデル620は、外気温度と、内燃力発電機200が設置されている建屋内の温度(室内温度)と、内燃力発電機200の出力と、燃料ポンプ230によって供給される燃料油の圧力と、燃料油から不純物を除去する燃料フィルタ(燃料濾器)240の上流側及び下流側の差圧と、の各物理量の時系列データを入力とし、燃料フィルタ240が第1期間内に故障する確率を出力する。
【0106】
また例えばNo4の故障を予測するための学習モデル620は、外気温度と、内燃力発電機200が設置されている建屋内の温度(室内温度)と、内燃力発電機200の出力と、内燃力発電機200の電流と、主潤滑油ポンプ380によって供給される主潤滑油の圧力と、主潤滑油の温度と、の各物理量の時系列データを入力とし、主潤滑油ポンプ380が第1期間内に故障する確率を出力する。
【0107】
以下、No16まで同様であるため詳細な説明は省略するが、このように、内燃力発電機200を構成する部位別に学習モデル620を生成することにより、その部位に故障が発生する際の特徴をより的確にとらえることができ、より正確に故障を予測することが可能となる。
【0108】
また故障予測装置100は、内燃力発電機200の複数の部位の学習モデル620のそれぞれの出力結果(確率)を入力とし、内燃力発電機200全体としての運転状態の予測を行う学習モデル620を有してもよい。
【0109】
この場合、例えば、説明変数(特徴量)が上記の各部位が故障する確率であり、目的変数(ラベル)が内燃力発電機200の運転状態を示す情報(例えば排気ガス内の特定成分の量、成分比、騒音レベル、騒音のスペクトルなど)であるような学習データ610を生成し、この学習データ610を用いて学習モデル620を生成する。
【0110】
このような態様により、例えば、排気ガスの成分の変化や、騒音の増加など、故障とまでは言えないような内燃力発電機200の状態の変化を予測することも可能となる。
【0111】
==処理の流れ==
次に、図9図10を参照しながら、本実施形態に係る故障予測装置100が学習データ610を用いて学習モデル620の学習を行う処理と、この学習モデル620を用いて内燃力発電機200が故障する確率を算出する際の処理の流れを説明する。
【0112】
図9は、故障予測装置100が学習データ610を用いて学習モデル620の学習を行う際の処理を説明するフローチャートである。尚、故障予測装置100が学習モデル620の学習を実行するタイミングは必ずしも限定されないが、例えば、運転状況管理テーブル600に新たな時系列データが追加されたタイミングや、ユーザインタフェースを介して担当者から学習の実行指示を受け付けたタイミング、あるいは、所定期間毎(1か月に1回、1年に1回など)に到来する所定のタイミングなどを契機として、故障予測装置100は学習モデル620の学習処理を実行する。
【0113】
まず故障予測装置100は、時間区間内の時系列データと、故障の有無及び対応策と、を対応づけたデータを学習データ610として生成する(S1000)。故障予測装置100は、運転状況管理テーブル600からこれらの情報を取得することができる。
【0114】
次に故障予測装置100は、学習データ610を用いて学習モデル620の学習処理を行う(S1010)。
【0115】
尚、故障予測装置100は、学習済の学習モデル620について予測精度の検証を行うようにしてもよい。その場合、故障予測装置100は、学習データ610を学習用のデータと検証用のデータに予め分類しておき、学習用のデータを用いて学習モデル620の学習を行い、検証用のデータを用いて学習モデル620の検証を行うようにする。
【0116】
図10は、内燃力発電機200が故障する確率を故障予測装置100が算出する際の処理を説明するフローチャートである。
【0117】
まず故障予測装置100は、運転状況管理テーブル600を参照し、内燃力発電機200の運転状態に影響する物理量の時系列データを取得する(S2000)。例えば故障予測装置100は、直近の過去3時間分の時系列データを取得する。
【0118】
続いて故障予測装置100は、この時系列データを学習モデル620に入力し、学習モデル620から出力される故障の確率を取得する(S2010)。
【0119】
そして故障予測装置100は、図11に示したような故障の発生確率に基づく情報を記載した画面を生成し、生成した画面を出力装置160に出力する(S2020)。
【0120】
このような態様により、内燃力発電機200の運転状態と関連性を有する所定の物理量の時系列データに基づいて、内燃力発電機200の故障を予測することが可能になる。これにより、内燃力発電機200の緊急停止の頻度が減少でき、電力供給の信頼度を向上させることが可能となる。例えば内燃力発電機200が実際に故障する前に予備機への切り替えを行っておき、電力供給を停止させないようにすることが可能になる。また内燃力発電機200の修理等の対応を、定例の点検等のタイミングに同調させることができ、作業手続きの効率化を図ることが可能となる。
【0121】
以上、本実施形態に係る故障予測装置100、故障予測装置100の制御方法及びプログラムについて説明したが、本実施形態によれば、内燃力発電機200の故障を予測することが可能になる。
【0122】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0123】
100 故障予測装置
101 学習モデル記憶部
102 時系列データ取得部
103 故障確率取得部
104 故障確率出力部
110 CPU
120 メモリ
130 通信装置
140 記憶装置
150 入力装置
160 出力装置
170 記録媒体読取装置
200 内燃力発電機
210 ディーゼルエンジン
220 燃料タンク
230 燃料ポンプ
240 燃料フィルタ
250 燃料噴射ポンプ
260 吸気フィルタ
270 過給機
280 給気ファン
290 インタークーラー
300 排気温度センサ
310 第1熱交換器
320 第2熱交換器
330 第3熱交換器
340 第4熱交換器
350 動弁潤滑油タンク
360 動弁潤滑油ポンプ
370 主潤滑油タンク
380 主潤滑油ポンプ
390 主潤滑油フィルタ
400 中間冷却水ポンプ
410 一次水ポンプ
420 二次水フィルタ
430 発電機
500 ネットワーク
600 運転状況管理テーブル
610 学習データ
620 学習モデル
621 入力層
622 中間層
623 出力層
630 推定結果
640 故障予測一覧表
700 故障予測装置制御プログラム
800 記録媒体
1000 故障予測システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11