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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094899
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】トラックの荷台構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/027 20060101AFI20230629BHJP
   B60P 1/43 20060101ALI20230629BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20230629BHJP
   B62D 33/033 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B62D33/027 G
B60P1/43 A
B60P1/43 B
B62D33/023 E
B62D33/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210480
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】石井 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健元
(57)【要約】
【課題】荷台の側板を建機等の車両を積み込むための道板として利用可能であり、側板を荷台の底板と地面との間に架け渡す作業を比較的容易に行うことができるトラックの荷台構造を提供すること。
【解決手段】トラック1の荷台構造2は、底板21および側板23を有する荷台20と、底板21の側端部に設けられ、底板21の前部から後部にわたって車両前後方向に延びるガイド軸30と、側板23に設けられ、ガイド軸30に車両左右方向に回転可能かつ車両前後方向にスライド可能に係合する係合部材40と、を備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックに備えられる荷台構造であって、
底板と、前記底板の側端部に立設された側板と、を有する荷台と、
前記底板の側端部に設けられ、前記底板の前部から後部にわたって車両前後方向に延びるガイド軸と、
前記側板に設けられ、前記ガイド軸に回転可能かつ車両前後方向にスライド可能に係合する係合部材と、
を備えたトラックの荷台構造。
【請求項2】
前記底板から車両前後方向に垂直な第1方向に延び、前記ガイド軸を支持するガイド軸支持部材を備え、
前記係合部材には、前記側板が車幅方向の外方に傾倒している状態のときに車両前後方向に沿って見たときに、略円状の円孔と、前記円孔から前記第1方向に延びる溝孔とが形成され、
前記円孔の内径は、前記ガイド軸の外径以上であり、
前記溝孔の幅は、前記ガイド軸支持部材における車両前後方向および前記第1方向に垂直な第2方向の寸法よりも大きい、請求項1に記載のトラックの荷台構造。
【請求項3】
前記側板を起立状態に保持するロック機構を備え、
前記側板の前端部または後端部には、前記ロック機構が係止されるフック部が設けられ、
前記底板の後端部には、前記フック部が係止される係止部が設けられている、請求項1または2に記載のトラックの荷台構造。
【請求項4】
前記側板を前記ガイド軸に沿って車両前後方向にスライドさせるときに前記底板の後端部から車幅方向の外方に延びるように配置され、前記側板を車両前後方向に移動させるときに前記側板を支持する側板支持部材を備えている、請求項1~3のいずれか一つに記載のトラックの荷台構造。
【請求項5】
前記係合部材は、車両前後方向に複数配置され、
前記複数の係合部材の全ては、前記ガイド軸から後方に抜き取り可能に構成されている、請求項1~4のいずれか一つに記載のトラックの荷台構造。
【請求項6】
前記係合部材は、前記側板の前部に設けられた前側係合部材と、前記前側係合部材よりも後方に配置された1または2以上の後側係合部材と、を含み、
前記前側係合部材は、前記ガイド軸の後端部に係合したまま、前記側板が車幅方向の外方に傾倒した位置から車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転可能に構成されている、請求項1~4のいずれか一つに記載のトラックの荷台構造。
【請求項7】
前記ガイド軸は、車両前後方向に延びる本体軸と、前記本体軸の後端部に上下に回転可能に接続された後端軸と、を含み、
前記後端軸は、車両前後方向に延びる水平位置と、後ろ下がりに傾斜した傾斜位置との間で回転可能に構成されている、請求項6に記載のトラックの荷台構造。
【請求項8】
前記ガイド軸の後端部には、前記ガイド軸の径方向の外方に突出するストッパが設けられ、
前記側板を起立状態から車幅方向の外方に傾倒させた状態のときに車両前後方向に沿って見たときに、前記後側係合部材には、前記後側係合部材を後方に移動させたときに前記ストッパが通過可能な凹部が形成され、前記前側係合部材には、前記前側係合部材を後方に移動させたときに前記ストッパが当接する当接部が形成されている、請求項6または7に記載のトラックの荷台構造。
【請求項9】
前記側板はアルミニウムまたは樹脂からなっている、請求項1~8のいずれか一つに記載のトラックに荷台構造。
【請求項10】
前記底板を支持し、傾斜可能なフレームと、
前記フレームを傾斜させるアクチュエータと、
前記係合部材を前記ガイド軸に沿って後方にスライドさせるときに、前記ガイド軸が後ろ下がりに傾斜するように前記アクチュエータを制御する制御装置と、
を備えた、請求項1~9のいずれか一つに記載のトラックの荷台構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建機等の車両の積込が可能なトラックの荷台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラックの荷台に建機等の車両を積み込む際に、荷台と地面との間に道板を架け渡し、その道板を使って車両を荷台に移動させることがよく行われている。ところで、道板をいつでも利用可能とするためには、予め荷台に道板を積み込んでおく必要がある。そのためには、荷台に道板用の設置スペースを確保しなければならず、その分だけ荷台のスペースが制約されてしまう。
【0003】
特許文献1には、荷台の側板を道板として利用することが記載されている。特許文献1に記載されたトラックの荷台構造では、荷台の側板が荷台の底板に対して車幅方向の外方に回転可能かつ底板に対して着脱可能に構成されている。車両の積み込み時には、まず、作業者は側板を車幅方向の外方に回転させ、傾倒させる。次に、側板を底板から取り外し、側板を手で支えながら底板の後方に移動する。その後、側板の前端部を底板の後端部に引っ掛け、側板を底板の後端部と地面との間に架け渡す。これにより、荷台の側板が道板として利用可能となる。
【0004】
特許文献2にも、荷台の側板を道板として利用することが記載されている。特許文献2に記載されたトラックの荷台構造では、荷台の底板の左右両側の後端部に、筒状の後側端ポストが立設されている。荷台の側板は、後側端ポストに前後にスライド可能に挿入されている。車両の積み込み時には、まず、作業者は側板の前端部を前側端ポストから取り外す。次に、側板を立てた状態のまま後方にスライドさせ、側板を後側端ポストから後方に引き出す。そして、側板を立てた状態から傾倒させ、側板の前端部を荷台の底板の後端部に設けられたステーに引っ掛ける。これにより、側板が底板の後端部と地面との間に架け渡され、側板が道板として利用可能となる。
【0005】
上記のようなトラックの荷台構造によれば、荷台の側板を道板として利用することができるので、専用の道板を常に荷台に積み込んでおく必要はない。そのため、荷台のスペースを最大限に活用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61-98642号公報
【特許文献2】実開平2-133984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたトラックの荷台構造では、作業者は、側板を底板から取り外した後、側板の全重量を手で支えながら底板の後方に運ばなければならない。荷台の側板は重量物であるため、作業者の作業負担が大きかった。一方、特許文献2に記載されたトラックの荷台構造では、側板を底板に載せたまま後方にスライドさせることができるので、側板を底板で支持しながら底板の後方に移動させることができる。しかし、重量物である側板を立てた状態のままスライドさせなければならないため、側板を底板の後方に移動させる作業は必ずしも容易ではなかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷台の側板を道板として利用可能であり、側板を荷台の底板と地面との間に架け渡す作業を比較的容易に行うことができるトラックの荷台構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るトラックの荷台構造は、底板と前記底板の側端部に立設された側板とを有する荷台と、前記底板の側端部に設けられ、前記底板の前部から後部にわたって車両前後方向に延びるガイド軸と、前記側板に設けられ、前記ガイド軸に回転可能かつ車両前後方向にスライド可能に係合する係合部材と、を備える。
【0010】
上記荷台構造によれば、荷台の側板に設けられた係合部材は、荷台の底板に設けられたガイド軸に対して、車両左右方向に回転可能かつ車両前後方向にスライド可能である。そのため、側板をいったん車幅方向の外方に傾倒させた後、側板を傾倒させた状態のままガイド軸に沿って後方に移動させることができる。よって、側板を底板の後方に移動させる作業が容易となる。上記荷台構造によれば、荷台の側板を道板として利用することができると共に、側板を底板と地面との間に架け渡す作業を比較的容易に行うことができる。
【0011】
前記トラックの荷台構造は、前記底板から車両前後方向に垂直な第1方向に延び、前記ガイド軸を支持するガイド軸支持部材を備えていてもよい。前記係合部材には、前記側板が車幅方向の外方に傾倒している状態のときに車両前後方向に沿って見たときに、略円状の円孔と、前記円孔から前記第1方向に延びる溝孔とが形成されていてもよい。前記円孔の内径は前記ガイド軸の外径以上であり、前記溝孔の幅は、前記ガイド軸支持部材における車両前後方向および前記第1方向に垂直な第2方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0012】
このことにより、係合部材に円孔が形成されているので、係合部材をガイド軸の外周面上で容易に回転させることができる。したがって、荷台の側板を立設した状態から容易に傾倒させることができる。また、係合部材に溝孔が形成されているので、側板を傾倒させてから後方にスライドさせるときに、ガイド軸支持部材を溝孔に通すことができる。よって、側板をガイド軸に沿って後方に移動させるときに、ガイド軸支持部材が係合部材に干渉することを避けることができる。
【0013】
前記トラックの荷台構造は、前記側板を起立状態に保持するロック機構を備えていてもよい。前記側板の前端部または後端部に、前記ロック機構が係止されるフック部が設けられていてもよい。前記底板の後端部に、前記フック部が係止される係止部が設けられていてもよい。
【0014】
このことにより、側板を底板の後方に移動させた後、側板のフック部を底板の係止部に係止させることによって、側板を底板の後端部と地面との間に安定して架け渡すことができる。側板を起立状態に保持するロック機構に係止されるフック部を、側板を底板の後端部に係止させる部材としても利用することができる。そのため、部品点数を削減することができる。
【0015】
前記トラックの荷台構造は、前記側板を前記ガイド軸に沿って車両前後方向にスライドさせるときに前記底板の後端部から車幅方向の外方に延びるように配置され、前記側板を車両前後方向に移動させるときに前記側板を支持する側板支持部材を備えていてもよい。
【0016】
このことにより、側板をガイド軸に沿って後方に移動させるときに、側板を側板支持部材により支持することができる。よって、作業者の作業負担を軽減することができる。したがって、側板を後方に移動させる作業が容易となる。
【0017】
前記係合部材は車両前後方向に複数配置され、前記複数の係合部材の全ては、前記ガイド軸から後方に抜き取り可能に構成されていてもよい。
【0018】
このことにより、全ての係合部材をガイド軸に沿って後方にスライドさせた後、ガイド軸から後方に抜き取ることによって、側板を底板から取り外すことができる。側板を底板から取り外した後、底板の真後ろに移動させ、底板の後端部に載せることができる。これにより、側板を底板の後端部と地面との間に容易に架け渡すことができる。
【0019】
前記係合部材は、前記側板の前部に設けられた前側係合部材と、前記前側係合部材よりも後方に配置された1または2以上の後側係合部材と、を含んでいてもよい。前記前側係合部材は、前記ガイド軸の後端部に係合したまま、前記側板が車幅方向の外方に傾倒した位置から車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転可能に構成されていてもよい。
【0020】
このことにより、側板を起立状態から車幅方向の外方に傾倒させ、ガイド軸に沿って後方にスライドさせた後、前側係合部材がガイド軸の後端部に係合したまま側板を車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転させることができる。このように側板を車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転させることにより、側板を底板の後端部と地面との間に架け渡すことができる。したがって、側板を底板から取り外さずに道板として利用することができる。
【0021】
前記ガイド軸は、車両前後方向に延びる本体軸と、前記本体軸の後端部に上下に回転可能に接続された後端軸と、を含んでいてもよい。前記後端軸は、車両前後方向に延びる水平位置と、後ろ下がりに傾斜した傾斜位置との間で回転可能に構成されていてもよい。
【0022】
このことにより、後端軸を水平位置にすることによって、ガイド軸の本体軸および後端軸に沿って係合部材をガイド軸の後端部(すなわち、後端軸)にまで後方にスライドさせることができ、側板を後方に移動させることができる。側板を後方に移動させた後、後端軸を傾斜位置にまで回転させることにより、側板を底板から取り外さずに(すなわち、前側係合部材をガイド軸の後端部に係合させたまま)、側板を後ろ下がりに傾斜させることができる。そのため、側板を底板から取り外さずに、側板を底板の後端部と地面との間に良好に架け渡すことができる。
【0023】
前記ガイド軸の後端部には、前記ガイド軸の径方向の外方に突出するストッパが設けられていてもよい。前記側板を起立状態から車幅方向の外方に傾倒させた状態のときに車両前後方向に沿って見たときに、前記後側係合部材には、前記後側係合部材を後方に移動させたときに前記ストッパが通過可能な凹部が形成され、前記前側係合部材には、前記前側係合部材を後方に移動させたときに前記ストッパが当接する当接部が形成されていてもよい。
【0024】
このことにより、側板をガイド軸に沿って後方に移動させたときに後側係合部材はストッパに当接しないので、側板を車幅方向の外方に傾倒させてから後方に移動させるだけで、後側係合部材をガイド軸から抜き取ることができる。よって、側板を後方に容易に移動させることができる。一方、側板を後方に移動させたときに前側係合部材はストッパと当接するので、側板が後方に移動した後、側板が底板から意図せずに外れてしまうことを防止することができる。
【0025】
前記側板はアルミニウムまたは樹脂からなっていてもよい。
【0026】
このことにより、側板が鉄製である場合に比べて、側板は軽量化される。よって、側板を荷台の底板と地面との間に架け渡す作業を更に容易に行うことができる。
【0027】
前記トラックの荷台構造は、前記底板を支持しかつ傾斜可能なフレームと、前記フレームを傾斜させるアクチュエータと、前記係合部材を前記ガイド軸に沿って後方にスライドさせるときに、前記ガイド軸が後ろ下がりに傾斜するように前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備えていてもよい。
【0028】
上記事項によれば、係合部材を後方にスライドさせるときにガイド軸が後ろ下がりに傾斜するので、側板をガイド軸に沿って後方に移動させる作業を更に容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、荷台の側板を道板として利用可能であり、側板を荷台の底板と地面との間に架け渡す作業を比較的容易に行うことができるトラックの荷台構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係る荷台構造を備えたトラックの側面図である。
図2】トラックの平面図である。
図3】第1実施形態に係る荷台構造の側面図である。
図4】第1実施形態に係る荷台構造の背面図であり、(a)は側板が起立位置にあるときを表し、(b)は側板が傾倒位置にあるときを表す。
図5】(a)は係合部材を車両後方から見た図であり、(b)は図3のVb-Vb線断面図である。
図6】荷台構造の前端部の側面図である。
図7】側板の前端部の側面図である。
図8】側板の前端部の平面図である。
図9】フック部および係止部の鉛直断面を表す断面図である。
図10】側板を傾倒させたときの荷台構造の側面図である。
図11】側板を後方に移動させているときの側板支持ガイドの側面図である。
図12】側板を傾倒させたときの図5(b)相当図である。
図13】側板を底板の後端部と地面との間に架け渡したときのトラックの側面図である。
図14】荷台を傾斜させたときのトラックの側面図である。
図15】第2実施形態に係る荷台構造の側面図である。
図16】(a)は第2実施形態に係るガイド軸の後部の側面図であり、(b)は同ガイド軸を車両後方から見た図である。
図17】前側係合部材を車両後方から見た図である。
図18】後側係合部材を車両後方から見た図である。
図19】後側係合部材およびガイド軸を車両後方から見た図である。
図20】前側係合部材およびガイド軸を車両後方から見た図である。
図21】第2実施形態に係る荷台構造について、側板が底板の後方に移動したときの状態を表す部分側面図である。
図22】第2実施形態に係る荷台構造について、側板を反転させ、かつ、ガイド軸の後端軸を屈曲させたときの状態を表す部分側面図である。
図23】後方にスライドさせた荷台の底板の後端部と地面との間に側板を架け渡したトラックの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る荷台構造2を備えたトラック1の側面図である。図2はトラック1の平面図である。
【0032】
図1に示すように、トラック1は、シャシフレーム11と、シャシフレーム11に支持されたキャブ12と、シャシフレーム11に支持された左右の前輪13Fおよび左右の後輪13Rと、を備えている。また、トラック1は、キャブ12の後方かつシャシフレーム11の上に配置されたサブフレーム14と、サブフレーム14に支持された荷台20と、を備えている。
【0033】
荷台20はキャブ12の後方に配置されている。図2に示すように、荷台20は、底板21と、底板21の前端部に立設された前板22と、底板21の左の側端部に立設された左側の側板23と、底板21の右の側端部に立設された右側の側板24と、底板21の後端部に立設された後板25とを有している。左側の側板23および右側の側板24は車両前後方向に延びている。後板25は、下端部を中心に下方に回転可能または取り外し可能に構成されている。底板21、前板22、左側の側板23、右側の側板24、および後板25の材料は特に限定されないが、本実施形態ではアルミニウムである。
【0034】
図3は、本実施形態に係る荷台構造2の側面図である。荷台構造2は、荷台20と、荷台20の底板21に設けられたガイド軸30と、荷台20の側板23に設けられかつガイド軸30に係合する係合部材40とを備えている。
【0035】
ガイド軸30は、荷台20の底板21の左側および右側の側端部に設けられている。ガイド軸30は、底板21の前部から後部にわたって車両前後方向に延びている。ここでは、ガイド軸30は、底板21の前端部から後端部にわたって車両前後方向に延びている。左側のガイド軸30と右側のガイド軸30は、左右対称に配置されているが、それらの構成は同様である。以下の説明では、左側のガイド軸30および左側の側板23について説明し、右側のガイド軸30および右側の側板24についての説明は省略することとする。
【0036】
図4(a)は、荷台構造2の左側部分を後方から見た図である。図4(a)に示すように、左側のガイド軸30は、底板21の左方に配置されており、底板21から離間している。ガイド軸30は、車両前後方向に並べられた複数の支持棒31によって支持されている。支持棒31同士は車両前後方向に離間している。支持棒31は車幅方向に延びている。なお、車幅方向は車両左右方向と同義であり、本発明に係る「第1方向」の一例である。以下の説明において、「車幅方向の外方」とは車両中心線から遠ざかる方を言い、「車幅方向の内方」とは車両中心線に近づく方を言う。支持棒31は、ガイド軸30と底板21とを接続している。
【0037】
係合部材40は、ガイド軸30に車両左右方向に回転可能かつ車両前後方向にスライド可能に係合する部材である。係合部材40は側板23に設けられている。側板23が起立した状態において、車両前後方向は側板23の長手方向に対応し、車両上下方向は側板23の短手方向に対応する。係合部材40は、側板23の短手方向の一端部に固定されている。側板23が起立した状態において、係合部材40は側板23の下端部に固定されている。図3に示すように、側板23には複数の係合部材40が設けられており、それら係合部材40は車両前後方向に並んでいる。
【0038】
図5(a)は係合部材40を後方から見た図である。図5(b)は、図3のVb-Vb線断面図である。図5(a)に示すように車両前後方向に沿って見たときに、係合部材40には、略円状の円孔40aと、円孔40aから延びる溝孔40bとが形成されている。なお、本明細書で言う「略円状」には、真円形状に限らず、楕円形状等が含まれる。また、「略円状」には、輪郭の一部に凹凸が設けられた円形状等が含まれる。溝孔40bは、側板23が起立した状態のときに円孔40aから下方に延びるように形成されており、下方に開いている。本実施形態では、係合部材40は、側板23に固定された矩形部40Aと、矩形部40Aに対して側板23側と反対側に位置する半円部40Bとを含んでいる。ただし、ここで説明する形状は一例に過ぎず、係合部材40の形状は特に限定される訳ではない。
【0039】
係合部材40がガイド軸30に回転可能に係合しているので、側板23は係合部材40およびガイド軸30を介して底板21に対して回転可能である。側板23は、起立した状態と傾倒した状態とにすることができる。側板23を起立した状態から車幅方向の外方に回転させることにより、側板23を傾倒した状態にすることができる。図4(a)は側板23が起立した状態を表しており、図4(b)は側板23が傾倒した状態を表している。以下、起立したときの側板23の位置を起立位置と言い、傾倒したときの側板23の位置を傾倒位置と言う。側板23は、起立位置と傾倒位置との間で回転可能である。
【0040】
図3に示すように、荷台構造2は、側板23を起立位置に保持するロック機構として、いわゆるエビ金具(バネカンとも言う)50を備えている。エビ金具50は、側板23の前端部および後端部にそれぞれ配置されている。エビ金具50は、前側および後側の固定柱51に取り付けられている。
【0041】
図6は、荷台構造2の前端部の側面図である。図6に示すように、エビ金具50は、リング部52およびレバー53を有している。エビ金具50は、固定柱51に設けられた軸54に回転可能に支持されている。固定柱51には、エビ金具50のリング部52が係止されるフック55が設けられている。作業者がレバー53を掴んで軸54周りに回転させることにより、フック55にリング部52を係止させることができ、また、その係止を解除することができる。
【0042】
図7は、側板23の前端部の側面図である。図7に示すように、側板23の前端部にはフック部26Aが設けられている。側板23の後端部にも同様のフック部26Aが設けられている(図3参照)。図8は、荷台構造の前端部の平面図である。図8に示すように、フック部26Aは、側板23が起立位置にあるときに、上方から見てコ字状に形成されている。また、フック部26Aは断面コ字状に形成されている。図7に示すように、フック部26Aの上端部には、固定柱51に設けられたフック55(図6参照)を通す孔61が形成されている。また、フック部26Aの中央部には、エビ金具50を通す孔62が形成されている。図6に示すように、作業者がフック部26Aの孔61、62にフック55、エビ金具50をそれぞれ挿通し、レバー53を回転させてエビ金具50のリング部52をフック55に係止させると、フック部26Aはエビ金具50と固定柱51との間に挟まれる。これにより、側板23は起立位置に保持される。
【0043】
図3に示すように、底板21の後端部には、フック部26Aが係止可能な係止部27が設けられている。係止部27は、底板21の後端部の左右両側にそれぞれ設けられている。図4(a)に示すように、各係止部27は車両左右方向に延びている。図9は、フック部26Aおよび係止部27の鉛直断面を表す断面図である。図9に示すように、係止部27には、フック部26Aの先端部が挿入される係止溝27aが形成されている。フック部26Aの先端部を係止溝27aに挿入することにより、フック部26Aを係止部27に係止させることができる。フック部26Aを係止部27に係止させることにより、側板23の前端部を底板21の後端部に安定して支持することができる。なお、係止部27の断面形状は特に限定されないが、フック部26Aが安定して係止しやすいように、係止部27の上端部27bの断面形状を円形に形成してもよい。
【0044】
図3に示すように、底板21の左側の後端部には側板支持ガイド35が設けられている。図4(a)および図4(b)に示すように、側板支持ガイド35は、車両左右方向にスライド可能に構成されている。側板支持ガイド35は、車両左右方向に延びる支持バー35Aと、支持バー35Aの右端部に設けられたレバー35Bとを有している。底板21の後端部には筒状の支持部材36が設けられており、支持部材36に支持バー35Aがスライド可能に挿入されている。作業者がレバー35Bを掴んで右方に移動させると、側板支持ガイド35は、支持バー35Aが底板21から左方に突出しない退避位置に位置付けられる(図4(a)参照)。作業者がレバー35Bを掴んで左方に移動させると、側板支持ガイド35は、支持バー35Aが底板21から左方に突出する展開位置に位置付けられる(図4(b)参照)。側板支持ガイド35を展開位置に移動させると、支持バー35Aによって側板23を支持することができる。なお、図示は省略するが、底板21の右側の後端部にも、側板支持ガイド35が設けられている。右側の側板支持ガイド35は左側の側板支持ガイド35と左右対称に配置されている。右側の側板支持ガイド35の支持バー35Aにより、右側の側板24を支持することができる。
【0045】
以上が、本実施形態に係る荷台構造2の構成である。次に、側板23を道板として利用する方法について説明する。
【0046】
まず、作業者は、荷台20の後板25(図2参照)を下方に回転させるか、または、取り外す。これにより、荷台20の後方が開放される。
【0047】
次に、作業者は、前側および後側のエビ金具50のロックを解除し、側板23を起立位置から左方に傾倒させる(図4(b)および図10参照)。本実施形態では、側板23に設けられた係合部材40が底板21に設けられたガイド軸30に回転可能に係合しているので、作業者は側板23を容易に傾倒させることができる。
【0048】
次に、作業者は、側板支持ガイド35を退避位置から展開位置に移動させる(図4(b)参照)。なお、側板支持ガイド35を退避位置から展開位置に移動させる作業は、側板23を傾倒させる前に行えばよいが、特に限定されず、側板23を傾倒させた後に行ってもよく、側板23を傾倒させる作業と併行して行ってもよい。
【0049】
次に、作業者は、側板23を傾倒させた状態のままガイド軸30に沿って後方に移動させる。ガイド軸30は、側板23の後方への移動を案内する。ガイド軸30は車両前後方向に延びているので、作業者は側板23を真っ直ぐ後方に移動させることができる。また、図4(b)に示すように、側板支持ガイド35が展開位置に位置付けられているので、側板23の一部は側板支持ガイド35の支持バー35Aによって支持される(図11参照)。そのため、作業者は、側板23を安定して後方に移動させることができる。
【0050】
図12に示すように、側板23を傾倒させたときに、係合部材40の溝孔40bは左右方向に延びる。溝孔40bの幅W40bは、支持棒31の上下方向(なお、上下方向は本発明に係る「第2方向」の一例である)の寸法H31よりも大きい。すなわち、W40b>H31である。そのため、側板23をガイド軸30に沿って後方に移動させたときに、係合部材40の溝孔40bに支持棒31を通過させることができる。係合部材40が支持棒31と干渉することなく、側板23をガイド軸30に沿って後方に移動させることができる。
【0051】
最も前側の係合部材40がガイド軸30の後方に至ると、側板23は底板21から外れる。作業者は、側板23を底板21から取り外した後、側板23のフック部26Aを底板21の係止部27に引っ掛ける(図9参照)。これにより、図13に示すように、底板21の後端部と地面との間に側板23が架け渡される。説明は省略するが、右側の側板24も同様にして、底板21の後端部と地面との間に架け渡すことができる。このようにして、左側の側板23および右側の側板24を道板として利用することが可能となる。作業者は、荷台20の側板23,24を使って建機等の車両を荷台20に積み込むことができる。
【0052】
なお、トラック1の荷台20は傾斜不能であってもよいが、傾斜可能であってもよい。例えば図14に示すように、サブフレーム14の後端部がシャシフレーム11の後端部に上下に回転可能に接続され、サブフレーム14が傾斜可能なダンプフレームであってもよい。サブフレーム14およびシャシフレーム11に、油圧シリンダ等からなるダンプアクチュエータ15が接続されていてもよい。ダンプアクチュエータ15を制御する制御装置16は、作業者が側板23をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときに、ガイド軸30が後ろ下がりに傾斜するようにダンプアクチュエータ15を制御してもよい。ガイド軸30を後ろ下がりに傾斜させることにより、作業者が側板23をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときの作業負担が軽減される。そのため、作業者による作業が容易となる。
【0053】
建機等の車両を荷台20に積み込んだ後は、前述の作業を逆の順序で行うことにより、側板23,24を底板21に固定することができる。側板23,24を起立位置に保持することにより、建機等の車両を荷台20に積んでトラック1を走行させることができる。
【0054】
荷台20に積み込まれた建機等の車両を降ろすときには、前述の作業を行うことにより側板23,24を道板として利用することができる。側板23,24を使って建機等の車両を荷台20から降ろすことができる。
【0055】
次に、本実施形態によってもたされる様々な効果について説明する。
【0056】
本実施形態に係るトラック1の荷台構造2によれば、側板23をいったん車幅方向の外方に傾倒させた後、傾倒させた状態でガイド軸30に沿って後方に移動させることができる。本実施形態によれば、側板23を底板21の後方に移動させるために側板23を底板21から取り外す必要はない。また、側板23を起立させた状態のまま後方に移動させる作業は比較的難しいが、本実施形態によれば、側板23を傾倒させた状態でガイド軸30に沿って後方に移動させることができる。よって、側板23を底板21の後方に移動させる作業が容易となる。本実施形態によれば、荷台20の側板23を道板として利用することができると共に、側板23を底板21と地面との間に架け渡す作業を容易に行うことができる。
【0057】
本実施形態によれば、係合部材40に円孔40aが形成されているので、側板23を起立位置から傾倒位置に回転させるときに、係合部材40をガイド軸30の外周面上で容易に回転させることができる。したがって、側板23を容易に傾倒させることができる。また、係合部材40に溝孔40bが形成されているので、側板23を傾倒させてから後方にスライドさせるときに、ガイド軸30を支持する支持棒31を溝孔40bに通すことができる。側板23を後方に移動させるときに、支持棒31が係合部材40に干渉することを避けることができる。
【0058】
本実施形態によれば、側板23の前端部にフック部26Aが設けられ、底板21の後端部に係止部27が設けられている。フック部26Aを係止部27に係止させることにより、側板23の前端部を底板21の後端部に安定して支持させることができ、側板23を底板21の後端部と地面との間に安定して架け渡すことができる。また、側板23を起立状態に保持するロック機構(エビ金具50)に係止されるフック部26Aを、側板23を底板21の後端部に係止させる部材としても利用することができる。そのため、部品点数を削減することができる。
【0059】
本実施形態によれば、荷台構造2は側板支持ガイド35を備えている。側板23を後方に移動させるときに、側板23を側板支持ガイド35により支持することができる。よって、作業者がガイド軸30に沿って側板23を後方に移動させるときに、側板23を支持するための負担を軽減することができる。したがって、側板23を後方に移動させる作業が容易となる。
【0060】
本実施形態によれば、側板支持ガイド35は車両左右方向にスライド可能に構成されている。側板23を後方に移動させるときに、側板支持ガイド35を車幅方向の外方にスライドさせ、底板21の後端部から車幅方向の外方に延びる位置に容易に設定することができる。また、側板支持ガイド35を利用しないときには、側板支持ガイド35を車幅方向の内方にスライドさせることにより、側板支持ガイド35が邪魔になることを防ぐことができる。
【0061】
側板23の材料は特に限定されないが、本実施形態では側板23はアルミニウムからなっている。側板23が鉄製である場合に比べて、側板23は軽量化されている。よって、側板23を底板21と地面との間に架け渡す作業を更に容易に行うことができる。なお、側板23は樹脂(繊維強化樹脂を含む)からなっていてもよい。この場合も、側板23は軽量化されるので、側板23を底板21と地面との間に架け渡す作業を容易に行うことができる。
【0062】
図12に示すように、係合部材40をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときに、ダンプアクチュエータ15を制御することによりガイド軸30を後ろ下がりに傾斜させることとすれば、側板23を後方に移動させる作業を更に容易に行うことができる。その結果、側板23を底板21と地面との間に架け渡す作業を更に容易に行うことができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、ガイド軸30および係合部材40等の構成が第1実施形態と相違している。以下の説明では、主に第1実施形態と相違している部分について説明する。第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略することとする。
【0064】
図15は、第2実施形態に係る荷台構造2の側面図である。本実施形態においても、荷台構造2は、荷台20と、荷台20の底板21に設けられたガイド軸30と、荷台20の側板23に設けられかつガイド軸30に係合する係合部材40とを備えている。
【0065】
本実施形態では、ガイド軸30の後端部は底板21の後端よりも後方に延びている。また、図16(a)に示すように、ガイド軸30の後端部は屈曲可能に構成されている。詳しくは、ガイド軸30は、車両前後方向に延びる本体軸30Aと、本体軸30Aの後端部に上下に回転可能に接続された後端軸30Bとを含んでいる。本体軸30Aと後端軸30Bとは、車両左右方向に延びる連結軸30Cによって接続されている。後端軸30Bは、図16(a)に実線で示す水平な状態と、仮想線で示す後ろ下がりの状態にすることができる。
【0066】
図16(b)はガイド軸30を後方から見た図である。本実施形態では、ガイド軸30の後端部に、車幅方向の外方に突出するストッパ32が設けられている。ストッパ32は、後端軸30Bに設けられている。
【0067】
図15に示すように、本実施形態においても、荷台20の側板23に複数の係合部材40が固定されている。ただし、本実施形態では、最も前側に配置された係合部材40とそれ以外の係合部材40とでは、構成が相違している。以下の説明では、最も前側に配置された係合部材40のことを前側係合部材41と言い、前側係合部材41よりも後方に配置された係合部材40のことを後側係合部材42と言うこととする。
【0068】
図17は、前側係合部材41を後方から見た図である。図17に示すように、車両前後方向に沿って見たときに、前側係合部材41は、円孔41aと、円孔41aから延びる溝孔41bと、円孔41aから凹んだ凹部41cとが形成されている。側板23が起立した状態のときに、溝孔41bは円孔41aから下方に延び、凹部41cは円孔41aから車幅方向の外方に凹んでいる。凹部41cは、後方から見たときに、ガイド軸30のストッパ32よりも大きく形成されている。凹部41cの形状および寸法は、ガイド軸30のストッパ32が通過可能に設定されている。
【0069】
図18は、後側係合部材42を後方から見た図である。図18に示すように、車両前後方向に沿って見たときに、後側係合部材42は、円孔42aと、円孔42aから延びる溝孔42bと、円孔42aから凹んだ凹部42cとが形成されている。側板23が起立した状態のときに、溝孔42bは円孔42aから下方に延び、凹部42cは円孔42aから上方に凹んでいる。凹部42cは、後方から見たときに、ガイド軸30のストッパ32よりも大きく形成されている。凹部42cの形状および寸法は、ガイド軸30のストッパ32が通過可能に設定されている。
【0070】
本実施形態においても、側板23を道板として利用する際には、まず、側板23を左方に傾倒させる。そして、側板23をガイド軸30に沿って後方に移動させる。図19に示すように、側板23を傾倒させた状態では、後側係合部材42の凹部42cは円孔42aの左方に位置する。ガイド軸30の後端部にはストッパ32が形成されているが、後側係合部材42が後方に移動するときに、ストッパ32は後側係合部材42の凹部42cを通過する。そのため、後側係合部材42をガイド軸30から後方に抜き取ることができる。
【0071】
一方、図20に示すように、側板23を傾倒させた状態において、車両前後方向に沿って見たときに、前側係合部材41はストッパ32と重なっている。そのため、前側係合部材41が後方に移動するときに、ストッパ32は前側係合部材41と当接する。前側係合部材41において、円孔41aの軸孔41b側と反対側の部分は、ストッパ32が当接する当接部41d(図17参照)となっている。当接部41dがストッパ32と当接するため、側板23を傾倒させた状態では、前側係合部材41はガイド軸30から抜けないようになっている。作業者は、側板23を後方に移動させているときに、前側係合部材41がストッパ32と当接することにより、側板23が底板21の後方に達したことを容易に知ることができる。また、前側係合部材41がストッパ32と当接することにより、側板23がガイド軸30から意図せずに抜け落ちることを防止することができる。
【0072】
図21は、前側係合部材41がストッパ32と当接したときの荷台構造2の側面図である。本実施形態では、側板23の前端部に溝状のフック部28が形成されている。側板23が起立位置から左方に傾倒した傾倒位置にあるときに、フック部28は上方に開いている。
【0073】
本実施形態では、作業者は、側板23を底板21よりも後方に移動させた後、図22に示すように、側板23をガイド軸30周りに右方に180度回転させる。すなわち、側板23を車幅方向の外方に傾倒した位置から車幅方向の内方に傾倒した位置まで反転させる。側板23が反転すると、フック部28は下方に開いた状態となる。作業者は、側板23を反転させた後、底板21の後端部に設けられた係止部27にフック部28を引っ掛ける。また、ガイド軸30の後端軸30Bを後ろ下がりに回転させる。これにより、側板23は、底板21の後端部と地面との間に架け渡され、道板として利用可能となる。
【0074】
説明は省略するが、右側の側板24も同様にして、道板として利用可能である。本実施形態においても、荷台20の左側の側板23および右側の側板24を利用して、荷台20に建機等の車両を積み込むことができる。
【0075】
本実施形態によれば、前側係合部材41は、ガイド軸30の後端部に係合したまま、側板23が車幅方向の外方に傾倒した位置から車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転可能に構成されている。側板23を起立位置から車幅方向の外方に傾倒させ、ガイド軸30に沿って底板21の後方までスライドさせた後、前側係合部材41をガイド軸30に係合させたまま側板23を車幅方向の内方に傾倒した位置まで回転させることができる。そのため、側板23を底板21から取り外さずに、側板23を底板21の後端部と地面との間に架け渡すことができる。したがって、側板23を底板21から取り外さずに道板として利用することができる。
【0076】
本実施形態によれば、ガイド軸30は、本体軸30Aの後端部に上下に回転可能に接続された後端軸30Bを含んでいる。後端軸30Bは、車両前後方向に延びる水平位置と、後ろ下がりに傾斜した傾斜位置との間で回転可能に構成されている。後端軸30Bを水平位置にすることにより、係合部材40(すなわち、前側係合部材41および後側係合部材42)をガイド軸30の後端部(すなわち、後端軸30B)にまで後方にスライドさせることができ、側板23を底板21の後方に移動させることができる。側板23を後方に移動させた後、後端軸30Bを傾斜位置にまで回転させることにより、側板23を後ろ下がりに傾斜させることができる。したがって、前側係合部材41をガイド軸30の後端部に係合させたまま、側板23を底板21の後端部と地面との間に良好に架け渡すことができる。
【0077】
本実施形態によれば、ガイド軸30の後端部にストッパ32が設けられている。側板23を後方に移動させたときに後側係合部材42はストッパ32に当接しないので、後側係合部材42をガイド軸30から抜き取ることができる。よって、側板23を後方に移動させることができる。一方、側板23を底板21よりも後方に移動させたときに前側係合部材41はストッパ32と当接するので、側板23が底板21から意図せずに外れてしまうことを防止することができる。
【0078】
なお、図17に示すように、前側係合部材41の凹部41cは、側板23が起立した状態のときに車両前後方向に沿って見たときに、ストッパ32が通過可能な位置、形状、および寸法に形成されている。側板23が起立した状態のときには、側板23を後方に移動させることにより、前側係合部材41の凹部41cにストッパ32を通すことができる。したがって、側板23を底板21から取り外す必要がある場合、側板23を起立させることにより、前側係合部材41をガイド軸30から抜き取ることができ、側板23を底板21から取り外すことが可能である。
【0079】
なお、本実施形態においても、トラック1の荷台20は傾斜不能であってもよく傾斜可能であってもよい。荷台20がダンプアクチュエータによって傾斜可能な場合、側板23をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときに、ガイド軸30が後ろ下がりに傾斜するようにダンプアクチュエータを制御装置によって制御してもよい。ガイド軸30を後ろ下がりに傾斜させることにより、作業者が側板23をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときの負担が軽減され、作業者による作業が容易となる。
【0080】
(その他の実施形態)
以上、2つの実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、他にも様々な形態にて実施することができる。次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。
【0081】
荷台20(詳しくは底板21)は後方にスライド不能であってもよいが、後方にスライド可能に構成されていてもよい。例えば、図23に示すように、底板21はサブフレーム14に対して後方にスライド可能に設けられていてもよい。このような場合でも、荷台20の側板23,24を底板21の後端部と地面との間に架け渡すことにより、側板23,24を道板として利用することができる。図23に示す実施形態によれば、底板21の後端部と地面との間に側板23,24を架け渡したときに、側板23,24の地面からの傾斜角度をより小さくすることができる。そのため、建機等の車両を荷台20に積み込む作業が更に容易となる。なお、図23では、ガイド軸および係合部材の図示は省略している。荷台20を後方にスライドさせるアクチュエータは、荷台20を傾斜させるアクチュエータと別々であってもよいが、共通のアクチュエータにより荷台の傾斜とスライドとを実行するようにしてもよい。この場合、制御装置16は、係合部材40をガイド軸30に沿って後方にスライドさせるときに、ガイド軸30が後ろ下がりに傾斜するように上記共通のアクチュエータを制御するようにしてもよい。
【0082】
前記実施形態では、ガイド軸30は側板23の真下に配置されているが、ガイド軸30の位置は特に限定されない。ガイド軸30は、例えば、側板23の車幅方向の外方かつ下方に配置されていてもよい。ガイド軸30は中空状に形成されていてもよく、中実状に形成されていてもよい。
【0083】
前記実施形態では、係合部材40は、側板23が起立位置にあるときの側板23の下端面に固定されているが、側板23における係合部材40の固定箇所は特に限定されない。例えば、係合部材40は側板23が起立位置にあるときの側板23の側面の下部に固定され、側板23の側面の下部から下方に延びていてもよい。また、係合部材40の形状は特に限定されない。
【0084】
前記実施形態では、側板支持ガイド35はレバー35Bを有しているが、レバー35Bは必ずしも必要ではない。側板支持ガイド35の支持バー35Aは円柱状に形成されているが、支持バー35Aの断面形状は円形に限定されない。支持バー35Aの断面形状は、例えば、楕円形、四角形などであってもよい。前記実施形態において、側板支持ガイド35は、側板23を車両前後方向に移動させるときに側板23を支持する側板支持部材であるが、側板支持部材の形態は特に限定されない。前記実施形態では、側板支持部材(側板支持ガイド35)は、荷台20に車両左右方向にスライド可能に取り付けられているが、側板支持部材は荷台20にスライド不能に取り付けられていてもよい。例えば、側板支持部材は荷台20に対して着脱自在に構成され、側板23を車両前後方向にスライドさせるときに側板支持部材を荷台20に装着するようにしてもよい。
【0085】
側板23の前端部と底板21の後端部とを安定して係止させるために、第1実施形態ではフック部26Aおよび係止部27が設けられ、第2実施形態ではフック部28および係止部27が設けられている。しかし、側板23の前端部を底板21の後端部に安定して載せることができれば、フック部および係止部は必ずしも必要ではない。
【0086】
前記実施形態では、荷台20を構成する底板21、前板22、側板23,24、および後板25の材料はアルミニウムであるが、それらの材料は鉄等の他の材料であってもよい。底板21、前板22、側板23,24、および後板25の材料は同一であってもよく、それらのうちのいずれか1つの材料が他のいずれか1つの材料と異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 トラック
2 荷台構造
14 サブフレーム(ダンプフレーム)
15 ダンプアクチュエータ
16 制御装置
20 荷台
21 底板
23 側板
26A フック部
27 係止部
30 ガイド軸
30A 本体軸
30B 後端軸
31 支持棒(ガイド軸支持部材)
32 ストッパ
35 側板支持ガイド(側板支持部材)
40 係合部材
41 前側係合部材
42 後側係合部材
40a,41a,42a 円孔
40b,41b,42b 溝孔
41d 当接部
42c 凹部
50 エビ金具(ロック機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23