(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094910
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】液体柔軟剤組成物
(51)【国際特許分類】
D06M 13/463 20060101AFI20230629BHJP
D06M 13/328 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
D06M13/463
D06M13/328
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210506
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】森田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】森田 章友
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA21
4L033BA46
4L033BA71
4L033BA86
(57)【要約】 (修正有)
【課題】洗濯処理物への残香性付与に優れた液体柔軟剤組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分及び(B)成分を含有し:
(A)下記(A-1)及び(A-2)から選択される1種以上のカチオン界面活性剤;
(A-1)エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
(A-2)特定の構造の4級アンモニウム塩、及び
(B)下式(B)で表される4級アンモニウム塩
(A)成分の含量が5質量%未満であり、(B)成分の含量が、0.01~2質量%であり、(B)成分に対する(A)成分の質量比A/Bが、1~200である、乳濁型液体柔軟剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分及び(B)成分:
(A)下記(A-1)及び(A-2)から選択される1種以上のカチオン界面活性剤;
(A-1)エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
(A-2)下式(A2)で表される4級アンモニウム塩
(式中、R
1及びR
2は、独立して、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24のアルキル基またはアルケニル基であり、R
3及びR
4は、独立して、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン基であり、X
-は陰イオンを表す。)
及び
(B)下式(B)で表される4級アンモニウム塩
(式中、R
1は、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24の炭化水素基であり、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、X
-は陰イオンを表す。)
を含有する、乳濁型液体柔軟剤組成物であって、
(A)成分の含量が、5質量%未満であり、
(B)成分の含量が、0.01~2質量%であり、
(B)成分に対する(A)成分の質量比A/Bが、1~200である、乳濁型液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含む水中において、請求項1に記載の乳濁型液体柔軟剤組成物を繊維製品と接触させることを含む、繊維製品を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。また、本発明は、繊維製品を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香りへの関心の高まりから、柔軟剤には洗濯処理物の香りの強度や残香性が求められている。
しかしながら、柔軟剤の機能がアルキルベンゼンスルホン酸(LAS)等の洗剤成分(アニオン界面活性剤)により低下することがあり、柔軟剤付与機能の観点からこの点に対処する技術が知られているが(特許文献1及び2)、柔軟剤による洗濯処理物への柔軟性付与および残香性付与の点では十分なものとは言えない。
例えば、東南アジアでは特に香りに対する需要が高い一方、粉末洗剤の使用が主流であり、使用されるアニオン界面活性剤の量が多い。また、東南アジアでは、柔軟剤中の柔軟基剤であるカチオン界面活性剤の濃度が低い。そのため、東南アジアにおけるようなアニオン界面活性剤の使用量が多く、柔軟剤中の柔軟基剤であるカチオン界面活性剤の濃度が低い洗濯条件において、柔軟剤の機能がアニオン界面活性剤により低下する傾向が強い。そのような洗濯条件下におけるニーズを満たすために、柔軟剤に配合する香料量を増量することで生活者のニーズに応えているが、効率が悪く経済的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004-525271号公報
【特許文献2】特表2008-538393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景に鑑み、洗濯処理物への残香性付与に優れた液体柔軟剤組成物を提供することを課題とする。特には、アニオン界面活性剤の使用量が多い洗濯条件における使用に適した、柔軟基剤であるカチオン界面活性剤の配合量が少ない液体柔軟剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定量のカチオン界面活性剤を柔軟基剤として含む液体柔軟剤において、特定の炭素鎖長を有する4級アンモニウム塩を配合することで、柔軟性付与効果だけでなく残香性付与効果も向上できることを見出した。
本発明は、下記〔1〕~〔2〕に関するものである。
〔1〕下記の(A)成分及び(B)成分:
(A)下記(A-1)及び(A-2)から選択される1種以上のカチオン界面活性剤;
(A-1)エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
(A-2)下式(A2)で表される4級アンモニウム塩
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、独立して、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24のアルキル基またはアルケニル基であり、R
3及びR
4は、独立して、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン基であり、X
-は陰イオンを表す。)
及び
(B)下式(B)で表される4級アンモニウム塩
【化2】
(式中、R
1は、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24の炭化水素基であり、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、X
-は陰イオンを表す。)
を含有する、乳濁型液体柔軟剤組成物であって、
(A)成分の含量が、5質量%未満であり、
(B)成分の含量が、0.01~2質量%であり、
(B)成分に対する(A)成分の質量比A/Bが、1~200である、乳濁型液体柔軟剤組成物。
〔2〕1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含む水中において、前記〔1〕に記載の乳濁型液体柔軟剤組成物を繊維製品と接触させることを含む、繊維製品を処理する方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、洗濯処理物への残香性付与に優れた液体柔軟剤組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯処理物への残香性及び柔軟性付与に優れた液体柔軟剤組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯処理物への残香性及び柔軟性付与に優れ、安定性が良好な液体柔軟剤組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、アニオン界面活性剤の使用量が多い洗濯条件における使用に適した、柔軟基剤であるカチオン界面活性剤の配合量が少ない液体柔軟剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の組成物は乳濁型液体柔軟剤組成物であるが、本明細書において、本発明の組成物を単に液体柔軟剤組成物と言うことがある。
【0008】
[(A)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物において、(A)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合される。
(A)成分は、(A-1)及び(A-2)成分から選択される1種以上のカチオン界面活性剤である。
【0009】
<(A-1)成分>
(A-1)成分は、エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
長鎖炭化水素基の炭素数は、10~26であり、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性が良好で、26以下であるとハンドリン性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0010】
長鎖炭化水素基は、エステル基(-COO-)又はアミド基(-NHCO-)で分断されている。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものである。該分断基を有することにより、生分解性が向上する。
1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の
炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水
添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂
肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂
肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
【0011】
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(A)成分としてのアミン化合物としては、2級アミン化合物又は3級アミン化合物が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(A)成分としてのアミン化合物として、より具体的には、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
【化3】
[式中、R
1~R
3は、それぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基、-CH
2CH(Y)OCOR
4(Yは水素原子又はCH
3であり、R
4は炭素数7~21の炭化水素基である。)、-(CH
2)
nNHCOR
5(nは2又は3であり、R
5は炭素数7~21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH
2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH
3である。)、又は-(CH
2)
nNH
2であり、R
1~R
3のうちの少なくとも1つは、炭素数10~26の炭化水素基、-CH
2CH(Y)OCOR
4、又は-(CH
2)
nNHCOR
5である。]
【0012】
式(A1)中、R1~R3における炭素数10~26の炭化水素基の炭素数は、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
-CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。
R4は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、80/20~0/100がより好ましい。
R4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
【0013】
R4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは80/20~0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0014】
-(CH2)nNHCOR5中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
R5は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
R1~R3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4、又は-(CH2)nNHCOR5)であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
R1~R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であることが好ましい。これらのうち、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2)nNH2におけるnは、-(CH2)nNHCOR5中のnと同様である。
【0015】
アミン化合物の塩は、アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0016】
<(A-2)成分>
(A-2)成分は、下式(A2)で表される4級アンモニウム塩である。
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、独立して、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24のアルキル基またはアルケニル基であり、R
3及びR
4は、独立して、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン基であり、X
-は陰イオンを表す。)
R
1及びR
2における炭化水素基の炭素数は、8~24であり、好ましくは10~20であり、より好ましくは14~18である。
R
1及びR
2は、同じであっても異なっていてもよい。
また、R
3及びR
4は、同じであっても異なっていてもよい。
R
3及びR
4において、ポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基は、特に限定されないが、平均重合度が1~5のものであり得る。
R
3及びR
4は、好ましくは、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基である。
Xとしては、ハロゲン原子又はR
5SO
4で示される基が挙げられる。このハロゲン原子としては、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素である。また、R
5は、炭素数1~3のアルキル基であり、メチル基、エチル基もしくはプロピル基である。
【0017】
(A-2)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(A-2)成分は、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和高級脂肪酸もしくはパーム油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸等の天然脂肪酸もしくはこれらの混合物もしくはこれらと牛脂脂肪酸との混合物を出発原料として製造され得る。これらのうち特にオレイン酸、オレイン酸と牛脂脂肪酸との混合物、パーム油脂肪酸が好適である。
(A-2)成分の市販品としては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のリポカード2HT-75、アクゾノーベル社のアーカード2HT-75、hana resources社製の2HT等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A-2)成分は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0018】
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(A)成分の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対し5質量%未満であり、好ましくは1質量%~4.5質量%未満であり、より好ましくは1.5質量%~4質量%未満である。(A)成分の配合量が1質量%以上であると、繊維製品への柔軟性付与効果がより向上し、柔軟剤組成物の使用量も低減し得る。(A)成分の配合量が5質量%未満であると、柔軟剤組成物の使用量が適切になり使用上の満足度が向上し得る。
【0019】
[(B)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物において、(B)成分は、液体柔軟剤組成物の繊維製品への柔軟性付与効果の向上及び/又は残香性付与効果の向上、特には、アニオン界面活性剤の使用量が多い洗濯条件における、液体柔軟剤組成物の繊維製品への柔軟性付与効果の向上及び/又は残香性付与効果の向上のために配合される。
(B)成分は、下式(B)で表される4級アンモニウム塩である。
【化5】
(式中、R
1は、エステル基(-COO-)でもアミド基(-NHCO-)でも分断されていない、炭素数8~24の炭化水素基であり、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、X
-は陰イオンを表す。)
R
1における炭化水素基の炭素数は、8~24であり、好ましくは12~20であり、より好ましくは14~18である。
R
1は飽和でも不飽和でもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。
R
2及びR
3は独立して炭素数1~3のアルキルであり、好ましくはメチル基である。
Xとしては、メチル硫酸、臭素や塩素等が挙げられ、塩素が好ましい。
【0020】
(B)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(B)成分の具体例としては、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(B)成分の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対し0.01~2質量%であり、好ましくは0.1~2質量%であり、より好ましくは0.2~1.5質量%である。(B)成分の配合量が0.01質量%以上であると、繊維製品への柔軟性付与効果の向上及び/又は残香性付与効果の向上が良好である。(B)成分の配合量が2質量%以下であると、保存安定性が良好である。
本発明の液体柔軟剤組成物における、(B)成分に対する(A)成分の質量比A/Bは、1~200であり、好ましくは2~100であり、より好ましくは3~20である。A/Bが1以上であると、柔軟剤に求められる香り強度や持続性、消臭効果が良好である。A/Bが200以下であると、保存安定性が良好である。
【0022】
[(C)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物において、(C)成分は、香料であり、液体柔軟剤組成物への香り付け、更には同組成物による処理後の繊維製品への香り付けのために配合され得る。
(C)成分としては、柔軟剤分野で汎用されている香料を使用可能であり、特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0023】
(C)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用(香料組成物を使用)してもよい。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(C)成分の配合量は、特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.1~3.0質量%、より好ましくは0.2~2.0質量%、更に好ましくは0.2~1.5質量%である。(C)成分の配合量が、0.1質量%以上であると、柔軟剤に求められる香り強度や持続性、消臭効果がより良好であり、3.0質量%以下であると、香料の分散が不安定になりオイルが浮くことをより良好に防ぐことができる。
【0024】
[他の任意成分]
本発明の液体柔軟剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)~(C)成分以外にも、以下のような成分を含有してもよい。例えば、水、ノニオン界面活性剤、水溶性溶剤、糖系化合物、シリコーン化合物、染料及び/又は顔料、防腐剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、高度分岐環状デキストリン、機能性カプセル、粘度調整剤、構造化剤などを配合することができる。
【0025】
<水>
本発明の液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水の配合量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。配合量が50質量%以上であると、ハンドリング性がより良好となる。
【0026】
<ノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合され得る。
ノニオン界面活性剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。例えば、アルコール、アミン又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物を用いることができる。
アルコール、アミン及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~14、より好ましくは8~12、最も好ましくは8~10である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~18、より好ましくは9~18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソン化学製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコール、HoechstAG社製GENAPOLシリーズや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75~100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10~100モルが好適であり、より好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1~5が好適であり、より好ましくは1~3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
ニオン界面活性剤の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、オレイルアミンの平均
EO50付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、エソミンシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
【0027】
ノニオン界面活性剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0~10質量%、好ましくは0.5~7質量%、より好ましくは1~4質量%である。
【0028】
<水溶性溶剤>
水溶性溶剤は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合され得る。
水溶性溶剤としては、炭素数1~4のアルコール、グリコールエーテル系溶剤、多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び、下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
R6-O-(C2H4O)y-(C3H6O)Z-H ・・・(X)
(式中、R6は、炭素数1~6、好ましくは2~4のアルキル基又はアルケニル基であり、yおよびzはそれぞれ平均付加モル数であり、yは1~10、好ましくは2~5であり、zは0~5、好ましくは0~2である。)
上記に挙げた中でも、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルや、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
水溶性溶剤の配合量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0.01~25質量%、さらに好ましくは0.1~20質量%である。
【0029】
<糖系化合物>
糖系化合物は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合され得る。
糖系化合物としては、糖骨格の繰り返し単位の数(重合度)が1~40のものが好ましく、1~20が更に好ましく、1~5(すなわち、単糖及び重合度1超5以下のオリゴ糖)が特に好ましい。好ましい糖系化合物としては、単糖、二糖、オリゴ糖や糖アルコールが挙げられる。
糖の具体例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、タロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、及び、天然多糖の部分加水分解から得られるオリゴ糖、並びに、これらの糖に置換基を導入した化合物(糖誘導体)が挙げられる。導入可能な置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミン基、4級アンモニウム基や、カルボキシル基等が挙げられ、これらの中でも、特にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基が挙げられる。置換基としては、炭素数1~18のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基が好ましく、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基が最も好ましい。
糖としては、重合度が1~5の単糖及びオリゴ糖、並びに、重合度が1~5の単糖及びオリゴ糖において少なくとも一つの水酸基の水素原子がアルキル基で置換された化合物から選ばれる1種以上が好ましい。上記に挙げた中でも、凍結復元性の観点からは、トレハロースが好ましい。
糖アルコールとしては、エリトリトール、トレイトール、ペンチトール、ヘキシトール、ダルシトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイユトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等が挙げられる。
糖系化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
糖系化合物の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01~10質量%、好ましくは0.05~7質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
【0030】
<シリコーン化合物>
シリコーン化合物は、香り持続性の更なる向上を主目的として配合され得る。
シリコーン化合物は、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。
シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよい。変性シリコーン化合物は、1種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。
シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
シリコーン化合物の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンや、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、汎用性や香り持続性の向上の観点からは、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンや、ジメチルシリコーンが好ましい。香り持続性の更なる向上効果や製造時の取り扱いの観点からは、ポリエーテル変性シリコーンやアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0031】
ジメチルシリコーンについて、その動粘度に特に制限はないが、1~100,000,000mm2/sが好ましく、10~10,000,000mm2/sがより好ましく、100~1,000,000mm2/sが更に好ましい。また、ジメチルシリコーンは、オイルであっても、エマルジョンであってもよい。
【0032】
ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体などが挙げられる。アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数としては、1~3が好ましい。ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数としては、2~5が好ましい。
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が挙げられる。具体例としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【化6】
(式中、M、N、a及びbは、それぞれ独立して平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基である)
一般式(I)中、Mは、10~10,000、好ましくは100~300である。
Nは、1~1,000、好ましくは1~100である。更に、M>Nであることが好ましい。
aは、2~100であり、好ましくは2~50である。
bは、0~50であり、好ましくは0~10である。
Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。この場合、生成物中に未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、前記ポリエーテル変性シリコーン中での存在量としては、30ppm以下(Si-Hの量として)であることが好ましい。
【0033】
好ましいポリエーテル変性シリコーンとして、下記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体も挙げられる。
【化7】
(式中、A、B、h及びiは、それぞれ平均重合度であり、Rはアルキル基であり、R’は水素又はアルキル基である。)
一般式(II)中、Aは5~10,000であり、
Bは、2~10,000であり、
hは、2~100であり、
iは、0~50である。
Rは、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。
R’は、水素又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
【0034】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、より具体的には、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、FZ-2166、FZ-2120、L-720、SH8700、L-7002、L-7001、SF8410、FZ-2164、FZ-2203や、FZ-2208、信越化学工業(株)製のKF352A、KF615A、X-22-6191、X-22-4515、KF-6012や、KF-6004等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452や、TSF4460等が挙げられる。
【0035】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の末端あるいは側鎖にアミノ基を導入したものである。アミノ基以外に、水酸基、アルキル基やフェニル基等の置換基が導入されていてもよい。
アミノ変性シリコーンは、オイルの形態でも良く、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として用いて乳化させたアミノ変性シリコーンエマルジョンの形態でも良い。
好ましいアミノ変性シリコーンのオイル、又はエマルジョンにおける基油オイルは、次の一般式(III)で表される化合物である。
【化8】
(式中、R
1及びR
6は互いに同一でも、異なっていてもよい、メチル基、水酸基又は水素であり、
R
2は、-(CH
2)
n-A
1、又は、-(CH
2)
n-NHCO-(CH
2)
m-A
1(各式中、A
1は、-N(R
3)(R
4)、-N
+(R
3)(R
4)(R
5)・X
-(各式中、R
3、R
4及びR
5は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基又は-(CH
2)
n-NH
2(式中、nは0~12である)であり、X
-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン又は硫酸エチルイオンである)であり、m及びnの値は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、0~12の整数である)であり、
p及びqはそれぞれポリシロキサンの重合度を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、pは0~20000、好ましくは10~10000であり、qは1~500、好ましくは1~100である。)
【0036】
アミノ変性シリコーンのオイルは、25℃における動粘度が50~20000mm2/sであることが好ましく、100~10000mm2/sであることがより好ましい。動粘度がこの範囲にあると、高い香り持続性効果が発現されるとともに、製造性が良好となり、成物の取り扱いも容易になる。
【0037】
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができる。
アミノ変性シリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社からSF―8417、BY16-892や、BY16-890で販売されているもの、信越化学工業株式会社からKF-864、KF-860、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-861、KF-880や、KF-867Sで販売されているもの等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンエマルジョンタイプとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社からSM8904、BY22-079、FZ-4671や、FZ-4672で販売されているもの、信越化学工業株式会社からPolonシリーズで販売されているPolonMF-14、PolonMF-29、PolonMF-14D、PolonMF-44、PolonMF-14ECや、PolonMF-52と、旭化成ワッカーシリコーン(株)からWACKER FC201で販売されているもの等があげられる。
【0038】
シリコーン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
シリコーン化合物の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01~10質量%、好ましくは0.05~8質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
【0039】
<染料及び/又は顔料>
染料及び顔料は、それぞれ液体柔軟剤組成物の外観を向上するために配合され得る。
染料及び顔料共に、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。また、特開平6-123081号公報、特開平6-123082号公報、特開平7-18573号公報、特開平8-27669号公報、特開平9-250085号公報、特開平10-77576号公報、特開平11-43865号公報、特開2001-181972号公報や特開2001-348784号公報などに記載されている染料も用いることができる。
好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料又は反応性染料が好ましい。
染料及び顔料のそれぞれについて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。また、染料と顔料とを併用してもよい。
染料及び顔料の各配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは1~50ppm、より好ましくは1~30ppmである。
【0040】
<防腐剤>
防腐剤は、主に、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合され得る。
防腐剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001~1質量%である。0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られ、1質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の高い保存安定性を十分に維持することができる。
【0041】
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、液体柔軟剤組成物を紫外線から保護するために配合され得る。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出することで、紫外線防御効果を発揮する成分である。
紫外線吸収剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリルや、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチルや、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p-メトキシケイ皮酸エチル、p-メトキシケイ皮酸イソプロピル、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシルや、p-メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸や、2、2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸や、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4-t-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0042】
<抗菌剤>
抗菌剤は、液体柔軟剤組成物の保存性を高めるために配合され得る。
抗菌剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、ダイクロサン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、8-オキシキノリン、ビグアニド系化合物(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド)、塩酸クロロヘキシジンや、ポリリジン等が挙げられる。これらの中でも、塩化ベンザルコニウム、ビグアニド系化合物や、塩酸クロロヘキシジンが好ましい。
抗菌剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0043】
<高度分岐環状デキストリン>
高度分岐環状デキストリンは、液体柔軟剤組成物の安定性(特に凍結復元性)の更なる向上や、繊維製品へ消臭性や防臭性を付与するために配合され得る。
高度分岐環状デキストリンとは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重量平均重合度が50から10000の範囲にあるグルカンをいう。
内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれている物質である。
高度分岐環状デキストリンは、1つの内分岐環状構造部分に複数(例えば、100個)の非環状のグルコース鎖(外分岐構造部分)が結合した構造を有している。
内分岐環状構造部分とは、α-1,4-グルコシド結合とα-1,6-グルコシド結合とで形成される環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10~100個程度のグルコースで構成されている。すなわち、内分岐環状構造部分の重合度は10~100の範囲である。
外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分を構成する非環状グルコース鎖における平均重合度は10~20である。但し、1本の非環状グルコース鎖における重合度は40以上であってもよい。
高度分岐環状デキストリンにおけるグルコースの重量平均重合度は50~10000、具体的には50~5000の範囲、更に具体的には2500程度である。
また、本発明における高度分岐環状デキストリンの分子量は3万~100万程度の範囲である。
【0044】
かかる構造及び重合度(分子量)を有する高度分岐環状デキストリンは、グルコースの重合度が6~8の一般的なシクロデキストリンであるα-シクロデキストリン(重合度6)、β-シクロデキストリン(重合度7)や、γ-シクロデキストリン(重合度8)とは相違する物質である。
【0045】
高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造することができる。
原料であるデンプンは、グルコースがα-1、4-グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α-1,6-グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなる。アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。
使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物や微生物中に広く見いだされるグルカン鎖転移酵素である。ブランチングエンザイムは、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
【0046】
高度分岐環状デキストリンの具体例としては、特開平8-134104号公報に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンが挙げられる。本発明において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8-134104号公報の記載を参酌して理解され得る。
高度分岐環状デキストリンは前述の通り製造することができ、また、市場において容易に入手可能である。高度分岐環状デキストリンの市販品としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
高度分岐環状デキストリンは単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0047】
高度分岐環状デキストリンの含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。含量が0.01質量%以上であると、配合効果(特に、繊維への消臭性及び防臭性の付与効果)を充分に発現させることができる。含量が10質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の粘度上昇を抑制して、容器からの排出性や、洗濯機の投入口への入れやすさ等の使用性を良好に保つことができる。
【0048】
<機能性カプセル>
機能性カプセルは、カプセル内に内包された芯物質に起因する様々な機能を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合され得る。
機能性カプセルは、芯物質と当該芯物質を覆う壁物質とから構成される。
【0049】
芯物質としては、液体柔軟剤分野でカプセル封入物質として一般的に用いられているものを特に制限なく使用できる。具体例としては、香料、精油、増白剤、虫除け剤、シリコーン、ワックス、香味料、ビタミン、スキンケア剤、酵素、プロバイオティクス、染料、顔料、香料前駆体、冷感剤、温感剤、フェロモン等の誘引剤、抗菌剤、漂白剤、香味料、甘味料、ワックス、薬剤、肥料や、除草剤等が挙げられる。
芯物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
壁物質としては、液体柔軟剤組成物分野においてカプセル化材料として一般的に用いられているものを特に制限なく使用できる。具体例としては、ゼラチンや寒天等の天然系高分子や、油脂やワックス等の油性膜形成物質や、ポリアクリル酸系、ポリビニル系、ポリメタクリル酸系、メラミン系、ウレタン系等の合成高分子物質等を挙げることができ、それら1種を単独又は2種以上を適宜併用することができる。
【0051】
香料を芯物質とするカプセル化香料の具体例としては、フィルメニッヒ社製のBLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」、ジボダン社製のGREEN BREEZE CAPS、GREENBREEZE DeoB、ORCHARD GARDEN CAPS、RAINBOW CAPS、VELVET CAPS、VELVET UP、AURORACAPS、及びCOSMICCAPSや、IFF社製のUNICAP101及びUNICAP503等が挙げられる。
冷感剤を芯物質とする冷感カプセルの具体例としては、SALVONA Technologies社製のMultiSal SalCool、HydroSal FreshCool、SalSphere SalCoolや、日華化学株式会社製のネオアージュAROMA-C等が挙げられる。
温感剤を芯物質とする温感カプセルの具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンRMC-TOや、SALVONA Technologies社製のHydrosal Heat等が挙げられる。
他の具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンNFHO-W(抗菌効果)や、リケンレジンRMC-HBP(防虫効果)及びRMC-PT(防虫効果)等が挙げられる。
【0052】
機能性カプセルの平均粒子径は10μm~30μmであることが好ましい。前記粒子径を有する機能性カプセルは、衣類への吸着性に優れ、かつ液体柔軟剤組成物中に安定に分散させることができる。
機能性カプセルは公知物質であり、市場で容易に入手可能である、又は、調製可能である。
機能性カプセルは単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
機能性カプセルの含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物
の総質量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。
【0053】
<粘度調整剤>
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウムや、クエン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムや、クエン酸ナトリウムが好ましい。
配合量は、0~1.5質量%、好ましくは0.01~1.0質量%、さらに好ましくは0.01~0.8質量%である。粘度調整剤はどの工程で配合しても構わない。
【0054】
<構造化剤>
構造化剤として、ポリエチレンイミン又はその誘導体や、カチオン性(メタ)アクリル系ポリマーを液体柔軟剤組成物に配合し得る。
ポリエチレンイミン又はその誘導体の例としては、ポリエチレンイミンのアミド誘導体であるLupasol SK(BASF製)や、ポリエチレンイミンであるLupasolPS(BASF製)等が挙げられる。
カチオン性(メタ)アクリル系ポリマーの例としては、Rheovis FRC(BASF製)、Rheovis CDE(BASF製)等が挙げられる。
構造化剤の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.01~5.0質量%である。
【0055】
<その他の任意成分>
前記の任意成分以外にも、液体柔軟剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS-X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK-50、K-30、K-10、A-705、S-702、L-710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物、例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC-1など)などを適宜配合することができる。
【0056】
[液体柔軟剤組成物の粘度]
液体柔軟剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、500mPa・s未満であるのが好ましく、300mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
上記粘度は、B型粘度計(例えば、ブルックフィールド社のアナログ粘度計T)を用いて25℃にて測定される値をいう。
【0057】
[液体柔軟剤組成物のpH]
液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の加水分解を抑制する等の観点から、25℃におけるpHが1~6の範囲内であることが好ましく、2~4の範囲内であることがより好ましく、2~3の範囲内であることがさらに好ましい。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0058】
[液体柔軟剤組成物の調製方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の調製方法は特に限定されない。液体柔軟剤組成物は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、並びに必要に応じて他の成分を含む油相と、水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、得られた乳化物に、必要に応じて他の成分を添加、混合することにより、液体柔軟剤組成物を製造できる。
【0059】
[液体柔軟剤組成物の使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の柔軟剤組成物と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ本発明の液体柔軟剤組成物を溶解させて被洗物を柔軟処理する方法や、本発明の液体柔軟剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に被洗物を入れて浸漬処理する方法がある。
また、本発明の一態様は、繊維製品を処理する方法に関する。具体的には、本発明の一態様は、1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含む水中において、液体柔軟剤組成物を繊維製品と接触させることを含む、繊維製品を処理する方法に関する。この方法における液体柔軟剤組成物は、本明細書に記載のとおりである。
1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含む水中とは、例えば、洗濯における柔軟剤投入時のすすぎ水中のことである。このような水中の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の濃度は、3ppm以上であってもよく、5ppm以上であってもよい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩は、LASとも呼ばれ、例えば、アルキル基の炭素数は8~16の範囲である。
【0060】
1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含む水中において、液体柔軟剤組成物を繊維製品と接触させることとは、特に限定されないが、繊維製品と、1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩とを含む水中に、液体柔軟剤組成物を添加すること、又は液体柔軟剤組成物と、1ppm以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩とを含む水中に、繊維製品を浸漬させることであり得る。
処理される対象となる繊維製品は、特に限定されないが、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツや、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0062】
[(A)成分]
下記のA-1及びA-2を使用した。
A-1:エステル型カチオン界面活性剤
特開2003-12471号公報の実施例4に記載の手順に従って合成したカチオン界面活性剤
A-2:ジメチルジアルキルカチオン(商品名「リポカード2HT-75」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)
A-2において、ジアルキルは、各々、炭素数18のアルキル基である。
【0063】
[(B)成分]
下記のB-1~B-3を使用した。
B-1:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業株式会社製)
B-2:ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業株式会社製)
B-3:オクチルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業株式会社製)
【0064】
[(C)成分]
C-1:下記表1に示される組成で香料成分を含む香料
【表1】
【0065】
[共通成分]
D-1:下記表2に示される成分
【表2】
【0066】
【0067】
[乳濁型液体柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、下記表4に記載の通り調整して、次の手順により乳濁型液体柔軟剤組成物を調製した。まず(A)成分、(B)成分、(C)成分、ノニオン界面活性剤を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、バランス用イオン交換水に防腐剤を溶解させて水相混合物を得た。バランス用イオン交換水(防腐剤を含む)の質量は、980gから油相混合物の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。その後、得られた乳化物に塩化カルシウムやカプセル香料を添加し攪拌した。また必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpHを調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の乳濁型液体柔軟剤組成物(実施例1~13、比較例1~3)を得た。
【0068】
[液体柔軟剤組成物の評価方法]
得られた各液体柔軟剤組成物の「香り強度」、「柔軟性」及び「保存安定性」を以下の手順で評価した。
【0069】
<1.液体柔軟剤組成物を用いた綿タオルの処理>
(評価用布の前処理)
市販の綿タオル(東進社製)を、市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン社製)で、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)を用いて、以下の前処理を3回行った。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄10分間と、続く注水すすぎ10分間とのサイクルを2回。
【0070】
(洗濯時すすぎ工程における液体柔軟剤組成物による処理)
前処理洗浄した綿タオル(東進社製)を、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)を用いて、2回目のすすぎを想定し、LAS(商品名「ライポンLS-250」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を15ppmになるように添加して調節し、上記のとおり得られた各液体柔軟剤組成物を添加して、3分間の柔軟処理(柔軟剤使用量25ml/布量1.5kg、浴比20倍、25℃の水道水使用)を行った。柔軟処理後、脱水を1分間行った。
処理後、二槽式洗濯機から綿タオルを取出し、20℃、40%RHの恒温恒湿条件下で18時間乾燥させ、下記に示す評価に供した。
【0071】
<2.香り強度評価>
上記18時間乾燥後の綿タオルの香り強度を、下記の6段階臭気強度表示法に準拠し、官能評価した。専門パネラー8人の平均点(小数点第1位まで算出)により、下記判定基準で香り強度を判定した。結果を下記表4における「香り強度」の項において示した。商品価値上、○以上を合格とした。
(評価基準)
0:無臭
1:やっと検知できる程度の香り
2:何の香りか分かる程度の香り
3:楽に感知できる香り
4:強い香り
5:強烈な香り
(判定基準)
◎:2.5点~3.5点
○:2点~2.5点未満、
×:2点未満
【0072】
<3.柔軟性評価>
上記18時間乾燥後の綿タオルタオルへもたらされる柔軟性を、以下の評価基準で、対照品(LASが存在しないことを除き、上記「洗濯時すすぎ工程における液体柔軟剤組成物による処理」と同じように柔軟処理したもの)との一対比較を官能評価で行った。専門パネラー6人により、下記評価基準で評価を行った。結果を下記表4における「柔軟性」の項において示した。商品価値上、△以上を合格とした。
(評価基準)
◎:LASが存在しない条件の柔軟性と比較して柔軟性の差がほとんどないと評価
した人が6人中5~6人
○:LASが存在しない条件の柔軟性と比較して柔軟性の差がほとんどないと評価
した人が6人中3~4人
△:LASが存在しない条件の柔軟性と比較して柔軟性の差がほとんどないと評価
した人が6人中1~2人
×:LASが存在しない条件の柔軟性と比較して柔軟性の差がほとんどないと評価
した人が6人中0人
【0073】
<4.保存安定性(分離)評価>
上記のとおり得られた各液体柔軟剤組成物を軽量ガラスビン(PS-No.11、田沼硝子工業所製)に80mL入れて密栓し、評価用のサンプルとし、25℃30日静置保管する耐久試験後の液状態を目視で観察し、専門パネラー8人の平均点により、下記評価基準で評価し、以下の基準に従って分離を評価した。結果を下記表4における「保存安定性」の項において示した。商品価値上、〇以上を合格とした。
<判定基準>
◎:耐久試験前と比較してまったく変わらない。
〇:耐久試験前と比較してほとんど変わらないが、分離がわずかに見られる。
△:耐久試験前と比較して1~10%の分離が見られる。
×:耐久試験前と比較して10%以上の分離が見られる。
【0074】