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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094962
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ウエーハ外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210587
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島谷 謙一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 研斗
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB01
2G051AB02
2G051CA04
2G051CB01
2G051EB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウエーハの外周部であっても、検出したい欠陥を確実に検出したり、疑似欠陥の検出を防ぐ。
【解決手段】ウエーハに存在する欠陥を検査するウエーハ外観検査装置1であって、ウエーハの外観を撮像した外観画像に基づいて、当該ウエーハに設定された検査領域を検査する検査部3を備え、検査部は、外観画像に含まれるウエーハの外縁部の位置を検出する外縁位置検出部31と、外観画像において、外縁部に対する近似線のフィッティング処理を行い当該外縁部に添う位置に第1近似線を生成し、第1近似線に対してウエーハの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線を生成する、近似線生成部32と、外観画像において、第1近似線と第2近似線とで形成された領域を、外周検査領域として設定する、外周検査領域設定部33と、外周検査領域を検査する外周検査部35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハに存在する欠陥を検査するウエーハ外観検査装置であって、
前記ウエーハの外観を撮像した外観画像に基づいて、当該ウエーハに設定された検査領域を検査する検査部を備え、
前記検査部は、
前記外観画像に含まれる前記ウエーハの外縁部の位置を検出する外縁位置検出部と、
前記外観画像において、前記外縁部に対する近似線のフィッティング処理を行い当該外縁部に添う位置に第1近似線を生成し、前記第1近似線に対して前記ウエーハの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線を生成する、近似線生成部と、
前記外観画像において、前記第1近似線と前記第2近似線とで形成された領域を、外周検査領域として設定する、外周検査領域設定部と、
前記外周検査領域を検査する外周検査部とを備えた
ことを特徴とする、ウエーハ外観検査装置。
【請求項2】
ウエーハに存在する欠陥を検査するウエーハ外観検査装置であって、
前記ウエーハの外観を撮像した外観画像に基づいて、当該ウエーハに設定された検査領域を検査する検査部を備え、
前記検査部は、
前記外観画像に含まれる前記ウエーハの外縁部の位置を検出する外縁位置検出部と、
前記外観画像において、前記外縁部に対する近似線のフィッティング処理を行い当該外縁部に添う位置に第1近似線を生成し、前記第1近似線に対して前記ウエーハの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線を生成し、前記第2近似線に対して前記ウエーハの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第3近似線を生成する、近似線生成部と、
前記外観画像において、前記第2近似線と前記第3近似線とで形成された領域を、外周検査領域として設定する、外周検査領域設定部と、
前記外周検査領域を検査する外周検査部とを備えた
ことを特徴とする、請求項1に記載のウエーハ外観検査装置。
【請求項3】
前記外周検査部は、
前記外周検査領域を、前記第1近似線と平行な境界線を有する少なくとも2以上の分割検査領域に分割する検査領域分割部を備え、
前記分割検査領域それぞれに対して異なる検査条件を設定する個別検査条件設定部を備え、
前記外周検査部は、前記分割検査領域を前記外周検査領域として検査する
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のウエーハ外観検査装置。
【請求項4】
前記ウエーハは、前記外縁部の少なくとも一部が円弧状をしており、
前記近似線生成部は、前記第1近似線および前記第2近似線を同心円状の近似曲線として生成する
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のウエーハ外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象となるウエーハの外観を撮像した外観画像に基づいて、当該ウエーハに潜む異物やキズ等の欠陥を検査する、ウエーハ外観検査装置に関する。例えば、ウエーハの表面に形成された半導体デバイス等の外観画像を撮像し、基準画像と比較して当該半導体デバイス等の良否判定を行う、ウエーハ外外観検査装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、1枚の半導体ウエーハ上に多数の半導体デバイス回路(つまり、デバイスチップの繰り返し外観パターン)が層状に重なり合って形成された後、個々のチップ部品に個片化され、当該チップ部品がパッケージングされて、電子部品として単体で出荷されたり電気製品に組み込まれたりする。
【0003】
そして、個々のチップ部品が個片化される前に、ウエーハ上に形成されたデバイスチップの繰り返し外観パターンを撮像した外観画像(検査画像)と基準画像とを比較して、各チップ部品の良否等に関する検査が行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-155610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像した外観画像に基づいて検査を行う場合、ウエーハの外周部より内側の領域は、表面状態が均一なため、外観画像中の輝度も均一となる。よって、欠陥の検出は、明輝度の領域内から暗輝度の部位を検出すれば良いため、比較的容易にできる。
しかし、ウエーハの外周部は、成膜の端部があったり、面取りによる傾斜があったりするため、表面状態が不均一であり、外観画像中の輝度も不均一である。よって、外周部の検査では、明輝度や暗輝度が混ざった領域内から所定輝度の部位を検出する必要があるため、欠陥の検出が難しかった。さらに、正常な部分を欠陥として誤検出(つまり、疑似欠陥として検出)しやすかった。
【0006】
そこで、本発明は、ウエーハの外周部であっても、検出したい欠陥を確実に検出したり、疑似欠陥の検出を防ぐことができる、ウエーハ外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
ウエーハに存在する欠陥を検査するウエーハ外観検査装置であって、
ウエーハの外観を撮像した外観画像に基づいて、当該ウエーハに設定された検査領域を検査する検査部を備え、
検査部は、
外観画像に含まれるウエーハの外縁部の位置を検出する外縁位置検出部と、
外観画像において、外縁部に対する近似線のフィッティング処理を行い当該外縁部に添う位置に第1近似線を生成し、第1近似線に対してウエーハの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線を生成する、近似線生成部と、
外観画像において、第1近似線と第2近似線とで形成された領域を、外周検査領域として設定する、外周検査領域設定部と、
外周検査領域を検査する外周検査部とを備えた
ことを特徴としている。
【0008】
このような態様によれば、ウエーハの外縁部と平行な幅の領域を1つの外周検査領域として設定して、当該領域内を同じ検査基準で検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
ウエーハの外周部であっても、検出したい異物やキズ等の欠陥を確実に検出でき、疑似欠陥の検出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明を具現化する形態の一例の要部を示す概略図である。
図3】本発明を具現化する形態の別の一例の要部を示す概略図である。
図4】本発明を具現化する形態の一例における検査フローの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。また、Z方向を中心軸として回転する方向をθ方向とする。
【0012】
図1は、本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。図1には、本発明に係るウエーハ外観検査装置1を構成する各部が概略的に示されており、ウエーハWの外周部に設定された撮像領域Fを撮像している様子が示されている。
【0013】
ウエーハ外観検査装置1は、ウエーハに存在する欠陥を検査するものである。
具体的には、ウエーハ外観検査装置1は、ウエーハWの外観を撮像した外観画像Gを取得し、取得した外観画像Gを画像処理等して、欠陥を検出するものである。
より具体的には、ウエーハ外観検査装置1は、検査画像取得部2、検査部3、ウエーハ保持部H、撮像部S、相対移動部M、コンピュータCP、コントローラCN等を備えている。
【0014】
なお、本発明の検査対象とするウエーハWとして、略円形状を有しているものを例示する。このウエーハWは、中心Wcから等距離の円弧状の外縁部Weを有しており、外縁部Weの一部にオリエンテーションフラットと呼ばれる直線状の外縁部Wfや、ノッチと呼ばれる凹み部を有している。また、ウエーハWは、径方向をXY方向とし、厚み方向をZ方向に配置して検査が行われるため、ウエーハWの上面側をオモテ面、下面側をウラ面と呼ぶ。
【0015】
検査画像取得部2は、ウエーハWの外観を撮像した外観画像Gを取得するものである。
具体的には、検査画像取得部2は、ウエーハの表面W1および/または外周部W2を所定寸法(所定ピッチとも言う)で分割した領域を含む範囲を撮像領域Fとし、当該撮像領域Fを撮像した外観画像Gを取得するものである。
より具体的には、検査画像取得部2は、詳細を後述する撮像部SとコンピュータCPの入力部で構成されている。
【0016】
図2は、本発明を具現化する形態の一例の要部を示す概略図である。図2(a)には、ウエーハWの外周部の一部を拡大して見下ろした外観図と撮像領域Fの配置例が示されている。図2(b)には、この撮像領域Fを撮像した外観画像Gの一例が示されている。なお、ウエーハWの外周部には、検出すべき欠陥Xとして、円弧状の外縁部Weに生じたクラックX1、表面に生じたキズX2、表面に付着した異物X3が例示されている。
【0017】
検査部6は、ウエーハWの外観を撮像した外観画像Gに基づいて、ウエーハWに設定された検査領域を検査するものである。この検査領域には、外周検査領域R1と表面検査領域R2とが含まれている。
具体的には、検査部6は、検査画像取得部2で取得した外観画像Gに対して所定の画像処理や演算処理等を行い、検査対象領域に存在する欠陥Xを検出するものである。例えば、外観画像Gの各画素に対して処理を行い、基準範囲(閾値とも言う)から外れた画素を欠陥候補として抽出し、当該欠陥候補とされた画素同士が隣接している画素群の面積や長さ、周囲の画素との輝度差等に基づいて、欠陥Xか否を判別したり、欠陥Xの種類(クラック、キズ、異物等)を分類したりして、欠陥Xに関する情報(位置、面積、長さ、種類等)を出力する。
より具体的には、検査部6は、コンピュータCPの処理部や画像処理部と実行プログラムで構成されており、外縁位置検出部31、近似線生成部32、外周検査領域設定部33、検査条件設定部34、外周検査部35、表面検査部36等を備えている。
【0018】
外縁位置検出部31は、外観画像Gに含まれるウエーハWの外縁部Weの位置を検出するものである。
具体的には、外縁位置検出部31は、外観画像Gに含まれるウエーハWと背景Bとの境界の位置を、画像処理等により検出する。
より具体的には、外縁位置検出部31は、背景Bと輝度の異なる複数の画素群を境界T1~T4として検出し、外観画像G内のXY方向の座標上の位置を取得する。そして、外観画像GのXY方向の座標を加味して、これら境界T1~T4の位置を外縁部Weの位置として出力する。
【0019】
近似線生成部32は、外観画像Gにおいて、外縁部Weに対する近似線のフィッティング処理を行い外縁部Weに添う位置に第1近似線S1を生成し、第1近似線S1に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線S2を生成するものである。さらに、近似線生成部32は、第2近似線S2に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第3近似線S3を生成し、第3近似線S3に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第4近似線S4を生成しても良い。
具体的には、近似線生成部32は、ウエーハWのサイズ(つまり、直径)等の情報に基づいて、外観画像GにおけるウエーハWの外縁部Weにフィッティングさせる第1近似線S1の曲率を算出する。そして、最小自乗法等により外縁位置検出部31で検出された境界T1~T4の位置(つまり、ウエーハWの中心Wを基準とするXY方向の座標)に第1近似線S1が添うように、第1近似線S1のフィッティング位置を演算して、第1近似線S1を生成する。そして、近似線生成部32は、予め登録されたオフセット寸法値に基づいて、第1近似線S1に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線S2を生成する。さらに、近似線生成部32は、予め登録されたオフセット寸法値に基づいて、第2近似線S2に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第3近似線S3を生成し、第3近似線S3に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に第4近似線S4を生成する。このとき、これら第2近似線S2ないし第4近似線S4は、第1近似線S1と平行な線として設定され、ウエーハWの中心Wcを基準とする同心円状の近似曲線として生成される。
なお、上述の各近似線S1,S2,S3に対して所定寸法オフセットさせた位置は、外観画像GにおけるウエーハWの外縁部Weより内側の画素の、輝度値が所定範囲から外れる所や急峻に変化する所、出現しやすい欠陥の輝度値に対して所定の輝度差が生じる所等を鑑みて、それぞれオフセット寸法として作業者が予め設定しておく。
【0020】
外周検査領域設定部33は、外観画像Gにおいて、第1近似線S1と第2近似線S2とで形成された領域R1aを、外周検査領域R1として設定するものである。
具体的には、外周検査領域設定部33は、外観画像Gにおいて、第1近似線S1と第2近似線S2とで挟まれた部分の領域を、第1の外周検査領域R1aとして設定する。
より具体的には、外周検査領域設定部33は、外観画像Gにおいて、第1近似線S1と第2近似線S2と外観画像Gの端部とで囲まれた円弧状の領域を、第1の外周検査領域R1aとして設定する。
さらに、外周検査領域設定部33は、外観画像Gにおいて、第2近似線S2と第3近似線S3とで挟まれた部分の領域を第2の外周検査領域R1bとして設定し、第3近似線S3と第4近似線S4とで挟まれた部分の領域を第3の外周検査領域R1cとして設定しても良い。このとき、これら第1~第3の外周検査領域R1a~R1c(つまり、外周検査領域R1)は、ウエーハWの外縁部Weと平行な幅の領域として設定される。
【0021】
検査条件設定部34は、外周検査領域R1に対する検査条件を設定するものである。
具体的には、検査条件設定部34は、外周検査領域R1に存在する欠陥Xを検出するための検査条件を設定するものである。
より具体的には、検査条件設定部34は、第1の外周検査領域R1aや、第2の外周検査領域R1b、第3の外周検査領域R1cの正常状態での平均輝度と、検出対象となる欠陥X(つまり、クラックX1やキズX2、異物X3等)との輝度差や、欠陥と判断するための欠陥候補の画素の面積や長さ等の検査パラメータを、外観画像Gの観察環境、見え方、欠陥の特性等に応じて検査条件を設定する。
【0022】
外周検査部35は、外周検査領域R1を検査するものである。
具体的には、外周検査部35は、第1の外周検査領域R1aを検査するものである。
さらに、外周検査部35は、第2の外周検査領域R1b、第3の外周検査領域R1cを検査しても良い。なお、外周検査部35では、第1~第3の外周検査領域R1a~R1cに対して、個別に検査条件を設定することができ、独立した検査条件で検査が行われる。
より具体的には、外周検査部35は、各外周検査領域R1a~R1cにおいて画像処理等を行い、検査領域の平均輝度の基準範囲(閾値とも言う)を外れた輝度値を有する画素(欠陥候補)を抽出し、欠陥候補の画素同士が隣接している画素群の面積や長さ、周囲の画素との輝度差等に基づいて、欠陥Xの検出を行う。図2(b)を用いて説明すると、外周検査部35は、次のようにして欠陥Xを検出する。
第1の外周検査領域R1aには、平均輝度よりも暗い画素群が外縁部Weから内側に細長く伸びているので、クラックX1があると判別する。
第2の外周検査領域R1bには、平均輝度よりも明るい画素群が所定の面積かつ所定の長さで存在するので、キズX2があると判別する。
第3の外周検査領域R1cには、平均輝度よりも暗い画素群が所定の面積で存在するので、異物X3があると判別する。
【0023】
表面検査部36は、ウエーハWの外周部より内側の領域を検査するものである。
具体的には、表面検査部36は、ウエーハWの外周検査領域R1よりも内側の表面検査領域R2(つまり、ウエーハWのオモテ面および/またはウラ面の平坦な部分)に形成された半導体デバイスの回路パターン等が所定の線幅で形成されているか、当該回路パターン状にキズや異物等がないか等を検査し、欠陥の位置や種類を出力するものである。
より具体的には、表面検査部36は、画像処理等により、表面検査領域R2を撮像した外観画像と予め登録された検査基準画像とを比較し、基準範囲(閾値とも言う)を外れた輝度値を有する画素(欠陥候補)を抽出し、欠陥候補の画素同士が隣接している画素群の面積や長さ、周囲の画素との輝度差等に基づいて、欠陥Xの検出を行う。
【0024】
なお上述では、ウエーハWの外周部Weに第1近似線S1をフィッティングさせ、その第1近似線S1の内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線S2、さらにその内側に第3近似線S3、さらにその内側に第4近似線S4をフィッティングさせ、第1近似線S1と第2近似線S2とで挟まれた領域を第1の外周検査領域R1a、第2近似線S2と第3近似線S3とで挟まれた領域を第2の外周検査領域R1b、第3近似線S3と第4近似線S4とで挟まれた領域を第3の外周検査領域R1cとして設定する構成を示した。
しかし、本発明を具現化する上では、このような構成に限らず、先ず外周検査領域R1を設定し、その後にこの外周検査領域R1を分割する構成であっても良い。
例えば、ウエーハWの外周部Weに第1近似線S1をフィッティングさせ、その第1近似線S1の内側に所定寸法オフセットさせた位置に第2近似線S2をフィッティングさせて外周検査領域R1を設定し、この外周検査領域R1を分割して検査する構成である。
【0025】
図3は、本発明を具現化する形態の別の一例の要部を示す概略図である。図3には、ある撮像領域Fを撮像した外観画像Gの一例が示されている。
【0026】
この場合、検査部3は、検査領域分割部37、個別検査条件設定部38を備えた構成とする。具体的には、検査部3は、図2を用いて上述したもの同様に外縁位置検出部31にて、外観画像Gに含まれるウエーハWと背景Bとの境界T(例えばT1~T4)の位置を、画像処理等により検出する。そして、近似線生成部32では、図3に示す様に、ウエーハWの外周部Weに第1近似線S1をフィッティングさせ、その第1近似線S1の内側に所定寸法オフセットさせた位置(この場合は、外周検査領域の最内周)に第2近似線S2を生成する。
なお、近似線S1の内側に所定寸法オフセットさせる位置は、外観画像GにおけるウエーハWの外縁部Weより内側の画素の、輝度値が所定範囲から外れる所や急峻に変化する所、出現しやすい欠陥の輝度値に対して所定の輝度差が生じる所等を鑑みて、それぞれオフセット寸法として作業者が予め設定しておく。
【0027】
検査領域分割部37は、外周検査領域R1を、第1近似線S1と平行な境界線を有する少なくとも2以上の分割検査領域に分割するものである。
具体的には、検査領域分割部37は、外周検査領域R1に第1近似線S1と平行な境界線D1,D2を設定し、外周検査領域R1をこの境界線D1,D2で分割した、分割検査領域R1e,R1f,R1g等を生成する。つまり、分割検査領域R1eは、第1近似線S1とこれに平行な境界線D1とで挟まれた領域であり、分割検査領域R1fは、境界線D1と境界線D2とで挟まれた領域であり、分割検査領域R1gは、境界線D2と第2近似線S2とで挟まれた領域である。そして、外周検査部35では、これら分割検査領域R1e~R1gそれぞれについて検査する。
なお、外周検査領域R1を分割する境界線D1,D2の位置は、上述のオフセット寸法と同様、外観画像GにおけるウエーハWの外縁部Weより内側の画素の、輝度値が所定範囲から外れる所や急峻に変化する所、出現しやすい欠陥の輝度値に対して所定の輝度差が生じる所等を鑑みて、作業者が予め設定しておく。
【0028】
個別検査条件設定部38は、外周検査領域R1を分割した分割検査領域R1e~R1gそれぞれに対して異なる検査条件を設定するものである。
具体的には、個別検査条件設定部38は、分割検査領域R1e~R1gの場所や観察環境、見え方、欠陥の特性等に応じて検査条件を設定する。
より具体的には、個別検査条件設定部38は、ウエーハWの最外周に設定された分割検査領域R1eであれば、クラックX1を見つけやすい検査条件を設定する。一方、その内側の分離検査領域R1f,R1gについては、これら分割検査領域R1f,R1gの正常状態での平均輝度と、検出対象となる欠陥Xの輝度値等に基づいて検査条件を設定する。
【0029】
なお上述の、検査画像取得部2での外観画像Gの取得や検査部3での検査は、詳細を下述するウエーハ保持部Hと撮像部Sを相対移動部Mで相対移動させて、ウエーハWに対する撮像範囲Fを逐次変更しながら行う。具体的には、一方向に相対移動させながら、照明光L1をストロボ発光させる形態でも良いし、静止状態で撮像と次の撮像位置への移動を繰り返す形態であっても良い。
【0030】
ウエーハ保持部Hは、ウエーハWを保持するものである。
具体的には、ウエーハ保持部Hは、ウエーハWの下面を支え水平状態で保持するものである。より具体的には、ウエーハ保持部Hは、保持面(つまり、ウエーハWの下面と接する側)が平坦な板状部材で構成されており、当該保持面には細孔や溝が形成されている。これら細孔や溝は、切替バルブ等を介して負圧吸引手段と接続されており、ウエーハWを保持面上に置いた状態で負圧吸引手段を作動させると、これら細孔や溝とウエーハWとで形成される空間に吸引力が発生する。そのため、ウエーハWが保持面に吸引されて吸着保持される。
【0031】
撮像部Sは、ウエーハWの外観を撮像し、外観画像Gを出力するものである。
具体的には、撮像部Sは、撮像カメラS1、レンズS2、照明部S3等を備えている。
撮像カメラS1は、ウエーハWの表面や外周部(外縁部We付近)に設定された撮像領域Fを撮像し、外観画像Gとして外部に出力するものである。
具体的には、撮像カメラS1は、所定面積を有する撮像素子(いわゆる、イメージエリアセンサ)を備え、撮像した画像を、映像信号や映像データとして外部(本実施例では、コンピュータCP)に出力するものである。
レンズS2は、撮像領域Fの像を撮像カメラS1の撮像素子に結像させるものである。
照明部S3は、撮像に必要な観察光L2が得られるよう、撮像視野Fに向けて照明光L1を照射するものである。
具体的には、照明部S3は、撮像領域Fに向けて所定の光量の光束を照射するものである。より具体的には、照明部S3は、LED照明やメタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザダイオードなどが例示でき、外部(本実施例では、コントローラCN)からの信号制御に基づいて、発光/消灯を切り替えたり、所定の場所やタイミングでストロボ発光させたりする。
なお、撮像カメラS1や照明部S3は、連結金具など(不図示)を介して装置フレーム1fに取り付けられている。
【0032】
相対移動部Mは、ウエーハ保持部Hと撮像部Sとを相対移動させるものである。
具体的には、相対移動部Mは、X軸スライダーM1と、Y軸スライダーM2と、回転機構M3とを備えて構成されている。
X軸スライダーM1は、装置フレーム1f上に取り付けられており、Y軸スライダーM2をX方向に任意の速度で移動させ、任意の位置で静止させるものである。具体的には、X軸スライダーは、X方向に延びる1対のレールと、そのレール上を移動するスライダー部と、スライダー部を移動および静止させるスライダー駆動部とで構成されている。
Y軸スライダーM2は、コントローラCNから出力される制御信号に基づいて、回転機構M3をY方向に任意の速度で移動させ、任意の位置で静止させるものである。具体的には、Y軸スライダーは、Y方向に延びる1対のレールと、そのレール上を移動するスライダー部と、スライダー部を移動および静止させるスライダー駆動部とで構成されている。
X軸スライダーM1とY軸スライダーM2のスライダー駆動部は、コントローラCNからの信号制御により回転し静止するサーボモータやパルスモータとボールネジ機構を組み合わせたものや、リニアモータ機構などで構成することができる。
回転機構M3は、載置台H1をθ方向に任意の速度で回転させ、任意の角度で静止させるものである。具体的には、回転機構M3は、ダイレクトドライブモータなどの、外部機器からの信号制御により任意の角度に回転/静止させるものが例示できる。回転機構M3の回転する側の部材の上には、ウエーハ保持部Hの載置台H1が取り付けられている。
相対移動部Mは、この様な構成をしているため、検査対象となるウエーハWを保持したまま、ウエーハWを撮像部Sに対してXYθ方向にそれぞれ独立させて又は複合的に、所定の速度や角度で相対移動させたり、任意の位置・角度で静止させたりすることができる。
【0033】
コンピュータCPは、外部から信号やデータを入力し、所定の演算処理や画像処理を行い、外部に信号やデータを出力するものである。
具体的には、コンピュータCPは、以下の機能を実行する。
・ウエーハWのサイズの設定・登録
・撮像視野Fのサイズや撮像位置、撮像ルート等の設定・登録
・外周検査領域R1の幅(つまり、第1近似線S1に対する第2近似線S2のオフセット寸法)の設定・登録
・検査条件(表面検査、外周検査)の設定・登録
・分割撮像領域の分割条件(分割数やオフセット寸法等)の設定・登録数
より具体的には、コンピュータCPは、入力部と出力部、記憶部(レジスタやメモリーと呼ばれる)、制御部と演算部(CPUやMPUと呼ばれる)、画像処理装置(GPUと呼ばれる)、補助記憶装置(HDDやSSDなど)等(つまり、ハードウェア)と、その実行プログラム等(つまり、ソフトウェア)で構成されている。
【0034】
コントローラCNは、外部機器(ワーク保持部H、撮像部S、相対移動部M等の各機器や、コンピュータCP)と信号やデータを入出力し、所定の制御処理を行うものである。具体的には、コントローラCNは、以下の機能を実行する。
・ワーク保持部Hに対して、ウエーハWの保持/解除の信号を出力
・撮像カメラS1に対して、撮像トリガを出力
・照明部S3に対して、ストロボ発光の信号を出力
・相対移動部Mの駆動制御:X軸スライダーM1、Y軸スライダーM2、回転機構M3の現在位置をモニタリングしつつ、駆動用信号を出力し、制御する機能
より具体的には、コントローラCNは、コンピュータCPの一部や専用のプログラマブルロジックコントローラ等(つまり、ハードウェア)と、その実行プログラム等(つまり、ソフトウェア)で構成されている。
【0035】
<運転モードと動作フロー>
図4は、本発明を具現化する形態の一例における検査フローの一例を示すフロー図である。図4には、上述のウエーハ外観検査装置1を用いてウエーハWの外観を撮像した外観画像Gに基づいて、ウエーハWに存在する欠陥Xを検査する構成が、一連のフローとしてステップ毎に示されている。
【0036】
先ず、ウエーハ外観検査装置1の載置台H1にウエーハWを載置する(ステップs10)。そして、このウエーハWに形成されたアライメントマークを読み取る等して、ウエーハWのアライメントを行う。
【0037】
続いて、相対移動部Mを制御して、撮像位置へ移動してウエーハWの外観を撮像する(ステップs11)。そして、外観画像Gを取得し(ステップs12)、外観画像Gに外周検査領域R1が含まれているか判定する(ステップs13)。
【0038】
外観画像Gに外周検査領域R1が含まれていれば、ウエーハWの外縁部Weの位置を検出する(ステップs14)。もし、外観画像Gに外周検査領域R1が含まれていなければ、表面検査部36にてウエーハWの表面の回路パターン等を検査する(ステップs30)。
【0039】
外観画像Gにおいて、ウエーハWの外縁部Weの位置を検出した後、近似線生成部32により第1近似線S1、第2近似線S2等を生成する(ステップs15)。このとき、
第2近似線S2のさらに内側に、第3近似線S3や第4近似線S4を生成しても良い。
【0040】
第1近似線S1と第2近似線S2とで挟まれた領域R1aを外周検査領域R1として設定する(ステップs16)。このとき、第2近似線S2と第3近似線S3とで挟まれた領域R1bや、第3近似線S3と第4近似線S4とで挟まれた領域Rcを外周検査領域R1として設定しても良い。
【0041】
そして、外周検査領域R1を分割するかどうかを判断する(ステップs17)。外周検査領域R1を分割する場合は、検査領域分割部37にて外周検査領域R1に対して分割検査領域R1a~R1c等を設定し(ステップs18)、それぞれの分割検査領域R1a~R1c等を外周検査部35にて検査する(ステップs19)。一方、外周検査領域R1を分割しない場合は、単一の外周検査領域R1を外周検査部35にて検査する(ステップs20)。
【0042】
そして、一連の検査(上述のステップs19,s20,s30)が済めば、次の場所を撮像するかを判断する(ステップs31)。
【0043】
次の場所を撮像する場合は、上述のステップs11~s31を繰り返す。一方、次の場所を撮像しない場合は、ウエーハWを排出し(ステップs32)、次のウエーハWを検査するか判断する(ステップ33)。
【0044】
次のウエーハWを検査する場合は、上述のステップs10~s33を繰り返す。一方、次のウエーハWを検査しない場合は、一連のフローを終了する。
【0045】
なお上述では、検査部3に表面検査部36を備え、外観画像Gに外周検査領域R1が含まれていなければ、表面検査部36にてウエーハWの表面の回路パターン等を検査する構成を例示した。しかし、本発明を具現化する上では、検査部3において表面検査部36は必須の構成ではなく、外周検査部35にて外周検査領域R1に特化した検査を行う構成であっても良い。
【0046】
本発明に係るウエーハ外観検査装置1は、この様な構成をしているため、ウエーハWの外縁部Weと平行な幅の領域を1つの外周検査領域R1として設定して、当該領域R1内を同じ検査基準で検査を行うことができる。そのため、ウエーハWの外周部であっても、検出したい異物やキズ等の欠陥Xを確実に検出でき、疑似欠陥の検出を防ぐことができる。
【0047】
[他の形態・変形例]
なお上述では、ウエーハWの外縁部Weにフィットさせた第1近似線S1とその内側の第2近似線S2とで挟まれた第1の外周検査領域R1aや、外周検査領域R1のうち最外周の分割検査領域R1e(つまり、ウエーハWの外縁部Weのすぐ内側にあたる、最外周領域)を検査する構成を例示した。この様な構成であれば、ウエーハWの外縁部Weに存在するクラックX1を検出できるので好ましい。
しかし、本発明を適用する上で、この領域の検査(つまり、クラックX1の検出)は必須の構成ではなく、最外周領域を省いた領域(つまり、上述の第2の外周検査領域R1bや第3の外周検査領域R1c、分割検査領域R1f、R1g等)を外周検査領域R1として設定し、検査する構成であっても良い。
【0048】
[他の形態・変形例]
なお上述では、ウエーハWの外周部には、検出すべき欠陥Xとして、円弧状の外縁部Weに生じたクラックX1、表面に生じたキズX2、表面に付着した異物X3を例示した。そして、近似線生成部32では、ウエーハWの円弧状の外縁部Weにフィットする円弧状の第1近似線S1を生成し、外周検査領域設定部33では、円弧状の外周検査領域R1を設定する構成を例示した。
しかし、本発明は、この様な円弧状の外縁部Weに設定された外周検査領域R1を検査する形態に限らず、直線状の外縁部Wf(例えば、オリエンテーションフラット部分)を含む外周検査領域に対する検査にも適用できる。
この場合、近似線生成部32では、外観画像Gにおいて、ウエーハWの直線上の外縁部Wfに対する近似直線のフィッティング処理を行い、外縁部Wfに添う位置に直線状の第1近似線S1を生成し、第1近似線S1に対してウエーハWの内側に所定寸法オフセットさせた位置に直線状の第2近似線S2を生成する。そして、外周検査領域設定部33では、外観画像Gにおいて、直線状の第1近似線S1と第2近似線S2とで形成された矩形状の領域を、外周検査領域R1として設定する。そして、外周検査部35では、矩形状の外周検査領域R1を検査する。
【0049】
なお上述では、ウエーハWが円弧状の外縁部Weおよび直線上の外縁部Wfを含む形状を例示したが、円弧状もしくは直線状の外縁部のみを有する形状であっても良い。或いは、楕円や多角形、多次元の近似式でフィッティングできる曲線状の外縁部等を有する形状であっても、本発明を適用して当該ウエーハWの外周検査領域を検査することができる。
【0050】
なお上述では、ウエーハ外観検査装置として、ウエーハ保持部H、撮像部S、相対移動部Mを備え、ウエーハWの外観画像Gを撮像しながら検査画像取得部2にて、外観画像Gを取得する構成を例示した。
しかし、本発明を具現化する上で、ウエーハ保持部H、撮像部S、相対移動部Mは必須の構成ではなく、外部機器で撮像・保存された外観画像Gを検査画像取得部2で取得し、検査部3で検査する構成(いわゆる、オフライン検査方式)であっても良い。
このような構成であっても、ウエーハWの外周部の外周検査領域R1を上述の様に設定して、当該領域内を同じ検査基準で検査を行うことができる。
【0051】
なお上述では、撮像部Sとして、撮像カメラS1と照明部S2とが異なる光軸上に配置された構成を例示したが、照明光L1と観察光L2とが同じ光軸上にある同軸落射方式であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 ウエーハ外観検査装置
2 検査画像取得部
3 検査部
31 外縁位置検出部
32 近似線生成部
33 外周検査領域設定部
34 検査条件設定部
35 外周検査部
36 表面検査部
37 検査領域分割部
38 個別検査条件設定部
H ウエーハ保持部
S 撮像部
M 移動部
CP コンピュータ
CN コントローラ
1f 装置フレーム
H1 載置台
S1 撮像カメラ
S2 レンズ
S3 照明部
M1 X軸スライダー
M2 Y軸スライダー
M3 回転機構
W ウエーハ
We ウエーハの外縁部
F 撮像領域(視野)
G 外観画像
L1 照明光
L2 観察光
R 検査領域
R1 外周検査領域(R1a~R1c等)
R2 表面検査領域
T 境界(T1~T4等)
X 異物・欠陥等(X1~X3等)
図1
図2
図3
図4