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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009502
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】振動フィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20230113BHJP
   B65G 11/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B65G47/14 101B
B65G47/14 T
B65G11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112850
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】591234307
【氏名又は名称】アサヒプリテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 友香
(72)【発明者】
【氏名】久富 広隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 誠
【テーマコード(参考)】
3F011
3F080
【Fターム(参考)】
3F011AA09
3F011BA08
3F011BC03
3F080AA02
3F080BA01
3F080BA02
3F080BC08
3F080BD07
3F080CB02
3F080CB11
(57)【要約】
【課題】複数の搬送対象物が組み合わさった塊状物を搬送過程で分離できる装置を提供すること。
【解決手段】複数の搬送対象物を搬送する振動フィーダであって、振動フィーダは、搬送対象物の収容部と、収容部の外側に設けられた搬送路と、収容部と搬送路とを振動させる振動部と、を備えており、収容部は、底部と、収容部の外周に沿って設けられた壁と、搬送対象物を搬送路に送る第一排出口と、を有しており、排出口は収容部の外周の一部に設けられており、搬送路は、底部と、搬送路の外周に沿って設けられた壁と、搬送対象物の第二排出口と、を有しており、搬送路の底部は、第一排出口から排出された搬送対象物が搬送路の底部に落下するように第一排出口よりも低い位置に設けられており、かつ、搬送路の底部は、収容部側よりも外側の方が低くなった傾斜状態で形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送対象物を搬送する振動フィーダであって、
前記振動フィーダは、
前記搬送対象物の収容部と、
前記収容部の外側に設けられた搬送路と、
前記収容部と前記搬送路とを振動させる振動部と、を備えており、
前記収容部は、
底部と、
前記収容部の外周に沿って設けられた壁と、
前記搬送対象物を前記搬送路に送る第一排出口と、を有しており、
前記排出口は前記収容部の外周の一部に設けられており、
前記搬送路は、
底部と、
前記搬送路の外周に沿って設けられた壁と、
前記搬送対象物の第二排出口と、を有しており、
前記搬送路の底部は、前記第一排出口から排出された前記搬送対象物が前記搬送路の前記底部に落下するように前記第一排出口よりも低い位置に設けられており、かつ、
前記搬送路の底部は、前記収容部側よりも外側の方が低くなった傾斜状態で形成されている振動フィーダ。
【請求項2】
前記収容部の前記底部は、中心から外方向に下傾斜するように円錐状に形成されている請求項1に記載の振動フィーダ。
【請求項3】
前記収容部は、前記収容部の前記底部から前記第一排出口まで前記収容部の壁の内周に沿って螺旋状に上昇するように設けられると共に、前記外周側が低くなった傾斜状態で形成されている搬送路を備えている請求項1または2に記載の振動フィーダ。
【請求項4】
前記振動フィーダは、更に前記第二排出口から搬出された前記搬送対象物の排出用搬送路と、前記排出用搬送路を振動させる振動部と、を備えており、
前記排出用搬送路の長手方向は、前記第二排出口と交差する方向に設けられていると共に、
前記排出用搬送路の底部は、前記第二排出口から搬出された前記搬送対象物が前記排出用搬送路に搬入されるように前記第二排出口近傍に設けられており、
前記排出用搬送路の前記底部は、前記第二排出口側よりも外側の方が低くなった傾斜状態で形成されている請求項1~3のいずれかに記載の振動フィーダ。
【請求項5】
前記排出用搬送路は、前記長手方向の一方端側に第三排出口を有しており、かつ
前記排出用搬送路の前記長手方向は、前記第三排出口側が高くなった傾斜状態で形成されている請求項1~4のいずれかに記載の振動フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動フィーダに関し、詳細には搬送対象物を振動によって移送する振動フィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気製品、自動車、設備機器、工具などの各種製品の製造工程では部品の整列供給手段として、ボウル型振動フィーダが使用されている。ボウル型振動フィーダは螺旋状搬送路が内周に形成された部品収容ボウルと該ボウルを円周方向に振動させる振動部を備えている。ボウルに投入された複数の部品は振動部からの振動により螺旋状の搬送路を移動しながら一列に整列し、排出口から排出されて次工程に供給されている。
【0003】
しかしながら部品が互いに絡まったり、抱き込みなどにより複数の部品が組み合わさった塊状物が部品収容ボウル内に存在すると、フィーダ内の搬送過程で該塊状物を排除して塊状になった部品を組みほどいて個々の部品に分離する必要があった。
【0004】
このような塊状物を排除することなく、搬送過程で塊状物となった部品を組みほどいて分離できる振動フィーダの研究開発がなされており、例えば特許文献1~3のように各種フィーダが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-091384号公報
【特許文献2】特開2012-225542号公報
【特許文献3】特開2019-119603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の搬送対象物が組み合わさった塊状物を搬送過程で分離できる振動フィーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し得た本発明の装置は下記構成を有する。
[1] 複数の搬送対象物を搬送する振動フィーダであって、
前記振動フィーダは、
前記搬送対象物の収容部と、
前記収容部の外側に設けられた搬送路と、
前記収容部と前記搬送路とを振動させる振動部と、を備えており、
前記収容部は、
底部と、
前記収容部の外周に沿って設けられた壁と、
前記搬送対象物を前記搬送路に送る第一排出口と、を有しており、
前記排出口は前記収容部の外周の一部に設けられており、
前記搬送路は、
底部と、
前記搬送路の外周に沿って設けられた壁と、
前記搬送対象物の第二排出口と、を有しており、
前記搬送路の底部は、前記第一排出口から排出された前記搬送対象物が前記搬送路の前記底部に落下するように前記第一排出口よりも低い位置に設けられており、かつ、
前記搬送路の底部は、前記収容部側よりも外側の方が低くなった傾斜状態で形成されている振動フィーダ。
【0008】
[2] 前記収容部の前記底部は、中心から外方向に下傾斜するように円錐状に形成されている[1]に記載の振動フィーダ。
【0009】
[3] 前記収容部は、前記収容部の前記底部から前記第一排出口まで前記収容部の壁の内周に沿って螺旋状に上昇するように設けられると共に、前記外周側が低くなった傾斜状態で形成されている搬送路を備えている[1]または[2]に記載の振動フィーダ。
【0010】
[4] 前記振動フィーダは、更に前記第二排出口から搬出された前記搬送対象物の排出用搬送路と、前記排出用搬送路を振動させる振動部と、を備えており、
前記排出用搬送路の長手方向は、前記第二排出口と交差する方向に設けられていると共に、
前記排出用搬送路の底部は、前記第二排出口から搬出された前記搬送対象物が前記排出用搬送路に搬入されるように前記第二排出口近傍に設けられており、
前記排出用搬送路の前記底部は、前記第二排出口側よりも外側の方が低くなった傾斜状態で形成されている[1]~[3]のいずれかに記載の振動フィーダ。
【0011】
[5] 前記排出用搬送路は、前記長手方向の一方端側に第三排出口を有しており、かつ
前記排出用搬送路の前記長手方向は、前記第三排出口側が高くなった傾斜状態で形成されている[1]~[4]のいずれかに記載の振動フィーダ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の振動フィーダによれば、複数の搬送対象物が組み合わさった塊状物を搬送過程で組みほどいて個々の搬送対象物に分離できる。したがって搬送過程で塊状物を排除して塊状物の組みほどき作業が不要である。また本発明の振動フィーダによれば、搬送対象物の供給時に塊状物が含まれていても一列に整序した搬送対象物を次工程に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の振動フィーダを上からみた概略平面図である。
図2図2図1のA方向からみた概略斜視図である。
図3図3図1のA方向からみた概略側面図である。
図4図4図1のB方向からみた概略側面図である。
図5図5(a)は図1のB方向からみた一部の概略側面図であり、(b)は第二搬送路上(排出口近傍)の搬送対象物の移動方向と、第三搬送路上の搬送対象物の移動方向を上からみた同一平面上に落とし込んだ概略平面図である。
図6図6図1のC部分の概略断面図である。
図7図7(a)は図1のD部分の概略断面図であり、(b)は図1のA方向からみた一部概略側面図である。
図8図8(a)は第三搬送路の概略斜視図であり、(b)は(a)の概略断面図であり、(c)は図1B方向からみた第三搬送路長手方向の概略側面図である。
図9図9(a)は第二搬送路と第三搬送路を上からみた概略平面図であり、(b)は(a)のE方向からみた概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る振動フィーダの構成を図面1~9に基づいて説明する。
本発明の振動フィーダ1は収容部2、収容部2の外側に設けられた搬送路(以下、第二搬送路4という)、収容部2と第二搬送路4を振動させる振動部3を備えている。
振動部3からの振動により、収容部2内の搬送対象物5は底部中心部6a側から徐々に外周側に移動した後、第一搬送路8を第一排出口9に向かって徐々に移動する。第一排出口9に到達した後、搬送対象物5はバランスを崩して第一排出口9から収容部2の外側に設けられた第二搬送路4に落下する。塊状の搬送対象物5は落下途中、或いは落下して第二搬送路4との衝撃により、塊状の搬送対象物5が組みほどかれて分離する。その後、第二搬送路4上の搬送対象物5は振動部3からの振動により、第二排出口11に移動し、第二排出口11から排出される。
【0015】
振動部3
振動部3は所定の振幅で収容部2をねじり振動させるように構成されている。収容部2は底部中心部6aにボルト(図示しない)を挿通して振動部3に固定され、中心軸を中心として周方向に所定の周期、および所定の振幅で振動する。振動の制御は図示しない制御装置によって調整される。
振動部3は所定周期の振動を収容部2、第二搬送路4に伝達する手段であり、振動の発生装置としては各種公知のボウル型振動フィーダの振動装置を使用できる。振動手段も限定されず、例えば電磁石、圧電素子、ソレノイドアクチュエータ、流体圧アクチュエータの変位カム機構を介して振動に変換する等、ボウル型振動フィーダに採用されている振動手段を採用できる。
振動部3から加振によって収容部2を振動させることにより、収容部2内の搬送対象物5は第一排出口9に向かって一定方向に移動し、第一排出口9から搬出される。
同様に振動部3からの加振によって第二搬送路4を振動させることにより、第二搬送路4内の搬送対象物5は第二排出口11に向かって一定方向、具体的には上記収容部2内の搬送対象物5と同一方向に移動し、第二排出口11から搬出される。
【0016】
収容部2
収容部2は、底部6、壁7、第一排出口9とを有する。
壁7は底部6の外周に沿って設けられており、底部6と壁7とで構成される収容部2内に搬送対象物5を収容する。壁7の高さは任意の高さに設定できるが、振動部3からの振動により跳ね上がった搬送対象物5が壁7の上端部を超えて収容部2外に出ない高さとすることが好ましい。
第一排出口9は上記外周の一部に設けられている。振動部3からの振動によって第一排出口9に到達した搬送対象物5は第一排出口9から収容部2の外側に設けられた第二搬送路4に排出される。
【0017】
収容部2の好ましい実施形態として収容部2の底部6は中心部6aが最も高い位置にあって、中心部6aから外方向、すなわち壁7方向に下傾斜するように円錐状に形成されている。傾斜6d(図6)は特に限定されず、振動により搬送対象物5が外側(外周方向)に移動できる程度でよい。
底部6の外周に沿って設けられた壁7と底部6とで構成される収容部2はボウル状となっており、収容部2内に搬送対象物5を収容できる。収容部2は壁7が垂直に立ち上がっている円筒形状ボウルであってもよいし、壁7の上側が外側に広がっている円錐状ボウルであってもよい。収容部2は既存のパーツフィーダのボウルを使用できる。
第一排出口9は外周の一部に設けられており、好ましくは壁7に設けられている。第一排出口9の設置高さは特に限定されないが、後記する第一搬送路8を設ける場合は底部6の外周付近よりも第一排出口9は高い位置に設けることが好ましい。
【0018】
収容部2外側には好ましくは第一搬送路8が設けられており、収容部2の底部6から第一排出口9まで途切れることなく接続するように壁7の内周に沿って設けられている。第一搬送路8は好ましくは底部6から第一排出口9まで壁7の内周に沿って螺旋状に上昇するように設けられる。
第一搬送路8の螺旋の傾斜は振動により搬送対象物5が上り移動できる程度であればよい。螺旋の傾斜が緩やかな程、搬送対象物5は振動によって第一排出口9に向かって移動させやすい。
【0019】
また第一搬送路8は幅方向でみると収容部2の壁7側が低くなった傾斜状態で形成されている(図6)。
第一搬送路8は壁7側が低くなった傾斜状態にすることで第一搬送路8上の搬送対象物5は振動により、壁7側に略一列に均されながら、第一排出口9に向かって移動する。
第一搬送路8の幅は搬送対象物5に応じて適宜設定すればよく、搬送対象物5が第一搬送路8からはみ出さない幅とすることが好ましい。第一搬送路8の幅方向の傾斜8d(図6)は特に限定されず、搬送対象物5が上記のように移動できる程度でよい。
【0020】
第二搬送路4
収容部2の外側には第二搬送路4が設けられており、第二搬送路4の底部4bは、前記第一排出口9から排出された搬送対象物5が第二搬送路4の底部4bに落下するように第一排出口9よりも低い位置に設けられている。
第二搬送路4の底部4bには、収容部2側と反対側の外周に沿って壁4cが設けられている。
更に底部4bは、収容部2側(壁7側)よりも外側(壁4c側)の方が低くなった傾斜状態で形成されている(図7a)。第二搬送路4を外側に傾斜させることで振動部3からの振動により搬送対象物5は底部4bと壁4cに接して略一列に均されながら第二排出口11に移動する。
【0021】
第二搬送路4は収容部2の外側、すなわち、壁7の外側に沿って設けることが好ましく、この構成により振動部3からの振動を利用して第二搬送部4に移送された搬送対象物5を第二排出口11に向かって移動させることができる。この構成では第二搬送路4を移動する搬送対象物5の移動方向は収容部2内を移動する搬送対象物5の移動方向と同じ方向側であるため、第二排出口11は移動方向下流側に設ける必要がある。
【0022】
収容部2の外側に設けた第二搬送路4は、第二搬送路4の収容部2側端部4aは収容部2に接して設けることがより好ましい。第二搬送路4の収容部2側端部4aが収容部2に接していると収容部2と共に第二搬送路4を振動させることができると共に、第一排出口9から排出された搬送対象物5を第二搬送路4系外に逸脱することなく移送できる。なお、振動部3からの振動が第二搬送路4に伝達できるのであれば、第二搬送路4は収容部2以外の箇所、例えば振動部3外周に接して備えられていてもよい。
【0023】
第二搬送路4の位置は第一排出口9よりも低い位置に設けられている。第一排出口9から排出された搬送対象物5は略垂直に落下して第二搬送路4に移動する。
落下時の衝撃により塊状物が分離する。すなわち、複数の個体が組み合わさって形成されていた塊状物は、底部4bとの衝突の衝撃により、塊状物が組みほどかれて個々の搬送対象物5に分解される。
この際、第二搬送路4の底面4bからみて第一排出口9までの高さが高くなるほど、落下して第二搬送路4の底面と衝突した際に塊状物が受ける衝撃が大きくなり、塊状物の分解効果が大きくなる。
第二搬送路4から第一排出口9までの高さh(図7b)は搬送対象物5の種類や大きさに応じて上記塊状物の分解効果が得られるように設定すればよい。例えば高さhは塊状物となっていない個々の搬送対象物5のうち、最大の搬送対象物5の大きさに対して好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上でもよい。また高さhの上限は搬送対象物5により異なるが、高さhは搬送対象物5が落下後に跳ね上がって第二搬送路4外に逸脱しないように設定すればよく、例えば高さhは搬送対象物5の大きさに対して5倍以下である。なお、搬送対象物5の大きさは搬送対象物5の最大長さである(以下、最大径ということがある)。
【0024】
第二搬送路4の底部4bは、幅方向でみると収容部2側よりも外側(収容部2とは反対側)の方が低くなった傾斜状態で形成されている。具体的には径方向断面でみた場合、第二搬送路4の底部4bは水平面に対して収容部2側よりも外側(壁4c側)の方が低くなった傾斜状態で形成されている(図7a)。
例えばこの第二搬送路4の底部4bの傾斜4dは、水平に対して5°以上、30°以下が好ましい。底部4bの傾斜4dが小さすぎると噛み合わさって形成された塊状物が分解されなかったり、分解されたとしても複数の搬送対象物5を進行方向に一列に整列できないことがある。底部4bの傾斜4dが大きすぎると落下衝撃が緩和されて塊状物が分解されなかったり、分解されたとしても第二搬送路4の外側にスライドするスピードが早いために、第二搬送路4を移動している他の搬送対象物5と組み合わされて新たな塊状物を形成することがある。
【0025】
第二搬送路4の幅、すなわち、第二搬送路4の壁4c側から収容部2側端部4a側までの幅が狭すぎると落下により分離した搬送対象物5が、第二搬送路4上の他の搬送対象物5と接触するなどして新たな塊状物を形成することがある。したがって第二搬送路4の幅は、このような塊状物ができないように搬送対象物5の大きさに応じて広くすることが好ましく、例えば第一搬送路8の幅よりも広くしてもよい。あるいは第二搬送路4の幅は例えば搬送対象物5の好ましくは最大径以上、より好ましくは最大径の1.5倍以上であって、搬送対象物5の好ましくは最大径の4倍以下、より好ましくは最大径の2倍以下としてもよい。
【0026】
第二搬送路4は長手方向でみると、第一排出口9側から第二排出口11までは水平であってもよいし、いずれか一方に傾斜していてもよい。
図示例では第二搬送路4は勾配が設けられておらず、始端から終端に至るまで略水平に形成されている(図3)。第二搬送路4が水平に設けられていると搬送対象物5を移動させるための推力が小さくて済むため、勾配を設けた場合と比べると第二排出口11に向けて搬送対象物5を円滑に移動させることが可能となる。
【0027】
第二排出口11から搬出された搬送対象物5は、別工程に供給してもよいが、更に第二排出口から搬出された搬送対象物5を排出用搬送路(以下、第三搬送路12という)に供給することが好ましい。搬出された搬出対象物5を第三搬送路12に供給すると搬送対象物5間に適切な間隔を設けることができる。第三搬送路12は搬送対象物5を直線的に搬送するリニアフィーダであることが好ましい。第三搬送路12にリニアフィーダを用いる場合、第二搬送路4とは搬送対象物5の移動に必要な振動方向が異なるため、上記振動部3とは異なる振動部14を設けることが好ましい。振動部14は一方向に搬送対象物5を移動させる振動を加振できればよく、公知のリニアフィーダ用の振動部を採用できる。
したがって本発明の振動フィーダ1は、更に第三搬送路12と、該第三搬送路12を振動させる振動部14と、を備えていることが好ましい。
【0028】
第三搬送路12の長手方向は、第二排出口11と交差する方向に設けられていることが好ましい。第二排出口上の搬送対象物5の移動方向15aに対して、第三搬送路12上の搬送対象物5の移動方向15bが、上からみた同一平面上で交差する方向になるように第三搬送路12を設けることで(図5b)、第二排出口11から供給される搬送対象物5間の間隔を保つことができる。
第三搬送路12の長手方向が第二排出口11と同じ方向、すなわち搬送対象物5の移動方向が同じ方向である場合(共に15a方向)、第二排出口11から供給された搬送対象物5が、その前後で供給された搬送対象物5と重なりが生じて塊状物になったり、搬送対象物5同士の間隔を保つことができないことがある。
【0029】
第三搬送路12の底部12bは、前記第二排出口11から搬出された搬送対象物5が第三搬送路12に搬入されるように第二排出口11近傍に設けることが好ましい。具体的には第二排出口11から搬出された搬送対象物5が第三搬送路12外に逸脱しないように第三搬送路12と第二排出口11との位置関係を調整することが好ましい。
【0030】
第三搬送路12の底部12bと第二排出口11の高さh2(図5a)は特に限定されず、高低差を設けてもよいし、高低差をなくしてもよい。高低差を設けると塊状物が残存していた場合に分解できる。高低差を設ける場合、第三搬送路12の底部12bと第三排出口13との高さh2が高すぎると、第三搬送路12上で搬送対象物5が跳ねて搬送対象物5同士が重なって塊状物になることがある。したがって第三搬送路12の底部12bと第二排出口11との高さh2はできるだけ低いことが好ましい。例えば第二排出口11と第三搬送路12の底部12bとの高さh2は、振動によって両者が接触しない程度の高さとすることが好ましい。また第二排出口11の端部と該端部に近接する第三搬送路12との間に隙間が生じて該隙間に搬送対象物5が引っかかることがないように配置することが好ましい。例えば上からみたときに第二排出口11の端部に近接する第三搬送路12(第二排出口11側)が第二排出口11の下側に重なるようにして隙間が生じないようにすると共に(図9a)、側面からみたときに(図9(a)のE方向)、第二排出口11と第3搬送路12が振動で接触しない程度に高さh2を設定することである(図9b)。
【0031】
また第三搬送路12の底部12bは、径方向断面でみた場合、第三搬送路12の底部12bは水平面に対して第二排出口11側よりも外側(壁12c側)の方が低くなった傾斜状態で形成されていることが好ましい(図8b)。第三搬送路12の底部12bを傾斜させると第二排出口11から排出された搬送対象物5は第三搬送路12の壁12c側に移動するため、その後に排出された他の搬送対象物5と重なりを抑制できる。また第三搬送路12を外側が低くなるように傾斜させると共に、外側に沿って壁12cを設けることで振動部14からの振動により搬送対象物5は底部12bと壁12cに接して略一列に均されながら第三排出口13に移動する。第三搬送路12の幅方向の傾斜12d(図8b)は上記のような効果が得られるように設定すればよいが、例えば水平に対して5°以上~30°以下が好ましい。
【0032】
更に第三搬送路12の長手方向は、第二排出口11側、すなわち一方端側から、第三排出口13側、すなわち他方端側まで水平であってもよいが、第三排出口13側が上り勾配となるように傾斜していることが好ましい(図8c)。搬送対象物5の進行方向を上り勾配とすることで搬送対象物5同士の間隔を設けることができる。搬送対象物5同士の間隔(距離)は特に限定されないが、前後の搬送対象物5同士が第三搬送路12上で接触しない間隔であり、より好ましくは、第三排出口13から次工程に排出された搬送対象物5が、その後ろの第三排出口13付近の搬送対象物5と接触しない間隔である。第三排出口13から搬送対象物5が供給される別工程が例えばベルトコンベアなどの搬送工程である場合に、別工程に供給した搬送対象物5の移動速度が遅いと、第三排出口13から供給される後続の搬送対象物5と接触することがある。
上り勾配の角度12eは上記効果が得られるように適宜設定すればよいが、好ましくは0°超、より好ましくは1°以上である。搬送対象物5の重量などによって異なるが、上り勾配の角度12eが大きすぎると、移動速度が遅くなりすぎることがあるため、好ましくは2°未満である。
【0033】
第三搬送路12の長さは特に限定されず、設置スペースや、前後の搬送対象物5の間隔、供給スピードなどを考慮して適宜調整すればよい。第三搬送路の長さが長くなる程、同じ傾斜角度でも前後の搬送対象物5間の間隔が広くなる傾向がある。そのため第三搬送路12の長さが長くなる程、搬送対象物5の時間当たりの供給スピードも減少する。
【0034】
搬送対象物5
搬送対象物5は本発明の装置を構成するものではないが、便宜的に図中に記載している。以下、本発明の処理対象となる好適な搬送対象物5について説明する。なお、搬送対象物5は下記例示に限定されない。
本発明の搬送対象物5は、同一形状、サイズを有するもの、あるいは相互に形状・サイズが異なるもののいずれでもよい。
搬送対象物5の形状が棒状であったり、有孔形状であると搬送対象物5の具体的な種類にかかわらず塊状物を形成しやすい。特に相互に形状、サイズが異なる搬送対象物5が混在していると、絡み合ったり、抱き込み、嵌合などによって複数の搬送対象物5が組み合わされて塊状物を形成しやすい。本発明の振動フィーダを用いると塊状物を組みほぐして個々の搬送対象物5に分離できる。
本発明の振動フィーダ1は塊状物や搬送対象物5の大きさに応じた装置構成としてもよい。
【0035】
本発明の振動フィーダ1は各種工業製品の製造工程で使用される部品類だけでなく、各種廃棄物も搬送対象物5にできる。
部品類としてはネジ、ボルト、ナットなどの固定具、コンデンサ、コイル、抵抗などの電子部品;その他各種製品製造部品;製造中間品などが例示される。
廃棄物としては貴金属、鉄、非鉄などの有価金属材料;ゴム、プラスチック、木などの有機物材料;ガラス、シリコン、セラミックスなどの無機非金属材料などが挙げられる。また廃棄物は溶解、燃焼、物理選別などの前処理が施されたものであってもよい。廃棄物の具体例としては上記部品類の他、指輪等の宝飾品類、歯科詰め物廃棄物などが挙げられる。
【符号の説明】
【0036】
1 振動フィーダ
2 収容部
3 振動部
4 第二搬送路
4a 第二搬送路の収容部側端部
4b 第二搬送路の底部
4c 第二搬送路の壁
4d 第二搬送路の勾配
5 搬送対象物
6 底部
6a 底部中心部
6d 収容部の底部の勾配
7 壁
8 第一搬送路
8d 第一搬送路の勾配
9 第一排出口
10 挿入孔
11 第二排出口
12 第三搬送路
12b 第三搬送路の底部
12c 第三搬送路の壁
12d 第三搬送路の幅方向勾配
12e 第三搬送路の上り勾配
13 第三排出口
14 振動部
15a、15b 搬送対象物の移動方向
h、h2 高さ
図1
図2
図3
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図5
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図9