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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095020
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/14 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
G01B5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210668
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 正訓
(72)【発明者】
【氏名】小牧 靖史
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062EE01
2F062EE62
2F062HH05
2F062LL11
2F062MM01
(57)【要約】
【課題】蓋部材によって閉じられる内部空間の空間寸法を高精度かつ容易に検査する。
【解決手段】検査装置は、内部空間と、内部空間の開口を閉じる透明な蓋部材と、を有する検査対象体を検査する検査装置であって、内部空間の位置決め面に接する位置決め部と、内部空間の基準壁面に接する基準部と、蓋部材が内部空間の開口を閉じた状態で、基準壁面に対向する蓋部材の内壁面に接する接触子を有し、内壁面の位置を検知するための検知部と、を備え、内部空間の基準壁面と蓋部材の内壁面との間の空間寸法を検査する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と、前記内部空間の開口を閉じる透明な蓋部材と、を有する検査対象体を検査する検査装置であって、
前記内部空間の位置決め面に接する位置決め部と、
前記内部空間の基準壁面に接する基準部と、
前記蓋部材が前記内部空間の前記開口を閉じた状態で、前記基準壁面に対向する前記蓋部材の内壁面に接する接触子を有し、前記内壁面の位置を検知するための検知部と、を備え、
前記内部空間の前記基準壁面と前記蓋部材の前記内壁面との間の空間寸法を検査する、検査装置。
【請求項2】
前記検知部が設けられ、前記蓋部材の前記内壁面に対して接離する方向に移動するスライド部材と、
前記空間寸法が前記空間寸法の寸法公差における最小値となる第1位置と、前記空間寸法が前記寸法公差における最大値となる第2位置とに前記接触子が位置するように前記スライド部材を移動させる切り替え部材と、を更に備え、
前記空間寸法が前記寸法公差の範囲内であるか否かを検査する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記切り替え部材が着脱可能に装着される装着部と、
前記スライド部材を一方向に移動させるように付勢する付勢部材と、を更に備え、
前記切り替え部材は、前記装着部に装着されたときに、前記接触子が前記第1位置と前記第2位置における一方の位置に位置するように前記スライド部材を移動させる作動片を有し、
前記スライド部材は、前記切り替え部材が前記装着部から取り外されたときに、前記付勢部材の付勢力によって、前記接触子が前記第1位置と前記第2位置における他方の位置に位置するように移動される、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記スライド部材を一方向に移動させるように付勢する付勢部材と、を更に備え、
前記切り替え部材は、回転可能に設けられ、前記接触子が前記第1位置と前記第2位置に位置するように前記スライド部材を移動させるカム部と、前記カム部を回転させる操作部と、を有する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記接触子が前記第1位置よりも前記内部空間の前記基準壁面側の第3位置に位置するように前記スライド部材を規制する規制部材を更に備える、
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記基準部が前記基準壁面に接した状態で、前記内部空間に配置された前記検査装置を固定する固定部材を更に備え、
前記固定部材は、前記基準部に設けられた内側固定磁石と、前記内部空間の前記基準壁面を挟んで前記検査対象体の外側に配置されて前記内側固定磁石に吸着される外側固定磁石と、を有する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記接触子が可動する押込み型スイッチを有する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検知部の検知結果に応じて点灯または消灯する点灯部を有する、
請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記検知部の検知結果に応じて音を発する発音部を有する、
請求項7または8に記載の検査装置。
【請求項10】
内部空間と、前記内部空間の開口を閉じる透明な蓋部材と、を有する検査対象体を検査する検査装置であって、前記内部空間の位置決め面に接する位置決め部と、前記内部空間の基準壁面に接する基準部と、前記蓋部材が前記内部空間の前記開口を閉じた状態で、前記基準壁面に対向する前記蓋部材の内壁面に接する接触子を有し、前記内壁面の位置を検知するための検知部と、を備え、前記内部空間の前記基準壁面と前記蓋部材の前記内壁面との間の空間寸法を検査する、検査装置を用いて、
前記検査装置の前記位置決め部を前記内部空間の前記位置決め面に接触させて位置決めし、
前記検査装置の前記基準部を前記基準壁面に接触させ、
前記蓋部材を閉じることで前記蓋部材の前記内壁面を前記接触子に対向する位置に移動し、
前記接触子と前記内壁面との接触状態に基づいて、前記内部空間の前記基準壁面と前記蓋部材の前記内壁面との間の空間寸法を検査する、検査方法。
【請求項11】
複数の前記内部空間が前記基準壁面に沿う方向に並んで設けられた前記検査対象体を検査するとき、前記複数の内部空間のうち、前記基準壁面に沿う方向に対して間隔をあけた各内部空間に、前記検査装置をそれぞれ同時に配置して検査する、
請求項10に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の採血管が収容される収容部を備える採血管準備装置が知られている。この種の採血管準備装置には、収容部の内部空間の開口を開閉する透明な蓋部材としてのトップカバーを備えるものがある。
【0003】
このような採血管の収容部の製造工程の一例としては、トップカバー等の構成部品によって収容部を組み立て後、内部空間の空間寸法が所定寸法であるか否かを検査する検査工程がある。この検査工程では、トップカバーによって閉じられた内部空間に測定機器を入れて測定機器を操作することが困難である。このため、検査工程では、例えば、全長に対して所定の遊び寸法が確保された多数の試験用採血管を内部空間に収容し、内部空間における試験用採血管の収容状態を確認、例えば、試験用採血管を収容部から正常に繰り出せる否かを確認することで、内部空間の空間寸法の間接的な検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/189604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、多数の試験用採血管を用いて内部空間の空間寸法の間接的な検査を行う検査工程は、検査作業が煩雑であり、例えば、多数の試験用採血管の寸法のバラツキにより、内部空間の空間寸法を高精度に測定することが難しい。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、蓋部材によって閉じられる内部空間の空間寸法を高精度かつ容易に検査することができる検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する検査装置の一態様は、内部空間と、前記内部空間の開口を閉じる透明な蓋部材と、を有する検査対象体を検査する検査装置であって、前記内部空間の位置決め面に接する位置決め部と、前記内部空間の基準壁面に接する基準部と、前記蓋部材が前記内部空間の前記開口を閉じた状態で、前記基準壁面に対向する前記蓋部材の内壁面に接する接触子を有し、前記内壁面の位置を検知するための検知部と、を備え、前記内部空間の前記基準壁面と前記蓋部材の前記内壁面との間の空間寸法を検査する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する検査装置の一態様によれば、蓋部材によって閉じられる内部空間の空間寸法を高精度かつ容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の検査装置を用いて内部空間が検査される採血管準備装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施例1の検査装置を用いて検査される採血管準備装置の内部空間を示す斜視図である。
図3図3は、実施例1の検査装置を用いて内部空間が検査される採血管準備装置を説明するための縦断面図である。
図4図4は、実施例1の検査装置を用いて検査される収容部の内部空間を上方から示す斜視図である。
図5図5は、実施例1の検査装置を示す側面図である。
図6図6は、実施例1の検査装置の要部を示す側面図である。
図7図7は、実施例1の検査装置の要部を示す斜視図である。
図8図8は、実施例1の検査装置の検知部を示す斜視図である。
図9A図9Aは、実施例1において内部空間の空間寸法が最小値以上であることを検知する状態を示す平面図である。
図9B図9Bは、実施例1において内部空間の空間寸法が最大値以下であることを検知する状態を示す平面図である。
図10図10は、実施例1の検査装置を用いた検査手順を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、実施例2の検査装置を示す側面図である。
図12図12は、実施例2の検査装置の要部を示す側面図である。
図13図13は、実施例2の検査装置の要部を示す斜視図である。
図14図14は、実施例2の検査装置における検知部を説明するための平面図である。
図15図15は、実施例2の検査装置における切り替え部材を示す斜視図である。
図16図16は、実施例2の検査装置における切り替え部材を説明するための側面図である。
図17図17は、実施例2の検査装置を用いた検査手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する検査装置及び検査方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する検査装置及び検査方法が限定されるものではない。
【実施例0011】
まず、実施例1の検査装置を用いて検査される採血管準備装置について説明する。図1は、実施例1の検査装置を用いて内部空間が検査される採血管準備装置の外観を示す斜視図である。図2は、実施例1の検査装置を用いて検査される採血管準備装置の内部空間を示す斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、採血管準備装置1は、トップカバーTC、サイドカバーSC及びフロントカバーFCを有する筐体を備えており、内部の各部が開閉可能に構成されている。トップカバーTCは、透明な樹脂材料によって形成されており、後述する収容部6A、6Bの内部が透視可能となっている。フロントカバーFCには、後述する採血管供給装置2及ラベル貼付け装置3を操作するための操作パネル5が設けられている。図1及び図2において、採血管準備装置1の幅方向をX方向、採血管準備装置1の奥行き方向をY方向、採血管準備装置1の高さ方向をZ方向として示す。図3以降においても、図1及び図2と同様に、X、Y、Z方向をそれぞれ示す。
【0013】
図3は、実施例1の検査装置を用いて内部空間が検査される採血管準備装置1を説明するための縦断面図である。図3に示すように、採血管準備装置1は、採血管供給装置2と、採血管供給装置2から供給された採血管4にラベルを貼り付けるラベル貼付け装置3と、を備える。採血管供給装置2は、採血管4が収容される複数の収容部6A、6Bと、各収容部6A、6Bから採血管4を繰り出す繰出部7と、繰出部7から繰り出された採血管4を搬送する搬送部8と、を備える。
【0014】
複数の収容部6A及び複数の収容部6Bは、X方向に並んで配置されている。収容部6A及び収容部6Bには、例えば、大きさが異なる採血管4が収容される。各収容部6A、6Bの内部空間20には、採血管4の長さ方向をY方向に沿って横向きとした姿勢で、複数の採血管4がZ方向に積み重ねて配列されている。この収容部6A、6Bが後述する検査装置21によって検査される検査対象体であり、トップカバーTCによって開口が閉じられる収容部6A、6Bの内部空間20の空間寸法が検査される。繰出部7は、収容部6A、6Bの下部に配置されており、収容部6A、6B内から採血管4を繰り出す。搬送部8は、X方向に沿って往復移動する搬送部材9を有しており、搬送部材9よって繰出部7から採血管4を搬送することで、採血管4をラベル貼付け装置3に供給する。
【0015】
図3に示すように、ラベル貼付け装置3は、台紙11に接着層(図示せず)を介してラベル12が設けられたシート10を供給するシート供給機構16と、ラベル12に印字する印字部17と、を備える。シート供給機構16は、シート10が巻かれたロールシートである供給ロール23と、ラベル12が剥がされた台紙11を巻き取る巻取ロール26と、を有する。
【0016】
また、ラベル貼付け装置3は、シート供給機構16によって送られたシート10からラベル12を剥離する剥離部材18と、シート10の送り方向(X方向)におけるラベル12の前端が台紙11から剥離されたラベル12を採血管4の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構19と、を備える。また、ラベル貼付け装置3は、手動でラベル12を採血管4に貼り付けるために、手動用の供給ロール28を有するシート供給機構27と、手動用の供給ロール28から供給されたラベル12に印字する印字部29と、を備える。
【0017】
図4は、実施例1の検査装置を用いて検査される収容部6A、6Bの内部空間を上方から示す斜視図である。以上のように構成された採血管準備装置1は、図3及び図4に示すように、製造工程において、収容部6A、6Bの内部空間におけるY方向に沿う寸法が、本実施例の検査装置21を用いて検査される。収容部6A、6Bは、内部空間20のY方向に沿う空間寸法が同一である。
【0018】
検査装置21は、内部空間20と、内部空間20の開口を閉じるトップカバーTCと、を有する収容部6を検査するための、いわゆる寸法検査治具であり、収容部6A、6B(以下、収容部6とも称する。)の内部空間20に取り付けられて、トップカバーTCによって閉じられた内部空間20の空間寸法Sを検査する。
【0019】
図4に示すように、収容部6は、側壁6aによって囲まれて形成されている。収容部6の内部空間20は、Y方向における一端側に、Y-Z平面に沿って形成された基準壁面20Aを有する。基準壁面20Aは、収容部6を形成する側壁6aの内壁面である。また、基準壁面20Aは、検査装置21を、内部空間20のX方向に対して位置決めする位置決め面としても機能する。
【0020】
トップカバーTCは、図1及び図2に示すように、X方向に沿う回転軸24まわりに回転可能に設けられている。トップカバーTCは、回転軸24まわりに回転して収容部6の内部空間20の開口を閉じたときに、内部空間20の基準壁面20Aと対向する内壁面20BがY-Z平面に沿って形成された側壁部25を有する。
【0021】
検査装置21は、収容部6の内部空間20がトップカバーTCによって閉じられた状態で、内部空間20のY方向における一端側の基準壁面20Aと、Y方向における他端側の内壁面20Bとの間の空間寸法Sが所定の寸法公差の範囲であるか否かを検査する。また、図3に示すように、採血管準備装置1は、収容部6を支持するフレーム22を有する。収容部6において、フレーム22におけるX方向に沿う端面28aが、内部空間20に設置される検査装置21を、内部空間20のZ方向に対して位置決めする位置決め面20Cとして用いられる。位置決め面20Cは、X-Y平面に沿って形成されている。
【0022】
(検査装置の構成)
図5は、実施例1の検査装置21を示す側面図である。図6は、実施例1の検査装置21の要部を示す側面図である。図7は、実施例1の検査装置21の要部を示す斜視図である。図5図7では、基準壁面20Aが形成された側壁6aを有する収容部6の一部のみを示している。
【0023】
図5図6及び図7に示すように、実施例1の検査装置21は、収容部6の内部空間20の位置決め面20Cに接する位置決め部30と、内部空間20の基準壁面20Aに接する基準部31と、トップカバーTCが内部空間20の開口を閉じた状態でトップカバーTCの内壁面20Bの位置を検知するための検知部32と、を備える。
【0024】
また、検査装置21は、検知部32が設けられ、トップカバーTCの内壁面20Bに対して接離するX1、X2方向に移動するスライド部材34と、スライド部材34を移動させる切り替え部材35と、スライド部材34をX方向に対して移動可能に支持するガイド部36と、を備える。
【0025】
また、検査装置21は、切り替え部材35が着脱可能に装着される装着部37と、スライド部材34をX方向における一方向、すなわち基準壁面20Aから離れるX1方向に移動させるように付勢する付勢部材としての引張コイルばね38と、を備える。
【0026】
位置決め部30は、Y方向に間隔をあけて設けられた一対の位置決め板30aを有する。各位置決め板30aの下端には、内部空間20の位置決め面20Cに接する載置面30bが、X-Y平面に沿って形成されている。また、位置決め板30aには、収容部6の下部に設けられた構造部(図示せず)が進入する切欠き部30cが、載置面30bからZ方向に沿って切り欠かれている。
【0027】
基準部31は、基準壁面20Aに突き当てられる突き当て部材31aを有しており、突き当て部材31aがガイド部36に固定されている。突き当て部材31aには、基準壁面20Aに接する突き当て面31bがY-Z平面に沿って形成されている。
【0028】
検知部32は、トップカバーTCが内部空間20の開口を閉じた状態でトップカバーTCの内壁面20Bに接する接触子32aを有する。接触子32aは、スライド部材34における、トップカバーTCの内壁面20B側の端部に一体に形成されている。接触子32aは、スライド部材34の端部から内壁面20B側に向かって突出する平板状に形成されている。したがって、接触子32aは、スライド部材34の移動に伴ってX方向に移動される。
【0029】
スライド部材34は、X方向に沿って延びて形成されており、ガイド部36における後述のガイドローラ36bによってX方向に移動可能に支持されている。スライド部材34は、引張コイルばね38の一端が掛けられる支持片34aと、切り替え部材35によってスライド部材34が操作される操作片34bと、を有する。
【0030】
スライド部材34の端部に形成された接触子32aは、空間寸法Sがその寸法公差における最小値Sminとなる第1位置としての最小位置P1と、空間寸法Sがその寸法公差における最大値Smaxとなる第2位置としての最大位置P2とに、スライド部材34の移動に伴って移動するように設けられている。
【0031】
切り替え部材35は、ガイド部36に形成された装着部37に着脱可能に設けられている。切り替え部材35には、スライド部材34の操作片34bを移動させる作動片35aが形成されている。切り替え部材35が装着部37に装着されたときに作動片35aがスライド部材34の操作片34bに接することで、接触子32aが最小位置P1となる。また、装着部37近傍の内壁面20B側には、切り替え部材35が装着部37から取り外されたときにX1方向に移動するスライド部材34の操作片34bに接する規制片39が設けられており、操作片34bが規制片39に接したときに接触子32aが最大位置P2に停止される。このように切り替え部材35は、装着部37に対してY方向に着脱されることで、接触子32aが最小位置P1と最大位置P2とに位置するようにスライド部材34を移動させる。
【0032】
ガイド部36は、スライド部材34を挟んで配置される一対の平板状のガイド板36aを有する。ガイド板36aは、Z-X平面に沿って配置されており、スライド部材34をX方向に移動可能に支持する複数のガイドローラ36bが回転自在に設けられている。一対のガイド板36aのうちの一方のガイド板36aには、引張コイルばね38の他端が掛けられる支持片36cが設けられている。
【0033】
装着部37は、一対のガイド板36aのうちの他方のガイド板36aに開口として形成されており、スライド部材34の操作片34bの移動範囲に対応する位置に設けられている。すなわち、装着部37は、切り替え部材35が装着部37に装着されたときに切り替え部材35の作動片35aがスライド部材34の操作片34bに接触し、この操作片34bがX2方向に移動されるように設けられている。
【0034】
図8は、実施例1の検査装置21の検知部32を示す斜視図である。図9Aは、実施例1において内部空間20の空間寸法Sが最小値Smin以上であることを検知する状態を示す平面図である。図9Bは、実施例1において内部空間20の空間寸法Sが最大値Smax以下であることを検知する状態を示す平面図である。
【0035】
具体的には、図8及び図9Aに示すように、切り替え部材35が装着部37に装着されたとき、切り替え部材35の作動片35aがスライド部材34の操作片34bに接触し、引張コイルばね38の付勢力に抗してスライド部材34をX2方向に移動させる。スライド部材34の移動に伴って接触子32aが最小位置P1に移動し、基準壁面20Aと接触子32aの先端との間の距離は寸法公差の最小値Sminとなる。
【0036】
一方、切り替え部材35が装着部37から取り外されたとき、図9Bに示すように、引張コイルばね38の付勢力によってスライド部材34がX1方向に移動されることで接触子32aが最大位置P2に移動し、基準壁面20Aと接触子32aの先端との間の距離が寸法公差の最大値Smaxとなる。最大値Smaxと最小値Sminの差である寸法公差は、例えば、1[mm]~数[mm]程度に設定されている。このため、切り替え部材35の作動片35aは、X方向に対する厚みが寸法公差と等しく形成されている。
【0037】
したがって、検査装置21は、図9Aに示すように、最小位置P1の接触子32aにトップカバーTCの内壁面20Bが接するか否か、図9Bに示すように、最大位置P2の接触子32aにトップカバーTCの内壁面20Bが接するか否かによって、収容部6の内部空間20の空間寸法Sが寸法公差の範囲内であるか否かを検査する。つまり、検査装置21では、接触子32aが、最小位置P1で内壁面20Bと接することなく、最大位置P2で内壁面20Bと接することで、内部空間20の空間寸法Sが所定の寸法公差の範囲内であると判定される。
【0038】
なお、実施例1は、切り替え部材35が装着部37に装着されたときに寸法公差が最小値Sminとなるように接触子32aが最小位置P1に移動され、切り替え部材35が装着部37から取り外されたときに寸法公差が最大値Smaxとなるように接触子32aが最大位置P2に移動されるが、この切り替え構造に限定されるものではない。実施例1における切り替え動作とは逆に、切り替え部材35が装着部37に装着されたときに寸法公差が最大値Smaxとなるように接触子32aが最大位置P2に移動され、切り替え部材35が装着部37から取り外されたときに寸法公差が最小値Sminとなるように接触子32aが最小位置P1に移動されてもよい。この場合、スライド部材34は、引張コイルばね38の付勢力によってX2方向に付勢される。
【0039】
さらに、図5図6及び図7に示すように、検査装置21は、接触子32aが第3位置である初期位置P3に位置するようにスライド部材34を規制する規制部材41と、基準部31が基準壁面20Aに接した状態で、内部空間20に配置された検査装置21を固定する固定部材43と、を備える。
【0040】
接触子32aの初期位置P3は、空間寸法Sの寸法公差の最小値Sminとなる最小位置P1よりも内部空間20の基準壁面20A側の位置である。このように接触子32aは、最小位置P1よりも基準壁面20A側に向かって移動可能に設けられることで、内部空間20の空間寸法Sが最小値Sminよりも小さい場合に最小位置P1に位置する接触子32aがトップカバーTCの内壁面20Bと衝突したときであっても、衝撃を吸収するように接触子32aが初期位置P3側へ移動可能な遊びが確保される。このため、最小位置P1に位置する接触子32aや内壁面20Bの損傷を防ぐことができる。る。なお、接触子32aは、初期位置P3において、ガイド部36のガイド板36aの間の内部に退避するように設定されてもよい。これにより、検査装置21が内部空間20に設置されるときに、規制部材41によって接触子32aが初期位置P3に規制されていることで、接触子32aやスライド部材34が内部空間20の周囲に衝突して損傷することを防ぐことができる。
【0041】
規制部材41は、ガイド部36に設けられた内側規制磁石41aと、収容部6の側壁6aを挟んで内側規制磁石41aに吸着される外側規制磁石41bと、を有する。内側規制磁石41aは、一対のガイド板36aの間に固定されている。外側規制磁石41bは、内側規制磁石41aとの間に、基準壁面20Aが形成された側壁6aを挟むように収容部6の外側に配置される。
【0042】
内側規制磁石41aが外側規制磁石41bに吸着されることで、スライド部材34の位置が規制され、接触子32aが初期位置P3に保持される。外側規制磁石41bには、取っ手41cが設けられており、収容部6の外側から外側規制磁石41bを容易に取り扱うことができる。内側規制磁石41aと外側規制磁石41bは、いわゆるN極磁石とS極磁石である。
【0043】
固定部材43は、基準部31の突き当て部材31aに設けられた内側固定磁石43aと、収容部6の側壁6aを挟んで内側固定磁石43aに吸着される外側固定磁石43bと、を有する、外側固定磁石43bは、内側固定磁石43aとの間に、基準壁面20Aが形成された側壁6aを挟むように収容部6の外側に配置される。
【0044】
内側固定磁石43aが外側固定磁石43bに吸着されることで、側壁6aの基準壁面20Aに接した状態で基準部31が一時的に固定される。外側固定磁石43bには、取っ手43cが設けられており、収容部6の外側から外側固定磁石43bを容易に取り扱うことができる。内側固定磁石43aと外側固定磁石44bは、いわゆるN極磁石とS極磁石である。
【0045】
なお、外側規制磁石41b、外側固定磁石43bは、収容部6の側壁6aの外側に配置された保護板(図示せず)を介して、内側規制磁石41a、内側固定磁石43aにそれぞれ吸着されることで、収容部6の側壁6aの損傷を防げる。
【0046】
(実施例1の検査装置21を用いた検査手順)
図10は、実施例1の検査装置21を用いた検査手順を説明するためのフローチャートである。検査装置21は、収容部6の内部空間20の位置決め面20Cに、位置決め部30の位置決め板30aの載置面30bが接すると共に、内部空間20の基準壁面20Aに、基準部31の突き当て部材31aの突き当て面31bが接するように内部空間20に配置される。これにより、検査装置21は、位置決め面20CによってZ方向に位置決めされる共に基準壁面20AによってX方向に対して位置決めされ、図8に示すように、内部空間20の所定位置に検査装置21が設置される(ステップS1)。
【0047】
続いて、検査装置21は、内側固定磁石43aと、収容部6の外側に配置された外側固定磁石43bが、基準壁面20Aが形成された側壁6aを挟むように吸着されることで、基準壁面20Aに固定される(ステップS2)。また、検査装置21は、内側規制磁石41aと、収容部6の外側に配置された外側規制磁石41bが、側壁6aを挟むように吸着されることで、スライド部材34の位置が規制され、接触子32aが初期位置P3に保持される。
【0048】
次に、検査装置21は、装着部37に切り替え部材35が装着される(ステップS3)と共に外側規制磁石41bが取り外されることで、スライド部材34の操作片34bが切り替え部材35の作動片35aに接するまでスライド部材34がX1方向に移動し、接触子32aが初期位置P3から最小位置P1に移動する。これにより、検査装置21は、基準部31の突き当て面31bと接触子32aの先端との間のX方向に対する距離が、内部空間20の寸法公差の最小値Sminに設定される。
【0049】
続いて、検査装置21の使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、トップカバーTCによって内部空間20を閉じる(ステップS4)。使用者は、トップカバーTCによって内部空間20が閉じられたときに、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、検知部32の接触子32aの先端との接触状態により、内部空間20が最小値Sminであるか否かを、透明なトップカバーTCを通して目視で判定する(ステップS5)。すなわち、検知部32において、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、最小位置P1に位置する接触子32aの先端とが接しない場合、内部空間20の空間寸法Sが最小値Smin以上であると判定される。厳密には、内部空間20の空間寸法Sが最小値Sminよりも大きいことが判定される。
【0050】
次に、使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、内部空間20を開く(ステップS6)。検査装置21は、装着部37から切り替え部材35が取り外される(ステップS7)ことで、スライド部材34の操作片34bが、装着部37近傍に設けられた規制片39に接するまでスライド部材34がX1方向に移動し、接触子32aが最小位置P1から最大位置P2へ移動する。これにより、検査装置21は、基準部31の突き当て面31bと接触子32aの先端との間のX方向に対する距離が、内部空間20の寸法公差の最大値Smaxに設定される。
【0051】
続いて、使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、トップカバーTCによって内部空間20を閉じる(ステップS8)。使用者は、トップカバーTCによって内部空間20が閉じられたときに、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、検知部32の接触子32aの先端との接触状態により、内部空間20が最大値Smaxであるか否かを、透明なトップカバーTCを通して目視で判定する(ステップS9)。すなわち、検知部32において、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、最大位置P2に位置する接触子32aの先端とが接した場合、内部空間20の空間寸法Sが最大値Smax以下であると判定される。
【0052】
(検査方法)
実施例1の検査方法は、上述した検査装置21を用いて、検査装置21の位置決め部30を内部空間20の位置決め面20Cに接触させて位置決めし、検査装置21の基準部31を基準壁面20Aに接触させ、トップカバーTCを閉じることでトップカバーTCの内壁面20Bを接触子32aに対向する位置に移動し、接触子32aと内壁面20Bとの接触状態に基づいて、内部空間20の基準壁面20AとトップカバーTCの内壁面20Bとの間の空間寸法Sを検査する。
【0053】
また、採血管準備装置1のように複数の内部空間20が基準壁面20Aに沿うY方向に並んで設けられた収容部6A、6Bを検査するとき、複数の内部空間20のうち、基準壁面20Aに沿うY方向に対して間隔をあけた各内部空間20に、検査装置21をそれぞれ同時に配置して検査する(図3参照)。これにより、Y方向に並んだ複数の収容部6全体としての内部空間20の空間寸法Sを検査することが可能になり、基準壁面20Aに沿う方向に間隔をあけて配置された複数の検査装置21を用いて検査することで、内部空間20の空間寸法Sの検査精度を更に高められる。
【0054】
なお、この検査方法は、複数の内部空間20が個別に並んで設けられた収容部6に限定されず、1つの内部空間20が基準壁面20Aに沿うY方向に延びて形成された収容部6を検査する場合、1つの内部空間20におけるY方向の両側に2つの検査装置21をそれぞれ配置して検査してもよく、本実施例1と同様の効果が得られる。
【0055】
(実施例1の効果)
実施例1の検査装置21は、内部空間20の位置決め面20Cに接する位置決め部30と、内部空間20の基準壁面20Aに接する基準部31と、トップカバーTCが内部空間20の開口を閉じた状態で、トップカバーTCの内壁面20Bに接する接触子32aを有して内壁面20Bの位置を検知するための検知部32と、を備える。検査装置21によって、内部空間20の基準壁面20AとトップカバーTCの内壁面20Bとの間の空間寸法Sを検査する。これにより、検知部32の接触子32aと内壁面20Bとの接触状態に基づいて、トップカバーTCによって閉じられた内部空間20の空間寸法Sを高精度かつ容易に検査することができる。
【0056】
その結果、検査装置21によれば、内部空間20の空間寸法Sが所定の寸法公差を満たす収容部6の生産性を高めることができる。例えば、収容部6の組立工程において、収容部6の組立後、検査装置21を用いて収容部6の内部空間20の空間寸法Sの検査を実施することにより、内部空間20の空間寸法Sが寸法交差を満たさない不良品が後工程に流れることを避けられる。
【0057】
また、実施例1の検査装置21は、検知部32が設けられてトップカバーTCの内壁面20Bに対して接離するX1、X2方向に移動するスライド部材34と、空間寸法Sがその寸法公差における最小値Sminとなる最小位置P1と、空間寸法Sがその寸法公差における最大値Smaxとなる最大位置P2とに接触子32aが位置するようにスライド部材34を移動させる切り替え部材35と、備える。これにより、トップカバーTCによって閉じられた内部空間20の空間寸法Sが寸法公差の範囲内であるか否かを容易に検査することができる。
【0058】
また、実施例1の検査装置21は、切り替え部材35が着脱可能に装着される装着部37と、スライド部材34を一方向に移動させるように付勢する引張コイルばね38と、を備える。切り替え部材35は、装着部37に装着されたときに、接触子32aが最小位置P1と最大位置P2における一方の位置に位置するようにスライド部材34を移動させる作動片35aを有する。スライド部材34は、切り替え部材35が装着部37から取り外されたときに、引張コイルばね38の付勢力によって、接触子32aが最小位置P1と最大位置P2における他方の位置に位置するようにスライド部材34を移動する。これにより、装着部37に対して切り替え部材35を着脱することで、スライド部材34の移動によって、空間寸法Sが寸法公差の最小値Sminと最大値Smaxとなるように容易に切り替えることができる。
【0059】
また、実施例1の検査装置21は、接触子32aが最小位置P1よりも内部空間20の基準壁面20A側の初期位置P3に位置するようにスライド部材34を規制する規制部材41を備える。これにより、内部空間20の空間寸法Sが最小値Sminよりも小さい場合に、最小位置P1に位置する接触子32aがトップカバーTCの内壁面20Bと衝突したときであっても、衝撃を吸収するように接触子32aが初期位置P3側へ移動することにより、接触子32aや内壁面20Bの損傷を防ぐことができる。
【0060】
また、実施例1の検査装置21は、基準部31が基準壁面20Aに接した状態で、内部空間20に配置された検査装置21を固定するための内側固定磁石43a及び外側固定磁石43bを有する固定部材43を備える。これにより、内部空間20に配置された検査装置21を容易に固定することができる。
【0061】
以下、実施例2について図面を参照して説明する。実施例2において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。実施例2は主に、検知部が押し込み型スイッチを有する点と、切り替え部材が回転操作される点で実施例1と異なる。
【実施例0062】
図11は、実施例2の検査装置を示す側面図である。図12は、実施例2の検査装置の要部を示す側面図である。図13は、実施例2の検査装置の要部を示す斜視図である。
【0063】
図11図12及び図13に示すように、実施例2の検査装置51は、トップカバーTCが内部空間20の開口を閉じた状態でトップカバーTCの内壁面20Bの位置を検知するための検知部52と、検知部52が設けられたスライド部材34を移動させる切り替え部材53と、を備える。
【0064】
検査装置51は、実施例1における内側規制磁石41a及び外側規制磁石41bを有する規制部材41を備えておらず、切り替え部材53のみによってスライド部材34が移動される。また、検査装置51において、引張コイルばね38は、付勢力によってスライド部材34をX2方向に移動させるように、一端がガイド板36aに掛けられると共に他端がスライド部材34に掛けられている。なお、実施例2における位置決め部30の位置決め板30a、ガイド部36のガイド板36aは、実施例1と大きさや細部が異なるが、実施例1と同様の機能を有する。
【0065】
図14は、実施例2の検査装置51における検知部52を説明するための平面図である。図13及び図14に示すように、検知部52は、スライド部材34における内壁面20B側の端部に配置されている。検知部52は、接触子54aが可動する押込み型スイッチ54と、押込み型スイッチ54を支持してスライド部材34の端部に固定される支持部材55と、スライド部材34のX方向に対する支持部材55の位置を調整するための調整部材56と、を有する。
【0066】
図14に示すように、押込み型スイッチ54は、固定ネジ57によって支持部材55に固定されており、内壁面20Bによって接触子54aが押し込まれたとき接触子54aがX-Y平面内で回動するように設けられている。
【0067】
接触子54aは、初期位置Q1から検知位置Q2に移動したときに接触子54aと内壁面20Bとの接触が検知され、検知位置Q2から可動限界位置Q3まで移動可能に設けられている。接触子54aは、検知位置Q2に移動したときに、実施例1のように最小位置P1及び最大位置P2となるように設定されている。押込み型スイッチ54には、接触子54aの回転を規制する回転規制板58が設けられており、回転規制板58の規制片58aに接触子54aが接することにより、接触子54aが可動限界位置Q3で停止する。
【0068】
支持部材55は、X方向に長穴状の調整穴55aと、調整穴55aに通される調整ネジ55bと、を有しており、スライド部材34のX方向に対して位置を調整可能に設けられている。調整穴55aは、長径がX方向に延びる長穴として形成されている。
【0069】
調整部材56は、支持部材55と連結された棒状に形成されており、図示しないが、スライド部材34の端部に形成されたネジ穴に差し込まれたネジ部を有する。調整部材56は、スライド部材34のネジ穴に対してネジ部が回転されることにより、スライド部材34に対して支持部材55がX方向に調整され、X方向に対する押込み型スイッチ54の接触子54aの位置が調整される。このように調整を行うことにより、押込み型スイッチ54の検知精度を適正に確保できる。
【0070】
図15は、実施例2の検査装置51における切り替え部材53を示す斜視図である。図16は、実施例2の検査装置51における切り替え部材53を説明するための側面図である。図15及び図16に示すように、切り替え部材53は、回転つまみとしてガイド板36aに回転可能に設けられおり、偏心軸53aと、偏心軸53aがその中心に対して偏心して配置された円板状のカム部53bと、偏心軸53aまわりにカム部53bを回転させる操作部53cと、を有する。
【0071】
偏心軸53aは、ガイド部36のガイド板36aに固定されている。カム部53bは、スライド部材34の操作片34bにカム部53bの外周面が接するように配置されている。このため、切り替え部材53が偏心軸53aまわりに回転操作されることで、カム部53bの外周面は、偏心軸53aに対する偏心量の変化に応じてスライド部材34の操作片34bをX方向に移動させて、スライド部材34の移動に伴って押込み型スイッチ54の接触子54aを移動させる。
【0072】
偏心軸53aには、カム部53bの回転位置を規制する第1規制ピン58Aと第2規制ピン58Bが、偏心軸53aまわりの中心角において180度の間隔をあけて、偏心軸53aの径方向に沿ってそれぞれ設けられている。言い換えると、偏心軸53aの周方向において、第2規制ピン58Bは、偏心軸53aの中心を挟んで第1規制ピン58Aとは反対側に配置されている。
【0073】
ガイド部36のガイド板36aには、カム部53bの第1規制ピン58Aが接する第1規制片59Aと、カム部53bの第2規制ピン58Bが接する第2規制片59Bが、カム部53bの外周部の周囲にそれぞれ設けられている。第1規制片59Aと第2規制片59Bは、第1規制ピン58Aと第2規制ピン58Bが、第1規制片59Aと第2規制片59Bにそれぞれ接することで、切り替え部材53が偏心軸53aまわりに90度の範囲内で回転するようにカム部53bの周囲に配置されている。
【0074】
また、切り替え部材53のカム部53bの外周面には、カム部53bの回転位置を保持するための凹部(図示せず)が形成されている。切り替え部材53のカム部53bの外周部の周囲には、第1規制ピン58Aが第1規制片59Aに接したときにカム部53bの凹部に係合する第1保持部材61Aと、第2規制ピン58Bが第2規制片59Bに接したときにカム部53bの凹部に係合する第2保持部材61Bがそれぞれ設けられている。第1保持部材61A及び第2保持部材61Bとしては、例えば、ボールキャッチが用いられており、カム部53bの凹部に係合するように進退するボールを有する。
【0075】
(切り替え部材の動作)
以上のように形成された切り替え部材53は、図16に示すように、操作部53cによってカム部53bが偏心軸53aまわりの一方向、例えば、時計まわりに回転されることで、カム部53bの第1規制ピン58Aが第1規制片59Aに接する第1回転位置R1でカム部53bの回転が停止する。第1回転位置R1でカム部53bの回転が停止したとき、カム部53bの凹部に第1保持部材61Aが係合することで、カム部53bは第1回転位置R1に保持される。
【0076】
このとき、カム部53bの回転に伴って、カム部53bの外周面によってスライド部材34の操作片34bがX1方向に移動されることで、引張コイルばね38の付勢力に抗してスライド部材34がX1方向に移動される。スライド部材34の移動に伴って押込み型スイッチ54の接触子54aが最小位置P1に移動し、基準壁面20Aと接触子32aの先端との間の距離は、空間寸法Sの寸法公差の最小値Sminに設定される。
【0077】
次に、切り替え部材53は、操作部53cによってカム部53bが偏心軸53aまわりの他方向、例えば、反時計まわりに回転されることで、カム部53bの第2規制ピン58Bが第2規制片59Bに接する第2回転位置R2でカム部53bの回転が停止する。第2回転位置R2でカム部53bの回転が停止したとき、カム部53bの凹部に第2保持部材61Bが係合することで、カム部53bは第2回転位置R2に保持される。
【0078】
このとき、カム部53bの回転に伴って、カム部53bの外周面によってスライド部材34の操作片34bがX1方向に移動されることで、引張コイルばね38の付勢力に抗してスライド部材34がX1方向に移動される。スライド部材34の移動に伴って押込み型スイッチ54の接触子54aが最大位置P2に移動し、基準壁面20Aと接触子32aの先端との間の距離は、空間寸法Sの寸法公差の最大値Smaxに設定される。
【0079】
また、実施例2の検査装置51は、検知部52の検知結果に応じて点灯または消灯する点灯部61と、点灯部615及び検知部52の電源状態をオン、オフに切り替える電源スイッチ62と、を備える。電源スイッチ62は、ガイド部36の内部に設けられた図示しない電源部と接続されており、電源部と点灯部61とを電気的に接続すると共に、電源部と検知部52とを電気的に接続する。
【0080】
点灯部61は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ランプ61aを有しており、ガイド部36の上部に配置されている。点灯部61は、押込み型スイッチ54の接触子54aと内壁面20Bとの接触状態に応じてLEDランプ61aが点灯または消灯する。使用者は、検査装置51が設置された収容部6の外部から、トップカバーTCを通して内部空間における点灯部61の点灯状態を目視することで、検知部52の検知状態を容易に判定することができる。本実施例2の検査装置51では、電源スイッチ62によって電源がオンにされたときに、点灯部61のLEDランプ61aが点灯し、押込み型スイッチ54の接触子54aが押し込まれたときに消灯する。これにより、点灯部61の点灯状態の変化によって検知部52の検知状態が判定される。
【0081】
なお、実施例2の検査装置51は、図示しないが、点灯部61の代わりに、検知部52の検知結果に応じて各種の情報を表示する表示部を備えてもよい。表示部は、接触子54aと内壁面20Bとの接触状態に応じて、表示パネルの表示色が変化したり、表示パネルに文字等を表示したりするように構成されてもよい。
【0082】
また、実施例2の検査装置51は、図示しないが、点灯部61の代わりに、検知部52の検知結果に応じて音を発する発音部を備えてもよい。発音部は、例えば、ブザー、スピーカ等が用いられる。なお、検査装置51は、点灯部61と発音部の両方を備えてもよく、検知部52の検知状態の判定を更に容易に行える。
【0083】
また、実施例2における検知部52の押込み型スイッチ54は、X-Y平面内で回動する接触子54aを有するが、この構造に限定されるものではない。押込み型スイッチ54は、スライド部材34の移動方向である水平方向(X方向)に対して進退する接触子や、Z-X平面内で上下方向に対して回動する接触子を有するように構成されてもよい。
【0084】
(実施例2の検査装置51を用いた検査手順)
図17は、実施例2の検査装置51を用いた検査手順を説明するためのフローチャートである。検査装置51は、収容部6の内部空間20の位置決め面20Cに、位置決め部30の位置決め板30aの載置面30bが接すると共に、内部空間20の基準壁面20Aに、基準部31の突き当て部材31aの突き当て面31bが接するように内部空間20に配置される。これにより、検査装置51は、位置決め面20CによってZ方向に位置決めされる共に基準壁面20AによってX方向に対して位置決めされ、図17に示すように、内部空間20の所定位置に検査装置21が設置される(ステップS11)。
【0085】
続いて、検査装置51は、内側固定磁石43aと、収容部6の外側に配置された外側固定磁石43bが、基準壁面20Aが形成された側壁6aを挟むように吸着されることで、基準壁面20Aに固定される(ステップS12)。検査装置51の使用者は、電源スイッチ62によって電源をオンにすることで、点灯部61のLEDランプ61aが点灯する(ステップS13)。
【0086】
次に、検査装置51は、切り替え部材53の操作部53cが時計まわりに回転操作され(ステップS14)、切り替え部材53のカム部53bの回転に伴ってスライド部材34がX1方向に移動されることで、押込み型スイッチ54の接触子54aが最小位置P1に移動する。これにより、検査装置51は、基準部31の突き当て面31bと接触子54aの先端との間のX方向に対する距離が、内部空間20の寸法公差の最小値Sminに設定される。
【0087】
続いて、検査装置51の使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、トップカバーTCによって内部空間20を閉じる(ステップS15)。使用者は、トップカバーTCによって内部空間20が閉じられたときに、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、検知部52の接触子54aの先端との接触状態に応じて、点灯部61のLEDランプ61aの点灯状態が変化し、透明なトップカバーTCを通して目視で点灯状態を判定する。
【0088】
すなわち、検知部52において、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、最小位置P1に位置する接触子54aの先端とが接しない場合、点灯部61のLEDランプ61aが点灯されたままとなる。点灯部61が点灯している場合には、内部空間20の空間寸法Sが最小値Smin以上であると判定される(ステップS16)。厳密には、内部空間20の空間寸法Sが最小値Sminよりも大きいことが判定される。一方、このとき、内壁面20Bと接触子54aとが接した場合には、点灯部61のLEDランプ61aが消灯され、内部空間20の空間寸法Sが最小値Smin未満であると判定される。
【0089】
次に、使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、内部空間20を開く(ステップS17)。検査装置51は、切り替え部材53の操作部53cが反時計まわりに回転操作され(ステップS18)、切り替え部材53のカム部53bの回転に伴ってスライド部材34がX1方向に移動されることで、押込み型スイッチ54の接触子54aが最大位置P2に移動する。これにより、検査装置51は、基準部31の突き当て面31bと接触子54aの先端との間のX方向に対する距離が、内部空間20の寸法公差の最大値Smaxに設定される。
【0090】
続いて、使用者は、収容部6に対してトップカバーTCを回転させて、トップカバーTCによって内部空間20を閉じる(ステップS19)。使用者は、トップカバーTCによって内部空間20が閉じられたときに、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、検知部52の接触子54aの先端との接触状態に応じて、点灯部61のLEDランプ61aの点灯状態が変化し、透明なトップカバーTCを通して目視で点灯状態を判定する。
【0091】
すなわち、検知部52において、トップカバーTCの側壁部25の内壁面20Bと、最大位置P2に位置する接触子54aの先端とが接した場合、点灯部61のLEDランプ61aが消灯する。点灯部61が消灯した場合には、内部空間20の空間寸法Sが最大値Smax以下であると判定される(ステップS20)。一方、このとき、内壁面20Bと接触子54aとが接さない場合には、点灯部61のLEDランプ61aが点灯したままとなり、内部空間20の空間寸法Sが最大値Smaxよりも大きいと判定される。
【0092】
(実施例2の効果)
実施例2の検査装置51は、接触子54aが可動する押込み型スイッチ54を有する検知部52を備えることにより、接触子54aと内壁面20Bとの接触状態を目視することなく、検知部52の検知結果に基づいて、トップカバーTCによって閉じられた内部空間20の空間寸法Sを高精度かつ容易に検査することができる。その結果、検査装置51によれば、内部空間20の空間寸法Sが所定の寸法公差を満たす収容部6の生産性を高めることができる。
【0093】
また、検査装置51は、検知部52の検知結果に応じて点灯または消灯する点灯部61を有することで、点灯部61の点灯状態を目視することにより、内部空間20の空間寸法Sが寸法公差内であるかを容易に検査できる。また、検査装置51は、検知部52の検知結果に応じて音を発する発音部を有することで、収容部6に設置された検査装置51の目視が難しい検査環境であっても、検査装置51を目視することなく、発音部が発する音により、内部空間20の空間寸法Sが寸法公差内であるかを容易に検査できる。
【0094】
ところで、例えば、透明なトップカバーTCが半透明である場合や、薄暗い環境で検査する場合、内部空間20の透視が不鮮明になるおそれがある。特に、検知部を目視で判定するときに、接触子と内壁面20Bとの間隙が寸法公差の中央値付近であれば、接触子と内壁面20Bの接触状態の有無の判定を容易に行えるが、内部空間20の空間寸法Sが最小値Smin及び最大値Smaxに限りなく近づいたとき、例えば、間隙が0.1mm以下のときに接触状態の有無の判定が困難になる。このような場合には、接触状態を目視で判定し易くなるように検出部の位置を調整する工程が必要になる。これに対して実施例2の検査装置51によれば、トップカバーTCの光透過性や検査環境に関わらず、例えば、点灯部61の点灯状態や、発音部が発する音によって、接触子54aと内壁面20Bとの間隙を目視することなく容易に検査することができる。
【0095】
また、空間寸法Sが寸法公差の最小値Sminに近い内部空間20を検査する場合、寸法公差の最大値Smaxに設定された接触子と、トップカバーTCの内壁面20Bとの干渉量(X方向における重なり量)が大きくなる。このため、内部空間20を閉じたときのトップカバーTCの内壁面20Bと接触子が衝突するおそれがあり、接触子の位置が最大位置P2からずれたり、トップカバーTCの内壁面20Bに損傷が発生したりする不都合がある。これに対して実施例2の検査装置51によれば、内壁面20Bの位置に応じて接触子54aが移動する押込み型スイッチ54を備えることで、空間寸法Sが寸法公差の最小値Sminに近い内部空間20を検査する場合であっても、接触子54aと内壁面20Bの衝突が避けられるので、接触子54aの位置ずれによる検査精度の低下や、トップカバーTCの内壁面20Bの損傷を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 採血管準備装置
6(6A、6B) 収容部(検査対象体)
20 内部空間
20A 基準壁面
20B 内壁面
20C 位置決め面
21 検査装置
30 位置決め部
30a 位置決め板
31 基準部
31a 突き当て部材
32 検知部
32a 接触子
34 スライド部材
35 切り替え部材
35a 作動片
37 装着部
38 引張コイルばね(付勢部材)
41 規制部材
41a 内側規制磁石
41b 外側規制磁石
43 固定部材
43a 内側固定磁石
43b 外側固定磁石
51 検査装置
52 検知部
53 切り替え部材
54 押込み型スイッチ
54a 接触子
53b カム部
53c 操作部
61 点灯部
S 空間寸法
Smin 最小値
Smax 最大値
TC トップカバー(蓋部材)
P1 最小位置(第1位置)
P2 最大位置(第2位置)
P3 初期位置(第3位置)
図1
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図9A
図9B
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