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特開2023-95033無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、及び拡声方法
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  • 特開-無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、及び拡声方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095033
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、及び拡声方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230629BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210685
(22)【出願日】2021-12-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】鹿瀬島 恵子
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG09
5H301GG10
5H301KK02
5H301KK08
(57)【要約】
【課題】無人飛行体により拡声される音声の連続性を維持する。
【解決手段】管理装置10は、拡声装置をそれぞれ有する無人飛行体501及び無人飛行体502と通信する通信部と、無人飛行体501及び無人飛行体502に、対象エリアに音声コンテンツを拡声させる拡声動作及び飛行動作を実行させる制御部とを備える。制御部は、飛行中の無人飛行体501のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、無人飛行体501の拡声装置の拡声情報を取得し、同充電情報に応じて無人飛行体502の飛行動作を開始させ、対象エリアにおいて、飛行中の無人飛行体501の拡声動作に代えて、無人飛行体502の拡声動作を拡声情報に基づき開始させる。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡声装置をそれぞれ有する第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体と通信する通信部と、
前記第1の無人飛行体及び前記第2の無人飛行体に、対象エリアにおいて音声コンテンツを拡声する拡声動作及び飛行動作を実行させる制御部と、
を備える拡声システムであって、
前記制御部は、
飛行中の前記第1の無人飛行体のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、
前記第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を取得し、
前記充電情報に応じて前記第2の無人飛行体の飛行動作を開始させ、
前記対象エリアにおいて、前記飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、前記第2の無人飛行体の拡声動作を前記拡声情報に基づき開始させる、
拡声システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の無人飛行体の飛行高度及び飛行速度のうち少なくとも一つを含む飛行情報を取得し、
前記飛行情報に基づき前記第2の無人飛行体の飛行動作を実行させる、
請求項1に記載の拡声システム。
【請求項3】
前記飛行情報は、前記第1の無人飛行体の飛行高度を含み、
前記制御部は、前記第2の無人飛行体の拡声動作を開始させるとき、前記第2の無人飛行体を前記飛行高度で飛行させる、
請求項2に記載の拡声システム。
【請求項4】
前記拡声情報は、前記拡声装置の角度、音量レベル、及びイコライザの設定値のうち少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の拡声システム。
【請求項5】
前記拡声情報は、前記第1の無人飛行体による前記音声コンテンツの拡声終了位置を含み、
前記制御部は、前記第2の無人飛行体の拡声動作を開始させるとき、前記拡声終了位置から前記音声コンテンツの拡声を開始させる、
請求項1から4のいずれかに記載の拡声システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の無人飛行体の拡声動作開始後、前記第1の無人飛行体を前記対象エリアから待機場所まで帰還させる、
請求項1から5のいずれかに記載の拡声システム。
【請求項7】
前記充電情報は、前記バッテリ残量、又は前記バッテリ残量と相関する前記第1の無人飛行体の飛行制限時間である、
請求項1から6のいずれかに記載の拡声システム。
【請求項8】
第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体を備える飛行体システムであって、
前記第1の無人飛行体及び前記第2の無人飛行体はそれぞれ、
バッテリと、
音声コンテンツを拡声する拡声動作を行う拡声装置と、
他方の無人飛行体と通信可能な通信装置と、
飛行動作及び前記拡声動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記第2の無人飛行体は、
対象エリアにおいて、飛行中の前記第1の無人飛行体の前記バッテリの残量を示す充電情報に応じて飛行動作を開始し、
前記第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を受信し、
前記対象エリアにおいて、前記飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、拡声動作を前記拡声情報に基づき開始する、
飛行体システム。
【請求項9】
拡声装置をそれぞれ有する第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体を制御して対象エリアに音声コンテンツを拡声させる拡声方法であって、
飛行中の第1の無人飛行体のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、
前記第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を取得し、
前記充電情報に応じて前記第2の無人飛行体の飛行動作を開始させ、
前記対象エリアにおいて、前記飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、前記第2の無人飛行体の拡声動作を前記拡声情報に基づき開始させる、
ことを含む、拡声方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、及び拡声方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等の無人飛行体はバッテリの電力により飛行するため、バッテリ残量の不足に対応するための方法が知られている。特許文献1は、空中散布機として利用される無人飛行体を開示する。同無人飛行体は、バッテリ充電量を検知する充電量検知装置を備える。充電量検知装置は、所定の充電位置までの帰還距離と充電量による飛行可能距離とを算出する。無人飛行体は、帰還距離が飛行可能距離の範囲内で散布作業を中断して充電位置に帰還するように制御される(例えば、特許文献1(段落0010、0034~0035参照))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-127076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声コンテンツを拡声させるためスピーカを有する無人飛行体を使用することが知られている。無人飛行体を使用することは、スピーカが設置できないエリアや音声が聞こえにくいエリアに対しても放送ができるという利点がある。しかし、無人飛行体はバッテリ不足になると、充電のために待機場所に帰還せざるを得ない。その場合、放送が中断されるため、音声コンテンツが途中で切れてしまうことになる。特に音声コンテンツが避難情報等重要な内容である場合、放送の中断は避けるべき課題である。
【0005】
上記観点に鑑み、本開示の目的は、無人飛行体により拡声される音声の連続性を維持するのに有効な、無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム及び拡声方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一の観点によれば、拡声システムは、拡声装置をそれぞれ有する第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体と通信する通信部と、第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体に、対象エリアにおいて音声コンテンツを拡声する拡声動作及び飛行動作を実行させる制御部とを備える。制御部は、飛行中の第1の無人飛行体のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を取得し、充電情報に応じて第2の無人飛行体の飛行動作を開始させ、対象エリアにおいて、飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、飛行中の第2の無人飛行体の拡声動作を拡声情報に基づき開始させる。
【0007】
本開示の他の観点によれば、飛行体システムは、第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体を備える。第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体はそれぞれ、バッテリと、音声コンテンツを拡声する拡声動作を行う拡声装置と、他方の無人飛行体と通信可能な通信装置と、飛行動作及び拡声動作を制御する制御装置とを備える。第2の無人飛行体は、対象エリアにおいて、飛行中の第1の無人飛行体のバッテリの残量を示す充電情報に応じて飛行動作を開始し、第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を受信する。第2の無人飛行体は、対象エリアにおいて、飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、拡声動作を拡声情報に基づき開始する。
【0008】
本開示の更に他の観点によれば、拡声方法は、拡声装置をそれぞれ有する第1の無人飛行体及び第2の無人飛行体を制御して対象エリアに音声コンテンツを拡声させる方法である。拡声方法は、飛行中の第1の無人飛行体のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、第1の無人飛行体の拡声装置の拡声情報を取得し、充電情報に応じて第2の無人飛行体の飛行動作を開始させ、対象エリアにおいて、飛行中の第1の無人飛行体の拡声動作に代えて、第2の無人飛行体の拡声動作を拡声情報に基づき開始させることを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、及び拡声方法は、無人飛行体により拡声される音声の連続性を維持するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示に係る無人飛行体を含むシステム全体の構成例を示す。
図2図2は、本開示に係る管理装置の構成例を示す。
図3図3は、本開示に係る無人飛行体の外観の一例を示す。
図4図4は、本開示に係る無人飛行体の構成例を示す。
図5A図5Aは、実施の形態1に係る管理装置により実現される拡声システムの動作を示すフローチャートである。
図5B図5Bは、図5Aの動作の一部を示すフローチャートである。
図6図6は、図5Aに示す動作による無人飛行体の飛行動作を説明するための図である。
図7A図7Aは、本開示に係る音声コンテンツの例を示す。
図7B図7Bは、本開示に係る無人飛行体による音声コンテンツの放送の例を示す。
図7C図7Cは、本開示に係る無人飛行体による音声コンテンツの放送の別の例を示す。
図8A図8Aは、実施の形態2に係る飛行体システムの動作を示す図である。
図8B図8Bは、図8Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下の説明において、Z軸方向は、無人飛行体の上下方向又は飛行の高さ方向を示す。Z軸に直交するX軸と、Z軸及びX軸に直交するY軸とにより形成される面(XY面)は、地面に平行な面である。「対象エリア」は、無人飛行体による音声コンテンツの拡声対象となるエリアである。
【0013】
以下、本発明の各実施の形態について説明する。
【0014】
1.実施の形態1
本実施の形態に係る管理装置を含む拡声システムは、複数の無人飛行体の飛行動作及び拡声動作を制御するシステムである。同拡声システムでは、音声コンテンツを拡声している飛行中の第1の無人飛行体のバッテリが切れる前に、第2の無人飛行体が、第1の無人飛行体の飛行動作及び拡声動作をシームレスに引き継ぐ。
【0015】
1-1.構成
1-1-1.システム全体の構成
図1は、システム全体の構成を概略的に示す。管理装置10(拡声システムの一例)は、ネットワークNを介して複数の無人飛行体50と通信する。ネットワークNは、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、WAN(Wide Area Network)、及び/又はインターネット等を含む。ネットワークNはまた、所定のエリア毎に設定された無線基地局を含む。管理装置10及び複数の無人飛行体50は、同期した時刻情報を有する。
【0016】
1-1-2.管理装置の構成
図2に示す管理装置10は、サーバ等として機能するコンピュータ装置であり、制御部11、記憶部12、及び通信部19を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路である。制御部11(制御部の一例)は、演算処理装置及び制御装置として動作し、後述する機能を実行するため各種プログラムに従って管理装置10を制御する。記憶部12(記憶部の一例)は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD (Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等である。ROM、HDD、SSD、FeRAM等は、制御部11が使用するプログラムや演算パラメータ、演算結果等を記憶する。RAMは、制御部11の機能の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。通信部19(通信部の一例)は、例えば、有線LANやインターネットに接続するためのネットワークインターフェースカードである。通信部19は、無線基地局に接続するための無線通信インターフェースや無線LANに対応する通信インターフェースであってもよい。
【0017】
制御部11は、記憶部12から読み出す所定のプログラムを実行することにより、バッテリ残量判定部111、飛行情報取得部112、拡声情報取得部113、飛行指示部114、及び拡声指示部115の機能を実行する。以下、各機能について、飛行中の無人飛行体501と、無人飛行体501の拡声動作を引き継ぐ無人飛行体502を例にして説明する。
【0018】
バッテリ残量判定部111は、飛行中の無人飛行体501より所定間隔で送信されてくるバッテリ残量(%)を示す情報を取得し、バッテリ残量が所定値未満であるかを判定する。所定値は、無人飛行体501が、充電ポート等を備えた待機場所に帰還するのに十分な残量であって、予め設定される。バッテリの消耗は、逆風での飛行、低気温、低気圧、上昇動作の頻度等の要因によって大きくなる。従って、判定基準となる所定値は、これらの要因が生じても待機場所に帰還するのに十分なバッテリ残量であることが望ましく、例えば約30%である。
【0019】
飛行情報取得部112は、無人飛行体501や無人飛行体502の飛行情報を取得する。飛行情報取得部112は、飛行情報を記憶部12の飛行情報記憶部121に記憶する。
【0020】
飛行情報は、無人飛行体501より所定間隔で送信されてくる飛行情報、例えば、無人飛行体501の飛行ルート上の現在の位置情報、飛行高度、飛行角度及び/又は飛行速度等を含む。飛行情報はまた、無人飛行体501の飛行ルート(飛行ルート上の飛行高度や飛行高度を含む。以下、拡声飛行ルートと呼ぶ。)を含む。拡声飛行ルートは、予め設定され、飛行情報記憶部121に記憶される。飛行情報はまた、引継ぎ位置を示す情報を含む。引継ぎ位置は、無人飛行体502が飛行中の無人飛行体501と略並走状態となる位置であり、無人飛行体501の飛行情報から計算される。例えば、引継ぎ位置は、無人飛行体501、502同士が衝突しない範囲で、無人飛行体501の現在位置の近傍の位置から選択される位置である。例えば、引継ぎ位置は、無人飛行体501の現在位置を基準として、機体の横方向(図3に示すX軸方向又はY軸方向)に所定量ずれた位置である。この所定量は、例えば、無人飛行体501、502それぞれの機体の横方向(図3に示すX軸方向又はY軸方向)の大きさに基づいて、並走時に無人飛行体501、502が横方向に衝突しないように設定される。並走時に無人飛行体501、502の高度が略一致するように、引継ぎ位置における機体の縦方向(図3に示すZ軸方向)の位置は、無人飛行体501の現在位置における機体の縦方向と略同一にすることが好ましい。なお、引継ぎ位置は、無人飛行体501のスピーカ62の拡声方向と重ならないように計算される。
【0021】
拡声情報取得部113は、無人飛行体501や無人飛行体502のスピーカ62(拡声装置の一例)の拡声情報を取得する。拡声情報取得部113は、拡声情報を記憶部12の拡声情報記憶部122に記憶する。
【0022】
拡声情報は、例えば、スピーカ62の角度(以下、スピーカ角度と呼ぶ)、音量レベル、又は/及びイコライザの設定値等を含む。スピーカ62の音量レベルは、スピーカ62の出力音圧レベルや周波数特性等の特性情報に基づき設定される。特性情報は、スピーカの種別に応じて予め記憶部12に記憶されていてもよい。スピーカ角度は、図3に示すように、無人飛行体50の上下方向に沿ったZ軸と無人飛行体50の進行方向との間のスピーカ角度θを示す。
【0023】
拡声情報はまた、無人飛行体501が拡声放送している音声コンテンツを示す音声コンテンツ情報を含む。音声コンテンツ情報は、無人飛行体501から無人飛行体502に放送を引き継ぐ際に、無人飛行体501が再生して拡声放送中の音声コンテンツを識別する情報であり、音声コンテンツに係る音声ファイルのファイル名や、固有に付されたID等の識別情報やメタデータである。
【0024】
拡声情報はまた、無人飛行体501による音声コンテンツの拡声終了位置を含む。拡声終了位置は、無人飛行体502に拡声放送を引き継ぐために無人飛行体501が拡声を終了する、音声コンテンツに係る時間的な位置情報である。図7Aは拡声する音声コンテンツCの例を示す。音声コンテンツCは、所定の長さを有する。音声コンテンツCは、コンテンツブロックCBに分割されており、各コンテンツブロックCB間に区切り位置P1、P2...を有する。区切り位置は、例えば音声コンテンツに係る音声に対応する文章中に存在する句点の位置である。拡声終了位置の一例は、音声コンテンツ内に存在する一つ以上の区切り位置のうちいずれかの区切り位置を示す時間情報である。区切り位置を示す時間情報は、音声コンテンツの開始(0分00秒)から区切り位置までの経過時間を示す時間情報である。拡声終了位置の別の一例は、音声コンテンツの終点の位置を示す時間情報(例えば、5分00秒の長さを有する音声コンテンツにおける5分00秒を示す情報)である。各コンテンツブロックCBの拡声時間は予め記憶部12に記憶されている。区切り位置における拡声空白時間は、後述する拡声動作の引継ぎが可能なように、十分な時間(例えば、数秒)が設定される。
【0025】
記憶部12は、音声コンテンツを記憶する音声コンテンツ記憶部123を有する。無人飛行体501が拡声放送する少なくとも1つの音声コンテンツが、音声コンテンツ記憶部123に予め記憶されている。
【0026】
飛行指示部114は、無人飛行体501や無人飛行体502に対する飛行指示を行う。特に、飛行指示部114は、無人飛行体501や無人飛行体502に対して、後述するように上記飛行情報に基づいた飛行指示を行う。
【0027】
拡声指示部115は、無人飛行体501や無人飛行体502に対する拡声指示を行う。特に、拡声指示部115は、無人飛行体501や無人飛行体502に対して、後述するように上記拡声情報に基づいた拡声指示を行う。
【0028】
1-1-3.無人飛行体の構成
図3は、無人飛行体50(501,502)の外観の一部を示し、図4は無人飛行体50の全体構成の例を示す。無人飛行体50(無人飛行体の一例)は、遠隔操作や自動操縦が可能な無人の航空機であり、操作端末(図示省略)からの飛行指示に応じて、上昇、前進、回転、下降、ホバリング等の飛行動作を行う。無人飛行体50は、本体50aと、本体50aから水平に放射状に延びる複数のアーム50bと、下方に延びる複数の脚部50cと、各脚部50cの上方先端に取り付けられた回転翼55とを備える。無人飛行体50は、モータ56の回転により回転翼55を回転させることにより生じた揚力で飛行し、一部の回転翼55の回転方向を変えることで反作用を発生させ、本体50aそのものが回転するのを防止する。無人飛行体50の本体50aには、スピーカ62が搭載されている。スピーカ62は、下方に向けた拡声方向を有し、スピーカ方向制御機構61によって、矢印で示すようにスピーカ角度θを変更することができる。これにより、スピーカ62の拡声方向を変更することができる。
【0029】
無人飛行体50は、図4に示すように、飛行動作を実行するための構成として、制御装置51と、記憶装置52と、センサ群53と、GPS受信機54と、バッテリ58と、無線通信装置59とを備える。制御装置51(制御装置の一例)は、CPU等の電子回路であり、演算処理装置及び制御装置として機能し、後述する機能を実行するため各種プログラムに従って無人飛行体50を制御する。記憶装置52(記憶装置の一例)は、ROMやRAM、フラッシュメモリ等のメモリである。ROMやフラッシュメモリは、制御装置51が使用するプログラムや演算パラメータ、演算結果等を記憶する。RAMは、制御装置51の機能の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0030】
センサ群53は、無人飛行体50の姿勢制御等のために加速度及び角速度を検出する加速度センサ及び角速度センサ、無人飛行体50の飛行高度を検出するための気圧センサ、高度維持のための超音波センサ、無人飛行体50の方位を検出するための地磁気センサ等を含む。GPS受信機54は、アンテナと信号処理ユニットとを含み、無人飛行体50の位置情報を検出するため信号をGPS衛星から受信する。
【0031】
バッテリ58は、無人飛行体50の動作に必要な電力を蓄電し、供給する。バッテリ58は、例えば、リチウムイオンポリマ二次電池である。無人飛行体50が待機場所に帰還したとき、バッテリ58は、外部電源に接続する充電ポートに接続され、充電制御ICの制御により充電される。
【0032】
無線通信装置59は、管理装置10や他の無人飛行体と無線通信するための無線通信インターフェースを含む。例えば、無線通信装置59は、遠距離から管理装置10や他の無人飛行体と通信を行うため3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等のセルラー通信用の通信モジュールを含む。例えば、無線通信装置59は、近距離で他の無人飛行体と無線通信を行うため無線LAN、Bluetooth、Zigbee等の近距離無線通信規格を準拠した通信モジュールを含む。無人飛行体50の位置情報は、所定間隔で無線通信装置59を介して、管理装置10に送信される。
【0033】
無人飛行体50は更に、マイク方向制御機構63、マイク64、カメラ方向制御機構65、及びカメラ66を備える。マイク64は、マイク方向制御機構63によって、スピーカ62と同様に上下方向に角度を変更することによって、集音方向を変更することができる。カメラ66は、カメラ方向制御機構65によって、スピーカ62と同様に上下方向に角度を変更することによって、撮影方向を変更することができる。
【0034】
制御装置51は、記憶装置52から読み出すプログラムを実行することにより、飛行制御部511、拡声制御部512、集音制御部513、画像制御部514、バッテリ残量計測部515の各機能を実行する。
【0035】
飛行制御部511は、無線通信装置59を介して受信される管理装置10からの飛行指示に従って、モータ56の回転数及び回転速度を制御して無人飛行体50の飛行動作を実行する。飛行制御部511は、上記センサ群53及びGPS受信機54の出力データに基づいて、図3に示す本体50aの傾きや回転、飛行中の緯度及び経度、高度や本体50aの方位角を含む位置情報を取得する。記憶装置52は、無人飛行体50の飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御するアルゴリズムが実装されたプログラムを格納する。プログラムは、無線通信装置59により受信された飛行指示に従い、本体50aの姿勢や位置を補正しながら無人飛行体50を飛行させる。飛行制御部511はまた、上記飛行情報(拡声飛行ルート上の現在の位置情報、飛行高度、飛行角度及び/又は飛行速度等)を所定間隔で管理装置10に送信する。
【0036】
拡声制御部512は、無線通信装置59を介して受信される管理装置10からの拡声指示に従って、音声コンテンツを拡声させる拡声動作を実行する。一例として、音声コンテンツは、記憶装置52に予め記憶されていてもよい。この場合、無人飛行体501の記憶装置52と無人飛行体502の記憶装置52には、放送すべき同一の1つの音声コンテンツが記憶されていてもよいし、それぞれの記憶装置52に放送すべき複数の音声コンテンツが記憶されていて選択された音声コンテンツが再生されるようになっていてもよい。別の一例として、拡声制御部512は、管理装置10の音声コンテンツ記憶部123に記憶されている1つ以上の音声コンテンツのうちいずれかの音声コンテンツを取得して記憶装置52に記憶し、記憶装置52に記憶された音声コンテンツを再生してもよい。
【0037】
無人飛行体50が帰還する無人飛行体501の場合、拡声制御部512は、管理装置10から受信した拡声終了指示を取得し、これに応じて、拡声を終了すべき拡声終了位置を特定し、特定した拡声終了位置を含む応答信号を管理装置10に送信する。拡声制御部512は、拡声中の音声コンテンツを同拡声終了位置にて終了させる。一例として、拡声制御部512は、拡声終了指示を取得した時点で再生している音声コンテンツの再生位置から時間的に後に存在する区切り位置のうち任意の区切り位置を拡声終了位置として特定する。例えば、図7Aに示す音声コンテンツCを例にすると、拡声終了指示を取得した時に、1つ目のコンテンツブロックCB内の位置で再生していた場合、その後に存在する区切り位置P1、P2のうちいずれかの区切り位置を拡声終了位置として特定する。例えば、最も時間的に近い区切り位置P1を区切り位置を拡声終了位置として特定するとよい。また例えば、引継ぎ開始までの時間的余裕を考慮して、再生位置から所定時間(例えば10秒)以上後に存在する最も近い区切り位置を拡声終了位置として特定するとよい。別の一例として、拡声制御部512は、拡声終了指示を取得した時点で再生している音声コンテンツの終点を拡声終了位置として特定する。この場合、音声コンテンツが最後まで再生された後に、拡声が引き継がれる。
【0038】
無人飛行体50が拡声動作を引き継ぐ無人飛行体502の場合、拡声制御部512は、管理装置10から受信される拡声開始指示に従って、拡声動作を実行する。拡声開始指示は、無人飛行体501からの拡声情報に基づくスピーカ角度θ、音量レベル、又は/及びイコライザの設定値を含み、スピーカ62をこれらのパラメータに設定する。拡声制御部512はまた、拡声開始指示に含まれる音声コンテンツ情報を参照して、引継ぎ放送すべき音声コンテンツを特定し、記憶装置52から読み出して再生する。このとき、拡声開始指示に含まれる拡声終了位置に基づいて、所定の時間的位置から音声コンテンツを再生する。
集音制御部513は、マイク64により集音される音声を、管理装置10や無人飛行体50の操作端末等の外部の機器に送信する。画像制御部514は、カメラ66により撮像された映像や画像を一時的に記憶装置52に記憶し、外部の機器に送信する。
【0039】
バッテリ残量計測部515は、例えば電池残量計ICであり、電池セルの電圧や電流に基づき、バッテリ残量(%)を計測する。バッテリ残量計測部515は、計測したバッテリ残量を、所定間隔で管理装置10に送信する。
【0040】
1-2.動作
図5A及び図5Bを参照して、図2に示す管理装置10の動作について説明する。管理装置10は、複数の無人飛行体501及び502(図1)の飛行動作及び拡声動作の制御を実行する。
【0041】
無人飛行体501は、図6(a)に示すように対象エリア100を飛行中であり、スピーカ62(図4)から音声コンテンツC(図7A)を拡声しているものとする(S101)。一方、無人飛行体502は、待機場所で待機しており、バッテリは満充電の状態であるものとする。無人飛行体501は、予め定められた飛行ルートに従って対象エリア100内を飛行し、記憶装置52に記憶されている音声コンテンツを再生して放送している。
【0042】
管理装置10は、無人飛行体501より所定間隔で飛行情報と充電情報を受信する(S102,S103)。管理装置10のバッテリ残量判定部111は、充電情報に基づきバッテリ残量が所定値未満であるかを判定する(S104)。バッテリ残量が所定値未満である場合、拡声情報取得部113は、無人飛行体501に対し拡声情報を要求し、飛行指示部114は無人飛行体501に対しホバリングを指示する(S105)。無人飛行体501はホバリングする(S106)。これにより、無人飛行体501のバッテリ消費を抑制すると共に、これから飛行を開始する無人飛行体502への引継ぎをより円滑に行うことができる。
【0043】
管理装置10の飛行指示部114は、無人飛行体502に対し飛行指示を送信する(S107)。飛行指示は、飛行情報を含む。飛行情報は、無人飛行体501の飛行ルート上の現在の位置情報、飛行高度、飛行角度及び/又は飛行速度、拡声飛行ルート、引継ぎ位置等を含む。併せて、管理装置10の拡声情報取得部113は、無人飛行体501から拡声情報を受信し、無人飛行体502に送信する(S108)。拡声情報は、スピーカ62のスピーカ角度θ、音量レベル、又は/及びイコライザの設定値を含む。また、拡声情報は、無人飛行体501が放送中の音声コンテンツを示す音声コンテンツ情報を含む。
【0044】
飛行指示を受信した無人飛行体502は、飛行指示に従って飛行動作を開始し(S109)、自身の位置情報を含む飛行情報を管理装置10に所定間隔で送信する(S110)。
また、拡声情報を受信した無人飛行体502の拡声制御部512は、拡声情報に従って、自機のスピーカ62の角度や、音声レベル、イコライザ等の設定値を設定する(S109)。無人飛行体502の拡声制御部512は、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツが記憶装置52に記憶されているか否かを判定し、記憶されていない場合、管理装置10と通信を行って音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツを音声コンテンツ記憶部123から取得(ダウンロード)し記憶装置52に記憶する。より具体的には、図5Bに示すように、無人飛行体502は、音声コンテンツ情報を含む音声コンテンツ要求を管理装置10に送信する(S109a)。管理装置10は、音声コンテンツ要求に応答して、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツを特定し、音声コンテンツ記憶部123から特定した音声コンテンツを読み出し、無人飛行体502に送信する(S109b、S109c)。無人飛行体502は、受信した音声コンテンツを記憶装置52に記憶する(S109d)。
【0045】
管理装置10の飛行指示部114は、無人飛行体502から送信されてくる位置情報に基づき、無人飛行体502が引継ぎ位置に到達したことを判定する(S111)。この判定に応じて、無人飛行体502にホバリングを指示する(S112)。ホバリング指示に応答して、無人飛行体502はホバリングを実行する(S113)。この結果、図6(b)に示すように、無人飛行体501及び無人飛行体502は、対象エリアにおいて略並走状態となる。
【0046】
無人飛行体501と無人飛行体502が略並走状態となると放送の引継ぎ準備が完了する。管理装置10の拡声指示部115は、無人飛行体501に拡声終了指示を送信する(S114)。拡声終了指示を受信すると、無人飛行体501の拡声制御部512は、現在再生中の音声コンテンツの拡声終了位置(例えば、区切り位置P1、P2や終点位置)を特定し、この拡声終了位置までは音声コンテンツを再生して放送し、そこで放送を終了する(S115)。無人飛行体501の拡声制御部512は、特定した拡声終了位置を管理装置10に送信する(S116)。拡声終了位置を受信すると、管理装置10の拡声指示部115は、拡声終了位置を含む拡声開始指示を無人飛行体502に送信する(S117)。
拡声開始指示を受信すると、無人飛行体502の拡声制御部512は、記憶装置52から音声コンテンツを読み出して、拡声開始指示に含まれる拡声終了位置に基づいて音声コンテンツの拡声を開始する(S118)。ステップS118において、記憶装置52に複数の音声コンテンツが記憶されている場合、拡声制御部512は、音声コンテンツ情報を参照し、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツを特定して記憶装置52から読み出す。また、ステップS118において、拡声制御部512は、拡声終了位置が示す時間位置に隣接する時間位置から音声コンテンツの再生を開始するとよい。すなわち、一例として、拡声終了位置が2分30秒を示す時間情報である場合、音声コンテンツの2分31秒時点から再生を開始するとよい。別の一例として、拡声終了位置が、長さ5分の音声コンテンツの終点(5分00秒)を示す時間情報である場合、音声コンテンツの頭に戻って音声コンテンツの0分00秒時点から再生を開始するとよい。無人飛行体502は、拡声を開始するとともに拡声飛行ルートに沿って通常飛行を開始する(S119)。これにより、例えば、拡声終了位置が図7Aに示す区切り位置P1である場合、図7Bに示すように、無人飛行体501が「〇〇からお知らせです。」を拡声したのに続いて、無人飛行体502が「本日は□□市市長選挙の投票日です。投票時間は午後8時までです。・・・」と拡声を引き継ぐ。拡声終了位置がP2である場合は、図7Cに示すように、無人飛行体501が「〇〇からお知らせです。本日は□□市市長選挙の投票日です。」を拡声したのに続いて、無人飛行体502が「投票時間は午後8時までです。・・・」と拡声を引き継ぐ。
【0047】
管理装置10の飛行指示部114は、帰還指示を無人飛行体501に送信する(S120)。これに応じて、無人飛行体501は所定の帰還ルートに沿って待機場所まで飛行する(S121)。これにより、図6(c)に示すように、無人飛行体502は無人飛行体501に代わって対象エリアにおける飛行及び拡声動作を行う。帰還ルートは、管理装置10から無人飛行体501に事前に指示されてもよいし、無人飛行体501が予め記憶した飛行ルートに応じて計算したルートであってもよい。
【0048】
管理装置10は、ステップS102~S103と同様に、飛行及び拡声動作中の無人飛行体502より所定間隔で飛行情報と充電情報を受信する(S122,S123)。管理装置10は、無人飛行体502のバッテリ残量が所定値未満になると、他の無人飛行体(充電を終えた無人飛行体501を含む)への引継ぎ動作を実行する。
【0049】
1-3.特徴
上記実施の形態に係る管理装置10又は拡声方法は、対象エリアにおいて飛行中の無人飛行体501のバッテリ残量を示す充電情報を取得し、バッテリ残量に応じて待機中の無人飛行体502の飛行動作を開始させる。管理装置10は更に、無人飛行体501のスピーカ62の拡声情報を取得し、対象エリアにおいて、飛行中の無人飛行体501の拡声動作に代えて、拡声情報に基づき無人飛行体502の拡声動作を開始させる。このため、無人飛行体501のバッテリ切れによって、飛行動作だけでなく拡声動作を中断することを回避できる。よって、対象エリアにおいて無人飛行体により拡声される音声の連続性を維持することができる。
【0050】
また、無人飛行体502は、無人飛行体501の飛行情報(飛行高度及び飛行ルートを含む)を引き継ぐと共に、スピーカ62の拡声情報(音量レベル、スピーカ角度、特性情報、及び音声コンテンツの拡声終了位置)も引き継ぐため、無人飛行体501及び無人飛行体502間において飛行動作及び拡声動作をシームレスに実行することができる。
【0051】
更に、無人飛行体501と無人飛行体502とは、飛行高度を含む位置を合わせた状態で拡声動作を引き継ぐため、対象エリアにおける音声コンテンツの拡声が不自然に途切れたり、重複したりすることを抑制できる。
【0052】
1-4.変形例
管理装置10は、各無人飛行体の操作端末(図示省略)と接続可能なシステム(拡声システムの一例)を構成してもよい。操作端末は、管理装置10とネットワークNを介して通信可能なコンピュータ端末である。各操作端末は、管理装置10と無人飛行体50との通信を仲介する。ユーザは、操作端末に備えられたボタン、ジョイスティック、タッチパネル等の入力手段を用いて、無人飛行体50の飛行動作や拡声動作のための操作を直接行うこともできる。
【0053】
2.実施の形態2
本実施の形態は、複数の無人飛行体を備える飛行体システムに関し、第1及び第2の無人飛行体が互いに通信して、無人飛行体間の飛行動作及び拡声動作を引き継ぐ自律的なシステムである点において実施の形態1と異なる。
【0054】
2-1.構成
本実施の形態に係る各無人飛行体の外観及び構成は、図3及び図4に示す無人飛行体50と同様であるため、説明を省略し、同様の符号を参照する。
2-2.動作
図8A及び図8Bを参照して、本実施の形態に係る飛行体システム500の動作を説明する。飛行体システム500は、図4に示す無人飛行体501及び無人飛行体502を含む。無人飛行体501は、図6(a)に示すように対象エリア100を飛行中であり、スピーカ62から音声コンテンツCを拡声しているものとする(S201)。また、無人飛行体502は、待機場所で待機しており、バッテリは満充電の状態であるものとする。また、管理装置10は、飛行中の無人飛行体の位置情報を取得しているものとする。無人飛行体501は、予め定められた飛行ルートに従って対象エリア100内を飛行し、記憶装置52に記憶されている音声コンテンツを再生して放送している。
【0055】
無人飛行体501の制御装置51のバッテリ残量計測部515は、バッテリ残量が所定値未満であるかを判定し(S202)、所定値未満である場合は管理装置10に通知する(S203)。管理装置10は、通知(S203)に応答して、待機中の無人飛行体502に飛行指示を送信する(S204)。飛行指示は、無人飛行体501の現在の位置情報に基づく引継ぎ位置を含む。
【0056】
バッテリ残量が所定未満になった無人飛行体501はホバリングする(S205)。一方、飛行指示を受信した無人飛行体502は、飛行指示に従って飛行動作を開始する(S206)。無人飛行体502は引継ぎ位置又はその近辺に到着すると(S207)、ホバリングし(S208)、無人飛行体501と通信を開始する(S209)。具体的には、無人飛行体501は、ステップS205でホバリングを開始すると、無線通信装置59を用いて近距離無線通信により他の無人飛行体との通信を待ち受ける状態となり、無人飛行体502は、ステップS208でホバリングを開始すると、無線通信装置59を用いて他の無人飛行体を探索する状態となる。これにより、ステップS209において、無人飛行体502は近距離無線通信により無人飛行体501を発見し、無人飛行体501と無人飛行体502とが相互接続を行って相互通信可能となる。例えば、無人飛行体501は、ホバリング開始(S205)後、近距離無線通信規格で定められた周期的な信号の発信を行い、無人飛行体502は、ホバリング開始(S208)後、周期的に発信される信号のスキャンを開始し、無人飛行体502が無人飛行体501から発信される信号を受信して接続を確立する(S209)。周期的に発信される信号は、例えば、無線LAN規格に従い、無人飛行体501はアクセスポイントしてビーコン信号を周期的に発信し、無人飛行体502は、ビーコン信号のスキャンを行うとよい。例えば、Bluetooth規格に従い、無人飛行体501はアドバタイズ信号を周期的に発信し、無人飛行体502は、アドバタイズ信号のスキャンを行うとよい。
【0057】
無人飛行体502と無線通信が確立すると(S209)、無人飛行体501は、自身の飛行情報や拡声情報を無人飛行体502に送信する(S210)。飛行情報は、無人飛行体501の現在の飛行高度や飛行速度、飛行角度、及び拡声飛行ルート(拡声飛行ルート上の飛行速度や飛行高度を含む)等を含む。拡声情報は、無人飛行体501が放送中の音声コンテンツを示す音声コンテンツ情報、スピーカ角度、音量レベル、又は/及びイコライザの設定値等を含む。無人飛行体502は、受信した飛行情報及び拡声情報に応じて、無人飛行体501から引き継いで拡声放送を行う準備動作を行う(S211)。ステップS211において、無人飛行体502の飛行制御部511は、飛行情報に応じて、自身の飛行高度や飛行角度を無人飛行体501の飛行高度や飛行角度に調整する。ステップS211において、無人飛行体502の拡声制御部512は、拡声情報に応じて、自身のスピーカ62の角度、音量レベル、イコライザの設定等を調整する。また、ステップS211において、無人飛行体502の拡声制御部512は、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツが記憶装置52に記憶されているか否かを判定し、記憶されていない場合、管理装置10又は無人飛行体501から当該音声コンテンツを取得する。より具体的には、管理装置10から音声コンテンツを取得する場合、図5Bに示したように、無人飛行体502は、管理装置10と通信を行って音声コンテンツを取得(ダウンロード)し記憶装置52に記憶する(S109a~S109d)。無人飛行体501から音声コンテンツを取得する場合、図8Bに示すように、無人飛行体502は、近距離無線通信により、音声コンテンツ情報を含む音声コンテンツ要求を無人飛行体501に送信する(S211a)。無人飛行体501は、音声コンテンツ要求に応答して、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツを特定し、自機の音声コンテンツ記憶部123から特定された音声コンテンツを読み出し、近距離無線通信により無人飛行体502に送信する(S211b,S211c)。無人飛行体502は、受信した音声コンテンツを自機の記憶装置52に記憶する(S211d)。
無人飛行体502は、飛行情報や拡声情報に応じて拡声準備が完了すると(S211)、近距離無線通信によりその旨を無人飛行体501に送信する(S212)。
【0058】
無人飛行体502から拡声準備完了の旨の通知を受けると、無人飛行体501の拡声制御部512は、現在再生中の音声コンテンツの拡声終了位置(例えば、区切り位置P1、P2や終点位置)を特定し、この拡声終了位置まで音声コンテンツを再生して放送し、そこで放送を終了する(S213)。無人飛行体501の拡声制御部512は、特定した拡声終了位置を含む拡声開始指示を、近距離無線通信により無人飛行体502に送信する(S214)。無人飛行体502の拡声制御部512は、拡声開始指示を受けて、記憶装置52から音声コンテンツを読み出し、拡声開始指示に含まれる拡声終了位置に基づいて音声コンテンツの拡声を開始する(S215)。ステップS215において、記憶装置52に複数の音声コンテンツが記憶されている場合、無人飛行体502の拡声制御部512は、音声コンテンツ情報を参照し、音声コンテンツ情報が示す音声コンテンツを特定して記憶装置52から読み出す。また、ステップS215において、無人飛行体502の拡声制御部512は、音声コンテンツの中で、拡声終了位置が示す時間位置に隣接する時間位置から再生を開始するとよい。すなわち、一例として、拡声終了位置が2分30秒を示す時間情報である場合、音声コンテンツの2分31秒時点から再生を開始するとよい。別の一例として、拡声終了位置が、長さ5分の音声コンテンツの終点(5分00秒)を示す時間情報である場合、音声コンテンツの頭に戻って音声コンテンツの0分00秒時点から再生を開始するとよい。無人飛行体502は、拡声を開始するとともに、拡声飛行ルートに沿って通常飛行を開始する(S216)。これにより、例えば、拡声終了位置が図7Aに示すP1である場合、図7Bに示すように、無人飛行体501が「〇〇からお知らせです。」を拡声したのに続いて、無人飛行体502が「本日は□□市市長選挙の投票日です。投票時間は午後8時までです。・・・」と拡声を引き継ぐ。
【0059】
拡声を終了した無人飛行体501は、所定の帰還ルートに沿って待機場所に帰還する(S217)。
飛行及び拡声動作中の無人飛行体502のバッテリが所定値未満になると、管理装置10から飛行指示が他の無人飛行体(充電を終えた無人飛行体501を含む)に送信され、同様の引継ぎ動作が実行される。
【0060】
2-3.特徴
本実施の形態に係る飛行体システム500又は拡声方法は、互いに通信可能な無人飛行体501及び無人飛行体502を備える。無人飛行体502は、対象エリアにおいて、飛行中の無人飛行体501のバッテリの残量を示す充電情報に応じて飛行動作を開始し、無人飛行体501のスピーカ62の拡声情報を受信し、対象エリアにおいて、飛行中の無人飛行体501の拡声動作に代えて、拡声情報に基づき拡声動作を開始する。このため、飛行体システム500は、実施の形態1と同様に、対象エリアにおいて無人飛行体により拡声される音声の連続性を維持することができる。飛行体システム500は更に、管理装置10を介さず、自律的に飛行する無人飛行体501及び無人飛行体502によって実現することができる。
【0061】
3.その他実施の形態
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、各実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。例えば、以下の実施の形態が考えられる。
【0062】
(1)上記実施の形態においては、3機以上の無人飛行体によって飛行動作及び拡声動作の引継ぎ動作が実行されてもよい。
【0063】
(2)上記実施の形態においては、充電情報はバッテリ残量としていたがこれに限定されない。充電情報は、バッテリ残量と相関する無人飛行体50の飛行時間に代えてもよい。この場合、無人飛行体50の過去の飛行実績データ等から、安全に飛行が持続可能な飛行時間(以下、飛行制限時間と呼ぶ)を予め設定する。実施の形態1においては、図5AのステップS103~S104に代えて、無人飛行体501の飛行を管理する管理装置10が、無人飛行体501の飛行時間を監視し、飛行制限時間に達したとき、拡声情報要求やホバリング指示を無人飛行体501に送信する(S105)。実施の形態2においては、図8AのステップS202~S203に代えて、無人飛行体501が自身の飛行時間を監視し、飛行制限時間に達したとき、管理装置10に通知し、管理装置10は無人飛行体502に飛行指示を送信する(S204)。
【0064】
なお、無人飛行体501の帰還の判定基準となるバッテリ残量の所定値又は飛行制限時間は、待機場所までの帰還距離に応じて変更されてもよい。この場合、実施の形態1においては管理装置10が、実施の形態2においては無人飛行体501が、現在の位置情報に基づきバッテリ残量の所定値や飛行制限時間を算出し、所定の時間間隔で更新し記憶しておく。
【0065】
(3)上記実施の形態においては、無人飛行体501及び無人飛行体502は、拡声動作を引き継ぐ際に、ホバリングをしているが、これに限定されない。無人飛行体501と無人飛行体502は、同じ低速の飛行速度(例えば、5km/h)で並走しながら、拡声動作を引き継いでもよい。
(4)上記実施の形態において、拡声させる音声コンテンツは、日本語の音声コンテンツであってもよいし、日本語以外の他の言語による音声コンテンツであってもよい。また、音声コンテンツは、日本語による音声コンテンツと日本語以外の他の言語による音声コンテンツとを含んでもよい。この場合、日本語による音声コンテンツと共に他の言語による音声コンテンツを拡声してもよい。
【0066】
(5)上記実施の形態において、各装置又はシステムは、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0067】
上記実施の形態において、装置又はシステムは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味する場合を含み、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。また、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムと呼ぶ場合もある。
【0068】
上記フローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。更に、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0069】
図5A及びB又は図8A及びBに示す管理装置10、飛行体システム500又は拡声方法による動作の実行順序は、必ずしも、上記実施の形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えたり、複数の動作を同時に実行したりすることができる。
【0070】
(6)上記実施の形態において、各装置又は機器の制御部又は制御装置は、各装置又は機器に必要とされる機能に応じて、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路で構成されるプロセッサを含んでもよい。また、制御部又は制御装置は、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現できる。制御部又は制御装置は、1つ又は複数のプロセッサで構成してもよい。
【0071】
各装置又は機器の記憶部又は記憶装置の一部又は全部は、各装置又は機器に必要とされる機能に応じて、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、HDD、SDカード、SSD等により構成されていてもよい。
【0072】
各装置又は機器の通信部又は通信装置は、各装置又は機器に必要とされる機能に応じて、任意の通信インターフェース、例えば、無線LAN、有線LAN、3G、LTE、4G、5G、ミリ波無線通信の通信インターフェースであってもよい。好適には、無人飛行体50と管理装置10とは、遠距離の通信を行うことができる3G、LTE、4G、5G等のセルラー通信により通信を行い、無人飛行体50同士は近距離の通信で足りるため無線LAN、Bluetooth、Zigbee等の近距離無線通信規格により通信を行うとよい。
【0073】
(7)コンピュータプログラムは、記録媒体に記録されたものに限られず、上記通信部又は通信装置を経由して取得されるものであってもよい。
【0074】
上記実施の形態の各処理は、ハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリと共に実現される場合を含む。)により実現してもよい。更に、各処理は、ソフトウェア及びハードウェアの混在処理により実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、無人飛行体を使用する拡声システム、複数の無人飛行体を備える飛行体システム、又は無人飛行体を使用する拡声方法として適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 :管理装置
11 :制御部
12 :記憶部
19 :通信部
50,501,502 :無人飛行体
50a :本体
50b :アーム
50c :脚部
51 :制御装置
52 :記憶装置
53 :センサ群
54 :GPS受信機
55 :回転翼
56 :モータ
58 :バッテリ
59 :無線通信装置
61 :スピーカ方向制御機構
62 :スピーカ
63 :マイク方向制御機構
64 :マイク
65 :カメラ方向制御機構
66 :カメラ
100 :対象エリア
111 :バッテリ残量判定部
112 :飛行情報取得部
113 :拡声情報取得部
114 :飛行指示部
115 :拡声指示部
121 :飛行情報記憶部
122 :拡声情報記憶部
500 :飛行体システム
511 :飛行制御部
512 :拡声制御部
513 :集音制御部
514 :画像制御部
515 :バッテリ残量計測部
C :音声コンテンツ
CB :コンテンツブロック
N :ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B