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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095054
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210711
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE03
3D050EE11
3D050EE18
(57)【要約】
【課題】フォークリフトの爪を容易に挿入できるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、台車本体部20と、台車本体部20の4隅に位置するキャスター71Aと、を備える運搬台車10であって、台車本体部20は、積載面と床面との間に位置し、該運搬台車10をフォークリフトが持ち上げるときに一対の爪によって支持される前後に離れた一対の被支持部を有し、側面視において、一対の被支持部の上側にはフォークリフトの一対の爪が側方から挿入可能であって上側に開口する空間S1を有し、側面視において、一対の被支持部の間にキャスター71Aの車輪72よりも小さい車輪82を有する補助キャスター81が位置していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置するキャスターと、を備える運搬台車であって、
前記台車本体部は、
積載面と床面との間に位置し、該運搬台車をフォークリフトが持ち上げるときに一対の爪によって支持される前後に離れた一対の被支持部を有し、
側面視において、前記一対の被支持部の上側にはフォークリフトの一対の爪が側方から挿入可能であって上側に開口する空間を有し、
側面視において、前記一対の被支持部の間に前記キャスターの車輪よりも小さい車輪を有する補助キャスターが位置していることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
側面視において、前記一対の被支持部の下側にはフォークリフトの一対の爪が側方から挿入可能な空間をすることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記補助キャスターは、
平面視において、前記台車本体部と重なり合わないように位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記補助キャスターは、
平面視において、前記台車本体部と重なり合わない第1の状態と、前記台車本体部と重なり合う第2の状態とに遷移可能であることを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
前記台車本体部は、
側面視において前記一対の被支持部の間に、前記一対の被支持部よりも上側に位置する中間部を有し、
前記補助キャスターは、前記中間部に取り付けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の運搬台車。
【請求項6】
前記キャスターは、ブレーキペダルを有し、
前記キャスターが前後方向を向いた状態では、側面視において、前記ブレーキペダルの一部が前記一対の被支持部のうち一方の被支持部の下側に位置することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の運搬台車。
【請求項7】
台車本体部と、
前記台車本体部の4隅に位置するキャスターと、
前記台車本体部の前後方向に離れて位置する第1の載置部と第2の載置部と、を備える運搬台車であって、
前記第1の載置部および前記第2の載置部は、
前記台車本体部の上面に位置して積荷を積載可能な第1の状態と、前記台車本体部の上面から離れた第2の状態とに遷移可能であり、
側面視において、前記第1の状態では前記第1の載置部と前記第2の載置部との間に、フォークリフトの爪が側方から挿入可能であって上側に開口する空間を有することを特徴とする運搬台車。
【請求項8】
前記第1の載置部および前記第2の載置部は、
前記台車本体部に対して回動することで前記第1の状態と前記第2の状態とに遷移可能であることを特徴とする請求項7に記載の運搬台車。
【請求項9】
前記第1の載置部および前記第2の載置部のうち少なくとも何れか一方は、
前記第2の状態では、平面視において前記台車本体部の外側に位置することを特徴とする請求項7または8に記載の運搬台車。
【請求項10】
前記第1の載置部および前記第2の載置部のうち少なくとも何れか一方は、
前記第2の状態では、平面視において前記台車本体部の内側に位置することを特徴とする請求項7ないし9の何れか1項に記載の運搬台車。
【請求項11】
前記第1の載置部と前記第2の載置部との間に位置する第3の載置部を備え、
前記第3の載置部は、平面視において前記台車本体部の内側に位置することを特徴とする請求項7ないし10の何れか1項に記載の運搬台車。
【請求項12】
前記第1の載置部および前記第2の載置部は、
前記第2の状態では上面が、前記台車本体部の上面から上側にはみ出さないように位置することを特徴とする請求項7ないし11の何れか1項に記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークリフトを使用して、台車本体上から積荷のみを持ち上げたり、台車ごと持ち上げたりすることができる運搬台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-137690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フォークリフトの爪を容易に挿入できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の運搬台車は、台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置するキャスターと、を備える運搬台車であって、前記台車本体部は、積載面と床面との間に位置し、該運搬台車をフォークリフトが持ち上げるときに一対の爪によって支持される前後に離れた一対の被支持部を有し、側面視において、前記一対の被支持部の上側にはフォークリフトの一対の爪が側方から挿入可能であって上側に開口する空間を有し、側面視において、前記一対の被支持部の間に前記キャスターの車輪よりも小さい車輪を有する補助キャスターが位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フォークリフトの爪を容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の運搬台車の斜視図である。
図2】運搬台車の斜視図である。
図3】運搬台車の底面図である。
図4】運搬台車の平面図である。
図5】運搬台車を後側から見た図である。
図6】運搬台車の側面図である。
図7】接地ユニットを分解した分解斜視図である。
図8】接地ユニットの構成を示す図である。
図9】プラスタボードを積載した状態を示す側面図である。
図10】2つの運搬台車を積み重ねた状態を示す図である。
図11】第2の実施形態の運搬台車の斜視図である。
図12】運搬台車の斜視図である。
図13】運搬台車の底面図である。
図14】運搬台車の平面図である。
図15】運搬台車の側面図である。
図16】運搬台車を後側から見た図である。
図17】プラスタボードを積載した状態を示す側面図である。
図18】2つの運搬台車を積み重ねた状態を示す図である。
図19】第3の実施形態の運搬台車の斜視図である。
図20】運搬台車の斜視図である。
図21】プラスタボードを積載した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る運搬台車について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る運搬台車10について図面を参照して説明する。
図1は運搬台車10を上側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。図2は運搬台車10を下側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。図3は運搬台車10の構成の一例を示す底面図である。図4は運搬台車10の構成の一例を示す平面図である。図5は運搬台車10の構成を後側から見た図である。図6は運搬台車10の構成の一例を示す側面図である。後述する図を含めて各図には、運搬台車10の進行方向を前後方向として、前側をFr、後側をRr、右側をR、左側をLで示している。したがって、図6の側面図は、運搬台車10の進行方向に対して直交する側方から見た図である。なお、本実施形態の運搬台車10は、前側に限られず、前後左右を含め任意の方向に走行することができる。
【0009】
運搬台車10は、台車本体部20、走行部70、接地ユニット80a,80bを備えている。
台車本体部20は、複数のフレーム部等が連結して構成される。台車本体部20は、平面視で見て左右方向よりも前後方向に長く、一対の長辺と一対の短辺からなる略矩形状である。台車本体部20は、長辺×短辺が、例えば略1650mm×略750mmの大きさである。図3および図4に示すように、台車本体部20は、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部22a、左側フレーム部22b、コーナ部材30、補強フレーム部(補強部)42a,42b,51a,51b、中間横架フレーム部53、載置板55a~55e等を有している。
【0010】
前側フレーム部21aおよび後側フレーム部21bは、左右方向に沿って水平に配置される。前側フレーム部21aおよび後側フレーム部21bは、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。前側フレーム部21a、後側フレーム部21bは、牽引車が運搬台車10を牽引するときに用いる牽引用部材100a,100bを有する。牽引用部材100a,100bは、前側フレーム部21a、後側フレーム部21bのそれぞれ左右方向の略中央に位置する。牽引用部材100a,100bは、前側フレーム部21a、後側フレーム部21bのそれぞれ下端から下側に向かって突出する。牽引車が牽引用部材100aおよび牽引用部材100bの何れかにアームやワイヤを引っ掛けることにより、運搬台車10を牽引することができる。
【0011】
右側フレーム部22aおよび左側フレーム部22bは、前後方向に沿って水平に配置される。右側フレーム部22aおよび左側フレーム部22bは、それぞれ同様の構成であるため、ここでは右側フレーム部22aについて説明する。
右側フレーム部22aは、複数のフレームが連結して構成される。具体的には、右側フレーム部22aは、前端フレーム23、後端フレーム24、中間フレーム25、第1被支持フレーム26、第2被支持フレーム27、連結部材29を有する。
【0012】
前端フレーム23および後端フレーム24は、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。前端フレーム23および後端フレーム24は、それぞれ前後方向に沿って水平に配置される。前端フレーム23は右側フレーム部22aの前側に位置するフレームであって、後端フレーム24は右側フレーム部22aの後側に位置するフレームである。前端フレーム23および後端フレーム24それぞれの上面は、床面から略同一の高さである。
中間フレーム25は、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。中間フレーム25は、前後方向に沿って水平に配置される。中間フレーム25は、右側フレーム部22aの中央に位置するフレームである。また、中間フレーム25は、前端フレーム23と後端フレーム24との間に位置するフレームである。中間フレーム25の前後方向の長さは、前端フレーム23および後端フレーム24それぞれの前後方向の長さよりも短い。中間フレーム25は、中間部の一部を構成する。
【0013】
第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27は、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27は、それぞれ前後方向に沿って水平に配置される。第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27のそれぞれ下面は、床面から略同一の高さである。また、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の前後方向の長さは略同一の長さであって、それぞれフォークリフトの爪の幅よりも長い。第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27のそれぞれ下面は、運搬台車10をフォークリフトが持ち上げるときに一対の爪によって支持される被支持部になる。
【0014】
第1被支持フレーム26は前端フレーム23および中間フレーム25よりも下側の位置で、前端フレーム23と中間フレーム25との間に亘って架け渡されるフレームである。具体的には、第1被支持フレーム26は、前端が前端フレーム23の後端かつ下側に連結され、後端が中間フレーム25の前端かつ下側に連結される。第1被支持フレーム26と前端フレーム23、第1被支持フレーム26と中間フレーム25は、例えばL字状に屈曲する略板状の連結部材29によって左右から挟持された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。
【0015】
第2被支持フレーム27は中間フレーム25および後端フレーム24よりも下側の位置で、中間フレーム25と後端フレーム24との間に亘って架け渡されるフレームである。具体的には、第2被支持フレーム27は、前端が中間フレーム25の後端かつ下側に連結され、後端が後端フレーム24の前端かつ下側に連結される。第2被支持フレーム27と中間フレーム25、第2被支持フレーム27と後端フレーム24は、例えばL字状に屈曲する略板状の連結部材29によって左右から挟持された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。
【0016】
コーナ部材30は、例えば、アルミニウム合金製であって、押出し成形してから後加工によって形成される。前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部22a、および、左側フレーム部22bは、コーナ部材30により4つの角部で接合されることで、略矩形状の四方のフレーム枠を構成する。コーナ部材30は、上方に開口する挿入孔31と、下方を閉塞するストッパ部32とを有する。コーナ部材30の挿入孔31には、手押部材15が挿入可能である。挿入孔31に挿入された手押部材15の下端はストッパ部32によって支持される。手押部材15は、運搬台車10を走行させるときに使用者が手を掴むための部材である。
【0017】
手押部材15は、本体部材16、保護部材17、補強部材18を有する。
本体部材16は、直線状の長い棒状、または、長尺状かつパイプ状の部材である。本体部材16は、例えばアルミニウム合金製であって、押し出し成形により形成される。保護部材17は、使用者が手押部材15を掴んだときに使用者の手が周囲の物体に接触しないように保護する。保護部材17は、本体部材16の上側であって、上端から所定の距離離れた位置にボルトやリベット等で固定される。手押部材15のうち保護部材17よりも上側は使用者が手を掴むグリップ部として機能する。保護部材17は、本体部材16の外周面よりも外側に突出する円板状であり、本体部材16よりも大きい外径を有する。
【0018】
補強部材18は、本体部材16の下端、具体的には下端の近接した位置にボルトやリベット等で固定される。補強部材18は、本体部材16の強度を補強すると共に、本体部材16をコーナ部材30の挿入孔31に挿入したときに挿入孔31との間でガタ付きを抑制する。補強部材18は、例えばアルミニウム合金製であって、押し出し成形により形成される。なお、手押部材15は、鉄製またはアルミニウム合金製で断面円形の直線状の部材であって、例えば単管パイプを用いることができる。
【0019】
補強フレーム部42a,42b,51a,51bは、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。補強フレーム部42a,42b,51a,51bは、四方のフレーム枠内で前後左右方向に付き合わされ、ボルト、リベット、溶接等で接合されることで台車本体部20を補強する。
本実施形態では、補強フレーム部42a,42bは、前側フレーム部21aと後側フレーム部21bとの間に架け渡されるように前後方向に沿って配置される。また、補強フレーム部42aおよび補強フレーム部42bは、左右に離れた位置に平行に配置される。具体的には、補強フレーム部42aは右側フレーム部22a側に配置され、補強フレーム部42bは左側フレーム部22b側に配置される。また、補強フレーム部42aと右側フレーム部22aとの間の左右方向の間隔、補強フレーム部42bと左側フレーム部22bとの間の左右方向の間隔、補強フレーム部42aと補強フレーム部42bとの間の左右方向の間隔は、略同一である。なお、補強フレーム部42aおよび補強フレーム部42bは、それぞれ同様の構成であるため、ここでは補強フレーム部42aについて説明する。また、補強フレーム部42aは、右側フレーム部22aとほぼ同様の構成であり、適宜、説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、補強フレーム部42aは、前端補強フレーム43、後端補強フレーム44、中間補強フレーム45、第1補強フレーム46、第2補強フレーム47、連結部材29を有する。
前端補強フレーム43および後端補強フレーム44は、前端フレーム23および後端フレーム24よりも左右方向の幅が小さいだけで、前端フレーム23および後端フレーム24と同様の構成である。前端補強フレーム43は前側フレーム部21aに接合され、後端補強フレーム44は後側フレーム部21bに接合される。前端補強フレーム43および後端補強フレーム44のそれぞれ上面は、床面から略同一の高さである。
中間補強フレーム45は、中間フレーム25よりも左右方向の幅が小さいだけで、中間フレーム25と同様の構成である。
【0021】
第1補強フレーム46および第2補強フレーム47は、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27よりも左右方向の幅が小さいだけで、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27と同様の構成である。
第1補強フレーム46と前端補強フレーム43、第1補強フレーム46と中間補強フレーム45は、連結部材29によって左右から挟持された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。
第2補強フレーム47と中間補強フレーム45、第2補強フレーム47と後端補強フレーム44は、連結部材29によって左右から挟持された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。
【0022】
補強フレーム部51a,51bは、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。補強フレーム部51a,51bは、左右方向に沿って水平に配置される。補強フレーム部51aは、右側フレーム部22aと補強フレーム部42aとの間、左側フレーム部22bと補強フレーム部42bとの間に亘って架け渡された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。補強フレーム部51bは、補強フレーム部42aと補強フレーム部42bとの間に亘って架け渡された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。補強フレーム部51a,51bは、前後方向に間隔をあけて複数配置される。
なお、第1被支持フレーム26または第2被支持フレーム27に固定される補強フレーム部51aは、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の高さに合わせて、他の補強フレーム部51aの高さよりも低い。同様に、第1補強フレーム46または第2補強フレーム47に固定される補強フレーム部51bは、第1補強フレーム46または第2補強フレーム47の高さに合わせて、他の補強フレーム部51bの高さよりも低い。
【0023】
中間横架フレーム部53は、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。中間横架フレーム部53は、左右方向に沿って水平に配置される。中間横架フレーム部53は、台車本体部20の左右方向の長さと略同一の長さである。本実施形態では、複数(ここでは4つ)の中間横架フレーム部53が前後方向に並列した状態で、右側フレーム部22aの中間フレーム25と左側フレーム部22bの中間フレーム25とに架け渡されるように配置される。具体的に、4つの中間横架フレーム部53は、右側フレーム部22aの中間フレーム25の上面、補強フレーム部42aの中間補強フレーム45の上面、補強フレーム部42bの中間補強フレーム45の上面、左側フレーム部22bの中間フレーム25の上面にそれぞれ当接した状態でボルトやリベット等を用いて固定される。中間横架フレーム部53は、中間部の一部を構成する。
【0024】
フレーム枠内に補強フレーム部42a,42b,51a,51b,中間横架フレーム部53を接合することで、図3の底面図に示すように、前後方向および左右方向に区分けされた複数の空間が形成される。
【0025】
載置板55a~55eはそれぞれ、積荷を積載するための部材である。載置板55a~55eは、例えば、平板状の金属板である。載置板55a~55eは、平面視において、台車本体部20のうち後述する取付板60Aが取り付けられていない空間を上側から覆う。載置板55a~55eは、各フレーム部、各補強フレーム部にボルトやリベット等を用いて固定される。
【0026】
載置板55aは、台車本体部20の前側に位置する。載置板55aは、平面視において略凸の形状である。載置板55aは、前側フレーム部21a、右側フレーム部22aの前端フレーム23、左側フレーム部22bの前端フレーム23、補強フレーム部42aの前端補強フレーム43、補強フレーム部42bの前端補強フレーム43、補強フレーム部51a,51bそれぞれの上面に当接した状態で結合される。
載置板55bは、台車本体部20の後側に位置する。載置板55bは、平面視において略凸の形状である。載置板55bは、後側フレーム部21b、右側フレーム部22aの後端フレーム24、左側フレーム部22bの後端フレーム24、補強フレーム部42aの後端補強フレーム44、補強フレーム部42bの後端補強フレーム44、補強フレーム部51a,51bそれぞれの上面に当接した状態で結合される。載置板55aと載置板55bとは、前後に対称な形状である。
【0027】
載置板55cは、台車本体部20の前後方向における中央に位置する。載置板55cは、平面視において略矩形の形状である。載置板55cは、4つの中間横架フレーム部53の上面に当接した状態で結合される。
なお、載置板55a,55b,55cそれぞれの上面は、床面から略同一の高さである。
【0028】
載置板55dは、台車本体部20の前後方向における中央から前側に偏って位置する。載置板55dは、平面視において略矩形の形状である。載置板55dは、右側フレーム部22aの第1被支持フレーム26、左側フレーム部22bの第1被支持フレーム26、補強フレーム部42aの第1補強フレーム46、補強フレーム部42bの第1補強フレーム46、補強フレーム部51a,51bそれぞれの上面に当接した状態で結合される。
載置板55eは、台車本体部20の前後方向における中央から後側に偏って位置する。載置板55eは、平面視において略矩形の形状である。載置板55eは、右側フレーム部22aの第2被支持フレーム27、左側フレーム部22bの第2被支持フレーム27、補強フレーム部42aの第2補強フレーム47、補強フレーム部42bの第2補強フレーム47、補強フレーム部51a,51bそれぞれの上面に当接した状態で結合される。
載置板55dと載置板55eとは、略同一の形状である。なお、載置板55d,55eそれぞれの上面は、床面から略同一の高さである。
【0029】
また、台車本体部20は、取付部材としての取付板60A、ガイド部62を有する。
取付板60Aは、台車本体部20の下側にキャスター71Aを取り付ける。具体的に、取付板60Aは、前側かつ左右方向両側の空間および後側かつ左右両側の空間を下側から閉塞するように、各フレーム部や各補強フレーム部にボルトやリベット等を用いて固定される。取付板60Aは、矩形の角が切り欠かれており、例えば、アルミニウム合金製の金属板を用いることができる。
【0030】
ガイド部62は、接地ユニット80の後述する連結部材86の摺動をガイドする。ガイド部62は、台車本体部20の前後方向の中央に位置し、左右方向に沿って配置される。ガイド部62は、左右方向の長さが台車本体部20の左右方向の長さよりも短い。ガイド部62は、断面略矩形の中空部材であり、両端部が開口する。ガイド部62は、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。
4つの中間横架フレーム部53の下面には、ガイド部62を固定するために左右に離れたガイド取付フレーム64a,64bが結合されている。ガイド部62は、2つのガイド取付フレーム64a,64b、補強フレーム部42aの中間補強フレーム45、補強フレーム部42bの中間補強フレーム45それぞれの下面にボルトやリベット等を用いて固定される。
【0031】
走行部70は、台車本体部20および積荷の荷重を支持しながら走行面(床面)を走行する。走行部70は、台車本体部20の4隅に配置される複数(4つ)のキャスター71Aを有している。キャスター71Aは取付板60Aを介して台車本体部20に取り付けられる。キャスター71Aは台車本体部20の下面の4隅に配置されるので、運搬台車10を安定した状態で走行させることができる。
【0032】
キャスター71Aは、鉛直軸である旋回軸O1の軸線回りに旋回可能である。キャスター71Aは、使用者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。具体的には、キャスター71Aは、車輪72、支持部73、ブレーキペダル74、旋回部75を有する。
車輪72は、内部にベアリングが内蔵されたホイール部と、ホイール部の外周に嵌め込まれたタイヤ部とを有する。支持部73は、車輪72を回転可能に支持したり、ブレーキペダル74を揺動可能に保持したりする。
【0033】
ブレーキペダル74は、支持部73に対して上下方向に揺動可能である。ブレーキペダル74は、後端に操作部74aを有する。使用者が足でブレーキペダル74の操作部74aを下側に踏み込むように操作することで、車輪72の外周面が押圧され、車輪72にブレーキが掛かる。なお、使用者は更にブレーキペダル74の操作部74aを踏み込むことで、車輪72はブレーキが掛かった状態に保持され、ストッパとして機能する。なお、図3および図4に示すように、運搬台車10を走行させたときに後側となるキャスター71Aのブレーキペダル74の一部(操作部74a)が、後側フレーム部21bの後端よりも後側に位置して露出しているために、使用者は容易にブレーキペダル74を踏み込むことができる。旋回部75は、車輪72、支持部73およびブレーキペダル74を旋回軸O1を中心に旋回させる。
キャスター71Aは、平面視において車輪72の接地位置と旋回軸O1とが偏芯した位置に設定されている。したがって、キャスター71Aは、進行方向である前側に対して車輪72が後側になるように旋回軸O1を中心にして旋回する。
【0034】
接地ユニット80a,80bはアウトリガーとして機能する。接地ユニット80aは右側フレーム部22aに近接して位置し、接地ユニット80bは左側フレーム部22bに近接して位置する。左右方向に沿った側面視において、接地ユニット80aと接地ユニット80bとは重なり合って位置する。接地ユニット80aと接地ユニット80bは左右対称の構成であり、区別する必要がない場合には接地ユニット80という。
【0035】
接地ユニット80は、補助キャスター81、連結部85を有する。
補助キャスター81は、台車本体部20の外周縁(外形線)よりも外側に位置し、床面に接地していることで運搬台車10の傾倒を防止する。ただし、補助キャスター81は、通常時には床面から離れており、運搬台車10が傾倒したときに接地することで運搬台車10の更なる傾倒を防止してもよい。補助キャスター81は、接地部の一例に対応する。補助キャスター81は、平面視において、台車本体部20と重なり合わないように位置する。具体的には、接地ユニット80aの補助キャスター81は右側フレーム部22aよりも右側に位置し、接地ユニット80bの補助キャスター81は左側フレーム部22bよりも左側に位置する。
【0036】
図7は、接地ユニット80の一部を分解した分解斜視図である。図8(a)は接地ユニット80の一部を切断して後側から見た図であり、図8(b)は図8(a)に示す接地ユニット80の底面図である。
補助キャスター81は、上下方向に沿った旋回軸O2を中心として旋回可能である。補助キャスター81は、上述したキャスター71Aとは異なる種類のキャスターである。具体的に、補助キャスター81は、キャスター71Aとは異なり、ブレーキなしキャスターである。
【0037】
補助キャスター81は、車輪82、支持部83、旋回部84を有する。
車輪82は、直径がキャスター71Aの車輪72の直径よりも小さい。車輪82は、内部にベアリングが内蔵されたホイール部と、ホイール部の外周に嵌め込まれたタイヤ部とを有する。支持部83は、車輪82を回転可能に支持する。支持部83は、車輪82の両側に位置する一対の側壁と、一対の側壁を車輪82の上側で連結させた円形の天板とで一体的に形成される。天板は旋回部84によって、旋回可能に保持される。
旋回部84は、車輪82および支持部83を旋回軸O2を中心に旋回させる。
【0038】
補助キャスター81は、平面視において車輪82の接地位置と旋回軸O2とが偏芯した位置に設定されている。したがって、補助キャスター81は、進行方向である前側に対して車輪82が後側になるように旋回軸O2を中心にして旋回する。
【0039】
連結部85は、補助キャスター81が台車本体部20の外周縁よりも外側に位置するように補助キャスター81を台車本体部20に連結する。本実施形態の連結部85は、台車本体部20に対して摺動することができる。連結部85が台車本体部20に対して摺動することで補助キャスター81を、台車本体部20の外周縁よりも外側に位置する第1の状態と、第1の状態よりも台車本体部20に近い第2の状態とに遷移させることができる。
【0040】
図7に示すように、連結部85は、連結部材86、取付部材88、保護部材89を有する。
連結部材86は、補助キャスター81を台車本体部20に連結する。連結部材86は長尺状であり、台車本体部20の左右方向の長さに対して略1/2の長さである。連結部材86は、断面略矩形の中空部材であり、両端部が開口する。連結部材86は、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。連結部材86の長手方向の一方側の端部には、取付部材88を介して補助キャスター81が取り付けられる。また、連結部材86の長手方向の他方側の端部は、ガイド部62内に嵌め込まれる。連結部材86は、ガイド部62の長手方向に沿って摺動可能である。本実施形態では、接地ユニット80aの連結部材86と接地ユニット80bの連結部材86とが、同じガイド部62に対して互いに反対側から嵌め込まれる。また、連結部材86の下側壁には左右方向に間隔をあけて複数の係合孔87a~87cが形成されている。
【0041】
取付部材88は、補助キャスター81を連結部材86に取り付ける。取付部材88は断面略コ字状の部材である。取付部材88は、例えば鋼板を折曲げ成形することで形成されている。取付部材88は、一対の側壁と、一対の側壁を下端で連結させた連結壁とで一体的に形成される。連結部材86は、取付部材88の一対の側壁により前後から挟み込んだ状態でボルトやリベット等で固定されることで取付部材88が取り付けられる。また、補助キャスター81は旋回部84から上側に突出するボルトを取付部材88の連結壁に固定されたナットに螺合することで取付部材88に取り付けられる。
【0042】
保護部材89は、障害物が接触することで連結部材86が破損することを防止する。保護部材89は略板状の部材である。保護部材89は、例えば合成樹脂によって形成されている。保護部材89は、連結部材86の一方側の端部の開口と嵌合することで連結部材86に取り付けられる。保護部材89が連結部材86に取り付けられた状態では、連結部材86の端部および取付部材88の端部は保護部材89によって外側から覆われる。したがって、図6に示すように、側面視において、連結部材86の端部および取付部材88の端部は保護部材89によって隠れるために表れない。
【0043】
また、本実施形態の台車本体部20は、連結部材86がガイド部62によりガイドされて摺動する場合に、連結部材86が自由に摺動できないように連結部材86の摺動を停止させるストッパ部90を有する。本実施形態では接地ユニット80a,80bの連結部材86ごとに摺動を停止できるように、接地ユニット80a,80bごとにストッパ部90が取り付けられている。具体的には、ガイド部62に接地ユニット80aと接地ユニット80bとに対応する2つのストッパ部90が取り付けられている。
【0044】
ストッパ部90は、筐体91、係合部材92、付勢部材94、軸部材95を有する。
筐体91は、係合部材92を揺動可能に支持する。筐体91は断面略コ字状の部材である。筐体91は、例えば鋼板を折曲げ成形することで形成されている。筐体91は、一対の側壁と、一対の側壁を下端で連結させた連結壁とで一体的に形成される。ガイド部62は、筐体91の一対の側壁により前後から挟み込んだ状態でボルトやリベット等で固定されることで筐体91が取り付けられる。
【0045】
係合部材92は、ガイド部62内に進出して連結部材86と係合することで連結部材86の摺動を停止させ、ガイド部62内から後退して連結部材86との係合が解除されることで連結部材86の摺動の停止を解除する。係合部材92は、左右方向に長い略ブロック状の部材である。係合部材92は、例えば鋼板を折曲げ成形することで形成されている。係合部材92は、筐体91に支持された軸部材95を中心にして揺動可能であり、付勢部材94により軸部材95が支持される側と反対側の端部が常にガイド部62の下側壁に形成された孔63を通してガイド部62内に進出するように上側に向かって付勢されている。係合部材92がガイド部62内を摺動する連結部材86の係合孔87a~87cのうち何れかの係合孔と係合することで、連結部材86がガイド部62に沿って自由に摺動できないようになる。
【0046】
また、係合部材92は、使用者が係合部材92をガイド部62から後退させるための摘み部93を有する。摘み部93は連結部材86の摺動の停止を解除する解除部の一例に対応する。使用者が付勢部材94の付勢に抗して摘み部93を下側に向かって押し下げることにより係合部材92が揺動してガイド部62から後退する。係合部材92が後退することで連結部材86の係合孔87a~87cとの係合が解除されることから、摘み部93を押し下げている間、連結部材86がガイド部62に沿って自由に摺動できるようになる。
【0047】
係合部材92が連結部材86の係合孔87a~87cのうち係合する孔に応じて連結部材86がガイド部62から突出する量が異なることから、使用者は接地ユニット80a,80bごとに独立してガイド部62から連結部材86が突出する量を調整することができる。
【0048】
係合部材92が係合孔87aに係合した状態では、連結部材86がガイド部62から突出する量が最も大きい状態である。この状態では、連結部材86に取り付けられた補助キャスター81が台車本体部20の外周縁よりも外側である第1の状態に位置している場合に相当する。なお、連結部材86の図示しない当接部がガイド部62の図示しない被当接部に当接することで、連結部材86が第1の状態よりも更にガイド部62から突出しないように構成される。ここで、図3図5および図8の実線で示す補助キャスター81は、第1の状態に位置している場合を示している。第1の状態では、平面視において補助キャスター81は台車本体部20と重なり合わない。また、図8(b)では、第1の状態で補助キャスター81が旋回軸O2を中心に旋回したときに補助キャスター81の構成部材のうち旋回軸O2から最も離れた部材(車輪82の外周面)の軌跡Tを二点鎖線で示している。第1の状態での補助キャスター81の軌跡Tは、台車本体部20と重なり合わない。
【0049】
第1の状態では、台車本体部20に積荷が積載されて積荷を含めた運搬台車10の重心が高くなった場合であっても、台車本体部20の外周縁よりも外側に位置する補助キャスター81の車輪82が床面に接地していることから、運搬台車10の傾倒を防止することができる。
【0050】
また、係合部材92が係合孔87cに係合した状態では、連結部材86がガイド部62内に入り込むことで突出する量が最も小さい状態である。この状態では、連結部材86に取り付けられた補助キャスター81が第1の状態よりも台車本体部20に近い第2の状態に位置している場合に相当する。図3図5および図8の二点鎖線で示す補助キャスター81は、第2の状態に位置している場合を示している。第2の状態では、平面視において補助キャスター81は台車本体部20と重なり合う。
第2の状態では、補助キャスター81が台車本体部20と重なり合うことから、運搬台車10で通路を走行する場合でも、補助キャスター81が通路の壁等に衝突することを防止することができる。
【0051】
また、係合部材92が係合孔87bに係合した状態では、連結部材86がガイド部62内に入り込むことで突出する量が最大と最小との中間の状態である。この状態では、連結部材86に取り付けられた補助キャスター81が第1の状態と第2の状態との間の第3の状態に位置している場合に相当する。
【0052】
次に、フォークリフトの一対の爪を用いて、積荷のみ、または、運搬台車ごと持ち上げることができる構成について図6および図9を参照して説明する。図9は、台車本体部20に積荷として複数の平板状のプラスタボードBを重ねて積載させた状態の一例を示す側面図である。なお、図6および図9では、載置板55a,55b,55cにより構成される積載面を水平に延長させた面Fを二点鎖線で示している。
本実施形態の運搬台車10は、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27が、積載面Fと床面との間に位置する。また、運搬台車10は、側面視において、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の上側に、上側に向かって開口する空間S1を有する。より具体的には、第1被支持フレーム26の上面に当接した載置板55d、第2被支持フレーム27の上面に当接した載置板55eの上側に、空間S1を有する。また、運搬台車10は、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の下側に、空間S2を有する。すなわち、積載面と床面との間には、第1被支持フレーム26または第2被支持フレーム27を挟んだ上下に空間S1および空間S2が位置する。
【0053】
図6に示すように、空間S1の高さH1、すなわち第1被支持フレーム26(あるいは載置板55d)の上面から積載面までの鉛直方向の距離および第2被支持フレーム27(あるいは載置板55e)の上面から積載面までの鉛直方向の距離は、フォークリフトの爪の厚みよりも大きい。
また、空間S2の高さH2、すなわち第1被支持フレーム26の下面から床面までの鉛直方向の距離および第2被支持フレーム27の下面から床面までの鉛直方向の距離は、フォークリフトの爪の厚みよりも大きい。
【0054】
まず、積荷のみをフォークリフトで持ち上げたい場合には、フォークリフトの一対の爪を運搬台車10の側方(右側または左側)から、それぞれ前後に位置する空間S1に挿入する。このとき、側面視において空間S1には右側フレーム部22aから左側フレーム部22bに亘って、運搬台車10の部品が配置されていないので、空間S1に挿入された爪が運搬台車10の部品と接触することがない。
フォークリフトの一対の爪をそれぞれ空間S1に挿入した状態から一対の爪を上昇させる。空間S1は上側に開口していることから、上昇した爪は積荷のみを支持する。したがって、フォークリフトの爪を上昇させることで積荷のみを持ち上げることができる。
【0055】
一方、積荷を積載した運搬台車10ごとフォークリフトで持ち上げたい場合には、一対の爪を運搬台車10の側方(右側または左側)から、それぞれ前後に位置する空間S2に挿入する。
フォークリフトの一対の爪をそれぞれ空間S2に挿入した状態から一対の爪を上昇させる。空間S2の上側には第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27が配置されていることから、上昇した爪は第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の下面を支持する。したがって、フォークリフトの爪を上昇させることで運搬台車10ごと持ち上げることができる。なお、右側フレーム部22aおよび左側フレーム部22bのそれぞれ第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27が、フォークリフトの一対の爪によって支持される。このとき、補強フレーム部42a,42bのそれぞれ第1補強フレーム46および第2補強フレーム47も、フォークリフトの爪によって支持されるように構成してもよい。
【0056】
なお、空間S1および空間S2は、第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27を挟んで上下に位置している。したがって、積荷のみを持ち上げる場合および運搬台車10ごと持ち上げる場合であっても、一対の爪の間隔を調整する必要がない。
【0057】
本実施形態の運搬台車10は、側面視において第1被支持フレーム26および第2被支持フレーム27の間に補助キャスター81が位置する。ここで、補助キャスター81の車輪82は、キャスター71の車輪72よりも小さい。より具体的には、補助キャスター81の車輪82の直径は、キャスター71の車輪72の直径よりも小さい。車輪82の直径が小さい分だけ、第1被支持フレーム26と第2被支持フレーム27とを互いに近づけることができる。第1被支持フレーム26と第2被支持フレーム27とを互いに近づけることで、第1被支持フレーム26と第2被支持フレーム27の前後方向の長さをそれぞれ長くすることができる。第1被支持フレーム26と第2被支持フレーム27の前後方向の長さをそれぞれ長くすることにより、空間S1および空間S2の前後方向の長さL1,L2が長くなり、フォークリフトの爪を空間S1または空間S2に容易に挿入することができる。
【0058】
また、本実施形態の運搬台車10は、側面視において前側に位置するキャスター71Aにおけるブレーキペダル74の操作部74aが、第1被支持フレーム26の下側に位置する。すなわち、第1被支持フレーム26は、キャスター71のブレーキペダル74の上側に位置させるまで、第1被支持フレーム26の前後方向の長さを長くしている。第1被支持フレーム26の前後方向の長さを長くすることにより、第1被支持フレーム26の上側の空間S1の前後方向の長さL1が長くなり、フォークリフトの爪を空間S1または空間S2に容易に挿入することができる。同様に、側面視において、後側に位置するキャスター71が180度、旋回したときにブレーキペダル74は、第2被支持フレーム27の下側に位置する。したがって、第2被支持フレーム27の前後方向の長さを長くすることにより、第2被支持フレーム27の上側の空間S1の前後方向の長さが長くなり、フォークリフトの爪を空間S1または空間S2に容易に挿入することができる。
【0059】
なお、補助キャスター81は、平面視において台車本体部20と重なり合わないように位置する。したがって、台車本体部20に積荷が積載されて積荷を含めた運搬台車10の重心が高くなった場合であっても、台車本体部20の外周縁よりも外側に位置する補助キャスター81の車輪82が床面に接地していることから、運搬台車10の傾倒を防止することができる。
【0060】
図10は、補助キャスター81を第3の状態に位置させた2つの運搬台車10を積み重ねた状態を示す図である。運搬台車10を使用せずに保管する場合や運搬台車10自体を作業現場に搬出入する場合等には複数の運搬台車10を積み重ねることがある。このとき、上段の運搬台車10のキャスター71Aは下段の運搬台車10の取付板60A上にそれぞれ載置することでキャスター71Aを載置板55a~55e上に載置させるよりも、取付板60A上に存在する空間の高さ分だけ積み重ねた運搬台車10の全体の高さを低くすることができる。
【0061】
一方、補助キャスター81を第1の状態に位置させた運搬台車10を積み重ねた場合には、補助キャスター81が左右方向に大きく張り出すことから積み重ねた運搬台車10が左右方向に嵩張ってしまう。また、補助キャスター81を第2の状態に位置させた運搬台車10を積み重ねた場合には、上段の運搬台車10の補助キャスター81が右側フレーム部22aの上面および左側フレーム部22bの上面、あるいは、載置板55cの上面に載置されることから積み重ねた運搬台車10が高さ方向に嵩張ってしまう。
したがって、図10に示すように、補助キャスター81を第3の状態に位置させた運搬台車10を積み重ねることで、補助キャスター81が左右方向に張り出すことを抑制できると共に、上段の運搬台車10の補助キャスター81が下段の運搬台車10の台車本体部20と重なり合わずに載置板55c上に載置されないことから、積み重ねた運搬台車10が高さ方向に嵩張ることを抑制できる。結果として、積み重ねた運搬台車10をコンパクトに保管したり搬出入したりすることができる。
【0062】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る運搬台車110について図面を参照して説明する。
図11は運搬台車110を上側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。図12は運搬台車110を下側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。図13は運搬台車110の構成の一例を示す底面図である。図14は運搬台車110の構成の一例を示す平面図である。図15は運搬台車110の構成の一例を示す側面図である。図16は運搬台車110の構成を後側から見た図である。以下では、第1の実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様の構成は同一符号を付している。
【0063】
運搬台車110は、台車本体部120、走行部170、載置部180a~180cを備えている。
台車本体部120は、複数のフレーム部等が連結して構成される。台車本体部120は、長辺×短辺が、例えば略1200mm×略750mmの大きさである。図13および図14に示すように、台車本体部120は、前側フレーム部121a、後側フレーム部121b、右側フレーム部122a、左側フレーム部122b、コーナ部材30、補強フレーム部(補強部)142a~142d,151a~151d、載置板155a,155b等を有している。
【0064】
前側フレーム部121a、後側フレーム部121b、右側フレーム部122a、左側フレーム部122bは、直線状の長い棒状の部材であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。前側フレーム部121a、後側フレーム部121b、右側フレーム部122a、左側フレーム部122bは、コーナ部材30により4つの角部で接合されることで、略矩形状の四方のフレーム枠を構成する。
【0065】
補強フレーム部142a~142d,151a~151dは、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。補強フレーム部142a~142d,151a~151dは、四方のフレーム枠内で前後左右方向に付き合わされ、ボルト、リベット、溶接等で接合されることで台車本体部120を補強する。
フレーム枠内に補強フレーム部142a~142d,151a~151dを接合することで、図13に示すように、前後方向および左右方向に区分けされた複数の空間が形成される。本実施形態では、台車本体部120は、前後方向の中央よりも後側に偏った位置に、左右方向に長く形成された収容部165を有する。収容部165は、後述する載置部180cを収容する。
【0066】
載置板155a,155bはそれぞれ、積荷を積載するための部材である。載置板155a,155bは、例えば、平板状の金属板である。載置板155a,155bは、平面視において、台車本体部120のうち後述する取付板160A,160Bが取り付けられていない空間を上側から覆う。載置板155a,155bは、各フレーム部、各補強フレーム部にボルトやリベット等を用いて固定される。
【0067】
載置板155aは、台車本体部120の前後方向における中央から前側に亘って位置する。載置板155aは、平面視において略十字状の形状である。載置板155aは、右側フレーム部122a、左側フレーム部122b、補強フレーム部142a,142b、補強フレーム部151a,151b,151cそれぞれの上面に当接した状態で結合される。
載置板155bは、台車本体部120の後側に位置する。載置板155bは、平面視において略矩形の形状である。載置板155bは、後側フレーム部121b、補強フレーム部142c、補強フレーム部142d、補強フレーム部151dそれぞれの上面に当接した状態で結合される。
【0068】
また、台車本体部120は、取付部材としての取付板160A,160Bを有する。
取付板160A,160Bは、台車本体部120の下側にキャスター171A,171Bを取り付ける。具体的に、取付板160Aは、前側かつ左右方向両側の空間および後側かつ左右両側の空間を下側から閉塞するように、各フレーム部や各補強フレーム部にボルトやリベット等を用いて固定される。取付板160Aは、矩形の1つの角が切り欠かれており、例えば、アルミニウム合金製の金属板を用いることができる。一方、取付板160Bは、前後方向の中央かつ左右方向両側の空間を下側から閉塞するように、各フレーム部や各補強フレーム部にボルトやリベット等を用いて固定される。取付板160Bは、矩形の隣り合う2つの角が切り欠かれており、例えば、アルミニウム合金製の金属板を用いることができる。
【0069】
走行部170は、台車本体部120の4隅に配置される複数(4つ)のキャスター171Aと、前後方向の中央であって左右に離れて配置される2つのキャスター171Bとを有する。キャスター171Aは取付板160Aを介して台車本体部120に取り付けられる。また、キャスター171Bは取付板160Bを介して台車本体部120に取り付けられる。
【0070】
キャスター171Aは、鉛直軸である旋回軸O1の軸回りに旋回可能である。キャスター171Aは、使用者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。キャスター171Aは、第1の実施形態のキャスター71Aと同様の構成である。
キャスター171Bは、鉛直軸である旋回軸O2の軸回りに旋回可能である。キャスター171Bは、ブレーキなしキャスターである。キャスター171Bは、車輪72、支持部73、旋回部75を有する。キャスター171Bの車輪72の直径は、キャスター171Aの車輪72の直径と略同一である。
【0071】
載置部180a,180b,180cは、台車本体部120の上面に位置する第1の状態と、台車本体部120の上面から離れて位置する第2の状態とに遷移可能である。
載置部180a,180b,180cは、左右方向に沿って水平に配置される。載置部180a,180b,180cは、直線状の長い棒状であって、例えば、アルミニウム合金製で断面略矩形の中空状パイプ等を用いることができる。載置部180a,180b,180cのそれぞれ左右方向の長さは、台車本体部120の左右方向の長さよりも短い。
【0072】
図11(a)、図12(a)は載置部180a~180cが第1の状態である場合を示す斜視図である。
載置部180aは台車本体部120の前端であって、平面視において台車本体部120と重なり合って位置する。載置部180aは、載置板155aを介して前側フレーム部121a、補強フレーム部142a,142bの上側に載っている。また、載置部180aは、取付板160A上の空間の一部を上側から覆うように位置する。第1の状態において、載置部180aの上面は積荷が積載される平面状の積載面181である。なお、載置部180aは、平面視において、台車本体部120の外周縁から前側にはみ出さないように、かつ左右方向にはみ出さないように位置している。ただし、載置部180aは、平面視において、台車本体部120の外周縁から前側にはみ出ていてもよい。
【0073】
載置部180bは台車本体部120の後端であって、平面視において台車本体部120と重なり合って位置する。載置部180bは、載置板155bを介して後側フレーム部121b、補強フレーム部142c,142dの上側に載っている。また、載置部180bは、取付板160A上の空間の一部を上側から覆うように位置する。第1の状態において、載置部180bの上面は積荷が積載される平面状の積載面181である。なお、載置部180bは、平面視において、台車本体部120の外周縁から後側にはみ出さないように、かつ左右方向にはみ出さないように位置している。ただし、載置部180bは、平面視において、台車本体部120の外周縁から後側にはみ出ていてもよい。
【0074】
載置部180cは台車本体部120の前後方向における中央側であって、平面視において台車本体部120と重なり合って位置する。より具体的には、載置部180cは台車本体部120の前後方向における中央よりも後側に偏って位置する。載置部180cは、載置板155aを介して、補強フレーム部142a,142b,151cの上側に載っている。また、載置部180cは、取付板160B上の空間の一部を上側から覆うように位置する。第1の状態において、載置部180cの上面は積荷が積載される平面状の積載面181である。載置部180cは、平面視において、台車本体部120の外周縁からはみ出さないように位置している。
載置部180a,180b,180cそれぞれの積載面181は、床面から略同一の高さである。
【0075】
ここで、載置部180a~180cが第1の状態において、フォークリフトの一対の爪を用いて、積荷のみ、または、運搬台車ごと持ち上げることができる構成について図15および図17を参照して説明する。図17は、台車本体部120に積荷として複数の平板状のプラスタボードBを重ねて積載させた状態の一例を示す側面図である。なお、図15および図17では、載置部180a,180b,180cの積載面181を水平方向に延長させた面Fを二点鎖線で示している。
【0076】
本実施形態の運搬台車110は、台車本体部120の上側であって、載置部180aと載置部180cとの間、載置部180cと載置部180bとの間に、空間S3a,S3bを有する。なお、載置部180cは、台車本体部120の前後方向における中心よりも後側に偏って位置しているために空間S3aの前後方向の長さは、空間S3bの前後方向の長さよりも長い。
また、運搬台車110は、側面視において、台車本体部120の下側であって、前側のキャスター171Aと中央のキャスター171Bとの間、後側のキャスター171Aと中央のキャスター171Bとの間に、空間S4を有する。
ここで、空間S3a,S3bの高さH3、すなわち載置部180a,180b,180cの鉛直方向の距離は、フォークリフトの爪の厚みよりも大きい。
また、空間S4の高さH4、すなわち台車本体部120の下面から床面までの鉛直方向の距離は、フォークリフトの爪の厚みよりも大きい。
【0077】
まず、積荷のみをフォークリフトで持ち上げたい場合には、フォークリフトの一対の爪を運搬台車110の側方から、それぞれ前後に位置する空間S3a,S3bに挿入する。このとき、側面視において空間S3a,S3bには右側フレーム部122aから左側フレーム部122bに亘って、運搬台車110の部品が配置されていないので、空間S3a,S3bに挿入された爪が運搬台車110の部品と接触することがない。
フォークリフトの一対の爪をそれぞれ空間S3a,S3bに挿入した状態から一対の爪を上昇させる。空間S3a,S3bは上側に開口していることから、上昇した爪は積荷のみを支持する。したがって、フォークリフトの爪を上昇させることで積荷のみを持ち上げることができる。
【0078】
一方、積荷を積載した運搬台車110ごとフォークリフトで持ち上げたい場合には、一対の爪を運搬台車110の側方から、それぞれ前後に位置する空間S4に挿入する。
フォークリフトの一対の爪をそれぞれ空間S4に挿入した状態から一対の爪を上昇させる。空間S4の上側には台車本体部120の左側フレーム部122bが配置されていることから、上昇した爪は左側フレーム部122bの下面を支持する。したがって、フォークリフトの爪を上昇させることで運搬台車110ごと持ち上げることができる。
【0079】
なお、空間S3a,S3bおよび空間S4は、台車本体部120を挟んで上下に位置している。したがって、積荷のみを持ち上げる場合および運搬台車110ごと持ち上げる場合であっても、一対の爪の間隔を調整する必要がない。
【0080】
図11(b)、図12(b)は載置部180a~180cが第2の状態である場合を示す斜視図である。
載置部180a~180cは、台車本体部120に対して回動することで第1の状態から第2の状態に遷移する。
載置部180aは、前側フレーム部121aに対してヒンジ部185aを介して回動可能に連結されている。ヒンジ部185aは第1の状態の載置部180aの前面と前側フレーム部121aの前面とに跨がって取り付けられる。ヒンジ部185aの回動軸186は、軸線方向が左右方向に沿うように配置される。ヒンジ部185aの回動軸186の軸線Uは、前側フレーム部121aの前端かつ上端に位置する。載置部180aがヒンジ部185aを介して略90°回動することで、載置部180aは前側フレーム部121aの前側に位置する。このとき、載置部180aは、平面視において、台車本体部120の外側、具体的には台車本体部120の外周縁から前側にはみ出るように位置する。また、第1の状態において上面に位置していた積載面181は、前面に位置する。
【0081】
載置部180bは、後側フレーム部121bに対してヒンジ部185bによって回動可能に連結されている。ヒンジ部185bは第1の状態の載置部180bの後面と後側フレーム部121bの後面とに跨がって取り付けられる。ヒンジ部185bの回動軸186は、軸線方向が左右方向に沿うように配置される。ヒンジ部185bの回動軸186の軸線Uは、後側フレーム部121bの後端かつ上端に位置する。載置部180bがヒンジ部185bを介して略90°回動することで、載置部180bは後側フレーム部121bの後側に位置する。このとき、載置部180bは、平面視において、台車本体部120の外側、具体的には台車本体部120の外周縁から後側にはみ出るように位置する。また、第1の状態において上面に位置していた積載面181は、後面に位置する。
【0082】
載置部180cは、台車本体部120の前後方向における中心から後側に偏って位置する補強フレーム部151cに対してヒンジ部185cを介して回動可能に連結されている。ヒンジ部185cは第1の状態の載置部180cの後面と補強フレーム部151cの後面とに跨がって取り付けられる。ヒンジ部185cの回動軸186は、軸線方向が左右方向に沿うように配置される。ヒンジ部185cの回動軸186の軸線Uは、補強フレーム部151cの後端かつ上端に位置する。載置部180cがヒンジ部185cを介して略90°回動することで、載置部180cは台車本体部120の収容部165内に位置する。このとき、載置部180cは、平面視において、台車本体部120の内側に位置し、台車本体部120の外周縁からはみ出さないように位置する。また、第1の状態において上面に位置していた積載面181は、後面に位置する。
【0083】
第2の状態における載置部180a~180cは、台車本体部120の上面よりも上側に突出せず、台車本体部120の下面よりも下側に突出しないように位置する。第2の状態における載置部180a~180cは、上面が台車本体部120の上面と略面一であってもよく、台車本体部120の上面よりも低くてもよい。また、第2の状態における載置部180a~180cは、下面が台車本体部120の下面と略面一であってもよく、台車本体部120の下面よりも高くてもよい。
【0084】
このように、載置部180a~180cを第2の状態に遷移させることにより、側面視において、台車本体部120の上面を第1の状態よりもフラットな状態にすることができる。このように台車本体部120の上面をフラットな状態にすることで、載置部180a~180cが第1の状態では積載できない積荷、あるいは積載し難い積荷であっても容易に積載することができる。
【0085】
本実施形態の運搬台車110は、台車本体部120の前後方向に離れて位置する載置部180aと載置部180bとを備える。載置部180aおよび載置部180bは、台車本体部120の上面に位置して積荷を積載可能な第1の状態と、台車本体部120の上面から離れた第2の状態とに遷移可能である。側面視において、第1の状態では載置部180aと載置部180bとの間に、フォークリフトの一対の爪が側方から挿入可能であって上側に開口する空間S3a,S3bを有する。空間S3a,S3bは、前後方向に離れた載置部180aと載置部180bとの間に形成されることから、フォークリフトの一対の爪を空間S3a,S3bに容易に挿入することができる。
【0086】
図18は、載置部180a~180cを第2の状態に遷移させた2つの運搬台車110を積み重ねた状態を示す側面図である。載置部180a~180cを第2の状態に遷移させておくことで、取付板160A,160B上の空間が載置部180a~180cによって覆われず、取付板160A,160Bの上側を開放されることができる。したがって、運搬台車110のキャスター171A,171Bは下段の運搬台車110の取付板160A,160B上に載せることができるので、載置部180a~180cが第1の状態のままで積み重ねるよりも、積み重ねた運搬台車110の全体の高さを低くすることができる。
【0087】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る運搬台車210について図面を参照して説明する。
図19は運搬台車210を上側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。図20は運搬台車210を下側から見たときの構成の一例を示す斜視図である。以下では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様の構成は同一符号を付して、説明を適宜、省略する。本実施形態の運搬台車210は、主に台車本体部220の大きさ、載置部280bの構成が第2の実施形態の運搬台車110と異なる。
【0088】
台車本体部220は、長辺×短辺が、例えば略1500mm×略750mmの大きさである。本実施形態の台車本体部220は、第2の実施形態よりも大型化になっているために、補強フレーム部151cと補強フレーム部151dとの間に補強フレーム部251を追加して構成している。また、本実施形態の台車本体部220は、補強フレーム部151cと補強フレーム部251との間に収容部265aを有し、補強フレーム部251と補強フレーム部151dとの間に収容部265bを有する。第2の状態の載置部180cは収容部265a内に位置し、第2の状態の後述する載置部280bが収容部265b内に位置する。
【0089】
運搬台車210は、載置部180a,280b,180cを備える。載置部180a,180cは第2の実施形態と同様の構成であり、載置部280bが第2の実施形態の載置部180bと異なる。
図19(a)、図20(a)は載置部280bが第1の状態である場合を示す斜視図である。図21は、台車本体部220に積荷として複数の平板状のプラスタボードBを重ねて積載させた状態の一例を示す側面図である。
載置部280bは台車本体部220の後側であって、平面視において台車本体部220と重なり合って位置する。載置部280bは、載置板155bを介して補強フレーム部151d、補強フレーム部142c,142dの上側に載っている。また、載置部280bは、取付板160A上の空間の一部を上側から覆うように位置する。第1の状態において、載置部280bの上面は積荷が積載される平面状の積載面181である。なお、載置部280bは、平面視において、台車本体部220の外周縁からはみ出さないように位置している。載置部280bは、台車本体部220の上面に位置する第1の状態と、台車本体部220の上面から離れて位置する第2の状態とに遷移可能である。
【0090】
ここで、載置部180a,280b,180cが第1の状態において、フォークリフトの一対の爪を用いて、積荷のみ、または、運搬台車ごと持ち上げることができる構成について図21を参照して説明する。図21は、台車本体部220に積荷として複数の平板状のプラスタボードBを重なり合って積載させた状態の一例を示す側面図である。なお、図21では、載置部180a,280b,180cの積載面181を水平方向に延長させた面Fを二点鎖線で示している。
【0091】
積荷のみをフォークリフトで持ち上げたい場合には、フォークリフトの一対の爪を運搬台車210の側方から、それぞれ載置部180aと載置部180cとの間(空間S3a)、載置部180cと載置部280bとの間(隙間S5)に挿入して、一対の爪を上昇させる。
【0092】
図19(b)、図20(b)は載置部280bが第2の状態である場合を示す斜視図である。
載置部280bは、台車本体部220の前後方向における中心から後側に偏って位置する補強フレーム部151dに対してヒンジ部285bを介して回動可能に連結されている。載置部280bがヒンジ部285bを介して略90°回動することで、載置部280bは台車本体部220の収容部265bに位置する。このとき、載置部280bは、平面視において、台車本体部220の内側、具体的には台車本体部220の外周縁からはみ出さないように位置する。
【0093】
このように、載置部280bを第2の状態に遷移させることにより、側面視において、台車本体部220の上面を第1の状態よりもフラットな状態にすることができる。このように台車本体部220の上面をよりフラットな状態にすることで、載置部280bが第1の状態では積載できない積荷、あるいは積載し難い積荷であっても容易に積載することができる。
【0094】
以上、本発明を上述した実施形態と共に説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、1つの実施形態の一部の構成を、他の実施形態の一部の構成に置き換えたり、他の実施形態に追加したりすることができる。
【0095】
上述した第1の実施形態の接地ユニット80は、補助キャスター81である場合に限られず、床面と接地する接地部材であってもよい。接地部材は、通常時には床面から離れており、運搬台車10が傾倒したときに接地することで運搬台車10の更なる傾倒を防止する。接地部材の接地部の一例に対応する。
上述した第1の実施形態の接地ユニット80の補助キャスター81は旋回できずに、車輪82が前後方向に沿って回転できる向きに固定されていてもよい。
【0096】
上述した第1の実施形態の接地ユニット80は、補助キャスター81が第1の状態、第2の状態、第3の状態に段階的に遷移できる場合について説明したが、この場合に限られない。補助キャスター81は、第1の位置から第2の位置までの間で使用者が所望する任意の位置に遷移できるようにしてもよく、遷移できずに第1の状態、第2の状態、第3の状態の何れかの状態で固定してもよい。ここで、補助キャスター81が遷移できずに第1の状態、第2の状態、第3の状態の何れかの位置で固定するとは、ガイド部62を省略して、連結部材86を直接または間接的に台車本体部20に結合することで実現することができる。また、補助キャスター81は、第1の状態、第2の状態、第3の状態のうち何れか2つの状態に段階的に遷移でき、残りの1つの状態には段階的に遷移できないようにしてもよい。また、補助キャスター81は、第1~第3の位置とは異なる第4の位置に遷移できるようにしてもよい。
【0097】
上述した第2の実施形態の載置部180a~180cのうち何れか一つの載置部を省略して、2つの載置部の積載面181に積荷を積載してもよい。
上述した第3の実施形態の載置部180a,280b,180cのうち何れか一つの載置部を省略して、2つの載置部の積載面181に積荷を積載してもよい。
【0098】
上述した第1の実施形態の載置板55a~55eのうち一部または全部を省略して、各フレーム部および補強フレーム部に積荷を積載してもよい。
上述した第2の実施形態または第3の実施形態の載置板155a,155bのうち一部または全部を省略して、各フレーム部および補強フレーム部に積荷を積載してもよい。
上述した第2の実施形態または第3の実施形態のヒンジ部185a~185c,285bは、第1の状態と第2の状態とに遷移できる構造であればよく、回動軸186を有する構成に限られない。
【符号の説明】
【0099】
10,110,210:運搬台車 20,120,220:台車本体部 26:第1被支持フレーム(被支持部) 27:第2被支持フレーム(被支持部) 53:中間横架フレーム部(中間部) 70:走行部 71A:キャスター 72:車輪 81:補助キャスター 82:車輪 180a~180c:載置部 280b:載置部 S1,S3a,S3b,S5:空間 S2,S4:空間
図1
図2
図3
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図5
図6
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