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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009507
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】シール容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20230113BHJP
   B65D 53/02 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D53/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112855
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長船 達矢
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AA23
3E084BA02
3E084CA01
3E084DB02
3E084DB13
3E084DC01
3E084DC02
3E084FC12
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB04
3E084HC03
3E084HD03
3E084KA20
3E084LA07
3E084LA15
3E084LA17
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】高耐圧を維持しつつ容易に開封可能なシール容器を提供する。
【解決手段】シール容器は、容器本体と、容器本体の口部に蓋をする蓋体と、口部の側面周囲と蓋体の側面周囲に密着するシール部材と、シール部材の全周を外側から覆う側壁部を有し、蓋体に対して蓋体の中心周りに回転自在に取り付けられる開封用部材とを備える。側壁部の内面には、シール部材の一端部が折り返された状態で接着されている。開封用部材は、蓋体の中心周りの回転で、シール部材を一端部側から順次折り返しながら剥離する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体の口部に蓋をする蓋体と、
前記口部の側面周囲と前記蓋体の側面周囲に密着するシール部材と、
前記シール部材の全周を外側から覆う側壁部を有し、前記蓋体に対して前記蓋体の中心周りに回転自在に取り付けられる開封用部材とを備え、
前記側壁部の内面には、前記シール部材の一端部が折り返された状態で接着されており、
前記開封用部材は、前記蓋体の中心周りの回転で、前記シール部材を前記一端部側から順次折り返しながら剥離することを特徴とするシール容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記口部に着脱自在に嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする請求項1記載のシール容器。
【請求項3】
前記蓋体は、前記嵌合部の内側周囲に溝部が設けられ、
前記開封用部材は、前記溝部に摺動自在に嵌合する断面視下凸状の環状湾曲部を備えることを特徴とする請求項2記載のシール容器。
【請求項4】
前記側壁部の内側には、剥離された前記シール部材が収容される空間があることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のシール容器。
【請求項5】
前記シール部材が密着する前記口部の側面と前記蓋体の側面が、同一面上にあることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載のシール容器。
【請求項6】
前記シール部材は、ヒートシール材であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のシール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体とキャップ部とがシールにより密閉されてなるシール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、円筒形状の缶体等の容器本体にキャップ部を取り付け、容器本体とキャップ部とがシールにより密閉されたシール容器がある。例えば特許文献1には、容器本体とヒートシール蓋(キャップ部)とから構成された容器が記載されている。この容器は、容器本体の周状の側壁部の上端に、その側壁部に対して略垂直方向に伸びるヒートシール用フランジ部が形成されている。そして、ヒートシール蓋は、ヒートシール用フランジ部においてヒートシールされて容器本体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-164973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器は、容器本体内の内圧が掛かる方向に対して略垂直な方向の面で、容器本体とヒートシール蓋(キャップ部)とがヒートシールによって接着している。容器本体とキャップ部とをこの方向で接着させることは、容易に行うことができるが、容器本体内の内圧によってキャップ部が容器本体から容易に外れてしまう。容器本体の内圧によってキャップ部が容器本体から容易に外れないような高耐圧を維持するためには、容器本体とキャップ部との接着において十分に高い接着強度が必要となり、その場合、容器を開封させる際の荷重が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、高耐圧を維持しつつ容易に開封可能なシール容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシール容器は、容器本体と、前記容器本体の口部に蓋をする蓋体と、前記口部の側面周囲と前記蓋体の側面周囲に密着するシール部材と、前記シール部材の全周を外側から覆う側壁部を有し、前記蓋体に対して前記蓋体の中心周りに回転自在に取り付けられる開封用部材とを備え、前記側壁部の内面には、前記シール部材の一端部が折り返された状態で接着されており、前記開封用部材は、前記蓋体の中心周りの回転で、前記シール部材を前記一端部側から順次折り返しながら剥離することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高耐圧を維持しつつ容易に開封可能なシール容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)シール容器1の斜視図であり、(b)はキャップ部12を容器本体11から取り外した状態のシール容器1の部分斜視図である。
図2】シール容器1の分解斜視図である。
図3】シール容器1の中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む部分斜視図である。
図4】シール容器1の中心軸O’を通る切断面で切断した部分断面図である。
図5】開封用部材15を取り外した状態のシール容器1の中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む斜視図において、シール部材14の折り返された端部14-1を示す図である。
図6】蓋体13とシール部材14と開封用部材15の側壁部154とを上方向から示す部分断面図であり、(a)は、シール部材14の樹脂剤層(ヒートシール層)142が蓋体13の側面135a-1の周囲に接着されていると共に、シール部材14の端部14-1が折り返され、その樹脂剤層142が開封用部材15の側壁部154の内面154-1に接着されている様子を示す図であり、(b)は、蓋体13の側面135a-1の周囲に接着されているシール部材14の樹脂剤層142が、その折り返された端部14-1から順次折り返しながら剥離する様子を示す図である。
図7】容器本体11からキャップ部12を取り外した状態のシール容器1の中心軸O’を通る切断面で切断した部分断面図である。
図8】(a)は容器本体11を中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む部分斜視図であり、(b)は蓋体13を載置した容器本体11を中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む部分斜視図である。
図9】(a)は蓋体13を載置した容器本体11にシール部材14を接着させたものを中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む部分斜視図であり、(b)はシール容器1((a)の状態のものに開封用部材15を取り付けたもの)を中心軸O’に沿う縦方向に切断した部分切断面を含む部分斜視図である。
図10】変形例のシール容器の部分断面図であって、(a)は、蓋体163の側部163-1の下端が容器本体161の口部161-1の上端上に載置されているシール容器1Aの部分断面図であり、(b)は、蓋体173の側部173-1の下端が容器本体171の口部171-1の内側に嵌合されているシール容器1Bの部分断面図であり、(c)は、蓋体183の側部183-1が容器本体181の口部181-1の外側に嵌合されているシール容器1Cの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[シール容器の概要]
図1(a)、(b)、図2に示すように、本実施形態のシール容器1は、容器本体11と、この容器本体11に着脱可能に取り付けられるキャップ部(蓋部)12とを備える。キャップ部12は、容器本体11の開口を形成する口部111に蓋をする蓋体(中栓)13と、シール部材14と、開封用部材15とを備える。
【0011】
シール容器1の中心軸O’は、容器本体11の中心軸であり、キャップ部12を構成する蓋体13、シール部材14及び開封用部材15の中心軸でもある。この中心軸O’は、蓋体13の中心点Oを通る。
【0012】
開封用部材15は、シール部材14の全周を外側から覆う側壁部154を有し、環状に形成されている。この開封用部材15は、蓋体13に対して蓋体13の中心軸O’周りに回転自在に取り付けられている。
【0013】
図1(a)、図3図4に示すように、キャップ部12が取り付けられたシール容器1において、シール部材14の後述の樹脂剤層(ヒートシール層)142は、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に接着により密着する。また、キャップ部12が取り付けられたシール容器1において、開封用部材15の側壁部154の内面154-1には、シール部材14の一端部である端部14-1が折り返された状態でその樹脂剤層142が接着されている。
【0014】
この状態のシール容器1において、後述するように、開封用部材15を回転させることで、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に樹脂剤層142が密着しているシール部材14を剥離することで、シール容器1を開口させることができる。
【0015】
[容器本体11]
容器本体11は、例えば2PC缶、3PC缶、食缶、ボトル缶等の金属製(例えばアルミニウム製、スチール製等)の缶容器の本体であってよい。容器本体11は、図1(a)、(b)、図2図3に示すように、略円形の開口形状を有する口部111と、口部111に繋がる胴部(缶胴)112と、胴部112に繋がる底部113とを有し、略円筒形状を形成している。
【0016】
口部111は、胴部112の開口側先端が外側に向けて屈曲した形状を有し、シール部材14の樹脂剤層142を密着させる側面111a-1を有する外側部111aと、後述の嵌合部134を嵌合させる被嵌合部111bとを有する。この口部111は、外側部111aが中心軸O’に対して径方向側に屈曲した形状にすることで、口部111の剛性を高めている。
【0017】
なお、容器本体11の種類(形状、形成材料等)は、これに限定されず、他の種類の容器の容器本体であってもよい。容器本体11は、例えばプラスチック製、ガラス製、又は紙製であって、カップ状、トレイ状、又は箱状等の形状であってもよい。また、容器本体11のサイズ(高さ、口部111の外径、底部の外径等)は、特に限定されず、何れのサイズであってもよい。また、口部111の開口形状は、例えば略楕円形、三角形、四角形、又はそれ以外の多角形であってもよい。
【0018】
[キャップ部12]
(蓋体13)
図4に示すように、キャップ部12が備える蓋体(中栓)13は、蓋面131と、湾曲部132と、溝部133と、嵌合部134と、突出部135とを有する。
【0019】
蓋体(中栓)13の蓋面131は、中心Oを有する略円形の平坦面であってよい。なお、蓋面131の形状は、特に限定されず、例えば、中心Oを有する略楕円形の平坦面或いは曲面、又は、その他の形状(例えば三角形、四角形、それ以外の多角形等)の平坦面或いは曲面等であってもよい。
【0020】
蓋体13の溝部133は、湾曲部132を介して蓋面131と繋がっていると共に、嵌合部134の内側周囲に設けられている。溝部133には、開封用部材15における後述の環状湾曲部151が摺動自在に嵌合する。
【0021】
蓋体13の嵌合部134は、嵌合突部134aと、嵌合側部134bと、嵌合頂部134cとを有し、容器本体11の口部111に着脱自在に嵌合する。嵌合側部134bを口部111の被嵌合部111bに接触させつつ嵌合突部134aと嵌合頂部134cとで被嵌合部111bを挟み込むことで、嵌合部134は、口部111の被嵌合部111bに嵌合する。
【0022】
嵌合部134と被嵌合部111bは、比較的弱い嵌合力で嵌合する。但し、その嵌合力は、シール容器1が転倒してもその嵌合が外れない程度であってよい。このようなシール容器1では、蓋体13を容器本体11の口部111から取り外した後、再度蓋体13をこの口部111に取り付けることを容易に行うことができる。すなわち、容器本体11からのキャップ部12の取り外し(開封)と、その後の容器本体11へのキャップ部12の取り付け(再封)を容易に行うことができる。
【0023】
蓋体13の突出部135は、側面135a-1を有する外側部135aと、頂部135bと、内側部135cとを有する。キャップ部12を容器本体11に取り付けた状態において、口部111の側面111a-1と、蓋体13の突出部135の側面135a-1とは、同一面上にあってよい。また、この状態において、蓋体13の突出部135の頂部135bは、開封用部材15の後述の頂面部153に接触する。
【0024】
(開封用部材15)
図4に示すように、キャップ部12が備える開封用部材15は、環状湾曲部151と、内周壁部152と、頂面部153と、側壁部154と、屈曲部155とを有する。開封用部材15の環状湾曲部151は、図4に示す断面視下凸状の湾曲形状を有する。この環状湾曲部151は、蓋体13の溝部133に摺動自在に嵌合する。これにより、開封用部材15は、蓋体13に対して蓋体13の中心軸O’周りに回転自在とすることができる。ここで、環状湾曲部151は、摺動しつつも溝部133に強固に嵌合されている。これにより、開封用部材15は、蓋体13に対して摺動するが蓋体13から容易に外れないようになっている。
【0025】
図4に示すように、開封用部材15は、内周壁部152と、頂面部153と、側壁部154と、屈曲部155とで、環状溝を形成している。開封用部材15の環状湾曲部151が、蓋体13の溝部133に嵌合し、蓋体13の嵌合部134が容器本体11の口部111の被嵌合部111bに嵌合した状態(キャップ部12が容器本体11に取り付けられた状態)では、この開封用部材15の環状溝によって、容器本体11の口部111と、蓋体13の嵌合部134及び突出部135とが覆われている。
【0026】
理解を容易にするために開封用部材15を有さない図5を示すと、シール部材14の基材141の一方の面に形成された樹脂剤層142は、口部111の外側部111aの側面111a-1の周囲と、蓋体13の突出部135の外側部135aの側面135a-1の周囲とに、接着により密着している。また、このシール部材14は、その端部14-1が折り返されている。そして、その折り返された状態の端部14-1の樹脂剤層142は、開封用部材15の側壁部154の内面154-1に接着している。
【0027】
開封用部材15が蓋体13の中心軸O’周りに反時計回りに回転することで、シール部材14は、その端部14-1側から順次折り返されながら、口部111の外側部111aの側面111a-1の周囲と、蓋体13の突出部135の外側部135aの側面135a-1の周囲とからその樹脂剤層142が剥離される。
【0028】
また、シール部材14は、図3及び図4に示すように、その全周が外側から開封用部材15の側壁部154に覆われている。これにより、シール部材14は、外部からの接触や衝撃が避けられるため、切断や損傷の発生等が防止されることから、その品質が保護される。
【0029】
図4に示すように、開封用部材15の側壁部154の内側には、順次折り返されながら剥離するシール部材14が収容される空間156が存在する。また、開封用部材15は、空間156の下方に屈曲部155を形成している。剥離されて空間156に収容されているシール部材14は、この屈曲部155上に留まり、下方に垂れ下がることが防止される。これにより、シール容器1では、剥離したシール部材14がシール容器1の外部に露出することが無いため、開封後においても外観性の低下を防止することができる。
【0030】
なお、屈曲部155は、図4に示す断面視下で、より中心軸O’側まで拡がった底面を有するものであってもよい。これにより、剥離されて空間156に収容されているシール部材14の下方への垂れ下がりをより確実に防止することができる。
【0031】
(シール部材14)
シール部材14は、特に限定されないが、例えばヒートシール(熱圧着)により接着可能な樹脂剤層142を基材141の一方の面にコーティング等により形成してなるヒートシール材であってよい。基材141は、特に限定されないが、例えばプラスチックフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、又は紙等であってよい。樹脂剤層142は、特に限定されないが、例えばポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、又はエポキシ系樹脂等で形成されていてよい。
【0032】
シール容器1において、シール部材14は、ヒートシール(熱圧着)により、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲とに樹脂剤層142が接着される。この際、シール部材14の樹脂剤層142は、剥離することが可能な程度に口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に接着されて密着される。
【0033】
但し、シール部材14の端部14-1における樹脂剤層142は、開封時であっても開封用部材15の側壁部154の内面154-1から剥離されずにしっかりと固着される。すなわち、シール部材14の樹脂剤層142は、端部14-1の接着強度がその他の部分の接着強度以上であってよく、より好ましくは、その他の部分の接着強度よりも大きくてよい。
【0034】
[シール容器1の開封]
図4及び図6(a)に示すように、容器本体11にキャップ部12を取り付けた状態では、シール部材(ヒートシール材)14の樹脂剤層142は、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に接着により密着されている。また、このシール部材14は、端部14-1が折り返され、開封用部材15の側壁部154の内面154-1にその端部14-1の樹脂剤層142が接着されている。
【0035】
なお、シール部材14は、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲の略全体と蓋体13の側面135a-1の周囲の略全体に巻回され、その樹脂剤層142が接着される。これにより、図6(a)に示すように、シール部材14の巻き始めの部分と巻き終わりの部分との間には、若干の隙間145が生じる。隙間145には、樹脂等からなる充填材を充填してこの隙間145を埋める処理を行うようにしてよい。このような充填処理を行うことで、隙間145から容器本体11内の内容物が吐出すること等が防止され、より高い密閉性が確保される。
【0036】
シール容器1を開封させる際、すなわちキャップ部12を容器本体11から取り外す際には、図6(b)に示すように、開封用部材15を蓋体13に対して蓋体13の中心軸O’を中心として矢印T1に示す反時計回りに回転させる。開封用部材15によるこの回転で、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に樹脂剤層142が密着しているシール部材14は、端部14-1側から順次折り返されながら、その側面111a-1の周囲及び側面135a-1の周囲から樹脂剤層142が剥離していく。
【0037】
容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に接着(密着)するシール部材14の樹脂剤層142が全て剥離されるか、或いは全て剥離されなくとも剥離していない接着(密着)部分が残り僅かになると、シール容器1の使用者は、図7に示すように、キャップ部12を矢印T2に示す上方向に容易に移動させ、嵌合部134と口部111の被嵌合部111bとの嵌合を外し、シール容器1を開封させることができる。
【0038】
なお、シール容器1の使用者が、開封用部材15を何れの方向にどの程度回転させればキャップ部12を容器本体11から取り外すことができるかを認識できるように、シール容器1には、例えば図1に示すような目印200を表示するようにしてもよい。この目印200は、開封用部材15の側壁部154の外面に基点201とその基点201から反時計回りの方向に伸びる矢印202を表示すると共に、容器本体11の胴部112の外面に基点203を表示するものである。
【0039】
シール容器1の組立の際には、基点201の直下に基点203が位置するように開封用部材15を容器本体11に取り付ける。これにより、シール容器1の使用者は、開封用部材15を反時計回りに、矢印202の基点201が基点203に到達するまで回転させれば、キャップ部12を容器本体11から取り外すことができることを視認することができる。
【0040】
また例えば、基点201及び矢印202を開封用部材15の側壁部154の外面から径方向外側に突出するような凸形状とすると共に、基点203を容器本体11の胴部112の外面から径方向外側に突出するような凸形状としてもよい。これにより、シール容器1の使用者は、開封用部材15を何れの方向にどの程度回転させればキャップ部12を容器本体11から取り外すことができるかを視覚だけでなく触覚によっても認識することができる。
【0041】
[シール容器1の組立]
ここで、シール容器1の組立方法について説明する。先ず、図8(a)に示すように、容器本体11を用意する。次に、図8(b)に示すように、蓋体13の嵌合部134を容器本体11の口部111に嵌合させることで、容器本体11の開口を形成する口部111に蓋をする。
【0042】
そして、図9(a)に示すように、シール部材14を容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に巻回し、ヒートシールによりその樹脂剤層142を側面111a-1の周囲と側面135a-1の周囲に接着させて密着させる。これと共に、シール部材14の一端部である端部14-1を折り返す。その後、図4及び図9(b)に示すように、開封用部材15の環状湾曲部151を蓋体13の溝部133に嵌合させる。この際、シール部材14の折り返された端部14-1の樹脂剤層142を、開封用部材15の側壁部154の内面154-1に、ヒートシールにより接着させる。このようにして、容器本体11にキャップ部12を取り付けた状態のシール容器1が組み立てられる。
【0043】
以上のように、シール容器1は、容器本体11内の内圧が蓋面131に掛かる方向に略平行な方向の面である、容器本体11の口部111の側面111a-1と蓋体13の側面135a-1とに、シール部材14の樹脂剤層142を接着により密着させている。すなわち、側面111a-1と側面135a-1とシール部材14との接着面の方向に荷重が掛かる。
【0044】
これにより、容器本体11内の内圧が蓋面131に掛かっても、それによってキャップ部12が容器本体11から容易に外れることがなく、高耐圧を維持することができる。この点から、容器本体11とキャップ部12とを無駄に高い接着強度で接着させる必要が無いため、シール容器1を開封させる際の荷重は高くならない。そして、開封用部材15の回転により、容器本体11の口部111の側面111a-1と蓋体13の側面135a-1とからシール部材14を容易に剥離させることができる。すなわち、シール容器1によれば、高耐圧を維持しつつ容易に開封可能とすることができる。
【0045】
このようなシール容器1によれば、容器本体11の口部111の開口径に関わらず、容器本体11内の内圧に対して高耐圧を維持することができる。すなわち、シール容器1は、容器本体内の内圧が掛かる方向に対して略垂直な方向の面で、容器本体とキャップ部とがシールによって接着する従来の容器と比較した場合、そのシールによる接着強度がこの従来の容器と同程度でもより高耐圧を維持することができる。これにより、シール容器1は、落下してもこの従来の容器に比べて容易に開封することが無く、従来の容器よりも高い落下強度を実現することが可能である。
【0046】
このようなシール容器1では、例えば容器本体11の口部111の開口径をより大きくしても高耐圧を維持することができることから、開口径の自由度を高めることが可能である。またシール容器1では、例えば通常のレトルト殺菌装置を用いて殺菌を行うことが可能である。
【0047】
[変形例]
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0048】
本実施形態のシール容器は、上述のシール容器1の構成に限定されず、他の構成を備えるシール容器であってもよい。他の構成を備えるシール容器としては、例えば、図10(a)に示すシール容器1A、図10(b)に示すシール容器1B、図10(c)に示すシール容器1Cを挙げることができる。
【0049】
なお、シール容器1A~1Cにおいて、シール容器1と同様の構成については説明を省略する。シール容器1A~1Cのシール部材(ヒートシール材)164、174、184は、上述の例と同様に、何れも基材の一方の面に樹脂剤層(ヒートシール層)が形成されているものであるが、説明を簡素化するため、単にシール部材164、174、184として説明する。
【0050】
例えば図10(a)に示すシール容器1Aは、容器本体161と、キャップ部(蓋部)162とを備える。キャップ部162は、蓋体(中栓)163と、シール部材164と、開封用部材165とを備える。開封用部材165は、蓋体163に対して蓋体163の中心軸O’周りに回転自在に取り付けられている。このシール容器1Aは、蓋体163の側部163-1の下端が容器本体161の口部161-1の上端上に載置されている。すなわち、シール容器1Aは、容器本体161の口部161-1の側面161-1Aと蓋体163の側部163-1の側面163-1Aとが同一面上にあり、蓋体163が容器本体161に嵌合しない構成となっている。
【0051】
このようなシール容器1Aにおいて、キャップ部162が容器本体161に取り付けられた状態では、シール部材164は、容器本体161の口部161-1の側面161-1Aの周囲と蓋体163の側部163-1の側面163-1Aの周囲に接着により密着する。また、シール部材164の一端部である端部164-1は、折り返されて開封用部材165の側壁部165-1の内面165-1Aに接着する。
【0052】
シール容器1Aでは、開封用部材165を中心軸O’周りに反時計回りに回転させて、容器本体161の口部161-1の側面161-1Aの周囲と蓋体163の側部163-1の側面163-1Aの周囲に密着しているシール部材164を剥離することで、シール容器1を開口させることができる。
【0053】
また、例えば図10(b)に示すシール容器1Bは、容器本体171と、キャップ部172とを備える。キャップ部172は、蓋体(中栓)173と、シール部材174と、開封用部材175とを備える。開封用部材175は、蓋体173に対して蓋体173の中心軸O’周りに回転自在に取り付けられている。このシール容器1Bは、蓋体173の側部173-1の下端が容器本体171の口部171-1の内側に嵌合されている。すなわち、シール容器1Bは、容器本体171の口部171-1の側面171-1Aと蓋体173の側部173-1の側面173-1Aとが同一面上に無く、蓋体173が容器本体171に嵌合する構成となっている。
【0054】
このようなシール容器1Bにおいて、キャップ部172が容器本体171に取り付けられた状態では、シール部材174は、容器本体171の口部171-1の側面171-1Aの周囲と蓋体173の側部173-1の側面173-1Aの周囲に接着により密着する。また、シール部材174の一端部である端部174-1は、折り返されて開封用部材175の側壁部175-1の内面175-1Aに接着する。
【0055】
シール容器1Bでは、開封用部材175を中心軸O’周りに反時計回りに回転させて、容器本体171の口部171-1の側面171-1Aの周囲と蓋体173の側部173-1の側面173-1Aの周囲に密着しているシール部材174を剥離することで、シール容器1を開口させることができる。
【0056】
また、例えば図10(c)に示すシール容器1Cは、容器本体181と、キャップ部(蓋部)182とを備える。キャップ部182は、蓋体(中栓)183と、シール部材184と、開封用部材185とを備える。開封用部材185は、蓋体183に対して蓋体183の中心軸O’周りに回転自在に取り付けられている。このシール容器1Cは、蓋体183の側部183-1が容器本体181の口部181-1の外側に嵌合されている。すなわち、シール容器1Cは、容器本体181の口部181-1の側面181-1Aと蓋体183の側部183-1の側面183-1Aとが同一面上に無く、蓋体183が容器本体181に嵌合する構成となっている。なお、図10(c)に示すシール容器1Cのように、蓋体183の側部183-1が容器本体181の口部181-1の外側に嵌合されている場合に、口部181-1を容器本体181の胴径に対して細くして(または容器本体181の胴径を口部181-1に対して太くして)、側面181-1Aと側面183-1Aを同一面上にしてもよい。
【0057】
このようなシール容器1Cにおいて、キャップ部182が容器本体181に取り付けられた状態では、シール部材184は、容器本体181の口部181-1の側面181-1Aの周囲と蓋体183の側部183-1の側面183-1Aの周囲に接着により密着する。また、シール部材184の一端部である端部184-1は、折り返されて開封用部材185の側壁部185-1の内面185-1Aに接着する。
【0058】
シール容器1Cでは、開封用部材185を中心軸O’周りに反時計回りに回転させて、容器本体181の口部181-1の側面181-1Aの周囲と蓋体183の側部183-1の側面183-1Aの周囲に密着しているシール部材184を剥離することで、シール容器1を開口させることができる。
【0059】
また、上述の例とは異なり、シール部材は、基材を有さないヒートシール材であってもよく、例えばヒートシール可能な樹脂層又は金属層のみからなるヒートシール材であってもよい。
【0060】
また、上述の例とは異なり、シール部材は、例えば粘着性を有する接着剤層を基材141の一方の面にコーティング等により形成した接着材(接着テープ)であってもよい。このようなシール部材は、開封用部材15の回転により剥離した際に、開封用部材15の屈曲部155上に留まるだけでなく、開封用部材15の側壁部154の内面154-1に接着剤層が付着することから、下方への垂れ下がりをより確実に防止することができる。
【0061】
また、上述の例とは異なり、シール部材14は、一端部である端部14-1ではなく、その長手方向の反対側の他端部(図示せず)が折り返され、開封用部材15の側壁部154の内面154-1にその他端部の樹脂剤層142が接着されていてもよい。この場合、開封用部材15を蓋体13に対して蓋体13の中心軸O’を中心として、上述の例とは逆の時計回りに回転させることで、シール容器1を開封させることができる。
【0062】
また別の例として、シール部材14は、一端部である端部14-1と、その長手方向の反対側の他端部(図示せず)との両方が折り返され、開封用部材15の側壁部154の内面154-1にその一端部及び他端部の樹脂剤層142が接着されていてもよい。この場合、開封用部材15を蓋体13に対して蓋体13の中心軸O’を中心として回転させる際、反時計回り及び時計回りの内、より強い回転力を掛けた回転方向へと回転させることで、シール容器1を開封させることができる。
【0063】
また、上述のシール部材14は、更に、樹脂剤層142の表面(接着面)に、容器本体11内の内容物が入れ替えられる等の改ざん行為等の不正行為を防止するためのタンパーエビデント(不正開封防止)機能を付与してもよい。このタンパーエビデント機能の一例として、樹脂剤層142の表面(接着面)に、被接着物に転写可能なインク画像を含ませるようにしてよい。これにより、容器本体11の口部111の側面111a-1の周囲と蓋体13の側面135a-1の周囲に接着された樹脂剤層142が剥離された際に、その側面111a-1及び側面135a-1に、樹脂剤層142から転写されたインク画像が表示される。その結果、シール容器1が開封されたことが視認されるため、容器本体11内の内容物が入れ替えられる等の改ざん行為等の不正行為を防止することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A~1C シール容器、11 容器本体、12 キャップ部(蓋部)、13 蓋体(中栓)、14 シール部材、15 開封用部材、111 口部、112 胴部(缶胴)、131 蓋面、132 湾曲部、133 溝部、134 嵌合部、135 突出部、141 基材、142 樹脂剤層、151 環状湾曲部、152 内周壁部、153 頂面部、154 側壁部、155 屈曲部
図1
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図10