(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095087
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】タイヤリフター装置
(51)【国際特許分類】
B60B 29/00 20060101AFI20230629BHJP
B60S 5/00 20060101ALI20230629BHJP
B60B 30/10 20060101ALI20230629BHJP
B25H 5/00 20060101ALI20230629BHJP
B66F 5/00 20060101ALI20230629BHJP
B66F 17/00 20060101ALI20230629BHJP
B66F 9/24 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
B60B29/00 K
B60S5/00
B60B30/10
B25H5/00 Z
B66F5/00 Z
B66F17/00 K
B66F9/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210763
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 謙介
【テーマコード(参考)】
3C012
3D026
3F333
【Fターム(参考)】
3C012BL02
3D026BA24
3D026BA27
3D026BA45
3F333AA01
3F333FA12
3F333FA15
3F333FA34
(57)【要約】
【課題】タイヤリフター装置に作業台を設けて、その作業台の側方位置に作業者が把持する把持部を設け、その把持部にタイヤ昇降用の昇降操作部を設けたタイヤリフター装置であって、作業台の上に置いたものが不意に昇降操作部に触れた場合であっても、タイヤ保持部が上下動しないようにして、タイヤの脱着作業等の安全性を高めることができるタイヤリフター装置を提供する。
【解決手段】作業台4の側方位置に、作業者が握る把持ハンドル部42を設けて、該把持ハンドル部42に、昇降機構部を操作する降下SW62,上昇SW63を設けて、該降下SW62,上昇SW63の入力を許可するオープンSW61を設けて、該オープンSW61の操作中のみに前記降下SW62,上昇SW63の操作が有効になるように制御するモータ制御ユニットを備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部にキャスターを設けて水平方向に移動させることができる台車と、該台車の前側に設けられてタイヤを保持するタイヤ保持部と、該タイヤ保持部を上下方向に昇降する昇降機構部と、前記台車の後側に設けられて部品等を置くことができる作業台と、を備えたタイヤリフター装置であって、
前記作業台の側方位置に、前記台車を水平方向に移動させる際に作業者が握る把持部を設けて、
該把持部に、前記昇降機構部を操作する昇降操作部を設けて、
該昇降操作部の入力を許可する入力許可操作部を設けて、
該入力許可操作部の操作中のみに前記昇降操作部の操作が有効になるように制御する制御手段を備えた
ことを特徴とするタイヤリフター装置。
【請求項2】
前記昇降操作部の入力によって昇降する前記昇降機構部の昇降スピードが、S字加速度となるようにスピードを調整するスピード調整手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤリフター装置。
【請求項3】
前記把持部を、前記作業台の左右両側位置にそれぞれ設けて、
該左右両側の把持部の一方に、前記昇降操作部を設けて、
該左右両側の把持部の他方に、前記入力許可操作部を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤリフター装置。
【請求項4】
前記昇降操作部が、上昇ボタンと降下ボタンとで構成されて、
該上昇ボタンと降下ボタンを、前記把持部の一端側と他端側に離間して設置した
ことを特徴とする請求項3記載のタイヤリフター装置。
【請求項5】
前記作業台とは別に、前記タイヤを取り外した際に取り外されるホイールナット等を収容するナット収容部を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一に記載のタイヤリフター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車やトラック等の自動車に装着されるタイヤを、自動車から脱着作業する際に用いるタイヤリフター装置に関し、具体的には、ブレーキ装置等のタイヤ周りの点検整備作業も同時に行うことができる作業台を備えたタイヤリフター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車整備工場等での作業負担軽減のため、重量物であるタイヤの脱着作業を容易に行うことができる、いわゆるタイヤリフター装置が自動車整備工場等に導入されつつある。このタイヤリフター装置は、タイヤを保持するタイヤ保持部と、このタイヤ保持部を上下動する昇降機構部と、この昇降機構部を操作する昇降操作部とを備えている。
【0003】
また、自動車からタイヤを脱着する場合には、同時にブレーキ装置等のタイヤ周りの点検整備等を行うことがあるため、タイヤリフター装置に、点検整備等を行う作業台(作業テーブル)を備えるものが、下記特許文献1や特許文献2等で知られている。
【0004】
下記特許文献1に記載されたタイヤリフター装置では、タイヤを支持するタイヤホルダ5を、整備用台車1の内側で上下動するように構成して、取り外したタイヤ3を、整備用台車1内の収容空間13に下ろした後に、整備用台車1に設けた作業用受け皿42で、点検整備を行えるように構成している。
【0005】
また、下記特許文献2に記載されたタイヤリフター装置では、整備用台車1の前側に、タイヤを保持して上下方向に移動させるリフタ3を設けて、整備用台車1の後側に、点検整備を行う作業台4を設けることで、タイヤを取り外した状態で点検整備が行えるように構成している。
【0006】
なお、タイヤを脱着する際には、自動車に装着されたタイヤに対して、タイヤリフター装置の位置を細かく位置合わせをして、作業を行う必要があるため、タイヤリフター装置の水平方向の位置と、タイヤ保持部の昇降位置(上下方向の位置)とを、共に細かく位置調整する必要がある。
【0007】
そこで、下記特許文献3に記載されたタイヤリフター装置では、台車操作用の手押しハンドル20等に、タイヤ昇降用のシリンダ操作部S(21、20a)を設け、台車の水平方向の位置を調整しながら、タイヤの昇降位置(上下方向の位置)も同時に調整するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-308071号公報
【特許文献2】実用新案登録第3173700号公報
【特許文献3】特開2020-90107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ブレーキ装置等のタイヤ周りの点検整備等を行う場合には、前述の特許文献1や特許文献2のタイヤリフター装置のように、作業台を追加して設けることが考えられる。このとき、作業性を考慮すると、特許文献2のように、作業台をタイヤリフター装置の後側に設置して、作業者の手元で点検整備等を行えるようにすることが考えられる。
【0010】
さらに、作業者がタイヤリフター装置を移動させて、タイヤの脱着位置に位置合わせすることを考えると、その作業台の側方位置に、手押しハンドルとしての把持部を設けることが考えられる。そして、特許文献3のように、その把持部にタイヤ昇降用の操作部としての昇降操作部を設けることで、タイヤの昇降位置も、同時に位置合わせすることが考えられる。
【0011】
このように、タイヤリフター装置を構成することにより、作業者は、手元で、タイヤ周りの点検整備等を行うことができつつも、タイヤリフター装置の水平方向の位置を調整し、タイヤ保持部の昇降位置(上下方向の位置)も調整することができるため、タイヤの脱着作業とタイヤ周りの点検整備作業等といった一連の作業を、容易に行うことができる。
【0012】
しかし、このように、作業台の側方位置に把持部を設けて、この把持部に昇降操作部を設けた場合には、新たな問題が生じる。
【0013】
それは、タイヤ保持部にタイヤを保持させた状態で、作業台の上に置いたブレーキ装置の部品や電動工具等が不意に昇降操作部に触れてしまった場合に、タイヤ保持部が勝手に上下動してしまい、タイヤの脱着作業等の安全性が損なわれるという問題である。
【0014】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、タイヤリフター装置に作業台を設けて、その作業台の側方位置に作業者が把持する把持部を設け、その把持部にタイヤ昇降用の昇降操作部を設けたタイヤリフター装置であって、作業台の上に置いたものが不意に昇降操作部に触れた場合であっても、タイヤ保持部が上下動しないようにして、タイヤの脱着作業等の安全性を高めることができるタイヤリフター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
その目的を達成するために、この発明では、タイヤリフター装置に作業台を設けて、その作業台の側方位置に作業者が把持する把持部を設け、その把持部にタイヤ昇降用の昇降操作部を設けたタイヤリフター装置において、その昇降操作部の入力を許可する入力許可操作部を設けて、入力許可操作部の操作中のみ、タイヤ昇降用の昇降操作部の操作が、有効になるように制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
具体的に、第1の発明では、下部にキャスターを設けて水平方向に移動させることができる台車と、該台車の前側に設けられてタイヤを保持するタイヤ保持部と、該タイヤ保持部を上下方向に昇降する昇降機構部と、前記台車の後側に設けられて部品等を置くことができる作業台と、を備えたタイヤリフター装置であって、前記作業台の側方位置に、前記台車を水平方向に移動させる際に作業者が握る把持部を設けて、該把持部に、前記昇降機構部を操作する昇降操作部を設けて、該昇降操作部の入力を許可する入力許可操作部を設けて、該入力許可操作部の操作中のみに前記昇降操作部の操作が有効になるように制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、作業台の側方位置に把持部を設けて、その把持部に昇降操作部を設けて、その昇降操作部の入力を許可する入力許可操作部を設け、さらにその入力許可操作部の操作中のみに昇降操作部の操作が有効になるように制御する制御手段を備えているため、把持部に設けた昇降操作部のみが操作されても、昇降機構部は上下方向に昇降しない。
【0018】
このため、作業台に置いたブレーキ装置の部品等が不意に昇降操作部に触れたとしても、昇降機構部が勝手に上下方向に昇降しないようにできる。
【0019】
なお、入力許可操作部は、昇降操作部から離れた位置に設けていれば、どこに設けても良い。例えば、台車の下部や、作業台の下部等に設けても良い。台車の下部に入力許可操作部を設けた場合には、作業者が足で操作したり、また、作業台の下部に入力許可操作部を設けた場合には、作業者が別の手で操作したりすることで、入力許可操作部と昇降操作部とに誤って部品等が同時に触れるおそれを無くすことができる。
【0020】
また、昇降機構部の動力源は、特に限定されず、電動式や油圧式、又はエア式等であっても良い。もっとも、タイヤリフター装置を、自由に移動させる場合には充電バッテリーを備えた電動式が望ましい。
【0021】
第2の発明では、前記昇降操作部の入力によって昇降する前記昇降機構部の昇降スピードが、S字加速度となるようにスピードを調整するスピード調整手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、昇降機構部の昇降スピードがS字加速度となるため、タイヤを昇降させる際の昇降スピードが、操作初期には遅くなり、操作中期、後期には速くなることになる。
【0023】
このため、作業者が意図しないタイミングで昇降機構部が作動しても、昇降初期には急激な位置変化が生じないため、タイヤの脱着作業時の安全性を悪化させることがない。また、昇降中期、後期には位置変化が大きくなるため、タイヤの脱着作業の作業性も悪化させることもない。
【0024】
よって、タイヤリフター装置としてのタイヤの脱着作業の作業性を悪化させることなく、安全性を高めることができる。
【0025】
第3の発明では、前記把持部を、前記作業台の左右両側位置にそれぞれ設けて、該左右両側の把持部の一方に、前記昇降操作部を設けて、該左右両側の把持部の他方に、前記入力許可操作部を設けたことを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、作業台の左右両側位置にそれぞれ把持部を設けたため、作業者はその左右両側の把持部をそれぞれ左右の両手で握って、タイヤリフター装置を手押しで水平方向に移動させることができる。そして、その左右両側の把持部にそれぞれ昇降操作部と入力許可操作部を設けたため、作業者は両手でそれぞれの把持部を握ったままで、昇降操作部と入力許可操作部を操作してタイヤ保持部の昇降位置をタイヤに合わせることができる。
【0027】
このため、タイヤ位置へのタイヤリフター装置の水平方向の位置合わせも、タイヤ保持部の上下方向の位置合わせも、作業者が左右両側の把持部を両手で握ったまま、容易に行うことができる。
【0028】
よって、作業者がタイヤリフター装置を両手で握ったままで、水平方向も上下方向も位置合わせすることができるため、タイヤの脱着作業等をより容易に且つ迅速に行うことができる。
【0029】
第4の発明では、前記昇降操作部が、上昇ボタンと降下ボタンとで構成されて、該上昇ボタンと降下ボタンを、前記把持部の一端側と他端側に離間して設置したことを特徴とするものである。
【0030】
この構成によれば、昇降操作部である上昇ボタンと降下ボタンを、把持部の一端側と他端側に離間して設置したことで、作業者は、タイヤ保持部を昇降する際に、これらのボタンを目視することなく、それぞれ操作することができる。
【0031】
このため、作業者は、タイヤにタイヤ保持部の位置を合わる場合に、タイヤから目線を切ることなく、位置合わせをすることができるため、安全に且つ迅速にタイヤの脱着作業等を行うことができる。
【0032】
よって、タイヤリフター装置によるタイヤの脱着作業等を、より安全に且つ迅速に行うことができる。
【0033】
第5の発明では、前記作業台とは別に、前記タイヤを取り外した際に取り外されるホイールナット等を収容するナット収容部を設けたことを特徴とするものである。
【0034】
この構成によれば、作業台とは別に、ホイールナットやホイールボルトを収容するナット収容部を設けたため、取り外した複数のホイールナットやホイールボルトが、作業台の上でバラバラに飛散することがない。
【0035】
このため、作業台側方の把持部の昇降操作部に、ホイールナットやホイールボルトが不意に接触することがない。
【0036】
よって、タイヤを取り外した際には必ず取り外されるホイールナットやホイールボルトが、昇降操作部に触れることを確実に防ぐことができ、タイヤの脱着作業等の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上、説明したように、本発明によれば、作業台に置いたブレーキ装置の部品等が不意に昇降操作部に触れたとしても、昇降機構部が勝手に上下方向に昇降しないようにできる。
【0038】
よって、タイヤリフター装置に作業台を設けて、その作業台の側方位置に作業者が把持する把持部を設け、その把持部にタイヤ昇降用の昇降操作部を設けたタイヤリフター装置であって、作業台の上に置いたものが不意に昇降操作部に触れた場合であっても、タイヤ保持部が上下動しないようにして、タイヤの脱着作業等の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施形態1に係るタイヤリフター装置の前方全体斜視図である。
【
図2】
図1に示したタイヤリフター装置の後方全体斜視図である。
【
図3】
図1に示したタイヤリフター装置の側面図である。
【
図6】(a)タイヤ保持部を降下させたタイヤリフター装置の側面図、(b)タイヤ保持部を上昇させたタイヤリフター装置の側面図である。
【
図7】タイヤリフター装置の作業台近傍の平面図である。
【
図8】タイヤリフター装置の作業台近傍の後面図である。
【
図9】実施形態1のタイヤリフター装置のシステムブロック図である。
【
図10】実施形態1のタイヤリフター装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】タイヤリフター装置の電動モータの回転スピードの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0041】
(実施形態1)
<全体構成>
まず、
図1乃至
図6を使って本実施形態1のタイヤリフター装置の全体構成について説明する。
図1は本実施形態1のタイヤリフター装置の前方全体斜視図で、
図2はそのタイヤリフター装置の後方全体斜視図である。また、
図3はそのタイヤリフター装置の側面図、
図4は
図3のX-X線矢視断面図、
図5は
図4のY-Y線矢視断面図、
図6は、(a)がタイヤ保持部を降下させたタイヤリフター装置の側面図、(b)がタイヤ保持部を上昇させたタイヤリフター装置の側面図である。
【0042】
実施形態1のタイヤリフター装置Lは、
図1に示すように、下部に略矩形平板状のベースプレート1を備えて、そのベースプレート1の下面四隅に、4つのキャスター11…を設けている。また、ベースプレート1の下面後側中央に、踏み込み式ブレーキ12を設けている。この踏み込み式ブレーキ12を作動させることで、ベースプレート1の位置がフロア(図示せず)上で固定されて、キャスター11…によって自由にタイヤリフター装置Lが移動しないようにしている。
【0043】
そして、ベースプレート1の前側上方には、タイヤを保持するタイヤ保持部2を設けて、そのタイヤ保持部2を上下動させる昇降機構部3を設けている。また、ベースプレート1の後側上方には、作業者が作業を行う作業台4を上部に設けた台車部5を設けている。
【0044】
前述のタイヤ保持部2は、前面視で略U字形状に組まれた矩形フレーム材21a,21b,21cで構成されたタイヤ側面支持枠21と、そのタイヤ側面支持枠21の下部両端から前方に延びる一対のタイヤ下面支持腕22,22とを備えている。
【0045】
このタイヤ保持部2は、
図3に示すように、タイヤ側面支持枠21の上方が後方にやや傾くように配置されており、このタイヤ側面支持枠21とタイヤ下面支持腕22とで、立てたタイヤTが後方にやや傾く状態で支持させるように構成している。
【0046】
また、前述のタイヤ下面支持腕22は、タイヤTを支持した面が自由に回転するように円筒部材22aと軸部材22bとで構成されており、支持したタイヤTが作業者によって自由に回転させられるようになっている。
【0047】
前述の昇降機構部3は、前述のベースプレート1の中央で上下方向に延びるように立設されたスライドガイド部31と、そのスライドガイド部31によって上下方向にスライド移動する矩形体のスライドベース部32と、スライドベース部32の上部に設けられて前述のタイヤ保持部2をフローティング支持する弾性支持部33と、スライドガイド部31に回転駆動力を付与する電動モータ34と、この電動モータ34等に電力を送るバッテリー部35とを備えている。
【0048】
前述のスライドガイド部31は、その内部に、
図4に示すように、上下方向に延びる左右一対のガイドシャフト31a、31aと、その一対のガイドシャフト31a,31aの間で中央に平行に延びる一本のネジ軸31bと、を設けている。
【0049】
前述の左右一対のガイドシャフト31a,31aは、表面が滑らかな円柱のシャフト部材で構成されており、後述するスライド体36が上下方向に自由にスライド移動するように構成されている。この左右一対のガイドシャフト31a,31aは、下端がベースプレート1に固定された固定台座部37に、固定ボルト37a,37aで固定されており、図示しないものの、上端が固定部材に対して固定ボルトで固定されている。
【0050】
前述の中央のネジ軸31bは、表面が螺旋状のネジ溝が形成されたネジ部材で構成されている。そして、下部を固定台座部37にベアリング部材37bを介して回転自在に支持されて、上部も図示しないものの、固定部材にベアリング部材を介して回転自在に支持されている。
【0051】
また、ネジ軸31bの下端には、ベースプレート1の穴部1aを貫通して、前記電動モータ34から回転駆動力を受ける従動プーリー38aを固定している。
【0052】
この従動プーリー38aには、電動モータ34の下部から下方に突出したモータ出力軸34aに固定された駆動プーリー38bとの間で、伝動ベルト39が巻き掛けられており、この駆動プーリー38bと伝動ベルト39によって、電動モータ34からの回転駆動力が伝達されるよう構成されている。
【0053】
また、これら一対のガイドシャフト31a,31aと一本のネジ軸31bに対して、
図5に示すように、横長矩形状のスライド体36が、ガイドシャフト31a,31aとネジ軸31bを貫通するように配置されている。そして、このスライド体36は、内部にナット部材36aが設けられ、このナット部材36aがネジ軸31bに噛合しているため、ネジ軸36aが回転するとスライド体36が上下方向にスライド移動(昇降移動)するように構成されている。すなわち、これらのナット部材36aとネジ軸31bとによって、いわゆる、「すべりネジ機構」が構成されているのである。
【0054】
また、スライドガイド部31の外側には、箱型板状のカバー部材31cが一対のガイドシャフト31a,31aと一本のネジ軸31bを、取り囲むように配置されている。このようにカバー部材31cを配置することで、スライド体36が上下方向にスライド移動した際の巻き込み防止を図っている。
【0055】
また、前述のスライド体36は、前述のスライドベース部32から水平方向に延びる二本の固定ボルト32a,32aによって、スライドベース部32と固定されている。このため、スライドベース部32は、スライド体36と共に、一対のガイドシャフト31a,31aと一本のネジ軸31bに沿って上下方向にスライド移動するように構成されている。
【0056】
このように、スライドガイド部31とスライドベース部32が構成されていることで、
図6に示すように、タイヤ保持部2は、上下方向で位置を変えるように昇降する。(a)に示すようにタイヤ保持部2が降下した状態では、タイヤTは低い位置で支持されることになる。一方、(b)に示すようにタイヤ保持部2が上昇した状態では、タイヤTは高い位置で支持されることになる。
【0057】
このように、タイヤ保持部2がその位置を変えるように構成したことで、このタイヤリフター装置Lによると、リフトに載った自動車(図示せず)からタイヤTを取り外す際には、(b)に示すようにタイヤ保持部2を上昇させて、タイヤ保持部2を高い位置に位置させてから、タイヤTを固定しているホイールナット(図示せず)を、電動工具等(図示せず)で取り外し、タイヤTを自動車のハブ(図示せず)から取り外す。そして、この取り外したタイヤTをタイヤ保持部2側に移動させ、タイヤ保持部2でタイヤTを支持する。
【0058】
その後、(a)に示すように、タイヤ保持部2を下側に降下させて、タイヤTを低い位置に下ろして、そのタイヤTをタイヤ保持部2から降ろす。
【0059】
一方、新しいタイヤTを装着する場合には、(a)の状態で、新しいタイヤTをタイヤ保持部2に載せて、タイヤ保持部2を上昇させる。そして、(b)に示すように、タイヤ保持部2を高い位置に上昇させて、その高い位置で、新しいタイヤTを自動車のハブ(図示せず)に装着する。このとき、タイヤ保持部2の位置を微調整して、ハブ側のスタッドボルト(図示せず)とタイヤ側のホイール穴(図示せず)の間の位置合わせを行い、タイヤTを自動車のハブ側に仮組みし、電動工具等でホイールナットを組み付ける。こうして、新しいタイヤTを自動車に装着する。
【0060】
このようにタイヤ保持部2の位置を微調整するために、本実施形態のタイヤリフター装置では、前述の弾性支持部33を設けている。
【0061】
この弾性支持部33は、
図1に破線で示すように、スライドベース部32の内部に上面から上下方向に延びる二つの丸穴32a,32aを形成して、この二つの丸穴32a,32aに、タイヤ保持部2のタイヤ側面支持枠21中央に設けた二つの差し込みロッド21d,21dを遊嵌状態で差し込み、この差し込みロッド21d,21dの外周に、所定長さを有する2つの円形コイルスプリング33a,33aを組み込み、タイヤ側面支持枠21の下面とスライドベース部32の上面の間に介装することで構成している。
【0062】
このように弾性支持部33を構成することで、タイヤ保持部2とスライドベース部32との間の距離を、作業者が自由に変化させることができるため、タイヤTを装着する際に、タイヤ側のホイール穴(図示せず)と自動車のハブ側のスタッドボルト(図示せず)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0063】
前述の電動モータ34は、スライドガイド部3に隣接したベースプレート1の上面に、矩形筐体で出力軸34aが下方に延びるように設置されている。なお、この電動モータ34は2相ステッピングモータで構成されており、後述するように、回転スピードの出力がS字加減速制御で制御されるように構成している。
【0064】
前述のバッテリー部35は、電池(図示せず)と充電器(図示せず)で構成されており、前述の台車部5の下部に、横長矩形体として設置されている。電池が密閉型の鉛蓄電池で構成されているため、バッテリー部35は比較的重量を有することになる。このため、バッテリー部35が、タイヤ保持部2でタイヤTを支持した状態で、いわゆるカウンターウェートとして機能して、タイヤ保持部2が高い位置でタイヤTを支持したとしても、ふらふらと揺れることなく、安定してタイヤTの脱着作業を行うことができる。
【0065】
また、
図3に示すように、バッテリー部35の側面には電源スイッチ35aが設けられ、その下方にはDCジャック35bを設けている。このDCジャック(電源差込口)35bに対して、図示しない外部電源のDCプラグを差し込むことで、バッテリー部35の電池に対して充電が行われるように構成している。
【0066】
前述の台車部5は、前述したように上部に作業者が作業を行う作業台4を設けた上下方向縦長で左右方向横長のヤグラ形状に形成されている。具体的には、
図2等に示すように、ベースプレート1上で上下方向に延びる4本の柱部51…と、この4つの柱部の上端で支持されて上面が平坦な平板状の作業台4と、この作業台4の下方で後方側に引き出し可能な引出し棚52と、4つの柱部51…の上下中間位置に形成された凹型状の固定トレイ53と、で構成されている。
【0067】
なお、引出し棚52の下方右側には後方側が開口したラチェットレンチホルダ54を設け、引出し棚の右側には上方側が開口したインパクトレンチホルダ55を設け、その下側には上方側が開放したスプレー缶ホルダ56を設けている。また、台車部5の左側側面には、パンチングプレート57を設けて、様々な工具等が吊下げ支持できるように構成している。
【0068】
このように台車部5に複数のホルダ54,55,56やプレート57を設けることで、作業者はタイヤTの脱着作業等の際に、タイヤリフター装置Lから離れることなく、脱着作業等で用いる工具類を即座に手に取ることができるため、タイヤTの脱着作業を、安全かつ迅速に行うことができる。
【0069】
前述の柱部51…は、4本全てを外側が丸い断面略四半円状のフレーム部材で構成している。このように柱部51…の外側を丸いフレーム部材で構成することで、タイヤリフター装置Lが誤って水平方向に移動して自動車等に干渉したとしても、自動車等の損傷を防ぐことができる。
【0070】
前述の作業台4は、左右方向に横長の平板部材で構成している。このような平坦な平板部材で構成することで、作業台4の上では、作業者がタイヤTを取り外した状態でブレーキ装置の部品(図示せず)等の分解作業や清掃・点検作業等を容易に行うことができる。また、点検作業用のタブレット端末(図示せず)等を置いたり、電動工具(図示せず)等を置いたりすることもできる。
【0071】
なお、この作業台4の前方に位置するスライドガイド部3の上部には、凹状に凹んだナット用トレイ58を設けている。このように作業台4とは別にナット用トレイ58を設けることで、タイヤTの脱着時に取り外したホイールナット(図示せず)やホイールボルトが作業台上で、ばらつくことなく、また、これらのホイールナットやホイールボルトを失う恐れも無くすことができる。
【0072】
前述の引出し棚52と、前述の固定トレイ53についても、様々な工具やタイヤの補修材等を、内部に収納することができるように構成されており、こうした収納部位があることで、作業台4の上が、煩雑になることを防ぎつつ、作業者は、タイヤリフター装置Lから離れることなく、様々な工具等を即座に手に取ることができる。
【0073】
<昇降操作部等の詳細構造>
次に、前述の昇降機構部3を操作する昇降操作部等の詳細構造について、
図7及び
図8を使って説明する。
図7は、タイヤリフター装置の作業台近傍の平面図で、
図8は、タイヤリフター装置の作業台近傍の後面図である。
【0074】
図8に示すように、作業台4の左右両側位置には、作業者が両手で把持する把持ハンドル部41,42を設けている。この把持ハンドル部41,42は、断面略ティアドロップ型の前後方向に延びる筒状部材で構成されており、細い端部41a,42aを左右方向の内側に、太い円形部41b,42bを左右方向の外側に位置するように、作業台4の左右両側位置に設けられている。
【0075】
このように、把持ハンドル部41,42が断面略ティアドロップ型に形成されていることで、作業者は、この把持ハンドル部41,42の内側の傾斜面41c、42cに親指を沿わせて、把持ハンドル部41,42の上部の円弧面41e,42eに掌を当て、把持ハンドル部41,42の外側の円弧面41f,42fを親指以外の4本の指で握ることで、確実に把持することができ、この把持ハンドル部41、42を、手押しハンドルとして、タイヤリフター装置Lを自由に水平方向に動かすことができる。
【0076】
この把持ハンドル部41,42の内側の傾斜面41c,42cには、昇降機構部を操作する昇降操作部としてのボタンスイッチ61,62,63を設けている。具体的には、
図7に示すように、左側の把持ハンドル部41の後側にオープンスイッチ61(以下、オープンSW)を設けて、右側の把持ハンドル部42の前側に降下スイッチ62(以下、降下SW)を設け、右側の把持ハンドル部の後側に上昇スイッチ63(以下、上昇SW)を設けている。
【0077】
これらのボタンスイッチ61,62,63は、全て機械式の丸形押ボタンで構成されており、
図8に示すように、把持ハンドル部41,42の表面から突出するように設けられている。このため、作業者は、各ボタン61,62,63を直接目視することなく、操作することができる。よって、作業者は、取り外したタイヤTから目線を切る事なく、安全且つ迅速に、タイヤTの脱着作業を行うことができる。
【0078】
もっとも、これらボタンスイッチ61,62,63が把持ハンドル部41,42の表面から突出しているため、作業台4の上に置いたブレーキ装置の部品や電動工具等W(
図8の一点鎖線を参照)が、ボタンスイッチ62,63に不意に触れてしまうと、昇降機構部3が勝手に作動する恐れがある。特に、右側の把持ハンドル部42に設けた降下SW62や上昇SW63に、ブレーキ装置の部品や電動工具W等が触れてしまうと、不意にタイヤ保持部2で支持しているタイヤTの位置が変化してしまい、タイヤTの脱着作業等の安全性を損なう恐れがある。
【0079】
そこで、本実施形態では、別途オープンSW61を設けて、昇降機構部3が勝手に作動するのを防ぐように構成している。
【0080】
<昇降機構部の制御システム>
次に、昇降機構部を作動させる制御システムについて、
図9と
図10を使って説明する。
【0081】
図9が、昇降機構部の制御システムの制御ブロックを示した図で、
図10が、その制御システムの制御フローチャートである。
【0082】
図9に示すように昇降機構部の制御ブロックは、入力手段として、電源スイッチ35aと、オープンSW61と、上昇SW63と、降下SW62とを備えて、それぞれの入力信号を、モータ制御ユニットCに入力するように構成されている。そして、このモータ制御ユニットCで入力した信号に基づいて演算処理が行われて、出力手段としての電動モータ34に対して、制御信号が出力されるように構成されている。
【0083】
図10に示すように、まず、S1で電源スイッチ35aがONかが判断される。電源スイッチ35aがONでない場合(NOの場合)には、そのままリターンに移行して次の制御サイクルに備える。一方、電源スイッチ35aがONの場合(YESの場合)には、S2の待機状態に移行する。
【0084】
S2の待機状態で、各ボタンスイッチ61,62,63からの入力信号が読み込まれる状態になる。その後、S3で、オープンSW61がONかが判断される。オープンSW61がONでない場合(NOの場合)には、リターンに移行して次の制御サイクルに備える。一方、オープンSW61がONの場合(YESの場合)には、S4に移行する。
【0085】
S4では、上昇SW63がONかが判断される。上昇SW63がONでない場合(NOの場合)は、S5に移行して、上昇SW63はONの場合(YESの場合)には、S6に移行する。
【0086】
S6では、電動モータ34に上昇方向の回転が生じるように、電動モータ34にモータ上昇回転の制御信号を出力する。すなわち、S3でオープンSW61がONで、S4で上昇SW63がONの場合に、初めて電動モータ34が上昇方向に回転するのである。
【0087】
一方、S4で、上昇SW63がONでない場合、すなわち、操作されない場合は、S5に移行する。S5では、降下SW62がONかが判断される。降下SW62がONでない場合(NOの場合)は、そのままリターンに移行して次の制御サイクルに備える。一方、降下SW62がONの場合(YESの場合)には、S7に移行する。
【0088】
S7では、電動モータ34に下降方向の回転が生じるように、電動モータ34にモータ降下回転の制御信号を出力する。すなわち、S3でオープンSW61がONで、S5で降下SW62がONの場合に、初めて電動モータ34が降下方向に回転するのである。
【0089】
このように、本実施形態の制御フローでは、上昇SW63をONとすると、電動モータ34は上昇方向に回転して、降下SW62をONとすると電動モータ34は降下方向に回転するが、いずれも、オープンSW61がONでなければ、制御信号が出力されないように制御している。すなわち、オープンSW61をON操作(押込み操作)としていなければ、上昇SW63も降下SW62も機能しないように制御しているのである。
【0090】
これは、前述したように、把持ハンドル部42に設けた降下SW62や上昇SW63にブレーキ装置の部品等が触れてしまうと、不意にタイヤ保持部2で支持しているタイヤTの位置が変化してしまい安全性が損なわれるという問題を解決するために、このように構成しているのである。
【0091】
さらに、このように制御していたとしても、何らかの事情により、作業者の意図に反して、オープンSW61と降下SW62等とが共に押されて(ONとなる)しまい、電動モータ34が作動する可能性がある。そこで、本実施形態では、電動モータ34の作動においても安全性を確保するように構成している。
【0092】
具体的には、
図11に示すように電動モータ34の回転スピードがS字加減速制御で制御されるように構成している。すなわち、この図は、縦軸を回転スピード(速度)として横軸を作動信号が入力した後の経過時間を示しているが、この図に示すように、電動モータは、操作初期(0.0s~0.4s)においては遅いスピードで回転をして、操作中期(0.4s~1.2s)には、徐々に加速して最高速で回転して、操作後期(1.2s~)では最高速で回転するように制御されるのである。
【0093】
このため、昇降機構部3の昇降スピードも、降下SW62や上昇SW63の操作初期に遅くなり、操作中期から後期にかけて、速くなる。
【0094】
よって、本実施形態によると、仮に、作業者の意図に反して、オープンSW61と降下SW等62,63とが共にONになった異常事態であったとしても、急にタイヤ保持部2が昇降することがないため、安全性を確保した上で、タイヤTの脱着作業等を行うことができる。
【0095】
以上のように、本実施形態では、下部にキャスター11…を設けて水平方向に移動させることができるベースプレート1と、該ベースプレート1の前側に設けられてタイヤTを保持するタイヤ保持部2と、該タイヤ保持部2を上下方向に昇降する昇降機構部3と、前記ベースプレート1の後側に設けられてブレーキ装置の部品等を置くことができる作業台4と、を備えたタイヤリフター装置Lであって、前記作業台4の側方位置に、前記ベースプレート1を水平方向に移動させる際に作業者が握る把持ハンドル部42を設けて、該把持ハンドル部42に、前記昇降機構部3を操作する降下SW62,上昇SW63を設けて、該降下SW62,上昇SW63の入力を許可するオープンSW61を設けて、該オープンSW61の操作中のみに前記降下SW62,上昇SW63の操作が有効になるように制御するモータ制御ユニットCを備えている。
【0096】
これにより、把持ハンドル部42に設けた降下SW62,上昇SW63のみが操作されても、昇降機構部3は上下方向に昇降しない。
【0097】
このため、作業台4に置いたブレーキ装置の部品W等が不意に降下SW62,上昇SW63に触れたとしても、昇降機構部3が勝手に上下方向に昇降することがない。
【0098】
よって、タイヤリフター装置Lに作業台4を設けて、その作業台4の側方位置に作業者が把持する把持ハンドル部42を設け、その把持ハンドル部42にタイヤ昇降用の降下SW62,上昇SW63を設けたタイヤリフター装置Lであって、作業台4の上に置いたものが不意に降下SW62,上昇SW63に触れた場合であっても、タイヤ保持部2が上下動しないようにして、タイヤTの脱着作業等の安全性を高めることができる。
【0099】
また、本実施形態では、前記降下SW62,上昇SW63の入力によって昇降する昇降機構部3の昇降スピードが、電動モータ34の回転スピードによってS字加減速で作動するように構成されている。
【0100】
これにより、昇降機構部3の昇降スピードがS字加速度となるため、タイヤTを昇降させる際の昇降スピードが、操作初期には遅くなり、操作中期、後期には速くなることになる。
【0101】
このため、作業者が意図しないタイミングで昇降機構部3が作動しても、昇降初期には急激な位置変化が生じないため、タイヤTの脱着作業時の安全性を悪化させることがない。また、昇降中期、後期には位置変化が大きくなるため、タイヤTの脱着作業の作業性も悪化させることもない。
【0102】
よって、タイヤリフター装置LとしてのタイヤTの脱着作業の作業性を悪化させることなく、安全性を高めることができる。
【0103】
また、本実施形態では、把持ハンドル部41,42を、前記作業台4の左右両側位置にそれぞれ設けて、右側の把持ハンドル部42に、前記降下SW62,上昇SW63を設けて、左側の把持ハンドル部41に、前記オープンSW61を設けている。
【0104】
これにより、作業者はその左右両側の把持ハンドル部41,42をそれぞれ左右の両手で握って、タイヤリフター装置Lを手押しで水平方向に移動させることができる。そして、その左右両側の把持ハンドル部41,42にそれぞれに降下SW62,上昇SW63と、オープンSW61を設けたため、作業者は両手でそれぞれの把持ハンドル部41,42を握ったままで、降下SW62,上昇SW63と、オープンSW61を操作してタイヤ保持部2の昇降位置をタイヤTに合わせることができる。
【0105】
このため、タイヤT位置へのタイヤリフター装置Lの水平方向の位置合わせも、タイヤ保持部2の上下方向の位置合わせも、作業者が左右両側の把持ハンドル部41,42を両手で握ったまま、容易に行うことができる。
【0106】
よって、作業者がタイヤリフター装置Lを両手で握ったままで、水平方向も上下方向も位置合わせすることができるため、タイヤTの脱着作業等をより容易に且つ迅速に行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、降下SW62,上昇SW63を、把持ハンドル部42の前端側と後端側に離間して設置している。
【0108】
これにより、作業者は、タイヤ保持部2を昇降する際に、目視することなく上昇SW63と降下SW62とそれぞれ操作することができる。
【0109】
このため、作業者は、タイヤTにタイヤ保持部2の昇降位置を合わる場合に、タイヤTから目線を切ることなく、位置合わせをすることができ、安全に且つ迅速にタイヤの脱着作業等を行うことができる。
【0110】
よって、タイヤリフター装置LによるタイヤTの脱着作業等を、より安全に且つ迅速に行うことができる。
【0111】
また、本実施形態では、作業台4とは別に、タイヤTを取り外した際に取り外されるホイールナット(図示せず)やホイールボルト(図示せず)を収容するナット用トレイ58を設けている。
【0112】
これにより、取り外した複数のホイールナット(図示せず)やホイールボルト(図示せず)が、作業台4の上でバラバラに飛散することがない。
【0113】
このため、作業台4側方の把持ハンドル部42の降下SW62,上昇SW63に、ホイールナットやホイールボルトが不意に接触することがない。
【0114】
よって、タイヤTを取り外した際には必ず取り外されるホイールナットやホイールボルトが、降下SW62,上昇SW63に触れることを確実に防ぐことができ、タイヤTの脱着作業等の安全性を高めることができる。
【0115】
(その他の実施形態)
次に、その他の実施形態について説明する。
【0116】
まず、オープンSW61について、実施形態1では左側の把持ハンドル部41に設けたが、降下SW62,上昇SW63から離れた位置に設けていれば、必ずしも左側の把持ハンドル部41に設ける必要はなく、どこに設けても良い。例えば、台車部5の下部や、作業台4の下部等に設けても良い。
【0117】
仮に、オープンSWを台車部5の下部に設けた場合には、作業者が手とは別の足で操作しても良い。また、作業台4の下部にオープンSWを設けた場合には、作業者が別の手で操作しても良い。このように、降下SW,上昇SWから離れた位置にオープンSWを設けることで、オープンSWと降下SW,上昇SWとが、誤って同時に部品等に触れるおそれを無くすことができる。
【0118】
また、昇降機構部3の動力源についても、実施形態1では、自由にタイヤリフター装置を移動させることを考慮して、バッテリー部35を備えた電動式としたが、特に限定されず、油圧式、又はエア式等であっても良い。
【0119】
その他、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前述の実施形態の内容を変更することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上説明したように、本発明は、ブレーキ装置等のタイヤ周りの点検整備作業も同時に行うことができる作業台を備えたタイヤリフター装置において、有用である。
【符号の説明】
【0121】
C…モータ制御ユニット(制御手段)
L…タイヤリフター装置
1…ベースプレート
2…タイヤ保持部
3…昇降機構部
4…作業台
5…台車部
34…電動モータ
41…把持ハンドル部
42…把持ハンドル部
61…オープンスイッチ(入力許可操作部)
62…降下スイッチ(昇降操作部)
63…上昇スイッチ(昇降操作部)