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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095088
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】まな板シートケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/52 20060101AFI20230629BHJP
   B26D 1/04 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B65D25/52 C
B26D1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210767
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】500367067
【氏名又は名称】株式会社カインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】逸見 隆
【テーマコード(参考)】
3C027
3E062
【Fターム(参考)】
3C027GG08
3E062AA20
3E062AB13
3E062LA01
3E062LA13
3E062LA18
(57)【要約】
【課題】まな板シートを所望の位置で容易かつ高品質に繰り返し切断できるまな板シートケースを提供する。
【解決手段】ロール体40に巻かれたまな板シート4が繰り出し可能に格納される格納部2と、格納部2の開口部に設けられ、まな板シート4の繰り出し方向に直交するレール23と、レール23に沿って移動可能に設けられ、まな板シート4を切断するスライドカッター24と、格納部2を開閉自在に閉じる蓋部3と、蓋部3が閉じたときに開口部と対向する蓋部3の内面32aから繰り出し方向におけるレール23の縁部に向かって突出して形成された第一押さえ突起326、327と、を備え、蓋部3を閉じたときに、第一押さえ突起326、327は格納部2から繰り出されたまな板シート4に当接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール体に巻かれたまな板シートが繰り出し可能に格納される格納部と、
前記格納部の開口部に設けられ、前記まな板シートの繰り出し方向に直交するレールと、
前記レールに沿って移動可能に設けられ、前記まな板シートを切断するスライドカッターと、
前記格納部を開閉自在に閉じる蓋部と、
前記蓋部が閉じたときに前記開口部と対向する前記蓋部の内面から前記繰り出し方向における前記レールの縁部に向かって突出して形成された第一押さえ突起と、を備え、
前記蓋部を閉じたときに、前記第一押さえ突起は前記格納部から繰り出された前記まな板シートに当接する、
まな板シートケース。
【請求項2】
前記第一押さえ突起は、前記格納部から繰り出される前記まな板シートの幅方向の端部の通過位置に対応する位置に設けられている、
請求項1に記載のまな板シートケース。
【請求項3】
前記第一押さえ突起は、前記繰り出し方向に対する直交方向において、前記まな板シートの前記直交方向の長さより短い長さで離れて2箇所に形成されている、
請求項2に記載のまな板シートケース。
【請求項4】
前記蓋部には、前記蓋部が閉じたときに前記レールに沿って開口する蓋側開口部が形成され、
前記第一押さえ突起は、前記蓋側開口部の前記繰り出し方向に対する直交方向の両端であって前記繰り出し方向の両端の2箇所にそれぞれ形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のまな板シートケース。
【請求項5】
前記蓋部には、前記レールよりも前記格納部側に位置し、前記格納部の底部に向かって突出する第二押さえ突起が形成され、
前記蓋部を閉じたときに、前記第二押さえ突起は前記格納部から繰り出された前記まな板シートと当接する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のまな板シートケース。
【請求項6】
前記第二押さえ突起は、前記繰り出し方向に対する直交方向に前記まな板シートの全幅以上の長さで形成されている、
請求項5に記載のまな板シートケース。
【請求項7】
前記格納部の前記繰り出し方向に対する直交方向の両端に位置する壁部の内面に前記直交方向に窪む一対の窪み部がそれぞれ形成され、
前記蓋部には、前記直交方向の両端に位置し、一対の前記窪み部と係合する一対の蓋側係合突起が形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のまな板シートケース。
【請求項8】
前記スライドカッターは、前記レールに移動可能に係止される移動部を備え、
前記移動部には、前記レールの内壁に向かって突出するカッター側係合突起が形成され、
前記レールには、前記スライドカッターの移動方向両端部に前記カッター側係合突起と係合し、前記スライドカッターの移動を制限する一対の係止部が形成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のまな板シートケース。
【請求項9】
前記格納部には、前記ロール体の長手方向の両端に対応する位置に前記格納部の底部から上方に向かって突出する一対の内壁が形成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のまな板シートケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板シートケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラップフィルムやシート等の被切断体を繰り出し自在に収納し、被切断体の切断方向に移動自在なカッター等の切断ユニットを用いて被切断体を切断する機器やケースが使用されている。例えば、特許文献1には、箱体の側壁に沿って設けられた支持板の上部に案内溝が設けられ、案内溝に沿って被切断体を切断する切断ユニットが移動自在に設けられている切断器具が開示されている。また、特許文献2には、シートを収容する筒状の収容箱がC形の断面形状で成形され、C形断面の対向端部間にシートを繰り出す繰り出し部が形成されたロールシート繰り出し用ケースが開示されている。また、特許文献3には、ラップフィルムを切断する移動カッターをカッターレールから着脱する着脱ユニットを備え、移動カッターを交換できるラップ包装機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7-29078号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153786号公報
【特許文献3】特許第5695759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の機器やケースは、移動自在な切断機構により切断する際に被切断体の配置位置のずれや撓みが発生することにより、被切断体を所定の位置で円滑に切断できない。また、切断時に被切断体が撓むことで、被切断体の切断面が乱れ、切断箇所の品質が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、まな板シートを所望の位置で容易かつ高品質に繰り返し切断できるまな板シートケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るまな板シートケースは、ロール体に巻かれたまな板シートが繰り出し可能に格納される格納部と、前記格納部の開口部に設けられ、前記まな板シートの繰り出し方向に直交するレールと、前記レールに沿って移動可能に設けられ、前記まな板シートを切断するスライドカッターと、前記格納部を開閉自在に閉じる蓋部と、前記蓋部が閉じたときに前記開口部と対向する前記蓋部の内面から前記繰り出し方向における前記レールの縁部に向かって突出して形成された第一押さえ突起と、を備え、前記蓋部を閉じたときに、前記第一押さえ突起は前記格納部から繰り出された前記まな板シートに当接する。
【0007】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、格納部の開口部から繰り出されたまな板シートの切断位置の前後をレールの縁部と第一押さえ突起とで押さえることができる。そのため、まな板シートの切断時において、まな板シートの切断位置を固定し、かつ張った状態にすることができ、スライドカッターの移動によりまな板シートを撓ませることなく所望の切断位置で容易に切断できる。
また、まな板シートケースは、まな板シートの切断時に、スライドカッターがまな板シートに引っ掛かかることに起因したまな板シートの撓みを防ぎ、まな板シートの切断面の乱れを抑制できる。以上により、まな板シートケースは、まな板シートをスライドカッターの移動により所望の位置で容易に切断でき、まな板シートの切断箇所の品質を保持できる。
【0008】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記第一押さえ突起は、前記格納部から繰り出される前記まな板シートの幅方向の端部の通過位置に対応する位置に設けられていてもよい。
【0009】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、格納部の開口部から繰り出されたまな板シートの切断位置付近のまな板シートの幅方向端部をレールの縁部と第一押さえ突起により押さえることができる。そのため、まな板シートケースは、まな板シートの切断時において、まな板シートの切断開始位置付近をより確実に張った状態にすることができる。
【0010】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記第一押さえ突起は、前記繰り出し方向に対する直交方向において、前記まな板シートの前記直交方向の長さより短い長さで離れて2箇所に形成されていてもよい。
【0011】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、格納部の開口部から繰り出されたまな板シートの切断位置付近のまな板シートの幅方向両端部をレールの縁部と第一押さえ突起により押さえることができる。そのため、まな板シートケースは、まな板シートの幅方向両端部をより確実に張った状態にすることができるため、幅方向両方から所望の切断位置でまな板シートを容易に切断できる。
【0012】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記蓋部には、前記蓋部が閉じたときに前記レールに沿って開口する蓋側開口部が形成され、前記第一押さえ突起は、前記蓋側開口部の前記繰り出し方向に対する直交方向の両端であって前記繰り出し方向の両端の2箇所にそれぞれ形成されていてもよい。
【0013】
上記の構成により、蓋部を閉じたときに蓋側開口部内にスライドカッターが配置されるため、まな板シートケースは、スライドカッターの移動に影響を与えることなく蓋部を閉じることができる。
蓋側開口部の繰り出し方向に対する直交方向の両端であって繰り出し方向の両端の2箇所に第一押さえ突起がそれぞれ形成されるため、まな板シートケースは、蓋部の内面に計4箇所形成される。そのため、まな板シートケースは、まな板シートの切断位置付近をより強固に押さえることができる。
【0014】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記蓋部には、前記レールよりも前記格納部側に位置し、前記格納部の底部に向かって突出する第二押さえ突起が形成され、前記蓋部を閉じたときに、前記第二押さえ突起は前記格納部から繰り出された前記まな板シートと当接してもよい。
【0015】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、格納部の開口部から繰り出されたまな板シートの切断位置付近をレールの縁部と第一押さえ突起とで押さえ、さらにまな板シートの切断位置の格納部側の部位を第二押さえ突起により押さえることができる。そのため、まな板シートの切断位置を第二押さえ突起により格納部側から引っ張ることで繰り出し方向に対して確実に張った状態にすることができ、まな板シートを撓ませることなく容易に切断できる。また、まな板シートケースは、第二押さえ突起により、蓋部を上から手で押さえることなく、蓋部を閉じるだけでまな板シートの切断位置を張った状態にすることができる。
【0016】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記第二押さえ突起は、前記繰り出し方向に対する直交方向に前記まな板シートの全幅以上の長さで形成されていてもよい。
【0017】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、第二押さえ突起によってまな板シートを幅方向の全長にわたって押さえることができるため、まな板シートの切断位置を幅方向に均等に張った状態にすることができる。
【0018】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記格納部の前記繰り出し方向に対する直交方向の両端に位置する壁部の内面に前記直交方向に窪む一対の窪み部がそれぞれ形成され、前記蓋部には、前記直交方向の両端に位置し、一対の前記窪み部と係合する一対の蓋側係合突起が形成されていてもよい。
【0019】
上記の構成により、まな板シートケースは、蓋部を閉じた状態において、一対の窪み部と一対の蓋側係合突起とを係合させることにより蓋部を強固に閉じることができる。そのため、例えば、蓋が下向きの場合等、格納部の底部が上方に向いて配置された場合以外の配置においても蓋部が重力で開くことを防止できる。
【0020】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記スライドカッターは、前記レールに移動可能に係止される移動部を備え、前記移動部には、前記レールの内壁に向かって突出するカッター側係合突起が形成され、前記レールには、前記スライドカッターの移動方向両端部にカッター側係合突起と係合し、前記スライドカッターの移動を制限する一対の係止部が形成されていてもよい。
【0021】
上記の構成により、レール内でカッター側係合突起と係止部とが係合することにより、まな板シートケースは、スライドカッターの移動を容易に制御できる。そのため、まな板シートケースを使用していないときにスライドカッターを移動させることなく安全に管理できる。
また、まな板シートケースは、カッター側係合突起と係止部とを係合することにより、レールが水平方向に対して傾斜するような配置であり、かつ、スライドカッターが傾斜したレールの上部に位置する場合にスライドカッターを下方に移動させずに固定することができる。あるいは、まな板シートケースを動かしているときに、レールの水平方向に対する角度が変化しても、スライドカッターをレールの端部で保持できる。そのため、まな板シートケースは、まな板シートケースの配置向きに関わらずスライドカッターを安全に管理でき、スライドカッターの刃がまな板シートの側面に接触することによるまな板シートの品質等の低下も抑制できる。
【0022】
本発明に係るまな板シートケースにおいて、前記格納部には、前記ロール体の長手方向の両端に対応する位置に前記格納部の底部から上方に向かって突出する一対の内壁が形成されていてもよい。
【0023】
上記の構成により、まな板シートケースは、外部からの振動に起因した格納部に格納されたロール体の格納部内での移動や配置位置のずれの発生を抑制し、ロール体を安定配置できる。そのため、ロール体の移動や配置位置のずれによる格納部から繰り出されたまな板シートの撓みの発生を抑制し、まな板シートを張った状態にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、まな板シートを所望の位置で容易かつ高品質に繰り返し切断できるまな板シートケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るまな板シートケースにおける蓋部を開けた状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るまな板シートケースにロール状のまな板シートが格納された状態を示す斜視図である。
図3図1のV-V線に沿う本発明の実施形態に係るまな板シートケースに備えられるレールの断面斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るまな板シートケースに備えられるスライドカッターの斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るまな板シートケースにおけるスライドカッターの係止構造を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るまな板シートケースにおけるロール状のまな板シートを格納し蓋部を閉じた状態を示す斜視図である。
図7図6のVII-VII線に沿う断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るまな板シートケースにおけるロール状のまな板シートからまな板シートが切断された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るまな板シートケースについて、図1から図8に基づいて説明する。
【0027】
図1および図2に示すように、まな板シートケース1は、格納部2と、蓋部3とを備える。まな板シートケース1は、蓋部3を閉じることにより格納部2に円筒状のロール体40に巻かれたまな板シート4が繰り出し可能に格納される。まな板シートケース1は、一方向に長い筒状形状に形成される。以下、まな板シートケース1の長手方向(幅方向)をX方向、X方向に直交するまな板シートケース1の奥行き方向をY方向、X方向およびY方向に直交するまな板シートケース1の高さ方向をZ方向と記載する。まな板シート4はY方向に繰り出される。
【0028】
まな板シート4は、公知のポリエチレン製のシートである。まな板シート4は円筒形状のロール体40に巻かれている。ロール体40およびまな板シート4のX方向の長さは略一致し、まな板シートケース1のX方向の長さよりも短い。まな板シート4およびロール体40は、まな板シートケース1の収納物である。まな板シート4およびロール体40は交換可能である。
【0029】
格納部2のX方向に延びる一端部20と、蓋部3のX方向に延びる一端部30とがX方向における両端および中央の3箇所において、蓋部3が開閉自在に係止されることにより、格納部2と蓋部3とが一体となってまな板シートケース1を形成する。格納部2と蓋部3との係止構造は、蓋部3が開閉自在であれば限定されず、例えば公知の蝶番により係止されている。以下の説明において、まな板シートケース1の格納部2をXY平面上に置いた状態で格納部2が開口するZ方向を上、格納部2の下面側を下と記載する。以下の説明では、Y方向において、格納部2と蓋部3とが係止する側をY方向の後側、格納部2の後述するレールが設けられる側を先端側と記載する。
【0030】
格納部2は、底面21と側壁22とを有し、Z方向上向きに開口する。側壁22は、底面21からZ方向上向きに突出して形成される。
【0031】
底面21は、XY平面に対して略平行な矩形形状に形成されている。底面21には、底面21の外面21aの略全体がZ方向上向きに窪む凹部211が形成されている。凹部211内には公知のマグネット212が固定される。マグネット212は、XY平面に対して略平行な矩形形状に形成され、底面21の下面側からZ方向下向きに突出している。
【0032】
側壁22は、底面21のX方向両端からZ方向上向きに垂直に突出する一対の縦壁22a、22aと、底面21のY方向両端からZ方向上向きに突出する一対の横壁22b、22cと、が一体に形成されている。
【0033】
一対の縦壁22a、22aの形状は略一致する。以下、一方の縦壁22aの構成について説明する。縦壁22aは、弧状部221と第一延設部222と第二延設部223を有する。弧状部221は、Z方向上向きに円弧状に突出する。第一延設部222は、弧状部221の一端部20側のY方向一端から一端部20側に突出する。第二延設部223は、弧状部221の第一延設部222に対するY方向他端からY方向外方に突出する。
【0034】
縦壁22aの上端面224において、弧状部221と第一延設部222との境界部22dおよび弧状部221と第二延設部223との境界部22eは、それぞれ面取りされている。
【0035】
縦壁22aは、弧状部221と第二延設部223との境界部22e付近において弧状部221の内壁面221aがX方向外方に向かって窪む窪み部225が形成されている。
窪み部225の形成深さは、縦壁22aの厚みの約半分である。窪み部225は、後述する蓋側係合突起312と略同じ形状を有する。例えば、窪み部225は、X方向から見て略三角形状を有する。
【0036】
一端部20側に位置する横壁22bは、一対の第一延設部222、222の各Y方向先端間に設けられ、底面21のY方向一端部20側の端部からZ方向上方に突出する。横壁22bは、Z方向上部がX方向全幅にわたってY方向外方に突出する弧状形状を有する。横壁22bのZ方向の高さは、第一延設部222のZ方向の高さH1に略一致する。横壁22bの上端面226は、一対の第一延設部222、222の上端面222a、222aと面一となるように形成される。
【0037】
横壁22bに対して底面21のY方向他端側に位置する横壁22cは、一対の第二延設部223、223の各Y方向先端間に設けられ、底面21のY方向他端からZ方向上方に突出する。横壁22cのZ方向の高さは、第二延設部223のZ方向の高さH2に略一致する。横壁22cの上端面227は、一対の第二延設部223、223の上端面223a、223aと面一となるように形成されている。
【0038】
格納部2には、一対の第二延設部223、223の間のX方向全幅にわたって切断部2aが設けられている。切断部2aは、横壁22cの上端部に設けられている。切断部2aは、レール23と、スライドカッター24と、高さ調整部25と、を備えている。
【0039】
図3に示すように、レール23は、高さ調整部25のZ方向上部に設けられ、移動路231と、一対の狭窄突起232、232と、を備える。レール23は、一対の第二延設部223、223の間のX方向全幅にわたって形成されている。レール23には、レール23に沿って移動可能な状態でスライドカッター24が係止される。レール23は、横壁22cの先端よりもY方向後方に設けられる。
【0040】
移動路231はY方向断面が略U字状に形成され一対の第二延設部223、223の間のX方向全幅にわたって形成されている。移動路231の底面231aは、平坦に形成されている。
【0041】
一対の狭窄突起232、232は、移動路231の一対の上端233、233からそれぞれ移動路231のZ方向上部の開口234のY方向の長さを狭める方向にX方向全幅にわたって突出し形成されている。一対の狭窄突起232、232の形状は略一致する。以下、一方の狭窄突起232について説明する。
【0042】
狭窄突起232の上端面232aは、一対の第二延設部223、223と面一になるように形成されている。上端面232aには、公知のPVC(ポリ塩化ビニル)がコーティングされた滑り止め部235が形成されている。滑り止め部235の上端面235aは、レール23の上端面に相当し、かつレール23のY方向両縁部に相当する。
【0043】
移動路231には、Y方向両側の側壁236、236からY方向に突出する一対の係止突起237,237が形成されている。一対の係止突起237,237は、X方向両端部にそれぞれ形成されている。移動路231のY方向両側にそれぞれ設けられる一対の係止突起237,237は、X方向の位置が揃う。
【0044】
高さ調整部25は、一対の第二延設部223、223の間のX方向全幅にわたって設けられ、レール23を支持する。高さ調整部25は、狭窄突起232の上端面232aと第二延設部223とが面一になるように配置し、レール23の高さを調整する。
【0045】
図4に示すように、スライドカッター24は、移動部241と、支柱部242と、一対のカッター243、243と、摘み部244とを有する。支柱部242は、Z方向下方に設けられる移動部241と、Z方向上方に設けられる摘み部244との間に位置する。
一対のカッター243、243は、支柱部242のX方向両端からそれぞれ外方に向かって突出する。スライドカッター24の一対のカッター243、243以外の部位は、公知の樹脂材料により一体成形されている。
【0046】
移動部241は、中央部241aと、中央部241aのY方向中央部からX方向両側に突出する一対のカッター側係合突起241b、241bと、を有する。移動部241の上面241cはXY平面に対して平行に形成される。
【0047】
中央部241aは、支柱部242および一対のカッター243、243と接続する。中央部241aは、支柱部242および一対のカッター243、243との接続部241dからY方向格納部2側(Y方向後側)に向かって突出する内側突起241eと、Y方向前方に向かって突出する外側突起241fとが形成されている。中央部241aの上面241cは、平面視略矩形状に形成され、中央部241aのY方向両側に位置する側面241g、241gはレール23の略U字状の断面形状に略一致し、レール23の側壁236、236に接触する。
【0048】
一対のカッター側係合突起241b、241bの形状は略一致する。以下、一方のカッター側係合突起241bの構成について説明する。カッター側係合突起241bは、上面241cが平面視略円弧状に形成され、Y方向外方に向かって突出する円弧部241hが形成され、円弧部241hの頂部241iが対向するレール23の側壁236に接触する。カッター側係合突起241bと外側突起241fとの間には、Y方向内方に向かって切り欠かれた係合窪み部245が形成されている。
【0049】
係合窪み部245のY方向の最大深さD1は、側壁236からの係止突起237のY方向の突出長さと略一致する。内側突起241eのY方向の突出長さL1は、Y方向内方側の側壁236から突出する係止突起237のY方向の突出長さと略一致する。本実施形態において、係合窪み部245のY方向の最大深さD1と内側突起241eのY方向の突出長さL1とは略一致する。
【0050】
レール23のX方向端部23aと、端部23aに近接するY方向外方側の係止突起237との間のX方向の長さL2(図1参照)は、カッター側係合突起241bのX方向先端部241jと、先端部241jに近接する係合窪み部245との間のX方向の長さL3よりも多少長い。
【0051】
一対のカッター243、243は、略一致する形状により形成され、支柱部242のX方向両側部からそれぞれ突出する。カッター243のX方向先端部243aは、Z方向上方からZ方向下方に向かってX方向の長さが狭まる方向に傾斜している。
【0052】
まな板シートケース1の一対のカッター243、243と滑り止め部235以外の部位は、公知の樹脂材料により形成される。
【0053】
摘み部244は、基盤244aと、覆部244bと、摘み突起244cとを有する。基盤244aは平面視略矩形状の平板形状を有する。
【0054】
覆部244bは、基盤244aのY方向中央からZ方向下向きに突出し、支柱部242および一対のカッター243,243とY方向中央部で連続する。
【0055】
摘み突起244cは、基盤244aのX方向中央から基盤244aのY方向全幅にわたってZ方向上向きに突出する。
【0056】
図5は、レール23とスライドカッター24の部分の横断面をZ方向上方から見た図である。スライドカッター24の移動部241は、移動路231内に移動可能に配置されている。図5では、移動部241が係止された状態を示している。移動部241は、係合窪み部245と一対の係止突起237、237の一方とが係合することにより、レール23から外れることなく移動路231内に係止される。また、上記の係止状態において、内側突起241eと他方の係止突起237とは、当接している。
【0057】
一対のカッター側係合突起241b、241bと、内側突起241eと、外側突起241fとは、いずれも移動路231の側壁236に向かって突出し側壁236に近接対向または当接している。
【0058】
図1および図5に示すように、格納部2には、各縦壁22aの第二延設部223、223の間のX方向全幅にわたって底面21からZ方向上向きに垂直に突出する仕切り壁26が設けられている。仕切り壁26は、切断部2aと、仕切り壁26と一対の縦壁22a、22aと横壁22b、22cとにより囲まれた格納スペース2bと、を仕切る。
【0059】
仕切り壁26のX方向中間部261は、レール23のY方向内側側面238のZ方向上部と当接し、X方向両端部262、262はレール23のY方向内側側面238に近接している。仕切り壁26のZ方向の高さH4は、一対の第二延設部223、223のZ方向の高さH2よりも僅かに低い。
【0060】
図1に示すように、格納部2には、一対の内壁27、27が形成されている。一対の内壁27,27は、底面21からZ方向上方に向かって突出し、仕切り壁26の中間部261と中間部261のX方向両端部262、262との各連続部263、263と、横壁22bの内壁面22fとの間に設けられている。一対の内壁27、27間のX方向の間隔L4は、ロール体40の形状に対応し、ロール体40のX方向の長さよりも僅かに長い。一対の内壁27、27の形状は略一致する。内壁27の上端面271は、横壁22bの上端面226と面一となるように形成されている。
【0061】
格納部2には底面21および横壁22bの内壁面22fから突出するガイド28が設けられている。ガイド28は、まな板シート4を支持可能な壁である。ガイド28の上端部は、円弧形状を有し、格納部2内でまな板シート4が回転して引き出し可能にまな板シート4を支持する。
【0062】
蓋部3は、格納部2を開閉自在に閉じる。蓋部3は、覆部31と、延設部32とを備える。覆部31は、格納部2の一端部20に係止されている。延設部32は、蓋部3を閉じた状態で覆部31の切断部2a側端部からY方向外方に向かって突出する。蓋部3を閉じたときの格納部2と蓋部3のX方向およびY方向の長さはそれぞれ略一致する。
【0063】
覆部31は、蓋部3を閉じたときに格納スペース2b上に配置され、格納部2の開口部を閉じる。覆部31は、Y方向に沿う断面が略円弧状に形成されている。覆部31には、X方向両端部に蓋部3を閉じたときにZ方向下向きに突出する一対の突出端部311、311が形成されている。一対の突出端部311、311の形状は略一致する。以下、一方の突出端部311について説明する。
【0064】
図1に示すように、蓋部3を閉じたときに突出端部311の突出長T1は、第一延設部222のY方向の長さと略一致する。突出端部311の第一延設部222に対向する端部311aは面取りされ、端部311aの面取り形状と、弧状部221と第一延設部222との連続部の面取り形状とにより蓋部3の開閉動作が円滑になる。突出端部311は、Y方向に沿って略円弧形状の断面形状を有する。突出端部311のY方向に沿う略円弧形状の断面形状は、弧状部221のY方向に沿う略円弧形状に略一致する。
【0065】
突出端部311は、延設部32側端部に蓋部3を閉じたときに弧状部221側に突出した蓋側係合突起312が形成されている。蓋側係合突起312のX方向の外面は、突出端部311の外面からX方向内方に窪んで形成されている。蓋側係合突起312は、窪み部225の形状に略一致する形状で突出する。図示例では、蓋側係合突起312はX方向に見て略三角形状の突起である。蓋側係合突起312の形状は図示例に限定されず、窪み部225に対応する形状であればよい。
【0066】
延設部32は、蓋部3を閉じたときにXY平面に対して平行になるように形成されている。図7に示すように、蓋部3を閉じたときに、延設部32の内面32aと、第二延設部223、223の上端面223aおよび横壁22cの上端面227とが対向する。蓋部3を閉じたときの延設部32のY方向の長さは、蓋部3を閉じたときに延設部32のY方向の先端面と格納部2の横壁22cの外面とが略面一となるように形成される。延設部32の蓋部3を閉じたときのZ方向の厚みT2は、突出端部311の突出長T1に略一致する。
【0067】
延設部32には、蓋側開口部32bが形成されている。蓋側開口部32bは、平面視略矩状に形成され、蓋部3を閉じたときにZ方向に開口する。蓋側開口部32bは、延設部32のX方向およびY方向略全体わたって形成される。
【0068】
図1および図7に示すように、蓋側開口部32bには、Y方向に対向する内周面321、321のX方向中間部からY方向に突出する一対の被覆突起322、322が形成されている。一対の被覆突起322の形状は略一致する。以下、一方の被覆突起322について説明する。
【0069】
被覆突起322は、蓋部3を閉じたときにY方向に対して平行に形成される。被覆突起322は、蓋部3を閉じたときの内周面321のZ方向下端から突出する。被覆突起322のX方向の長さは、一対の内壁27、27間のX方向の間隔L4と略一致する。
【0070】
蓋側開口部32bは、一対の被覆突起322、322の間に開口する第一開口部323と、第一開口部323のX方向両端に開口する一対の第二開口部324、324とを有する。
【0071】
第一開口部323は、X方向が長手の略矩形形状を有する。第一開口部323のY方向の開口長さは、レール23の開口234のY方向の開口長さと略一致する。第一開口部323のY方向の開口長さは、スライドカッター24の覆部244bのY方向の長さL5(図4参照)と略一致する。
【0072】
一対の第二開口部324、324の形状は略一致する。以下、一方の第二開口部324について説明する。図8に示すように、第二開口部324は、X方向が長手の略矩形形状を有する。第二開口部324のY方向の開口長さは、レール23の開口234のY方向の開口長さよりも大きく、スライドカッター24の基盤244aのY方向の長さL6(図4参照)よりも大きい。
【0073】
スライドカッター24は、蓋部3を閉じたときに、延設部32の上面32cから摘み突起244cがZ方向上方に突出し、基盤244aの上面が延設部32の上面32cよりもZ方向下方に位置する。
【0074】
延設部32には、一対の引掛け部325、325が形成される。一対の引掛け部325、325は、蓋部3を閉じたときに、Y方向の前側の外側面32dのX方向両端に位置し、外側面32dからY方向前側に突出する。
引掛け部325は、蓋部3を開閉するときに作業者の指を引っ掛けて作業方向に力を加えることで蓋部3を容易に開閉させる。
【0075】
延設部32の内面32aには、蓋部3を閉じたときにレール23の上端面235a、235aに向かって突出する第一押さえ突起が4箇所形成される。
【0076】
延設部32には、一対の第一押さえ突起326、326が形成される。一対の第一押さえ突起326、326は、覆部31側に位置する被覆突起322の内面322aのX方向両端に形成され、蓋部3を閉じたときにレール23の格納部2側の上端面235aに向かって突出する。一対の第一押さえ突起326、326の形状は略一致する。
【0077】
延設部32には、一対の第一押さえ突起327、327が形成される。一対の第一押さえ突起327、327は、蓋部3を閉じたときにY方向前側に位置する被覆突起322の内面322aのX方向両端に形成され、蓋部3を閉じたときにレール23のY方向前側の上端面235aに向かって突出する。一対の第一押さえ突起327、327の形状は略一致する。
【0078】
蓋部3を閉じたときの第一押さえ突起326および第一押さえ突起327の各突出端と上端面235a、235aとの間の隙間は、まな板シート4の厚みと略等しいか僅かに小さい。
【0079】
一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327は、蓋部3を閉じた状態において、格納部2から繰り出されるまな板シート4のX方向の両端部の通過位置のZ方向上方に配置される。
【0080】
一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327のそれぞれのX方向内端間の距離は、格納部2から繰り出されるまな板シート4のX方向の長さL7よりも短い。
【0081】
延設部32には、第二押さえ突起34が形成される。第二押さえ突起34は、蓋部3を閉じたときに覆部31と延設部32との連続部33から底面21の内表面21bに向かって突出する。第二押さえ突起34は、連続部33のX方向略全幅にわたって形成される。第二押さえ突起34のX方向両端は面取りされている。第二押さえ突起34は、連続部33から底面21の内表面21bに向かって約3mm程度突出する。
【0082】
次にまな板シートケース1にまな板シート4を巻いたロール体40を格納し、まな板シート4を所定の長さに切断する方法について以下に説明する。
【0083】
先ずまな板シートケース1は、平坦な設置面に設置する。設置面が金属等の場合、マグネット212の磁力で、まな板シートケース1が設置面に密着する。図2に示すように、まな板シートケース1の蓋部3を開けた状態で、まな板シート4を巻いたロール体40を格納部2の一対の内壁27、27間に格納する。まな板シート4は、一端側の繰り出し部4aをロール体40からY方向に向かって繰り出し、切断部2aの上方を通過させてまな板シートケース1の外側に配置する。ロール体40の格納向きは、まな板シート4を格納部2から繰り出し可能であれば限定されない。例えば、図2に示すように繰り出し部4aがロール体40のZ方向下方から繰り出されてもよいし、繰り出し部4aがロール体40のZ方向上方から繰り出されてもよい。格納部2に格納されたロール体40は、内壁27、27によりX方向の移動が規制され、横壁22bと、仕切り壁26の中間部261と、複数のガイド28とにより、Y方向の移動が規制され、格納部2に安定配置される。複数のガイド28の縁部が円弧形状を有するため、ロール体40は、円滑に回転可能に支持される。
【0084】
図5に示すように、スライドカッター24は、一方の係合窪み部245と対向する係止突起237の一方とを係合させ、内側突起241eと対向する係止突起237とを当接させた状態で、レール23のX方向いずれかの端部に固定され配置される。
【0085】
上記の状態で、蓋部3を閉じる。格納部2を閉じる方向に蓋部3に力を加えると、蓋部3の一対の蓋側係合突起312、312がそれぞれ対向する弧状部221、221の上端面221b、221bに当接する。
この状態で、蓋部3を閉じる方向にさらに力を加えると、一対の蓋側係合突起312、312が上端面221b、221b上をY方向外方に向かって当接しながら移動し、一対の蓋側係合突起312、312と一対の蓋側係合突起312、312にそれぞれ対向する一対の窪み部225、225とが係合する。この結果、図6に示すように蓋部3が閉じられる。格納部2の一端部20と蓋部3の一端部30とは、蓋部3を閉じたときに略面一となる。一対の突出端部311、311と一対の縦壁22a、22aとは、蓋部3を閉じたときに略面一となる。蓋部3は、一対の蓋側係合突起312、312と一対の窪み部225、225とが係合することによって、蓋部3が閉じた状態が保持される。例えば、まな板シートケース1を傾けた場合や、マグネット212を冷蔵庫の壁面等に付けてまな板シートケース1を壁面に保持した場合でも、蓋部3が閉じた状態が保持される。
【0086】
図7に示すように、蓋部3が閉じられた状態において、レール23のZ方向上方に蓋側開口部32bが配置されることで、レール23の上端面235a、235aのX方向中間部は第一開口部323と重なる位置で開口し、レール23のX方向両端は一対の第二開口部324、324と重複なる位置に配置される。第一開口部323のY方向の開口長さとスライドカッター24の覆部244bのY方向の長さL5とは略一致するため、蓋部3を閉じた状態においてもスライドカッター24はX方向に移動自在に設けられる。
【0087】
図6に示すように、まな板シートケース1には、蓋部3を閉じたときに、延設部32の内面32aと横壁22cの上端面227との間にX方向に沿って開口する開口部35が形成される。レール23は、Y方向における開口部35の格納部2側に隣接する。ロール体40から繰り出されたまな板シート4の繰り出し部4aは、開口部35からY方外方に繰り出される。開口部35のZ方向の開口長さは、まな板シート4の厚みよりも大きい。
【0088】
図7に示すように、蓋部3が閉じられた状態において、まな板シート4の繰り出された部分は、レール23のY方向格納部2側の位置で第二押さえ突起34と当接し、第二押さえ突起34と仕切り壁26の中間部261との間に挟まれ固定される。第二押さえ突起34は、仕切り壁26のY方向格納部2側に位置し、X方向の長さはまな板シート4のX方向の長さよりも長く形成される。
【0089】
蓋部3が閉じられた状態において、まな板シート4の繰り出し部4aは、レール23の上端面235a、235aのX方向両端において、一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327と当接し、レール23の移動路231を跨いでレール23の上端面235a、235a上に押さえられる。
【0090】
第一押さえ突起326、327は、少なくともまな板シート4のY方向の端部の通過箇所に対応する位置に設けられていればよい。例えば、蓋部3の内面のY方向全面全域に形成してもよい。第一押さえ突起326、327をまな板シート4のY方向の端部の通過箇所に対応する位置に設けると、第一押さえ突起326、327をY方向全域に形成する場合と比較して、第一押さえ突起326、327の形成に要するコストと手間を低減できる。
【0091】
上記のまな板シート4が一対の第一押さえ突起326、326、一対の第一押さえ突起327、327および第二押さえ突起34により押さえられた状態において、図8に示すように、スライドカッター24をレール23の一方側の一対の係止突起237、237に係合され配置されているX方向一端からX方向他端方向に移動させ、まな板シート4の繰り出し部4aを対向する一方のカッター243により押し切って切断する。この時、蓋部3を押さえてスライドカッター24を移動させてもよい。
【0092】
まな板シート4の繰り出し部4aを切断しX方向他端側に到達したスライドカッター24は、X方向他端側の一対の係止突起237、237のうちの外側突起241fが対向する側壁236から突出する係止突起237と一方のカッター側係合突起241bとが当接する。さらにスライドカッター24に移動方向の力を加えると、係止突起237と当接しているカッター側係合突起241bが弾性変形しながら係止突起237を乗り越え、係止突起237は外側突起241fに当接して係合窪み部245内に係止される。他方側の係止突起237は、内側突起241eに当接する。上記により、スライドカッター24は、X方向に移動不可な状態で再度固定される。
【0093】
上記のようにスライドカッター24が固定された状態において、スライドカッター24は、一対の第二開口部324、324のいずれかの内部に配置され、X方向に移動不能であり、かつ蓋部3の開口に影響しない位置で固定される。このとき、一対の第二開口部324、324は、スライドカッター24の係止スペースとなる。
【0094】
スライドカッター24は、スライドカッター24を移動方向に再度力を加え、係止突起237とカッター側係合突起241bとの係止状態を解除することで、再度移動可能な状態となる。スライドカッター24の移動は、摘み突起244cを掴んで移動方向にスライドさせることにより行う。
【0095】
上記のスライドカッター24が移動不能に固定された状態で蓋部3を開き、まな板シート4を次の所望の切断長さで再度Y方向外方に繰り出し、蓋部3を同様の手順で再度閉じる。蓋部3を開ける際、一対の引掛け部325、325に指を引っ掛けてZ方向上方に力を加えると容易に蓋部3を開くことができる。
【0096】
以下、同様の手順でまな板シート4を所望の長さで切断する。まな板シート4が全て繰り出された場合は、ロール体40を格納部2から取り外し、新たなロール体40に取り替え、同様の手順でまな板シート4を所望の長さで切断する。
【0097】
次に、上述した本発明の実施形態に係るまな板シートケースの作用・効果について図面に基づいて説明する。
【0098】
まな板シートケース1は、蓋部3を閉じたときに、一対の第一押さえ突起326、326と、一対の第一押さえ突起327、327とがレール23のY方向前後で格納部2に格納されたロール体40からY方向外方に繰り出されたまな板シート4に当接し、まな板シート4を押さえる。
【0099】
上記の構成により、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、格納部2から繰り出されたまな板シート4の切断位置の前後をレール23の上端面235a、235aと、一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327とで押さえることができる。そのため、まな板シート4の切断時において、まな板シート4の切断位置をY方向に張った状態で固定することができ、スライドカッター24の移動によりまな板シート4の切断位置を撓ませることなく所望の切断位置で容易に切断できる。
まな板シートケース1は、まな板シート4をY方向に張った状態で固定することで、スライドカッター24を切断方向に移動させた際に、スライドカッター24のカッター243がまな板シート4に引っ掛かかることに起因したまな板シート4の撓みを防ぎ、まな板シート4の切断面の乱れを抑制できる。
【0100】
一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327は、いずれもX方向両端に形成される。
上記の構成により、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、格納部2から繰り出されたまな板シート4の切断位置付近のX方向両端部をレール23の上端面235a、235aと、一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327とにより押さえることができる。そのため、まな板シートケース1は、まな板シート4の切断時において、まな板シート4の切断位置をX方向両端でX方向により確実に張った状態にすることができる。
まな板シートケース1は、まな板シート4のX方向両端を押さえることができるため、X方向一方側および他方側のどちらの側からスライドカッター24の移動によるまな板シート4の切断を開始しても所望の切断位置で容易に切断できる。
【0101】
まな板シートケース1は、蓋部3を閉じたときに、延設部32の内面32aと横壁22cの上端面227との間に開口部35が形成される。蓋部3の延設部32には、第一開口部323と一対の第二開口部324、324とを有する蓋側開口部32bが形成される。第一開口部323のY方向の開口長さは、レール23の開口234のY方向の開口長さと略一致する。第二開口部324のY方向の開口長さは、レール23の開口234のY方向の開口長さよりも大きく形成され、スライドカッター24の基盤244aのY方向の長さよりも大きく形成される。一対の第一押さえ突起326、326は、第一開口部323のY方向内方側に配置され、一対の第一押さえ突起327、327は、第一開口部323のY方向外方側に配置される。
【0102】
上記の構成により、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じたときに、蓋側開口部32bの一方の第二開口部324にスライドカッター24を通し、蓋側開口部32bをレール23のZ方向上方に位置させることで、蓋部3とスライドカッター24とは接触しない構成となる。そのため、スライドカッター24のまな板シート4の切断方向の移動に影響を与えることなく蓋部3を確実に閉じることができる。
一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327は、延設部32の内面32aに計4箇所形成されるため、まな板シート4をより強固に押さえて固定することができる。
【0103】
延設部32には、蓋部3を閉じたときに、覆部31と延設部32との連続部33から底面21の内表面21bに向かって突出する第二押さえ突起34が形成される。第二押さえ突起34は、連続部33のX方向略全幅にわたって形成され、蓋部3を閉じたときに、仕切り壁26のY方向格納部2側の位置でまな板シート4と当接し、第二押さえ突起34と仕切り壁26の中間部261とでまな板シート4を挟んで固定する。
【0104】
上記の構成により、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、格納部2から繰り出されたまな板シート4の切断位置の格納部2側の部位付近を第二押さえ突起34と中間部261との間に上方から挟んで固定できる。まな板シートケース1は、まな板シート4の切断位置を第二押さえ突起34により格納部2側からY方向に引っ張り、まな板シート4をY方向格納部2側に確実に張った状態で固定することができる。そのため、まな板シート4を撓ませることなく容易に切断できる。
まな板シートケース1は、第二押さえ突起34により、蓋部3を上から手で押さえることなく、蓋部3を閉じるだけでまな板シート4の切断位置をY方向格納部2側に張った状態にすることができる。
第二押さえ突起34のX方向の長さは、連続部33のX方向略全幅にわたって形成されるため、まな板シート4のX方向の長さL7よりも長い。そのため、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、第二押さえ突起34はまな板シート4をX方向の全長にわたって挟んで固定することができるため、まな板シート4の切断位置をX方向に均等に張った状態に保持することができる。
【0105】
まな板シートケース1は、蓋部3を閉じる際に、蓋部3に形成された一対の蓋側係合突起312、312がそれぞれ対向する弧状部221、221の上端面221b、221bに当接する。
上記の状態から蓋部3を閉じる方向にさらに力を加えると、一対の蓋側係合突起312、312が上端面221b、221b上をY方向外方に向かって当接しながら移動し、一対の蓋側係合突起312、312と一対の蓋側係合突起312、312にそれぞれ対向する一対の窪み部225、225とが係合し、蓋部3が閉じられる。
【0106】
上記の構成により、まな板シートケース1は、一対の窪み部225、225と一対の蓋側係合突起312、312とを係合させることにより蓋部3をより強固に閉じることができる。そのため、例えば、蓋部3がZ方向下方を向くや一対の縦壁22a、22aがZ方向上下に配置されている場合等、格納部2の底面21がZ方向上方に向いて配置された場合以外の配置においても蓋部3が重力で開くことを防止できる。
【0107】
スライドカッター24は、内側突起241eと外側突起241fとを有する中央部241aと、中央部241aのX方向前後に一対のカッター側係合突起241b、241bと、を有する移動部241を備える。レール23は、移動路231のY方向両側の側壁236、236から突出する一対の係止突起237,237がX方向両端にそれぞれ形成されている。スライドカッター24は、移動路231のX方向一端側に移動したときに、一方側の係止突起237と対向するカッター側係合突起241bとが当接し、さらにスライドカッター24に移動方向の力を加えると、当接したカッター側係合突起241bが弾性変形しながら一方側の係止突起237を乗り越え、一方側の係止突起237は外側突起241fに当接し係合窪み部245内に係止される。他方側の係止突起237は、内側突起241eに当接する。スライドカッター24は、上記の構成により、まな板シート4を切断する方向に移動不可な状態で固定され配置される。スライドカッター24は、一方側の係止突起237と対向するカッター側係合突起241bとの係止状態を解除することで再度移動可能な状態となる。
【0108】
上記の構成により、まな板シートケース1は、レール23内で一方側の係止突起237と対向するカッター側係合突起241bとが係合することにより、スライドカッター24の移動を容易に制御できる。そのため、まな板シートケース1を使用していないときにスライドカッター24を移動させることなく安全に管理できる。
まな板シートケース1は、一方側の係止突起237と対向するカッター側係合突起241bとが係合することにより、レール23がXY平面に対して傾斜するような配置であり、かつ、スライドカッター24が傾斜したレール23の上部に位置する場合においても、スライドカッター24を下方に移動させることなく固定することができる。あるいは、まな板シートケース1を動かしているときに、レール23のXY平面に対する角度が変化しても、スライドカッター24をレール23の端部23aで保持できる。そのため、まな板シートケース1の配置向きに関わらずスライドカッター24を安全に管理でき、スライドカッター24が自由移動し、カッター243がまな板シート4の側面に接触することでまな板シート4の品質等が低下することを防ぐことができる。
【0109】
格納部2には、底面21からZ方向上方に向かって突出し、仕切り壁26の中間部261と中間部261のX方向両端部262、262との各連続部263、263と、横壁22bの内壁面22fとの間に設けられた一対の内壁27、27が形成されている。一対の内壁27、27間のX方向の間隔L4は、ロール体40の形状に対応し、ロール体40のX方向の長さよりも僅かに長い。
【0110】
上記の構成により、まな板シートケース1は、外部からの振動に起因するロール体40の格納部2内での移動や配置位置のずれの発生を抑制し、ロール体40を安定配置できる。そのため、ロール体40の移動や配置位置のずれによる格納部2から繰り出されたまな板シート4の撓みの発生等を抑制し、まな板シート4を張った状態に維持することができる。
【0111】
まな板シートケース1は、基盤244a、覆部244bおよび一対の被覆突起322、322によって、蓋部3を閉じたときに、一対のカッター243、243をレール23のX方向中間部の移動時において、外部に対して露出しないように配置できる。
【0112】
第一開口部323のY方向の長さは、レール23の開口234のY方向の開口長さに略一致し、スライドカッター24の基盤244aのY方向の長さよりも短い。そのため、まな板シートケース1は、スライドカッター24の移動中において基盤244aと一対の被覆突起322、322とにより蓋部3を押さえ、蓋部3が開くことを防止できる。
【0113】
スライドカッター24の覆部244bは、レール23の移動時において、一対の被覆突起322、322に当接する。上記の構成により、スライドカッター24による切断時において、スライドカッター24をY方向に対して傾斜しないため、まな板シートケース1は、スライドカッター24をXY平面に対して平行に移動させることができ、まな板シート4を滑らかに切断できる。
【0114】
以上により、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、格納部2から繰り出されたまな板シート4の繰り出し部4aを一対の第一押さえ突起326、326および一対の第一押さえ突起327、327と、第二押さえ突起34とにより、レール23の上端面235a、235a上およびレール23の格納部2側で押さえ、まな板シート4をX方向およびY方向に張った状態で固定することができる。そのため、まな板シートケース1は、まな板シート4をスライドカッター24の移動により所望の位置で容易に切断でき、かつまな板シート4の切断箇所の品質を保持できる。また、まな板シート4の繰り出し部4aを切断した後に、蓋部3を開けてロール体40から再度まな板シート4を繰り出し、再度蓋部3を閉じてスライドカッター24を切断方向に移動させることで、まな板シート4を繰り返し切断できる。
【0115】
まな板シートケース1は、まな板シート4を押さえる各突起と、レール23の滑り止め部235とにより、スライドカッター24の移動に対してまな板シート4をより強固に押さえることができる。
【0116】
まな板シートケース1は、底面21の外面21a側にマグネット212が設けられることにより、例えば冷蔵庫の側面等にマグネット212を磁着させることでXY平面以外の設置面にまな板シートケース1を容易に設置できる。
【0117】
スライドカッター24は、移動部241と、支柱部242と、一対のカッター243、243と、摘み部244とによる簡易な構成により形成されるため、切断部2aの構造を簡易にすることができ、部品数や製造コスト、製造の手間等を抑制できる。
【0118】
まな板シートケース1は、一対のカッター243、243以外の部位が公知の樹脂材料により形成されている。そのため、従来の段ボール紙製のまな板シートケースと比較すると、使用者の手の濡れや湿気等によるケースの劣化等を抑制し、ケース本体を取り替える必要なく、ロール体40を取り替えることによって長期間にわたり繰り返し使用できる。
【0119】
以上、本発明に係るまな板シートケースの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0120】
例えば、上記の実施形態において、まな板シートケース1は、延設部32の内面32aのX方向両端に第一押さえ突起326、327が設けられているが、格納部2から繰り出されたまな板シート4を押さえ、まな板シート4を張った状態で固定することができれば、上記の構成に限定されない。例えば、一対の第一押さえ突起326、326と一対の第一押さえ突起327、327とのいずれか一方を省略した構成としてもよいし、いずれか一方を省略して他方をX方向全幅にわたって形成した構成としてもよい。
【0121】
また、上記の実施形態において、まな板シートケース1は、蓋部3を閉じた状態において、覆部31および一対の弧状部221、221により、Y方向に沿う断面のZ方向上方の形状が円弧状になるように形成されるが、ロール体40のY方向に沿う断面形状を考慮して形成してもよい。例えば、ロール体40のY方向に沿う断面形状が多角形状の場合は、該形状を考慮して覆部31および一対の縦壁22a、22aを多角形状に形成してもよい。
【0122】
また、上記の実施形態において、まな板シートケース1による被切断物をまな板シート4としているが、まな板シートケース1により切断できる素材であれば、その他の素材を格納部2に格納し、開口部35から順次繰り出して所定の位置で同様に切断してもよい。例えば、まな板シート4よりも薄手でまな板シート4と同様のポリエチレン製であるラップフィルムが挙げられる。
【符号の説明】
【0123】
1 まな板シートケース
2 格納部
3 蓋部
4 まな板シート
21 底面(底部)
23 レール
24 スライドカッター
27 内壁
32a 内面
32b 蓋側開口部
34 第二押さえ突起
40 ロール体
225 窪み部
235a 上端面(縁部)
237 係止突起(係止部)
241 移動部
241b カッター側係合突起
312 蓋側係合突起
326、327 第一押さえ突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8